(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262619
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】転写アシストブレード
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
G03G15/16 102
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-166426(P2014-166426)
(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公開番号】特開2015-49512(P2015-49512A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2017年8月16日
(31)【優先権主張番号】14/016,502
(32)【優先日】2013年9月3日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリウド・ロブレス・フロレス
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ジェイ・ジェルヴァシ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エス・レトカー
(72)【発明者】
【氏名】サントク・エス・バデシャ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ジェイ・ワンタック
【審査官】
飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−192897(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0039488(US,A1)
【文献】
特開平09−120218(JP,A)
【文献】
特開2000−056541(JP,A)
【文献】
特開2013−029769(JP,A)
【文献】
特開平09−179416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 21/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像済み画像を画像保持面からコピーシートに転写させる装置であって、
前記コピーシートを帯電させて、前記現像済み画像を前記画像保持面から前記コピーシートに引きつける帯電ステーションであって、前記画像保持面から間隔を空けて配置されて前記コピーシートが通過する間隙を画定するコロナ生成装置を含む帯電ステーションと、
前記コピーシートを押し付けて、前記帯電ステーションの近くの領域内の前記画像保持面上の前記現像済み画像と接触させる転写アシストブレードであって、前記画像保持面から離れた非動作位置と、前記画像保持面上の前記コピーシートと接触する動作位置との間を移動し、
前記コピーシートと接触する摩耗層であって、約1010Ωより高い表面抵抗を有する、前記転写アシストブレードの摩擦層と、
内部層と、
裏層の外面が、約1×108Ωから約9.99×108Ωの表面抵抗を有するように、分散した炭素粒子をその中に有する熱硬化性ポリイミドを含む裏層と、を順序通りに含む転写アシストブレードと、
位置決め信号に応じて、前記転写アシストブレードを前記非動作位置と前記動作位置との間で移動させるレバー部と、を含む装置。
【請求項2】
前記転写アシストブレードの前記摩擦層が、約100ミクロンから約200ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記内部層が、約150ミクロンから約500ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記裏層が、約50ミクロンから約200ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記転写アシストブレードの内部層はポリエステルからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記転写アシストブレードの前記摩耗層は、超高分子量ポリマーからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記転写アシストブレードは、3グラムの負荷で約3mmのたわみを呈する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
静電複写装置用の転写アシストブレードであって、
前記静電複写装置は、コピーシートを帯電させて、現像済み画像を画像保持面から前記コピーシートに引きつける帯電ステーションであって、前記画像保持面から間隔を空けて配置されて前記コピーシートが通過する間隙を画定するコロナ生成装置を含む帯電ステーションを含み、
前記転写アシストブレードは、
コピーシートと接触する摩耗層であって、約1010Ωより高い表面抵抗を有する、前記転写アシストブレードの摩擦層と、
約150ミクロンから約500ミクロンの厚さを有する内部層と、
裏層の外面が、約1×108Ωから約9.99×108Ωの表面抵抗を有するように、分散した炭素粒子をその中に有する熱硬化性ポリイミドを含む裏層と、を含む転写アシストブレード。
【請求項9】
約400ミクロンから約900ミクロンの厚さを有する、請求項8に記載の転写アシストブレード。
【請求項10】
前記裏層は、約50ミクロンから約200ミクロンの厚さを有する、請求項8に記載の転写アシストブレード。
【請求項11】
前記転写アシストブレードは、3グラムの負荷で約3mmのたわみを呈する、請求項8に記載の転写アシストブレード。
【請求項12】
転写ステーションにて現像済み画像が感光面からコピーシートに転写されるタイプの静電印刷装置であって、
前記コピーシートを帯電させて、前記現像済み画像を前記感光面から前記コピーシートに向けて引きつける静電帯電ユニットであって、前記感光面から間隔を空けて配置されて前記コピーシートが通過する間隙を画定するコロナ生成装置を含む帯電ユニットと、
前記コピーシートを押し付けて、少なくとも前記感光面上の前記現像済み画像に接触させる転写アシストブレードであって、コピーシートと接触する摩擦層であって、約1010Ωより高い表面抵抗を有する、前記転写アシストブレードの摩擦層と、約150ミクロンから約500ミクロンの厚さを有する内部層と、裏層の外面が、約1×108Ωから約9.99×108Ωの表面抵抗を有するように、分散した炭素粒子をその中に有する熱硬化性ポリイミドを含む裏層と、を含み、前記感光面から離れた非動作位置と、前記感光面上の前記コピーシートと接触する動作位置との間を移動するよう適用された転写アシストブレードと、
位置決め信号に応じて、前記転写アシストブレードを前記非動作位置と前記動作位置との間で移動させるレバー部と、を含む静電印刷装置。
【請求項13】
前記転写アシストブレードの前記摩擦層が、約100ミクロンから約200ミクロンの厚さを有する、請求項12に記載の静電印刷装置。
【請求項14】
前記内部層が、約150ミクロンから約500ミクロンの厚さを有する、請求項12に記載の静電印刷装置。
【請求項15】
前記裏層が、約50ミクロンから約200ミクロンの厚さを有する、請求項12に記載の静電印刷装置。
【請求項16】
前記熱硬化性ポリマーはポリイミドを含む、請求項12に記載の静電印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、静電印刷装置において現像済み画像のコピー基材への転写をアシストする装置に関する。この装置は、画像の不具合を取り除くための導電ブレード部材を備え、コピー基材と現像済み画像との間の物理的な接触状態を向上させる。
【背景技術】
【0002】
通常、静電複写処理では、まずほぼ均一に帯電感光部材に原本の光画像を投影する。帯電感光部材に光画像を投影することにより、原本内の非画像領域に対応する領域の感光面から電荷を取り除き、かつ画像領域内の電荷はそのまま残して感光部材上に原本の静電潜像を生成する。その後、この感光部材上に帯電トナー粒子を含む現像材料を付着させて、感光面上の帯電画像領域にトナー粒子を引きつけさせ、これにより、静電潜像を可視画像に現像する。次いで、この現像済み画像を感光部材から、直接または中間転写工程転を経て、コピーシートなどの画像を載せる基材に転写させ、これにより、原本に対応する画像を基材の上に作成する。転写画像は通常、「定着工程」と呼ばれるプロセスを経て、画像を載せた基材上で定着し、恒久画像となる。最終工程では、次の画像形成サイクルの準備のため、感光部材の感光面をクリーニングして、感光面から全ての残余トナー粒子を取り除く。
【0003】
上記の静電複写処理はよく知られ、原本の光レンズ複写に対して一般的に用いられている。例えば、変調レーザビームを用いて潜像を生成するデジタル印刷、または電子的に生成された画像または電子的に記憶された画像に応じて、帯電面に電荷を供給するイオノグラフ印刷・再生などのその他の静電印刷の応用例でも同様の処理が行われている。
【0004】
感光部材などの画像保持部材から、コピーシートなどの画像を載せる基材へ帯電トナーの粒子を転写させる処理は転写ステーションで行われ、ここでは強い静電付着力で画像保持部材にトナー粒子を保持することにより転写処理が可能にとなる。従来の静電装置では、転写ステーションの領域に画像を載せる基材を搬送することにより転写が行われ、この転写ステーションの領域では、感光面にトナー粒子を保持する力よりも十分に強い静電力場を印可して、画像を載せる基材の上にトナー粒子を引きつけ、転写を行う。一般に、このような静電力場は、コロナ生成装置を用いて静電誘導を行うことにより、生成され、コピーシートは感光面上の現像済みトナー画像に直接接触して置かれ、そのコピーシートの裏面にはコロナ放電が行われる。このコロナ放電により、トナー粒子と反対の極性のイオンが生成され、これにより、トナー粒子が感光部材から画像を載せる基材に静電的に引きつけられ、転写される。米国特許第2,836,725号明細書には、例示的なコロトロンイオン放出転写システムが開示されている。
【0005】
コピーシートにトナー画像を静電転写している間、一般にコピーシートは感光面に均一でぴったりと接触し、そのコピーシート上にトナー粉末画像が現像されなければならない、または少なくとも、このことが望ましい。しかし、残念なことに、感光面とコピー基材との間の境界はいつでも最適な状態であるとは限らない。具体的には、手荒に扱われたり、自然環境にさらされたり、前に定着工程(例えば、熱定着工程および/または圧力定着工程)を通ったりして、平らでなくなった、すなわちしわになったコピーシートなどの画像を載せる基材により、感光体の感光面との接触が不完全になることが多い。さらに、コピーシートにしわが発生した場合、シートは感光面とぴったりとは接触せず、感光面上の現像済み画像とコピーシートとの間に空間すなわち空気の隙間が発生し、トナーがこの隙間を通過して転写されない恐れがあり、転写に様々な影響を与え、最悪の場合、転写の少ない、あるいは転写されない領域ができてしまい、転写画像欠失と知られる現象に陥る。転写画像欠失が発生すると、有用な情報および証印がコピーシートに再生されず、非常に望ましくないことは明らかである。
【0006】
上記の通り、静電システムにおいて現像材料を転写させる処理では、一般に、静電力場を介して画像保持感光面から帯電トナー粒子を分離・転写させ、画像を載せる基材に付着させなければならない。したがって、転写処理での非常に重要な局面では、トナー粒子が感光部材に駐在するときに、トナー粒子にかかる付着力に打ち勝つための高強度な静電界を、転写領域に印可し維持することに焦点をあてる必要がある。転写処理におけるその他の重要な局面では、トナー粒子が感光部材に駐在するときに、トナー粒子にかかる付着力に打ち勝つための力学的な力を、転写領域においてコピーシートに加えることに焦点をあてる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
感光部材からコピーシートにトナー粒子を転写させるために必要な力学的かつ電気的な力を満たす転写アシスト装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、現像済み画像を画像保持面からコピーシートに転写する装置を開示する。この装置は帯電ステーションを含み、この帯電ステーションが、コピーシートを帯電させて、現像済み画像を画像保持面からコピーシートに引きつける。この装置は、転写アシストブレードを含み、この転写アシストブレードが、帯電ステーションの近くの領域でコピーシートを画像保持面上の現像済み画像に押し付けて接触させ、これにより、コピーシートと現像済み画像との間の全ての空間をほとんど取り除く。この転写アシストブレードは、画像保持面から離れた非動作位置と、画像保持面上のコピーシートと接触する動作位置との間を移動する。この転写アシストブレードは、摩擦層、内部層、および裏層を含み、摩擦層はコピーシートと接触する。裏層の外面の表面抵抗が約1×10
8Ω〜約9.99×10
8Ωとなるよう、裏層は、分散した炭素粒子その中に有する熱硬化性ポリイミドを含む。この装置は、位置決め信号に応じて、転写アシストブレードを非動作位置と動作位置との間で移動させるためのレバー部を含む。
【0009】
静電装置用の転写アシストブレードについて説明する。この転写アシストブレードは、コピーシートと接触する摩擦層と、約150ミクロン〜約500ミクロンの厚さを有する内部層と、裏層の外面の表面抵抗が約1×10
8Ω〜約9.99×10
8Ωとなるように、分散した炭素粒子をその中に有する熱硬化性ポリイミドを含む裏層と、を含む。
【0010】
本明細書では、転写ステーションで現像済み画像を感光面からコピーシートに転写するタイプの静電印刷装置を開示する。この装置は、静電気帯電ユニットを含み、この静電気帯電ユニットがコピーシートを帯電させて、感光面から現像済み画像をコピーシートに引きつける。この装置は、転写アシストブレードを含み、この転写アシストブレードがコピーシートに押し付けられて、少なくとも感光面上の現像済み画像と接触する。この転写アシストブレードは、コピーシートと接触する摩擦層と、約150ミクロン〜約500ミクロンの厚さを有する内部層と、裏層とを含む。裏層の外面の表面抵抗が、約1×10
8Ω〜約9.99×10
8Ωとなるよう、この裏層は分散した炭素粒子をその中に有する熱硬化性ポリイミドを含む。この転写アシストブレードは、感光面から離れた非動作位置感と、感光面上のコピーシートと接触する動作位置との間を移動するよう適用されている。レバー部が、位置決め信号に応じて、非動作位置と動作位置の間でこの転写アシストブレードを移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本明細書で開示された転写アシストブレードと、静電印刷装置において、この転写アシストブレードがコピーシートを感光面上の現像済み画像に押し付けて使用されている様子とを示す側面断面図である。
【
図2】
図2は、本明細書に記載された転写アシストブレードの断面図である。
【
図3】
図3は、本明細書に記載された転写アシストブレードの裏層に関する表面抵抗の許容範囲の限界を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を詳しく参照すると、内部の種々の構成部品をより明確に示すための、転写アシスト装置の断面図で示されている。
図1に示されている通り、コピー基材11(コピーシートまたは印刷基材とも呼ぶ)が、感光性ベルト10に送られる。帯電ステーションは、コロナ生成装置102を備え、このコロナ生成装置102が全体として参照符号103で示されるほぼU字形状のシールドを含む。転写ステーションでは、コロナ生成装置102がコピーシート11を帯電させて、トナー粉末画像を感光性ベルト10からコピーシート11に引きつける。このコロナ生成装置102は、感光性ベルト10の画像保持面から間隔を開けて、その間にコピーシートが通過する間隙を画定する。例えば、間隔を開けたピンまたはワイヤ、および後壁のない一対の側壁に限定され得るシールドからなる電極を有するコロナ生成器などの、あらゆる好適なコロナ生成装置を使用することができることは当業者なら理解されよう。
【0013】
転写アシストブレード45は、コピーシートを感光性ベルト10上のトナー粉末画像に押し付けてぴったりと接触させる。転写アシストブレード45は、感光性ベルト10に向けて力を加え続ける。この力は、ブレード45を感光体10の表面から離すためのレベラアーム59の端部により打ち消される。
【0014】
レベラアーム59すなわちレバー部は、転写アシストブレード45に隣接して取り付けられ、その突出し部に沿ってブレード45に接触する自由端を有する。本発明の実施形態では、レベラアーム59の反対側の端部は、枢動アームを介して、ソレノイド(図示せず)に固定される。レベラアーム59は中央部に沿って枢動点の周りを枢動するよう適用され、このソレノイドが枢動動作をすることにより、レベラアーム59はブレードすなわち転写アシストブレード45を感光体10の表面に向かって曲げる、すなわち枢動させ、この転写アシストブレード45をコピーシート11の裏側に接触する動作位置に移動させることができる。これとは逆に、ソレノイドの付勢を停止させる、すなわち動作を停止させると、転写アシストブレード45は感光体10の表面から外れて非動作位置に移動する。本明細書に記載される転写アシストブレード45は、好都合にも、ステッピングモータ、回転ソレノイドなどのソレノイド以外のいくつかの機構により、動作位置と非動作位置との間を移動することが可能であることは言うまでもない。
【0015】
転写アシストブレード45が非動作位置から動作位置に移動すると、ブレード45の自由端がコピーシート11の裏側に接触し、このコピーシート11を感光性ベルト10上の現像済みトナー粉末画像に押し付ける。これにより、コピーシートとトナー粉末画像との間の全ての空間がほとんど取り除かれ、これにより、トナー粉末画像のコピーシート11への転写性能を向上させて、コピーシートに転写されたトナー粉末画像に欠失がほとんどなくなるようにする。転写が終了すると、光センサ(図示せず)がコピーシート11の後端を検知し、適切に遅らせて、制御装置は付勢停止信号をソレノイドに送信し、転写アシストブレード45を動作位置から非動作位置に動かして、感光体10の表面から外す。したがって、コピーシート11が転写ステーションから出るときに、転写アシストブレード45が感光面に直接接触することないようにする。
【0016】
コピーシート11が入ってくる正確なタイミングを位置合わせ同期信号により判定し、転写アシストブレード45の作動を制御する回路でこの信号を処理する。転写アシストブレード45は、コピーシートおよび感光性ベルト10から離れた非動作位置から動作位置に移動しコピーシートの裏面と接触する。上述したソレノイドなどの機械的な搬送機構により、転写アシストブレード45は動作位置と非動作位置との間を移動する。動作位置では、コピーシートとトナー粉末画像との間の全ての空間をほとんど取り除くために、ブレード45をコピーシートに押し付けて感光性ベルト10上に現像されているトナー粉末画像と接触させる。このように、常に転写ステーションでコピーシートを押し付けてトナー粉末画像と接触させることで、コピーシートがベルト10にほとんどぴったりと接触することが確実になる。コピーシートの後端が光センサ(図示せず)を通過すると、この光センサが処理回路に位置合わせ同期信号を送信し、信号を受けた処理回路はソレノイドを付勢させ、このソレノイドによりブレード45が非動作位置に移動させる。ブレード45は、非動作位置では、コピーシートおよび感光性ベルトから離れて配置され、これにより、ブレード45が感光性ベルトを傷付ける、あるいはトナー粒子が感光体ベルトの上に蓄積され次のコピーシートに付いてしまう心配がないよう保証する。例示的なタイプの光センサと遅延回路が、米国特許第4,341,456号明細書で開示されており、この明細書の内容は、引用することにより本明細書に完全に組み込まれるものとする。
【0017】
次に
図2を参照すると、転写アシストブレード45がより詳細に示されている。この転写アシストブレード45は、曲がることが可能でなければならない。転写アシストブレード45は、3グラムの負荷で約3mm曲がる(実験室での特別な設定に基づく)。この測定は片持ち梁を用いた設定で行われる。測定では、転写アシストブレードのサンプルが片持ち梁の端に設置され、サンプルの先端に荷重測定器を取り付け、発生したたわみを後ろ側のスケールで測定する。転写アシストブレードのトータルの厚さは、約350ミクロンから約900ミクロンである。この転写アシストブレード45は摩擦層20を含み、この摩擦層20が動作中にコピーシート11と接触する。この摩擦層20の厚さは、約100ミクロンから約200ミクロン、または実施形態によっては、約110ミクロンから約190ミクロンあるいは約120ミクロンから約180ミクロンである。この摩擦層20は、アクリル系感圧接着剤を一方の面に有する542UHMWポリエチレンフィルム(3Mから購入可能)など超高分子量ポリマーからなる。この摩擦層20は絶縁性を有し、その表面抵抗は約10
10Ωより大きい。
【0018】
転写アシストブレード45は、マイラー(商標)などのポリエステルからなる1枚以上の内部層を含む。内部層22のトータルの厚さは、約150ミクロンから約500ミクロン、または、実施形態によっては、約180ミクロンから約450ミクロンあるいは約200ミクロンから約400ミクロンである。実施形態によっては、この内部層に対して1枚〜5枚の層の材料が用いられている。
【0019】
この転写アシストブレード45は裏層24を含む。裏層24または層の厚さは、約50ミクロンから約200ミクロン、または実施形態によっては、約75ミクロンから約180ミクロンあるいは約80ミクロンから約180ミクロンである。この裏層24には、約1×10
8Ωから約9.99×10
8Ωの表面抵抗が必要である。内部層と裏層とを接着し、汚れまたはトナー粒子の汚染を防止することができるように、上記の範囲の表面抵抗が必要となる。裏層に十分な抵抗がない場合、汚れが蓄積され、これがコピー基材へ移り、好ましくない印刷アーチファクトが発生する。また、ブレードの最も先端でコロナ電界を調整し、好ましくない印刷アーチファクトを発生させる恐れのある高電圧の絶縁破壊を防止するためにも、上記の裏層の表面抵抗は必要である。
【0020】
この裏層24は、分散した炭素粒子をその中に有する熱硬化性ポリイミドから作られている。これらの炭素粒子により導電性がもたらされ、これにより1×10
8Ωから約9.99×10
8Ωの表面抵抗という要求事項を満たすことができる。
【0021】
これらの摩擦層20、内部層22、および裏層24は、全て接着剤で接着されている。
【実施例】
【0022】
図3は、裏層の抵抗率の限界のグラフおよび表であり、転写アシストブレードの抵抗率の許容範囲が示されている。この許容範囲には、汚れ(および絶縁破壊)および故障に関する2つの重要な境界が存在する。ブレード上に汚れがかなり蓄積されたり、抵抗が高くなりブレードの帯電が高くなり過ぎたりすると、第1段階として印刷アーチファクトが発生する。そして第2段階として、機械が故障する。これらは、どちらも好ましい状態ではない。
【0023】
図3に示す通り、詳細な許容範囲が判定された。転写アシストブレードは、分散したカーボンブラックを有する熱硬化性ポリイミドを裏層として用いて製造された。試験によって、性能が向上したことが明らかになった。