【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、いくつかの実施形態において、再充電可能であり、他の亜鉛空気電池より長い寿命期間を示す、亜鉛空気電池を提供する。
【0009】
本発明は、いくつかの実施形態において、充電の際の亜鉛樹状結晶形成が亜鉛組込み電極と空気電極との間の平面に対して通常のそれとは異なる方向にある、3つの電極の再充電可能な亜鉛空気電池を提供する。
【0010】
本発明は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体と、少なくとも1つの酸素発生構造体と、少なくとも1つの空気電極とを備える、再充電可能な亜鉛空気電池を提供し、亜鉛空気電池は、該亜鉛空気電池の充電のための第1の電極対と、亜鉛空気電池の放電のための第2の電極対とを備える。この態様によれば、充電電極対は、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体と、少なくとも1つの酸素発生構造体とを備え、放電電極対は、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体と、該少なくとも1つの空気電極とを備える。この態様によれば、一実施形態において、少なくとも1つの酸素発生構造体および少なくとも1つの空気電極は、少なくとも1つの酸素発生構造体が少なくとも1つの空気電極に対して遠位であるか、または実質的に垂直に位置付けられるように、方向付けられる。
【0011】
本明細書に記載され、そして本明細書に提供される記載および図面の概観をたどる当業者によって理解されるように、本発明は、本発明の亜鉛空気電池内における、空気カソ−ドに対する酸素発生構造体の相対的位置付けへの2つの基本的向きを企図する。
【0012】
一実施形態において、問題の亜鉛空気電池は、少なくとも3つの基本的要素を備え、その基本的要素は、単一または複数のユニット内のそのような亜鉛空気電池内に存在してもよい。そのような3つの基本的要素は、亜鉛組込み構造体と、酸素発生構造体と、空気電極とを含む。
【0013】
この態様によれば、本明細書で企図されるように、本発明の一部であると見做される亜鉛空気電池に関し、空気カソ−ドに対する酸素発生構造体の2つの相対的位置付けのうちの1つは、酸素発生構造体が常に亜鉛組込み構造体に対してより近位に位置し、したがって本明細書に定義される亜鉛空気電池内の空気電極に対してより遠位に位置するように、向きを構成する。用語「近位」および「遠位」は、相対的指示であるが、実際には、当業者によって理解されるように、3つの基本的要素が亜鉛空気電池内の相対的空間的向きの観点から定義されるため、そのような配列は、要素の位置付けが一貫する、すなわち、酸素発生構造体が亜鉛組込み構造体に対して近位であり、かつ本発明を構成するいずれの空気電池内の空気カソ−ドに対しても遠位である限り、3つの基本的要素のそれぞれの反復ユニットの形状または数に関係なく明白である。
【0014】
同様に、本発明の別の実施形態を表すと、本明細書に企図されるように、本発明の一部であると見做される亜鉛空気電池に関し、空気カソ−ドに対する酸素発生構造体の2つの相対的位置付けのうちの1つは、本明細書に定義されるように、酸素発生構造体が常に空気電池内の空気カソ−ドに対して実質的に垂直に位置付けられるように、向きを構成する。
【0015】
本明細書に提供される説明の目的のために、用語「実質的に垂直」ならびにその文法的形態、および用語「実質的に平行でない」ならびにその文法的形態が、本発明の亜鉛空気電池および充電ユニット内の空気カソ−ドの位置付けに対する酸素発生構造体の向き/位置付けを参照するとき、相互交換可能であると見做されることに注意されたい。いくつかの実施形態において、そのような向きが互いに垂直、または90度の角度である一方、それに近似する他の向き、例えば、空気カソ−ドに対する本発明の所与の亜鉛空気電池内の酸素発生構造体のうちの少なくともいくつかの向き等は、約10〜約90度の範囲の角度であってもよく、これは本発明の一部として見做されるべきである。
【0016】
いくつかの実施形態において、当業者によって理解されるように、本発明の亜鉛空気電池の3つの基本的要素の相対的向きは、亜鉛樹状結晶の形成および/または空気カソ−ドおよび充電のための酸素発生構造体を有する亜鉛組込み構造体の対に対する、本発明の空気カソ−ドおよび酸素発生構造体の相対的位置付けの方向への成長を防止するために、最適化されるが、一方で亜鉛組込み構造体は、本明細書に記載されるように、空気電池の放電のための空気カソ−ドと対にされ、亜鉛樹状結晶の形成および/または亜鉛空気電池の空気カソ−ドの方向への成長を予防し、または顕著に減少させる。
【0017】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体と、少なくとも1つの酸素発生構造体と、少なくとも1つの空気電極とを備える、再充電可能な亜鉛空気電池を提供し、
◆該亜鉛空気電池は、該亜鉛空気電池の充電のための第1の電極対を備え、該電極対は、該少なくとも1つの亜鉛組込み構造体と、該少なくとも1つの酸素発生構造体とを備え、
◆該亜鉛空気電池は、該空気電池の放電のための第2の電極対を備え、該電極対は、該少なくとも1つの亜鉛組込み構造体と、該少なくとも1つの空気電極とを備え、
◆該少なくとも1つの酸素発生構造体および該少なくとも1つの空気電極は、該少なくとも1つの酸素発生構造体が該少なくとも1つの空気電極に対して遠位であるか、または実質的に垂直であるように、位置付けられる。
【0018】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体および少なくとも1つの酸素発生構造体は、互いに実質的に平行であるように位置付けられ、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体および少なくとも1つの空気電極は、互いに実質的に平行にならないように位置付けられる。
【0019】
この態様によれば、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体は、少なくとも1つの空気電極に対して実質的に垂直に位置付けられる。
【0020】
この態様によれば、いくつかの実施形態において、空気電池は、交互の亜鉛組込み構造体および酸素発生構造体の配列を備える。
【0021】
いくつかの実施形態において、亜鉛組込み構造体内のストリップの幅は、1:1〜1:3の比率で、亜鉛組込み構造体と隣接して位置する酸素発生構造体のものとの間の距離に比例する。
【0022】
他の実施形態において、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体は、該少なくとも1つの空気電極に対して遠位である。この態様によれば、一実施形態において、少なくとも1つの酸素発生構造体は、実質的に2つの亜鉛組込み構造体の間に位置付けられる。この態様によれば、一実施形態において、酸素発生構造体は、少なくとも1つの疎水性酸素発生電極を備え、該電極は、ポケットが該多孔質の疎水性酸素発生電極内に作製されるように配列され、ポケットは、液体を含まない酸素発生導管に近似する。この態様によれば、一実施形態において、酸素発生構造体は、疎水性酸素発生電極対を備え、該ポケットが該疎水性酸素発生電極対の間に作製される。
【0023】
いくつかの実施形態において、該亜鉛組込み構造体と該空気電極との間の該電池内に位置付けられた少なくとも第1のセパレータがある。
【0024】
いくつかの実施形態において、亜鉛組込み構造体は、少なくとも部分的に開かれた構造体であり、それによって該亜鉛組込み構造体を通る電解液の通過が達成可能である。この態様によれば、いくつかの実施形態において、亜鉛組込み構造体は、穿孔された亜鉛構造体を備える。
【0025】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体および該少なくとも1つの酸素発生構造体は、ストリップ、ロッド、ワイヤ、プレート、バー、発泡材、メッシュ、繊維、または箔を独立して備える。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体および該少なくとも1つの酸素発生構造体は、矩形の金属ストリップからなる。
【0026】
いくつかの実施形態において、ストリップという用語は、細長い構造体を搬送することを意味され、ワイヤ形状もしくはロッド、または平らにされた形状等のより円形の構造体を含んでもよく、両方が本発明の部分として企図されたものと見做されるべきである。
【0027】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体および該少なくとも1つの酸素発生構造体は、独立して、立方体、円柱、または球体の形状に成形される。
【0028】
所望の用途にとり適切であり、当業者が、適切な亜鉛空気電池を作製するときに、特定の用途に好適であるようにその所望の特性にどのように接近するかを知る、少なくとも1つの亜鉛組込み構造体および該少なくとも1つの酸素発生構造体がいずれの幾何学的形状または形態でも提供されてもよい発明が企図され、それが本発明の部分として見做されるべきであることを理解されたい。
【0029】
いくつかの実施形態において、亜鉛組込みアノード構造体、酸素発生構造体、またはそれらの組み合わせは、多孔質構造体である。
【0030】
いくつかの実施形態において、亜鉛組込み構造体は、亜鉛コーティングまたは亜鉛めっきを備える導電性基板である。他の実施形態において、亜鉛組込み構造体は、ポリマー結合された亜鉛および/または酸化亜鉛ストリップを備える。
【0031】
いくつかの実施形態において、電解質流体は、溶解した酸化亜鉛を任意に含有する、水酸化カリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液である。
【0032】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの実質的に平行に方向付けられた酸素発生ストリップは、遷移金属の混合酸化物等、酸素発生のために電解触媒でコーティングされた金属ストリップである。いくつかの実施形態において、金属ストリップは、ニッケル、鋼、ステンレス鋼、または電解触媒でコーティングされたチタンからなる。いくつかの実施形態において、そのような電解触媒は、酸素発生のために特に好適である。いくつかの実施形態において、そのような電解触媒は、当技術分野で既知であるように、ニッケルまたはコバルト等の遷移金属の混合酸化物である。
【0033】
いくつかの実施形態において、そのような配列は、より低い電圧での蓄電池再充電を提供し、そのような電解触媒コーティングは、亜鉛沈殿にも抵抗し、(亜鉛酸塩としての電解液へと溶解する亜鉛と)接触すると、亜鉛成長を自発的に破壊するであろう。
【0034】
いくつかの実施形態において、酸素発生構造体は、低い過電圧で酸素を発生させる、酸素発生のための電解触媒でコーティングされる。
【0035】
いくつかの実施形態において、亜鉛組込み構造体、酸素発生構造体、またはそれらの組み合わせは、アルカリ性電解液を含有する環境に曝される場合に、充電または放電の際に安定した材料を備える。
【0036】
いくつかの実施形態において、ストリップ材料を組み込む亜鉛は、ニッケル、鋼、ステンレス鋼、銅、炭素、黒鉛、またはチタンである。いくつかの実施形態において、ストリップの基材がニッケルでない場合、ニッケルめっきされ、亜鉛組込みストリップとして機能してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、これらの亜鉛組込み構造体は、有用なことには、アルカリ性電解液中での亜鉛の自己放電を阻止するが、一方で亜鉛付着を向上させる材料の表面コーティングを付与される。いくつかの実施形態において、コーティングの実施例としては、インジウム、ビスマスもしくは鉛、およびそれらの合金が挙げられる。いくつかの実施形態において、そのようなコーティングは、典型的に、水素発生のための高い過電位を有するであろう。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるように、再充電可能な亜鉛空気電池を備える装置を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態において、本発明は、亜鉛空気電池内に組み込むための複合充電ユニットを提供し、該複合充電ユニットは、交互に近位で実質的に平行に配置された亜鉛組込み構造体および酸素発生構造体を備える。
【0040】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1つの酸素発生構造体を側面配置する少なくとも2つの亜鉛組込み構造体を備える、亜鉛空気電池内に組み込むための複合充電ユニットを提供する。この態様によれば、いくつかの実施形態において、ユニットは、該少なくとも2つの亜鉛組込み構造体の間に位置する、少なくとも2つの酸素発生構造体を備える。
【0041】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される複合充電ユニットを参照すると、亜鉛組込み構造体は、亜鉛で前負荷をかけられる。いくつかの実施形態において、亜鉛組込み構造体および酸素発生構造体は、互いに実質的に平行に位置付けられる。いくつかの実施形態において、この態様によれば、充電ユニットは、亜鉛受け構造体の終端に取り付けられた絶縁タイバーを更に備え、または充電ユニットは、該酸素発生構造体の終端に取り付けられた絶縁タイバーまたは両方を更に備える。
【0042】
いくつかの実施形態において、この態様によれば、該亜鉛組込み構造体の幅は、1:1〜1:3の比率で、該亜鉛組込み構造体と近位に位置する酸素発生構造体のものとの間の距離に比例する。いくつかの実施形態において、この態様によれば、亜鉛組込み構造体および酸素発生構造体は、ストリップ、ロッド、ワイヤ、プレート、バー、発泡材、メッシュ、繊維、または箔を独立して備える。いくつかの実施形態において、この態様によれば、亜鉛組込み構造体および酸素発生構造体は、独立して、立方体、円柱、または球体の形状に成形される。
【0043】
いくつかの実施形態において、この態様によれば、亜鉛組込み構造体および酸素発生構造体は、独立して、多孔質である。
【0044】
いくつかの実施形態において、この態様によれば、亜鉛組込み構造体は、亜鉛コーティングまたは亜鉛めっきを備える導電性基板を備える。
【0045】
いくつかの実施形態において、この態様によれば、酸素発生構造体は、触媒を促進する酸素発生を組み込み、またはこれでコーティングされる。
【0046】
いくつかの実施形態において、この態様によれば、亜鉛組込み構造体、該酸素発生構造体、またはそれらの組み合わせは、アルカリ性電解液を含有する環境に曝される場合に、充電または放電の際に安定した材料を含む。いくつかの実施形態において、この態様によれば、材料は、ニッケル、鋼、ステンレス鋼、炭素、黒鉛、またはチタンである。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明は、亜鉛空気電池の使用可能な寿命を向上させるための手段を含み、そのような方法は、本明細書に記載される亜鉛空気電池の構築およびアセンブリを必然的に必要とする。
【0048】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される亜鉛空気電池の使用可能な寿命を向上させるための方法は、本明細書に記載される亜鉛空気電池の実施形態のいくつかにおける、亜鉛組込み構造体および酸素発生構造体の極性の切替え作用を提供するように、修正されてもよい。
【0049】
このように記載されるように、極性を切り替えることは、構造体上の残留亜鉛を電池放電ステップから取り除く場合があり、いくつかの実施形態において、全てのサイクルを、またはいくつかの実施形態において、例えば数サイクルごとに等、定義された間隔で実行され得る。この態様によれば、いくつかの実施形態において、そのような電池内の亜鉛組込み構造体および酸素発生構造体は、亜鉛沈殿または酸素発生のために使用するとき、劣化しない組成を有し、更に、ストリップは、亜鉛の自己放電または水素発生を加速させる触媒コーティングを欠くことに注目される。この態様によれば、いくつかの実施形態において、ニッケルはそのような戦略のために好適な基板として機能する。
【0050】
いくつかの実施形態において、充電するとき、全ての亜鉛組込み構造体(電気的に相互接続される)が(外部)充電器の負の極に被覆されたリード線によって接合されてもよいことが理解されるであろう。同様に、所与の亜鉛空気電池(電気的に相互接続される)内の全ての酸素発生構造体は、(外部)充電器の正の極に被覆されたリード線によって接合されてもよい。勿論、亜鉛組込み構造体と酸素発生構造体との間に電気的接続はない。
【0051】
いくつかの実施形態において、亜鉛の蓄積は、充電電流、充電電圧、電解液組成、温度、および電解液の流れ等のパラメータによって調整される。放電のために、亜鉛組込み構造体(負)は、少なくとも1つの空気電極(正)に対して放電される。
【0052】
本発明の亜鉛空気電池および複合充電ユニットの構造において、特定の亜鉛沈殿が所望でない領域のそのマスキングが成し遂げられ得、そのようなマスキングが当技術分野において常用であり、それを達成するための方法が周知であることが、当業者には明らかであろう。
【0053】
本明細書に言及される全ての公開、特許、および特許出願は、それぞれの個々の公開または特許が参照によって組み込まれるように個別および個々に示される場合と同じく、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。明細書と組み込まれた参照との間の不一致の場合、明細書が支配するものとする。この書類に数の範囲が与えられている場合、端数が範囲に含まれる。更に、別途示され、または別途、文脈および当業者のうちの1人の理解から自明でない限り、範囲として表現される値は、記述される範囲内のいずれの個別の値または部分範囲も前提とし、文脈が別途明確に指示しない限り、本発明の異なる実施形態において、どちらかまたは両方の端数を範囲の下限の単位の10分の1まで任意に含み、または除外し得ることを理解されたい。