(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262647
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】車両ホイール用のタイヤを構築する方法及びプラント
(51)【国際特許分類】
B29D 30/16 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
B29D30/16
【請求項の数】47
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-509847(P2014-509847)
(86)(22)【出願日】2012年5月4日
(65)【公表番号】特表2014-512993(P2014-512993A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】IB2012000886
(87)【国際公開番号】WO2012153175
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年4月20日
(31)【優先権主張番号】MI2011A000822
(32)【優先日】2011年5月12日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】61/487,564
(32)【優先日】2011年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598164186
【氏名又は名称】ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】マルチーニ,マウリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】アムリ,チェザレ,エマヌエレ
(72)【発明者】
【氏名】ファブレッティ,マルコ
【審査官】
小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−022040(JP,A)
【文献】
特表2004−504953(JP,A)
【文献】
特表2006−511359(JP,A)
【文献】
再公表特許第2006/103861(JP,A1)
【文献】
再公表特許第2007/094053(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ホイール用のタイヤを構築する方法であって、
−カーカス構造体を製造することと、
−クラウン構造体を製造することと、
−前記カーカス構造体に対して半径方向外側位置に前記クラウン構造体を取り付けることと、
を含み、
クラウン構造体を製造することは、ベルト構造体(50a)を第1の成形支持体(100)上に構築することを含み、
前記ベルト構造体(50a)を構築することは、
−所定の数量のストリップ状要素(51a)を第1のコンベアベルト(11a)に順次置くことであって、前記第1のコンベアベルト(11a)は方向xに対して平行に向けられていることと、
−所定の数量のストリップ状要素(51b)を少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に順次置くことであって、前記第2のコンベアベルト(11b)は前記第1のコンベアベルト(11a)に対して平行に向けられていることと、
−第1のベルト層(50a)を前記第1の成形支持体(100)上に構築するように、前記ストリップ状要素(51a)を前記第1のコンベアベルト(11a)から前記第1の成形支持体(100)に移すことと、
−前記第1の成形支持体(100)を、前記第1の成形支持体(100)が前記第1のコンベアベルト(11a)に配置される第1の作業位置と、前記第1の成形支持体(100)が前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に配置される少なくとも1つの第2の作業位置との間で、前記方向xに垂直な方向yに沿って移動させることであって、前記第1の作業位置及び前記少なくとも1つの第2の作業位置において、前記第1の成形支持体(100)は、前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)にそれぞれ置かれた前記ストリップ状要素(51a、51b)と接触した状態になるような高さで、それぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)の上に配置されることと、
−少なくとも1つの第2のベルト層(50b)を前記第1の成形支持体(100)上で、前記第1のベルト層(50a)に対して半径方向外側位置に構築するように、前記ストリップ状要素(51b)を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)から前記第1の成形支持体(100)に移すことと、
を含み、
前記ストリップ状要素(51a)を前記第1のコンベアベルト(11a)から前記第1の成形支持体(100)に移すのは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素(51b)を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に置くことの少なくとも一部と同時に行われる、方法。
【請求項2】
前記第1の成形支持体(100)を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)まで移動させることは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素(51b)を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に置くことの少なくとも一部と同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ストリップ状要素(51a)を前記第1のコンベアベルト(11a)に置くことは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素(51b)を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に置くことの少なくとも一部と同時に行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ベルト構造体(50a)を構築することは、前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルト(11a)から前記第1の成形支持体(100)に移す前に、前記第1の成形支持体(100)を前記第1のコンベアベルト(11a)まで移動させることを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の成形支持体(100)を前記第1のコンベアベルト(11a)まで移動させることは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素(51a)を前記第1のコンベアベルト(11a)に置くことの少なくとも一部と同時に行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の成形支持体(100)を前記第1のコンベアベルト(11a)まで移動させることは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素(51b)を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に置くことの少なくとも一部と同時に行われる、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記ストリップ状要素(51a、51b)は、0と所定の値との間に含まれる値を有する距離だけお互い離れて、それぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に置かれる、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ストリップ状要素(51a、51b)をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に置くことは、前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)によって、それぞれ前記ストリップ状要素(51a、51b)に磁気的な引付け力を作用させることを含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ストリップ状要素(51a、51b)をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)から前記第1の成形支持体(100)に移すことは、前記第1の成形支持体(100)によって前記ストリップ状要素(51a、51b)に磁気的な引付け力を作用させることを含む、請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ストリップ状要素(51a、51b)をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に置くことは、前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)によって、それぞれ前記ストリップ状要素(51a、51b)に磁気的な引付け力を作用させることを含み、
前記ストリップ状要素(51a、51b)をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)から前記第1の成形支持体(100)に移すことは、前記第1の成形支持体(100)によって前記ストリップ状要素(51a、51b)に磁気的な引付け力を作用させることを含み、
前記第1の成形支持体(100)によって前記ストリップ状要素(51a、51b)に作用する磁気的な引付け力は、前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)によって、それぞれ前記ストリップ状要素(51a、51b)に作用する磁気的な引付け力よりも大きい、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ストリップ状要素(51a、51b)をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)から前記第1の成形支持体(100)に移すことは、それぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)の進行速度に等しい周速で前記第1の成形支持体(100)を回転させることを含む、請求項1〜10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ベルト構造体(50)を構築することは、
−第1の強化型バンド状要素(52a)及び少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に近接して配置されたそれぞれの切断部材(35a)まで少なくとも送ることと、
−前記第1の強化型バンド状要素(52a)及び前記少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素から前記ストリップ状要素(51a、51b)を形成するために、それぞれ前記第1の強化型バンド状要素(52a)及び前記少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素を所定の寸法に繰り返して切断することと、
−各前記ストリップ状要素(51a、51b)をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に順次移すことと、
を更に含む、請求項1〜7、または11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)まで送ることは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素(51a)を前記第1のコンベアベルト(11a)に置くことの少なくとも一部と同時に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各前記ストリップ状要素(51a、51b)をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に順次移すことは、それぞれの把持部材(41a)によって前記ストリップ状要素(51a、51b)に磁気的な引付け力を作用させることを含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記ストリップ状要素(51a、51b)をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に置くことは、前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)によって、それぞれ前記ストリップ状要素(51a、51b)に磁気的な引付け力を作用させることを含み、
前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)によって、それぞれ前記ストリップ状要素(51a、51b)に作用する磁気的な引付け力は、前記それぞれの把持部材(41a)によって前記ストリップ状要素(51a、51b)に作用する磁気的な引付け力よりも大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ベルト構造体(50)を構築することは、前記ストリップ状要素(51a、51b)をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)から前記第1の成形支持体(100)に移した後、前記ストリップ状要素(51a、51b)を前記第1の成形支持体(100)に押し付けることを更に含む、請求項1〜15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ストリップ状要素(51a、51b)をそれぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)から前記第1の成形支持体(100)に移すのは、前記ストリップ状要素(51a、51b)が、それぞれ前記第1の成形支持体(100)と、前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)とに接触する位置に達したときにのみ始まる、請求項1〜16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ベルト構造体(50)を構築することは、前記ストリップ状要素(51a)を前記第1のコンベアベルト(11a)に置いた後、かつ前記ストリップ状要素(51a)を前記第1のコンベアベルト(11a)から前記第1の成形支持体(100)に移す前に、エラストマー材料でできた一対の細長い要素(71a)を、それぞれが前記ストリップ状要素(51a)のそれぞれの端部部分に部分的に重なるような位置で、前記第1のコンベアベルト(11a)に置くことを更に含む、請求項1〜17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ベルト構造体(50)を構築することは、前記ストリップ状要素(51a)を前記第1のコンベアベルト(11a)から前記第1の成形支持体(100)に移す前に、前記第1の成形支持体(100)を第1の作動径に設定し、前記ストリップ状要素(51b)を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)から前記第1の成形支持体(100)に移した後、所定の軸方向湾曲プロファイルを保ちながら、前記第1の成形支持体(100)を前記第1の作動径よりも大きい第2の作動径まで半径方向に拡張することを含む、請求項1〜18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ベルト構造体(50)を構築することは、前記ストリップ状要素(51a)を前記第1のコンベアベルト(11a)から前記第1の成形支持体(100)に移す前に、前記第1の成形支持体(100)を第1の軸方向湾曲プロファイルに設定し、前記ストリップ状要素(51b)を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)から前記第1の成形支持体(100)に移した後、前記第1の成形支持体(100)を、前記第1の軸方向湾曲プロファイルと異なる第2の軸方向湾曲プロファイルで成形することを含む、請求項1〜18の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ベルト構造体(50)を構築することは、前記第1の成形支持体(100)の前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に向かう移動が始まった時点で、更なる成形支持体を前記第1のコンベアベルト(11a)まで移動させることを含む、請求項1〜20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ストリップ状要素(51a、51b)は、10mm〜60mmの横方向寸法を有する請求項1〜21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ストリップ状要素(51a、51b)は、20mm〜50mmの横方向寸法を有する、請求項1〜22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
車両ホイール用のタイヤを構築するためのプラント(1)であって、
−カーカス構造体構築ライン(2)と、
−クラウン構造体構築ライン(4)と、
を含み、
前記クラウン構造体構築ライン(4)は、
−方向xに対して平行に向けられた第1のコンベアベルト(11a)と、
−前記第1のコンベアベルト(11a)に対して平行に配置された少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)と、
−前記第1のコンベアベルト(11a)上の所定の数量のストリップ状要素(51a)の第1の配置装置(40a)と、
−前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)上の所定の数量のストリップ状要素(51b)の少なくとも1つの第2の配置装置と、
−第1の成形支持体(100)と、
−前記第1の成形支持体(100)が前記第1のコンベアベルト(11a)に配置される第1の作業位置と、前記第1の成形支持体(100)が前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に配置される少なくとも1つの第2の作業位置との間で、前記方向xに垂直な方向yに沿って前記第1の成形支持体(100)を移動させるための第1の移動装置(15)と、
を含み、
前記第1の作業位置及び前記少なくとも1つの第2の作業位置において、前記第1の成形支持体(100)は、前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)にそれぞれ置かれた前記ストリップ状要素(51a、51b)と接触した状態になるような高さで、それぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)の上に配置される、プラント(1)。
【請求項25】
前記第1の移動装置(15)は、前記第1の成形支持体(100)用の把持ユニットを含み、前記把持ユニットは、第1のほぼ水平な方向(y)及び第2のほぼ垂直な方向(z)に沿って移動可能である、請求項24に記載のプラント(1)。
【請求項26】
前記クラウン構造体構築ライン(4)は、保管ステーションからの前記第1の成形支持体(100)の取り出し位置と、前記第1の成形支持体(100)が前記第1の移動装置(15)に移される作業位置との間を移動可能な取扱装置を更に含む、請求項24または25に記載のプラント(1)。
【請求項27】
各前記第1の配置装置(40a)及び少なくとも1つの第2の配置装置は、前記ストリップ状要素(51a、51b)のそれぞれの把持部材(41a、41b)を含み、前記それぞれの把持部材(41a、41b)は、前記ストリップ状要素(51a、51b)がピックアップされる第1の作業位置と、前記ストリップ状要素(51a、51b)が、それぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に置かれる第2の作業位置との間を移動可能である、請求項24〜26の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項28】
前記把持部材(41a、41b)は、前記ストリップ状要素(51a、51b)の少なくとも1つの保持要素(42a)を含む、請求項27に記載のプラント(1)。
【請求項29】
前記保持要素(42a)は、少なくとも1つの磁気要素または装置(44a)を含む、請求項28に記載のプラント(1)。
【請求項30】
前記把持部材(41a、41b)は、前記ストリップ状要素(51a、51b)の支持要素(43a)を含む、請求項28または29に記載のプラント(1)。
【請求項31】
前記保持要素(42a)及び前記支持要素(43a)は、回転軸(F)に対して回転移動可能である、請求項30に記載のプラント(1)。
【請求項32】
前記第1のコンベアベルト(11a)及び少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)は、少なくとも1つのそれぞれの表面部分に少なくとも1つのそれぞれの磁気要素または装置(22a)を含む、請求項24〜31の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項33】
前記第1の成形支持体(100)は、その少なくとも1つの表面部分に少なくとも1つの磁気要素または装置(101)を含む、請求項24〜32の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項34】
前記クラウン構造体構築ライン(4)は、
−第1の強化型バンド状要素(52a)を前記第1のコンベアベルト(11a)の近くに送る第1の装置(30a)と、
−前記第1の強化型バンド状要素(52a)の第1の切断部材(35a)と、
−少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)の近くに送る少なくとも1つの第2の装置と、
−前記少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素の少なくとも1つの第2の切断部材と、
を更に含む、請求項24〜33の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項35】
前記クラウン構造体構築ライン(4)は、
−前記第1のコンベアベルト(11a)に関連付けられ、前記第1の成形支持体(100)が前記第1の作業位置にある場合に、前記第1の成形支持体(100)に押し力を作用させるように構成された少なくとも1つの第1の押圧部材(18a)と、
−前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に関連付けられ、前記第1の成形支持体(100)が前記少なくとも1つの第2の作業位置にある場合に、前記第1の成形支持体(100)に押し力を作用させるように構成された少なくとも1つの第2の押圧部材(18b)と、
を更に含む、請求項24〜34の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項36】
前記第1の成形支持体(100)が、それぞれ前記第1の作業位置及び前記少なくとも1つの第2の作業位置にある場合に、前記第1の押圧部材(18a)及び少なくとも1つの第2の押圧部材(18b)は、前記ストリップ状要素(51a、51b)の進行方向(A)に関して前記第1の成形支持体(100)の下流に配置されたベルト部分で、それぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に関連付けられる、請求項35に記載のプラント(1)。
【請求項37】
前記第1のコンベアベルト(11a)に対接して作用する少なくとも1つの第1のコントラストローラ(17a)と、少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に対接して作用する少なくとも1つの第2のコントラストローラ(17b)とを更に含む、請求項24〜36の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項38】
前記第1の成形支持体(100)が、それぞれ前記第1の作業位置及び前記少なくとも1つの第2の作業位置にある場合に、前記少なくとも1つの第1のコントラストローラ(17a)及び前記少なくとも1つの第2のコントラストローラ(17b)は、前記ストリップ状要素(51a、51b)の前記進行方向(A)に関して前記第1の成形支持体(100)の上流に配置されたベルト部分で、それぞれ前記第1のコンベアベルト(11a)及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルト(11b)に関連付けられる、請求項37に記載のプラント(1)。
【請求項39】
前記クラウン構造体構築ライン(4)は、エラストマー材料でできた1対の細長い要素(71a)を前記第1の成形支持体(100)に置くための配置装置を更に含む、請求項24〜38の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項40】
前記クラウン構造体構築ライン(4)は、エラストマー材料でできた1対の細長い要素(71a)を前記第1のコンベアベルト(11a)に置くための配置装置を更に含む、請求項24〜38の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項41】
前記配置装置は、前記第1のコンベアベルト(11a)の上に配置された1対の供給リール(75a)を含む、請求項40に記載のプラント(1)。
【請求項42】
各供給リール(75a)は、前記第1のコンベアベルト(11a)の進行速度に等しい周速でそれぞれの軸のまわりに回転可能である、請求項41に記載のプラント(1)。
【請求項43】
前記第1の成形支持体(100)は、所定の軸方向湾曲プロファイルを有する、請求項24〜42の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項44】
前記第1の成形支持体(100)は、可変の軸方向湾曲プロファイルを有する、請求項24〜42の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項45】
前記クラウン構造体構築ライン(4)は、
−更なる成形支持体と、
−前記第1の作業位置と前記少なくとも1つの第2の作業位置との間で前記更なる成形支持体を移動させる更なる装置と、
−前記保管ステーションと、前記更なる成形支持体が前記更なる移動装置に移される作業位置との間で移動可能な更なる取扱装置と、
を更に含む、請求項26〜44の何れか一項に記載のプラント(1)。
【請求項46】
前記取扱装置は、ロボットアームを含む、請求項26に記載のプラント(1)。
【請求項47】
前記更なる取扱装置は、ロボットアームを含む、請求項45に記載のプラント(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ホイール用のタイヤを構築する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、車両ホイール用のタイヤを構築するためのプラントに関し、上記の方法は、前記プラントで実施可能である。
【背景技術】
【0003】
車両ホイール用のタイヤは、通常、エラストマー母材に埋設された強化コードからなる少なくとも1つのカーカスプライを含むカーカス構造体を有する。カーカスプライは、環状固定構造体とそれぞれ係合する端部エッジを有する。環状固定構造体は、通常「ビード部」の名前で示されるタイヤの領域に配置され、各環状固定構造体は、通常、少なくとも1つの充填挿入物が半径方向外側位置に付与されたほぼ円周方向の環状挿入物によって形成される。そのような環状挿入物は、通常「ビードコア」として示され、タイヤが、ホイールのリムに特に設けられた固定シートに適切に固定された状態を保ち、従って、動作時、タイヤの半径方向内側の端部エッジがそのようなシートから外れるのを防止する働きをする。
【0004】
タイヤへのトルク伝達を改善する機能を有する特有の強化構造体をビード部に設けることができる。
【0005】
クラウン構造体は、カーカス構造体に対して半径方向外側位置に取り付けられ、クラウン構造体は、ベルト構造体と、ベルト構造体に対して半径方向外側位置にある、エラストマー材料でできたトレッドバンドとを含む。
【0006】
自動車用のタイヤの場合、ベルト構造体は、通常、半径方向に重ねて配置され、タイヤの円周方向伸張部(circumferential extension)の方向に対して全体的に交差する向き、及び/または実質的に平行な向きの繊維または金属強化コードを有する少なくとも2つのベルト層を含む。
【0007】
カーカス構造体とベルト構造体との間には、「アンダーベルト」として公知のエラストマー材料の層を設けることができ、前記層は、ベルト構造体を次に取り付けるために、カーカス構造体の半径方向外側面を可能な限り均一にする機能を有する。
【0008】
トレッドバンドとベルト構造体との間には、エラストマー材料からなる、いわゆる「下層」を配置することができ、前記下層は、トレッドバンド自体の安定した結合を確実にするのに適した特性を有する。
【0009】
カーカス構造体の側面には、それぞれがトレッドバンドの側端部の一方からそれぞれの環状固定構造体まで、ビード部に向かって延びる、エラストマー材料からなるそれぞれのサイドウオールも取り付けられる。
【0010】
車両ホイール用のタイヤを製造する従来からの方法は、基本的に、上記のタイヤ構成要素が、最初に互いに独立して作られ、次いで、適切な成形ドラム上で組み立てられるようにするものである。
【0011】
しかし、半完成部品の製造及び保管を最小限にするか、または、できればそれらをなくすのを可能にする製造プロセスを使用するのが現在の傾向である。
【0012】
本明細書全体及び添付の特許請求の範囲において、「半径方向」及び「軸方向」という用語、並びに「半径方向内側/外側」及び「軸方向内側/外側」という表現は、成形支持体の半径方向及び軸方向に関して使用される。「円周方向」及び「円周方向に」という用語は、成形支持体の環状伸張部を指す代わりに使用される。
【0013】
本明細書全体及び添付の特許請求の範囲において、「水平な」及び「垂直な」という用語は、成形支持体の支持面、通常は地面にそれぞれ平行及び垂直な方向を指すために使用される。
【0014】
本明細書全体及び添付の特許請求の範囲において、「エラストマー材料」という表現は、少なくとも1つの弾性ポリマー及び少なくとも1つの強化充填物を含む組成物を示すために使用される。そのような組成物は、例えば、架橋剤及び/または可塑剤などの添加剤を更に含むのが好ましい。架橋剤を付与した結果、そのような材料は加熱によって架橋されて、最終生成物ができる。
【0015】
本明細書全体及び添付の特許請求の範囲において、「強化型バンド状要素」という表現は、平坦な形状の断面プロファイルを有し、好ましくは金属でできた1つまたは複数のコードを含む細長い生成物を示すために使用され、そのコードは、生成物の長手方向伸張部に対して平行に延び、エラストマー材料の少なくとも1つの層内に内包されるか、またはその層によって少なくとも部分的に覆われる。
【0016】
本明細書全体及び添付の特許請求の範囲において、「ストリップ状要素」という用語は、所定の長さを有し、0°と90°未満の任意の値との間の範囲にある所定の切断角で、前記強化型バンド状要素から所定の寸法に切断された要素を示すために使用される。
【0017】
同出願人による国際公開第01/38077号は、車両ホイール用のタイヤのベルト構造体を構築する方法を記載しており、ベルト構造体は、複数のストリップ状要素を円周方向に連続的に、かつ隣り合った関係でトロイダル支持体に直接置くことで構築される。
【0018】
欧州特許第1 350 616号は、複数のストリップ状要素を形成するために、所定の寸法に繰り返し切断される、連続するバンド状要素から着手して、例えば、カーカスプライまたはベルト層などのタイヤの構造要素を製造する方法を記載し、複数のストリップ状要素は、それぞれが、隣接するストリップ状要素に部分的に重なるようにコンベアベルトに順次置かれて、次に成形支持体に移すことを意図された連続層を形成する。
【発明の概要】
【0019】
国際公開第01/38077号に記載したタイプの問題解決策では、ストリップ状要素が成形支持体に置かれた時点で、ストリップ状要素を軸方向に対して傾斜した向きにすることが必要であるので、各ストリップ状要素は湾曲面に置かれ、結果としてストリップ状要素が変形すると本出願人は気づいた。そのような変形は、ストリップ状要素のエラストマー材料混合物のタイプ及び付着性の変化に加えて、ストリップ状要素の長手方向及び横方向の寸法が変わると変化する。上記のすべては、単一のストリップ状要素の品質及び成形支持体上での配置の再現性に不可避の影響を及ぼす。更に、湾曲面に置くことは、配置速度を制限し、ベルト構造体を構築するのに必要とされる全体時間に対して不利益をもたらす。更に、湾曲面に置くことは、2つの軸に対して同期した態様で移動可能な(即ち、各ストリップ状要素の水平方向及び垂直方向に同期した移動を可能にする)配置装置を必要とし、そのような装置は機械的に複雑であり、故障しやすい。前記の同期化にはいくつかのパラメータをチェックすることが必要になるため、装置の設定も同様に複雑になる。
【0020】
更に、本出願人は、欧州特許第1 350 616号に記載のタイプの方法を用いた、半径方向に互いに重なる少なくとも2つのベルト層を含むベルト構造体の構築を完了するために必要とされる時間が、そのような方法がストリップ状要素の平坦な配置を必要とするとしても長くなることに気づいた。
【0021】
本出願人は、そのような欠点が、第2のベルト層を形成することを意図されたストリップ状要素のコンベアベルト上への予備的配置と、そのようなストリップ状要素のその後の成形支持体上への移動とが、第1のベルト層を形成することを意図されたストリップ状要素の成形支持体への移動の終わりにのみ行われ、そのようなストリップ状要素は、前もって前記コンベアベルトに置かれているという事実に起因することを検証した。
【0022】
ベルト構造体を構築するのに必要とされる全体時間を短縮するために、本出願人は、第1のベルト層の構築の少なくとも一部を第2のベルト層の構築の少なくとも一部と同時に行うことが望ましいと分かった。
【0023】
最後に、本出願人は、2つの別の強化型バンド状要素から所定の寸法に切断されたストリップ状要素が置かれる2つの独立したコンベアベルトを用意し、更に、前記コンベアベルトの一方(第1のコンベアベルト)に位置する第1の作業位置と、他方のコンベアベルト(第2のコンベアベルト)に位置する第2の作業位置との間で成形支持体を移動可能にすることで、前もって第1のコンベアベルトに置かれたストリップ状要素を成形支持体に移動させると同時に、ストリップ状要素を第2のコンベアベルトに置き、次いで、すでに第2のコンベアベルトに置かれたストリップ状要素の成形支持体への移動を可能にする第2の作業位置に成形支持体を移動させることが可能であると分かった。
【0024】
従って、第1の態様では、本発明は、車両ホイール用のタイヤを構築する方法に関し、その方法は、
−カーカス構造体を製造することと、
−クラウン構造体を製造することと、
−クラウン構造体をカーカス構造体に対して半径方向外側位置に取り付けることと、
を含み、
クラウン構造体を製造することには、ベルト構造体を第1の成形支持体上に構築することが含まれ、
前記ベルト構造体を構築することには、
−所定の数量のストリップ状要素を第1のコンベアベルトに順次置くことと、
−所定の数量のストリップ状要素を少なくとも1つの第2のコンベアベルトに順次置くことと、
−第1のベルト層を前記第1の成形支持体上に構築するように、前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移すことと、
−前記第1の成形支持体を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトまで移動させることと、
−少なくとも1つの第2のベルト層を前記第1の成形支持体上で、前記第1のベルト層に対して半径方向外側の位置に構築するように、前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移すことと、
を含み、
前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移すことは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに置くことの少なくとも一部と同時に行われる。
【0025】
本出願人は、本発明の方法により、ベルト構造体を構築するのに必要とされる全体時間を大きく短縮することが可能になると考える。実際上、本発明の方法では、第1の成形支持体上で第1のベルト層の構築が行われ、それと同時に、第2のベルト層を形成することを意図されたストリップ状要素が第2のコンベアベルトに置かれるので、第1の成形支持体が第2のベルト層の位置に運ばれた時点で(第1のコンベアベルトに置かれたストリップ状要素の第1の成形支持体への移動の終わりに)、すでに第2のコンベアベルトに置かれたストリップ状要素の同じ第1の成形支持体への移動を、従って、前記第1の成形支持体上での第2のベルト層の構築を即座に行うことができる。
【0026】
第2の態様では、本発明は、車両ホイール用のタイヤを構築するプラントに関し、そのプラントは、
−カーカス構造体構築ラインと、
−クラウン構造体構築ラインと、
を含み、
クラウン構造体構築ラインは、
−第1のコンベアベルトと、
−少なくとも1つの第2のコンベアベルトと、
−所定の数量のストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトに置く第1の配置装置と、
−所定の数量のストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに置く少なくとも1つの第2の配置装置と、
−第1の成形支持体と、
−第1の成形支持体が前記第1のコンベアベルトに配置される第1の作業位置と、第1の成形支持体が前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに配置される少なくとも1つの第2の作業位置との間での、前記第1の成形支持体の第1の移動装置と、
を含む。
【0027】
有利にも、そのようなプラントは、上記の本発明の方法を行うのを可能にし、ひいては、上記の利点を得ることを可能にする。
【0028】
本発明は、上記の態様の少なくとも1つにおいて、以下の好ましい特徴の少なくとも1つを示すことができる。
【0029】
前記第1の成形支持体を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトまで移動させることは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに置くことの少なくとも一部と同時に行われるのが好ましい。従って、ベルト構造体を構築するのに必要とされる全体時間の更に大きな短縮を達成することが可能である。
【0030】
前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトに置くことは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに置くことの少なくとも一部と同時に行われるのが好ましい。従って、ベルト構造体を構築するのに必要とされる全体時間の更に大きな短縮を達成することが可能である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、前記ベルト構造体を構築することは、前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移す前に、前記第1の成形支持体を前記第1のコンベアベルトまで移動させることを含む。
【0032】
前記第1の成形支持体を前記第1のコンベアベルトまで移動させることは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトに置くことの少なくとも一部と同時に行われるのが好ましい。従って、ベルト構造体を構築するのに必要とされる全体時間の更に大きな短縮を達成することが可能である。
【0033】
前記第1の成形支持体を前記第1のコンベアベルトまで移動させることは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに置くことの少なくとも一部と同時に行われるのが更により好ましい。従って、ベルト構造体を構築するのに必要とされる全体時間の更に大きな短縮を達成することが可能である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、前記ストリップ状要素は、0と所定の値との間に含まれる値を有する互いからの距離だけ離れて、それぞれ前記第1のコンベアベルト及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに置かれる。
【0035】
そのような条件により、十分に均一で、望ましくない重なった連結端部のないベルト層を構築するのが可能になり、それにより、高い品質及び性能レベルを有するタイヤを得ることが可能になる。有利にも、高い作業上の自由度が得られ、実際上、構築されるタイヤの取付径、ストリップ状要素の傾斜角、及びストリップ状要素の円周方向の長さに応じて、毎度様々なストリップ状要素間の距離を選択することが可能であり、そのような距離は、同じ幅及び長さを有し、連結端部が重ならず、互いから等間隔に配置された、所定の整数個のストリップ状要素を常に置くことができるように選択される。従って、構築されるタイヤの取付径、ストリップ状要素の傾斜角、及びストリップ状要素の円周方向の長さに関係なく、均一で平らなベルト層を構築することが常に可能である。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトに置くことは、前記第1のコンベアベルトによって前記ストリップ状要素に磁気的な引付け力を作用させることを含む。
【0037】
前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに置くことは、前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトによって前記ストリップ状要素に磁気的な引付け力を作用させることを含むのが好ましい。
【0038】
このようにして、前記ストリップ状要素によって形成されるベルト層の品質及び均一性にとって有利なように、それぞれのコンベアベルト上でのストリップ状要素の安定した配置を保証することが可能である。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、前記ストリップ状要素をそれぞれ前記第1のコンベアベルト及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移すことは、前記第1の成形支持体によって前記ストリップ状要素に磁気的な引付け力を作用させることを含む。有利にも、そのような条件により、構築されるベルト構造体の品質及び均一性にとって有利なように、前記第1の成形支持体上でのストリップ状要素の安定した配置を行うことが可能になる。
【0040】
前記第1の成形支持体によって前記ストリップ状要素に作用する磁気的な引付け力は、前記第1のコンベアベルトによって前記ストリップ状要素に作用する磁気的な引付け力よりも大きいのが好ましい。
【0041】
前記第1の成形支持体によって前記ストリップ状要素に作用する磁気的な引付け力は、前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトによって前記ストリップ状要素に作用する磁気的な引付け力よりも大きいのが好ましい。
【0042】
このようにして、それぞれのコンベアベルトから第1の成形支持体へのストリップ状要素の効果的な移動が行われ、結果として、時間及びストリップ状要素の位置の精度の両方に関して利益が得られる。
【0043】
前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移すことは、前記第1のコンベアベルトの進行速度に等しい周速で前記第1の成形支持体を回転させることを含むのが好ましい。
【0044】
前記ストリップ状要素をそれぞれ前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移すことは、前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトの進行速度に等しい周速で前記第1の成形支持体を回転させることを含むのが好ましい。
【0045】
有利にも、そのような条件により、それぞれのコンベアベルトから第1の成形支持体へのストリップ状要素の効果的な移動が確実になる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、前記ベルト構造体を構築することは、
−第1の強化型バンド状要素を前記第1のコンベアベルトに近接して配置されたそれぞれの切断部材まで送ることと、
−前記ストリップ状要素を形成するために、前記第1の強化型バンド状要素を所定の寸法に繰り返して切断することと、
−各前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトに順次移すことと、
を更に含む。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、前記ベルト構造体を構築することは、
−少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに近接して配置されたそれぞれの切断部材まで送ることと、
−前記ストリップ状要素を形成するために、前記少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素を所定の寸法に繰り返して切断することと、
−各前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに順次移すことと、
を更に含む。
【0048】
前記少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトまで送ることは、その少なくとも一部が、前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトに置くことの少なくとも一部と同時に行われるのが好ましい。従って、ベルト構造体を構築するのに必要とされる全体時間の更に大きな短縮を達成することが可能である。
【0049】
各前記ストリップ状要素を第1のコンベアベルトに順次移すことは、それぞれの把持部材によって前記ストリップ状要素に磁気的な引付け力を作用させることを含むのが好ましい。
【0050】
各前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに順次移すことは、それぞれの把持部材によって前記ストリップ状要素に磁気的な引付け力を作用させることを含むのが好ましい。
【0051】
有利にも、このようにして、ストリップ要素の移動中及びそれぞれのコンベアベルトに置く時点まで、ストリップ状要素を安定して、かつ効果的に把持することが可能である。
【0052】
前記第1のコンベアベルトによって前記ストリップ状要素に作用する磁気的な引付け力は、前記それぞれの把持部材によって前記ストリップ状要素に作用する磁気的な引付け力よりも大きいのが好ましい。
【0053】
前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトによって前記ストリップ状要素に作用する磁気的な引付け力は、前記それぞれの把持部材によって前記ストリップ状要素に作用する磁気的な引付け力よりも強力であるのが好ましい。
【0054】
このようにして、把持部材からそれぞれのコンベアベルトへのストリップ状要素の効果的な移動が行われ、結果として、時間及びストリップ状要素の位置の精度の両方に関して利益が得られる。
【0055】
前記ベルト構造体を構築することは、前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移した後、前記ストリップ状要素を前記第1の成形支持体に押し付けることを更に含むのが好ましい。
【0056】
前記ベルト構造体を構築することは、前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移した後、前記ストリップ状要素を前記第1の成形支持体に押し付けることを更に含むのが好ましい。
【0057】
有利にも、第1の成形支持体上でのストリップ状要素の押し固め効果(compacting effect)がこうして得られ、第1のベルト層が第1の成形支持体上で、及び第2のベルト層が第1のベルト層上で、所望通りに強化される。
【0058】
前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移すのは、前記ストリップ状要素が、前記第1の成形支持体及び前記第1のコンベアベルトと接触する位置に達したときにのみ始まるのが好ましい。
【0059】
前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移すのは、前記ストリップ状要素が、前記第1の成形支持体及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトと接触する位置に達したときにのみ始まるのが好ましい。
【0060】
有利にも、そのような条件により、それぞれのコンベアベルトから第1の成形支持体へのストリップ状要素の正確な移動が、従って、第1の成形支持体上でのストリップ状要素の正確な配置が確実になる。実際上、ストリップ状要素は、第1の成形支持体と接触した状態になる一方で、それでもなお、それぞれのコンベアベルト上に安定して配置され、それにより、コンベアベルトから第1の成形支持体への移動中に、ストリップ状要素の正確な位置が損なわれるのを防止する。
【0061】
前記ベルト構造体を構築することは、前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトに置いた後、かつ前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移す前に、エラストマー材料でできた1対の細長い要素を、それぞれが前記ストリップ状要素のそれぞれの端部部分に部分的に重なるような位置で、前記第1のコンベアベルトに置くことを更に含むのが好ましい。
【0062】
有利にも、前記細長い要素は、一部のタイプのタイヤに一般的に設けられるアンダーベルト挿入物を形成する。更にいっそう有利なことに、前記細長い要素をコンベアベルトに置くことで、ストリップ状要素の自由端がそれぞれのコンベアベルトの表面と接触した状態を保つことが可能になる。そうしない場合、そのような自由端は、中に設けられた金属コードの内部張力の効果によって持ち上がる傾向があり、その後、第1の成形支持体に対して、ひいては構築されるタイヤに対して誤った向きをとる危険性がある。
【0063】
代替案として、細長い要素は、第1のコンベアベルトに置かれたストリップ状要素が第1の成形支持体に移される前に、第1の成形支持体上に直接置くことができる。
【0064】
本発明の第1の実施形態では、前記ベルト構造体を構築することは、前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移す前に、前記第1の成形支持体を第1の作動径に設定し、前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移した後、所定の軸方向湾曲プロファイルを保持しながら、前記第1の成形支持体を、前記第1の作動径よりも大きい第2の作動径まで半径方向に拡張することを含む。こうして、ベルト構造体の所望の形状が得られる。
【0065】
本発明の代替の実施形態では、前記ベルト構造体を構築することは、前記ストリップ状要素を前記第1のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移す前に、前記第1の成形支持体を第1の軸方向湾曲プロファイルに設定し、前記ストリップ状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトから前記第1の成形支持体に移した後、前記第1の成形支持体を、前記第1の軸方向湾曲プロファイルと異なる第2の軸方向湾曲プロファイルに成形することを含む。こうして、ストリップ状要素のコンベアベルトからの移動時にとられる湾曲プロファイルに関係なく、ベルト構造体の所望の形状が得られる。
【0066】
前記ベルト構造体を構築することは、前記第1の成形支持体の前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに向かう移動が始まった時点で、更なる成形支持体を前記第1のコンベアベルトまで移動させることを含むのが好ましい。有利にも、もう1つの成形支持体は、ストリップ状要素を受け取った後、前記コンベアベルトから離れるので、そのような装置により、コンベアベルトの位置に1つの成形支持体を有することが可能になる。こうして、プロセス及び設定時間が有利に短縮される。
【0067】
好ましくは、前記ストリップ状要素は、約10mm〜約60mm、更により好ましくは約20mm〜約50mmの横方向寸法を有する。本出願人は、前記の寸法が、ストリップ状要素の配置速度と配置精度との間の適切な妥協点を得るために最適であると気づいた。
【0068】
前記第1の移動装置は、前記第1の成形支持体用の把持ユニットを含み、前記把持ユニットは、第1のほぼ水平な方向及び第2のほぼ垂直な方向に沿って移動可能であるのが好ましい。
【0069】
有利にも、把持ユニットの水平及び垂直移動は、第1の成形支持体が、各コンベアベルトにおいて、ストリップ状要素のコンベアベルトから第1の成形支持体への正確な移動を可能にする最も適切な位置に配置されるのを可能にする。
【0070】
クラウン構造体構築ラインは、保管ステーションからの前記第1の成形支持体の取り出し位置と、前記第1の成形支持体が前記移動装置に移される作業位置との間を移動可能な取扱装置を更に含むのが好ましい。
【0071】
各前記第1の配置装置及び少なくとも1つの第2の配置装置は、前記ストリップ状要素のそれぞれの把持部材を含み、前記それぞれの把持部材は、前記ストリップ状要素がピックアップされる第1の作業位置と、前記ストリップ状要素が、それぞれ前記第1のコンベアベルト及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに置かれる第2の作業位置との間を移動可能であるのが好ましい。
【0072】
本発明の好ましい実施形態では、前記把持部材は、前記ストリップ状要素の少なくとも1つの保持要素を含む。
【0073】
前記保持要素は、少なくとも1つの磁気要素または装置を含むのが好ましい。有利にも、前記磁気要素は、それぞれのコンベアベルトに向かうストリップ状要素の移動中及びそのようなコンベアベルトにストリップ状要素を置く時点までストリップ状要素を保持する。
【0074】
前記把持部材は、前記ストリップ状要素の支持要素を含むのが好ましい。有利にも、支持要素は、それぞれのコンベアベルトに向かうストリップ状要素の移動中に、保持要素に対して対向する側でストリップ状要素を支持し、保持要素と協働する。
【0075】
前記保持要素及び前記支持要素は、回転軸に対して回転移動可能であるのが好ましい。このようにして、それぞれのコンベアベルト上で個々のストリップ状要素の把持及び同要素の解放を共に行うことが可能である。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、前記第1のコンベアベルトは、少なくとも1つのそれぞれの表面部分に少なくとも1つのそれぞれの磁気要素または装置を含む。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトは、少なくとも1つのそれぞれの表面部分に、少なくとも1つのそれぞれの磁気要素または装置を含む。
【0078】
前記磁気要素は、それぞれのコンベアベルトの全表面下で、またはストリップ状要素が置かれる表面部分だけで、好ましくは均等に分散することができる。
【0079】
本発明の好ましい実施形態では、前記磁気要素は電磁石を含むが、代替案として、永久磁石を使用することもできる。
【0080】
本発明の一部の実施形態では、前記磁気要素は、第1のコンベアベルトの第1の成形支持体から離れた部分に複数の永久磁石を含み、第2のコンベアベルトの第1の成形支持体に近接した部分に複数の電磁石を含むか、またはその逆である。
【0081】
前記第1の成形支持体は、その少なくとも1つの表面部分に少なくとも1つの磁気要素または装置を含むのが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、前記磁気要素は永久磁石を含むが、代替案として、電磁石を使用することもできる。
【0082】
コンベアベルト及び/または第1の成形支持体で使用される磁気要素の特定のタイプに関係なく、有利にも、前記磁気要素により、ストリップ状要素が、それぞれのコンベアベルト及び/または第1の成形支持体に安定して配置されるのが可能になる。
【0083】
本発明の好ましい実施形態では、クラウン構造体構築ラインは、
−第1の強化型バンド状要素を前記第1のコンベアベルトの近くに送る第1の装置と、
−前記第1の強化型バンド状要素の第1の切断部材と、
を更に含む。
【0084】
こうして、第1のベルト層を形成するストリップ状要素を得ることができる。
【0085】
好ましくは、クラウン構造体構築ラインは、
−少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素を前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトの近くに送る少なくとも1つの第2の装置と、
−前記少なくとも1つの第2の強化型バンド状要素の少なくとも1つの第2の切断部材と、
を更に含む。
【0086】
こうして、第2のベルト層を形成するストリップ状要素を得ることができる。
【0087】
クラウン構造体構築ラインは、前記第1のコンベアベルトに関連付けられ、前記第1の成形支持体が前記第1の作業位置にある場合に、前記第1の成形支持体に押し力を作用させるように構成された少なくとも1つの第1の押圧部材を更に含むのが好ましい。そのような押圧部材は、第1のベルト層を形成するストリップ状要素の第1の成形支持体に対して押し固め動作を行う。
【0088】
クラウン構造体構築ラインは、前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに関連付けられ、前記第1の成形支持体が前記少なくとも1つの第2の作業位置にある場合に、前記第1の成形支持体に押し力を作用させるように構成された少なくとも1つの第2の押圧部材を更に含むのが好ましい。そのような押圧部材は、第2のベルト層を形成するストリップ状要素の第1の成形支持体に対して押し固め動作を行う。
【0089】
前記第1の成形支持体が、それぞれ前記第1の作業位置及び前記少なくとも1つの第2の作業位置にある場合に、前記第1の押圧部材及び少なくとも1つの第2の押圧部材は、前記ストリップ状要素の進行方向に関して前記第1の成形支持体の下流に配置されたベルト部分で、それぞれ前記第1のコンベアベルト及び前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに関連付けられるのが好ましい。
【0090】
少なくとも1つの第1のコントラストローラが、前記第1のコンベアベルトに対接して作用するのが好ましい。
【0091】
前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに対接して作用する少なくとも1つの第2のコントラストローラが設けられるのが好ましい。
【0092】
前記第1の成形支持体が、前記第1の作業位置にある場合に、前記少なくとも1つの第1のコントラストローラは、前記ストリップ状要素の進行方向に関して前記第1の成形支持体の上流に配置されたベルト部分で、前記第1のコンベアベルトに関連付けられるのが好ましい。
【0093】
前記第1の成形支持体が、前記少なくとも1つの第2の作業位置にある場合に、前記少なくとも1つの第2のコントラストローラは、前記ストリップ状要素の進行方向に関して前記第1の成形支持体の上流に配置されたベルト部分で、前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに関連付けられるのが好ましい。
【0094】
有利にも、前記コントラストローラは、ストリップ状要素をそれぞれのコンベアベルト上に保持し、コンベアベルトに移すのに最適と考えられる位置に達する前に、ストリップ状要素が、第1の成形支持体が作用させる磁気的な力の効果によって移動するのを防止する。
【0095】
前記第1の作業位置において、前記第1の成形支持体は、前記第1のコンベアベルトに置かれた前記ストリップ状要素と接触した状態になるような高さで、前記第1のコンベアベルトの上に配置されるのが好ましい。
【0096】
前記少なくとも1つの第2の作業位置において、前記第1の成形支持体は、前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトに置かれた前記ストリップ状要素と接触した状態になるような高さで、前記少なくとも1つの第2のコンベアベルトの上に配置されるのが好ましい。
【0097】
有利にも、各コンベアベルトから第1の成形支持体へのストリップ状要素の最適な移動位置がそれによって画定される。
【0098】
本発明の第1の実施形態では、クラウン構造体構築ラインは、エラストマー材料でできた1対の細長い要素を前記第1の成形支持体に置くための配置装置を更に含む。前記装置によって、前記アンダーベルト挿入物を第1の成形支持体に直接置くようにすることが可能になる。
【0099】
本発明の代替の実施形態では、クラウン構造体構築ラインは、エラストマー材料でできた1対の細長い要素を前記第1のコンベアベルトに置くための配置装置を更に含む。前記装置によって、有利にも、上記のアンダーベルト挿入物を第1のコンベアベルトに置き、次いで、そのようなアンダーベルト挿入物をストリップ状要素と共に第1の成形支持体に移すようにすることが可能になる。
【0100】
前記配置装置は、前記第1のコンベアベルトの上に配置された1対の供給リールを含むのが好ましい。
【0101】
好ましくは、各供給リールは、前記第1のコンベアベルトの進行速度に等しい周速でそれぞれの軸のまわりに回転可能である。そのような条件により、ストリップ状要素が第1の成形支持体に移される前に、アンダーベルト挿入物をストリップ状要素の自由端に置くことが可能になる。
【0102】
本発明の第1の実施形態では、前記第1の成形支持体は、所定の軸方向湾曲プロファイルを有する。
【0103】
本発明の代替の実施形態では、前記第1の成形支持体は、可変の軸方向湾曲プロファイルを有する。そのような成形支持体は、有利にも、ストリップ状要素のコンベアベルトからの移動時にとられる湾曲プロファイルに関係なく、所望の湾曲プロファイルで成形することができる。
【0104】
好ましくは、クラウン構造体構築ラインは、
−更なる成形支持体と、
−前記第1の作業位置と前記少なくとも1つの第2の作業位置との間で前記更なる成形支持体を移動させる更なる装置と、
−前記保管ステーションと、前記更なる成形支持体が前記更なる移動装置に移される作業位置との間で移動可能な更なる取扱装置と、
を更に含む。
【0105】
前記取扱装置は、ロボットアームを含むのが好ましい。
【0106】
本発明の更なる特徴及び利点が、添付の図面を参照してなされる、本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明から更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による方法が実施される、車両ホイール用のタイヤを構築するためのプラントの概略的な配置図を示している。
【
図2】あり得る待機位置にある
図1のプラントの一部分の概略的な平面図である。
【
図3】作業形態にある
図2のプラントの一部分の概略的な側面図である。
【
図4a】次の作業形態にある、上から見た
図2のプラントの一部分を示している。
【
図4b】次の作業形態にある、上から見た
図2のプラントの一部分を示している。
【
図4c】次の作業形態にある、上から見た
図2のプラントの一部分を示している。
【
図4d】次の作業形態にある、上から見た
図2のプラントの一部分を示している。
【
図5】作業形態にある
図2のプラントの一部分の細部の概略的な側面図である。
【
図6】本発明による、車両ホイール用のタイヤを構築するプラントの代替実施形態の技術的細部の概略的な斜視図を示している。
【
図7】
図6のプラントの実施形態の更なる技術的細部の概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0108】
図1を参照すると、参照数字1は、本発明の好ましい実施形態による、車両ホイール用のタイヤを構築するためのプラントを全体として示している。そのようなプラントは、本発明による、タイヤを構築する方法の好ましい実施形態を実施することを可能にする。
【0109】
プラント1は、少なくとも1つの第1の成形支持体100を使用するクラウン構造体構築ライン4と、少なくとも1つの第2の成形支持体3を使用するカーカス構造体構築ライン2とを含む。
【0110】
クラウン構造体構築ライン4は、複数のワークステーション(図示せず)、及び第1の成形支持体100を移送するように構成された少なくとも1つの第2の取扱装置(どれも図示せず)を含み、対応するクラウン構造体が、第1のワークステーションから前記複数のワークステーションのうちの別のワークステーションまで第1の成形支持体100に関連付けられて形成される。
【0111】
カーカス構造体構築ライン2は、複数のワークステーション(図示せず)、及び第2の成形支持体3を移送するように構成された少なくとも1つの第3の取扱装置(どれも図示せず)を含み、対応するカーカス構造体が、第1のワークステーションから前記複数のワークステーションのうちの別のワークステーションまで第2の成形支持体3に関連付けられて形成される。
【0112】
プラント1は、クラウン構造体構築ライン4で構築されたクラウン構造体が、カーカス構造体構築ライン2で構築されたカーカス構造体に対して半径方向外側の位置で、好ましくは第2の成形支持体3に取り付けられる組み立てステーション5を更に含む。
【0113】
前記カーカス構造体構築ライン2、クラウン構造体構築ライン4、及び組み立てステーション5は、例えば、同出願人による文献、国際公開第2010/070374号に記載したタイプのものである。
【0114】
プラント1は、組み立てステーション5で組み立てられたタイヤが、所望のトレッドパターン及び幾何形状に従ってタイヤの構造を規定するように構成されたモールド及び加硫プロセスを行うために送られる加硫ライン6を更に含む。
【0115】
プラント1は、例えば、前記文献、国際公開第2010/070374号で説明されているように、適切な基本構成要素供給ステーションからカーカス構造体構築ライン2及び/またはクラウン構造体構築ライン4に供給されるように構成された基本構成要素を用意するラインを更に含むことができる。
【0116】
第2の成形支持体3及び/または第1の成形支持体100の寸法を調整する装置をプラント1に更に設けることができる。
【0117】
クラウン構造体構築ライン4内で第1の成形支持体100(またはそのような形成支持体に前もって置かれた何らかの半完成品)上に構築されたクラウン構造体は、第1のベルト層50aと第1のベルト層50aに対して半径方向外側位置に配置された第2のベルト層50bとによって画定されるベルト構造体50(
図4d)を含む。
【0118】
第1のベルト層50aは、互いから所定の距離で円周方向に沿って連続して配置された所定の数量のストリップ状要素51aを含み、各ストリップ状要素51aは、好ましくは円周方向に対して所定の第1の角度だけ傾斜した方向に沿って、長手方向に配置される(
図4c)。図を明瞭にするために、添付の図面において、参照数字51aは、示したストリップ状要素の一部だけに付けられている。
【0119】
好ましくは、前記ストリップ状要素51aは、約10mm〜約60mm、更により好ましくは約20mm〜50mmの横方向寸法(または幅)Lを有する(
図5及び
図6)。
【0120】
同様に、ベルト層50bは、互いから所定の距離で円周方向に沿って連続して配置された所定の数量のストリップ状要素51bを含み、各ストリップ状要素51bは、好ましくは円周方向に対して所定の第2の角度だけ傾斜した方向に沿って、長手方向に配置される。前記第2の角度は、前記第1の成形支持体100の赤道面(この場合、第1の成形支持体100の回転軸を含む任意の平面)に関して、ベルト層50bのストリップ状要素51bが、ベルト層50aストリップ状要素51aに対して対称に配置されるベルト構造体50を規定するように、前記第1の角度と反対であるのが好ましい。言い換えると、ベルト構造体50は、ストリップ状要素51a、51bが全体的に交差する向きに従って配置された形で得られる(
図4c及び
図4d)。図を明瞭にするために、添付の図面において、参照数字51bは、示したストリップ状要素の一部だけに付けられている。
【0121】
ストリップ状要素51bは、ストリップ状要素51aと同じ寸法及び形状を有するのが好ましい。
【0122】
図2に詳細に示すように、クラウン構造体構築ライン4は、上記のベルト構造体50が構築されるステーション10を含む。
【0123】
そのようなステーション10は、方向xに対して平行に向けられた第1のコンベアベルト11aと、第1のコンベアベルト11aに対して平行に配置された第2のコンベアベルト11bとを含む。下記に更によく説明するように、コンベアベルト11a、11bは、それぞれストリップ状要素51a、51bを受け取り、次いで、第1の成形支持体100上にベルト層50a、50b、ひいてはベルト構造体50を形成するように、ストリップ状要素51a、51bを第1の成形支持体100に移すことを意図されている。
【0124】
各コンベアベルト11a、11bは、1対の横材によって地面に連結されたそれぞれの支持フレーム110a、110bを含む。
図3は、コンベアベルト11aの横材を示しており、そのような横材は111aで示されている。
【0125】
第1の成形支持体100は、適切な把持ユニットの1対の対向アーム12上の回転軸Rに回転可能に取り付けられ、把持ユニットは、本明細書で示す実施形態では、地面と一体化した1対のスライドガイド14にスライド可能に連結された担体13を含む。スライドガイド14は、方向xに垂直な方向yに沿って配置されている。
【0126】
アーム12及び担体13からなるアセンブリは、第1の成形支持体100の第1の移動装置15を形成している。そのような第1の移動装置15は、動作時、第1の成形支持体100がコンベアベルト11aに配置される第1の作業位置(
図3及び
図4b)と、第1の成形支持体100がコンベアベルト11bに配置される第2の作業位置(
図4c)との間で第1の成形支持体100を移動させる。
【0127】
図3に示すように、アーム12は、方向x、yに垂直な方向zに沿って担体13に対して移動可能である。そのような移動は、アーム12と担体13との間に動作可能に挟まれた持ち上げ部材16が行う推進動作の効果によって生じる。
【0128】
従って、第1の成形支持体100は、回転軸Rのまわりに回転し、互いに対して垂直な2つの水平方向x、y、及び垂直方向zに沿って移動することができる。
【0129】
特に、垂直移動により、第1の成形支持体100が、コンベアベルト11a、11bよりも上で、そのようなコンベアベルトに前もって置かれたストリップ状要素51a、51bに接して配置されるのが可能になる。このようにして、ストリップ状要素51a、51bは、まだコンベアベルト11a、11bの上側面と接触しているときに、第1の成形支持体100と接触した状態になる。
【0130】
第1の成形支持体100は、異なる直径のベルト構造体50が構築されるのを可能にするために、半径方向に拡張可能/縮小可能であるのが好ましい。本明細書に示した実施形態では、第1の成形支持体100は、所定の軸方向湾曲プロファイル、特に、本明細書に示した事例では円筒形プロファイルを有する。
【0131】
代替の実施形態では(図示せず)、第1の成形支持体100は、可変の軸方向湾曲プロファイルを有し、従って、円筒形プロファイルとは異なる形状をとることができる。
【0132】
図3及び
図7に概略的に示すように、第1の成形支持体100は、円周方向に沿って連続して、好ましくは互いから等間隔に配置された複数の磁気要素または装置101を含む。
【0133】
図を明瞭にするために、添付の図面において、参照数字101は、前記磁気要素/装置の一部だけに取り付けられている。
【0134】
磁気要素101は、第1の成形支持体100の全円周面に沿って分散し、ストリップ状要素51aの幅と少なくとも等しいか、または近い軸方向伸張部を有する永久磁石で形成されるのが好ましい。
【0135】
構築ステーション10は、第1の成形支持体100を第1の
移動装置15の位置に移動させ、第1の成形支持体100を第1の
移動装置15に移すために、前記第1の成形支持体100を保管ステーションから取り出すように構成された取扱装置(例えば、ロボットアーム、添付図面には示していない)を更に含む。
【0136】
図2及び
図3を参照すると、各コンベアベルト11a、11bは、第1の成形支持体100に近い端部部分にそれぞれのコントラストローラ17a、17bを含み、コンベアベルト11a、11bの進行方向Aに関して前記コントラストローラ17a、17bの下流にそれぞれの押圧部材18a、18bを含む。
【0137】
各コントラストローラ17a、17bは、方向zに関してコンベアベルト11a、11bより上に配置され、第1の成形支持体100がそれぞれのコンベアベルト11a、11bに配置された場合に、コンベアベルト11a、11bの進行方向Aに関して前記第1の成形支持体100の上流にあるそれぞれのベルト部分でそれぞれのコンベアベルト11a、11bに関連付けられている。動作時、各コントラストローラ17a、17bは、各それぞれのストリップ状要素51a、51bをそれぞれのコンベアベルト11a、11bの上側面に当てて保持する。
【0138】
各押圧部材18a、18bは、方向zに関してコンベアベルト11a、11bより上に配置され、第1の成形支持体100がそれぞれのコンベアベルト11a、11bに配置された場合に、コンベアベルト11a、11bの進行方向Aに関して前記第1の成形支持体100の下流にあるそれぞれのベルト部分でそれぞれのコンベアベルト11a、11bに関連付けられている。動作時、押圧部材18a、18bは、
図3に明瞭に示すように、第1の成形支持体100を押すように作用する。このために、本明細書に示す特定の実施形態では、各押圧部材18a、18bは、適切な弾性押付要素(図示せず)を介在させてコンベアベルト11a、11bの支持フレーム110a、110bに回転可能に関連付けられた1対のアーム20a、20bに同様に回転可能に関連付けられたローラ19a、19bによって形成されている。
【0139】
コンベアベルト11aに関して本明細書で述べたことは、別途明確に示されない限り、コンベアベルト11bにも同様に当てはまる。
【0140】
再度
図3を参照すると、コンベアベルト11aは、方向xに沿って連続的に、好ましくは互いから等間隔に配置された複数の磁気要素または装置22aを含む。
【0141】
図を明瞭にするために、添付の図面において、参照数字22aは、前記磁気要素/装置の一部だけに取り付けられている。
【0142】
磁気要素22aは、コンベアベルト11aの全表面に沿って分散するのが好ましい。
【0143】
前記磁気要素22aは、電磁石によって形成されるのが好ましい。
【0144】
コンベアベルト11aの前記磁気要素22a及び第1の成形支持体100の磁気要素101は、磁気要素22aによってストリップ状要素51aに作用する磁気的な引付け力が、磁気要素101によって作用する引付け力よりも小さいように選択または設定される。これは、磁気的な引付け力による、コンベアベルト11aから第1の成形支持体100へのストリップ状要素51aの移動を可能にするためである。
【0145】
コントラストローラ17aがあるために、そのような移動は、方向Aに沿った移動において、各ストリップ状要素51aが前記コントラストローラ17aを越えた後に行われる。
【0146】
代替案として(図に示していない問題解決策)、磁気要素/装置(または電磁石)は常置型であり、コンベアベルト11aの下に配置することができる。
【0147】
そのような代替案では、ストリップ要素51aの配置領域で、コンベアベルト11aの下に配置された磁気要素が高い引付け力を有することは特に有益である。
【0148】
ストリップ状要素51aがコンベアベルト11aにすでに配置されている場合、下流に配置された磁気要素は、ストリップ状要素51aを所定の位置に保持しさえすればよく、従って、磁気要素は最小の引付け力を有して、ストリップ状要素51aが第1の成形支持体100と接触したときに、ストリップ状要素51aは、コンベアベルト11aから第1の成形支持体100に容易に移ることができる。
【0149】
図3に示すように、構築ステーション10は、ストリップ状要素51aをコンベアベルト11aに置く配置装置30aを含む。同様の配置装置(図示せず)が、ストリップ状要素51bをコンベアベルト11bに置くために設けられる。
【0150】
下記に更によく説明するように、ストリップ状要素51aは、コンベアベルト11aに適切に送られる強化型バンド状要素を所定の寸法に繰り返して切断することで得られる。同様に、ストリップ状要素51bは、コンベアベルト11bに適切に送られる強化型バンド状要素(図示せず)を所定の寸法に繰り返して切断することで得られる。
【0151】
前記強化型バンド状要素は、同じ幅及び厚さを有するのが好ましい。各強化型バンド状要素は、エラストマー材料の母材に埋設された金属材料からなる少なくとも2つの補強コード(図示せず)を含むのが好ましい。そのような補強コード6は、それぞれの強化型バンド状要素の長手方向伸張部の方向に沿って互いに平行に延びる。
【0152】
ストリップ状要素51aを形成し、ストリップ状要素をコンベアベルト11aに置くように構成された装置の組立品について下記に詳細に説明する。ストリップ状要素51bを形成し、ストリップ状要素をコンベアベルト11bに置くために、同様の装置の組立品がコンベアベルト11bに設けられる。
【0153】
図3を参照すると、強化型バンド状要素52aは、フェストゥーン53aに集められ、送り方向A’に関してフェストゥーン53aの下流に配置された適切な送り装置30aにより、送り方向A’に沿ってコンベアベルト11aに向かって送られる。
【0154】
再度、強化型バンド状要素52aの送り方向A’に関してフェストゥーン53aの上流で、構築ステーション10は、例えば、引き抜き及び/またはカレンダ装置(図示せず)などの、強化型バンド状要素52aのライン内下加工を行うための装置を含むのが好ましい。代替案として、強化型バンド状要素52aはリールから引き出される。有利にも、この問題解決策の場合、コンベアベルト11a、11bを同時に送ることが可能である。
【0155】
強化型バンド状要素52aの所定の充填速度を保証するように、モータユニット(図示せず)が、フェストゥーン53a内の強化型バンド状要素52aの貯蔵を制御するのが好ましく、そのような速度は、フェストゥーン53aからの強化型バンド状要素52aの平均取り出し速度に応じて選択される。
【0156】
送り装置30aは、強化型バンド状要素52aの前送りユニット31a及び引張り装置32aを含むのが好ましい。前送りユニット31aは、フェストゥーン53aから強化型バンド状要素52aの一部分を取り出すように構成され、一方、引張り装置32aは、所定の前送りピッチで前送りユニット31aから強化型バンド状要素52aを引き寄せるように構成されている。
【0157】
本明細書に示す特定の実施形態では、引張り装置32aは、前送りユニット31aから出た強化型バンド状要素52aの先端部を把持し、そのような先端部を所定の前送りピッチで引き寄せるように構成された空気式クランプ33aを含む。そのような前送りピッチは、ストリップ状要素51aの幅L(
図6)に相当する強化型バンド状要素52aの切断長さを画定する。切断長さは、第1の成形支持体100の直径、及び構築されるタイヤのタイプに応じて調整可能である。
【0158】
切断部材35aが、前送りユニット31aとクランプ33aとの間に設けられている。切断部材35aは、所定の数量のストリップ状要素51aを連続的に得るために、強化型バンド状要素52aを所定の寸法に切断する連続動作を行うように構成されている。
【0159】
切断部材35aは、強化型バンド状要素52aの配置面で、強化型バンド状要素52aの進行方向A’との所定の切断角を規定する切断方向に沿って、所定の切断頻度で強化型バンド状要素52aに作用する。
【0160】
本発明の好ましい実施形態では、切断角は、ゼロを超える値、好ましくは約15°〜約90°の値、より好ましくは約18°〜約50°の値に設定される。
【0161】
切断部材35aは、互いに向かって移動することを意図された、それぞれ上側及び下側の1対のブレード36aを含むのが好ましい。
【0162】
切断部材35aは、強化型バンド状要素52aが様々な角度で切断されるのを可能にするために、全体として回転軸のまわりに回転することができる。
【0163】
切断部材35aは更に、強化型バンド状要素52aの切断される部分の長さに応じて、前送りユニット31aに対して可変の距離に配置することができる。
【0164】
スクラップ廃棄ユニット(図示せず)は、切断部材35aに設けられる。そのような廃棄ユニットは、切断角の変化から生じた、及び切断部材35aの上流に配置されたセンサによって検出された強化型バンド状要素52aの任意の非適合部分から生じた強化型バンド状要素52aのスクラップを除去し、そのスクラップをオペレータが容易に利用できる適切な収集容器に排出する働きをする。前記廃棄ユニットは、切断部材35aを所定の位置に設定すると同時にスクラップが排出されるのを可能にするために、切断部材35aと一体である。
【0165】
切断部材35aの下流、即ち、切断部材35aとコンベアベルト11aとの間に、強化型バンド状要素52aから所定の寸法に切断されたストリップ状要素51aをコンベアベルト11aに置くための装置40aが設けられている。
【0166】
配置装置40aは、強化型バンド状要素52aのうちのクランプ33aによって引っ張られる、切断部材35aの下流に配置された、ストリップ状要素51aを画定する部分の把持部材41aを含む。
【0167】
把持部材41aは、切断部材35aの位置で規定される第1の作業位置と、コンベアベルト11aの位置で規定される第2の作業位置との間を移動することができる。前記第1の作業位置では、把持部材41aは、強化型バンド状要素52aから所定の寸法に切断されたストリップ状要素51aをピックアップし、前記第2の作業位置では、把持部材は、ストリップ状要素51aをコンベアベルト11aに置く。
【0168】
把持部材41aの好ましい実施形態が、
図5に更によく示されている。
【0169】
把持部材41aは、ストリップ状要素51aの保持要素42a及びストリップ状要素51aの支持要素43aを含むのが好ましい。
【0170】
把持要素42aは、前記第1の作業位置と前記第2の作業位置との間での保持要素42aの移動中に、及びストリップ状要素51aをコンベアベルト11aに置く前に、ストリップ状要素51aを安定して保持するために、各ストリップ状要素51aの上側面に作用することを意図された磁気要素44a(好ましくは永久磁石、代替案として電磁石)を含むのが好ましい。前記保持は、前記磁気要素44aによってストリップ状要素51aの金属コードに作用する磁気的な引付け力の効果によって行われる。
【0171】
磁気要素44aは、磁気要素44aによってストリップ状要素51aに作用する磁気的な引付け力が、コンベアベルト11aの磁気要素22によって作用するものよりも小さいように選択または設定されて、磁気的な引付け力による、保持要素42aからコンベアベルト11aへのストリップ状要素51aの移動を可能にする。
【0172】
他方で、支持要素43aは、ストリップ状要素51aの下側面に作用し、コンベアベルト11aに向かうストリップ状要素の移動中に保持要素42aと協働する。
【0173】
保持要素42a及び支持要素43aは、回転軸Fで相互に軸支されて、各保持要素42a及び支持要素43aは、
図5に実線で示した把持位置と、
図5に破線で示したサービス位置との間で前記軸Fに対して回転することができる。
【0174】
前記把持位置に関連して、保持装置42aは、約0°〜約90°の角度だけ回転することができ、一方、支持装置43aは、約0°〜約180°の角度だけ回転することができるのが好ましい。
【0175】
動作時、保持要素42aは、コンベアベルト11aに向かうストリップ状要素51aの移動中に把持位置をとり、一方、切断部材35aの位置でストリップ状要素51aを把持する前に、及びストリップ状要素51aをコンベアベルト11aに置く前にサービス位置をとる。
【0176】
ストリップ状要素51aの廃棄ユニット(図示せず)は、把持部材41aの位置に設けられる。この廃棄ユニットは、コンベアベルト11a(ひいては第1の成形支持体100)に置くのに不適と考えられる任意のストリップ状要素51aを把持部材41aから取り出し、そのストリップ状要素をオペレータにとって容易に利用できる適切な容器に排出する働きをする。
【0177】
前記廃棄ユニットは、切断部材35aの上流で検出され、強化型バンド状要素52aの瞬間的な厚さを表す信号に従って、適切な制御装置(図示せず)によって制御される。廃棄ユニットは、例えば、エラストマー材料が蓄積したために、厚さの望ましくない変化が検出された場合に動作を開始する。
【0178】
図6及び
図7に示す本発明の特定の実施形態では、構築ステーション10はまた、好ましくはエラストマー材料からなる細長い要素71aを、すでにコンベアベルト11aに置かれたストリップ状要素51aの各端部部分に置くための装置70aを含む。そのような細長い要素71aは、構築されるタイヤ内にいわゆるアンダーベルト挿入物を形成することを意図されている。
【0179】
装置70aは、ストリップ状要素51aが置かれる部分とストリップ要素51aが第1の成形支持体100に移される部分との間のコンベアベルト11aの中間部分で動作する。
【0180】
好ましくは、各細長い要素71aは、約0.5mm〜約1.5mm、より好ましくは約1mmの厚さを有する。
【0181】
図6及び
図7に示すように、各細長い要素71aは、コンベアベルト11aの上側面の上に部分的に配置されるように、ストリップ状要素51aのそれぞれの端部部分に置かれている。ストリップ状要素51aが第1の成形支持体100に移されると、
図7に示すように、この場合に、各細長い要素71aは、第1の成形支持体100の表面とストリップ状要素51aの端部部分との間に部分的に挟まれている。
【0182】
図6の特定の実施形態では、装置70aは、コンベアベルト11aの上に配置された細長い要素を互いに対してずれた位置に供給するための1対のリール75aを含み、そのようなずれは、ストリップ状要素51aの切断角によって決まる。2つのリール75aの相対位置は、ストリップ状要素51aの幅及び切断角が変わるときに調整することができる。
【0183】
リール75aは、細長い要素71aをストリップ状要素51aの端部部分と接触させる、またはさせないように、コンベアベルト11aに向かって/から離れる方向にコンベアベルト11aの上を移動することができる支持要素(図示せず)に取り付けられる。
【0184】
リール75aは、コンベアベルト11aの進行速度と等しい周速でそれぞれの回転軸のまわりを回転するように制御され、こうして、細長い要素71aをストリップ状要素51aの端部部分と、コンベアベルト11aの隣接する表面とに供給する。
【0185】
代替案として、リール75aは軸上に配置され、時間をずらして回転駆動され、2つのリール75aの駆動間の時間差は、ストリップ状要素51aの切断角によって決まる。
【0186】
代替案として、リール75aは、コンベアベルト11aに対して進行方向Aと反対の方向に移動することができ、周速は、コンベアベルト11aの進行速度よりも大きい絶対値を有する。
【0187】
本発明の代替の実施形態が提供され、細長い要素71aは、第1のベルト層50aが成形支持体100上に構築される前に、成形支持体100に直接置かれる。
【0188】
図示しない本発明の特定の実施形態では、構築ステーション10は、上記の第1の成形支持体100と全く同じである更なる成形支持体を含む。そのような更なる成形支持体は、第1の成形支持体100がコンベアベルトから離れるとすぐに、各コンベアベルト11a、11bに配置されることを意図されている。
【0189】
このために、上記の第1の移動装置15と全く同じである更なる移動装置と、上記の取扱装置と全く同じである更なる取扱装置が設けられる。
【0190】
添付の図面を参照して、本発明による、車両ホイール用のタイヤを構築する方法の好ましい実施形態が以下に説明される。そのような方法は、上記のプラント1を用いて実施することができる。
【0191】
図1を参照すると、本発明の方法は、例えば、同出願人による文献、国際公開第2010/070374号に記載したものに従って、カーカス構造体構築ライン2に設けられた複数のワークステーション間で第2の成形支持体3を移動させることで、タイヤのカーカス構造体を構築し、クラウン構造体構築ライン4に設けられた複数のワークステーション間で第1の成形支持体100を移動させることで、タイヤのクラウン構造体を構築することを含む。
【0192】
次いで、カーカス構造体及びクラウン構造体は、組立ステーション5に送られ、クラウン構造体は、第2の成形支持体3上で、カーカス構造体に対して半径方向外側位置に移される。
【0193】
クラウン構造体を構築することには、ベルト構造体50を第1の成形支持体100上に構築し、次に、トレッドバンドをベルト構造体50に対して半径方向外側位置に組み込むことが含まれる。
【0194】
こうして組み立てられたタイヤは、次いで、加硫ライン6に送られ、この加硫ラインにおいて、タイヤは、所望のトレッドパターンでその最終形状をとる。
【0195】
ベルト構造体50を構築することは、第1のベルト層50aを第1の成形支持体100上に構築し、再度第1の成形支持体100上で、前記第1のベルト層50aに対して半径方向外側位置に第2のベルト層50bを構築することを含む。
【0196】
最初に第1のベルト層50を構築することは、プラント1を、構築されるタイヤの特徴に従って選択された所定の初期作業構成に設定することを含む。
【0197】
プラント1を設定することは、特に、上記の取扱装置によってそれぞれの保管ステーションから第1の成形支持体100を取り出し、次に、第1の成形支持体100を第1の移動装置15に取り付けることを含む。
【0198】
プラント1を設定することは、切断部材35aを所望の切断角で配置し、第1の成形支持体100を第1の作動径に設定し、前記作動径と、コンベアベルト11a、11bの高さと、ストリップ状要素51a、51bの厚さとに応じて、前記第1の成形支持体100を地面から所定の高さに配置することを更に含む。
【0199】
その後、第1の成形支持体100は、第1の移動装置15により、第1のコンベアベルト11aまで移動する。
図3に示すように、前記移動と同時に、強化型バンド状要素52aを送り方向A’に沿って送り、ストリップ状要素51aを形成するために、強化型バンド状要素52を所定の寸法に順次切断し、そのようなストリップ状要素51aを把持部材41aによりコンベアベルト11aに順次置くことが、上記移動と同時に行われる。
【0200】
図4aはまた、ストリップ状要素51bのコンベアベルト11b上への配置が上記の作業と同時に始まることを示している。そのようなストリップ状要素51bは、ストリップ状要素51a及び第1のコンベアベルト11aに関して本明細書で説明し、図示したものと全く同じ方法で、コンベアベルト11bの近くに送られたそれぞれの強化型バンド状要素から所定の寸法に切断される。
【0201】
図2に示すように、ストリップ状要素51aをコンベアベルト11aに置くには、強化型バンド状要素52aの先端部をクランプ33aで把持しなければならない。その後、クランプ33aは、強化型バンド状要素52aの先端部を送り方向A’に沿って所定の前送りピッチだけ引き寄せる。その間、切断部材34aのブレード36aは開いた位置にあり、把持部材41aの保持要素42aは、
図5に破線で示す位置にある。
【0202】
クランプ33aが、強化型バンド状要素52aの先端部を前記所定の前送りピッチだけ移動させると、把持部材41a及び切断部材35aは、
図3に示すそれぞれの位置に移動する。
【0203】
特に把持部材41aに関して、把持部材41aは、
図5に実線で適切に示す把持構成まで移動する。そのような作業構成では、ストリップ状要素51aは、磁気要素44aによってストリップ状要素51aに作用する磁気的な引付け力の効果によってピックアップされ、堅固に保持される。
【0204】
この時点で、強化型バンド状要素52aを切断し、次に、こうして形成されたストリップ状要素51aをコンベアベルト11aに向かう把持部材41aの移動によって第1のコンベアベルト11aに移し、次に、ストリップ状要素51aを前記コンベアベルト11aに置くことができる。
【0205】
ストリップ状要素51aをコンベアベルト11aに置く前に、支持要素43aは
図5に破線で示す位置に移動して、次にストリップ状要素51aをコンベアベルト11a上に解放するのを可能にする。そのような解放は、コンベアベルト11aの磁気要素22aによってストリップ状要素51aに作用する磁気的な引付け力の効果によって行われる。
【0206】
その間、コンベアベルト11aは方向xに沿って移動し、所定の数量のストリップ状要素51aをコンベアベルト11aに置くために、ストリップ状要素51aを所定の寸法に切断して配置する上記の作業が、所定の回数だけ繰り返される。各ストリップ状要素51aは、前もって置かれたストリップ状要素51aに対して所定の距離で置かれ、そのような距離は、ゼロと所定の値との間の範囲の値をとり、成形支持体の直径と、置かれるストリップ状要素51aの所定の数量とに応じて選択される。
【0207】
所定の寸法に切断し、ストリップ状要素51bをコンベアベルト11bに順次置く作業は、ストリップ状要素51a及びコンベアベルト11aに関して上記したものと全く同じである。
【0208】
第1の成形支持体100がコンベアベルト11aに配置されると、第1の成形支持体100は、その周速がコンベアベルト11aの進行速度と等しいように回転を制御される。
【0209】
図2及び
図4bに示すように、次いで、前もってコンベアベルト11aに置かれたストリップ状要素51aの各1つの第1の成形支持体100への移動が始まる。そのような移動は、第1の成形支持体100の磁気要素101によって各ストリップ状要素51aに作用する磁気的な引付け力の効果によって行われ、コントラストローラ17aを過ぎた各ストリップ状要素51aが、第1の成形支持体100の表面と接触したときに行われる。
【0210】
コンベアベルト11aから第1の成形支持体100へのストリップ状要素51aの移動中に、
図4bに示すように、ストリップ状要素51bをコンベアベルト11bに置くことが続行される。
【0211】
第1のストリップ状要素51aが成形支持体100に移されると、前記ストリップ状要素51a(及びすべての次のストリップ状要素51a)を成形支持体100に押し付けるために、押圧部材18aが作動する。
【0212】
コンベアベルト11aから第1の成形支持体100へのストリップ状要素51aの移動が完了し、ひいては、成形支持体100上での第1のベルト層50aの構築が完了すると、第1の成形支持体100をコンベアベルト11bまで移動させるように第1の移動装置15が制御される。
【0213】
そのような移動中に、
図4b及び
図4cに示すように、ストリップ状要素51bをコンベアベルト11bに置くことが続行される。
【0214】
図4cを参照して、第1の成形支持体100がコンベアベルト11bに到達すると、すでにコンベアベルト11bに置かれたストリップ状要素51bの前記第1の成形支持体100上への移動が行われる。そのような移動は、ストリップ状要素51a及びコンベアベルト11aに関して上記したものと全く同じ方法で行われる。
【0215】
この場合も同様に、第1のストリップ状要素51bが成形支持体100に移されると、前記ストリップ状要素51b(及びすべての次のストリップ状要素51b)を成形支持体100に押し付けるために、押圧部材18bが作動する。
【0216】
図4dに示すように、コンベアベルト11bから第1の成形支持体100へのストリップ状要素51bの移動が完了し、ひいては、前記第1の成形支持体100上で、第1のベルト層50aに対して半径方向外側位置への第2のベルト層50bの構築が完了すると、第1の成形支持体100を構築ステーション10の外に移動させるように第1の移動装置15が制御される。
【0217】
従って、第1の成形支持体100は、ベルト構造体50の所望の形状を得るために、必要に応じて、前記第1の作動径よりも大きい第2の作動径まで半径方向に拡張することができる。
【0218】
第1の成形支持体100が可変プロファイル型である場合、前記第1の成形支持体100は、最初に、第1の軸方向湾曲プロファイルに設定され、第1のベルト層50a及び第2のベルト層50bの構築が完了すると、第1の成形支持体100は、前記第1の軸方向湾曲プロファイルと異なる第2の軸方向湾曲プロファイルに成形される。
【0219】
図6及び
図7を参照して、本発明の方法の一実施形態では、コンベアベルト11aに置かれたストリップ状要素51aが、前記第1の成形支持体100に移される前に、細長い要素71aが、コンベアベルト11aに置かれたストリップ状要素51aの端部の各1つに置かれる。すでに述べたように、各細長い要素71aは、前記ストリップ状要素51aのそれぞれの端部部分に部分的に重なるような位置に置かれる。
【0220】
このために、供給リール75aは、ストリップ状要素51aの端部部分の上面と接触して移動し、コンベアベルト11aの進行速度に等しい周速で回転を制御され、こうして、細長い要素71aをストリップ状要素51aの端部部分と、コンベアベルト11aの隣接する表面とに供給する。
【0221】
構築ステーション10が、上記の第1の成形支持体100と全く同じである更なる成形支持体を含む場合、本発明の方法は、第1の成形支持体100が、コンベアベルト11aからストリップ状要素51aを受け取った後、コンベアベルト11bに向かって移動するときに、新たなベルト構造体の構築を進めるために、前記更なる成形支持体をコンベアベルト11aに移動させることを含む。次いで、方法は、第1の成形支持体100及びストリップ状要素51a、51bに関して上記したものと全く同じ方法で続く。
【0222】
上記の方法及びプラントは、同時に複数の作業を行うので、上記の方法及びプラントが、車両ホイール用のタイヤのベルト構造体を作製する全体的な時間を有利に短縮することを可能にするのは、上記の説明から明らかである。
【0223】
当然ながら、当業者は、特定の要求及び付帯要求を満たすために、上記に説明した本発明に対して更なる変更及び変形を行うことができ、これらの変更及び変形は、いかなる場合も、添付の特許請求の範囲で規定される保護の範囲内に入る。