特許第6262722号(P6262722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6262722関節リウマチの予防用または治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262722
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】関節リウマチの予防用または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/10 20060101AFI20180104BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20180104BHJP
   C07K 7/08 20060101ALN20180104BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20180104BHJP
【FI】
   A61K38/10
   A61P19/02
   !C07K7/08ZNA
   !C12N15/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-511374(P2015-511374)
(86)(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公表番号】特表2015-517488(P2015-517488A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】KR2013004156
(87)【国際公開番号】WO2013169067
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2016年5月10日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0050529
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0050533
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0071989
(32)【優先日】2012年7月2日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0104207
(32)【優先日】2012年9月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514286826
【氏名又は名称】ジェムバックス アンド カエル カンパニー,リミティド
(73)【特許権者】
【識別番号】514286848
【氏名又は名称】キム サン チェ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100164563
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 貴英
(72)【発明者】
【氏名】キム サン チェ
【審査官】 幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−521039(JP,A)
【文献】 特表2002−520293(JP,A)
【文献】 PNAS, 2009, vol.106, No.11, p.4360-4365
【文献】 Expert Opin. Investig. Drugs, 2009, vol.18, No.5, p.687-694
【文献】 Clin. Cancer Res., 2011, vol.17, No.21, p.6847-6857
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを含む、関節リウマチの予防用または治療用組成物。
【請求項2】
関節リウマチと係わる症状を除去するために使用されるか、あるいは関節リウマチの予防または治療のために使用される、請求項1に記載の関節リウマチの予防用または治療用組成物。
【請求項3】
前記ペプチドは、0.001〜1ng/kgの1回投与量で投与される、請求項1に記載の関節リウマチの予防用または治療用組成物。
【請求項4】
前記ペプチドは、0.01〜0.4ng/kgの1回投与量で投与される、請求項1に記載の関節リウマチの予防用または治療用組成物。
【請求項5】
前記ペプチドは、1日〜5日ごとに1回投与される、請求項1に記載の関節リウマチの予防用または治療用組成物。
【請求項6】
前記ペプチドは、1日〜3日ごとに1回投与される、請求項1に記載の関節リウマチの予防用または治療用組成物。
【請求項7】
0.05nM〜5nMの濃度のペプチドを含む、請求項1に記載の関節リウマチの予防用または治療用組成物。
【請求項8】
注射剤剤形である、請求項1に記載の関節リウマチの予防用または治療用組成物。
【請求項9】
関節リウマチの予防用または治療用の医薬組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
関節リウマチの予防用または治療用の食品組成物である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節リウマチの予防組成物または治療組成物に係り、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド、またはそれらの断片であるペプチドを含む、関節リウマチの予防用または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
関節リウマチは、多発性関節炎を特徴とする原因不明の慢性炎症性疾患である。初期には、関節を覆い包んでいる滑膜に炎症が発生するが、徐々に周りの軟骨及び骨に炎症が広がり、関節の破壊と変形とをもたらす。関節だけではなく、関節外症状として、貧血、乾燥症侯群、皮下結節、肺線維症、血管炎、皮膚潰瘍など全身を侵犯する疾患である。
【0003】
関節リウマチの正確な原因は、まだ明らかにされていないが、自家免疫現象が主要メカニズムであると知られている。自家免疫とは、外部から人体を守る免疫系の異常により、むしろ自分の人体を攻撃する現象である。一般的には、遺伝的素因、細菌感染やウイルス感染などが、関節リウマチの原因と考えられている。身体的または精神的なストレスを受けた後で発病しやすいと知られている。すなわち、関節リウマチは、関節の腫脹、炎症、硬直、疼痛を伴い、全身の多発性関節炎の病状を示す難治性自己免疫疾患である。すなわち、生体自体が、自己−非自己の認識欠陥に基づいて、自体をまるで非自己で認識して自体の組織を攻撃し、異常免疫応答を起こし、結合組織に炎症もたらす全身性疾患である。
【0004】
退行性関節炎、すなわち、骨関節炎は、関節を構成する軟骨細胞(chondrocytes)に老化などの退行が生じ、軟骨細胞において、関節の基質物質である類型IIコラーゲン(type II collagen)及びプロテオグリカンなどの合成が阻害されると同時に、インターロイキン−1β(interleukin−1β)、及び腫瘍懐死因子−α(tumo rnecrosis factor−α)などの炎症性サイトカインが生成されることにより、関節基質を分解する基質金属タンパク質分解酵素(MMP:matrix metalloproteinase)の合成及び活性が関節細胞で増加することにより、関節組織が破壊されることによって誘発される疾病である。
【0005】
また、関節炎は、炎症性サイトカインによる一酸化窒素の生成と、生成された一酸化窒素による自家増幅的なサイトカインの生成とによって、さらに多くのMMPの合成が誘発され、関節基質の分解が促進されることによってさらに悪くなる。これと同時に、炎症性サイトカインは、脂質代謝産物であるプロスタグランジンE2の生成を増大させ、関節炎での炎症反応を誘発させる。
【0006】
慢性関節リウマチの薬物療法としては、抗炎症ステロイド剤(例えば、プレドニゾロン)や非ステロイド系抗炎症剤(例えば、インドメタシン、アスピリン)、免疫抑制剤[例えば、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、メトトレキサート、シクルロホスファミド、アザチオプリン]、疾患修飾性抗リウマチ剤(例えば、金塩製剤)が使用されている。抗炎症剤は、炎症を調節し、疼痛及び腫脹を緩和させることができるが、進行自体を阻止することは困難である。このように、いかなる薬物も症状を軽減させたり、疾病の進展を遅らせたりするだけであり、また長期間投与による副作用が発現する可能性もあり、十分に満足すべき薬剤であると言い難い。
【0007】
一方、関節炎治療に使われる薬物は、炎症の低減、疾病進行の遅延、尿酸濃度の低下という主な作用メカニズムを基に分類されるが、多くの神経関節炎治療薬物が、炎症を低減させる作用を行う。炎症は、痛症、浮腫、熱感、発作、硬直を起こす病的過程であり、炎症を迅速に緩和させる薬物には、アスピリンを始めとする非ステロイド性抗炎剤と、コルチゾンを始めとするステロイド性抗炎剤とがある。
【0008】
非ステロイド性抗炎剤は、痛症を低減させ、神経関節を楽にさせ、炎症を緩和させる効果があるが、胃腸障害が示されたり、腹痛を誘発したりする場合もあるので、活動性消化性潰瘍や、胃腸部位の出血的病歴がある者には、使用が禁止される。ステロイド性抗炎剤は、その効果に比べ、体重増加や高血圧などの副作用が深刻であり、退行性神経関節炎にはあまり使用しない。特に、ステロイド性抗炎剤は、疾患の原因治療とは全く無関係であり、単に痛症を一時的に低減させ、関節の過剰使用を誘導する素地があり、それは、神経関節を破壊して障害を悪化させる要因になるので、使用に注意を要する。
【0009】
従って、関節炎の治療に使用されている治療法は、限定的な治療効果のみを有し、副作用を伴ったりもし、長期間使用することができないという問題がある。このために、既存の治療方法で発見される問題点を克服することができる新たな治療法に対する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】KR2012−0121196A
【特許文献2】KR2004−0015087A
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】金ヒョンオク外、「関節リウマチの実験動物モデル:方法と活用」、Journal of Rheumatic Disease、Vol. 19、No. 4.、August、2012
【非特許文献2】Myers et al., “Collagen-Induced Arthritis, an Animal Model of Autoimmunity”, Life Sciences, Vol. 61, No.19, pp. 1861-1878, 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これにより、本発明者らは、効果が優秀であり、副作用が少ない関節リウマチ治療剤を開発するために、鋭意努力した結果、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明の目的は、テロメラーゼに由来したペプチドを含む関節リウマチの予防組成物または治療組成物を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面によれば、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するペプチド、またはその断片であるペプチドを含む関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物が提供される。
【0015】
本発明の一側面による関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物において、前記断片は、3個以上のアミノ酸から構成された断片でもある。
【0016】
本発明の一側面による関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物において、前記ペプチドは、ヒトテロメラーゼに由来したものであってもよい。
【0017】
本発明の一側面による関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物において、前記組成物は、関節リウマチと係わる症状を実質的に除去するか、予防または治療するものである。
【0018】
本発明の一側面による関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物において、前記組成物は、5nM/Kg以下の濃度で提供されるものでもあり、さらに望ましくは、0.15nM/Kg〜5nM/Kgの濃度でも提供される。
【0019】
本発明の一側面による関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物において、前記組成物は、皮膚外用剤組成物でもある。
【0020】
本発明の一側面による関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物において、前記組成物は、医薬組成物でもある。
【0021】
本発明の一側面による関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物において、前記組成物は、食品組成物でもある。
【0022】
本発明の他の一側面によれば、前述の有効量の関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物を、治療を必要とする対象に投与する段階を含む関節リウマチを治療及び予防する方法が提供される。
【0023】
本発明の一側面による関節リウマチを治療及び予防する方法において、前記組成物は、5nM/Kg/日以下で対象に投与され、さらに望ましくは、0.15nM/Kg/日〜5nM/Kg/日の範囲で対象に投与されるものでもある。
【0024】
本発明の他の一側面によれば、リウマチ性関節炎の治療のための前述の関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物の用途が提供される。
【0025】
一側面において、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド、またはその断片であるペプチド;及びペプチドの投与量、投与経路、投与回数及び適応症のうち一つ以上を開示した指示書;を含む関節リウマチの予防または治療のためのキットが提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、関節リウマチに効果が優秀であり、副作用が最小化される関節リウマチの予防用組成物または治療用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】CIA動物モデルを利用した関節リウマチ柔道及びペプチド処理のための一次実験での経時的なスケジュールを図示した図面である。
図2】CIA動物モデルを利用した関節リウマチ柔道及びペプチド処理のための二次実験での経時的なスケジュールを図示した図面である。
図3】各関節リウマチ指数の点数別様相を写真で示したグラフである。
図4】関節リウマチ治療効果を確認するための組織病理学的プロファイルを示した図面である。
図5】一次実験結果であって、対照群、1nM初期治療群及び1nM後期治療群の関節炎指数を示したグラフである。
図6】一次実験結果であって、対照群、10nM初期治療群及び10nM後期治療群の関節炎指数を示したグラフである。
図7】対照群及び治療群の体重変化を示したものであって、Y軸は、体重(weight)軸であり、数値は、g単位の体重変化を表示したものであり、X軸は、処置及び治療の結果を示したグラフである。
図8】二次実験結果であって、対照群及び0.2nM、1nM、2nM、5nMの関節炎指数を示し(上段グラフ)、効果がさらに優秀であると見られる低濃度ペプチド処理群(0.2nM、1nM)の結果のみを別途に図示(下段)したグラフである。
図9】二次実験結果であって、対照群及び0.2nM、1nM、2nM、5nMの体重変化を示し(上段グラフ)、効果がさらに優秀であると見られる低濃度ペプチド処理群(0.2nM、1nM)の結果のみを別途に図示(下段)したグラフである。
図10】HeLa細胞で行ったPEP1の毒性試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施例を有することができるが、以下、本発明についてさらに具体的に説明する。しかし、それは、本発明を特定の実施形態について限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものであると理解されなければならない。本発明の説明において、関連公知技術に係わる具体的な説明が、本発明の要旨を不明確にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0029】
テロメア(telomere)は、染色体の末端に反復的に存在する遺伝物質であって、当該染色体の損傷や、他の染色体との結合を防止すると知られている。細胞が分裂するたびに、テロメアの長さは少しずつ短くなるが、一定回数以上の細胞分裂があれば、テロメアは非常に短くなり、その細胞は、分裂を止めて死ぬ。一方、テロメアを長くすれば、細胞の寿命が延長されると知られており、その例として、癌細胞では、テロメラーゼ(telomerase)という酵素が分泌され、テロメアが短くなることを防ぐために、癌細胞が死なずに、続けて増殖すると知られている。
【0030】
本発明の一側面は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド、またはその断片であるペプチドをコーディングするポリヌクレオチドを提供する。前記ポリヌクレオチドを利用して、ペプチドを量産することができる。例えば、ペプチドをコーディングするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞に入れて培養することによって、ペプチドを量産することができる。
【0031】
本明細書に開示されたペプチドは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の配列相同性を有するペプチドも含む。また、本明細書に開示されたペプチドは、配列番号1を含むペプチドまたはその断片と、1個以上のアミノ酸、2個以上のアミノ酸、3個以上のアミノ酸、4個以上のアミノ酸、5個以上のアミノ酸、6個以上のアミノ酸または7個以上のアミノ酸が変化したペプチドと、を含んでもよい。
【0032】
本発明の一側面において、アミノ酸変化は、ペプチドの物理化学的特性を変更させる性質に属する。例えば、ペプチドの熱安定性を向上させ、基質特異性を変更させ、最適のpHを変化させるようなアミノ酸変化が行われる。
【0033】
本発明の一側面において、配列番号1の配列を含むペプチド、または前記ペプチド配列と80%以上の配列同一性を有するペプチドは、テロメラーゼ、具体的には、ヒトテロメラーゼに由来したペプチドを含む。
【0034】
本明細書において「アミノ酸」というのは、自然にペプチドに統合される22個の標準アミノ酸だけではなく、D−アイソマー及び変形されたアミノ酸を含む。それにより、本発明の一側面においてペプチドは、D−アミノ酸を含むペプチドでもある。一方、本発明の他の側面においてペプチドは、翻訳後の変形(post-translational modification)が行われた非標準アミノ酸なども含む。翻訳後の変形例は、リン酸化(phosphorylation)、糖化(glycosylation)、アシル化(acylation)(例えば、アセチル化(acetylation)、ミリストイル化(myristoylation)及びパルミトイル化(palmitoylation)を含む)、アルキル化(alkylation)、カルボキシル化(carboxylation)、ヒドロキシル化(hydroxylation)、糖化反応(glycation)、ビオチニル化(biotinylation)、ユビキチニル化(ubiquitinylation)、化学的性質の変化(例えば、ベータ除去脱イミド化、脱アミド化)及び構造的変化(例えば、二硫化物ブリッジの形成)を含む。また、ペプチドコンジュゲートを形成するための架橋剤(crosslinker)との結合過程で起こる化学反応によって生ずるアミノ酸の変化、例えば、アミノ基、カルボン酸基、または側鎖での変化のようなアミノ酸の変化を含む。
【0035】
本明細書に開示されたペプチドは、自然そのままの供給源から同定されて分離された野生型ペプチドでもある。一方、本明細書に開示されたペプチドは、配列番号1の断片であるペプチドと比較し、一つ以上のアミノ酸が置換、欠失及び/または挿入されたアミノ酸配列を含む、人工変異体でもある。人工変異体だけではなく、野生型ポリペプチドでのアミノ酸変化は、タンパク質のフォールディング(folding)及び/または活性に、有意の影響を及ぼさない保存性アミノ酸置換を含む。保存性置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ルシン、イソロイシン及びメチオニン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン及びトレオニン)の群の範囲内にある。一般的に、特異的活性を変更させないアミノ酸置換が、本分野に公知されている。最も一般的に発生する交換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu及びAsp/Gly、並びにそれらと反対のものである。保存的置換の他の例は、次の表1の通りである。
【0036】
【表1】
【0037】
ペプチドの生物学的特性における実在的な変形は、(a)置換領域内のポリペプチド骨格の構造、例えば、シートまたは螺旋立体構造の維持におけるそれらの効果、(b)標的部位での前記分子の電荷または疎水性の維持におけるそれらの効果、または(c)側鎖のバルク維持におけるそれらの効果がかなり異なる置換部を選択することによって行われる。天然残基は、通常の側鎖特性に基づいて、次のグループに区分される:
【0038】
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:gly、pro;及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe。
【0039】
非保存的置換は、それら部類のうち1つの構成員を他の部類に交換することによって行われる。ペプチドの適切な立体構造の維持と関連性のないいかなるシステイン残基も、一般的にセリンで置換され、前記分子の酸化的安定性を向上させ、異常な架橋結合を防止することができる。逆に言えば、システイン結合を前記ペプチドに加え、その安定性を向上させることができる。
【0040】
ペプチドの他類型のアミノ酸変異体は、抗体のグリコシル化パターンが変化したものである。変化という意味は、ペプチドで発見された一つ以上の炭水化物残基の欠失、及び(または)ペプチド内に存在しない一つ以上のグリコシル化部位の付加を示す。
【0041】
ペプチドのグリコシル化は、典型的にN連結されるか、あるいはO連結されたものである。N連結されているということは、炭水化物残基が、アスパラギン残基の側鎖に付着したことをいう。トリペプチド配列アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−トレオニン(ここで、Xは、プロリンを除いた任意のアミノ酸)は、炭水化物残基をアスパラギン側鎖に酵素的に付着させるための認識配列である。従って、それらトリペプチド配列のうち一つがポリペプチドに存在することによって、潜在的なグリコシル化部位が生成される。O連結されたグリコシル化は、糖N−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースのうち一つを、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリンまたはトレオニンに付着させることを意味するが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンを使用することもできる。
【0042】
ペプチドへのグリコシル化部位の付加は、一つ以上の前述のトリペプチド配列を含むように、アミノ酸配列を変化させることによって便利に行われる(N連結されたグリコシル化部位の場合)。そのような変化は、一つ以上のセリン残基またはトレオニン残基を、最初の抗体の配列に付加するか、それら残基で置換することによって行われる(O連結されたグリコシル化部位の場合)。
【0043】
本発明の一側面において、ポリヌクレオチドは、核酸分子として、自然発生的または人工的なDNA分子あるいはRNA分子でもあり、一本鎖または二本鎖でもある。核酸分子は、一つ以上でもあるが、同一類型の(例えば、同一ヌクレオチド配列を有する)核酸分子でもあり、他類型としての核酸分子でもある。DNA、cDNA、decoy DNA、RNA、siRNA、miRNA、shRNA、stRNA、snoRNA、snRNA、PNA、アンチセンスオリゴマー(antisense oligomer)、プラスミド(plasmid)、及びそれ以外の変形された核酸のうち一つ以上を含むが、それらに制限されるものではない。
【0044】
本発明での配列番号1(以下、「PEP 1」)は、テロメラーゼ由来ペプチドであって、下記のように16個のアミノ酸からなるペプチドである。
【0045】
配列番号1:EARPALLTSRLRFIPK
【0046】
また、本発明の一側面による配列番号1の配列を有するペプチド、配列番号1の配列の断片であるペプチド、または前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチドは、細胞内毒性が低く、生体内安定性が高いという長所を有する。
【0047】
一側面において本発明は、活性成分として、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド、またはその断片であるペプチドを含む関節リウマチ(RA:rheumatoid arthritis)の予防または治療のための組成物に係わるものである。
【0048】
一側面において本発明は、有効量の配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド、またはその断片であるペプチドを関節リウマチの予防または治療を必要とする対象に投与することを含む関節リウマチの予防方法または治療方法に係わるものである。
【0049】
一側面において本発明は、有効量の配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド、またはその断片であるペプチドの関節リウマチの予防または治療への用途に係わるものである。
【0050】
一側面において本発明は、関節リウマチの予防または治療のための配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド、またはその断片であるペプチドに係わるものである。
【0051】
一側面において本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド、またはその断片であるペプチド;及びペプチドの投与量、投与経路、投与回数及び適応症のうち一つ以上を開示した指示書;を含む関節リウマチの予防または治療のためのキットに係わるものである。
【0052】
一側面において前記断片は、3個以上のアミノ酸から構成された断片でもある。他の側面において、前記断片は、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上または15個以上のアミノ酸から構成された断片でもある。
【0053】
一側面において前記ペプチドは、ヒトテロメラーゼに由来したものであってもよい。具体的には、配列番号1のペプチドは、ヒトテロメラーゼ全体配列(1,132個のアミノ酸、配列番号2)のうち611〜626位置のペプチドを意味する。
【0054】
一側面において前記ペプチドは、関節リウマチと係わる症状を実質的に除去するか、あるいは治療または予防する関節リウマチの予防または治療のためのものでもある。
【0055】
一側面において前記ペプチドは、0.001〜1ng/kgまたは0.01〜0.4ng/kgの1回投与量で投与される。他の側面において前記投与量は、0.001ng/kg以上、0.005ng/kg以上、0.01ng/kg以上、0.02ng/kg以上または0.03ng/kg以上でもある。他の側面において前記投与量は、1ng/kg以下、0.9ng/kg以下、0.8ng/kg以下、0.7ng/kg以下、0.6ng/kg以下、0.5ng/kg以下、0.4ng/kg以下、0.3ng/kg以下または0.2ng/kg以下でもある。
【0056】
一側面において前記ペプチドは、1日〜5日ごとに1回、または1.5日〜2.5日ごとに1回投与される。
【0057】
一側面において前記組成物は、ペプチドの濃度が0.05nM〜5nMの濃度でもある。
【0058】
一側面において前記組成物の剤形は、注射剤剤形でもある。
【0059】
本発明の一側面は、配列番号1を含むペプチド、またはその断片であるペプチド、または前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチドを含む関節リウマチの治療組成物及び予防組成物を提供する。
【0060】
本発明の一側面は、配列番号1を含むペプチド、またはその断片であるペプチド、または前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチドの関節リウマチの治療及び予防のための用途を提供する。
【0061】
本発明の一側面は、薬物;及び配列番号1を含むペプチド、またはその断片であるペプチド、または前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチドを含む組成物を対象に適用する段階を含む関節リウマチ治療方法が提供される。
【0062】
本発明の一側面は、配列番号1を含むペプチド、またはその断片であるペプチド、または前記ペプチド配列と80%以上の配列相同性を有するペプチドを含み、関節リウマチの治療及び予防の効果が優秀な医薬組成物、皮膚外用剤組成物または食品組成物を提供する。
【0063】
本発明の一側面による組成物は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、前記アミノ酸配列と80%以上の配列相同性を有するペプチド、またはその断片であるペプチドを、0.1μg/mg〜1mg/mg、具体的には、1μg/mg〜0.5mg/mg、さらに具体的には、10μg/mg〜0.1mg/mgの含量で含んでもよい。前記範囲で含む場合、本発明の意図した効果を示すのに適切なだけではなく、組成物の安定性及び安全性をいずれも満足し、コスト対比の効果の側面でも、前記範囲で含むことが適切である。
【0064】
本発明の一側面による組成物は、ヒト、犬、ニワトリ、豚、牛、羊、ギニアピッグまたは猿を含む全ての動物に適用される。
【0065】
本発明の一側面による医薬組成物は、経口、直腸、経皮、静脈内、筋肉内、腹腔内、骨髄内、硬膜内または皮下などに投与される。
【0066】
経口投与のための剤形は、錠剤、丸剤、軟質または硬質のカプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤または乳濁剤でもあるが、それらに制限されるものではない。非経口投与のための剤形は、注射剤、点滴剤、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、懸濁液剤、乳剤、坐剤、パッチまたは噴霧剤でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0067】
本発明の一側面による医薬組成物は、必要によっては、希釈剤、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、分散剤、界面活性剤、着色剤、香料または甘味剤などの添加剤も含む。本発明の一側面による医薬組成物は、当業界の一般的な方法によって製造される。
【0068】
本発明の一側面による医薬組成物の活性成分は、投与される対象の年齢、性別、体重、病理状態及びその深刻度、投与経路または処方者の判断によって異なる。そのような因子に基づいた適用量決定は、当業者のレベル内にあり、その1日投与用量は、例えば、0.0000001ng/kg/日〜10,000ng/kg/日、または0.00001ng/kg/日〜100ng/kg/日、具体的には、0.0001ng/kg/日〜10ng/kg/日、さらに具体的には、0.001ng/kg/日〜1ng/kg/日、一層具体的には、0.01ng/kg/日〜0.4ng/kg/日にもなるが、それらに制限されるものではない。本発明の一側面による医薬組成物は、1日〜5日に1回〜3回投与されるが、それらに制限されるものではない。
【0069】
担体としては、固形・半固形または液状の希釈剤、充填剤及びそれ以外の処方用助剤1種以上が使用される。医薬組成物は、投与単位形態で投与することが望ましい。本発明の医薬組成物は、経口的または非経口的(例えば、注射、経直腸)に投与することができる。
【0070】
本発明の一側面による医薬組成物は、1日1回〜3回投与されるが、それに制限されるものではない。
【0071】
本発明の一側面による皮膚外用剤組成物は、局所適用に適する全ての剤形でもって提供される。例えば、溶液、水相に油相を分散させて得たエマルジョン、油相に水相を分散させて得たエマルジョン、懸濁液、固体、ゲル、粉末、ペースト、泡沫(foam)またはエアロゾルの剤形でも提供される。そのような剤形は、当該分野の一般的な方法によって製造される。
【0072】
本発明の一側面による皮膚外用剤組成物は、主効果を損傷させない範囲内で、望ましくは、主効果に相乗効果を与えることができる他の成分も含む。また、本発明の一側面による皮膚外用剤組成物は、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、pH調整剤、有機または無機の顔料、香料、冷感剤または制汗剤をさらに含んでもよい。前記成分の配合量は、本発明の目的及び効果を損傷させない範囲内で、当業者が容易に選定可能であり、その配合量は、皮膚外用剤組成物全体重量を基準に、0.01〜5重量%、具体的には、0.01〜3重量%でもある。
【0073】
本発明の一側面による食品組成物の剤形は、特別に限定されるものではないが、例えば、錠剤、顆粒剤、粉末剤、液剤、固形製剤などに剤形化される。各剤形は、活性成分以外に、当該分野で一般的に使用される成分を、剤形目的または使用目的によって、当業者が困難さなしに、適宜選定して配合することができ、他の原料と同時に適用する場合、相乗効果が起こることが可能である。
【0074】
前記活性成分の投与量決定は、当業者のレベル内にあり、その1日投与用量は、例えば、具体的には、1μg/kg/日〜10mg/kg/日、さらに具体的には、10μg/kg/日〜1mg/kg/日、一層具体的には、50μg/kg/日〜100μg/kg/日にもなるが、それらに制限されるものではなく、投与する対象の年齢、健康状態、合併症など多様な要因によって異なる。
【0075】
経口投与のための剤形は、固形または液状の用量単位、例えば、末剤、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁液剤、液剤、シロップ剤、ドロップ剤、舌下錠やそれ以外の剤形によってなる。
【0076】
末剤は、本発明の化合物を適切な粒度に粉砕することによって製造される。散剤は、本発明の化合物を適切な粒度に粉砕した後、同様に適切な粒度に粉砕した医薬用担体、例えば、澱粉、マンニトールのような食用炭水化物、それ以外のものと混合することによって製造する。必要によっては、風味剤、保存剤、分散剤、着色剤、香料、それ以外のものを混合することもできる。
【0077】
カプセル剤は、まず上述のようにして粉末状になった末剤、散剤または錠剤の項で説明したように、顆粒化したものを、例えば、ゼラチンカプセルのようなカプセル外皮中に充填することによって製造される。滑沢剤や流動化剤、例えば、コロイド型シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、固形のポリエチレングリコールのようなものを粉末状であるものに混合し、その後、充填操作を行う。崩壊剤や可溶化剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムを添加すれば、カプセル剤を摂取したときの医薬の有効性を改善させることができる。
【0078】
また、本発明の化合物の微細粉末を、植物油、ポリエチレングリコール、グリセリン、界面活性剤の中に懸濁分散させ、それをゼラチンシートで覆い包んで軟質カプセル剤にすることができる。
【0079】
錠剤は、賦形剤を加えて粉末混合物を作り、顆粒化またはスラッグ化し、続いて、崩壊剤または滑沢剤を加えた後、打錠することによって製造される。
【0080】
必要であるならば、経口投与のための用量単位処方は、マイクロカプセル化することもできる。その処方は、さらに被覆を行うか、あるいは高分子・ワックスなどの中に埋め込むことによって、作用時間の延長や持続放出を起こすこともできる。
【0081】
非経口投与として、注射剤、坐剤などを利用することができる。皮下・筋肉または静脈内の注射用にした液状用量単位形態、例えば、溶液や懸濁液剤の形態を使用することによって行うことができる。それらは、本発明の化合物の一定量を、注射目的に適する非毒性の液状担体、例えば、水性や油性の媒体に懸濁したり溶解させたりし、続いて、その懸濁液または溶液を滅菌させることによって製造される。注射液を等張にするために、非毒性の塩や塩溶液を添加することもできる。また、安定剤、保存剤、乳化剤などを併用することもできる。
【0082】
直腸投与は、本発明の化合物を低融点の、水に可溶または不溶の固体、例えば、ポリエチレングリコール、カカオ脂、半合成の油脂、高級エステル類(例えば、パルミチン酸ミリスチルエステル)、及びそれらの混合物に溶解または懸濁させて製造した坐剤などを使用することによって行うことができる。
【0083】
本発明による関節リウマチの治療組成物及び予防組成物は、その他の薬剤、例えば、抗炎症ステロイド剤や非ステロイド系抗炎症剤、免疫抑制剤、疾患修飾性抗リウマチ剤などを配合または併用することができる。
【0084】
本明細書で使用される関節リウマチと係わる症状を「実質的に除去する」ということは、少なくとも96%その症状の発生を低下させるということを意味する。
【0085】
本明細書で使用される「治療する」ということは、例えば、障害の抑剤、退歩または停滞を誘発させ、または障害の重度度を低下させ、抑え、抑制して低下させ、または障害の症状を除去するか改善させるということを含む。
【0086】
本明細書で使用される、被験者での疾病進行または疾病合併症の「抑制」ということは、被験者において、疾病進行及び/または疾病合併症を防止したり、あるいは低下させたりするということを意味する。
【0087】
本明細書において使用される関節リウマチと係わる「症状」は、関節炎と係わる任意の臨床的または検査の兆候を含み、被験者が感じたり観察したりすることができるところに制限されるものではない。炎症は、関節リウマチの症状である。
【0088】
本明細書において使用された用語は、特定具体例について説明するための目的だけに意図されたものであり、本発明を限定する意図ではない。名詞の前に個数が省略された用語は、数量を制限するものではなく、言及された名詞物品が一つ以上存在するということを示すのである。用語「含む」、「有する」及び「含有する」というのは、開かれた用語として解釈される(すなわち、「含むが、それに限定されるものではない」という意味)。
【0089】
数値範囲の言及は、単にその範囲内に属するそれぞれの別個の数値を個別的に言及することの代わりをする容易な方法であるために、そうではないということが明示されていない限り、各別個の数値は、まさしく個別的に明細書に言及されているように、本明細書に統合される。全範囲の終値は、その範囲内に含まれ、独立して組み合わせ可能である。
【0090】
本明細書に言及された全ての方法は、取り立てて明示されているか、あるいは文脈によって明白に矛盾しない限り、適切な手順によって遂行される。ある一実施例及び全ての実施例、または例示的言語(例えば、「〜のような」)の使用は、特許請求の範囲に含まれていない限り、単に本発明をさらに良好に記述するためものであり、本発明の範囲を制限するものではない。明細書のいかなる言語も、いかなる非請求構成要素を、本発明の実施に必須なものであると解釈されることがあってはならない。取り立てての定義がない限り、本明細書に使用される技術的及び科学的な用語は、本発明が属する技術分野で当業者によって、一般的に理解されるような意味を有する。
【0091】
本発明の望ましい具体例は、本発明を実施するために発明者に知られた最適のモードを含む。望ましい具体例の変動は、先行する記載に触れれば、当業者に明白になるであろう。本発明者らは、当業者がかような変動を適切に利用するということを期待し、本発明者らは、本明細書の記載と異なる方式で本発明が実施されるということを期待する。従って、本発明は、特許法によって許容されているように、特許請求の範囲で言及された発明の要旨の均等物及び全ての変形を含む。さらに、全ての可能な変動内で、前述の構成要素のいかなる組み合わせも、ここで異なって明示されるか、あるいは文脈上明白に矛盾しない限り、本発明に含まれるものである。本発明は、例示的な具体例を参照して具体的に示されて記述されたが、当業者は、特許請求の範囲によって定義される発明の精神及び範囲を外れずとも、形態及びディテールにおいて、多様な変化が行われるということを十分に理解するであろう。
【0092】
以下、実施例及び実験例を挙げ、本発明の構成及び効果についてさらに具体的に説明する。しかし、下記の実施例及び実験例は、本発明に係わる理解の一助とするために、例示の目的にのみ提供されたものであり、本発明の範疇及び範囲は、それらによって制限されるものではない。
【実施例】
【0093】
実施例1:ペプチドの合成
配列番号1のペプチド(以下「PEP 1」とする)を従来に知られた固相ペプチド合成法(SPPS:solid phase peptide synthesis)によって製造した。具体的には、ペプチドは、ASP48S(Peptron、Inc.,大韓民国・大田)を利用して、Fmoc固相合成法を介して、C末端からアミノ酸一つずつカップリングすることによって合成した。次のように、ペプチドのC末端の最初のアミノ酸が樹脂に付着されたものを使用した。例えば、次の通りである:
【0094】
NH2−Lys(Boc)−2−chloro−Trityl Resin
NH2−Ala−2−chloro−Trityl Resin
NH2−Arg(Pbf)−2−chloro−Trityl Resin
【0095】
ペプチド合成に使用した全てのアミノ酸原料は、N−termがFmocで保護(protection)され、残基はいずれも酸で除去される、Trt、Boc、t−Bu(t−butyl ester)、Pbf(2,2,4,6,7−pentamethyl dihydro−benzofuran−5−sulfonyl)などで保護されたものを使用した。例えば、次の通りである:
【0096】
Fmoc−Ala−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Glu(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Ile−OH、Fmoc−Phe−OH、Fmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Gln(Trt)−OH、Fmoc−Trp(Boc)−OH、Fmoc−Met−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)−OH、Fmoc−Ahx−OH、Trt−Mercaptoacetic acid。
【0097】
カップリング試薬(Coupling reagent)としては、HBTU[2−(1H−Benzotriazole−1−yl)−1,1,3,3−tetamethylaminium hexafluorophosphate]/HOBt[N−Hydroxybenzotriazole]/NMM[4−Methylmorpholine]を使用した。Fmoc除去は、20%のDMF内で、ピペリジン(piperidine in DMF)を利用した。合成されたペプチドをResinから分離し、残基の保護基除去には、切断カクテル(Cleavage Cocktail)[TFA(trifluoroacetic acid)/TIS(triisopropylsilane)/EDT(ethanedithiol)/H2O=92.5/2.5/2.5/2.5]を使用した。
【0098】
アミノ酸保護基が結合された出発アミノ酸が固相支持体に結合されている状態を利用して、ここに当該アミノ酸をそれぞれ反応させ、溶媒で洗浄した後、脱保護する過程を反復することにより、各ペプチドを合成した。合成されたペプチドを樹脂から切り取った後、HPLCで精製し、合成いかんをMSで確認して凍結乾燥させた。
【0099】
本実施例に使用されたペプチドに対して、高性能液体クロマトグラフィ結果、全てのペプチドの純度は、95%以上であった。
【0100】
PEP 1製造に係わる具体的な過程について説明すれば、次の通りである。
1)カップリング
NH2−Lys(Boc)−2−chloro−Trityl Resinで保護されたアミノ酸(8当量)と、カップリング試薬HBTU(8当量)/HOBt(8当量)/NMM(16当量)とをDMFに溶解させて添加した後、常温で2時間反応させ、DMF、MeOH、DMFの順に洗浄した。
【0101】
2)Fmoc脱保護
20%のDMF中のピペリジン(piperidine in DMF)を加え、常温で5分間2回反応させ、DMF、MeOH、DMFの順に洗浄した。
【0102】
3)1及び2の反応を反復して行い、ペプチド基本骨格NH2−E(OtBu)−A−R(Pbf)−P−A−L−L−T(tBu)−S(tBu)−R(Pbf)L−R(Pbf)−F−I−P−K(Boc)−2−chloro−Trityl Resin)を作った。
【0103】
4)切断(Cleavage):合成が完了したペプチドResinに、切断カクテル(Cleavage Cocktail)を加え、ペプチドをResinから分離した。
【0104】
5)得られた混合物に、Cooling diethyl etherを加えた後、遠心分離して得られたペプチドを沈澱させる。
【0105】
6)Prep−HPLCで精製した後、LC/MSで分子量を確認して凍結させ、パウダーに製造した。
【0106】
実施例1のような方法に製造されたPEP 1を利用して、関節リウマチ治療及び予防効果に係わる実験を実施した。
【0107】
実施例2:CIA動物モデルを利用した関節リウマチ誘導及びペプチド処理
CIA(Collagen induced arthritis)動物モデル構築
本発明によるペプチドを含む組成物が、関節リウマチ(RA)に及ぼす効果を調べるために、コラーゲン誘発関節リウマチ(CIA:Collagen−induced rheumatoid arthritis)を起こしたマウスを利用して確認した。
【0108】
CIA動物モデルについて、本発明に含まれている非特許文献である金ヒョンオク外に詳細に記述されている。それを参照し、本実施例では、次のようにCIA動物モデルを構築した。
【0109】
下記一次実験及び二次実験において、前記実施例1によって得られた凍結乾燥パウダー形態のPEP 1を、0.9%食塩水に溶解させて使用した。PEP 1の純度に対する補正(純度:97.3%、含量:85.3%)を実施し、投与直前に0.9%食塩水を賦形剤にし、それぞれの濃度で注射用溶液を調剤した。全ての投与は、前記溶液を100uLの量で行われた。
【0110】
一次実験
DBA/1Jマウス5週齢のオス(Orient Bio Inc.,韓国)を使用して、初日に38匹のネズミに一次誘導を進め、CIAを起こす前に、ペプチド組成物を投与する初期治療群(preventive)16匹(1nM、100μL(すなわち、約0.2ngの投与量)8匹;10nM、100μL(すなわち、約2ngの投与量)8匹)、CIAを起こした後、ペプチド組成物を投与する後期治療群(therapeutic)16匹(1nM、100μL 8匹;10nM、100μL 8匹)及びPBS処理群6匹に区分した。
【0111】
初期治療群には、2,4,6日目、21,23,25日目、35,37,39日目にそれぞれの濃度に合うように、ID(intradermal injection)方法で治療を進めた。19日目に、38匹のネズミに二次誘導を進め、21日目からは、後期治療群に、21,23,25,35,37,39日目に、各濃度でID(intradermal injection)方法で治療を進めた(図1)。
【0112】
関節炎指数評価は、二次誘導日から2日間隔で、42日まで進め、42日目に全てのネズミを犠牲にし、関節及び血清を収集した。
【0113】
前記PEP 1投与の間、ネズミは、いずれも生存していた。
【0114】
二次実験
前記一次実験時のように、5週齢のネズミを使用して、初日に、38匹のネズミに一次誘導を進め、CIAを起こさせた後、ペプチド組成物を投与する治療群32匹(0.2nM、100μL(すなわち、約0.04ng)8匹;1nM、100μL(すなわち、約0.2ng)8匹;2nM、100μL(すなわち、約0.4ng)8匹;5nM、100μL(すなわち、約1ng)8匹)、PBS処理群6匹に区分した。
【0115】
21日目に、コラーゲン二次誘導を進め、各治療群に、23,25,27日目にそれぞれの濃度に合うように、ID(intradermal injection)方法で治療を進めた(図2)。
【0116】
関節炎指数評価は、二次誘導日から2日間隔で42日まで進め、42日目に全てのネズミを犠牲にし、関節及び血清を収集した。
【0117】
前記PEP 1投与の間、ネズミは、いずれも生存していた。
【0118】
実施例3:関節リウマチ治療効果の確認
関節炎指数は、0点から4点までに区別され、一匹当たり与えられる点数は、0点から最大16点になる(表2)。
【0119】
【表2】
【0120】
図3には、表2に記載されている各点数別関節リウマチの様相が写真で示されている。
【0121】
関節リウマチの評価のために、1匹当たり0〜16点の指数を測定し、値は、平均値で示した。
【0122】
図4には、関節リウマチ治療効果を確認するための組織病理学的プロファイルを示した。正常対照群(NL)、CIA対照群(CIA Vehicle)ペプチド10nM及びペプチド1nM処理(Tx)群を介して確認することができるように、正常対照群に比べ、CIA対照群では、著しい細胞の浮腫、及び炎症による浸潤及び侵食が観察され、ペプチド処理群では、そのような細胞の損傷が減少している。
【0123】
一次実験結果
初期治療群(pre−1nM及びpre−10nM)では、36日目ごろまでは、関節炎が減少する効果を示していて、その後、効果がなくなる様相を示し、後期治療群(thera−1nM及びthera−10nM)では、全体的に関節炎が低減する効果を示したが、10nMより1nMにおいて効果を示した。また、CIA対照群に比べ、初期治療群及び後期治療群で、一定レベルの体重増加が観察された(図5図7)。
【0124】
二次実験結果
各濃度のペプチド処理群と、CIA対照群とを比較すれば、ペプチド処理群において、大体のところ関節炎指数の低下を示した。特に、低い濃度で優秀な効果を示すということが確認された(図8)。また、体重測定時にも、CIA対照群に比べ、低い濃度のペプチド処理群で、目立った体重増加を確認することができた(図9)。
【0125】
前述のような一次及び二次の実験結果を総合すれば、10nMのペプチド投与より低いレベルの濃度である1nMにおいて、さらに効果があり、初期治療群よりは、二次の誘導後に処理を行う後期治療群において、すぐれた関節炎抑制効果が見られた。また、各グループ別体重変化を測定した結果、他のグループに比べ、1nM後期治療群グループの体重減少が最も少なく、それは、関節炎の抑制効果とも相関している結果であると言える。
【0126】
実施例4:毒性実験
(1)細胞の準備
ATCCから得たHeLa細胞株を、MEM(Minimum Essential Medium)に10%ウシ胎児血清(Invitrogen,USA)とEarle’s salts、non-essential amino acids、ピルビン酸ナトリウム、100μg/mlペニシリン及び100units/mlストレプトマイシン(streptomycin)を添加し、37℃、5%CO2培養器で培養した。
【0127】
(2)細胞生存率及び毒性分析
一方、前記培養された細胞株を、96ウェルプレートに分周し、培地に10%ウシ胎児血清(Invitrogen,USA)と、100μg/mlペニシリン及び100units/mlストレプトマイシンとを添加し、37℃、5%CO2培養器で12時間培養した。PBS洗浄後、MEM(Minimum Essential Medium)で1時間の飢餓(starvation)を行った。各PEP 1 20uM水溶液を100μLで処理し、37℃で24時間培養した後、MTTアッセイ方法を利用して、細胞生存率及び毒性を分析した。その結果は、図10に示した通りである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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