特許第6262717号(P6262717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6262717-保護膜付チップの製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262717
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】保護膜付チップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20180104BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20180104BHJP
   C09J 155/00 20060101ALI20180104BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   H01L21/78 M
   C09J7/02 Z
   C09J155/00
   H01L21/60 311Q
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-505503(P2015-505503)
(86)(22)【出願日】2014年3月12日
(86)【国際出願番号】JP2014056436
(87)【国際公開番号】WO2014142151
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2016年12月19日
(31)【優先権主張番号】特願2013-50864(P2013-50864)
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】高野 健
(72)【発明者】
【氏名】加太 章生
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−33637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
C09J 7/02
C09J 155/00
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材及び第1粘着剤層を構成層として含む粘着シートの第1粘着剤層上に、保護膜形成用フィルムが第2粘着剤層を介して設けられた保護膜形成用複合シートであって、
第2粘着剤層の平面視における形状が、粘着シートの平面視における形状に含まれる形状であり、
第1粘着剤層が、エネルギー線硬化性粘着剤またはエネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなり、
第2粘着剤層が、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなり、
第2粘着剤層の25℃における引張弾性率が、200〜2000MPaであり、
保護膜形成用フィルムが熱硬化性である保護膜形成用複合シートを用いて、
以下の工程(1)〜(3)を、この順で行う保護膜付チップの製造方法;
工程(1):保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムをワークに貼付する工程、
工程(2):保護膜形成用フィルムを加熱硬化して保護膜を得る工程、
工程(3):保護膜と第2粘着剤層とを分離する工程。
【請求項2】
第2粘着剤層の25℃における引張弾性率が、500〜2000MPaである請求項1に記載の保護膜付チップの製造方法
【請求項3】
基材が、ポリプロピレンフィルムを1層以上含むフィルムからなる請求項1または2に記載の保護膜付チップの製造方法
【請求項4】
粘着シートを、第2粘着剤層から剥離する粘着力測定試験において、第1粘着剤層および第2粘着剤層の少なくともいずれかが凝集破壊し、又は粘着力が0.8N/25mm以上である請求項1〜のいずれかに記載の保護膜付チップの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハや半導体チップに保護膜を形成でき、かつ、半導体チップの製造効率の向上が可能な保護膜形成用複合シートに関する。特に、いわゆるフェースダウン(face down)方式で実装される半導体チップの製造に用いられる保護膜形成用複合シートに関する。
【0002】
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプなどの電極を有する半導体チップ(以下、単に「チップ」ともいう。)が用いられ、該電極が基板と接合される。このため、チップの回路面とは反対側の面(チップ裏面)は剥き出しとなることがある。
【0003】
この剥き出しとなったチップ裏面は、有機膜により保護されることがある。従来、この有機膜からなる保護膜を有するチップは、液状の樹脂をスピンコート法によりウエハ裏面に塗布し、乾燥し、硬化してウエハとともに保護膜を切断して得られる。しかしながら、このようにして形成される保護膜の厚み精度は充分でないため、製品の歩留まりが低下することがあった。
【0004】
上記問題を解決するため、ダイシングテープ上に半導体裏面用フィルムを積層したダイシングテープ一体型半導体裏面用フィルムが開示されている(特許文献1)。
【0005】
半導体裏面用フィルムを支持するダイシングテープには、リングフレーム等の治具に対する良好な保持力と、ピックアップ時における良好な剥離性とが求められる。
【0006】
近年の半導体パッケージの薄型化、小型化により、上記の保持力および剥離性を同時に達成する必要があり、同時解決が困難を極めている。チップをピックアップするための優れた剥離性を得るためには、ダイシングテープの粘着剤層を構成する粘着剤を低粘着性とすることが考えられる。しかしながら、粘着剤を低粘着性とすると、リングフレームに対する良好な保持力が失われる懸念があった。
【0007】
このような問題を解決するため、特許文献1においては、半導体裏面用フィルムとダイシングテープとの間に、別途粘着剤層を設け、リングフレームに対する保持力とピックアップ時における剥離性との両立を図っている。このようなダイシングテープ一体型半導体裏面用フィルムを用いた半導体装置の製造においては、半導体裏面用フィルムを有するチップを基板等に接合した後、半導体裏面用フィルムの硬化を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−33637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のダイシングテープ一体型半導体裏面用フィルムは、必ずしもピックアップ性(剥離性)が十分でないことがあった。ダイシングテープ一体型半導体裏面用フィルムを半導体ウエハに貼付した後、半導体裏面用フィルムを熱硬化し、次いでダイシング、ピックアップをするプロセスに用いると、熱硬化中に粘着剤層と裏面用フィルムの接着が強くなり、ピックアップ性が低下することがある。特許文献1のダイシングテープ一体型半導体裏面フィルムでは、このような条件がより過酷なプロセスにおいて、ピックアップ性を維持できなくなる懸念があった。
【0010】
そこで、半導体裏面用フィルムとダイシングテープ(本発明における粘着シート)との間に設けられた粘着剤層(本発明における第2粘着剤層)に良好なピックアップ性を求め、該粘着剤層の粘着性を低下させると、ダイシングテープと該粘着剤層との接着性が低下することがあった。その結果、ピックアップ時に半導体裏面用フィルムに該粘着剤層が残ってしまうという不具合を生じることがあった。このような接着性の低下は、単純にダイシングシート(粘着シート)の粘着性を向上させただけでは対応できないものであった。
【0011】
本発明の課題は、リングフレーム等の治具に対する良好な保持力と、ピックアップ時における剥離性に優れ、かつ、第2粘着剤層と粘着シートにおける粘着剤層(第1粘着剤層)との接着性の低下に起因した不具合を防止することができる保護膜形成用複合シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の要旨を含む。
〔1〕基材及び第1粘着剤層を構成層として含む粘着シートの第1粘着剤層上に、保護膜形成用フィルムが第2粘着剤層を介して設けられた保護膜形成用複合シートであって、
第2粘着剤層の平面視における形状が、粘着シートの平面視における形状に含まれる形状であり、
第1粘着剤層が、エネルギー線硬化性粘着剤またはエネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなり、
第2粘着剤層が、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなり、
第2粘着剤層の25℃における引張弾性率が、200〜2000MPaである保護膜形成用複合シート。
【0013】
〔2〕第2粘着剤層の25℃における引張弾性率が、500〜2000MPaである〔1〕に記載の保護膜形成用複合シート。
【0014】
〔3〕保護膜形成用フィルムが熱硬化性である〔1〕または〔2〕に記載の保護膜形成用複合シート。
【0015】
〔4〕基材が、ポリプロピレンフィルムを1層以上含むフィルムからなる〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の保護膜形成用複合シート。
【0016】
〔5〕粘着シートを、第2粘着剤層から剥離する粘着力測定試験において、第1粘着剤層および第2粘着剤層の少なくともいずれかが凝集破壊し、又は粘着力が0.8N/25mm以上である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の保護膜形成用複合シート。
【0017】
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の保護膜形成用複合シートを製造する方法であって、
粘着シートの第1粘着剤層上に第2粘着剤層を積層する工程、
第1粘着剤層と第2粘着剤層とを積層した後に、第1粘着剤層を硬化する工程を有する保護膜形成用複合シートの製造方法。
【0018】
〔7〕以下の工程(1)〜(3)を、この順で行う保護膜付チップの製造方法;
工程(1):上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムをワークに貼付する工程、
工程(2):保護膜形成用フィルムを加熱硬化して保護膜を得る工程、
工程(3):保護膜と第2粘着剤層とを分離する工程。
【発明の効果】
【0019】
本発明の保護膜形成用複合シートによれば、リングフレーム等の治具に対して良好な保持力を有し、保護膜付チップのピックアップ性に優れ、かつ、粘着剤層(図1に示す第2粘着剤層3)と粘着シートにおける粘着剤層(図1に示す第1粘着剤層2)との接着性の低下に起因した不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る保護膜形成用複合シートの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の保護膜形成用複合シートの詳細を説明する。
図1に示すように、保護膜形成用複合シート10は、基材1及び第1粘着剤層2を構成層として含む粘着シート5の第1粘着剤層2上に、保護膜形成用フィルム4が第2粘着剤層3を介して設けられている。
【0022】
〔基材〕
基材は特に限定されず、たとえばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。これらのうちでも、ポリプロピレンフィルムを1層以上含むフィルムからなる基材は、耐熱性が高く、保護膜形成用フィルムの硬化時に粘着シートが貼り合わされた状態でも変形が小さく、また、変形しても復元しやすい点、ピックアップ性を維持しやすい点、エキスパンドが可能である点などから好ましい。
【0023】
基材の厚さは特に限定されず、好ましくは30〜300μm、より好ましくは50〜200μmである。基材の厚みを上記範囲とすることで、保護膜形成用複合シートが十分な可とう性を有するため、ワーク(例えば半導体ウエハ等)に対して良好な貼付性を示す。
【0024】
また、基材が第1粘着剤層と接する面には、第1粘着剤層との接着性を向上させるために、コロナ処理を施したり、プライマー等の他の層を設けてもよい。
【0025】
〔第1粘着剤層〕
第1粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤またはエネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなる。
第1粘着剤層を上記の粘着剤で構成することで、後述する第2粘着剤層との接着性を向上させることができる。これは、第1粘着剤層と後述する第2粘着剤層とに含まれるエネルギー線硬化性粘着剤におけるエネルギー線重合性基が結合した構造や、エネルギー線重合性基同士の親和性が高いこと、また、場合によってエネルギー線重合性基同士が結合することに起因すると考えられる。なお、第1粘着剤層や第2粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなるものであり、硬化済みであっても、残存しているエネルギー線重合性基(未反応のエネルギー線重合性基)が存在するために、エネルギー線重合性基同士の結合は発生しうると考えられる。また、後述する保護膜形成用複合シートの製造工程において、第1粘着剤層と第2粘着剤層を積層した後にエネルギー線照射を行わない場合であっても、エネルギー線重合性基同士が結合する反応は、第1粘着剤層と第2粘着剤層の積層後、緩やかに進行し、結合が生成するものと考えられる。
その結果、保護膜付チップを製造する際に、保護膜形成用フィルムを加熱硬化して得られる保護膜と第2粘着剤層との間の接着力よりも、第1粘着剤層と第2粘着剤層との間の接着力の方がより強いことに起因して、保護膜と第2粘着剤層との間での剥離を行うことが容易となる。
【0026】
本発明におけるエネルギー線重合性基は、重合性の炭素−炭素二重結合を有する官能基であり、具体的な例としてはビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基が挙げられる。本発明におけるエネルギー線重合性基は、ラジカル存在下でラジカルを生成して重付加反応を容易に起こすため、重合性を有しない二重結合を意味しない。たとえば、エネルギー線硬化性粘着剤を構成する各成分には芳香環が含まれていてもよいが、芳香環の不飽和構造は本発明におけるエネルギー線重合性基を意味しない。
【0027】
粘着剤は、通常重合体(A)を含有し、またエネルギー線硬化性化合物(B)を含有する。エネルギー線硬化性化合物(B)は、エネルギー線重合性基を含み、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化し、粘着剤の粘着性を低下させる機能を有する。
また、上記成分(A)および(B)の性質を兼ね備えるものとして、主鎖または側鎖に、エネルギー線重合性基が結合されてなるエネルギー線硬化型重合体(以下、成分(AB)と記載する場合がある)を用いることもできる。このようなエネルギー線硬化型重合体(AB)は、重合体としての機能とエネルギー線硬化性とを兼ね備える性質を有する。
【0028】
エネルギー線硬化性粘着剤としては特に限定されないが、アクリル系粘着剤を例として具体的に説明する。アクリル系粘着剤は、重合体(A)として、アクリル系重合体(A1)を含有する。
【0029】
アクリル系重合体(A1)としては、従来公知のアクリル系重合体を用いることができる。アクリル系重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜200万であることが好ましく、10万〜150万であることがより好ましい。また、アクリル系重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−70〜30℃、さらに好ましくは−60〜20℃の範囲にある。
【0030】
アクリル系重合体(A1)を構成するモノマーには、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体が含まれる。
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート;シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレートなどの環状骨格を有する(メタ)アクリレート;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;モノメチルアミノ(メタ)アクリレート、モノエチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリレート;2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレートなどのカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等が共重合されていてもよい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
なお、本明細書で(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタクリルの両者を包含する意味で用いることがある。
【0032】
アクリル系重合体(A1)は架橋されていてもよい。アクリル系重合体(A1)を架橋する場合は、架橋される前のアクリル系重合体(A1)が水酸基等の架橋性官能基を有しており、第1粘着剤層を形成するための組成物中に架橋剤を添加する。架橋性官能基と架橋剤の有する官能基が反応することでアクリル系重合体(A1)が架橋される。アクリル系重合体(A1)を架橋することにより、第1粘着剤層の凝集力を調節することが可能となる。
【0033】
架橋剤としては有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物などが挙げられる。
【0034】
有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
【0035】
有機多価イソシアネート化合物として、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート、およびこれらの多価アルコールアダクト体が挙げられる。
【0036】
有機多価イミン化合物として、具体的には、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートおよびN,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
【0037】
架橋剤は架橋する前のアクリル系重合体100質量部に対して通常0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜12質量部の比率で用いられる。
【0038】
本発明において、第1粘着剤層を構成する成分の含有量の態様について、アクリル系重合体の含有量を基準として定める場合、アクリル系重合体が架橋されたアクリル系重合体であるときは、その基準とする含有量は、架橋される前のアクリル系重合体の含有量である。
【0039】
エネルギー線硬化性化合物(B)は、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する化合物である。このエネルギー線硬化性化合物の例としては、エネルギー線重合性基を有する低分子量化合物(単官能、多官能のモノマーおよびオリゴマー)が挙げられ、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどのアクリレート、ジシクロペンタジエンジメトキシジアクリレート、イソボルニルアクリレートなどの環状脂肪族骨格含有アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレート、イタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が用いられる。このような化合物は、分子内にエネルギー線重合性基を有し、通常は、分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000程度である。
【0040】
一般的には成分(A)(後述するエネルギー線硬化型重合体(AB)を含む)100質量部に対して、エネルギー線重合性基を有する低分子量化合物は好ましくは0〜200質量部、より好ましくは1〜100質量部、さらに好ましくは、1〜30質量部程度の割合で用いられる。
【0041】
上記成分(A)および(B)の性質を兼ね備えるエネルギー線硬化型重合体(AB)は、重合体の主鎖、側鎖または末端に、エネルギー線重合性基が結合されてなる。
【0042】
エネルギー線硬化型重合体の主鎖、側鎖または末端に結合するエネルギー線重合性基は、アルキレン基、アルキレンオキシ基、ポリアルキレンオキシ基を介してエネルギー線硬化型重合体の主鎖、側鎖または末端に結合していてもよい。
【0043】
エネルギー線硬化型重合体(AB)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜200万であることが好ましく、10万〜150万であることがより好ましい。また、エネルギー線硬化型重合体(AB)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−70〜30℃、より好ましくは−60〜20℃の範囲にある。なお、後述するヒドロキシ基等の官能基を含有するアクリル系重合体と、重合性基含有化合物とを反応させて得たエネルギー線硬化型重合体(AB)の場合には、Tgは重合性基含有化合物と反応させる前のアクリル系重合体のTgである。
【0044】
エネルギー線硬化型重合体(AB)は、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を含有するアクリル系重合体と、該官能基と反応する置換基とエネルギー線重合性炭素−炭素二重結合を1分子毎に1〜5個を有する重合性基含有化合物とを反応させて得られる。アクリル系重合体は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体と、前述した成分(A)を構成するモノマーとからなる共重合体であることが好ましい。該重合性基含有化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0045】
エネルギー線硬化型重合体(AB)を、ヒドロキシ基等の官能基を含有するアクリル系重合体と、重合性基含有化合物とを反応させて得た場合、エネルギー線硬化型重合体(AB)は、上述のアクリル系重合体(A1)同様、架橋されていてもよい。
【0046】
上記のようなアクリル系重合体(A1)、エネルギー線硬化性化合物(B)及び/又は、エネルギー線硬化型重合体(AB)を含むアクリル系粘着剤は、エネルギー線照射により硬化する。エネルギー線としては、具体的には、紫外線、電子線等が用いられる。
【0047】
また、エネルギー線硬化性化合物(B)や、エネルギー線硬化型重合体(AB)に光重合開始剤を組み合わせることで、重合硬化時間を短くし、ならびに光線照射量を少なくすることができる。
【0048】
このような光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2−ジフェニルメタン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
光重合開始剤の配合割合は、エネルギー線硬化性化合物(B)やエネルギー線硬化型重合体(AB)100質量部に対して0.1〜10質量部含まれることが好ましく、1〜5質量部含まれることがより好ましい。
光重合開始剤の配合割合が0.1質量部未満であると光重合の不足で満足な硬化性が得られないことがあり、10質量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、不具合の原因となることがある。
【0050】
第1粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなる粘着剤層であってもよい。エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなる粘着剤層は、後述する保護膜形成用複合シートの製造方法において説明するエネルギー線照射により、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させて得られるものである。なお、後述の第2粘着剤層についても同様である。
【0051】
第1粘着剤層の厚さは特に限定されないが、好ましくは3〜80μm、さらに好ましくは4〜50μm、特に好ましくは5〜30μmである。
【0052】
〔第2粘着剤層〕
第2粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなる。エネルギー線硬化性粘着剤としては、上述した第1粘着剤層におけるエネルギー線硬化性粘着剤と同様のものを用いることができるが、保護膜形成用フィルムへの低分子量成分(例えばエネルギー線硬化性化合物等)の移行を抑制するという観点から、エネルギー線硬化性粘着剤としてエネルギー線硬化型重合体を用いることが好ましい。保護膜形成用フィルムに低分子量成分が移行すると、保護膜形成用フィルムの硬化性が低下し、保護膜付チップを用いた半導体装置の信頼性に劣ることがある。なお、エネルギー線硬化型重合体は特に限定されず、例えば第1粘着剤層に含まれるエネルギー線硬化型粘着剤と同様のものを用いることができる。
【0053】
また、第2粘着剤層の25℃における引張弾性率は200〜2000MPaである。
このような構成の第2粘着剤層によれば、第1粘着剤層との接着性に優れる一方、保護膜との剥離性に優れるため、保護膜付チップのピックアップ性が向上する。第2粘着剤層の25℃における引張弾性率は好ましくは500〜2000MPa、より好ましくは500〜1500MPaである。このような範囲であれば、保護膜付チップのピックアップ性が一層向上する。特に、保護膜形成用複合シートの粘着シートを除去せずに、保護膜形成用フィルムを粘着シートごと熱硬化工程に投入した場合であっても、保護膜付チップのピックアップ性が優れたものとなる。第2粘着剤層の25℃における引張弾性率は、アクリル系重合体を構成する単量体を選択することにより制御できる。なかでも、酢酸ビニルの配合量を調整することにより第2粘着剤層の25℃における引張弾性率の制御が容易となる。また、エネルギー線硬化型重合体を用いる場合には、官能基を含有するアクリル系重合体に反応させる重合性基含有化合物の配合量により第2粘着剤層の25℃における引張弾性率を制御できる。
【0054】
第2粘着剤層の厚さは特に限定されないが、好ましくは2〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは5〜10μmである。
【0055】
第2粘着剤層の平面視における形状は、上述した粘着シートの平面視における形状に含まれる形状であれば特に限定されず、例えばワークと略同形状またはワークの形状をそっくり含むことのできる形状が挙げられる。
【0056】
〔保護膜形成用フィルム〕
保護膜形成用フィルムは、(1)シート形状維持性、(2)初期接着性、(3)硬化性を有しているものであればよい。
【0057】
保護膜形成用フィルムには、バインダー成分の添加により(1)シート形状維持性および(3)硬化性を付与することができ、バインダー成分としては、重合体成分および硬化性成分を含有する第1のバインダー成分または重合体成分および硬化性成分の性質を兼ね備えた硬化性重合体成分を含有する第2のバインダー成分を用いることができる。
【0058】
保護膜形成用フィルムを硬化までの間、ワークに仮着させておくための機能である(2)初期接着性は、感圧接着性であってもよく、熱により軟化して接着する性質であってもよい。(2)初期接着性は、通常バインダー成分の諸特性や、後述する無機フィラーの配合量の調整などにより制御される。
【0059】
(第1のバインダー成分)
第1のバインダー成分は、重合体成分と硬化性成分を含有することにより、保護膜形成用フィルムにシート形状維持性と硬化性を付与する。なお、第1のバインダー成分は、第2のバインダー成分と区別する便宜上、硬化性重合体成分を含有しない。
【0060】
(a)重合体成分
重合体成分(a)は、保護膜形成用フィルムにシート形状維持性を付与することを主目的として保護膜形成用フィルムに添加される。
【0061】
上記の目的を達成するため、重合体成分(a)の重量平均分子量(Mw)は、通常20,000以上であり、20,000〜3,000,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)法(ポリスチレン標準)により測定される場合の値である。このような方法による測定は、たとえば、東ソー社製の高速GPC装置「HLC−8120GPC」に、高速カラム「TSK gurd column HXL−H」、「TSK Gel GMHXL」、「TSK Gel G2000 HXL」(以上、全て東ソー社製)をこの順序で連結したものを用い、カラム温度:40℃、送液速度:1.0mL/分の条件で、検出器を示差屈折率計として行われる。
【0062】
なお、後述する硬化性重合体成分(ab)と区別する便宜上、重合体成分(a)は後述する硬化機能官能基を有しない。
【0063】
重合体成分(a)としては、アクリル系重合体、ポリエステル、フェノキシ樹脂(後述する硬化性重合体と区別する便宜上、エポキシ基を有しないものに限る。)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ゴム系重合体等を用いることができる。また、これらの2種以上が結合したもの、たとえば、水酸基を有するアクリル重合体であるアクリルポリオールに、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを反応させることにより得られるアクリルウレタン樹脂等であってもよい。さらに、2種以上が結合した重合体を含め、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体成分(a)としてアクリル系重合体(a1)を用いる場合には、上述のアクリル系粘着剤が含有するアクリル系重合体(A1)と同じものを用いることができる。
【0064】
また、重合体成分(a)として、ポリエステル、フェノキシ樹脂(後述する硬化性重合体と区別する便宜上、エポキシ基を有しないものに限る。)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ゴム系重合体またはこれらの2種以上が結合したものから選ばれる非アクリル系樹脂(a2)の1種単独または2種以上の組み合わせを用いてもよい。このような樹脂としては、重量平均分子量が20,000〜100,000のものが好ましく、20,000〜80,000のものがさらに好ましい。
【0065】
非アクリル系樹脂(a2)のガラス転移温度は、好ましくは−30〜150℃、さらに好ましくは−20〜120℃の範囲にある。
【0066】
非アクリル系樹脂(a2)を、アクリル系重合体(a1)と併用した場合には、後述する保護膜形成用複合シートを用いてワークへ硬化後の保護膜形成用フィルム(保護膜)を転写する際に、保護膜と第2粘着剤層の層間剥離を容易に行うことができる。また、転写面の凹凸に保護膜形成用フィルムが追従しやすくなる傾向がある。
【0067】
非アクリル系樹脂(a2)を、アクリル系重合体(a1)と併用する場合には、非アクリル系樹脂(a2)の含有量は、非アクリル系樹脂(a2)とアクリル系重合体(a1)との質量比において、通常1:99〜60:40、好ましくは1:99〜30:70の範囲にある。非アクリル系樹脂(a2)の含有量がこの範囲にあることにより、上記の効果をより高い程度で得ることができる。
【0068】
(b)硬化性成分
硬化性成分(b)は、保護膜形成用フィルムに硬化性を付与することを主目的として保護膜形成用フィルムに添加される。硬化性成分(b)としては、熱硬化性成分(b1)を用いることができる。保護膜形成用フィルムが熱硬化性成分(b1)を含有する場合、保護膜形成用フィルムは熱硬化性となる。熱硬化性成分(b1)は、少なくとも加熱により反応する官能基を有する化合物を含有する。硬化性成分(b)が有する官能基同士が反応し、三次元網目構造が形成されることにより硬化が実現される。硬化性成分(b)は、重合体成分(a)と組み合わせて用いるため、保護膜形成用フィルムを形成するための塗工用組成物の粘度上昇を抑制し、取り扱い性を向上させる等の観点から、通常その重量平均分子量(Mw)は、10,000以下であり、100〜10,000であることが好ましい。
【0069】
(b1)熱硬化性成分
熱硬化性成分(b1)としては、たとえば、エポキシ系熱硬化性成分が好ましい。エポキシ系熱硬化性成分は、エポキシ基を有する化合物(b11)を含有し、エポキシ基を有する化合物(b11)と熱硬化剤(b12)を組み合わせたものを用いることが好ましい。
【0070】
(b11)エポキシ基を有する化合物
エポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」ということがある。)としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、多官能系エポキシ樹脂や、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂など、分子中に2官能以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
エポキシ化合物(b11)の含有量は、重合体成分(a)100質量部に対して、1〜1500質量部であることが好ましく、3〜1200質量部であることがより好ましい。
【0072】
(b12)熱硬化剤
熱硬化剤(b12)は、エポキシ化合物に対する硬化剤として機能する。好ましい熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物などが挙げられ、さらに好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。
【0073】
フェノール系硬化剤(フェノール性水酸基を有する熱硬化剤)の具体的な例としては、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂が挙げられる。アミン系硬化剤(アミノ基を有する熱硬化剤)の具体的な例としては、DICY(ジシアンジアミド)が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0074】
熱硬化剤(b12)の含有量は、エポキシ化合物100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。
【0075】
(b13)硬化促進剤
硬化促進剤(b13)を、保護膜形成用フィルムの熱硬化の速度を調整するために用いてもよい。硬化促進剤(b13)は、特に、熱硬化性成分として、エポキシ系熱硬化性成分を用いるときに好ましく用いられる。
【0076】
好ましい硬化促進剤(b13)としては、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0077】
硬化促進剤(b13)は、エポキシ化合物(b11)および熱硬化剤(b12)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部の量で含まれる。硬化促進剤(b13)を上記範囲の量で含有することにより、高温度高湿度下に曝されても、保護膜形成用フィルムはワークに対して優れた接着性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても高い信頼性を達成することができる。硬化促進剤(b13)の含有量が少ないと硬化不足で十分な接着性が得られず、過剰であると高い極性をもつ硬化促進剤(b13)は高温度高湿度下で保護膜形成用フィルム中を接着界面側に移動し、偏析することにより半導体装置の信頼性を低下させることがある。
【0078】
(第2のバインダー成分)
第2のバインダー成分は、硬化性重合体成分(ab)を含有することにより、保護膜形成用フィルムに造膜性(シート形成性)と硬化性を付与する。
【0079】
(ab)硬化性重合体成分
硬化性重合体成分(ab)は、硬化機能官能基を有する重合体である。硬化機能官能基は、互いに反応して三次元網目構造を構成しうる官能基であり、加熱により反応する官能基が挙げられる。
【0080】
硬化機能官能基は、硬化性重合体の骨格となる連続構造の単位中に付加していてもよいし、末端に付加していてもよい。硬化機能官能基が硬化性重合体成分の骨格となる連続構造の単位中に付加している場合、硬化機能官能基は側鎖に付加していてもよいし、主鎖に直接付加していてもよい。硬化性重合体成分(ab)の重量平均分子量(Mw)は、保護膜形成用フィルムにシート形状維持性を付与する目的を達成する観点から、通常20,000以上である。
【0081】
加熱により反応する官能基としてはエポキシ基が挙げられる。エポキシ基を有する硬化性重合体成分としては、エポキシ基を有するフェノキシ樹脂が挙げられ、具体的な製品名としては、三菱化学株式会社製のjER1256、jER4250等が挙げられる。
【0082】
また、エポキシ基を有する硬化性重合体成分は、上述のアクリル系重合体(a1)と同様の重合体であって、単量体として、エポキシ基を有する単量体を用いて重合したもの(エポキシ基含有アクリル系重合体)であってもよい。このような単量体としては、たとえばグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0083】
エポキシ基含有アクリル系重合体を用いる場合、その好ましい態様はアクリル系重合体(a1)と同様である。
【0084】
エポキシ基を有する硬化性重合体成分を用いる場合には、硬化性成分としてエポキシ系熱硬化性成分を用いる場合と同様、熱硬化剤(b12)や、硬化促進剤(b13)を併用してもよい。
【0085】
第2のバインダー成分は、硬化性重合体成分(ab)と併せて、上述の重合体成分(a)や硬化性成分(b)を含有していてもよい。
【0086】
保護膜形成用フィルムが熱硬化性成分(b1)および硬化性重合体成分(ab)のいずれか単独または両方を含有する場合には、保護膜形成用フィルムは熱硬化性を有することとなる。より十分な熱硬化性を保護膜形成用フィルムに付与するためには、保護膜形成用フィルムが少なくとも熱硬化性成分(b1)を含有していることが好ましい。しかしながら、保護膜形成用フィルムが熱硬化性成分(b1)のみを含有する場合には、保護膜形成用フィルムのシート形状維持性が劣ることがある。そこで、保護膜形成用フィルムは、熱硬化性成分(b1)と、重合体成分(a)および硬化性重合体成分(ab)のいずれか単独または両方と、を含有することが好ましい。
【0087】
保護膜形成用フィルムにさらに十分な熱硬化性を付与する観点から、保護膜形成用フィルムが含有する熱硬化性成分(b1)の量は、重合体成分(a)および硬化性重合体成分(ab)の合計100質量部に対して、50〜300質量部であることが好ましく、70〜250質量部であることがより好ましい。
【0088】
保護膜形成用フィルムには、バインダー成分のほか、以下の成分を含有させてもよい。
【0089】
(c)無機フィラー
保護膜形成用フィルムは、無機フィラー(c)を含有していてもよい。無機フィラー(c)を保護膜形成用フィルムに配合することにより、硬化後の保護膜形成用フィルムにおける熱膨張係数を調整することが可能となり、ワークに対して硬化後の保護膜形成用フィルムの熱膨張係数を最適化することで半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、硬化後の保護膜形成用フィルムの吸湿率を低減させることも可能となる。
【0090】
好ましい無機フィラー(c)としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられる。これらのなかでも、シリカフィラーおよびアルミナフィラーが好ましい。上記無機フィラーは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。上述の効果をより確実に得るための、無機フィラー(c)の含有量の範囲としては、保護膜形成用フィルムを構成する全固形分100質量部に対して、好ましくは1〜80質量部、より好ましくは5〜75質量部、特に好ましくは15〜60質量部である。
【0091】
(d)着色剤
保護膜形成用フィルムには、着色剤(d)を配合することができる。着色剤(d)を配合することで、半導体装置を機器に組み込んだ際に、周囲の装置から発生する赤外線等による半導体装置の誤作動を防止することができる。また、レーザーマーキング等の手段により保護膜形成用フィルムに刻印を行った場合に、文字、記号等のマークが認識しやすくなるという効果がある。
着色剤(d)としては、有機または無機の顔料および染料が用いられる。これらの中でも電磁波や赤外線遮蔽性の点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられるが、これらに限定されることはない。半導体装置の信頼性を高める観点からは、カーボンブラックが特に好ましい。着色剤(d)の配合量は、保護膜形成用フィルムを構成する全固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜35質量部、さらに好ましくは0.5〜25質量部、特に好ましくは1〜15質量部である。
【0092】
(e)カップリング剤
無機物と反応する官能基および有機官能基と反応する官能基を有するカップリング剤(e)を、保護膜形成用フィルムのワークに対する接着性および/または保護膜形成用フィルムの凝集性を向上させるために用いてもよい。また、カップリング剤(e)を使用することで、保護膜形成用フィルムを硬化して得られる保護膜の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上することができる。このようなカップリング剤(e)としては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらのうちでも、シランカップリング剤が好ましい。
【0093】
シランカップリング剤としては、その有機官能基と反応する官能基が、重合体、硬化性成分や硬化性重合体成分などが有する官能基と反応する基であるシランカップリング剤が好ましく使用される。
このようなシランカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0094】
シランカップリング剤は、重合体成分(a)、硬化性成分(b)および硬化性重合体成分(ab)の合計100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部の割合で含まれる。シランカップリング剤の含有量が0.1質量部未満だと上記の効果が得られない可能性があり、20質量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
【0095】
(f)汎用添加剤
保護膜形成用フィルムには、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
【0096】
保護膜形成用フィルムは、単一組成のフィルムであってもよく、また組成の異なる2種以上のフィルムの積層フィルムであってもよい。2種以上のフィルムで構成する場合、たとえば、ワークに接着されるフィルムは、フィルムの接着性を向上させうる成分を比較的多量に配合し、他方のフィルム(第2粘着剤層に接するフィルム)には、硬化性成分の配合量を増加してもよい。
【0097】
保護膜形成用フィルムの厚さは特に限定されないが、好ましくは3〜300μm、より好ましくは5〜250μm、特に好ましくは7〜200μmである。
【0098】
上記のような各層からなる、本発明の保護膜形成用複合シートの構成を図1に示す。図1に示すように、保護膜形成用複合シート10は、基材1及び第1粘着剤層2を構成層として含む粘着シート5の第1粘着剤層2上に、保護膜形成用フィルム4が第2粘着剤層3を介して設けられている。保護膜形成用フィルム4は、第2粘着剤層3上に剥離可能に形成される。保護膜形成用フィルム4は、ワークと略同形状またはワークの形状をそっくり含むことのできる形状であれば特に限定されず、図1に示すように第2粘着剤層3と同形状としてもよい。
【0099】
保護膜形成用複合シートの形状は、枚葉のものに限られず、長尺の帯状のものであってもよく、これを巻収してもよい。
【0100】
また、保護膜形成用複合シートの使用前に、保護膜形成用フィルムや第1粘着剤層、第2粘着剤層を保護するために、保護膜形成用フィルム上に剥離シートを積層しておいてもよい。剥離シートとしては、上述した基材として例示したフィルムを用いることができる。剥離シートの保護膜形成用フィルムに接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。このような表面張力が比較的低い剥離シートは、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また剥離シートの表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
【0101】
剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
【0102】
上記の剥離剤を用いて剥離シートの基体となるフィルム等の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、剥離剤が塗布された剥離シートを常温下または加熱下に供するか、または電子線により硬化させて剥離剤層を形成すればよい。
【0103】
また、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などによりフィルムの積層を行うことにより剥離シートの表面張力を調整してもよい。すなわち、少なくとも一方の面の表面張力が、上述した剥離シートの保護膜形成用フィルムと接する面のものとして好ましい範囲内にあるフィルムを、当該面が保護膜形成用フィルムと接する面となるように、他のフィルムと積層した積層体を製造し、剥離シートとしてもよい。
【0104】
図1に示す構成の保護膜形成用複合シートによれば、保護膜形成用フィルムを取り囲む領域において、第1粘着剤層の十分な接着性により、保護膜形成用複合シートを治具に接着することができる。それとともに、第2粘着剤層と第1粘着剤層との界面における接着性を制御し、保護膜付チップのピックアップを容易にすることができる。
また、保護膜形成用複合シートが、ダイシング工程においてワークを支持するためのダイシングシートとして機能する場合、ダイシング工程において保護膜形成用フィルム付ウエハに別途ダイシングシートを貼り合せてダイシングをする必要がなくなり、半導体装置の製造工程を簡略化できる。
【0105】
また、保護膜形成用複合シートは、粘着シートを、第2粘着剤層から剥離する粘着力測定試験において、第1粘着剤層および第2粘着剤層の少なくともいずれかが凝集破壊し、又は粘着力が0.8N/25mm以上であることが好ましい。第1粘着剤層と第2粘着剤層の間の接着性が相対的に低い場合には、粘着力測定試験において、界面が破壊して粘着力を測定可能であるが、第1粘着剤層と第2粘着剤層の間の接着性が著しく高い場合には、第1粘着剤層と第2粘着剤層のいずれか一方、または両方が凝集破壊して粘着力が測定不能となる。粘着力測定試験は、具体的には後述する実施例に記載されているものである。保護膜形成用シートがこのような特徴を有し、第1粘着剤層と第2粘着剤層との接着性が大きいことで、本発明の効果がより向上し、たとえば、比較的サイズの大きいチップを得るプロセスに本発明の保護膜形成用複合シートを用いた場合にも、第1粘着剤層と第2粘着剤層の望ましくない剥離を防止しうる。保護膜形成用複合シートは、粘着シートを、第2粘着剤層から剥離する粘着力測定試験において、第1粘着剤層および第2粘着剤層の少なくともいずれかが凝集破壊し、又は粘着力が1.2N/25mm以上であることがより好ましい。
【0106】
このような保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムは、チップの保護膜とすることができる。保護膜形成用フィルムはフェースダウン方式のチップ裏面に貼付され、適当な手段により硬化されて封止樹脂の代替としてチップを保護する機能を有する。また、保護膜形成用フィルムを半導体ウエハに貼付した場合には、保護膜がウエハを補強する機能を有するためにウエハの破損等を防止しうる。
【0107】
[保護膜形成用複合シートの製造方法]
次に、図1に示す保護膜形成用複合シートの製造方法の一例について説明するが、本発明の保護膜形成用複合シートは、このような製造方法により得られるものに限定されるものではない。
【0108】
まず、基材の表面に第1粘着剤層を形成し、粘着シートを得る。基材の表面に第1粘着剤層を設ける方法は特に限定されず、剥離シート(第1剥離シート)上に所定の膜厚になるように、第1粘着剤層を構成するエネルギー線硬化性粘着剤を含む組成物(第1粘着剤)を塗布し形成した第1被膜を基材表面に転写する方法;基材表面に第1粘着剤を直接塗布して第1被膜を形成する方法;が挙げられる。第1被膜をエネルギー線照射により硬化することでエネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなる第1粘着剤層が得られる。また、第1被膜に対してエネルギー線照射を行わない場合は、第1被膜がそのままエネルギー線硬化性粘着剤からなる第1粘着剤層となる。
粘着シートの第1被膜と後述する第2被膜あるいは第2粘着剤層とを積層する前にエネルギー線を照射して第1被膜を硬化して、第1被膜を第1粘着剤層としておいてもよい。この場合において、第1被膜に未反応のエネルギー線重合性基が残存するように、硬化を予備的な硬化にとどめてもよい。
【0109】
エネルギー線としては、紫外線が挙げられ、波長200〜380nm程度の紫外線を含む近紫外線を用いればよい。紫外線量(光量)としては、通常50〜500mJ/cm程度であり、100〜450mJ/cmが好ましく、200〜400mJ/cmがより好ましい。また、紫外線照度は、通常50〜500mW/cm程度であり、100〜450mW/cmが好ましく、200〜400mW/cmがより好ましい。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオードなどが用いられる。以下において、照射するエネルギー線として紫外線を用いる場合は、同様にこのような範囲から適切な条件を選択して行えばよい。
剥離シートとしては、上述した基材として例示したフィルムを用いることができる。
【0110】
また、別の剥離シート(第2剥離シート)上に、第2粘着剤層を構成するエネルギー線硬化性粘着剤を含む組成物(第2粘着剤)を塗布して被膜(第2被膜)を形成する。次いで、別の剥離シート(第3剥離シート)を第2被膜上に積層し、第2剥離シート/第2被膜/第3剥離シートの積層体を得る。その後、エネルギー線照射することで、第2被膜を硬化し、第2剥離シートと第3剥離シートに挟持された第2粘着剤層を得る。
なお、第2被膜にエネルギー線照射を行わず、または第2被膜に未反応のエネルギー線重合性基が残存するように、硬化を予備的な硬化にとどめ、第1被膜あるいは第1粘着剤層との積層後、第2被膜を硬化し第2粘着剤層を形成してもよい。
【0111】
また、別の剥離シート(第4剥離シート)上に保護膜形成用組成物を塗布し保護膜形成用フィルムを形成する。次いで、別の剥離シート(第5剥離シート)を保護膜形成用フィルム上に積層し、第4剥離シート/保護膜形成用フィルム/第5剥離シートの積層体を得る。
【0112】
次いで、第2剥離シート/第2粘着剤層/第3剥離シートの積層体から第3剥離シートを、第4剥離シート/保護膜形成用フィルム/第5剥離シートの積層体から第4剥離シートを剥離しながら、第2粘着剤層と保護膜形成用フィルムを積層し、第2剥離シート/第2粘着剤層/保護膜形成用フィルム/第5剥離シートの積層体を得る。次いで、保護膜形成用フィルムに貼付されるワークと略同形状あるいはワークの形状をそっくり含むことのできる形状に、第2粘着剤層と保護膜形成用フィルムとを切込み、残余の部分を除去する。第2剥離シート/第2粘着剤層/保護膜形成用フィルム/第5剥離シートの積層体が長尺の帯状体である場合には、第5剥離シートを切り込まずにおくことで、長尺の第5剥離シートに連続的に保持された複数の第2剥離シート/第2粘着剤層/保護膜形成用フィルムの積層体を得ることができる。
【0113】
そして、第1被膜あるいは第1粘着剤層の上に第1剥離シートが積層されている場合には第1剥離シートを、第2剥離シート/第2粘着剤層/保護膜形成用フィルム/第5剥離シートからなる積層体の第2剥離シートを剥離しながら、第1被膜あるいは第1粘着剤層と第2粘着剤層とを積層し、基材/第1被膜あるいは第1粘着剤層/第2粘着剤層/保護膜形成用フィルム/第5剥離シートからなる積層体を得る。
なお、第2被膜にエネルギー線照射を行わず、または第2被膜に予備的な硬化を施し、第1被膜あるいは第1粘着剤層と積層した場合には、基材側からエネルギー線を照射し、第2被膜を硬化して第2粘着剤層とする。第1被膜が硬化されておらず、または予備的に硬化されている場合、この時点で第2被膜と同時に第1被膜にもエネルギー線が照射され、第1被膜は、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなる第1粘着剤層となる。
また、第2被膜がすでに硬化されている場合であっても、第1被膜の硬化のためにこの時点において第1被膜と第2粘着剤層の積層体にエネルギー線照射を行ってもよい。以上により、本発明の保護膜形成用複合シートを得る。
【0114】
特に、保護膜形成用複合シートにおける第1粘着剤層が、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させた粘着剤からなる場合には、第1被膜と第2粘着剤層とを積層した後に、エネルギー線照射により第1粘着剤層を硬化することで、第1粘着剤層と第2粘着剤層の接着性を向上させることができるため、保護膜付チップのピックアップ性に優れる。
【0115】
[保護膜付チップの製造方法]
次に、本発明の保護膜形成用複合シートを用いた保護膜付チップの製造方法について説明する。
【0116】
本発明の保護膜付チップの製造方法は、以下の工程(1)〜(3)をこの順で行う。
工程(1):保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムをワークに貼付する工程、
工程(2):保護膜形成用フィルムを加熱硬化して保護膜を得る工程、
工程(3):保護膜と第2粘着剤層とを分離する工程。
【0117】
ワークは、シリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハであってもよい。また、ワークとして、ガラス基板、セラミック基板、FPC基板等の有機材料基板、精密部品等の金属材料など種々の物品を挙げることができる。さらには、それらを個片化したチップでもよい。
【0118】
以下において、一例として、ワークとしてシリコンウエハを用いる保護膜付チップの製造方法を説明する。
ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。次いで、ウエハの回路面の反対面(裏面)を研削する。研削法は特に限定はされず、グラインダーなどを用いた公知の手段で研削してもよい。裏面研削時には、表面の回路を保護するために回路面に、表面保護シートと呼ばれる粘着シートを貼付する。裏面研削は、ウエハの回路面側(すなわち表面保護シート側)をチャックテーブル等により固定し、回路が形成されていない裏面側をグラインダーにより研削する。ウエハの研削後の厚みは特に限定はされないが、通常は50〜500μm程度である。
【0119】
その後、必要に応じ、裏面研削時に生じた破砕層を除去する。破砕層の除去は、ケミカルエッチングや、プラズマエッチングなどにより行われる。
【0120】
次いで、ウエハの裏面に保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムを貼付する。貼付方法は特に限定されない。
【0121】
そして、保護膜形成用フィルムを加熱硬化して、ウエハの裏面に保護膜を形成する。この結果、ウエハの裏面に硬化樹脂からなる保護膜が形成され、ウエハ単独の場合と比べて強度が向上するので、薄くなったウエハの取扱い時の破損を低減できる。また、ウエハの裏面に直接樹脂膜用の塗布液を塗布・被膜化するコーティング法と比較して、保護膜の厚さの均一性に優れる。
【0122】
次いで、ウエハと保護膜を、ウエハ表面に形成された回路毎にダイシングする(ダイシング工程)。ダイシングは、ウエハと保護膜をともに切断するように行われる。本発明の保護膜形成用複合シートは、ウエハを支持するダイシングシートの役割を果たすことができる。ダイシング工程においては、保護膜形成用複合シートの外周部がリングフレーム等の他の治具と接合することで、半導体ウエハに貼付された保護膜形成用複合シートが装置に固定され、ダイシングが行われる。保護膜形成用複合シート上での半導体ウエハのダイシングは、公知のダイシングシートを用いた常法と同様に行われる。なお、ダイシング工程は、保護膜形成用フィルムを加熱硬化して保護膜を得る工程の前に行うこともできる。
【0123】
このようにダイシングされたチップ(保護膜付チップ)をコレット等の汎用手段によりピックアップすることで、保護膜と第2粘着剤層とを分離し、保護膜付チップを得ることができる。本発明の保護膜形成用複合シートによれば、特定の粘着剤を用いて粘着剤層を形成し、第2粘着剤層の引張弾性率を特定範囲とすることで、保護膜形成用フィルムを硬化して得られる保護膜を第2粘着剤層から剥離することが容易である。また、第1粘着剤層と第2粘着剤層との接着性が低下することに起因した、ピックアップ時の第1粘着剤層と第2粘着剤層の間の剥離等の不具合が防止されうる。
【0124】
次いで、保護膜にレーザー印字することもできる。レーザー印字はレーザーマーキング法により行われ、レーザー光の照射により保護膜の表面を削り取ることで保護膜に品番等をマーキングする。
【0125】
最後に、保護膜付チップをフェースダウン方式で所定の基台上に実装することで半導体装置を製造することができる。また、裏面に保護膜を有する半導体チップを、ダイパッド部または別の半導体チップなどの他の部材上(チップ搭載部上)に接着することで、半導体装置を製造することもできる。
【実施例】
【0126】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例または比較例において、<ピックアップ性>、<第2粘着剤層の転着>、<引張弾性率>及び<粘着力測定試験>は以下のように測定・評価した。
【0127】
<ピックアップ性>
#2000の砥石で裏面研削したシリコンウエハ(200mm径、厚さ200μm)の研磨面に、保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムを、テープマウンター(リンテック社製 Adwill RAD2700)を用い貼付し、ウエハダイシング用リングフレームに固定した。
次いで、保護膜形成用複合シートとウエハとを130℃の環境下に2時間投入し、保護膜形成用フィルムを硬化した。
その後、ダイシング装置(DISCO社製 DFD651)を使用してシリコンウエハのダイシングを行い5mm×5mmのチップを得た。なお、ダイシングの際の切込み量は、基材を15μm切り込むようにし、切断速度は40mm/分であった。また、ダイシングブレードとしてはDISCO社製27HECCを用い、ブレードの回転数を35,000rpmとした。
得られたチップを、ピックアップ装置(キャノンマシナリー製 BESTEM DO2)を用いてピックアップ可能かを確認した。
具体的には、突き上げピン(5本)により、全てのピンで1000μm突き上げた後、中央のピン(1本)でさらに400μm突き上げてピックアップを行った。突き上げ速度は10mm/秒および20mm/秒で行った。
突き上げ速度が20mm/秒でピックアップ可能であった場合を「A」、10mm/秒でピックアップ可能であった場合を「B」、いずれの速度でもピックアップできなかった場合を「C」と評価した。
【0128】
<第2粘着剤層の転着>
上記ピックアップ性の評価でピックアップできた保護膜付チップの裏面(保護膜面)を確認し、第2粘着剤層が転着を起こしていないか確認した。確認方法は、保護膜付チップの厚み測定を行い、想定している厚みであることを確認した。また、保護膜面にニチバン製のセロハンテープを貼り付け、剥離した際にセロハンテープに第2粘着剤層が付着していないことを確認した。
転写不良が起こっていない場合を「A」、転写不良が起こっている場合を「B」と評価した。
【0129】
<引張弾性率>
第2粘着剤層の引張弾性率を粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製、DMA Q800)を用いて測定した。
まず、紫外線硬化前の第2粘着剤層を積層し、厚さ200μmの積層体を得た。その後、紫外線照射装置(リンテック社製 RAD−2000)を用い、照度230mW/cm、光量190mJ/cm(主波長365nm)の照射条件で紫外線照射を行ったものを試料とした。
測定条件としては、試料の測定部が長さ20mm、幅4mmとなるようにセットし、振幅16μm、測定温度領域−40〜150℃で測定を行い、25℃における周波数11Hzの引張弾性率を測定値とした。
【0130】
<粘着力測定試験>
保護膜形成用シートから保護膜形成用フィルムを除去し、幅25mmに裁断して試料とした。第2粘着剤層の露出した面を平板に固定し、23℃、50%相対湿度の環境下において、第2粘着剤層から180°の角度で、300mm/分の速度で粘着シートを剥がす際の粘着力を測定した。
【0131】
保護膜形成用フィルムの作製
また、保護膜形成用フィルムを構成する各成分とその配合量を下記に示す(成分/配合量)。各成分の配合量は固形分換算の質量部を示し、本発明において固形分とは溶媒以外の全成分をいう。
【0132】
[保護膜形成用組成物]
(a1)アクリル系重合体:n−ブチルアクリレート55質量部、メチルアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート20質量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部からなるアクリル系重合体(重量平均分子量:90万、ガラス転移温度:−28℃)/20質量部
(b1)熱硬化性成分:
(b11−1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180〜200g/eq)/20質量部
(b11−2)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製 エピクロンHP−7200HH)/10質量部
(b12)ジシアンジアミド(旭電化製 アデカハ−ドナー3636AS)/0.5質量部
(b13)硬化促進剤:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業(株)製 キュアゾール2PHZ)/0.5質量部
(c)無機フィラー:シリカフィラー(溶融石英フィラー(平均粒径8μm))/60質量部
(d)着色剤:黒色顔料(カーボンブラック(三菱化学社製#MA650、平均粒径28nm))/2質量部
(e)カップリング剤:シランカップリング剤(日本ユニカー社製 A−1110)/0.2質量部
【0133】
剥離シート(リンテック社製 SP−PET3811、厚さ38μm)に保護膜形成用組成物を乾燥後の塗布量が42g/mとなるように塗布し、110℃で2分間乾燥して保護膜形成用フィルムを形成し、保護膜形成用フィルム上に別の剥離シート(リンテック社製 SP−PET3811、厚さ38μm)を積層し、剥離シート/保護膜形成用フィルム/剥離シートの積層体を得た。
【0134】
(実施例1)
粘着シートの作製
アクリル系重合体(2−エチルヘキシルアクリレート/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート=35/60/5(質量比)、重量平均分子量:60万)に、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを60%当量(アクリル系重合体100質量部に対し4質量部)反応させたエネルギー線硬化型重合体を作製した。
【0135】
このエネルギー線硬化型重合体100質量部に、光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製 イルガキュア(登録商標)184)3.0質量部、及び架橋剤としてイソシアネート化合物(三井武田ケミカル社製 D−110N)10質量部を配合(すべて固形分換算による配合比)し、トルエン/酢酸エチル(120/70部)で希釈して粘着剤(第1粘着剤)とした。
【0136】
第1粘着剤を剥離シート(リンテック社製 SP−PET3811、厚さ38μm)に乾燥後の塗布量が5g/mとなるように塗布し、100℃で2分乾燥して第1被膜を形成した後、基材として、片面にコロナ処理を施したポリプロピレンフィルム(厚さ80μm)のコロナ処理面に積層し、剥離シート/第1被膜/基材の積層体を得た。
【0137】
第2粘着剤層の作製
アクリル系重合体(2−エチルヘキシルアクリレート/酢酸ビニル/ヒドロキシエチルアクリレート=40/40/20(質量比)、重量平均分子量:50万)にメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを80%当量(アクリル系重合体100質量部に対し21.4質量部)反応させたエネルギー線硬化型重合体を作製した。
【0138】
このエネルギー線硬化型重合体100質量部に、光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製 イルガキュア(登録商標)184)3.0質量部、及び架橋剤としてイソシアネート化合物(東洋インキ製造社製 BHS−8515)0.5質量部を配合(すべて固形分換算による配合比)し、メチルエチルケトンで希釈して粘着剤(第2粘着剤)とした。
【0139】
第2粘着剤を剥離シート(リンテック社製 SP−PET3811、厚さ38μm)に乾燥後の塗布量が10g/mとなるように塗布し、100℃で2分乾燥して第2被膜を形成した後、剥離シート(リンテック社製 SP−PET3811、厚さ38μm)を積層し、剥離シート/第2被膜/剥離シートの積層体を得た。その後、紫外線照射装置(リンテック社製 RAD−2000)を用いて、照度230mW/cm、光量190mJ/cm(主波長365nm)の照射条件で紫外線を照射して、第2被膜を硬化し、第2粘着剤層を得た。
【0140】
保護膜形成用複合シートの作製
上記で得られた、剥離シート/保護膜形成用フィルム/剥離シートの積層体と、剥離シート/第2粘着剤層/剥離シートの積層体とから、一方の剥離シートを剥離しながら、保護膜形成用フィルムと第2粘着剤層とを熱ラミネート(60℃、1m/分)した。
次いで、第2粘着剤層と保護膜形成用フィルムとを円形に抜き加工(220mm径)しつつ、第2粘着剤層に積層された剥離シートを除去した。これにより、剥離シート上に、同一の円形状の保護膜形成層および第2粘着剤層がこの順に積層された積層体を得た。そして、剥離シート/第1被膜/基材の積層体の剥離シートを剥がしながら、第2粘着剤層と第1被膜とを積層し、剥離シート/保護膜形成用フィルム/第2粘着剤層/第1被膜/基材の積層体を得た。
その後、紫外線照射装置(リンテック社製 RAD−3600)を用い、照度230mW/cm、光量190mJ/cm(主波長365nm)の照射条件で、基材側から紫外線照射を行い、第1被膜を硬化して第1粘着剤層とし、保護膜形成用フィルム上に剥離シートが積層した保護膜形成用複合シートを得た。各評価結果を表1に示す。
【0141】
(実施例2)
粘着シートの作製におけるエネルギー線硬化型重合体として、アクリル系重合体(ブチルアクリレート/メチルメタアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート=74/20/6(質量比)、重量平均分子量:35万)に、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを50%当量(アクリル系重合体100質量部に対し3質量部)反応させたエネルギー線硬化型重合体を用いた。
また、粘着シートの作製における架橋剤としてイソシアネート化合物(東洋インキ製造社製 BHS−8515)を用い、エネルギー線硬化型重合体100質量部に対して0.5質量部を配合した。
【0142】
上記以外は実施例1と同様にして、保護膜形成用複合シートを得た。各評価結果を表1に示す。
【0143】
(実施例3)
保護膜形成用複合シートの作製において、紫外線照射を行わなかったこと以外は実施例2と同様にして、保護膜形成用複合シートを得た。つまり、実施例3においては、未硬化の第1被膜を第1粘着剤層とした。各評価結果を表1に示す。
【0144】
(実施例4)
第2粘着剤層の作製におけるエネルギー線硬化型重合体として、アクリル系重合体(2−エチルヘキシルアクリレート/酢酸ビニル/ヒドロキシエチルアクリレート=60/20/20(質量比)、重量平均分子量:35万)にメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを80%当量(アクリル系重合体100質量部に対し21質量部)反応させたエネルギー線硬化型重合体を用いた。
【0145】
上記以外は実施例2と同様にして、保護膜形成用複合シートを得た。各評価結果を表1に示す。
【0146】
(比較例1)
粘着シートの作製におけるエネルギー線硬化型重合体の代わりに、アクリル系重合体(2−エチルヘキシルアクリレート/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート=35/60/5(質量比)、重量平均分子量:50万)を用いた。
また、粘着シートの作製における光重合開始剤を配合しなかった。
さらにまた、保護膜形成用複合シートの作製において、紫外線照射を行わなかった。
【0147】
上記以外は、実施例1と同様にして、保護膜形成用複合シートを得た。各評価結果を表1に示す。
【0148】
(比較例2)
第2粘着剤層の作製におけるエネルギー線硬化型重合体として、アクリル系重合体(2−エチルヘキシルアクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート=80/20(質量比)、重量平均分子量:35万)にメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを80%当量(アクリル系重合体100質量部に対し21質量部)反応させたエネルギー線硬化型重合体を用いた。
【0149】
上記以外は比較例1と同様にして、保護膜形成用複合シートを得た。各評価結果を表1に示す。
【0150】
(比較例3)
第2粘着剤層の作製におけるエネルギー線硬化型重合体として、アクリル系重合体(2−エチルヘキシルアクリレート/酢酸ビニル/ヒドロキシエチルアクリレート=60/20/20(質量比)、重量平均分子量:約35万)にメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを80%当量(アクリル系重合体100質量部に対し21質量部)反応させたエネルギー線硬化型重合体を用いた。
【0151】
上記以外は比較例1と同様にして、保護膜形成用複合シートを得た。各評価結果を表1に示す。
【0152】
【表1】
粘着力において、「凝集破壊」は第1粘着剤層および第2粘着剤層の少なくともいずれかが凝集破壊したことを示す。
【符号の説明】
【0153】
1:基材
2:第1粘着剤層
3:第2粘着剤層
4:保護膜形成用フィルム
5:粘着シート
10:保護膜形成用複合シート
図1