特許第6262725号(P6262725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エプコス アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許6262725-発光ダイオード装置 図000002
  • 特許6262725-発光ダイオード装置 図000003
  • 特許6262725-発光ダイオード装置 図000004
  • 特許6262725-発光ダイオード装置 図000005
  • 特許6262725-発光ダイオード装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262725
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】発光ダイオード装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20180104BHJP
   H01L 33/64 20100101ALI20180104BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L33/64
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-513062(P2015-513062)
(86)(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公表番号】特表2015-517740(P2015-517740A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】EP2013058009
(87)【国際公開番号】WO2013174583
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2015年1月19日
(31)【優先権主張番号】102012104494.5
(32)【優先日】2012年5月24日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ファイヒティンガー, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デルノフゼク, オリバー
(72)【発明者】
【氏名】アイヒホルツァー, クラウス−ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ブルンナー, セバスティアン
【審査官】 佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−150229(JP,A)
【文献】 特開2006−339559(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0219733(US,A1)
【文献】 特開2008−270327(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/106717(WO,A1)
【文献】 特開2009−206422(JP,A)
【文献】 特開2000−261039(JP,A)
【文献】 特開2010−244973(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/058438(WO,A1)
【文献】 特開2005−150386(JP,A)
【文献】 特開2008−022006(JP,A)
【文献】 特開2009−130237(JP,A)
【文献】 特開2008−021987(JP,A)
【文献】 特開平11−251644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード装置(1)であって、
少なくとも1つのキャビティ(51)を備えた基板(2)と、
前記少なくとも1つのキャビティ(51)内に、少なくとも部分的に沈み込んで配設されている発光ダイオードチップ(3)と、
前記基板(2)に埋め込まれて形成されるESD保護素子(20)と、
前記基板(2)上で、1つ以上のキャビティ(52,53)内に、完全に沈み込んで配設された1つの電子デバイス(41)およびもう1つの電子デバイス(42)と、
を備え、
前記基板(2)はバリスタ材料を備え、
前記電子デバイス(41)および前記もう1つの電子バイス(42)の一方は、NTCサーミスタデバイスとして実装されており、前記電子デバイス(41)および前記もう1つの電子バイス(42)の他方は、PTCサーミスタデバイスとして実装されており、
前記ESD保護素子(20)は前記発光ダイオードチップ(3)の保護のために形成されており、そして前記発光ダイオードチップ(3)の下側、あるいは前記電子デバイス(41)または前記もう1つの電子デバイス(42)の下側に配設されている
ことを特徴とする発光ダイオード装置。
【請求項2】
前記発光ダイオードチップ(3)は、前記少なくとも1つのキャビティ(51)内に、完全に沈み込んで配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード装置。
【請求項3】
前記電子デバイス(41)は、もう1つのキャビティ(51)内に、完全に沈み込んで配設されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の発光ダイオード装置。
【請求項4】
発光ダイオード装置(1)であって、
少なくとも1つのキャビティ(51)または複数のキャビティ(51,52,53)を備えた基板(2)と、
前記基板(2)上に配設されている発光ダイオードチップ(3)と、
前記基板(2)に埋め込まれて形成されるESD保護素子(20)と、
前記基板(2)上で、1つ以上のキャビティ(51,52,53)内に、完全に沈み込んで配設された1つの電子デバイス(41)およびもう1つの電子デバイス(42)と、
を備え、
前記基板(2)はバリスタ材料を備え、
前記電子デバイス(41)および前記もう1つの電子バイス(42)の一方は、NTCサーミスタデバイスとして実装されており、前記電子デバイス(41)および前記もう1つの電子バイス(42)の他方は、PTCサーミスタデバイスとして実装されており、
前記ESD保護素子(20)は前記発光ダイオードチップ(3)の保護のために形成されており、そして前記発光ダイオードチップ(3)の下側、あるいは前記電子デバイス(41)または前記もう1つの電子デバイス(42)の下側に配設されている、
ことを特徴とする発光ダイオード装置。
【請求項5】
前記電子デバイス(41)および前記もう1つの電子デバイス(42)は同じキャビティ内に配設されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項6】
前記電子デバイス(41)および前記もう1つの電子デバイス(42)は、2つの分離されたキャビティに配設されており、当該2つの分離されたキャビティの一方は、前記基板(2)で前記発光ダイオードチップ(3)と同一の面上に配設されており、当該2つの分離されたキャビティの他方は、前記基板(2)で前記発光ダイオードチップ(3)の反対側の面上に配設されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項7】
前記PTCサーミスタデバイスは、過電流に対する保護デバイスとして前記発光ダイオード装置に組み込まれており、前記NTCサーミスタデバイスは、温度センサとして前記発光ダイオード装置に組み込まれていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項8】
前記ESD保護素子(20)は、バリスタ材料および金属からなる複合体を備えることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項9】
前記ESD保護素子(20)は、前記基板に一体化された半導体ダイオードによって形成されていることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項10】
前記基板(2)は、セラミック基体(21)または有機材料を含む基体(21)を備え、あるいは半導体材料を含む基体を備えることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項11】
前記基体(21)は、前記バリスタ材料として、SrTiO3,ZnO−PrまたはZnO−Biを含むことを特徴とする、請求項10に記載の発光ダイオード装置。
【請求項12】
前記基体(21)は、ZnO−Prおよびガラスからなる複合体またはZnO−Prおよび有機材料からなる複合体を備えることを特徴とする、請求項10または11に記載の発光ダイオード装置。
【請求項13】
前記基体(21)は、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項10に記載の発光ダイオード装置。
【請求項14】
前記基体(21)は、絶縁層(9)を備え、当該絶縁層は、酸化チタン,酸化アルミニウム,窒化アルミニウム,酸化シリコンまたは窒化シリコンを含み、当該絶縁層は、前記発光ダイオードチップ(3)を、当該発光ダイオードチップ(3)を担持する前記基板(2)の上面から電気的に絶縁することを特徴とする、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項15】
前記基体(21)は、ビア(複数)(8)を備え、少なくとも1つのビア(8)は、熱的ビアとして実装されていることを特徴とする、請求項10乃至14のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード装置に関し、この発光ダイオード装置は、少なくとも1つのキャビティと1つの発光ダイオードチップとを有する基板を備える。
【背景技術】
【0002】
1つのLEDチップと1つの保護デバイスとが1つの平坦な基板上に配設されている発光ダイオード(複数)("LEDs")が知られている。この保護デバイスによって、このLEDチップから放出された光は遮られる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明による少なくともいくつかの実施形態の課題は、発光ダイオード装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は独立請求項に記載の発明で解決される。本発明の有利な実施形態および変形実施例は、従属項および以下の記載と図から示される。
【0005】
少なくとも1つの実施形態による発光ダイオード装置は、基板を備える。この基板は、1つの基体を備えてよい。たとえばこの基板は、セラミックの基体を備えてよい。代替として、この基板が、有機材料を含む基体を備えることも可能である。たとえばこの基体は、有機材料を含む回路基板を備えてよい。
【0006】
さらにもう1つの実施形態によれば、この基体は、半導体材料を含む。さらにもう1つの好ましい実施形態によれば、この基体はセラミックバリスタ材料を含む。
たとえばこの基体は、SrTiO3,ZnO−Pr,またはZnO−Biを含む。さらにこの基体は、ZnO−Prおよびガラスからなる複合材、またはZnO−Prおよび有機材料からなる複合材を含んでよく、あるいはZnO−Prおよびガラスからなる複合材、またはZnO−Prおよび有機材料からなる複合材から成っていてよい。この「複合材」なる用語は、以下では特に、少なくとも2つの異なる材質からなる集合体または混合物に形成された材料を意味することがある。
【0007】
もう1つの実施形態によれば、この基体は、酸化アルミニウム,窒化アルミニウム,またはLTCC("low temperature cofired ceramics")のタイプのセラミックを含み、またはこれらの材料の1つから成っていてよい。
【0008】
もう1つの実施形態によれば、本発明による発光ダイオード装置は、1つの発光ダイオードチップを備える。好ましくはこの発光ダイオードチップは、以下の材料の少なくとも1つを含む。燐化ガリウム(GaP),窒化ガリウム(GaN),アルミニウムインジウムガリウム燐(AlGaInP),アルミニウムガリウム燐(AlGaP),アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs),窒化インジウムガリウム(InGaN),窒化アルミニウムガリウム(AlGaN),窒化アルミニウム(AlN),窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN),セレン化亜鉛(ZnSe)。
【0009】
さらにもう1つの実施形態によれば、この発光ダイオードチップは、少なくとも2つの接続面を備える。好ましくはこれらの接続面は、はんだ付け可能である。たとえば、これらの接続面は、1つの合金または以下の金属の組み合わせを有する層配列を備え、あるいはこれらから成っていてよい。
Cu/Ni/Au,Cr/Ni/Au,Cr/Cu/Ni/Au,Cu/Ni/Sn,Cr/Ni/Sn,Cr/Cu/Ni/Sn。
【0010】
もう1つの実施形態によれば、本発明による発光ダイオード装置は、1つのESD保護素子を備える。ここで「ESD]は、以下では「静電気放電」(electrostatic discharge)を表す。好ましくはこのESD保護素子は、上記の基板の一部によって形成される。
【0011】
とりわけ好ましくは、このESD保護素子は、上記の基板および/または上記の基体に一体化された保護パターンである。換言すれば、このESD保護素子は、たとえばディスクリートなESD保護ダイオードのような、ディスクリートなデバイスとしてではなく、上記の基板上に搭載されている。この際このESD保護素子は、たとえばセラミックバリスタ材料のような、上記の基板および/または基体が含む材料を備えてもよい。代替として、このESD保護素子は、上記の基板および/または基体の材料またはこれらの材料とは異なるものを備えることも可能である。たとえば、このESD保護素子は、たとえばセラミックバリスタ材料のような半導体材料を備えてよく、この半導体材料は、たとえば酸化アルミニウム,窒化アルミニウム,または有機材料を備える上記基板に埋め込まれていてよい。
【0012】
もう1つの実施形態によれば、このESD保護素子は、バリスタとして実装される。たとえばこのESD保護素子はバリスタ材料、またはバリスタ材料および金属からなる複合体を備える。
【0013】
もう1つの実施形態によれば、このESD保護素子は、1つのバリスタセラミックと複数の互いに重なった内部電極とを備える。これらの内部電極は、たとえば上記の基板1つ以上の表面からビアによって、好ましくは交互に接続されて、上記の基体の中に導入されている。これらの内部電極は、好ましくは銀または銀−パラジウムを含む。代替として、このESD保護素子は、上記の基板に一体化された半導体ダイオードによって形成されることも可能である。
【0014】
上記のESD保護素子は、好ましくは上記の発光ダイオードチップを過電圧、特に静電気放電から保護するために用いられる。一般的に発光ダイオードチップは、静電気放電に対して非常に弱く、100ボルトを越えるような電圧値では特に弱く、このため保護素子によって保護されなければならない。
【0015】
このESD保護素子がこの発光ダイオード装置の基板の部分領域によって形成されることによって、ここで記載する発光ダイオード装置のとりわけコンパクトな構造が有利に達成され得る。
【0016】
もう1つの実施形態によれば、本発明による発光ダイオード装置は、少なくとも1つの電子デバイスを備える。この電子デバイスは、たとえば光電気的特性を全く有しない、ディスクリートな電子デバイスである。これはこの電子デバイスでは、特に発光も受光も行わない電子デバイスであることを意味する。この電子デバイスは、特に発光ダイオードチップと回路接続されている。好ましくはこの電子デバイスは、基板上に配設されている。
【0017】
もう1つの実施形態によれば、この電子デバイスは、少なくとも2つの接続面を備える。好ましくはこれらの接続面は、はんだ付け可能である。たとえば、これらの接続面は、1つの合金または以下の金属の組み合わせを有する層配列を備え、あるいはこれらから成っていてよい。
Cu/Ni/Au,Cr/Ni/Au,Cr/Cu/Ni/Au,Cu/Ni/Sn,Cr/Ni/Sn,Cr/Cu/Ni/Sn。
【0018】
もう1つの実施形態によれば、この電子デバイスは、極薄の保護素子である。特にこれはこの電子デバイスが、150μm以下の部品高さを有することを意味する。
【0019】
もう1つの実施形態によれば、この電子デバイスは、表面実装可能な終端部を備える。たとえばこの電子デバイスは、表面実装可能なデバイス(SMD,"surface-mounted device")であってよい。この電子デバイスは、さらにBGAパッケージ形状(BGA,"Ball Grid Array")またはLGAパッケージ形状(BGA,"Land Grid Array")を有してよい。
【0020】
もう1つの実施形態によれば、この電子デバイスはサーミスタデバイスである。このサーミスタデバイスは、たとえばいわゆるNTCサーミスタデバイスとして実装されていてよく、ここで"NTC"は「負温度係数」("negative temperature coefficient")を表している。NTCサーミスタデバイスは、高温で低温よりも良好に電流を流すことを特徴とする。このためこのNTCサーミスタデバイスは、高温導電体(Heisleiter)とも呼称されることがある。
【0021】
好ましくはこのNTCサーミスタデバイスは、熱センサとして機能する。この熱センサは、好ましくは上記の発光ダイオードチップと回路接続される。たとえばこの熱センサは、この発光ダイオードチップの駆動電流の安定化に寄与し、この発光ダイオードチップが保護されて駆動されることを可能とする。これによってこの発光ダイオードチップの寿命が長くなり有利である。
【0022】
さらに上記のサーミスタデバイスをいわゆるPTCサーミスタデバイスとして実装してもよい。「PTC]は、正温度係数("positive temperature coefficient")を意味する。このPTCサーミスタデバイスは、好ましくは上記の発光ダイオードと回路接続される。PTCサーミスタデバイスでは、高温よりも低温で電流が良好に導電され、このためPTCサーミスタデバイスは低温導体(Kaltleiter)とも呼ばれる。好ましくは、このPTCサーミスタデバイスは、過電流保護素子として機能し、上記の発光ダイオードチップを大きな駆動電流から保護し、これによってこの発光ダイオードのの寿命を延ばすことができる。
【0023】
もう1つの実施形態によれば、本発明による発光ダイオード装置は、少なくとも1つのさらなる電子デバイスを備える。このもう1つの電子デバイスは、上記で説明したような電子デバイスのように実装されていてよい。さらに、これらの電子デバイスは、それぞれ上記に記載した実施形態の1つを備え、互いに異なっていてよい。たとえば、この電子デバイスは、NTCサーミスタデバイスとして実装されてよく、このさらなる電子デバイスは、PTCサーミスタデバイスとして実装されていてよい。
【0024】
もう1つの実施形態によれば、この基板は、少なくとも1つのキャビティを備える。このキャビティは、たとえば上記の基板および特に上記の基体の1つの表面での凹部によって形成されている。好ましくはこのキャビティは、取付面(Montageflache)を備え、たとえば上記の発光ダイオードチップまたは電子デバイスがこのキャビティに取り付けられることが可能である。
【0025】
もう1つの実施形態によれば、上記の発光ダイオードチップは、上記のキャビティ内に少なくとも部分的に沈み込んで配設されている。たとえばこの発光ダイオードは、この発光ダイオードチップの領域が上記のキャビティの上方に突出できるようにこのキャビティに配設されていてよい。この場合、稼働中に光が発生される、この発光ダイオードチップの活性領域が、このキャビティの上辺縁より低く配設されていると、とりわけ有利となり得る。これによって、たとえばこの発光ダイオードによって発生された光が、上記の基板に配設されたデバイスに直接当たり、これによって遮蔽されてしまうことを防止することができる。
【0026】
1つのとりわけ好ましい実施形態によれば、本発明による発光ダイオード装置は、少なくとも1つのキャビティを有する基板と、この少なくとも1つのキャビテイ内に少なくとも部分的に沈み込んで配設されている発光ダイオードチップと、この基板の部分領域によって形成されているESD保護素子と、を備える。
【0027】
もう1つの好ましい実施形態によれば、上記の発光ダイオードチップは、上記のキャビティ内に、完全に沈み込んで(vollstandig versenkt)配設されている。キャビティ内に、部品が「完全に沈み込んで」配設されているということは、ここでは特に、このキャビティが、このキャビティ内に配設された部品の高さ以上の深さの凹部を有し、この部品のどの領域もこのキャビティの上に突出しないことを意味する。
【0028】
もう1つの実施形態によれば、本発明による発光ダイオードが配設されているキャビティは、底面および側面(複数)を備える。これらの側面は、好ましくはこの底面に対し斜めに延在している。たとえばこれらの側面は、それぞれこの底面と120°〜150°の角度で接続されている。1つの好ましい実施形態によれば、これらの側面は、それぞれこの底面と130°〜140°の角度で接続されている。とりわけ好ましくはこれらの側面は、それぞれこの底面と135°の角度で接続されている。
【0029】
もう1つの実施形態によれば、本発明による発光ダイオードが配設されているキャビティは、反射層を備える。たとえば上記のキャビティの側面および/または底面は、反射層でコーティングされていてよい。
【0030】
上記のキャビティの底面に対して斜めに延在している側面および、この側面および/または底面に配設されている上記の反射層を用いて、上記の発光ダイオードチップから放出された光のとりわけ良好な使用効率が得られる。これはこの発光ダイオードチップが稼働中に上記の側面および/または底面の方向に放射された光の部分が、このキャビティから外に反射され得るからである。
【0031】
もう1つの実施形態によれば、発光ダイオードチップは、上記の基板上に、キャビティ内に沈み込まないで配設されている。たとえば上記の発光ダイオードは、上記の基板および/または基体の1つの表面上取り付けられていてよい。
【0032】
もう1つの実施形態によれば、電子デバイスは、上記の基板のキャビティ内に少なくとも部分的に沈み込んで配設されている。たとえばこの電子デバイスは、この基板のキャビティに配設されていてよく、一方、上記の発光ダイオードチップはキャビティに配設されていなくてよい。これに加えて代替として、発光ダイオードチップが上記で説明したような少なくとも1つのキャビティに配設されていてよく、一方上記の電子デバイスは、以下に説明するように、上記の基板の1つのさらなるキャビテイに配設されていてよい。たとえばこの電子デバイスの領域は、この電子デバイスが配設されているキャビティの上に突出してよい。
【0033】
とりわけ好ましくはこの電子デバイスは、上記の少なくとも1つのキャビティ内に、完全に沈み込んで配設されている。好ましくはこの少なくとも1つの電子デバイスのどの領域もこのキャビティから突出していない。以上のようにして、発光ダイオード装置の稼働中にこの発光ダイオードチップから放出される光が、上記の電子デバイスによって、またはこの電子デバイスの部分による遮蔽の防止を有利に達成することができる。
【0034】
もう1つの好ましい実施形態によれば、本発明による発光ダイオード装置は、少なくとも1つのキャビティを備えた基板を備え、またこの基板上に配設されている発光ダイオードチップを備える。さらにこの発光ダイオード装置は、この少なくとも1つのキャビティ内に完全に沈み込んで配設されている電子デバイスを備え、またこの基板の部分領域によって形成されるESD保護素子を備える。
【0035】
もう1つの実施形態によれば、本発明による発光ダイオードチップは、少なくとも1つのキャビティに配設されており、上記の電子デバイスは、1つの別のキャビティに配設されている。ここでこの発光ダイオードチップも、またこの電子デバイスも、それぞれのキャビティ内に部分的または完全に沈み込んで配設されていてよい。好ましくは発光ダイオードチップが配設されているキャビティは、電子デバイスが配設されている上記の別のキャビティから光学的に分離されて配設されている。この「光学的に分離されている」なる表現は、ここでは特に、この発光ダイオードチップから放出された光が、直接上記の別のキャビティに当たることがない、すなわち、たとえばその前に反射されること無しに、上記の別のキャビティを直接照射することができないことを意味している。
【0036】
1つのとりわけ好ましい実施形態によれば、本発明による発光ダイオード装置は、基板と、発光ダイオードチップと少なくとも1つの電子デバイスとを備え、この基板は、キャビティとこのキャビティから光学的に分離された少なくとも1つの別のキャビティを備え、この発光ダイオードチップおよびこの少なくとも1つの電子デバイスは、それぞれ1つのキャビティ内に完全に沈み込んで配設されている。
【0037】
上記の電子デバイスが配設されているキャビティは、たとえば上記の発光ダイオードチップが配設されているキャビティと同一の、上記の基板の表面に配設されていてよく、これによってたとえばこの発光ダイオードチップおよびこの電子デバイスが、短い導電路を介して互いに回路接続されることができる。
【0038】
もう1つの実施形態によれば、上記の電子デバイスが配設されているキャビティは、上記の基板の発光ダイオードチップと反対側の面に配設されている。たとえば基体の表面は、この電子デバイスのキャビティを形成する凹部を備える。この基体の表面は、上記の発光ダイオードチップが設けられている、この基板の上面を形成してもよい基板の表面の反対側にある。以上により、本発明による発光ダイオード装置がとりわけコンパクトに実装され得ることが有利に達成できる。さらにこのようなレイアウトによって、上記の電子デバイスが上記の発光ダイオードチップの放射光を部分的に遮蔽することを防止することができる。
【0039】
ここで記載する発光ダイオード装置では、この発光ダイオード装置が極めて小さな寸法、とりわけ極めて小さな部品高を備えることが達成される。これは発光ダイオード装置の設計において常に重要な役割を果たしている。特に移動体のアプリケーションにおいては、たとえばスマートフォンまたはデジタルカメラにおける一体化されたLEDのカメラフラッシュ用に、発光ダイオードチップおよびさらなるディスクリートなデバイス(複数)ができる限り小さなスペースを取るようにしなければならない。
【0040】
もう1つの実施形態によれば、上記の電子デバイスおよび1つのさらなる電子デバイスが1つ以上のキャビティ内に完全に沈み込んで配設されている。たとえば少なくとも1つのさらなる電子デバイスが、このキャビティ内に完全に沈み込んで配設されており、このキャビティには上記の電子デバイスも配設されている。換言すれば、上記の電子デバイスが配設されているこのキャビティは、少なくとも2つの電子デバイスがそこに配設され得るように形成されていてよい。以上により、1つの発光ダイオードチップおよび少なくとも2つの電子デバイスを備えた発光ダイオード装置の、とりわけコンパクトな設計が達成される。
【0041】
もう1つの実施形態によれば、上記の電子デバイスおよび上記のさらなる電子デバイスはそれぞれ、分離されたキャビティ内に部分的または完全に沈み込んで配設されている。上記のさらなる電子デバイスが配設されているキャビティは、たとえば上記の基板の、上記の発光ダイオードチップが配設されているのと同一の面に配設されていてよい。代替として、上記のさらなる電子デバイスが配設されているキャビティは、上記の基板の、上記の発光ダイオードチップの反対側の面に配設されている。
【0042】
もう1つの好ましい実施形態によれば、本発明による発光ダイオード装置は、NTCサーミスタデバイスおよびPTCサーミスタデバイスを備え、これらはそれぞれ個別のキャビティ内に、または2つ一緒に1つの同じキャビティ内に、完全に沈み込んで配設されている。以上により、このような発光ダイオード装置では、過電流に対する保護デバイスの組み込みを、たとえばPTCサーミスタデバイスの形態で達成することができ、また温度センサの組み込みを、たとえばNTCサーミスタデバイスの形態で達成することができ、1つの極めて小さな部品高の発光ダイオード装置でまとめて達成することができる。
【0043】
もう1つの実施形態によれば、上記の基体はビア(複数)を備える。ビアは、「垂直方向相互接続手段」("vertical interconnect access")であり、貫通接続部(Durchkontaktierung)を表している。好ましくは少なくとも1つの熱的ビアとして、すなわち熱伝導用貫通接続部として実装されている。さらに複数または全てのビアは、熱的ビアとして形成されていてよい。この少なくとも1つの熱的ビアは、上記の発光ダイオードチップから熱を奪って放散することを改善する。好ましくはこの少なくとも1つの熱的ビアは、良好な熱伝導特性を備えている。たとえばこの少なくとも1つのビアは、上記の発光ダイオードチップのキャビティの底面から、この発光ダイオードチップのキャビティに向いていない、特に反対側にある上記の基板の表面に達していてよい。たとえばこの少なくとも1つのビアは、銅,銀,または銀−パラジウムを含み、またはこれらから成っている。さらにこの少なくとも1つのビアが、上記の発光ダイオードチップとこの発光ダイオードチップのキャビティに向いていない上記の表面上にメタライジング部の形態で配設されている電気的接続面との間の導電部(elektrische Zuleitung)として機能するように設けられていてよい。
【0044】
もう1つの実施形態によれば、上記の発光ダイオードチップは、少なくとも部分的に保護層によって覆われている。たとえば上記の発光ダイオードは、この保護層によって覆われた1つのキャビティに配設されている。この保護層は、上記の発光ダイオード装置のレンズとして機能してよい。さらに、1つの別のキャビティおよび/またはこの別のキャビティに配設された電子デバイスがこの保護層によって少なくとも部分的に覆われていてよい。この保護層は、好ましくはシリコンを含み、またはシリコンから成っている。
【0045】
もう1つの実施形態によれば、上記の基板は、上記のキャビティに向いていない面にメタライジング部を備える。このメタライジング部は、少なくとも上記の基板のキャビティに向いていない面の全体に渡って延在してよい。代替としてこのメタライジング部は、この少なくとも上記の基板のキャビティに向いていない面の一部に渡って延在してよい。好ましくはこのメタライジング部は、上記の発光ダイオード装置の、たとえば基板または回路基板への接続に用いられる。このようにしてこのメタライジング部は、上記の基板の下面に配設されていてよく、一方上記のキャビティおよびとりわけ上記の発光ダイオードチップは、これと反対側の上面に配設されていてよい。
【0046】
もう1つの実施形態によれば、上記の基体は絶縁層を備える。この絶縁層は、好ましくは電気的な絶縁層である。たとえば上記の基体は、その少なくとも1つの面に上記の絶縁層が積層されたバリスタ材料を備える。この絶縁層を用いて、たとえば上記基板上に配設されたデバイスと上記基体または上記基体の領域との間の電気的絶縁を達成することができる。好ましくはこの絶縁層は、以下の材料の1つを含みまたは以下の材料の1つから成っている。酸化チタン,酸化アルミニウム,窒化アルミニウム,酸化珪素,窒化珪素。
【0047】
ここに記載する発光ダイオード装置は、とりわけ小さな部品高および良好な熱的管理を特徴とする。ここに記載する発光ダイオード装置では、さらに発光ダイオードチップの放出光が、たとえばディスクリートなESD保護デバイス(複数)または熱センサ(複数)のような電子デバイスによって悪い影響を受けることがない。
【0048】
本発明による発光ダイオード装置のさらなる有利点および有利な実施形態を、図1〜5に記載した実施形態を参照して、以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】1つの実施形態例による、発光ダイオード装置の断面概略図である。
図2】さらなる実施形態例による、発光ダイオード装置の断面概略図である。
図3】さらなる実施形態例による、発光ダイオード装置の断面概略図である。
図4】さらなる実施形態例による、発光ダイオード装置の断面概略図である。
図5】1つの実施形態例による、ESD保護素子の概略図である。
【0050】
これらの実施形態例および図では、同等もしくは同等の機能の部分はそれぞれ同じ参照番号が付けられている。表示された素子およびそれらの互いの大きさの関係は、基本的に寸法通りとはなっていない。むしろたとえば層、部品および領域などの個々の要素をより見易くするため、および/またはより理解し易くするために誇張した厚さまたは大きさの寸法で示してある。
【0051】
図1は、1つの実施形態例による、発光ダイオード装置の断面概略図を示す。
【0052】
本発明による発光ダイオード装置1は、ZnO−Biを含むセラミック基体21を備えた基板2を備える。代替として、この基体21は、たとえばZnO−Pr,SrTiO3または1つ以上のバリスタセラミックを含んでよい。さらに、この基体21は、バリスタセラミックおよびガラスからなる複合体またはバリスタセラミックおよび有機材料からなる複合体を備えてもよい。この基板2は、この基板2の上面特にこの基体21の上面にキャビティ51を備える。
【0053】
本発明による発光ダイオード装置1は、さらに、上記のキャビティ51内に少なくとも部分的に沈み込んで配設されている発光ダイオードチップ3を備える。有利にはこの発光ダイオードチップ3は、図1に示す実施形態例におけるように、上記のキャビティ51内に完全に沈み込んで配設されている。
【0054】
この発光ダイオード装置1は、さらに、上記の基板2の部分領域によって形成されるESD保護素子20を備える。このESD保護素子20は、以下で図5を参照して説明するように、バリスタとして実装されている。代替としてこのESD保護素子20は、上記の基板2に一体化された半導体ダイオードとして形成されていてよい。
【0055】
上記のESD保護素子20の、この発光ダイオード装置1の基板2への一体化を用いて、この発光ダイオード装置1が極めて小さな寸法を備えることが実現できる。これはこの基板2上に上記の保護素子20のための追加のスペースを設ける必要がないからである。有利にはさらに、この基板の上面に配設されたESD保護デバイスが上記の発光ダイオードチップ3によって生成される光を遮蔽することを避けることができる。
【0056】
上記の基板2に形成されているキャビティ51は、底面71およびこの底面71に対して120°以上で150°以下の角度で斜めに延在する2つの側面72を備える。この底面71および側面72には、反射層(不図示)が設けられている。この反射層を用いて、上記の発光ダイオードチップ3から放射される光の使用効率を改善することができ、ここでこの発光ダイオードチップ3から放射された、上記の反射層でコーティングされた面に当たる光は大部分反射され、吸収されない。
【0057】
上記の発光ダイオードチップ3は、この発光ダイオード3の接続および取り付けに用いられる1つの接続面10を備え、この接続面については、単なる例として上記のキャビティ51の底面71上の発光ダイオードチップが固定されている接続面が示されている。好ましくはこの発光ダイオードチップは、この底面71上にはんだ付けされている。この接続面10は、金錫合金を備えている。代替としてこの接続面10は、銅,ニッケル,または金、または少なくともこれらの材料の2つからなる合金または層配列を備える。
【0058】
上記のキャビティ51に向いていない上記の基板2の面上には、上記の基体21へのメタライジング部12が取り付けられている。このメタライジング部12は、上記の発光ダイオード装置1への電気的接続に用いられる。上記の基板2およびとりわけ上記の基体21は、さらに貫通接続部および/または上記に示した素子の回路接続のための導電路を備える。これらの導電路はここでは図示し難いため示されていない。
【0059】
さらに上記の発光ダイオードチップ3および電子デバイス41は、保護層11によって包囲されている。この保護層11は、シリコンを含みレンズとして作用する。さらに、この保護層11は、波長変換層として実装されていてよい。上記の実施形態例の代替として、この発光ダイオード装置は、保護層を全く備えていなくてよく、または部分的にのみ、たとえば上記の発光ダイオードチップ3の上に保護層が設けられていてよい。
【0060】
さらなる図は、図1に示す実施形態例の変更および変形である実施形態例を示しており、これより特に差異に関する部分について以下で説明する。
【0061】
図2には、もう1つの実施形態例による発光ダイオード装置1の概略断面図が示されている。図1に示す実施形態例とは異なり、この発光ダイオードチップ3は、基板2の上面に配設されており、キャビティ内に沈み込んで配設されていない。
【0062】
さらに本発明による発光ダイオード装置1は、ここで示す実施形態例においては、NTCサーミスタ素子として実装された電子デバイス41を備える。代替としてこの電子デバイス41は、PTCサーミスタ素子として実装されていてよい。この電子デバイス41は、上記のキャビティ51に完全に沈み込んで配設されている。このキャビティ51において電子デバイス41の沈み込みによって、上記の発光ダイオードチップ3から放射された光が直接この電子デバイス41に当たり、この電子デバイス41によって遮蔽されることを有利に避けることができる。
【0063】
この電子デバイス41は、2つの接続面10を備え、これらの接続面によってこの電子デバイスは上記のキャビティ51の底面に固定されている。代替としてこの電子デバイス41は、さらに多くの接続面10を備えてよい。これらの接続面10は、この電子デバイス41の電気的接続および取り付けに用いられる。これらの接続面10は、Cu/Ni/Auの合金あるいは層配列から成っている。代替として、これらの接続面10は、Cr/Ni/AuまたはCr/Cu/Ni/Auの、合金または層配列から成ってよい。
【0064】
図3は、もう1つの実施形態例による発光ダイオード装置1を示す。図1に示す実施形態例と異なり、この発光ダイオード装置1は、もう1つのキャビティ52を備え、電子デバイス41がこのキャビティ内に完全に沈み込んで配設されている。こので電子デバイス41は、ここで示す実施形態例においてもNTCサーミスタデバイスとして実装されている。代替としてこの電子デバイス41は、PTCサーミスタ素子として実装されていてよい。
【0065】
上記の基体21は、さらに熱的ビアとして実装されているビア(複数)8を備える。これらのビア8は、上記の発光ダイオードチップ3の接続面10から電気的導通が絶縁されており、稼働中のこの発光ダイオードチップで生成される熱の放散のために機能する。このため、ここで示す実施形態例においては、これらのビア8は、銅を含む。代替として、これらのビア8は、高い熱伝導率を有する他の材料、たとえば銀または銀−パラジウムを含んでよい。これらのビア8は、上記の基体21の表面に対してほぼ垂直方向に延在している。さらに1つ以上のビア、好ましくは少なくとも2つのビアが、電気的ビアとして実装されていてよく、これらの電気的ビアは、上記の発光ダイオードチップ3の接続面10と電気的に導通して接続されており、この発光ダイオードチップ3の電気的接続に用いられる。
【0066】
図4には、もう1つの実施形態例による発光ダイオード装置1が示されている。図3に示す実施形態例と異なり、この発光ダイオード装置2は、もう1つの第2のキャビティ53を備え、もう1つの電子デバイス42がこのキャビティ内に完全に沈み込んで配設されている。上記の発光ダイオード1は、このようにして異なるキャビティ52,53に配設されている2つの電子デバイス41,42を備える。好ましくはこれら2つの電子デバイス41,42の1つは、NTCサーミスタデバイスとして実装されており、もう1つはPTCサーミスタデバイスとして実装されており、ここでこのNTCサーミスタデバイスは、熱センサとして機能し、PTCサーミスタデバイスは過電流保護素子として機能する。代替として、上記の電子デバイスおよびもう1つの電子デバイスは、1つのキャビティ内に完全に沈み込んで配設されていてよい。このように配設することにより、1つの発光ダイオードチップ3と2つの電子デバイス41,42を備えた発光ダイオード装置1の極めてコンパクトな設計を実現することが可能となる。
【0067】
本発明による発光ダイオード装置1の基板2は、有機材料を含む、あるいは有機材料からなる基体21を備える。このための代替として、この基体21は、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムを含み、あるいは酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムから成っていてよい。
【0068】
この基板2は、さらに電気的に絶縁するパッシベーション層として機能する絶縁層9を備える。この絶縁層9は、酸化シリコンを含む。代替として、この絶縁層は、窒化シリコン,酸化アルミニウム窒化アルミニウム,酸化チタン,またはLTCCセラミックを含んでよい。
【0069】
この絶縁層9によって、上記の発光ダイオードチップ3を担持する上記の基板2の上面は、これの反対側にある下面から電気的に絶縁することができる。この際この絶縁層9の厚さは、好ましくは、できる限り良好な熱伝導性を保持するように選択される。換言すれば、この絶縁層は、熱伝導性の観点からできる限り薄くなっており、電気的絶縁の観点から最低限の十分な厚さを備えていなければならない。
【0070】
図5は、1つの実施形態例による、ESD保護素子20の概略図を示す。このESD保護素子20は、ZnO−Prから成るセラミックバリスタ材料を備え、ビア8を用いて電気的に接続される複数の互いに重なった電極13を備える。代替としてこのバリスタ材料は、ZnO−BiまたはSrTiO3を含んでよい。さらに、このESD保護素子20は、ZnO−Prおよびガラスからなる複合体またはZnO−Prおよび有機材料からなる複合体を備えてもよい。この図5に示すESD保護素子20は、好ましくは、図1〜4に示すように、1つの発光ダイオード装置1の1つの基板2に一体化されている。たとえばこのESD保護素子20は、この基板2または基体21に埋め込まれていてよい。以上によりESD保護を含む1つの発光ダイオード装置1のコンパクトな設計を実現することができる。
【0071】
以上に示した実施形態例で説明した特徴は、また他の実施形態での特徴と互いに組み合わされてよく、ここではこれらの組み合わせについては図には顕わには示さない。以上で示した発光ダイオード装置は、さらに、上記の本発明の全般的な説明部分における実施形態によるさらなる代替的な特徴を備えてよい。
【0072】
本発明は、これらの実施形態例を参照した記載によって、これらに限定されず、あらゆる新たな特徴およびこれらの特徴のあらゆる組み合わせを包含するものである。これはとりわけ請求項における特徴のあらゆる組み合わせを含んでいる。また、特徴またはこれらの組み合わせ自体が請求項または実施形態例に顕わに示されていない場合も含んでいる。
【符号の説明】
【0073】
1 発光ダイオード装置
2 基板
20 ESD保護素子
21 基体
3 発光ダイオードチップ
41 電子デバイス
42 さらなる電子デバイス
51 キャビティ
52,53 別のキャビティ
71 底面
72 側面
8 ビア
9 絶縁層
10 接続面
11 保護層
12 メタライジング部
13 電極
図1
図2
図3
図4
図5