特許第6262737号(P6262737)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6262737マルチラインTDDシステムのための帯域幅の割振り
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262737
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】マルチラインTDDシステムのための帯域幅の割振り
(51)【国際特許分類】
   H04L 5/16 20060101AFI20180104BHJP
   H04L 12/44 20060101ALI20180104BHJP
   H04L 12/873 20130101ALI20180104BHJP
【FI】
   H04L5/16
   H04L12/44 B
   H04L12/873
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-531043(P2015-531043)
(86)(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公表番号】特表2015-534328(P2015-534328A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】SE2013051054
(87)【国際公開番号】WO2014039004
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2016年8月19日
(31)【優先権主張番号】61/698,922
(32)【優先日】2012年9月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】トロジャー, エルマー
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン, ペール−エリク
(72)【発明者】
【氏名】ルー, チェングアン
【審査官】 岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−289309(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0208194(US,A1)
【文献】 特開2003−234715(JP,A)
【文献】 特開2000−236343(JP,A)
【文献】 特開2001−177865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 5/16
H04L 12/44
H04L 12/873
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤラインを介した双方向時分割複信(TDD)マルチキャリア通信を提供するように機能することができる、トランシーバノードによって実行される方法であって、前記トランシーバノードが、複数のループに結合されており、それぞれのループが、それぞれのネットワーク端末(NT)によって終端されており、前記方法が、
前記複数のループ上のアップリンクおよびダウンリンクのトラフィックに関連付けられているローカルキューおよびリモートキューからトラフィックレポートを収集すること(502)と、
前記収集されたトラフィックレポートに基づいて、前記複数のループのそれぞれに関して、それぞれアップストリームおよびダウンストリームの帯域幅に関する実際の需要を特定すること(503)と、
前記複数のループのそれぞれについてのアップストリームおよびダウンストリームの帯域幅に関する前記特定された実際の現在の需要に基づいて、前記複数のループに共通するアップストリーム/ダウンストリーム(US/DS)フレームパーティショニングを導出すること(506)と、
前記導出されたUS/DSフレームパーティショニングの表示を前記NTに提供すること(508)と、
前記導出されたパーティショニングに従ってNTをスケジュールすること(509)とを含む方法。
【請求項2】
それぞれのキューが、アップストリームレートまたはダウンストリームレートに関連している設定されたトラフィックプロフィールに関連付けられており、US/DSフレームパーティショニングの前記導出がさらに、前記設定されたトラフィックプロフィールに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導出されたUS/DSフレームパーティショニングが、前記複数のループのそれぞれに関して適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれのキューが、アップストリームレートまたはダウンストリームレートに関連している設定されたトラフィックプロフィールに関連付けられており、設定されたトラフィックプロフィールが、保証されたレートに関連しているトラフィック契約コンポーネントを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
設定されたトラフィックプロフィールがさらに、
最大レートに関連しているトラフィック契約コンポーネント、
保証されていないレートに関連しているトラフィック契約コンポーネント、
色または優先度マーク、
固定されたレートに関連しているトラフィック契約コンポーネント
のうちの少なくとも1つに関連付けられている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記収集されたトラフィックレポートが、前記それぞれのローカルキューおよびリモートキューの現在のフィルステータスを反映し、
前記キュー内で待っているバイトの生の数、
前記キュー内で待っているフレームの数とフレーム長、
前記フレームに関連付けられている色または優先度、
キューID、
供給されたキューサイズ
のうちの1つまたは複数に関する情報を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記収集すること、導出すること、および提供することが、連続したサイクルで実行される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
トラフィックレポートが、1つのサイクル内ですべてのキューから収集される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記トラフィックレポートが、TDDフレーム構造に同期化されるリアルタイム要求/応答プロトコルの使用によってNTから収集される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ワイヤラインを介した双方向時分割複信(TDD)マルチキャリア通信のために機能することができるトランシーバノードであって、複数のループに接続可能であり、それぞれのループが、それぞれのネットワーク端末(NT)によって終端されており、前記トランシーバノードが、
前記複数のループ上のアップリンクおよびダウンリンクのトラフィックに関連付けられているローカルキューおよびリモートキューからトラフィックレポートを収集するように適合されている収集ユニット(704)と、
前記収集されたトラフィックレポートに基づいて、前記複数のループのそれぞれに関して、それぞれアップストリームおよびダウンストリームの帯域幅に関する実際の需要を特定するように適合されている特定ユニット(705)と、
前記複数のループのそれぞれについてのアップストリームおよびダウンストリームの帯域幅に関する前記実際の需要に基づいて、前記複数のループに共通するアップストリーム/ダウンストリーム(US/DS)フレームパーティショニングを導出するように適合されている導出ユニット(708)と、
前記導出されたUS/DSフレームパーティショニングの表示を前記NTに提供するように適合されている提供ユニット(710)と、
前記導出されたUS/DSフレームパーティショニングに従ってNTをスケジュールするように適合されているスケジューリングユニット(711)と
を含むトランシーバノード。
【請求項11】
それぞれのキューが、アップストリームレートまたはダウンストリームレートに関連している設定されたトラフィックプロフィールに関連付けられており、US/DSフレームパーティショニングの前記導出がさらに、前記設定されたトラフィックプロフィールに基づく、請求項10に記載のトランシーバノード。
【請求項12】
それぞれのキューが、アップストリームレートまたはダウンストリームレートに関連している設定されたトラフィックプロフィールに関連付けられており、設定されたトラフィックプロフィールが、保証されたレートに関連しているトラフィック契約コンポーネントを含む、請求項11に記載のトランシーバノード。
【請求項13】
設定されたトラフィックプロフィールがさらに、
最大レートに関連しているトラフィック契約コンポーネント、
保証されていない優先度に関連しているトラフィック契約コンポーネント、
色または優先度マーク、
固定されたレートに関連しているトラフィック契約コンポーネント
のうちの少なくとも1つに関連付けられている、請求項12に記載のトランシーバノード。
【請求項14】
前記導出されたUS/DSフレームパーティショニングが、前記複数のループのそれぞれに関して適用される、請求項10から13のいずれか一項に記載のトランシーバノード。
【請求項15】
それぞれのキューにトラフィックプロフィールを割り振り、設定するようにさらに適合されており、前記トラフィックプロフィールが、保証されたレートのトラフィック契約コンポーネントと、固定されたレート、最大レート、保証されていないレートのトラフィック契約コンポーネント、および/または色/優先度マークのうちの1つまたは複数とを含む、請求項10から14のいずれか一項に記載のトランシーバノード。
【請求項16】
トラフィックプロフィールおよびトラフィックレポートに基づいて任意のNTに帯域幅を割り振るように適合されている少なくとも1つのトラフィックスケジューラを含む、請求項10から15のいずれか一項に記載のトランシーバノード。
【請求項17】
繰り返されるスケジューリングサイクルにおいて機能し、第1のサイクルにおいて、トラフィックレポートがリモートキューおよびローカルキューから収集され、第2のサイクルにおいて、設定されたトラフィックプロフィールおよび実際の需要に基づいて、次なるUS/DSフレームパーティショニング構造が導出され、第3のサイクルにおいて、前記導出されたフレームパーティショニング構造が、関係しているエンティティーに提供され、前記第3のサイクルまたは第4のサイクル内で、前記導出されたフレームパーティショニング構造が実施される、請求項10から16のいずれか一項に記載のトランシーバノード。
【請求項18】
請求項10から17のいずれか一項に従って、トランシーバノードにおいて実行されたときに、請求項1から9のいずれか一項に記載の対応する方法を前記トランシーバノードに実行させるコンピュータ可読コード手段を含むコンピュータプログラム(810)。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラム(810)を含むコンピュータプログラム製品(808)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において提案されているソリューションは、送信信号および受信信号が時間で分割される、すなわち、時分割複信(TDD)を使用する双方向マルチライン通信システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルサブスクライバーライン(xDSL)などの銅線伝送リンクテクノロジーは、今日現在、世界中で2億8千600万人のサブスクライバーへのアクセスブロードバンドサービスを提供している。非対称DSL(ADSL)、ADSL2(+)、超高ビットレートDSL(VDSL)、およびVDLS2など、異なる世代のDSLテクノロジーは、1kmから8kmまでのレンジにわたって数MB/秒から最大で100MB/秒までのレンジでデータレートを提供する。最近、ブロードバンドアクセス、ホームネットワーキング、ならびに4Gモバイルネットワークバックホール、たとえばLTE S1/X2インターフェースバックホールなどのために、電話グレードの銅線上でのギガビットスピードに対する必要性が生じている。
【0003】
新たな世代のDSL類似システムは、50〜200メートルのエリア内の非常に短いライン/ループ上でこのキャパシティーを提供することができる。そのようなループは、レガシーシステム用の約30MHzという以前の最大帯域幅と比較して、データ伝送用に100〜200MHzの帯域幅を提供する。アップリンクデータおよびダウンストリームデータを銅線の別々の帯域で周波数分割複信スキーム(FDD)で伝送する従来のDSLシステムとは異なり、ギガビットDSLは、よりハードウェアフレンドリーな時分割複信(TDD)を利用しており、TDDでは、アップストリームデータおよびダウンストリームデータが、銅線のスペクトル全体を時分割様式で利用しており、すなわち、トランシーバは、所与の時点において送信または受信のいずれかを行う。
【0004】
変調および復調それぞれのための高速フーリエ変換(FFT)およびその逆のIFFTを使用するブロック伝送が、今日の通信システムにおける優勢な変調スキームである。この変調スキームは、しばしばマルチキャリア変調と呼ばれている。マルチキャリア変調の2つの最も重要な別種のうちの1つが、複素数値化された送信信号/受信信号を使用する通過帯域伝送であり、これは、直交周波数分割多重化(OFDM)と呼ばれている。OFDMは、たとえばLTEなどのワイヤレス通信システムにおいて使用されている。2つめは、実数値化された送信信号/受信信号を使用するベースバンド伝送であり、これは、DMTと呼ばれている。DMTは、たとえば有線通信システム、たとえば銅線ケーブルを使用するxDSLシステムなどにおいて使用されている。
【0005】
信号どうしの同時送信および同時受信は、2つの信号を分割するためのスキームを必要とする。時間での分割(TDDとも呼ばれている)は、複雑性の低い、ひいては低コストのトランシーバ実施態様にとって適切な方法である。たとえば、周波数分割を使用する場合と比較して、TDDを使用する場合には、エコーキャンセルに対する必要性が低減するため、コストを低く維持することができる。TDD通信システムの例としては、たとえば、ツイストペア、CAT5等などの任意の種類の銅線伝送メディアを介した伝送が含まれる。TDDシステムは、たとえばインターネットアクセスおよび基地局バックホールなどのさまざまなサービスを提供するさまざまな用途のために使用することができる。この通信は、G.fastおよびG.hnなどのさまざまな別種において標準化されることが可能であり、また標準化されているが、さまざまな標準化されていない形態で使用されることも可能である。
【0006】
時分割複信(TDD)は、ATM、GSM、LTE−TDD、ならびに異なる趣のイーサネットパッシブ光ネットワーク(EPON)およびギガビット対応パッシブ光ネットワーク(GPON)などのテレコミュニケーションシステムにおけるよく知られている伝送スキームである。それにより、ライン端末(LT)とネットワーク端末(NT)との間における双方向伝送が、重複していない時間のインスタンスどうし、すなわち、タイムスロットどうしにおいてアップストリームおよびダウンストリームの伝送に関して共通のメディアを利用することによって達成される。
【0007】
前の世代のデジタルサブスクライバーライン(DSL)テクノロジーにおいては、周波数分割複信(FDD)が使用されており、FDDでは、銅線上の重複していない周波数帯域どうしを使用して、アップストリームおよびダウンストリームで同時に伝送を行う。そのような構造は、設計によって近端クロストーク(NEXT)を低減している。遠端クロストーク(FEXT)を低減するためには、ベクトリングを使用して、チャネルキャパシティーの近くに達することができる。
【0008】
最近では、G.fastと呼ばれている、ITU−Tにおける新たなDSL標準の標準化が、システムの複雑性を低減するために、そしてそれによってコストを低減するために、物理レイヤにおいてFDDの代わりにTDDを利用し始めた。FDDとは対照的に、TDDは、共通のバインダのワイヤどうしの上での反対方向への同時送信が生じる場合には、まさにNEXTの問題を有する。NEXTを防止するために、時間において重複しないフレームどうしを構築することが、フレーマのタスクである。FEXTは、ベクトリングによって解消することができる。
【0009】
図1は、TDD DSLシステムにおいて生じることがあるNEXTコリジョンを例示している。NEXTは、ローカル側またはリモート側で、送信機による送信と受信機による受信とを同時に行う場合に生じる。フレームNにおいては、NTおよびNTへの送信は、フレーム全体のうちのダウンストリーム(DS)およびアップストリーム(US)のパーティション(パーティショニングと呼ばれる場合もある)の点で等しい。US通信とDS通信との間において重複が発生していないため、NEXTは生じていない。フレームN+1においては、NTが、ダウンストリームにおいてNTよりも長く送信を行っており、その結果、有害な近端クロストーク、すなわちNEXTが生じている。
【発明の概要】
【0010】
ワイヤラインを介した双方向TDDにおける伝送リソースの利用度を改善することが望ましいであろう。本明細書においては、そのような伝送リソースの利用度を改善することを可能にするソリューションを提供する。これは、動的な帯域幅割振りを可能にするためのトランシーバノードおよびその中での方法によって達成される。
【0011】
第1の態様によれば、ワイヤラインを介した双方向TDDマルチキャリア通信を実行するように機能することができ、そしてさらに、複数のループに結合されるように機能することができるトランシーバノードによって実行される方法が提供され、それぞれのループは、それぞれのネットワーク端末(NT)によって終端されている。この方法は、それぞれの複数のループ上のアップリンクおよびダウンリンクのトラフィックに関連付けられているローカルキューおよびリモートキューからトラフィックレポートを収集することを含む。収集されたトラフィックレポートに基づいて、複数のループのそれぞれに関して、それぞれアップストリームおよびダウンストリームの帯域幅(リソース)に関する実際の現在の需要が特定される。さらに、アップストリームおよびダウンストリームの帯域幅またはリソースに関する特定された需要に基づいてUS/DSフレームパーティショニングが導出される。次いで、その導出されたUS/DSフレームパーティショニングが、NTに示される。次いで、その導出されたUS/DSフレームパーティショニングに従って、NTがスケジュールされることが可能である。この方法を実行することによって、動的な帯域幅割振り(DBA)が可能となる。DBAは、動的なリソース割振り(DRA)と呼ばれる場合もある。
【0012】
第2の態様によれば、ワイヤラインを介した双方向TDDマルチキャリア通信を実行するように、および複数のループに結合されるように機能することができるトランシーバノードが提供され、それぞれのループは、それぞれのネットワーク端末(NT)によって終端されている。このトランシーバノードは、複数のループ上のアップリンクおよびダウンリンクのトラフィックに関連付けられているローカルキューおよびリモートキューからトラフィックレポートを収集するように適合されている収集ユニットを含む。この構成はさらに、収集されたトラフィックレポートに基づいて、複数のループのそれぞれに関して、それぞれアップストリームおよびダウンストリームの帯域幅に関する実際の需要を特定するように適合されている特定ユニットを含む。この構成はさらに、アップストリームおよびダウンストリームの帯域幅に関する実際の需要に基づいてUS/DSフレームパーティショニング(フレーム内の境界ロケーション)を導出するように適合されている導出ユニットと、NTに対して、導出されたUS/DSフレームパーティショニングの表示を提供するように、すなわち、導出されたUS/DSフレームパーティショニングを示すように適合されている提供ユニットとを含む。この構成はさらに、導出されたUS/DSフレームパーティショニングに従ってNTへの伝送をスケジュールするように適合されているスケジューリングユニットを含むことができる。
【0013】
上述の方法およびトランシーバノードは、さまざまな実施形態において実施することができ、それらの実施形態については、詳細な説明において説明する。
【0014】
次いで、提案されているテクノロジーについて、例示的な実施形態を用いて、添付の図面を参照しながら、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】TDD DSLにおけるいわゆるNEXTコリジョンを示す図である。
図2】DSL TDD DBAアーキテクチャーを示す図である。
図3】例示的な一実施形態による、TDDフレームに関連した手順のタイミングの一例を示す図である。
図4】例示的な一実施形態による、US/DSの境界(瞬間的なパーティショニング)の調整を示す図である。
図5】例示的な一実施形態による手順を示すフローチャートである。
図6】例示的な一実施形態による、ラインの立ち上げ時に実行することができる手順の一部を示すフローチャートである。
図7】例示的な一実施形態によるトランシーバノードを示すブロックチャートである。
図8】例示的な一実施形態による構成を示すブロックチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これらの図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ、本明細書において開示されているテクノロジーの原理を例示することに重点が置かれている。
【0017】
以降の説明においては、限定ではなく、説明の目的から、本明細書において説明されているコンセプトの徹底的な理解を提供するために、特定のアーキテクチャー、インターフェース、技術等など、具体的な詳細が示されている。しかしながら、説明されているコンセプトは、これらの具体的な詳細から逸脱するその他の実施形態において実施することもできるということは、当業者にとって明らかであろう。すなわち、本明細書においては明示的に説明されていない、または示されていないが、説明されているコンセプトの原理を具体化し、そのコンセプトの趣旨および範囲内に含まれるさまざまな構成を当業者なら考案することができるであろう。いくつかの場合においては、本発明のコンセプトによる説明を不必要な詳細でわかりにくくすることのないように、よく知られているデバイス、回路、および方法についての詳細な説明は、省略されている。説明されているコンセプトの原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの具体例について記述する本明細書におけるすべての言明は、それらの構造的な等価物および機能的な等価物の両方を包含することを意図されている。加えて、そのような等価物は、現在知られている等価物、ならびに今後開発される等価物、たとえば、構造を問わずに同じ機能を実行する開発される任意の要素の両方を含むということが意図されている。
【0018】
したがって、たとえば、本明細書におけるブロック図は、本テクノロジーの原理を具体化する例示的な回路またはその他の機能ユニットの概念的なビューを表すことができるということを当業者なら理解できるであろう。同様に、あらゆるフローチャート、状態遷移図、疑似コードなどは、コンピュータ可読メディアにおいて実質的に表されることが可能な、したがってコンピュータまたはプロセッサによって実行されることが可能な(そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず)さまざまなプロセスを表しているということが理解できるであろう。
【0019】
機能ブロックを含むさまざまな要素の機能(たとえば「コンピュータ」、「プロセッサ」、または「コントローラ」としてラベル付けされている、または説明されているものを含むが、それらには限定されない)は、コンピュータ可読メディア上に格納されているコード化された命令の形態のソフトウェアを実行することができる回路ハードウェアおよび/またはハードウェアなどのハードウェアの使用を通じて提供されることが可能である。したがって、そのような機能および示されている機能ブロックは、ハードウェアによって実施されるもの、および/またはコンピュータによって実施されるもの、ひいてはマシンによって実施されるものであると理解されるべきである。
【0020】
ハードウェアによる実施態様の点からは、機能ブロックは、そのような機能を実行することができるデジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェア、縮小命令セットプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)を含むがそれには限定されないハードウェア(たとえば、デジタルまたはアナログ)回路、および(適切な場合には)状態マシンを含むことまたは包含することが可能であるが、それらには限定されない。
【0021】
NEXTを回避するためには、フレーム内のUSとDSパーティションとの間における境界、ならびにフレームの始まり/長さが、(同じ)ケーブルバインダ内のすべてのラインに関して同じでなければならないと結論付けることができる。NT内のフレーマは、すべてのラインを最大のキャパシティーで機能させるためには、これらの条件を保証しなければならない。
【0022】
上記の分析を与えられれば、オペレータは、同じバインダ内のワイヤに接続されているLTをホストしているすべてのNTポート上で使用されることになるたとえば「80%ダウン/20%アップ」などの対称比率を定義するであろう。これは、図1におけるパーティション境界、またはパーティショニングを固定すること、およびそれをすべてのフレームに関して静的に保持することに対応する。対称比率は、USパーティションおよびDSパーティションに直接結合され、US_partitionは、USの専用とされているDMTシンボルの数を、フレーム全体を構成しているすべてのシンボルで割った値として定義される。DS_partition=1−US_partitionである。たとえば、あるフレームが16個のシンボルで構成されていて、4個がDS用に構成されている場合には、DS_partition=1/2であり、US_partition=3/4である。
【0023】
一例として、NTが、600Mbpsの合計キャパシティーを提供する短い/ノイズのないループに接続されており、その一方でNTが、80Mbpsを提供するだけである長い/劣悪なループに接続されていると想定していただきたい。80/20という固定された対称比率を与えられれば、NTは、480MbpsのDSおよび120MbpsのUSを得ることになり、その一方でNTは、64MbpsのDSおよび16MbpsのUSを得る。するとNTは、データの巨大なジャンクをアップロード(バースト)したい場合に、ダウンストリーム送信がないならばラインは基本的に80Mbpsをプッシュすることができるにもかかわらず、16Mbpsに制限される。
【0024】
この例をさらに理解するために、NTは、自分の供給されている480Mbpsのうちで100MbpsのDSを瞬間的に利用するだけであり、NTは、自分の80Mbpsのうちの20Mbpsを瞬間的に利用するだけであるが、大量のデータをアップストリームでアップロードしようと試みるケースを想定していただきたい。従来技術のソリューションによれば、これは不可能である。
【0025】
このケースにおいては、本発明者らによれば、パーティション境界を短期間にわたって動的にシフトすることができ、それによって、より良好な全体的なキャパシティー利用度のために、より多くのUSトラフィックが可能にされるならば、有益であろう。上で与えられた例においては、LTとNTとの間におけるライン上のトラフィックは、瞬間的な17/83(DS/US)の比率を可能にすることになり、その一方で、LTとNTとの間におけるライン上のトラフィックは、25/75(DS/US)の比率を可能にすることになる。NEXTを回避するためには、25/75が、使用すべき比率であり、したがってNTは、固定されたケースにおけるような20Mbpsの代わりに、60Mbpsでバーストすることができ、これは、明らかな利点であろう。
【0026】
DSL TDDにおいては、それぞれのラインは、所与の排他的なキャパシティー(ポイントツーポイント、p2p)を有するが、US/DS間での統計的多重化は、全体的なキャパシティー利用度を最適化するオーバーブッキングの可能性を提供するであろう。しかしながら、そのようなアルゴリズムは、NEXTコリジョンの問題を防止するために、近隣のラインを考慮に入れるべきである。
【0027】
本明細書において提案されているテクノロジーは、マルチラインDSL TDDブロック伝送システムにおいて最大のキャパシティー利用度を提供する動的帯域幅割振り(DBA)装置に関する。マルチラインDSL TDDブロック伝送システムの一例、および例示的な装置構造が、図2において示されている。
【0028】
高いレベルでは、LTが、いくつかのポートを含み、それらのポートでは、リモートNTどうしが、同じバインダ内を走っているp2p銅線ペアを介して接続されている。フレーマどうしが同期化されて、等しい開始時間および(DMTシンボルの数の点で)等しいフレームサイズが提供される。LT側では、ダウンストリームキュー(QD)が、NTへ配信されることになるフレームをバッファリングする。同じ構造、すなわち、アップストリームキュー(QU)を、アップストリーム伝送に関してNT側で見出すこともできる。さらに以降では、ダウンストリームキューは、ローカルキューと呼ばれることになり、アップストリームキューは、リモートキューと呼ばれることになる。キューどうしは、双方向に、たとえば、所与のラインに割り振られているQDおよびQUのp2pペアとして、またはマルチキャストで、すなわち、単一のQDまたはQUがラインのうちのすべてに(ブロードキャスト)またはグループに(マルチキャスト)割り振られているp2mpとしてアレンジされることが可能である。トラフィックスケジューラ(たとえば「DBAエンジン」と示される場合もある)が、たとえば、たとえば1ミリ秒の所与のサイクルですべてのキューからトラフィックレポート(TR)を収集して、それぞれのキューにおけるバッファ占有レベル、たとえばバイトでのフィルステータスについて知ることが可能である。ローカルキュー、すなわち、ラインのうちでトラフィックスケジューラと同じ側にあるキューに関しては、現在のフィルステータスに容易にアクセスすることができる。リモートエンド、すなわち、ラインのうちで他方の側にあるキューに関しては、リンクのオーバーヘッドチャネルにおいて要求/報告の往復を実施することができる。
【0029】
良好な結果のために、現在のUSおよびDSの需要に関する情報を、ラインについてのそれぞれの構成されているトラフィックプロフィールに関する情報とともに使用することができる。収集されたTRによって与えられたキュー情報を、たとえば、それぞれのキューに関するトラフィック記述子TDによって与えられた情報とともに使用することができる。この情報を組み合わせることによって、トラフィックスケジューラは、来たるフレームに関する適切なフレームDS/USパーティショニングを決定することができ、そのパーティショニングは、それぞれの個々のフレーマによってリンク利用度を最適化するために使用されることになる。それぞれのキューは、自分に割り振られている1つのTDを有するということ、およびそれぞれのラインは、複数のQDおよびQUを有することができるということが想定されるという点に留意されたい。フレーマは、NTのフレーマによって使用されるように、それぞれのフレームに関するパーティショニング情報をリモートエンドに配信することができる。
【0030】
トラフィック記述子、TD
キューに1:1で割り振られているトラフィック記述子TDは、下記のタプルに従って記述されることが可能である。
TD=(F,A,M,p)であり、この場合、
Fは、「固定されたレート」を表している。このレートは、送信される実際のトラフィックがあるかどうかを問わずに、キューがインストールされるリンク方向で常に確保される。
Aは、「保証されたレート」を表している。このレートは、必要とされる場合にはリンクがそのレートを提供しなければならないという意味で保証されている。実際の保証されたトラフィックが、設定されたレートAを満たしていない場合には、そのレートAは、必要とされるいずれの方向であれ、その他のラインによって使用されることが可能である。
Mは、「最大レート」を表している。このレートは、そのキューを通過されるべきである絶対的な最大レート(ピークレート)を指定する。
p(任意選択)は、「優先度」を表している。すべてのループにわたって残りのキャパシティーの共通のプールから、保証されていない帯域幅を取り出すための優先度。
【0031】
トラフィック記述子、TDは、固定された、保証された、および保証されていないレートコンポーネントを含む最も一般的なトラフィックプロフィールのサブクラスを表すように構成されることが可能であるということに留意されたい。たとえば、シンプルな固定されたレートのサービスを構成するためには、パラメータFを設定するだけでよい。また、USおよびDSの両方において送信を行うことを意図している場合には、ラインのそれぞれの方向は、少なくとも1つのキューを割り振られなければならず、複数の、たとえば4つものキューを有することがある。
【0032】
ポートiおよび(キュー)番号jのダウンストリームキューQDi−jに関するトラフィック記述子としてのTDD,i−jを、そのレートコンポーネント(FD,i−j、AD,i−j、pD,i−j)、およびそれに対応してポートi上のj番目のアップリンクキューのTDU,i−j記述子とともに示すならば、それぞれのリンクに関して、下記の制限が当てはまらなければならない。「DS_partition」および「US_partition」は、総フレーム長あたりのダウンストリームおよびアップストリームの時間の設定された比率であり、Cは、ダウンストリームDまたはアップストリームUのいずれかにおけるリンクiの達成可能なレートを示しており、Ci,DおよびCi,Uを参照されたい。
Sum(FD,i−j+AD,i−j)≦DS_partitioni,D (1.1)
Sum(FU,i−j+AU,i−j)≦US_partitioni,U (1.2)
【0033】
上記の式は、所与の銅線/ノイズ品質の物理的なラインを介して所与の設定されたトラフィックミックスを提供することの物理的な可能性または不可能性のステートメントを表している。このステートメントは、供給上の制約をオペレータに課し、特定のリンク上でのサービスコミットメントを販売するオペレータの能力に対するビジネス上の制約を定義する。
【0034】
スケジューラサイクル
LTは、TDDフレーム持続時間の倍数の連続したブロックにおいて自分のすべてのラインにキャパシティーを割り当てる際に、複数のサイクルで機能する。1ミリ秒のフレーム持続時間を与えられれば、可能なアルゴリズムは、1ミリ秒のサイクルで動作することができる。あるいは、そのサイクルは、もっと遅いことが可能であり、フレーム持続時間の倍数の持続時間、たとえば4または8ミリ秒を有することができる。図3は、スケジューラサイクルタイミングの一例を示している。
【0035】
図3における例示的なサイクルの第1のフェーズにおいては、LT、たとえばLTスケジューラが、自分のローカルキューから、ならびにリモートNTキューから、たとえば要求/応答プロトコルによって、トラフィックレポートを収集する。そのようなプロトコルは、リモートトラフィックレポートを収集する際に、1 TDDフレーム、またはそれ以上の往復遅延をもたらす場合がある。
【0036】
図3における例の第2のフェーズにおいては、LTスケジューラが、たとえば、最新のトラフィックレポート、トラフィック記述子、設定されたフレームパーティション、ならびに実際の達成可能なラインレートを与えられて、それぞれのライン上のフレーム構造を計算する。
【0037】
図3におけるサイクルの第3の最終フェーズにおいては、LTおよびNTが、新たなフレーム構造、たとえば、新たに算出された瞬間的なDS/USフレーム境界を使用する。
【0038】
帯域幅の割振り
固定された帯域幅を割り振ることは、トランシーバノードにとって比較的容易なタスクである。スケジューラが、式1.1および式1.2において表されている関係が当てはまるという前提のもとで、それぞれのラインiに関して、ダウンストリームの固定されたコンポーネントsum(FD,i−j)ならびにアップストリームの固定されたコンポーネントsum(FU,i−j)の設定された数値を静的に割り振る。キューの占有度、すなわち、トラフィックレポートの内容を問わずに、固定された帯域幅が常に割り振られるため、この固定されたアルゴリズムは、TD、パーティション、および達成可能なレートのほかに何ら追加のものを必要としない。したがって、図3において示されているスケジューラサイクルのフェーズ1は、固定された帯域幅のみを割り振る場合には、必要とされない。
【0039】
しかしながら、本明細書において提案されているように、DBAを適用している場合に、保証された帯域幅を割り振ることは、トラフィックレポートを考慮に入れる動的なアルゴリズムを必要とする。トラフィックレポートは、たとえば、キュー内で待っているバイトの数を、場合によっては、いくつかの任意選択の色情報(緑色、赤色、黄色)などとともに含むことができ、その場合、色情報は、キュー内で待っているデータの優先度を反映することができる。この動的なアルゴリズムは、所与のリンク上での所与のキューに関する瞬間的なレート需要を推定するために、任意のキューのキュー占有度を考慮に入れることができる。このデータ(すなわち推定)を、それぞれのラインの保証されたレート設定sum(AD,i−j)またはsum(AU,i−j)と比較して、設定されたレベルまで許可することができる。1)保証されたトラフィックの実際の需要が、設定されたレベルを下回っていること、または2)F+Aが、フルレートパーティションよりも下に設定されていることに起因する、DSまたはUSにおける任意の残りのレートは、保証されていない割振りの対象となる場合があり、これは、パーティション境界に影響を与える場合がある。特定のパーティショニングを前提として可能である需要よりも高い需要を有するラインがある場合には、DS/US境界をフレーム内で移動させて(調整して)、ピークトラフィック伝送を可能にすることができる。
【0040】
図4は、ラインi+1の瞬間的な需要が、設定されたDS/USパーティショニングのDS部分を超える場合、および現在の需要またはラインi+1の必要性に従ってDS伝送を可能にするためにTDDフレームのダウンストリーム部分が拡張される(拡大される)場合の一例を示している。フレームのDS部分を拡張/拡大するために、それに対応してUS部分を縮小しなければならない。
【0041】
いくつかのラインがピークを経験しているケースにおいては、保証されていないレートを、特定の所与の優先度でラインに与えることができる。保証されていないレートは、たとえば、A+F(保証されたレート+固定されたレート)に比例して、またはトラフィック記述子TDの一部である設定可能な優先度pによって割り振ることができる。さらに、TDにおける最大レートパラメータMの使用は、所与のキューに関して、保証されていないレートの需要に上限を設けることを可能にする。たとえば、オペレータは、特定のレートを可能にするだけである低価格のサービスを提供することができる。
【0042】
より詳細には、図4は、フレームNおよびフレームN+1という2つのフレーム内のラインiおよびラインi+1という2つのラインにおけるトラフィック状況を示している。それぞれのラインは、それぞれの方向、すなわちUSおよびDSにおける固定されたレートFおよび保証されたレートAを含む設定されたトラフィックプロフィールに関連付けられている。双方向の矢印が、DSキューおよびUSキューの現在のフィルステータスによって与えられた実際の需要を示している。図4に示されている例示的な状況においては、相反する需要はなく、したがって、両方のラインにおけるUS需要およびDS需要を両方とも満たすことができるようにUS/DSフレーム境界を配置することができる。フレームN+1内のラインiにおけるリソースに関するUS需要が、保証されたUSレート内でさらに高かったならば、フレームN+1におけるUS/DS境界は、少なくとも、保証されたレートが提供されるように、さらに左に配置されていたであろう。その他の相反する需要は、優先度の側面を考慮に入れることによって解決することができる。しかしながら、保証されたレートは、必要とされる場合に提供されるべきである。
【0043】
提案されているテクノロジーの利点の例
1. レートが制限されている銅線リンク上での最大のキャパシティー利用度
2. 実施に適している/実施が比較的「容易」である。
【0044】
例示的なシステム、図2
図2は、例示的なDSL TDD動的帯域幅割振り(DBA)アーキテクチャーの概略図を示している。201で概略的にマークされている部分は、トランシーバノードを表すことができ(図7におけるトランシーバノード701と比較していただきたい)、このトランシーバノードは、ライン端末、LTを含み、そしてLTは、トラフィックスケジューラを含む。このトランシーバノードは、たとえば双方向マルチラインTDD伝送装置またはトランシーバと示されることも可能であり、本明細書において提案されているテクノロジーの一例によれば、動的帯域幅割振り機能を提供するように適合されている。このトランシーバノードは、たとえば中央局に配置されているいわゆるDSLAMであることが可能である。短いループのケースにおいては、このトランシーバノードは、たとえば建物の地階に配置することができる。
【0045】
トランシーバノード201は、複数の/多数のループへのアクセスを提供するライン端末(LT)を含み、それぞれのループは、各自のネットワーク端末(NT)によって終端されている。それらのループは、典型的には、銅などの金属から作製される。単一のLTに接続されている銅線ループどうしは、典型的には、バンドルの終わりでループどうしを別々のNTへ届けるケーブルバインダの一部である。
【0046】
それぞれのライン、またはループは、ダウンストリームの達成可能なレートの所与の部分をダウンストリーム伝送のために使用するように構成されることが可能であり、また、アップストリームの達成可能なレートの所与の部分をアップストリーム伝送のために使用するように構成されることが可能である。フレームのパーティショニング、またはパーティション境界は、対称比率の点から、たとえば80/20と、または代替として、TDDフレームあたりのシンボルの総数に対するアップストリーム/ダウンストリームのために使用されるDMTシンボル位置の数として定義されるアップストリーム部分/ダウンストリーム部分によって表されることが可能である。
【0047】
トランシーバノード201は、LT側およびNT側においてトラフィックスケジューリングのために少なくとも1つのFIFOキューを加えることを可能にする。2つのキューをペアにすることができ、そのペアは、所与のポイントツーポイントの銅線ループを介して接続されているLTとNTとの間における双方向のスケジュールされたユニキャストフローを提供するために、トランシーバノード/LT側における1つのダウンストリームキューと、NT側における1つのアップストリームキューとから構成される。また、マルチキャストトラフィックおよびブロードキャストトラフィックのためのトラフィックスケジューリングを提供するために、任意の数のキューをLTおよび/またはNTに加えることができる。
【0048】
さらに、トランシーバノードは、それぞれのキューに対してトラフィック記述子、TDを許可するように、および設定するように適合されている。TDは、たとえば、固定されたレート、保証されたレート、最大レート、および保証されていないレートというトラフィック契約コンポーネントを含むことができる。TDは、たとえば計測の目的で、任意選択の色/優先度マークを含むこともできる。
【0049】
たとえば、それぞれのキューは、要求に応じて自分の現在のトラフィックフィルステータスを報告するように構成されることが可能である。そのようなトラフィックレポートは、たとえば、待っているバイトの生の数、フレームの数とフレーム長、および/またはフレームに関連付けられている色、および類似の測定値を含むことができる。さらに、トラフィックレポートは、好ましくは、キューID、ならびに供給されたキューサイズを含むべきである。トラフィックレポート内のデータは、線形エンコーディングまたは対数エンコーディングなど、さまざまな方法でエンコードされることが可能である。
【0050】
トランシーバノードは、たとえば定期的に、所与のサイクル時間内にローカルで、たとえばLT内で、およびすべてのアクティブなNTにリモートでトラフィックレポートを要求して収集するように適合されることが可能である。LT内のローカルトラフィックレポートは、たとえばローカルデータバスを介して収集することができる。NTから収集されるリモートトラフィックレポートは、たとえば、TDDフレーム構造に同期化されるリアルタイムコントロール要求/応答プロトコルの使用によって収集することができる。
【0051】
図2の例示的なアーキテクチャーにおけるトラフィックスケジューラの機能に焦点を合わせると、そのようなトラフィックスケジューラは、トラフィック記述子ならびにトラフィックレポートからの情報に基づいて任意のアクティブなNTに帯域幅を割り振るように機能できることが可能である。トラフィックスケジューラは、繰り返されるスケジューリングサイクルにおいて機能することができ、それらのスケジューリングサイクルでは、たとえば第1のサイクルにおいて、トラフィックレポートを、NTおよびLTのすべての割り振られたキューに要求して収集することができ、たとえば、第2のサイクルにおいて、設定されたトラフィックプロフィールをレポートからの実際の需要と比較することに基づいて、次なるフレームに関してフレーム構造を計算することができ、第3のサイクルにおいて、使用される新たなフレーム構造をコントロールチャネル(たとえば、帯域幅マップ)内のすべてのNTに通信すること/示すことが可能であり、次いでLTおよびNTは、たとえば第3のサイクルまたは第4のサイクル内で新たなフレーム構造を実施することができる。
【0052】
さらに、ラインの立ち上げ中に、トラフィックスケジューラは、それぞれのNT/LTラインペアの方向ごとの達成可能なレートを読み取ること、および方向ごとのすべてのキューにわたるすべてのトラフィック記述子、すなわち、すべての固定されたレートおよび保証されたレートの数値の知識を与えられて、所与のトラフィックプロフィールの実現可能性をチェックすることが可能である。トラフィックスケジューラは、固定されたレートコンポーネントをそれぞれのLT−NTリンクにリンク方向ごとの実際の達成可能なレートの限度内で割り振るように適合されることが可能である。固定された送信機会が、任意のフレームにおいてスケジュールされる。さらに、トラフィックスケジューラは、トラフィック記述子およびトラフィックレポート内のデータを与えられて、保証されたレートコンポーネントおよび/または保証されていないレートコンポーネントをそれぞれのLT−NTリンクペアに割り振るように適合されることが可能である。リンクごとの保証されたトラフィックを、設定された保証された限度まで割り振ることができる。保証された限度に達していない場合には、トラフィックスケジューラは、同じLT上のバインダ内の自分自身のラインまたはその他のラインのその他の伝送方向に、保証されていないレートを認めることを許可されることが可能である。これは、瞬間的なアップストリーム/ダウンストリームパーティション境界を変更することによって行われる。ラインの立ち上げ中のこの手順が、図6において示されており、図6は、ラインの立ち上げ時に、それぞれのLT/NTラインペアの方向ごとの達成可能なレートを602で特定することを含む例示的な方法を示している。それらの達成可能なレートは、関連している設定されたトラフィックプロフィール(たとえば、トラフィック記述子と示されることが可能である)と604で比較される。設定されたトラフィックプロフィールの実現可能性が、アクション606において特定され、その結果が、関係しているノードに608で示されることが可能であり、および/またはこの方法が実行されるノードが、その結果に従って608で行動することができる。この後に、図6において示されているように、図5において示されている方法を実行することができる。
【0053】
次いで、トランシーバノードによって実行される方法の例示的な実施形態について、図5を参照しながら説明する。このトランシーバノードは、図2において201でマークされている構成、またはその一部であることが可能であり、たとえばライン端末、LTを含み、そしてLTは、トラフィックスケジューラを含む。このトランシーバノードは、ワイヤラインを介した双方向TDDマルチキャリア通信を提供するように機能することができ、複数のループに結合されており、それぞれのループは、それぞれのネットワーク端末、NTによって終端されている。
【0054】
図5は、それぞれの複数のループ上のアップリンクおよびダウンリンクのトラフィックに関連付けられているローカルキューおよびリモートキューからトラフィックレポートを502で収集することを含む方法を示している。それぞれアップストリームおよびダウンストリームの帯域幅に関する実際の現在の需要が、収集されたトラフィックレポートに基づいて、複数のループのそれぞれに関して503で特定される。さらに、アップストリームおよびダウンストリームの帯域幅に関する特定された需要に基づいて、US/DSのフレームパーティショニングが506で導出される。次いで、導出されたUS/DSフレームパーティショニングが、508でNTに示される。次いで、NTが、導出されたUS/DSフレームパーティショニングに従って509でスケジュールされる。図5において示されている方法を実行することによって、動的な帯域幅割振りが可能となる。
【0055】
前述したように、それぞれのループは、1つまたは複数のキューに関連付けられることが可能であり、それらのキューは、さまざまなUS/DSのペアまたは集まりでアレンジされることが可能である。キューからのトラフィックレポートの収集は、要求/応答手順、すなわち、要求がトランシーバノードからまたはトランシーバノード内で送信され、その要求に応答して、キューステータスを含むトラフィックレポートが送信される手順によって実行されることが可能である。それぞれUSリソースおよびDSリソースに関する実際の現在の需要は、それぞれのループに関して、たとえば、そのループに関連付けられているすべてのDSキューのコンテンツどうしを足し合わせて、前記DSコンテンツを送信するためにどれぐらい多くのDSリソースが必要とされることになるかを特定すること、およびそのループに関連付けられているすべてのUSキューのコンテンツどうしを足し合わせて、前記コンテンツを送信するためにどれぐらい多くのUSリソースが必要とされることになるかを特定することによって、特定されることが可能である。
【0056】
US/DSフレームパーティショニング、または境界を導出することは、複数のループのUS/DSリソースに関する需要どうしを比較することを含むことができる。最も単純なケースにおいては、相反する需要がなく、USおよびDSにおいて最も高い需要を有する1つまたは複数のループに従って境界を設定することができる。複数のループに関して同じUS/DSフレームパーティショニングが設定される。なぜなら、個々の差異はNEXTにつながるためである。
【0057】
導出されたUS/DSパーティショニングは、いつ送信すべきか、およびいつリッスンすべきかをNTがわかるように、NTに示される。この情報は、任意の適切な方法で、たとえば、フレーム内のどのシンボルどうしの間に、USとDSとの間における境界が配置されているかを示すことによって、示されること、または提供されることが可能である。新たなUS/DSフレームパーティショニングが導出されてNTに示された場合には、トランシーバノードは、その新たなパーティショニングに従ってそれらのNTをスケジュールすることができる。ローカルキュー内で待っているデータのバイトがNTに送信されること、およびリモートキュー内で待っているデータのバイトがNTから受信されることは、それらのデータが新たなフレームパーティショニング内に含まれることが可能である程度まで、可能である。
【0058】
それぞれのキューは、アップストリームレートまたはダウンストリームレートに関連している設定されたトラフィックプロフィールに関連付けられることが可能である。設定されたトラフィックプロフィールは、前述のように、たとえばトラフィック記述子によって表されること、および/またはトラフィック記述子で記述されることが可能である。設定されたトラフィックプロフィールは、前述のように、保証されたレート、ならびに、たとえば固定されたレート、最大レート、保証されていないレート、および優先度のうちの1つまたは複数などのトラフィック契約コンポーネントを含むことができる。US/DSフレームパーティショニングの導出は、現在の需要に基づくことに加えて、前記設定されたトラフィックプロフィールに基づくことが可能である。ループの現在の需要は、たとえばそれらのループのうちのいずれの固定されたレートの契約にも違反しないように、それらのループの設定されたトラフィックプロフィールと比較されることが可能である。すなわち、US/DSパーティショニングは、ループのうちのいずれもそれらの契約されている固定されたレート上で奪うべきではなく、それは、図4における破線の境界が、FまたはFとマークされているエリア内に配置されるべきではないということによって示されることが可能である。
【0059】
設定されたトラフィックプロフィールはさらに、最大レートに関連しているトラフィック契約コンポーネントに関連付けられること、またはそのトラフィック契約コンポーネントを含むことが可能である。その最大レートは、たとえば、NTの所有者がサービスプロバイダとの間において有しているサブスクリプションのタイプに、またはループおよび/もしくはNTの能力に関連付けられることが可能である。設定されたトラフィックプロフィールはさらに、優先度に関連しているトラフィック契約コンポーネントに関連付けられること、またはそのトラフィック契約コンポーネントを含むことが可能である。そのような優先度コンポーネントは、たとえば、NTの所有者がサービスプロバイダとの間において有しているサブスクリプションのタイプに関連していることが可能である。設定されたトラフィックプロフィールはさらに、たとえば計測の目的で、色もしくは優先度マークに関連付けられること、または色もしくは優先度マークを含むことが可能である。設定されたトラフィックプロフィールはさらに、たとえば音声トラフィックなど、遅延に敏感なトラフィックにとって有益である固定されたレートに関連しているトラフィック契約コンポーネントに関連付けられること、またはそのトラフィック契約コンポーネントを含むことが可能である。
【0060】
収集されたトラフィックレポートは、それぞれのキューの現在のフィルステータスを反映する。トラフィックレポートは、キュー内で待っているバイトの生の数、キュー内で待っているフレームの数とフレーム長、フレームに関連付けられている色もしくは優先度、キューID、および/または供給されたキューサイズを含むことができる。
【0061】
収集すること、導出すること、および提供することは、図3において示されているように、連続したサイクルで実行することができる。トラフィックレポートは、そのような1つのサイクル内の複数のループに関連付けられているすべてのリモートキューおよびローカルキューから収集することができる。これを達成する目的で、少なくともループのリモートエンドにおけるNTからトラフィックレポートを収集するために、リアルタイムコントロール要求/応答(RR)プロトコルを使用することができる。そのようなプロトコルは、TDDフレーム構造に同期化されるべきである。それによって、トラフィックレポートを、コントロールされた方法で取得することができ、1つのサイクルで収集されたトラフィックレポートは、同じタイムピリオドを反映することになり、ひいては、動的なフレームパーティショニングに関連した決定のための基礎として機能するのに適している。
【0062】
例示的なトランシーバノード、図7
本明細書において説明されている実施形態は、トランシーバノードにも関する。このトランシーバノードは、上述のトランシーバノードにおける方法の少なくとも1つの実施形態を実行するように適合されている。このトランシーバノードは、たとえば図5および図6において示されている上述の方法と同じ技術的な特徴、目的、および利点に関連付けられている。このトランシーバノードについては、不必要な繰り返しを避けるために、簡潔に説明する。
【0063】
以降では、上述の方法の実行を可能にするように適合されている例示的なトランシーバノード700について、図7を参照しながら説明する。このトランシーバノードは、ワイヤラインを介した双方向時分割複信(TDD)マルチキャリア通信のために機能することができ、このトランシーバノードは、複数のループに接続可能であり、それぞれのループは、それぞれのネットワーク端末(NT)によって終端されている。このトランシーバノードのうちで、本明細書において説明されている方法への適合によって最も影響を受ける部分は、構成701として示されており、破線によって囲まれている。構成701は、図2において201として示されている構成などの構成であること、またはその一部であることが可能である。トランシーバノード700および構成701はさらに、有線通信のための手段を含む通信ユニット702を介してその他のエンティティーと通信するように示されている。このトランシーバノードまたは構成は、コーデックなどのその他の機能ユニット707をさらに含むことができ、1つまたは複数のストレージユニット706をさらに含むことができる。
【0064】
このトランシーバノードの構成部分は、下記のように実施および/または説明されることが可能である。
この構成は、複数のループ上のアップリンクおよびダウンリンクのトラフィックに関連付けられているローカルキューおよびリモートキューからトラフィックレポートを収集するように適合されている収集ユニット704を含む。この構成は、収集されたトラフィックレポートに基づいて、複数のループのそれぞれに関して、それぞれアップストリームおよびダウンストリームの帯域幅に関する実際の需要を特定するように適合されている特定ユニット705をさらに含む。この構成は、アップストリームおよびダウンストリームの帯域幅に関する実際の需要に基づいてUS/DSフレームパーティショニング(フレーム内の境界ロケーション)を導出するように適合されている導出ユニット708、ならびにNTに対して、導出されたUS/DSフレームパーティショニングの表示を提供するように、すなわち、導出されたUS/DSフレームパーティショニングを示すように適合されている提供ユニット710をさらに含む。この構成は、導出されたUS/DSフレームパーティショニングに従ってNTをスケジュールするように適合されているスケジューリングユニット711をさらに含むことができる。
【0065】
それぞれのキューは、アップストリームレートまたはダウンストリームレートに関連している設定されたトラフィックプロフィールに関連付けられることが可能であり、US/DSフレームパーティショニングの導出はさらに、前記設定されたトラフィックプロフィールに基づくことが可能である。たとえば、特定された実際の需要は、任意のループに関連付けられている、たとえば前記ループ上での特定の需要を与えられている設定されたトラフィックプロフィールに違反しない新たなUS/DSフレームパーティショニングを導出するために、設定されたレートと比較されることが可能である。
【0066】
設定されたトラフィックプロフィールは、保証されたレートに関連しているトラフィック契約コンポーネントを含むことができる。保証されたレートは、前述のように、必要とされる場合に提供されるべきである。設定されたトラフィックプロフィールはさらに、最大レートに関連しているトラフィック契約コンポーネント、保証されていないレートに関連しているトラフィック契約コンポーネント、たとえば計測の目的での色もしくは優先度マーク、および/または固定されたレートに関連しているトラフィック契約コンポーネントを含むことができる。
【0067】
導出されたUS/DSフレームパーティショニングは、少なくとも、複数のループが同じケーブルバインダに属している場合に、それらのループのそれぞれに関して適用される。
【0068】
このトランシーバノードはさらに、それぞれのキューにトラフィックプロフィールを割り振り、設定するように適合されることが可能であり、そのトラフィックプロフィールは、保証されたレートのトラフィック契約コンポーネントと、場合によっては、固定されたレート、最大レート、保証されていないレートのトラフィック契約コンポーネント、および/または色/優先度マークのうちの1つまたは複数とを含む。そのトラフィックプロフィールは、キューに関連付けられているトラフィック記述子の形態で設定されることが可能である。
【0069】
このトランシーバノードは、トラフィックプロフィールおよびトラフィックレポートに基づいて任意のNTに帯域幅を割り振るように適合されている少なくとも1つのトラフィックスケジューラ、たとえば、スケジューリングユニット711を含むことができる。それらのトラフィックレポートは、特定のタイムピリオド、たとえばスケジューリングサイクルにおける状況に関連している。
【0070】
このトランシーバノードは、繰り返されるスケジューリングサイクルにおいて機能することができ、第1のサイクルにおいて、トラフィックレポートがリモートキューおよびローカルキューから収集され、第2のサイクルにおいて、設定されたトラフィックプロフィールおよび実際の需要に基づいて、次なるUS/DSフレームパーティショニング構造が導出され、第3のサイクルにおいて、導出されたフレームパーティショニング構造が、関係しているエンティティーに提供され、第3のサイクルまたは第4のサイクル内で、特定されたフレームパーティショニング構造が実施される。そのようなサイクルは、図3において示されている。
【0071】
たとえばライン端末と示される場合もある構成700、またはトランシーバノード701、またはそれらの一部は、たとえば、集積回路もしくは個別のコンポーネントとして実現されているトランジスタ、ロジックゲート等などの専用ハードウェア基本処理ユニット、FPGAもしくはASICなどのプログラマブルロジックデバイス(PLD)、プロセッサもしくはマイクロプロセッサおよび適切なソフトウェアおよびそれを格納するためのメモリ、または上述のアクションを実行するように構成されているその他の電子コンポーネントもしくは処理回路のうちの1つまたは複数によって実装されることが可能である。
【0072】
トランシーバノード701は、ローカルキューおよびリモートキューからトラフィックレポートを収集するように適合されている収集ユニット704を含むことができる。このトランシーバノードは、トラフィックレポートに基づいてラインおよび方向ごとの実際の需要を特定するように適合されている特定ユニット705と、その実際の需要を、設定されたトラフィックプロフィールと比較するように適合されている比較ユニット706と、その比較の結果に基づいて新たなUS/DSフレームパーティショニング(フレーム内の境界ロケーション)を導出するように適合されている導出ユニット708とをさらに含むことができる。このトランシーバノードは、ワイヤラインのリモートエンドにおけるNTに、およびこのトランシーバノードの関連する部分にローカルに新たなUS/DSフレームパーティショニングの表示を提供するように適合されている提供ユニット710をさらに含むことができる。このトランシーバノードは、新たなUS/DSフレームパーティショニングに従って伝送リソースをスケジュールするように適合されているスケジューリングユニット711をさらに含むことができる。それによって、このトランシーバノードは、動的な帯域幅割振りのための能力を提供するように適合されている。
【0073】
例示的なトランシーバノード、図8
図8は、構成800の可能な一実施形態を概略的に示しており、これは、図7において示されているトランシーバノード700内の構成もしくはトラフィックスケジューラ701、またはそれらの一部の一実施形態を開示する代替方法であるとも言える。構成800内に含まれているのは、ここでは、たとえばDSP(デジタルシグナルプロセッサ)を伴う処理ユニット806である。処理ユニット806は、本明細書において説明されている手順のさまざまなアクションを実行するための単一のユニットまたは複数のユニットであることが可能である。構成800は、その他のエンティティーまたはノードから信号を受信するための入力ユニット802と、その他のエンティティーまたはノードに信号を提供するための出力ユニット804とを含むこともできる。入力ユニット802および出力ユニット804は、統合されたエンティティーとしてアレンジされることが可能である。
【0074】
さらに、構成800は、メモリ、たとえばEEPROM(電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ)、フラッシュメモリ、およびハードドライブの形態の少なくとも1つのコンピュータプログラム製品808を含む。コンピュータプログラム製品808は、コード手段を含むコンピュータプログラム810を含み、そのコード手段は、構成800内の処理ユニット806において実行されたときに、その構成、および/またはその構成が含まれているノードに、本明細書において例示されている手順のアクションを実行させる。
【0075】
コンピュータプログラム810は、コンピュータプログラムモジュールにおいて構築されているコンピュータプログラムコードとして構成されることが可能である。したがって、例示的な一実施形態においては、構成800のコンピュータプログラム810内のコード手段は、ローカルキューおよびリモートキューからトラフィックレポートを収集するための収集モジュール810aを含む。構成800は、トラフィックレポートに基づいて実際の需要を特定するための特定モジュール810bをさらに含む。
【0076】
このコンピュータプログラムは、実際の需要を、設定されたトラフィックプロフィールと比較するための比較モジュール810cをさらに含むことができる。このコンピュータプログラムは、トラフィックレポートに基づいて新たなUS/DSフレームパーティショニングを導出するための導出モジュール810dをさらに含む。このコンピュータプログラムは、たとえばワイヤラインのリモートエンドにおけるNTに、新たなUS/DSフレームパーティショニングの表示を提供するための提供モジュール810eをさらに含むことができる。
【0077】
図8に関連して上で開示されている実施形態におけるコード手段は、処理ユニットにおいて実行されたときに、上述の図に関連して上で説明されているアクションを、構成またはトランシーバノードに実行させるコンピュータプログラムモジュールとして実装されているが、それらのコード手段のうちの少なくとも1つは、代替実施形態においては、少なくとも部分的にハードウェア回路として実装されることが可能である。
【0078】
前述したように、プロセッサは、単一のCPU(中央処理装置)であることが可能であるが、複数の処理ユニットを含むこともできる。たとえば、プロセッサは、汎用マイクロプロセッサ、命令セットプロセッサおよび/もしくは関連したチップセット、ならびに/またはASIC(特定用途向け集積回路)などの専用マイクロプロセッサを含むことができる。プロセッサは、キャッシングの目的でボードメモリを含むこともできる。コンピュータプログラムは、プロセッサに接続されているコンピュータプログラム製品によって搬送されることが可能である。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読メディアを含むことができ、そのコンピュータ可読メディア上にコンピュータプログラムが格納される。たとえば、コンピュータプログラム製品は、フラッシュメモリ、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み取り専用メモリ)、またはEEPROMであることが可能であり、上述のコンピュータプログラムモジュールは、代替実施形態においては、トランシーバノード701内のメモリの形態の別々のコンピュータプログラム製品上に分散されることが可能である。
【0079】
本明細書において説明されている動的な帯域幅割振りは、代替として、たとえば動的なリソース割振り、DRAと示されることが可能である。DRA機能は、コーディネートされるグループ全体にわたってダウンストリームおよびアップストリームの伝送機会をコーディネートする。ダウンストリームおよびアップストリームの伝送機会の割当ては、トランシーバノードもしくは管理エンティティーによる設定に従って時間とともに静的であること、すなわち一定であることが可能であり、またはトラフィックニーズに応じて、かつMEおよび電力制御エンティティーによって設定された限度内で時間とともに動的であること、すなわち可変であることが可能である。DRAを提供するエンティティーは、コーディネートされるグループ内のライン(ループ)のうちのそれぞれに関してレイヤ2+機能から動的なリソースレポート、DRRを受信することができる。DRRus(アップストリーム)は、NTからラインを介してDRAエンティティーに渡される。それらのラインは、たとえばトラフィック記述子の形態の管理情報に関連付けられることが可能である。
【0080】
それらの管理情報は、コーディネートされるグループ内のサブスクライバーラインごとのアップストリームおよびダウンストリームの伝送機会の割当てに限度を課す。MEによってDRAエンティティーに課される限度は、US/DS比率の設定、サービスレベルアグリーメント(SLA)などに関連していることが可能である。
【0081】
上で提案された方法およびトランシーバノードまたは構成について、例として提供されている具体的な実施形態を参照しながら説明してきたが、この説明は一般に、提案されているテクノロジーを例示することを意図されているにすぎず、提案されている方法および構成の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。一般論として述べるが、この方法および構成は、たとえば、ワイヤラインを介したマルチキャリアTDDを適用するさまざまなタイプの通信システムに関して適用可能とすることができる。
【0082】
相互作用するユニットどうしまたはモジュールどうしの選択、ならびにそれらのユニットのネーミングは、例示的な目的のものにすぎず、上述の方法のうちの任意の方法を実行するのに適しているノードは、提案されているプロセスアクションを実行することができるように複数の代替方法で構成されることが可能であるということも理解されたい。本開示において説明されているユニットまたはモジュールは、必ずしも別々の物理的なエンティティーとしてではなく、論理的なエンティティーとしてみなされるべきであるということにも留意されたい。
【0083】
略語:
DMT 離散マルチトーン
FEXT 遠端クロストーク
LT ライン端末
NEXT 近端クロストーク
NT ネットワーク端末
OFDM 直交周波数分割多重化
TDD 時分割複信
図1
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