(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3つの前記ブレーキカムのうち、第1のブレーキカムは、一の付勢部材の一端を支持する第1支持面を有し、第2のブレーキカムは、前記一の付勢部材の他端を支持する第2支持面を有し、
前記第1支持面と前記第2支持面とは、前記径方向外側に行くほど互いに離れるように傾斜し、
前記一の付勢部材は、前記内周面に接触していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブレーキ装置。
3つの前記ブレーキカムのうち、第1のブレーキカムは、一の付勢部材の一端を支持する第1支持面を有し、第2のブレーキカムは、前記一の付勢部材の他端を支持する第2支持面を有し、
前記第1支持面と前記第2支持面とは、前記径方向内側に行くほど互いに離れるように傾斜し、
前記一の付勢部材は、前記出力側回転部材に接触していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブレーキ装置。
前記付勢部材は、コイルバネからなり、当該コイルバネは、全長に渡って前記内周面と接していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
前記ブレーキカムは、前記付勢部材の一端または他端を支持する支持面を有し、前記付勢部材は、前記カム面の延長面と前記支持面が交差する位置よりも径方向外側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3および請求項5のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
前記出力側回転部材と係合するとともに前記内周面に圧接する摩擦発生部材をさらに備え、当該摩擦発生部材は、前記出力側回転部材の軸方向から見て前記付勢部材と重なって配置されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
前記ブレーキカムと係合する入力側回転部材をさらに備え、当該入力側回転部材が前記ブレーキカムに係合する部分は、少なくとも一部が、径方向において、前記付勢部材が配置された範囲に配置されたことを特徴とする請求項1から請求項3および請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
前記ブレーキカムと係合する入力側回転部材をさらに備え、当該入力側回転部材が前記ブレーキカムに接触する面の径方向における大きさは、前記付勢部材が前記ブレーキカムに接触する面の径方向における大きさよりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
【発明の概要】
【0004】
ところで、ブレーキカムが遊びを持って外輪内に組み付けられると、複数のブレーキカムの配置のバランスが悪くなったり、ブレーキカムと外輪の内周面との密着性が悪くなり、効率良くブレーキ力を発生することができなくなるおそれがある。
【0005】
また、ブレーキ装置は、小型化、軽量化することが望まれている。
【0006】
本発明の第1の課題は、効率的にブレーキ力を発生し、小型化および軽量化を図ることが可能なブレーキ装置を提供することである。また、本発明は、ブレーキ装置を簡素な構成とすることも目的とする。
【0007】
ブレーキ装置においては、ハウジングを構成する部材、例えば、外輪とカバー部材とは、カシメにより互いに固定されるのが一般的である(例えば、特開2011−153675号公報の
図1、
図8の形状を参照)。
【0008】
しかしながら、ハウジングを構成する部材をカシメにより互いに固定すると、カシメのための出っ張り形状や、出っ張りを受け入れるための凹み形状などを形成する必要があり、形状が複雑になるという問題がある。また、ブレーキ力を発生するときに大きな応力が掛かる外輪は、できるだけシンプルな形状にした方が強度面において有利であり、必要な強度を満たしつつ、軽量化することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の課題は、ハウジングを構成する部材同士を、カシメによらず固定して、ブレーキ装置を構成する部品の形状の簡素化や、軽量化の実現を可能にすることである。
【0010】
ブレーキ装置の構成として、出力側回転部材に回転力を与えた場合に、一方および他方の両方の回転方向(第1および第2の回転方向)について、ブレーキカムが回転できない構成にしたい場合(本明細書において「双方向型」という。)と、一方の回転方向のみについてブレーキカムが回転できないように構成したい場合(本明細書において「片方向型」という。)とがある。そして、これらの両方の構成を、最小限の部品の変更で、コンパクトに実現できれば生産面において有利である。
【0011】
本発明の第3の課題は、最小限の部品の変更で、双方向型のブレーキ装置として利用することができる片方向型のブレーキ装置を提供することである。
また、本発明は、部品点数の削減や、装置のコンパクト化、軽量化を図ることも目的とする。
【0012】
ブレーキ装置は、ブレーキ装置を作動させるためのラチェット装置と組み合わせてクラッチユニットとして使用される(例えば、特開2011−153675号公報参照)。
【0013】
このようなクラッチユニットでは、ラチェット装置のハウジング内に配置される一の部品が、ハウジングに対し相対回転しないように動きが規制される。このような部品について、従来は、ハウジングに対し溶接により固定されていた。
【0014】
しかしながら、溶接は、十分な接合を有する点で強度を要する箇所には有効であるが、強度をあまり必要としない箇所の固定には必ずしも好ましくない。例えば、溶接により出っ張り(本明細書において「溶接ビード」という。)が発生することにより、溶接ビードを除去したり、もしくは、他の部品が干渉しないように十分なクリアランスを設けたりする必要が生じるからである。
【0015】
本発明の第4の課題は、不必要な溶接を廃止して、効率的に製造することが可能なクラッチユニットを提供することである。また、本発明は、十分なブレーキ力を発生できるクラッチユニットを提供することも目的とする。
【0016】
前記した第1の課題を解決するため、本発明のブレーキ装置は、円筒状の内周面を有する外輪と、前記外輪の径方向内側に周方向に3つ並んで配置され、前記内周面に対向して当該内周面と接触可能なブレーキ面と前記径方向内側を向き前記内周面の中心軸からの距離が徐々に変化するカム面とを有するブレーキカムと、前記各ブレーキカムの前記径方向内側に配置された出力側回転部材とを備え、前記出力側回転部材は、前記カム面に当接可能な当接部を有し、前記ブレーキカムに回転トルクを与えると前記カム面が前記当接部を押して前記出力側回転部材が回転する一方、前記出力側回転部材に回転トルクを与えても、少なくとも一方の回転方向については、前記当接部が前記カム面を押して前記ブレーキ面が前記外輪の前記内周面に押し付けられることで前記ブレーキカムが回転しないように構成され、3つの前記ブレーキカムのうち少なくとも一対のブレーキカム同士の間に設けられ、当該一対のブレーキカム同士を離間させるように付勢する付勢部材を備えたことを特徴とする。
【0017】
このような構成によると、付勢部材がブレーキカム同士を離間させるように付勢するので、ブレーキカムと外輪の遊びが解消され、ブレーキカムの配置のバランスがくずれにくくなる。また、ブレーキカムと外輪の内周面との密着性が向上することで、ブレーキカムと内周面との間で効率的に摩擦力を発生し、効率的にブレーキ力を発生することができる。このため、本発明のブレーキ装置によれば、ブレーキ力を効率良く発生するので、ブレーキカムの厚みを小さくするなどしてブレーキ装置の小型化・軽量化を図ることができる。さらに、本発明のブレーキ装置では、ブレーキカムが3つ設けられることで、ブレーキカムに回転トルクを与えたときに、ブレーキカムのカム面が、3方向から出力側回転部材を掴むので、出力側回転部材の軸心が安定し、安定した動作を実現することができる。
【0018】
前記したブレーキ装置において、前記付勢部材は、各ブレーキカム同士の間に配置され、前記各ブレーキカム同士を離間させるように設けることができる。
【0019】
各ブレーキカム同士の間に付勢部材を設けることで、ブレーキカムの配置のバランスをより向上させることができる。
【0020】
前記したブレーキ装置において、3つの前記ブレーキカムのうち、第1のブレーキカムは、一の付勢部材の一端を支持する第1支持面を有し、第2のブレーキカムは、前記一の付勢部材の他端を支持する第2支持面を有し、前記第1支持面と前記第2支持面とは、前記径方向外側に行くほど互いに離れるように傾斜し、前記一の付勢部材は、前記内周面に接触している構成とすることができる。
【0021】
このような構成によると、一の付勢部材は、両端が第1支持面と第2支持面に支持され、第1支持面と第2支持面とは、径方向外側に行くほど互いに離れているので、一の付勢部材の付勢力により、付勢部材には径方向外側にずれるような力が働く。そのため、一の付勢部材は、第1支持面と第2支持面と、内周面とに3箇所で接触し、自律的にその位置を安定させることができる。したがって、ブレーキカムに付勢部材の位置を規制する突起などを設ける必要が無く、簡素な構成とすることができる。
【0022】
また、前記したブレーキ装置において、3つの前記ブレーキカムのうち、第1のブレーキカムは、一の付勢部材の一端を支持する第1支持面を有し、第2のブレーキカムは、前記一の付勢部材の他端を支持する第2支持面を有し、前記第1支持面と前記第2支持面とは、前記径方向内側に行くほど互いに離れるように傾斜し、前記一の付勢部材は、前記出力側回転部材に接触している構成とすることができる。
【0023】
このような構成によると、一の付勢部材は、両端が第1支持面と第2支持面に支持され、第1支持面と第2支持面とは、径方向内側に行くほど互いに離れているので、一の付勢部材の付勢力により、付勢部材には径方向内側にずれるような力が働く。そのため、一の付勢部材は、第1支持面と第2支持面と、出力側回転部材とに3箇所で接触し、自律的にその位置を安定させることができる。したがって、ブレーキカムに付勢部材の位置を規制する突起などを設ける必要が無く、簡素な構成とすることができる。
【0024】
前記した各ブレーキ装置において、前記付勢部材は、コイルバネからなり、当該コイルバネは、全長に渡って前記内周面と接していることが望ましい。
【0025】
このような構成によると、コイルバネが内周面に安定して支持され、ブレーキ装置の安定した動作を実現することができる。
【0026】
前記した各ブレーキ装置において、前記ブレーキカムは、前記付勢部材の一端または他端を支持する支持面を有し、前記付勢部材は、前記カム面の延長面と前記支持面が交差する位置よりも径方向外側に配置されていることが望ましい。
【0027】
このような構成によると、付勢部材を出力側回転部材から離れた位置に配置することができるので、付勢部材と出力側回転部材などの回転軸周辺の部品との干渉を抑制することができる。
【0028】
前記した各ブレーキ装置において、前記出力側回転部材と係合するとともに前記内周面に圧接する摩擦発生部材をさらに備え、当該摩擦発生部材は、前記出力側回転部材の軸方向から見て前記付勢部材と重なって配置された構成とすることができる。
【0029】
このような構成によると、摩擦発生部材により付勢部材が軸方向にずれるのを抑制することができる。
【0030】
前記した各ブレーキ装置において、前記ブレーキカムと係合する入力側回転部材をさらに備え、当該入力側回転部材が前記ブレーキカムに係合する部分は、少なくとも一部が、径方向において、前記付勢部材が配置された範囲に配置されることが望ましい。
【0031】
このような構成によると、入力側回転部材がブレーキカムに係合する部分と付勢部材とを径方向においてずらして配置する場合よりも、ブレーキカムの形状をシンプルにし、大型化を抑制することができる。
【0032】
前記した各ブレーキ装置において、前記ブレーキカムと係合する入力側回転部材をさらに備え、当該入力側回転部材が前記ブレーキカムに接触する面の径方向における大きさは、前記付勢部材が前記ブレーキカムに接触する面の径方向における大きさよりも小さいことが望ましい。
【0033】
このような構成によると、入力側回転部材を径方向において小さく構成し、ブレーキ装置の大型化を抑制できる。
【0034】
前記した各ブレーキ装置において、前記付勢部材が、一対のブレーキカム同士の間にのみ設けられていることが望ましい。
【0035】
このような構成によると、3つのブレーキカムに当接する出力側回転部材の各当接部がカム面を押す力は、適度にアンバランスになり、ブレーキ装置に振動などが与えられた場合にも、高いブレーキ力を保持することができる。
【0036】
また、前記した第2の課題を解決するため、本発明のブレーキ装置において、前記外輪が、前記内周面よりも径方向外側に位置し、前記内周面の軸線に対し直交する一対の側面を有し、前記外輪は、前記一対の側面の一方が、前記ブレーキ装置を支持するための板金部材に溶接されていることが望ましい。
【0037】
このような構成によると、ハウジングの一部を構成する部品であるブレーキ装置を支持するための板金部材と外輪とをカシメではなく、溶接により固定することで、外輪の形状を簡素化することができる。これにより、大きな応力が掛かる外輪を、力学的に有利な形状として軽量化を図ることができる。
【0038】
前記したブレーキ装置において、前記側面と前記板金部材とは、レーザ溶接されている構成とすることができる。
【0039】
このように、レーザ溶接により外輪の側面と板金部材とが溶接されていることで、溶接時の熱による形状の歪みを抑制して効率良くブレーキ力を発生することが可能となるとともに、熱による強度の低下を抑制して、外輪に強度的な余裕を持たせることができる。
【0040】
また、前記した第3の課題を解決するため、本発明のブレーキ装置は、前記各ブレーキカムと回転方向に係合する入力側回転部材と、前記出力側回転部材と一体に回転するように前記出力側回転部材と係合した係合部と、前記ブレーキカムとの間で第1の回転方向に前記入力側回転部材に当接可能に配置された伝達部とを有する回転力伝達部材と、をさらに備え、前記出力側回転部材は、前記第1の回転方向に回転力を与えたときに前記カム面に当接可能な第1当接部と、第2の回転方向に回転力を与えたときに前記カム面に当接可能な第2当接部と有し、前記ブレーキカムに前記入力側回転部材から回転トルクを与えると前記出力側回転部材が回転し、前記出力側回転部材に回転トルクを与えると、前記第1の回転方向については、前記伝達部が前記入力側回転部材を介して前記ブレーキカムを回転させ、前記第2の回転方向については、前記第2当接部が前記カム面を押して前記ブレーキ面が前記外輪の前記内周面に押し付けられることで前記ブレーキカムが回転しないように構成されることが望ましい。
【0041】
このような構成によれば、出力側回転部材に回転トルクを与えると、第1の回転方向については、伝達部が入力側回転部材を介してブレーキカムを回転させ、第2の回転方向については、第1当接部がカム面を押してブレーキ面が外輪の内周面に押し付けられることでブレーキカムが回転しないので、片方向型のブレーキ装置として利用することができる。そして、回転力伝達部材を外すなど、回転力伝達部材がブレーキカムとの間で回転方向に入力側回転部材と係合する状態を解除すれば、出力側回転部材に第1の回転方向に回転トルクを与えたときに、第1当接部がカム面を押してブレーキ面が外輪の内周面に押し付けられることでブレーキカムが回転しない。すなわち、双方向型のブレーキ装置として利用することができる。
【0042】
前記したブレーキ装置において、前記回転力伝達部材は、前記内周面に圧接している構成とすることができる。
【0043】
ブレーキ装置においては、入力側回転部材を回転させたときに、すでに出力側回転部材に入っているトルクにより急な動作が発生しないように、抵抗としての摩擦力を発生する部材(本明細書において、「摩擦力発生部材」という。)が設けられることがある。回転力伝達部材が内周面に圧接している構成では、回転力伝達部材が摩擦力発生部材を兼ねることができるので、部品点数を少なくすることができる。
【0044】
また、前記した第4の課題を解決するため、本発明のクラッチユニットは、前記した各ブレーキ装置と、操作部材の操作による入力トルクを前記ブレーキ装置に伝達・遮断可能なラチェット装置とを備え、前記ラチェット装置は、前記ブレーキ装置に係合可能であり、かつ、軸周りに回転可能に配置された出力リングと、前記操作部材と係合して前記操作部材と一体に揺動可能な操作入力部材と、前記操作入力部材および前記出力リングに対し係合・離脱することで前記入力トルクの伝達・遮断を行うように構成された複数の可動片と、前記複数の可動片の一方の側面を覆うカバー部材と、前記複数の可動片の他方の側面を覆う側壁部と、前記出力リングの周方向についての前記複数の可動片の移動を規制する複数の規制部とを有する規制部材とを備え、前記規制部材は、前記カバー部材に対し相対回転しないように、前記カバー部材と嵌合されていることを特徴とする。
【0045】
このような構成によれば、規制部材は、カバー部材との嵌合によりカバー部材との相対回転が止められており、溶接が不要であるので、簡単に製造することができる。そして、規制部材は、可動片の周方向の移動の規制をし、側面側を覆うものであり、大きな荷重が掛かるわけではないので、嵌合による回転の規制でも十分に機能を発揮することができる。
【0046】
前記したクラッチユニットにおいて、前記規制部材は、前記カバー部材に圧入嵌合されていることが望ましい。
【0047】
圧入嵌合により規制部材をカバー部材に固定すれば、しっかりと規制部材を固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
<第1実施形態>
本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、一実施形態のクラッチユニット1は、乗物用シートの一例としての車両用シートSのシートクッションS1の高さを調整するための公知のハイトアジャスト機構に適用されるものである。クラッチユニット1は、操作入力部材50にレバーLVが取り付けられ、レバーLVの操作により、後述する出力側回転部材30を回転させてハイトアジャスト機構を駆動してシートクッションS1の高さを調整可能である。具体的には、レバーLVを中立位置Nから上げると、シートクッションS1が所定量上がり、レバーLVを中立位置Nから下げると、シートクッションS1が所定量下がるようになっている。なお、レバーLVを、上または下の位置から中立位置Nに戻すときには、出力側回転部材30が回転しないようになっている。
【0050】
図2に示すように、クラッチユニット1は、ハウジング100に各部材が収納されて構成されている。なお、ハウジング100は、円筒部である外輪10、取付部材の一例としての取付板85およびカバー部材60の組合せにより構成されている。また、以下の説明では、カバー部材60および操作入力部材50が配置される
図2の左側を「入力側」と称し、出力側回転部材30が配置される
図2の右側を「出力側」と称する。
【0051】
クラッチユニット1は、入力側に設けられ、操作入力部材50の揺動動作による入力トルクを伝達・遮断するラチェット装置2と、出力側に設けられ、ラチェット装置2からの入力トルクを出力側回転部材30の出力ギヤ35に伝達するとともに、出力ギヤ35からの逆入力トルクを遮断するブレーキ装置3とを備えてなる。
【0052】
ラチェット装置2とブレーキ装置3の構成部品の概略を説明すると、ラチェット装置2は、操作入力部材50と、規制部材71と、ブレーキ装置3の入力側回転部材としての出力リング40と、可動片の一例としてのローラ72と、リターンスプリング73とを備えてなる。また、ブレーキ装置3は、外輪10と、ブレーキ力発生部材の一例としてのブレーキカム20と、付勢部材の一例としてのスプリング81と、出力側回転部材30と、摩擦発生部材の一例としてのフリクションリング82と、ワッシャ75とを備えてなる。なお、出力リング40は、ラチェット装置2の出力部材であるとともに、ブレーキ装置3の入力部材であり、ラチェット装置2とブレーキ装置3のいずれの部品ともいうことができる。
【0053】
次に、ブレーキ装置3およびラチェット装置2の構成の詳細を説明する。
まず、ブレーキ装置3の構成について説明する。
外輪10は、所定肉厚のリングからなり、内周面11と、円筒状の外周面12と、内周面11と外周面12を繋ぐ一対の側面13,14とを有している。一対の側面13,14は、内周面11よりも外輪10の径方向外側に位置し、内周面11の軸線に対し直交する平面となっている。なお、本明細書において、径方向および周方向は、外輪10を基準とする。
【0054】
外輪10とともにハウジング100の一部を構成する取付板85は、ブレーキ装置3を支持するための板金部材である。取付板85は、シートクッションS1のフレームなどにブレーキ装置3を取り付けるための取付部として取付孔85Bが2つ形成されている。また、取付板85は、中央に出力側回転部材30を通すための貫通孔85Aが形成されている。外輪10は、取付板85と固定されていることで、クラッチユニット1は、いろいろな装置に取り付けることが可能である。
【0055】
外輪10は、厚板をプレス成形により打ち抜くことで成形されており、
図4および
図6に示すように、入力側の側面13は、内周の縁である内周縁13Aと外周の縁である外周縁13Bに、打ち抜き時に形成されたダレ形状を有している。一方、出力側の側面14は、内周縁14Aと外周縁14Bにダレ形状を有していない。そして、外輪10は、このダレ形状を有していない出力側の側面14の外周縁14Bにおいて、レーザ溶接により、取付板85の入力側の面と溶接されている。このため、側面14と取付板85との密着性が高いとともに、外周縁14Bも取付板85と密着するので、良好に溶接をすることができる。
【0056】
この溶接は、
図6に示すように、外周縁14Bの全周に渡ってなされている。取付板85が外輪10の側面14の全周に渡って溶接されていることで、溶接の強度を高めるとともに、外輪10を取付板85により補強することができる。そして、側面14と取付板85は、環状の側面14における最外周部分に沿って溶接されていることで、回転方向の力に対する溶接の保持力が高くなっている。
【0057】
また、このレーザ溶接は、取付板85の外輪10が配置された側から行われ、これにより、溶接ビード85Lが取付板85の外側(出力側)の面から突出しにくくなっている。
そのため、溶接ビード85Lの除去が不要であり、もしくは、溶接ビード85Lの出っ張りを考慮して他の部品を遠ざける必要がない。
【0058】
図2に戻り、ブレーキカム20は、外輪10との間でブレーキ力を発生する部材であり、外輪10の内側に周方向に等間隔で並ぶように3つ配置されている。ブレーキカム20は、周方向に延びる本体部20Aと、本体部20Aの周方向両端部から径方向外側に突出する突出部20Bとを備えて構成されている。突出部20Bの径方向外側の先端には、外輪10の内周面11に対向するブレーキ面21を有している。このブレーキ面21は、外輪10の内周面11と同じ半径の円筒面を有しており、ブレーキカム20が径方向外側に付勢されたときには、外輪10の内周面11と密着するようになっている。
【0059】
ブレーキカム20は、一対のブレーキ面21の間に、ブレーキ面21より小径の円筒面状の外周面22を有している。また、ブレーキカム20の径方向内側の面は、外輪10の中心軸を向く平面となっている。この平面は、内周面11の中心軸(つまり、出力側回転部材30の中心軸)からの距離が徐々に変化しているカム面23であり、後述する出力側回転部材30と当接するように配置されている。そして、ブレーキカム20は、周方向の端部にカム面23の両端部と2つのブレーキ面21の端部とを繋ぐ端面24を有している。また、ブレーキカム20は、ブレーキ面21と外周面22との間の段差に、周方向を向く回転力入力面25が形成されている。
【0060】
図3に示すように、端面24は、時計回り方向を向く端面24Aと反時計回り方向を向く端面24Bとがある。互いに対面する端面24Aと端面24Bとは、平行ではなく、径方向外側に行くほど互いに離れるように傾斜している。本実施形態においては、各端面24A,24Bは、径方向に対しても傾斜している。そして、対向する端面24A,24Bの間には、圧縮コイルバネからなるスプリング81が初期荷重を与えられた状態で配置され、第1のブレーキカムの第1支持面としての端面24Aがその一端を支持し、第2のブレーキカムの第2支持面としての端面24Bがその他端を支持している。端面24Aと端面24Bとは、径方向外側に行くほど互いに離れるように傾斜していることで、スプリング81は、自律的に径方向外側に移動し、外輪10の内周面11に接触して、周囲から、内周面11、端面24Aおよび端面24Bに囲まれて支持されることでその位置が安定している。また、スプリング81がブレーキカム20同士を離間させるように付勢するので、ブレーキカム20と外輪10の遊びが解消され、ブレーキカム20の配置のバランスがくずれにくくなっている。
さらに、スプリング81は、その全長に渡って内周面11と接しており、これにより、内周面11に安定して支持されて、ブレーキ装置3の安定した動作を実現している。また、スプリング81は、支持面としての端面24A,24Bとカム面23の延長面(本実施形態では、カム面23そのもの)とが交差する位置27よりも、径方向外側に配置されている。これにより、スプリング81は、出力側回転部材30から離れた位置に配置されるので、スプリング81と出力側回転部材30などの回転軸周辺の部品との干渉を抑制することができる。
【0061】
図4に示すように、ブレーキカム20は、出力側の側面が取付板85に摺動可能に配置されているとともに、ブレーキ面21が外輪10の内周面11に摺動可能に配置されている。ここで、前記したように、外輪10と取付板85とは、外輪10の外周縁14Bに沿ってレーザ溶接がなされているので、内周面11と取付板85の入力側の面とがなす隅部に溶接ビード85Lがはみ出すことはなく、ブレーキカム20のスムーズな動作を確保することができる。
【0062】
図2に戻り、出力側回転部材30は、軸状の作用部31と、この作用部31の出力側に形成されたフランジ32と、作用部31から入力側に突出し、作用部31と同軸で小径の支持軸部33と、支持軸部33から入力側に突出し、支持軸部33と同軸で支持軸部33より小径の軸部37と、フランジ32の出力側に突出して形成された出力ギヤ35とを備えて構成されている。出力ギヤ35は、取付板85の貫通孔85Aを通して出力側に突出している。
【0063】
図3に示すように、作用部31は、全体的に略円柱形状となっており、この円柱形状は、3つのカム面23に内接する円よりも僅かに大きな直径を有している。そして、作用部31は、3つのカム面23に対向する部分に、カム面23から僅かなクリアランスを介して対向した平面からなる対向面34が形成されている。作用部31の円筒状の外周面31Aと対向面34の境目にある緩やかな角は、ブレーキカム20または出力側回転部材30を回転させようとするときにカム面23と当接する部分であり、
図3において対向面34の反時計回り側の縁部に相当する当接部36A(第2当接部)と、時計回り側の縁部に相当する当接部36B(第1当接部)とがある。第1当接部36Bは、出力側回転部材30を反時計回り(第1の回転方向)に回転力を与えたときにカム面23に当接可能であり、第2当接部36Aは、出力側回転部材30を時計回り(第2の回転方向)に回転力を与えたときにカム面23に当接可能である。
【0064】
図2に示すように、フリクションリング82は、ブレーキ装置3のブレーキ力が切れた瞬間に急激に出力側回転部材30の動作が開始するのを抑制するためのフリクションを発生する部材である。フリクションリング82は、出力側回転部材30の作用部31の外周に合致した孔を有するリング部82Aと、リング部82Aから径方向外側に延出し、先端部が外輪10の内周面11に圧接する摩擦発生アーム82Bとを備える。フリクションリング82は、リング部82Aの孔が作用部31と係合することで、出力側回転部材30と一体に回転するようになっている。
【0065】
摩擦発生アーム82Bは、径方向外側へ行くほど、
図3における時計回り方向に位置するように、径方向に対して傾斜している。このため、フリクションリング82は、
図3の時計回り方向に回転するときには、内周面11に食い付きやすいので、反時計回りに回転するときよりも大きな摩擦力を発生することができる。そのため、車両用シートSのハイトアジャスト機構のブレーキにクラッチユニット1を適用する場合には、出力側回転部材30が
図3の時計回り方向に回転するときに車両用シートSが下降するように組み付けると、車両用シートSの望ましくない下降を効果的に抑制することができる。
【0066】
また、摩擦発生アーム82Bは、スプリング81の入力側に配置され、出力側回転部材30の軸方向から見てスプリング81と重なって配置されている。これにより、スプリング81が軸方向のうち入力側にずれるのを抑制することができる。
【0067】
図2に戻り、ワッシャ75は、出力側回転部材30の軸部37の外径よりも僅かに小さい直径の孔75Aを有し、この孔75Aが軸部37に圧入されている(
図4参照)。ワッシャ75の外径は、後述するカバー部材60の支持孔64より大きく、ワッシャ75により出力側回転部材30が出力側に抜けないようになっている。
【0068】
次に、ラチェット装置2の構成について説明する。
図2に示すように、出力リング40は、外輪10および出力側回転部材30などの軸周りに回転可能であり、ラチェット装置2の回転出力をブレーキ装置3のブレーキカム20に係合して伝達する部材である。出力リング40は、金属板の板金加工により製造されており、薄板状の受圧リング部41と、受圧リング部41から出力側に向けて突出した複数の係合脚42とを備えて構成されている。受圧リング部41の内周面41Aは、円形断面を有している。
【0069】
係合脚42は、等間隔で6つ設けられており、
図3に示すように、一のブレーキカム20における一対の突出部20Bの間に2つずつ入るように配置されている。すなわち、前記したブレーキカム20の一対の突出部20Bの間の空間の大きさがそのように設定されており、突出部20Bと係合脚42の間に僅かな遊びができるようになっている。また、各係合脚42は、径方向において同じ位置で、また、同じ大きさで配置されている。
【0070】
そして、係合脚42は、少なくとも一部が、径方向において、スプリング81が配置された範囲に配置されており、一例として、本実施形態では、係合脚42は、その全体が、径方向においてスプリング81が配置された範囲内に配置されている。すなわち、係合脚42は、スプリング81と同心上に配置されている。これにより、係合脚42とスプリング81を径方向にずらして配置する場合よりもブレーキカム20の形状をシンプルにし、ブレーキカム20の大型化を抑制できている。
【0071】
また、係合脚42がブレーキカム20に係合する面の径方向における大きさは、スプリング81がブレーキカム20に接触する面の径方向における大きさより小さく、これにより、出力リング40を径方向において小さく構成し、ブレーキ装置3の大型化を抑制することが可能となっている。
【0072】
図2に示すように、操作入力部材50は、レバーLVと係合してレバーLVと一体に揺動可能であるとともに、可動片としてのローラ72を介して出力リング40と係合することで、出力リング40にレバーLVからの回転トルクを伝達する部材である。このため、操作入力部材50は、カム板部51と、このカム板部51から入力側に延出した2つのレバー係合部52とを備えてなる。
【0073】
図5に示すように、カム板部51は、外周面に3箇所の小径部53と3箇所の大径部54が交互に配置されており、小径部53と大径部54を平面からなるカム面55が接続している。小径部53と大径部54の切り替わりの箇所は6箇所あるので、これに対応してカム面55は6つ形成されている。カム面55は、中心軸からの距離が徐々に変化するように形成されている。
【0074】
カム面55と受圧リング部41の内周面41Aとの間には、それぞれ、ローラ72が配置されている。ローラ72は、後述する動作説明で分かるように、操作入力部材50および出力リング40に対し係合・離脱することで入力トルクの伝達・遮断を行うものである。ローラ72は、カム面55に対応して計6つ配置されている。カム面55は、
図4に示すように、ローラ72の軸方向長さの半分よりその方向に長く、ローラ72の軸方向における中心部(中心線C1参照)を含む範囲でローラ72と当接可能に配置されている。これにより、カム面55は、受圧リング部41との間で安定してローラ72を挟持することができる。
【0075】
ここで、
図2に戻り、規制部材71について説明すると、規制部材71は、ローラ72の位置を規制する部材であり、複数のローラ72の出力側の側面を覆う側壁部71Aと、側壁部71Aの外周縁から入力側に向けて延出した3つの規制部71Bとを備えて構成されている。規制部71Bは、ローラ72の軸方向の長さよりも長く、後述するようにその先端がカバー部材60の嵌合穴66に圧入嵌合している。
【0076】
図5に示すように、規制部71Bは、レバーLVを操作していない非作動時において大径部54の径方向外側で同じ回転位置に配置されており、カム面55と受圧リング部41の間にあるローラ72の周方向についての移動を規制している。隣接する規制部71Bの間に配置された2つのローラ72の間には、圧縮コイルバネからなるリターンスプリング73がそれぞれ初期荷重を与えられて配置されている。このため、
図5の非作動時において、各ローラ72は規制部71Bに接している。ここで、規制部71Bは、外輪10の径方向において、ローラ72の中心が位置するところを含むように配置され、ローラ72の、周方向に最も出っ張っているところに接している。これにより、規制部71Bは、ローラ72を安定して支持することができる。なお、
図5においては、ローラ72を、規制部71Bに接した状態で表しているが、ローラ72は、カム面55と内周面41Aに挟持されることで、規制部71Bから僅かに離れていてもよい。
【0077】
レバー係合部52は、円弧状の断面でカム板部51から延出している。レバー係合部52は、レバーLVと係合している(図示省略)。
【0078】
図2に示すように、カバー部材60は、円板状の側壁部61と、側壁部61の外周縁から出力側に延びる円筒状の外周部62と、外周部62の出力側の端部から径方向外側に広がるフランジ63とを備えてなる。フランジ63は、
図4および
図6に示すように、外輪10の側面13に合わされ、その外周縁に沿って側面13とレーザ溶接により溶接されている。外輪10は、このようにカバー部材60が溶接されることで補強されている。この溶接は、フランジ63の全周に渡ってなされている。
【0079】
フランジ63の直径は、外輪10の直径より僅かに小さく、外輪10の外周面よりも径方向内側に位置している。これにより、溶接ビード60Lは外輪10の外周面から突出しにくいので、はみ出した溶接ビード60Lを研磨により除去したりする必要が無く、また、他の部品と溶接ビード60Lとの干渉を考慮して他の部品を大きく離す必要がなくなっている。また、カバー部材60は、その外周縁に沿って外輪10に溶接されていることで外輪10を補強しており、外輪10の外周付近に掛かる応力を小さくするのに寄与している。これにより、ブレーキ装置3は大きなブレーキ力を発生することができる。
【0080】
図2に示すように、側壁部61には、その中心に円形の支持孔64と、支持孔64の周囲で円弧形状に延びる2つの円弧孔65と、円弧孔65よりも径方向外側に位置し、周方向に3つ等間隔で配置された嵌合穴66とが形成されている。
支持孔64は、出力側回転部材30の支持軸部33と嵌合し、出力側回転部材30を軸支する部分である。
円弧孔65は、操作入力部材50のレバー係合部52に対応して設けられ、レバー係合部52よりも広い角度範囲で円弧状に形成されている。これにより、円弧孔65は、レバー係合部52を受け入れるとともに、レバー係合部52が円弧孔65の中において所定角度範囲で移動することが可能となっている。
【0081】
嵌合穴66は、規制部材71の3つの規制部71Bに対応して3つ設けられた貫通孔であり、規制部材71がカバー部材60に対し相対回転しないように、カバー部材60と嵌合されている。規制部材71とカバー部材60とは、複数箇所で嵌合していることで、規制部材71の回転の規制をしっかりと行うことができる。
【0082】
図6および
図7(a),(b)に示すように、嵌合穴66は、周方向の中央に、嵌合穴66の内側へ向けて規制部71Bを挟むように突出する2つの突出部66Aが設けられている。突出部66A以外の部分の嵌合穴66は、径方向の隙間が規制部71Bの板厚より僅かに大きく、突出部66A同士の隙間は、規制部71Bの板厚より僅かに小さくなっている。そして、規制部71Bは、その先端部が2つの突出部66Aの間に入れられることで嵌合穴66に圧入嵌合されており、これにより、規制部材71は、適度な圧入荷重によりカバー部材60にしっかりと固定されている。
図7(b)に示すように、その規制部71Bの先端は、側壁部61の外側の面61Aから突出していない。これにより、規制部71Bの先端と他の部品との干渉を抑制することができる。
【0083】
次に、以上のように構成されたクラッチユニット1の動作について説明する。
まず、ラチェット装置2の動作について説明する。
図5に示す中立位置において、ローラ72は、出力リング40の内周面41Aと操作入力部材50のカム面55の間に位置するが、これらの間には僅かな隙間があり、これらに挟持されてはいない。ローラ72は、リターンスプリング73により規制部71Bに押し付けられている。レバーLVの操作により操作入力部材50を時計回り方向に少し揺動させると、カム面55が時計回りに回動してローラ72に接し、内周面41Aとカム面55の間でローラ72が挟持される。これにより、操作入力部材50と出力リング40は一体に回転できるようになる。
そのため、
図8に示すように、操作入力部材50を時計回りに回していけば、出力リング40と操作入力部材50とが一体になったまま、時計回りに回動する。すなわち、操作入力部材50を回動させた入力トルクが出力リング40に伝達される。
【0084】
図8の状態からレバーLVを反時計回りに揺動させて中立位置に戻すときには、ローラ72からカム面55が反時計回りに逃げていき、ローラ72はカム面55と内周面41Aには挟持されないので、
図9に示すように、出力リング40が静止したまま、操作入力部材50が中立位置に向けて回動する。すなわち、操作入力部材50を戻すときの入力トルクは出力リング40には伝達されず、遮断される。操作入力部材50は、リターンスプリング73の付勢力により中立位置に向けて操作するのが補助されるとともに、中立位置に維持される。
【0085】
レバーLVを中立位置から上に上げ、また、上の位置から中立位置に戻すときの動作は、上述の下への揺動の場合と同様であるので説明を省略する。
【0086】
このようにして、レバーLVの操作により出力リング40が回動するときのブレーキ装置3の動作について説明する。
図10に示すように、入力側回転部材としての出力リング40から時計回りの回転トルク(入力トルク)が入力された場合、出力リング40の係合脚42が回転力入力面25に当接し、回転力入力面25を押すことで、ブレーキカム20が時計回りに回転し始める。そして、各ブレーキカム20は、各カム面23が出力側回転部材30の当接部36Bに当接して、出力側回転部材30に時計回りの回転力を与える(矢印参照)。これにより、出力リング40を時計回りに回転させると、出力リング40、ブレーキカム20および出力側回転部材30が一体となって時計回りに回転する。
【0087】
図11に示すように、出力側回転部材30に、図における反時計回り方向(第1回転方向とは逆の第2回転方向)の回転力を与えると、3つの当接部36Bが対応する各ブレーキカム20のカム面23に当接し、カム面23を径方向外側へ押す。このカム面23を押す力F1に応じて、その当接点において働く摩擦力F2は、僅かながらブレーキカム20を反時計回りに回転させようと作用する。
【0088】
また、力F1は、ブレーキカム20を、ブレーキ面21において外輪10の内周面11に押し付ける力F3を発生させる。そして、この力F3に応じて、内周面11とブレーキ面21の間には、ブレーキカム20を反時計回りに回転させようとする力に抵抗する摩擦力F4が作用する。本実施形態のブレーキ装置3においては、摩擦力F2によるブレーキカム20を反時計回りに回転させようとする力が、摩擦力F4を超えることができないので、出力側回転部材30、ブレーキカム20および出力リング40は外輪10に対して回転することができない。すなわち、出力側回転部材30に反時計回り方向の回転トルクを与えても、ブレーキ面21が内周面11に押し当てられることでブレーキカム20は回転することができない。このようにして、ブレーキ装置3は、ブレーキ力を発生することができる。
【0089】
本実施形態においては、ブレーキカム20、出力側回転部材30および出力リング40は、鏡像対称(
図3で線対称)に構成されているので、出力リング40を反時計回りに回転させた場合には、力の掛かり方および回転方向が反転し、出力リング40、ブレーキカム20および出力側回転部材30は一体となって反時計回りに回転する。一方、出力側回転部材30を時計回りに回転させようとする場合には、力の掛かり方が反転して反時計回りの場合と同様に作用し、出力側回転部材30、ブレーキカム20および出力リング40は外輪10に対して回転することができない。すなわち、ブレーキ装置3は、ブレーキ力を発生することができる。
【0090】
本実施形態のクラッチユニット1によれば、以下のような効果を奏することができる。
ブレーキ装置3において、スプリング81は、ブレーキカム20同士を離間させるように付勢するので、ブレーキカム20と外輪10の遊びが解消され、ブレーキカム20の配置のバランスがくずれにくい。これにより、ブレーキカム20と外輪10の内周面11との密着性が向上することで、ブレーキカム20と内周面11との間で効率的に摩擦力を発生し、効率的にブレーキ力を発生することができる。このため、ブレーキ装置3によれば、ブレーキ力を効率良く発生してブレーキ装置3の小型化・軽量化を図ることができる。さらに、ブレーキ装置3では、ブレーキカム20が3つ設けられることで、ブレーキカム20に回転トルクを与えたときに、ブレーキカム20のカム面23が、3方向から出力側回転部材30を掴むので、出力側回転部材30の軸心が安定し、安定した動作を行わせることができる。
【0091】
特に、本実施形態では、各ブレーキカム20同士の間にスプリング81を設けることで、ブレーキカム20の配置のバランスをより向上させることができる。
【0092】
また、スプリング81は、端面24A,24Bおよび内周面11に3箇所で接触し、自律的にその位置を安定させることができるので、ブレーキカム20にスプリング81の位置を規制する突起などを設ける必要が無く、簡素な構成とすることができる。
【0093】
そして、ブレーキ装置3は、ハウジング100の一部を構成する部品である取付板85と外輪10とをカシメではなく、溶接により固定することで、外輪10の形状を簡素化することができる。これにより、大きな応力が掛かる外輪10を、力学的に有利な単純な円筒形状として軽量化を図ることもできる。
【0094】
特に、この溶接は、レーザ溶接によりなされているので、溶接時の熱による外輪10の形状の歪みを抑制して効率良くブレーキ力を発生することが可能となるとともに、熱による強度の低下を抑制して、外輪10に強度的な余裕を持たせることができる。また、カバー部材60と外輪10の固定もカシメによらず、溶接によりなされているので、外輪10の形状をより簡素化することができる。これにより、大きな応力が掛かる外輪10を、力学的に有利な形状として軽量化を図ることができる。
【0095】
また、本実施形態のラチェット装置2は、規制部材71が、カバー部材60との嵌合によりカバー部材60との相対回転が止められており、溶接が不要であるので、簡単に組み立てることができる。そして、規制部材71は、ローラ72の周方向の移動の規制をするとともにローラ72の出力側の側面を覆うものであり、大きな荷重が掛かるわけではないので、嵌合による回転の規制でも十分に機能を発揮することができる。特に、本実施形態では、規制部71Bは、カバー部材60の嵌合穴66に圧入嵌合しているので、しっかりと固定することができる。
【0096】
以上に第1実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。
例えば、
図12に示すように、スプリング81は、隣接するブレーキカム20の2つのカム面23の一方を第1支持面とし、他方を第2支持面として利用してもよい。この場合、隣接するカム面23は、径方向内側に行くほど互いに離れているので、スプリング81の付勢力によりスプリング81自身が径方向内側に移動し、出力側回転部材30に接触して安定する。すなわち、スプリング81は、2つのカム面23と出力側回転部材30の3箇所で囲まれるようにして支持され、その位置を安定させることができる。この場合にも、ブレーキカム20にスプリング81を支持するための突起などを設ける必要が無く、簡単な構成とすることができる。
【0097】
また、
図13に示すように、スプリング81を各ブレーキカム20の間に配置するのではなく、1つのみ設けてもよい。この場合、ブレーキカム20の端面24Aから突起26を設けるなどして、ブレーキカム20同士の隙間を小さくしておくとよい。そして、一組のブレーキカム20の端面24Aと端面24Bの間にだけスプリング81を配置する。このようにしても、ブレーキカム20と外輪10の遊びが解消され、また、ブレーキカム20の配置のバランスが維持されるので、ブレーキカム20と外輪10の内周面11の密着性が向上して効率良くブレーキ力を発生することができる。
このような構成によると、3つのブレーキカム20に当接する出力側回転部材30の各当接部36A,36Bがカム面23を押す力は、適度にアンバランスになり、ブレーキ装置3に振動などが与えられた場合にも、高いブレーキ力を保持することができる。特に、突起26を無くした構成にした場合には、スプリング81の付勢力がブレーキカム20を周方向に付勢する力は、ブレーキカム20と出力側回転部材30を互いに押し付ける力として働き、ブレーキ装置3に強い振動などが与えられた場合にも、高いブレーキ力を保持することができる。
【0098】
また、
図14に示すように、取付板85と外輪10の溶接は外輪の全周に渡って連続的になされるのではなく、断続的になされていてもよい。このように、外輪10の側面14において断続的に溶接することで、コストダウンを図ることができる。外輪10とカバー部材60の溶接も、全周に渡って連続的になされるのではなく、断続的になされていてもよい。このように、外輪10の側面13において断続的に溶接することで、コストダウンを図ることができる。
【0099】
なお、この
図14の例のように取付板85と外輪10を断続的に溶接する場合において、溶接する部分、つまり、
図14に現れた溶接ビード85Lを例えば4箇所配置し、取付孔85Bを、近くの2つの溶接ビード85Lに対して、それらの間(上下方向における2つの溶接ビード85Lの間)に配置するとよい。
また、外輪10とカバー部材60の溶接は断続的ではあるが、規制部71Bと嵌合穴66が嵌合している部分は、径方向で見て、カバー部材60と外輪10とを溶接した部分である溶接ビード60Lと重なっている。これにより、規制部71Bと嵌合穴66が嵌合している部分と溶接ビード60Lとを近づけて、規制部材71の支持剛性を向上させている。
【0100】
また、
図15に示すように、ブレーキ装置3を支持するための板金部材としては、取付板85に限らず、車両用シートSのシートフレームSFの一部であってもよい。例えば、シートクッションフレームSF1のサイドフレーム90に直接外輪10を溶接により固定してもよい。これによれば、ブレーキ装置3の部品点数を削減することができる。この場合、サイドフレーム90の外側面のうち、左右方向内側に凹んだ凹部領域91にブレーキ装置3(クラッチユニット1)を固定すると、クラッチユニット1が左右方向外側に大きく突出せず、車両用シートSをコンパクトにすることができる。
【0101】
以下、その他の変形例について説明する。
前記実施形態において、付勢部材の一例としてスプリング81はコイルバネにより構成されていたが、板バネやスポンジ状の部材であってもよい。また、各ブレーキカム20の間に付勢部材を設ける場合に、それらを一体に繋いで、一部品として構成することもできる。
【0102】
ラチェット装置2に用いられる可動片は、ローラ72に限られず、カム面55と内周面41Aに係合・離脱可能な小片であれば形状は限定されず、球体やくさびであってもよい。
【0103】
前記実施形態において、出力側回転部材30に回転トルクを与えた場合に、正逆いずれの方向であっても、ブレーキ力が発生するように構成されていたが、一方の回転方向についてはブレーキカム20に係合する部分を設けるなどして、ブレーキ力が発生しないように構成してもよい。
【0104】
前記実施形態において、嵌合穴66は貫通孔としていたが、底付きの穴であってもよい。また、規制部71Bと嵌合穴66とは、圧入嵌合されていたが、圧入でない嵌合をしていてもよい。
【0105】
前記実施形態においては、外輪10がハウジング100の一部を兼ねていたが、これに限らずブレーキ側外輪とは別部品のハウジングを用いてもよい。
【0106】
また、ブレーキ装置3、ラチェット装置2およびクラッチユニット1は、車両用シートSのハイトアジャスト機構に用いられるだけでなく、他の装置に任意に適用することができる。
【0107】
<第2実施形態>
前記した双方向型のクラッチユニット1において、摩擦発生部材としてのフリクションリング82を、回転力伝達部材としても機能するフリクションリング82′に変更することで、片方向型のクラッチユニットとして利用する形態を説明する。
なお、上述した第1実施形態と同様の構成要素については同一符号を用いて参照し、詳細な説明を省略する。
【0108】
図16に示すように、フリクションリング82′は、ブレーキ装置3のブレーキ力が切れた瞬間に急激に出力側回転部材30の動作が開始するのを抑制するためのフリクションを発生する部材であるとともに、出力側回転部材30の反時計回りの回転力を出力リング40を介してブレーキカム20に伝える部材である。フリクションリング82′は、一定厚さの板材(金属板)を打ち抜き加工してなり、出力側回転部材30の作用部31の外周に合致した孔を有する、リング形状を有する係合部の一例としてのリング部82Aと、リング部82Aから径方向外側に延出し、先端部が外輪10の内周面11に圧接する摩擦発生アーム82Bと、リング部82Aから径方向外側に延出した伝達部の一例としての回転力伝達アーム82Cとを備える。
【0109】
フリクションリング82′は、リング部82Aの孔が作用部31と係合することで、出力側回転部材30と一体に回転するようになっている。そして、ブレーキカム20とは、回転軸線方向にずれて配置されており、
図17に示すように、軸方向から見てブレーキカム20と一部重なっている。
【0110】
回転力伝達アーム82Cは、3つ設けられ、それぞれが、出力リング40の係合脚42に対し反時計回り方向に当接可能に配置されている。係合脚42は、ブレーキカム20の回転力入力面25に対し回転方向に係合可能である。
【0111】
前記した回転力伝達アーム82Cは、一対の突出部20Bの間に配置された2つの係合脚42のうち、反時計回り側に位置する係合脚42の時計回り側に隣接して設けられている。回転力伝達アーム82Cは、若干撓んだ状態で係合脚42に回転方向に接触し、ブレーキカム20の突出部20Bとの間で係合脚42を挟持している。これにより、出力リング40の遊びを防止している。
【0112】
以上のように構成されたクラッチユニット1の動作について説明する。
まず、ラチェット装置2の動作について説明する。
図5に示す中立位置において、ローラ72は、出力リング40の内周面41Aと操作入力部材50のカム面55の間に位置するが、これらの間には僅かな隙間があり、これらに挟持されてはいない。ローラ72は、リターンスプリング73により規制部71Bに押し付けられている。レバーLVの操作により操作入力部材50を時計回り方向に少し揺動させると、カム面55が時計回りに回動してローラ72に接し、内周面41Aとカム面55の間でローラ72が挟持される。これにより、操作入力部材50と出力リング40は一体に回転できるようになる。
そのため、
図8に示すように、操作入力部材50を時計回りに回していけば、出力リング40と操作入力部材50とが一体になったまま、時計回りに回動する。すなわち、操作入力部材50を回動させた入力トルクが出力リング40に伝達される。
【0113】
図8の状態からレバーLVを反時計回りに揺動させて中立位置に戻すときには、ローラ72からカム面55が反時計回りに逃げていき、ローラ72はカム面55と内周面41Aには挟持されないので、
図9に示すように、出力リング40が静止したまま、操作入力部材50が中立位置に向けて回動する。すなわち、操作入力部材50を戻すときの入力トルクは出力リング40には伝達されず、遮断される。操作入力部材50は、リターンスプリング73の付勢力により中立位置に向けて操作するのが補助されるとともに、中立位置に維持される。
【0114】
レバーLVを中立位置から上に上げ、また、上の位置から中立位置に戻すときの動作は、上述の下への揺動の場合と同様であるので説明を省略する。
【0115】
このようにして、レバーLVの操作により出力リング40が回動するときのブレーキ装置3の動作について説明する。
図18に示すように、入力側回転部材としての出力リング40から時計回りの回転トルク(入力トルク)が入力された場合、3つの係合脚42が回転力伝達アーム82Cを時計回りに押すことによって、フリクションリング82′に係合している出力側回転部材30が時計回りに回転する。また、出力リング40の他の3つの係合脚42が回転力入力面25に当接し、回転力入力面25を押すことでブレーキカム20が時計回りに回転する。これにより、出力リング40を時計回りに回転させると、出力リング40、ブレーキカム20および出力側回転部材30が一体となって時計回りに回転する。
【0116】
なお、本実施形態では、ブレーキカム20から出力側回転部材30に回転力は伝わっていないが、回転力伝達アーム82Cと係合脚42の間に比較的大きめの遊びを持たせている場合には、ブレーキカム20の各カム面23が出力側回転部材30の第1当接部36Bに当接することで出力側回転部材30に時計回りの回転力を与える。
【0117】
図19に示すように、出力リング40から反時計回りの回転トルクが入力された場合、出力リング40の3つの係合脚42が回転力入力面25に当接し、回転力入力面25を押すことでブレーキカム20が回転し、さらに、ブレーキカム20のカム面23が第2当接部36Aと当接して出力側回転部材30を押すことで、出力側回転部材30が反時計回りに回転する。すなわち、出力リング40、ブレーキカム20および出力側回転部材30が一体となって反時計回りに回転する。なお、反時計回りの場合、係合脚42は回転力伝達アーム82Cを押さないので、フリクションリング82′を介しては、出力側回転部材30に回転力は伝わらない。
【0118】
次に、出力側回転部材30に回転力(逆入力トルク)が入力された場合について説明する。
図20に示すように、出力側回転部材30に、図における時計回り方向の回転力を与えると、3つの第2当接部36Aが対応する各ブレーキカム20のカム面23に当接し、カム面23を径方向外側へ押す。このカム面23を押す力F1に応じて、その当接点において働く摩擦力F2は、僅かながらブレーキカム20を反時計回りに回転させようと作用する。
【0119】
また、力F1は、ブレーキカム20を、ブレーキ面21において外輪10の内周面11に押し付ける力F3を発生させる。そして、この力F3に応じて、内周面11とブレーキ面21の間には、ブレーキカム20を時計回りに回転させようとする力に抵抗する摩擦力F4が作用する。本実施形態のブレーキ装置3においては、摩擦力F2によるブレーキカム20を時計回りに回転させようとする力が、摩擦力F4を超えることができないので、出力側回転部材30、ブレーキカム20および出力リング40は外輪10に対して回転することができない。すなわち、出力側回転部材30に時計回り方向の回転トルクを与えても、ブレーキ面21が内周面11に押し当てられることでブレーキカム20は回転することができない。このようにして、ブレーキ装置3は、ブレーキ力を発生することができる。なお、このように出力側回転部材30に時計回り方向の回転力が加わる場合は、車両用シートSやこれに座った乗員の重みで車両用シートSが下げようとする力を加えた場合である。
【0120】
図21に示すように、出力側回転部材30に、図における反時計回り方向の回転力を与えると、出力側回転部材30と一体に回転可能になっているフリクションリング82′の3つの回転力伝達アーム82Cが、出力リング40の係合脚42を反時計回りに押し、係合脚42がブレーキカム20の回転力入力面25を反時計回りに押す。すなわち、回転力伝達アーム82Cが、出力リング40を介してブレーキカム20を回転させ、これにより、出力側回転部材30が回転することができる。ここで、回転力伝達アーム82Cとブレーキカム20は、係合脚42を挟持している。そのため、回転力伝達アーム82Cは、係合脚42に接触し遊びがないので、出力リング40に反時計回り方向の回転力を与えると、引っ掛かることなく、すぐに回転し始める。なお、このように出力側回転部材30に反時計回り方向の回転力が加わる場合は、車両用シートSをハイトアジャスト機構によらず手などで持ち上げようとする力を加えた場合である。
【0121】
以上のようにして、本実施形態のクラッチユニット1(ブレーキ装置3)によれば、操作入力部材50を中立位置から時計回りまたは反時計回りに揺動させると、出力側回転部材30が時計回りまたは反時計回りに回転する。そして、出力側回転部材30に回転力を与えると、時計回り方向については、ブレーキ力が発生することで回転せず、反時計回り方向についてはブレーキ力が解除されて回転する。すなわち、ブレーキ装置3を片方向型のブレーキ(ワンウェイクラッチ)として使用することができる。
【0122】
このようにして、回転力伝達アーム82Cのないフリクションリング82と、回転力伝達アーム82Cを備えたフリクションリング82′との間で部品を交換することで、ブレーキ装置3を双方向型のブレーキと片方向型のブレーキに簡単に変更することができる。すなわち、本実施形態のブレーキ装置3は、回転力伝達アーム82Cをカットしたり、フリクションリング82自体を省略したり、またはフリクションリング82を単なるワッシャに置き換えるなどして片方向型のブレーキ装置3を双方向型のブレーキとして使用することができる。
【0123】
そして、本実施形態のブレーキ装置3においては、摩擦力発生部材が回転力伝達部材を兼ねているので部品点数を少なくすることができる。
【0124】
また、本実施形態では、回転力伝達部材を、リング部82Aと回転力伝達アーム82Cとで構成しているので、回転力伝達部材を最小限の重量にして軽量化を図ることができる。
【0125】
さらに、回転力伝達部材としてのフリクションリング82は、板材により一定厚さで構成されているので、回転力伝達部材をコンパクトに構成することができる。また、回転力伝達部材の機能を無くす場合には、不要部分をカットしたり、ワッシャに置き換えたりすることで対応することができる。もしくは、単に回転力伝達部材を省略しても、大きな影響なくブレーキ装置3を双方向型で使用することができる。
【0126】
以上に第2実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。
例えば、前記実施形態において、回転力伝達部材は、摩擦力発生部材を兼ねていたが、摩擦発生アーム82Bを省略して、回転力伝達部材としてのみ機能する構成にしてもよい。また、回転力伝達部材は、リング部82Aと回転力伝達アーム82Cとからなる構成であったが、その形状は特に限定されない。さらに、回転力伝達部材と入力側回転部材(出力リング40)とは、通常時は回転方向に離間していてもよい。すなわち、通常時に係合せずに、出力側回転部材30に回転力を与えたときにのみ係合するように遊びを設けてもよい。