【文献】
J.Biol.Chem., 2009, Vol. 284, No. 16, pp. 10473-10479
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヒト化フレームワーク領域配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号10から選択されるヒト化フレームワーク領域を含む、請求項1に記載の抗C3bヒト化抗体またはその抗原結合部分。
【背景技術】
【0003】
補体系は、古典的経路、レクチン経路および副補体経路(AP)の3つの異なる経路を介して活性化される。古典的経路は、抗原−抗体複合体を介して活性化される。レクチン経路は、古典的経路の変形であり、副経路は、外来材料、人工表面、死んだ組織、細菌、死んだ酵母細胞により活性化される。
【0004】
古典的補体経路は、病原体に対する宿主防御にとって重要である。古典的経路の活性化が、C3a、C4a、C5aおよびC5b−9分子を生成させ、宿主防御に応答して様々な細胞を活性化させる。病的な状態において、副経路の活性化の結果、アナフィラトキシンC3a、C5aが形成され、膜侵襲複合体(MAC)としても公知の組織障害性C5b−9分子が形成される。これらの分子は、細胞の活性化および炎症媒介物質の放出を介して炎症を媒介する。溶解性孔形成複合体(lytic pore−forming complex)としての役割に加え、半分解性MAC(sublytic MAC)の付着が炎症において重要な役割を担い得ることを示す強力な証拠が存在する。
【0005】
副補体経路は、病的炎症において活性化される。高レベルのC3a、C5aおよびC5b−9が、複数の急性および慢性疾患状態と関連して見出された。これらの炎症分子は、好中球、単球および血小板を活性化する。それゆえ疾患誘導性AP活性化の阻害は、補体活性化が疾患経路で役割を担う疾患における臨床的利益にとって重要となる。
【0006】
補体系は、免疫防御の肝要な役割に加えて、多くの臨床状態における組織損傷に寄与する。補体の生化学的カスケードに含まれる活性は、宿し得る破壊酵素の見境ない放出がある。つまり、治療有効性の補体阻害剤を開発してこれらの有害作用を予防することが、差し迫って求められている。
【0007】
AP活性化が疾患の病理に寄与する疾患状態では、高レベルのC3a、C5aおよびC5b−9分子が、該疾患に象徴的に血清、血漿、血液または他の体液に見出される。異なるメカニズムによるこれらの分子それぞれの産生および阻害は、疾患にとって重要である。活性C3コンバターゼの形成を阻害するための1つの可能なメカニズムが、抗C3b抗体の使用によるものである。つまりC3bの枯渇、C3b、C3cの中和、またはC3bの不活性化を介したAP活性化のブロック/阻害または予防は、依然として重要な治療方針である。
【0008】
本願は、新規でありC3bへの標的結合をもたらすヒト化およびキメラ抗体配列を開発した。C3bによるBへの結合は、C3bによるC5への結合とは異なり、この抗体により阻害される。C3a、C5aおよびC5b−9は全て、炎症を誘導し、AP活性化プロセスも増幅させる。C3bに結合し、Bとの相互作用を予防する抗C3b物質としては、限定するものではないが、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、ナノ抗体、それらの全長およびフラグメント、例えばIgG、Fab、Fab’、F(ab’)
2、およびIgGsが挙げられる。アプタマー(Apatamer)、小分子、およびSiRNAも、BへのC3b結合を中和して、APによるC3a、C5aおよびC5b−9産生を予防することができる。その結果、細胞活性化、炎症および炎症媒介物質の放出も、予防される。APの活性化は、様々な急性および慢性ヒト疾患につながるため、抗C3b物質でのブロックは、炎症プロセスもブロックし、抗C3bモノクローナル抗体で処置された哺乳動物に臨床的利益をもたらす。
【0009】
補体は、病原性に関与するいくつかの因子のうちの1つであり、臨床制御に有効な特質を与える重要な病理メカニズムとなり得る。効果的な補体阻害薬の必要性は、様々な疾患状態において補体を介した組織損傷の重要性の認識が進むことにより重視されるようになった。それにもかかわらず現在、補体活性化を特異的に標的とし阻害する、ヒト用の承認薬は一切存在しない。
【0010】
入手可能な臨床および研究データに基づけば、ほとんどの急性および慢性の設定において、C3bおよびC5aの産生は、補体経路の活性化により媒介されると思われる。臨床設定において、C3bおよびC5aの両者は、独立して関与することが示され、全ての経路の適切な阻害方法の開発が、強く望まれている。アナフィラトキシンC3aおよびC5aの両者は、白血球および血小板を活性化させることが公知である。細胞活性化に多く用いられる指標は、白血球ではCD11b、血小板ではCD62Pの細胞内発現である。複数の炎症分子の放出が、これらの活性化マーカに媒介される血小板−白血球結合により惹起される。そのようなコンジュゲート結合の1つの結果が、循環からの血小板の除去であり、それは血小板減少症の発症に寄与し得る現象である。
【0011】
本発明は、抗C3b抗体の使用により、病的状態におけるC3bの機能的活性、およびその進行作用を阻害するように設計される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当業者によって使用されるものを含む標準的用語は一般的かつ標準的であり、本願全体にわたって無条件で使用している。
【0018】
以下の定義は、本発明を説明するために本明細書および特許請求の範囲で使用される用語に関して明確にするために示されている。
【0019】
本明細書で用いられる用語「副経路」は、伝統的には、例えば真菌および酵母細胞壁由来のザイモサン、グラム陰性菌外膜由来のリポ多糖(LPS)、ならびにウサギ赤血球に加え、多くの純粋な多糖類、ウサギ赤血球、ウイルス、細菌、動物腫瘍細胞、寄生虫および損傷細胞により惹起される補体因子C3からの自発的なタンパク分解性C3b生成から生じると考えられてきた補体活性化を指す。
【0020】
本明細書で用いられる用語「抗体」は、任意の抗体産生哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギおよびヒトなどの霊長類)由来の、C3bまたはそのポリペプチドもしくは部分に特異的に結合する抗体および抗体フラグメントを包含する。模範的な抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および組換え抗体;多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体);ヒト化抗体;マウス抗体;キメラ(即ち、マウス−ヒト、マウス−霊長類、霊長類−ヒト)、モノクローナル抗体、および抗イディオタイプ抗体に加え、脱免疫化抗体が挙げられ、それらは、任意のインタクト分子またはそのフラグメントであってもよい。
【0021】
本明細書で用いられる用語「抗体フラグメント」は、一般に抗原結合領域またはその可変領域を含む、全長抗C3b抗体から得られた部分またはそれらに関連する部分を指す。抗体フラグメントの例示としては、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)
2フラグメント、F(ab’)
2フラグメントおよびFvフラグメント、scFvフラグメント、ダイアボディ、直鎖状抗体、一本鎖抗体分子および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0022】
本明細書で用いられる用語「アプタマー」は、特定の標的に結合する核酸分子を指す。
【0023】
本明細書で用いられる用語「C3b依存性補体活性」は、全ての可能な経路を介して起こる補体活性化を指す。
【0024】
本明細書で用いられる用語「C3b阻害剤」は、抗C3b抗体およびそのC3b結合フラグメント、天然および合成ペプチドをはじめとし、C3bと結合または相互作用して、C3b依存性補体活性化を効果的に阻害する任意の物質を指す。本発明の方法に有用なC3b阻害剤は、C3b依存性補体活性化、つまり全ての活性化を20%を超えて低下させ得る。一実施形態において、C3b阻害剤は、補体活性化を90%を超えて低下させる。
【0025】
本明細書で用いられる「キメラ抗体」は、非ヒト種(例えば、げっ歯類)抗体由来の可変ドメインおよび相補性決定領域を含み、その抗体分子の残りの部分がヒト抗体由来である、組換えタンパク質である。
【0026】
本明細書で用いられる用語「古典的経路」は、(1)外来性粒子に結合する抗体により惹起され、認識分子C1qの結合を必要とするC1複合体の補体活性化と、(2)抗原−抗体複合体の形成を介して起こる補体活性化、の両方を指す。
【0027】
本明細書で用いられる「ヒト化抗体」は、ヒト抗体フレームワークに移植される、非ヒト免疫グロブリン由来の特異的な相補性決定領域と一致する最小配列を含むキメラ抗体である。ヒト化抗体は、典型的にはその抗体の相補性決定領域だけが非ヒト起源である組換えタンパク質である。本明細書で用いられる用語「レクチン経路」は、マンナン結合レクチン(MBL)およびフィコリンなど、血清および非血清の炭水化物結合タンパク質の特異的結合を介して起こる補体活性化を指す。
【0028】
本明細書で用いられる「膜侵襲複合体」(「MAC」)は、膜に挿入して膜を破壊する、5つの末端補体成分(C
5〜C
9)の複合体を指す。MACは、C5b−9とも呼ぶこともできる。
【0029】
本明細書で用いられる「対象」は、限定するものではないがイヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウサギ、ブタ、ヒト、非ヒト霊長類およびげっ歯類を含む全ての哺乳動物を包含する。副経路は、補体活性化の独立した経路として広く許容される役割に加え、最初に古典的およびレクチン経路を介して惹起される補体活性化のための増幅ループももたらし得る。この副経路により媒介される増幅メカニズムにおいて、古典的またはレクチン補体カスケードのいずれかからの活性化から生じるC3コンバターゼ(C4b2b)は、C3をC3aおよびC3bに開裂し、それによりC3bBb(副経路C3コンバターゼ)の形成に関与し得るC3bを提供する。
【0030】
本明細書で用いられる「一本鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは、抗体のV
HドメインおよびV
Lドメインを含むが、ここでこれらのドメインは、単一のポリペプチド鎖内に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、抗原結合に望ましい構造をscFvに形成させる、V
HドメインとV
Lドメインの間のポリペプチドリンカーを更に含む。
【0031】
本発明の抗体は、ヒト疾患の処置のためのキメラおよびヒト化抗C3bモノクローナル抗体(mAb)、ならびに抗原結合フラグメントである。本発明の抗体は、この要件を満たすのに有用となる高親和性抗体を提供し得る。本発明の抗C3bモノクローナル抗体は、C3bに結合することができ、B因子へのC3b結合を阻害することができる。
【0032】
C3bに結合し得て、B因子へのC3b結合を阻害し得る、特徴的CDRを有する動物および植物の両方に由来する抗C3bモノクローナル抗体が、本願に含まれる。本発明の抗体のCDR間に60%を超える相同性を有し得るCDRが、本願に含まれる。キメラおよびヒト化抗C3b抗体を生成するのに用いられるマウスモノクローナル抗体が、本願に含まれる。
【0033】
本発明の抗体は、本発明の抗体が(1)古典的補体経路を阻害しないこと;(2)0.33:1モル当量で標的タンパク質に結合し得ること;(3)C3ではなくC3bと交叉反応し得ること;および(4)C3a、C5a、C5b−9およびTNFαの産生を阻害し得ること、において先行技術と異なる。本発明の抗体は、C3bに対して生成されており、そのためインタクトC3分子のフラグメントであるC3aとは交叉反応しない。
【0034】
C3bは、古典的経路および副経路C3コンバターゼの一部であり、そのため抗C3bは、両方の経路を阻害すると予測される。本発明の抗体は、副経路のみを阻害せず、古典的経路の活性化には影響を有さない。これらの抗体は、古典的経路に影響を及ぼさずに、C3bへのB因子結合を阻害し得る。これらの抗体は、古典的経路の増幅ループの影響を有することなく、副経路を独占的に阻害し得る。
【0035】
本発明の抗体は、新しいC3コンバターゼの形成を阻害し得る。これらの抗体は、古典的経路に影響を及ぼさずに、C3bへのB因子結合を阻害し得る。これらの抗体は、古典的経路の増幅ループの影響を有することなく、副経路を独占的に阻害し得る。
【0036】
抗C3b抗体は、副経路の活性化により生成されたC3bを中和する能力に基づいて選択され得る。1:1のモル当量で、C3の30%のみがC3bに変換されることが決定づけられた。活性化された全C3b量は、全血炎症モデルにおいて決定され、30%〜40%の範囲内になり得、約50%にも及ぶ可能性がある。
【0037】
本発明の抗体は、古典的経路活性化に影響を有し得ない。つまり本発明のモノクローナル抗体は、古典的経路を阻害することができない。本発明の抗体mAbは、B因子タンパク質への結合を介してAP活性化のみに関与するC3b上の領域に結合し得る。
【0038】
本発明の別の態様は、mAbの重鎖および軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3、ならびにそれらの組み合わせを含む抗体に関する。可変重鎖CDR1、2および3領域のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号12、14および16に示す。可変軽鎖CDR1、2および3領域のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号19、21、および23に示し、その抗体は、ヒトC3cおよび/またはC3bに特異的に結合する。
【0039】
該抗体は、例えばキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であってもよい。可変領域内のCDRは、90%類似〜約99%類似であってもよい。
【0040】
本発明の別の態様は、抗体がアプタマーまたはそのDNAフラグメントであり得る。完全抗体と同様に、アプタマーは、C3bに結合して、PC3bBb複合体またはBC3b複合体の形成を予防することができる。
【0041】
本発明の抗体、本発明のCDR、および本発明のフレームワークを、
図27〜31に列挙する。
【0042】
本発明の抗体は、治療性にすることができる。マウス、キメラ、ヒト化、および霊長類化抗体が、現在考慮されている治療性のものである。しかし近年の科学的進歩により、抗体を別のタイプの抗体様分子に交換することもできるようになり、その場合、抗体様分子の相互作用は、低ピコモル〜高ピコモル〜低ナノモルの範囲内に含まれ得る。
【0043】
キメラ抗体およびヒト化抗体の両方が、ヒトフレームワーク定常領域を有する。ヒト化およびヒトのフレームワーク領域は、前記CDR領域の親和性および効力を上昇させるために、天然のヒトフレームワーク領域、または非天然ヒトフレームワーク領域のいずれかである。定常領域は、前記抗体内に存在しても、または存在しなくてもよい。植物、細菌および哺乳動物細胞系内の定常領域を用いて、または用いずに抗体を産生するのに、様々な方法を利用することができる。
【0044】
抗C3b抗体の機能的活性は、古典的経路の増幅ループに影響を及ぼさずに、AP活性化を阻害する抗C3b抗体の能力として定義される。本発明のこれらの抗体は、(1)C3bへのB結合を阻害すること、(2)PC3bBb形成/またはC3bBb形成を減少させること、(3)遊離C3bの濃度を低下させること、(4)C3bの形成を減少させること、(5)C3a、C5aおよびC5b−9の形成を減少させること、(6)単球CD11b発現を減少させること、(7)好中球CD11b発現を減少させること、(8)血小板CD62P発現を減少させること、(9)白血球−血小板コンジュゲートの形成を減少させること、(10)腫瘍壊死因子α(TNF)を減少させること、ならびに(11)好中球エラスターゼ形成を減少させること、が可能である。
【0045】
本発明は、副経路由来のC3b依存性補体活性化の有害作用を阻害する方法も提供する。C3b阻害剤は、一次療法として単独で用いること、または他の方法との併用療法で、他の処置の利益を増強する補体として用いることができる。
【0046】
阻害剤は、小分子、アプタマー、DNAフラグメント、CDEドメインを提示する小ペプチドSiRNAであってもよい。これらの阻害剤は、C5、C9、およびC5に関連するC3bに結合するプロペルジンを阻害する。
【0047】
本発明は、補体の生化学的カスケードを阻害するための抗C3b抗体の新たな使用を提案する。本発明は、全ての補体経路に関連する細胞傷害を阻害するための治療ターゲットとしてC3bの使用を記載する。
【0048】
疾患状態
本発明の別の態様において、該抗体は、インビボで、急性または慢性の病的傷害に罹患したヒトなどの対象において、副経路を介した補体活性化を阻害するのに用いることができる。本発明は、限定するものではないが、以下の疾患、障害、損傷、および処置と併せて用いることができる。
【0049】
体外循環疾患および障害:心肺バイパス後の炎症、術後肺機能不全、心肺バイパス、血液透析、白血球フェレーシス、血漿フェレーシス、血小板フェレーシス、ヘパリン誘導性体外膜型LDL沈降法(HELP)、灌流後症候群、体外膜型人工肺(ECMO)、心肺バイパス(CPB)、灌流後症候群、全身性炎症反応、および多臓器不全。
【0050】
心臓血管疾患および障害:急性冠動脈症候群、川崎病(動脈炎)、高安動脈炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病性腎炎、血管漏出症候群、経皮的冠動脈介入(PCI)、心筋梗塞、急性心筋梗塞後の虚血再灌流傷害、アテローム性硬化症、血管炎、免疫複合体性血管炎、関節リウマチ関連の血管炎(悪性関節リウマチとも呼ばれる)、全身エリテマトーデス関連の血管炎、敗血症、動脈炎、動脈瘤、心筋症、拡張型心筋症、心臓手術、末梢血管病、腎血管病、心臓血管病、脳血管病、腸間膜/腸の血管病、糖尿病性血管症、静脈ガス塞栓症(VGE)、ウェゲナー肉芽腫、ヘパリン誘導性体外膜型人工肺、およびベーチェット症候群。
【0051】
骨/骨格筋疾患および障害:関節炎、炎症性関節炎、非炎症性関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、骨関節炎、骨粗しょう症、全身エリテマトーデス(SLE)、ベーチェット症候群、およびシェーグレン症候群。
【0052】
移植疾患および障害:移植片拒絶、異種移植片拒絶、移植片対宿主病、臓器または移植片の異種移植、臓器または移植片の同種移植、および超急性拒絶
【0053】
目/眼科疾患および障害:湿性および乾性加齢性黄斑変性(AMD)、脈絡膜新生血管(choroidal neurovascularization)(CNV)、網膜損傷、糖尿病性網膜症、糖尿病性網膜微小血管症、目のヒストプラスマ症、ブドウ膜炎、糖尿病黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、糖尿病性網膜微小血管症、病的近視、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、角膜血管新生、網膜血管新生、網膜色素上皮(RPE)、目のヒストプラスマ症、およびプルチェル網膜症。
【0054】
出血/血液疾患および障害:敗血症、全身炎症反応症候群(SIRS)、出血性ショック、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、劇症抗リン脂質抗体症候群(CAPS)、寒冷凝集素病(CAD)、自己免疫性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、エンドトキシン血症、溶血性尿毒症症候群(HUS)、不定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、敗血症、敗血症性ショック、鎌形赤血球性貧血、溶血性貧血、特発性好酸球増加症候群、および抗リン脂質抗体症候群(APLS)。
【0055】
呼吸/肺疾患および障害:喘息、ウェゲナー肉芽腫、輸血関連急性肺傷害(TRAIL)、抗糸球体基底膜抗体病(グッドパスチャー病)、好酸球性肺炎、過敏性肺炎、アレルギー性気管支炎気管支拡張(allergic bronchitis bronchiecstasis)、反応性気道疾患症候群、呼吸系発疹ウイルス(RSV)感染、パラインフルエンザウイルス感染、ライノウイルス感染、アデノウイルス感染、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、結核、肺寄生虫症、成人呼吸促迫症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、サルコイドーシス、気腫、気管支炎、嚢胞性線維症、間質性肺疾患、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、輸血関連急性肺傷害、虚血/再灌流急性肺傷害、綿肺、ヘパリン誘導性体外膜型人工肺、アナフィラキシーショック、およびアスベスト誘発性の炎症。
【0056】
中枢および末梢神経系/神経疾患および障害:多発性硬化症(MS)、重症筋無力症(MG)、多発性硬化症、ギランバレー症候群、ミラー・フィッシャー症候群、卒中、卒中後の再灌流、アルツハイマー病、多巣性運動ニューロパチー(MMN)、脱髄、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、退行性椎間板変性症(DDD)、髄膜炎、髄膜炎による脳神経傷害、変異型クロイツフェクト・ヤコブ病(vCJD)、特発性多発神経障害、脳/大脳外傷(限定するものではないが、出血、炎症、および浮腫を含む)、および神経因性疼痛。
【0057】
外傷性損傷および障害:出血性ショック、血液量減少性ショック、脊髄損傷、神経損傷、大脳外傷、脳虚血再灌流、挫滅傷、創傷治癒、重度火傷、および凍傷。
【0058】
腎疾患および障害:腎臓再灌流傷害、溶連菌感染後糸球体腎炎(PSGN)、グッドパスチャー病、膜性腎炎、バージャー病/IgA腎症、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、膜様糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎(間質性毛細管性糸球体腎炎)、急性感染後糸球体腎炎、クリオグロブリン血症性糸球体腎炎、ループス腎炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病性腎炎、および腎皮質壊死症(RCN)。
【0059】
臓器の再灌流傷害および障害:限定するものではないが、心臓、脳、腎臓、および肝臓を含む。
【0060】
生殖器および泌尿生殖器疾患および障害:疼痛性膀胱疾患および障害、知覚性膀胱疾患および障害、自然流産、男性および女性の不妊による疾患、妊娠による疾患、胎児母体間免疫寛容、子癇前症、泌尿生殖器の炎症性疾患、胎盤機能不全による疾患および障害、流産による疾患および障害、慢性細菌性膀胱炎(chronic abacterial cystitis)、および間質性膀胱炎。
【0061】
皮膚/皮膚科学的疾患および障害:火傷、乾癬、アトピー性皮膚炎(AD)、好酸球性海面状態、蕁麻疹、熱傷、類天疱瘡、後天性表皮水疱症、自己免疫水疱性皮膚疾患、水疱性類天疱瘡、強皮症、血管性浮腫、遺伝性血管神経症性浮腫(HAE)、多形性紅斑、妊娠性疱疹、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、および疱疹状皮膚炎。
【0062】
胃腸疾患および障害:クローン病、セリアック病/グルテン過敏性腸疾患、ウィップル病、腸管虚血、炎症性腸疾患、および潰瘍性大腸炎。
【0063】
内分泌疾患および障害:橋本甲状腺炎、若年性リンパ球性甲状腺炎、ストレス性不安(stress anxiety)、およびプロラクチンに影響を及ぼす他の疾患、増殖またはインスリン様増殖因子、副腎皮質刺激ホルモン放出、膵臓炎、アジソン病、限定するものではないが、I型およびII型糖尿病などの糖尿病、サルコイドーシス、糖尿病性腎症微小血管症、非肥満糖尿病(IDDM)、血管症、神経症、またはIDDMもしくは2型糖尿病の腎症合併、およびインスリン抵抗性。
【0064】
悪性腫瘍の処置:化学療法および放射線療法から生じる疾患および障害。
【0065】
本発明の別の例において、本発明の抗体は、傷害、例えば虚血再灌流傷害(I/R)を処置する。I/R傷害の病理生理学は複雑であり、少なくとも2種の主要な因子がそのプロセス、つまり補体活性化および活性酸素を介した傷害を伴う好中球刺激に寄与する。
【0066】
補体活性化の阻害は、数多くのI/R動物モデルにおいて組織障害および損傷を抑制するのに有効であったため、研究により、I/R傷害における中枢的媒介物質としての補体を同定する証拠が増えている。初期試験において、腎臓および心臓のI/Rの際に有益と報告されたコブラ毒因子の輸注後に、C3枯渇が得られた。しかし補体受容体1(sCR1)の可溶性形態は、冠動脈内皮に沿ったC5b−9複合体付着を減少させる心筋I/R傷害の予防に利用された最初の補体特異性阻害剤であり、再灌流後の白血球浸潤の減少は、心筋I/Rによる梗塞減弱の際のsCR1処置に関連した。C3が遺伝的に欠損する動物は、骨格筋または腸管虚血の後の局所組織壊死が少ない。
【0067】
膜侵襲複合体は、補体誘導性傷害(complement−directed−injury)の最も重要な媒介物質であり、C5欠損動物における試験ではI/R傷害モデルにおいて局所および遠隔部傷害の減少が示された。補体活性化の阻害剤である可溶性Crry(補体受容体関連遺伝子Y)は、マウス腸管再灌流開始の前および後の両方で与えられると、傷害に対する有効性を示した。骨格筋虚血のモデルにおいて、可溶性補体受容体1(sCR1)の使用は、再灌流の開始後に与えられると、筋肉障害も減少させる。ブタ心筋I/Rモデルにおいて、再灌流前にアナフィラトキシンC5aへのモノクローナル抗体(「MoAb」)で処置された動物は、梗塞の減弱を示した。C5 MoAbで処置されたラットは、梗塞サイズ、好中球浸潤、および心筋のアポトーシスにおける減少を示した。
【0068】
別の例において、C3b阻害剤は、限定するものではないが、大動脈瘤修復、臓器移植、または切断もしくは外傷を受けた四肢もしくは指の再接合術などの幾つかの障害の再灌流の前および/またはその間および/またはその後に投与することができる。C3b阻害剤は、動脈内、頭蓋内、静脈内、皮下、筋肉内、または他の非経口投与により様々な方法で投与することができる。非ペプチド作動性阻害剤では潜在的に経口で、最も適切には動脈内または静脈内投与による。投与は、最適な治療効果のために医師の決定ように周期的に繰り返されてもよい。
【0069】
実施例1
特段の断りのない限り、試薬は全て、入手可能なハイグレードのものであった。補体タンパク質、古典的副経路および古典的経路の緩衝液、検出抗体、ならびに赤血球は全て、Complement Technologies(テキサス州タイラー所在)またはQuidel Corporation(カリフォルニア州サンディエゴ所在)から得た。フローサイトメトリーの抗体は、カリフォルニア州サンホセ所在のBD Biosciencesから得た。TMB基質は、メリーランド州ゲイザーズバーグ所在のKirkegaard & Perry Limitedから得た。二次抗体は全て、カリフォルニア州サンクレメンテ所在のAmerican Qualexから、BSAおよび他の試薬は、全てミズーリ州セントルイス所在のSigma−Aldrichから得た。
【0070】
ELISAプレートリーダー(SpectraMax 190および250)は、Molecular Devicesから得て、フローサイトメータは、FACS Caliburであった。Varity 3Dプログラムを、データ解析に用い、曲線あてはめは、MicroCal Originプログラムを用いて実施した。溶血反応速度アッセイは、Molecular DevicesのSectraMaxを用いて実施し、ELISAプレートは、マサチューセッツ州ローウェル所在のCorning Costarから得た。
【0071】
ヒト化およびキメラ抗体は、本願に存在する配列(SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2)である親マウスモノクローナル抗体のCDRを含む。マウスは、ヒトC3b(テキサス州タイラー所在のComplement Technology)を注射され、マウス血清は、C3b結合およびAP阻害活性についてスクリーニングされた。プロペルジン陽性マウス由来脾臓細胞を、標準の手順を利用して骨髄腫細胞と融合させた。限界希釈法を利用して、融合細胞を単細胞集団にクローニングした。96ウェルプレート中の細胞を増殖させ、プロペルジン結合および副経路阻害を利用して上清を試験した。AP活性化をブロックする細胞を同定し、C5b−9形成を阻害する細胞を用いて更にスクリーニングした。これらのクローンは、高親和性でのC3bへのB因子結合を阻害する7D11の下で分類された。タンパク質分解消化を利用して、インタクトIgGをFab、Fab’、Fab
2’フラグメントに変換した。7D11を産生するハイブリドーマ細胞株は、PTA−8806としてAmerican Type Culture Collection(「ATCC」)に寄託された。
【0072】
抗C3b IgGは高親和性でヒトC3bおよびC3cに結合するが、C3dgには結合しない
C3bへの抗C3b IgGの親和性は、低pM〜低nMの範囲内である。該抗体およびそのフラグメントは、高親和性でC3bおよびC3cに結合する。 ポリスチレン製マイクロタイタープレートに、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のヒトC3bを4℃で一晩コーティングさせた。C3b溶液を吸引した後、ウェルをPBS中の1%ウシ血清アルブミン(BSA)(ミズーリ州セントルイス所在のSigma−Aldrich)で室温で1時間ブロッキングした。ペプチドまたはC3bコーティングを有さないウェルを、バックグランド対照とした。ブロッキング溶液中のモノクローナル抗C3b抗体IgG、Fab2、およびFabのアリコットを、C3bコーティングウェルに添加し、1時間インキュベートして結合を生じさせた。室温で1時間のインキュベーション期間の後、プレートをPBSで5回すすぎ、ペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗マウスモノクローナル抗体と共にインキュベートした。このインキュベートの後、プレートをすすぎ、結合したペルオキシダーゼを、TMB試薬を用いて同定した。
【0073】
図示するように、抗C3bは、C3b(
図3)およびC3c(
図4)に結合する。その抗体結合部位は、C3dには存在しない(
図5)。
【0074】
実施例2:抗C3b IgGはプロペルジン−C3b相互作用を阻害しない
C3bに対する抗C3b IgGの親和性は、低pM〜低nMの範囲内である。該抗体およびそのフラグメントは、高親和性でC3bおよびC3cに結合する。 これらの抗体およびそのフラグメントは、C5へのプロペルジン結合を阻害しない。ポリスチレン製マイクロタイタープレートに、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のヒトC3bを4℃で一晩コーティングさせた。C3b溶液を吸引した後、ウェルをPBS中の1%ウシ血清アルブミン(BSA)(ミズーリ州セントルイス所在のSigma−Aldrich)で室温で1時間ブロッキングした。ペプチドまたはC3bコーティングを有さないウェルを、バックグランド対照とした。2nMビオチン化プロペルジンを含有するブロッキング溶液中のモノクローナル抗C3b抗体IgG、Fab2、およびFabのアリコットを、C3bコーティングウェルに添加し、1時間インキュベートさせて結合を生じさせた。室温で1時間のインキュベーション期間の後、プレートをPBSで5回すすぎ、ペルオキシダーゼをコンジュゲートされたニュートラビジン(neutavidin)と共にインキュベートした。このインキュベートの後、プレートをすすぎ、結合したペルオキシダーゼを、TMB試薬を用いて同定した。
【0075】
図示するように、抗体は、C3bへのプロペルジン結合を阻害せず、結合に関与するC3b上のプロペルジン部位とは異なる部位の存在が示唆される。
【0076】
実施例3:抗C3b IgG、F(ab’)2、およびFabは、副経路(AP)依存性ウサギ赤血球(rRBC)溶解を阻害する
この赤血球溶解アッセイは、rRBCの表面の末端補体複合体の形成に基づく。結果としてrRBCは、溶解される。900nmでの光散乱の漸減は、赤血球溶解の直接的な指標である。典型的にはrRBCを、5mM MgCl
2含有ゼラチンベロナール緩衝液中の正常ヒト血清中でインキュベートする。これらの条件下で、rRBCの表面は、正常ヒト血清中での副経路の活性化を惹起する。副経路の活性化は、rRBCの表面でのC5b−9複合体形成に誘導する。C5b−9複合体形成を阻害する薬剤は、細胞溶解を阻害すると予測される。抗C3b抗体およびそのフラグメントの効果を評価するために、様々な濃度のIgG、F(ab’)
2、およびFabを、900nmでの読み取りが可能な温度制御されたELISAプレートリーダーで、一定濃度のウサギ赤血球を含む37℃のAP緩衝液中、正常ヒト血清(10%NHS)と共にインキュベートした。光散乱の漸減(インタクト細胞の溶解による)を、時間の関数として900nmで測定した。データは、SpectraMax 190プレートリーダーおよびSoftMaxソフトウエアで記録および分析した。計算では、総阻害を各濃度のIgG、F(ab’)2、およびFabで計算し、結果を非溶解対照の%率として表した。各濃度のデータを、MicroCal Origin Softwareでシグモイドプロットにプロットした。
【0077】
図7に示すように、IgG抗C3bは、赤血球溶解を阻害するIC50で、正常ヒト血清中のAP依存的なrRBC溶解を阻害する。該抗体は、およそ69nMのIC50で溶解を阻害することができる。
【0078】
実施例4:抗C3bモノクローナル抗体は古典的経路の活性化を阻害しない
本発明のモノクローナル抗体は、宿主防御に必要とされる古典的経路を阻害しない。抗体感作したヒツジ赤血球を、カルシウム(5mM CaCl
2/MgCl
2)緩衝液を含有するゼラチンベロナール緩衝液中で1%または10%正常ヒト血清と共にインキュベートした。抗体感作したヒツジ細胞は、古典的経路を活性化する。結果としてC5b−9が、溶解を起こした赤血球(erythrocyte acused lysis)の表面に形成される。本発明者らは、1%および10%正常ヒト血清を試験した。両条件下で、抗C3bは、赤血球溶解を阻害した。典型的なアッセイにおいて、赤血球をCP緩衝液中の1%/10%正常ヒト血清中でインキュベートして、補体活性化を起こさせる。CP活性化の結果、C5b−9が、細胞溶解を起こした赤血球の表面に形成される。細胞溶解による光散乱の漸減を、時間の関数として700nmで測定する。
【0079】
図8に示すように、抗C3b IgGは、両方の血清濃度で、抗体感作ヒツジ細胞の溶解を阻害しない。血清対照は、任意の作用を示さなかった。これらの結果から、抗C3b抗体が古典的経路の活性化に影響を及ぼさずに副補体経路を選択的に阻害し得ることが示唆される。
【0080】
実施例5:抗C3b IgGおよびそのフラグメントは副補体経路のC3コンバターゼ(PC3bBb)の形成を阻害する
副補体経路は、正常ヒト血清中で、腸チフス菌由来のリポ多糖により活性化される。本発明者らは、本発明の抗プロペルジン抗体がPC3bBbの形成を阻害するか否かを実証するためにこのパラダイムを利用した。本発明者らは、抗プロペルジン抗体およびそのフラグメントの存在下および非存在下で、P、C3b、Bb、およびC5b−9の付着を測定した。C3およびC5コンバターゼの形成を、適切な抗体で検出した。抗プロペルジン抗体の存在下では、用量依存的なC3およびC5コンバターゼ形成阻害が、認められた。典型的なアッセイにおいて、ポリスチレン製マイクロタイタープレートウェルを、PBS中の2μg/50μlのLPS(腸チフス菌由来リポ多糖)でコーティングした。ウェルをPBS中の1%BSAと共にインキュベートして、ウェル中の非占有部位をブロッキングした。室温での2時間のブロッキングおよびPBSでのすすぎに続いて、AP緩衝液中の正常ヒト血清(10%)を、様々な濃度の抗体およびフラグメントと混合した。混合物をLPSコーティングのウェルに入れてインキュベートした。プレートを37℃で2時間インキュベートして、補体AP活性化を起こさせた。インキュベーションに続いて、プレートをPBSで徹底的に洗浄して、C3コンバターゼの成分を、適切な抗体で検出した。本発明者らは、ブロッキング溶液中の1:2000のウサギ抗ヒトC3cと、ブロッキング溶液中の1:2000のヤギ抗ヒトPと、ブロッキング溶液中の1:500のヤギ抗ヒトBb因子と、ブロッキング溶液中の1:2000のHRPOコンジュゲート抗ヒト(anti−huma)C5b−9とでC3bを検出した。プレートを各抗体と共に室温で1時間インキュベートした。インキュベーションに続いて、プレートをPBSですすいで、結合した抗体を、C3b検出については1:2000のペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギで、P検出についてはブロッキング溶液中の1:2000のペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヤギで検出した。プレートは全て、PBSでの徹底的な洗浄に続いてTMBで発色させた。青色を1Mオルトリン酸でクエンチした。
図9は、P付着の用量依存的阻害を示す。
【0081】
図9は、P付着の用量依存的付着を示し、
図9は、形成付着の用量依存的付着を示す。これらのデータは、抗C3bモノクローナル抗体がコンバターゼ形成を防止し、AP活性化を阻害する直接的証拠を示している。
【0082】
実施例6:抗C3bは全血中での副補体および細胞活性化を阻害する
抗C3抗体は、対象における心肺バイパス(CPB)および/または透析処置などの体外循環処置において用いることができる。これらの処置において、循環血を対象の血管から導管を通して再度、対象の血管に戻すことができる。導管は、対象の血液中で補体活性化、血小板活性化、白血球活性化、または血小板−白血球接着のうちの少なくとも1つを誘発し得る材料を含む内腔表面を有することができる。抗C3b抗体を、補体活性化、血小板活性化、白血球活性化、または血小板−白血球接着のうちの少なくとも1つを減少させるのに有効な量で対象の血流に導入して、循環血を導管に通過させることができる。対象の血液は、抗C3抗体またはそのフラグメントの段階的導入の前および/または導入中および/または導入後に導管を通過させることができる。好ましくは、抗プロペルジン抗体は、補体成分C3から補体成分C3aおよびC3bへの副経路依存的変換、ならびに/またはC5b−9の副経路依存的形成、ならびに/または副経路依存的白血球活性化を減少させる。
【0083】
全血チュービングループモデルは、生物材料で誘導されたAP活性化を示す。このモデルは、心肺バイパスおよび透析の体外循環モデルを模倣している。単離されたばかりのヒト血液を、抗凝固剤として5単位/mLヘパリンを含有する50mLポリプロピレン管に採取した。ヘパリン処理された血液を、様々な濃度の抗C3bを含有するplasmalyte−148で希釈した。チュービングループの半分に、希釈された血液2.0mLを充填して、体外処置で用いられるポリエチレン管で垂直方向に37℃で回転させた。インキュベーションおよび回転の後、血液試料を2.0mL試験管に移し替えた。これらの血液試料のアリコットを、フローサイトメトリー用に保存した。残りの血液量を遠心分離して(4000×g、40℃で5分間)、血漿試料を採取した。補体活性化の阻害:チュービングループのプラスチック表面は、副経路を活性化させる。結果として、C3a、C5a、およびC5b−9が形成される。ベースラインを超える高レベルが、市販品でのELISA法を利用して測定することができる。チュービングループに用いた血漿試料で、C3a&C5b−9キット(Quidel)およびウサギ赤血球溶解アッセイを利用して補体活性について評価した。生物材料表面で誘導された副経路活性化の結果、C3は、C3aおよびC3bに変換される。同様にC5は、C5aおよびC5bに開裂される。
【0084】
図11は、31μg/mlのIC
50でのC3a形成の用量依存性阻害を示している。抗C3bは、
図12に示すように、C5b−9形成を阻害した。
【0085】
実施例7:体外循環後のNM9405によるTNF−α形成の阻害
活性化された単球は、炎症媒介物質であるTNF−αを放出する。単球は、C3aにより活性化される。抗C3b処理された体外循環中の血液試料は、TNF−αの用量依存的阻害を示す。
【0086】
TNF−αは、複数の疾患病状に関係づけられた強力な炎症性サイトカインである。TNF−αは、他の炎症媒介物質を動員して炎症反応を増悪させ、アポトーシスならびに細胞および組織の損傷を誘発する炎症促進性サイトカインである。TNF−α阻害は、炎症反応阻害の重要なマーカである。抗TNF薬および生物製剤の検証により、疾患の重要な利益がもたらされた。チュービングループ循環に続いて、血漿試料をTNF−αアッセイ(BD−Biosciences)にも供した。
【0087】
図13に示されたように、抗C3bは、TNF−α形成の用量依存的阻害を示し、IC
50は約44μg/mlで観察された。
【0088】
実施例8:モノクローナル抗体の産生
マウスモノクローナル抗体の産生は、当業者により記載されており、一般的方法となっている。典型的には抗原、この場合C3bタンパク質を、モノクローナル抗体を産生する手法でマウスに投与した。ヒト化およびキメラ抗体が、CDRグラフティングにより、一般的な定常領域を利用して産生された。C3bに特異的なマウスモノクローナル抗体を、副経路阻害アッセイに基づいて選択した。C3bは、古典的経路の一部でもあり、意外にもこの抗C3b抗体は、古典的経路を阻害せず、副経路のみを阻害する。マウス抗体は、キメラおよびヒト化抗体に変換された。
【0089】
実施例9:キメラ抗C3bモノクローナル抗体はC3bに結合する
キメラ抗C3b抗体Fabは、基質結合C3bに結合する。ポリスチレン製マイクロタイタープレートウェル(96ウェル培地は結合プレート、Corning Costar、マサチューセッツ州ケンブリッジ所在)に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)中のC3b(2μg/50μl/ウェル、Complement Technology、テキサス州タイラー所在)を4℃で一晩コーティングした。C3b溶液を吸引した後、ウェルを1%ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma Chemical)を含有するPBSで1時間、室温でブロッキングした。C3bコーティングを有さないウェルを、バックグランド対照とした。ブロッキング溶液中のキメラ抗体のアリコットを、C3bコーティングELISAウェルに添加した。結合したキメラ抗体の量を、ペルオキシダーゼコンジュゲート抗ヒトIgG軽鎖抗体で検出した。
【0090】
図14は、クローンのうち2種が基質結合C3bに結合することを示している。
【0091】
実施例10:キメラ抗C3bモノクローナル抗体は副補体経路を阻害する
キメラ抗C3b抗体Fabは、C3bに結合し、副経路に依存的な赤血球溶解を阻害する。アッセイは、実施例3に記載されたものと同様である。
【0092】
実施例11:抗C3bモノクローナル抗体は0.33:1(抗体:C3b)の比でC3bを中和する
様々な濃度の抗C3b抗体を、一定濃度の正常ヒト血清に添加した。血清−抗体混合物を、実施例3に示したように、ウサギ赤血球に添加して溶血アッセイに供した。抗体は、高濃度では赤血球溶血を阻害し、変曲点はほぼ1000nMの抗体濃度であった。存在する総C3は、3200nMの範囲内である。これらのデータから、抗体:C3の比が0.33:1となる化学量論比が示唆される。
【0093】
実施例12:マウスCDRのヒトフレームワーク領域へのCDRグラフティング
マウスCDRを様々なフレームワークにグラフティングして、
図17および18に示されたヒト化抗体を生成した。フレームワークおよびCDRは両者とも、
図19に含まれ、フレームワークは、
図20、21、および22に含まれる。