【課題を解決するための手段】
【0003】
かかる目的は、特に本独立特許請求項の特徴を有する方法および発光ダイオードディスプレイによって達成される。好ましい改良形態が従属請求項の主題である。
【0004】
少なくとも一実施形態によれば、発光ダイオードディスプレイを製造するために本方法を提供する。発光ダイオードディスプレイは、作動中にディスプレイから出射される放射が、すべてまたは主に発光ダイオード(すなわちLED)によって発生することを意味し得る。発光ダイオードディスプレイは、アクティブマトリックスディスプレイとすることができる。発光ダイオードディスプレイでは液晶マトリックスを不要とすることができる。
【0005】
少なくとも一実施形態によれば、本方法は、成長基板を設けるステップを含む。成長基板は、基板上面を有する。成長基板は、例えばサファイア基板またはシリコン基板である。
【0006】
少なくとも一実施形態によれば、本方法は、1層以上の緩衝層を直接または間接的に基板上面に設けるステップを含む。少なくとも1層の緩衝層は、基板上面に直接接してもよく、1層以上の中間層によって基板上面と離隔してもよい。
【0007】
少なくとも一実施形態によれば、本方法は、複数の個別の成長点を形成するステップを含む。成長点は、緩衝層に、緩衝層内に、および/または緩衝層上に形成される。例えば、成長点は、緩衝層の特定の局所領域である。
【0008】
少なくとも一実施形態によれば、本方法は、個々の放射活性島部を形成するステップを含む。島部は、エピタキシャル成長等によって成長点を起点として形成される。
【0009】
少なくとも一実施形態によれば、各島部は、無機半導体積層体を含むかまたは無期半導体積層体からなる。島部の半導体積層体は、発光ダイオードディスプレイの作動中に放射を発生するための1層以上の活性領域を含む。活性領域は、単一量子井戸構造または多重量子井戸構造またはpn接合であり得る。
【0010】
半導体積層体は、III−V族化合物半導体材料をベースとすることが好ましい。半導体材料は、例えば、Al
nIn
1−n−mGa
mN等の窒化物化合物半導体材料またはAl
nIn
1−n−mGa
mP等のリン化物化合物半導体材料またはAl
nIn
1−n−mGa
mAs等のヒ化物化合物半導体材料(いずれの場合も、0≦n≦1、0≦m≦1、n+m≦1)である。この場合、半導体積層体は、ドーパントおよび追加成分を含み得る。しかしながら、半導体積層体の結晶格子の本質的な構成成分(Al、As、Ga、In、N、P)を少量のさらなる物質で部分的に置換および/または補充することができるとしても、簡潔にするために、半導体積層体の結晶格子の本質的な構成成分(Al、As、Ga、In、N、P)のみを特定する。
【0011】
少なくとも一実施形態によれば、島部の基板上面の上面視における平均径は、少なくとも50nmまたは少なくとも200nmまたは少なくとも500nmまたは少なくとも0.5μmまたは少なくとも10μmである。代替的にまたは追加的に、島部の平均径は、最大で20μmまたは最大で5μmまたは最大で2μmである。島部のアスペクト比、すなわち平均高さを平均径で割った商は、1超または2超または5超とすることができる。アスペクト比は、例えば25未満または20未満または15未満とすることができる。
【0012】
少なくとも一実施形態によれば、本方法は、各島部とトランジスタとを相互接続するステップを含む。島部は、トランジスタを介して個別にまたはまとめて電気的に制御可能である。この場合、正確に1つの各島部も、電気的に並列接続されている複数の島部も、正確に1つのトランジスタにそれぞれ電気接続され得る。言い換えると、発光ダイオードディスプレイはこの場合、個々の島部がマイクロ画素を形成する、いわゆるマイクロ画素ディスプレイである。
【0013】
少なくとも一実施形態において、本方法は、発光ダイオードディスプレイを製造するために構成される。本方法は、少なくとも
A)基板上面を有する成長基板を設けるステップと、
B)前記基板上面に間接的にまたは直接的に少なくとも1層の緩衝層を形成するステップと、
C)前記緩衝層上または前記緩衝層に複数の個別の成長点を形成するステップと、
D)前記成長点を起点として個々の放射活性島部を形成するステップであって、前記島部は、それぞれ、少なくとも1つの活性領域を有する無機半導体積層体を含み、前記島部それぞれの前記基板上面の上面視における平均径は、50nm〜20μm(両端値を含む)である、ステップと、
E)前記島部を電気的に作動させるために、前記島部とトランジスタとを相互接続するステップとを含む。
【0014】
方法ステップは、特定される順序で実行されることが好ましい。技術的に実行可能であれば、別の順序とすることもできる。
【0015】
発光ダイオードに基づくマイクロ画素ディスプレイの製造において、従来の製造アプローチ、すなわち平坦に形成したエピタキシャル層を分割する場合では、欠陥を少なく構造化する点で高度の要求が生じる。この製造アプローチは、トップダウンアプローチとも呼ばれる。アクティブマトリックス回路を有するディスプレイを追加的に形成する場合、必要なトランジスタ要素を有するキャリアを、特にマイクロ画素によって形成される発光領域と精確に位置合わせして形成しなければならない。
【0016】
マイクロ画素ディスプレイ用の半導体積層体の構造化は、例えば乾式化学的方法によって実施される。分割した半導体積層体およびマイクロ画素を有するキャリアは、典型的にはドライバ回路を有するウェハにフリップチップ方式で接合される。
【0017】
本明細書に記載の発光ダイオードディスプレイは、特に、マイクロスケールまたはナノスケールで成長基板上に構造化して堆積させるエピタキシャル構造をマイクロディスプレイ用に用いるという発想に基づいている。対応する製造法は、ボトムアップアプローチとも呼ばれる。この場合、エピタキシャル成長させた1つの島部は、後の1つの光画素に正確に対応することが好ましい。しかしながら、小さい島部を組み合せて1つの光画素を形成することもできる。また、このボトムアップアプローチの場合、前もってまたは後からドライバトランジスタも設ける基板と同じ基板上で直接エピタキシャル成長を行うことができる。このように、マイクロ画素を有するキャリアとドライバ回路を有するキャリアとの接合作業を省略することができる。さらに、エピタキシーに応じて形成された活性領域を有する半導体積層体の構造化を省略することができる。このように、マイクロ画素を形成するための分割は、成長時に既に事前に画定されている。このように、特に高品質の材料が得られ、それによりエッチングのダメージに起因する漏れ電流を抑制することができる。
【0018】
目的とする島部を立体的に成長させることによって、エッチング等の構造化工程の際の活性領域へのダメージを回避することができる。それにより静電放電、微小電流に関連する障害、および/または分岐回路によって生じ得るダメージの危険性を最小化することができる。
【0019】
構造化による放射活性領域のロスは、島部のコアシェル構造によって補償され得る。アスペクト比が高い場合、平面的なトップダウンアプローチと比較して活性領域を拡大することすら可能である。したがって、電流密度を減少させつつ同時に光密度を維持することによって、効率を向上させることもできる。
【0020】
トランジスタ制御論理を成長基板に組み込む場合、後工程の精密かつ精確に配列させる接合工程は不要である。いわゆるナノロッドの形態で比較的薄い島部を成長させることによって、付随的に材料の品質を向上させる。転位が、エピタキシャル成長させた層の厚さ方向全体を貫通せずに表面付近で消えるからである。
【0021】
閉じた二次元的な層ではなく、ナノ構造体またはマイクロ構造体の形態で個々に立つ三次元的な島部を成長させることによって、格子定数および/または膨張係数の異なる材料同士を使用する際に生じる歪力を追加的に散逸または低下させることができる。また、これは、ウェハおよび/または成長基板の成長時の弛みを減少させ、特に、他の材料またはウェハ上に接合させる場合の処理を単純化することができる。さらに、より大きな基板または異なる基板を成長用として使用することができる。
【0022】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、トランジスタを成長基板内に形成する。トランジスタの形成は、例えば成長基板の特定の部分領域にドープすることによって行う。特に、トランジスタは、電界効果トランジスタ(略して「FET」)またはpnpトランジスタとして成長基板内に形成される。
【0023】
少なくとも一実施形態によれば、トランジスタを形成するステップは、部分的にまたは完全にステップD)に次いで行う。しかしながら、特に、成長時に作用するトランジスタのpウェルおよびnウェルにおける拡散による熱応力に関して、代替的に、トランジスタ製造の方法ステップの一部または全部をステップD)より先に行うことができる。
【0024】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、ステップE)において、島部の成長基板とは反対側の面上にキャリア基板を設ける。この場合、キャリア基板は、発光ダイオードディスプレイを機械的に安定化しかつ機械的に担持するコンポーネントであることが好ましい。キャリア基板は、例えばシリコン基板である。
【0025】
少なくとも一実施形態によれば、本方法は、成長基板を除去するステップを含む。特に、成長基板は、キャリア基板を設けた後に除去される。したがって、成長基板がトランジスタを含む場合、好ましいことに成長基板は完成した発光ダイオードディスプレイ上に残存する。
【0026】
少なくとも一実施形態によれば、島部を活性化するトランジスタは、キャリア基板に含まれる。トランジスタは、好ましくはキャリア基板が島部に固定される前にキャリア基板内に製造される。
【0027】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、緩衝層は、構造化しない二次元的な層として形成される。すなわち、緩衝層は、目的とする厚さの変化または材料の変化なしに一定の厚さで形成されることを意味する。
【0028】
少なくとも一実施形態によれば、電気絶縁材料または導電材料で形成されるマスク層を緩衝層に設ける。マスク層は複数の開口部を有し、また、マスク層は好ましくは、ステップD)より前に堆積させる。島部は、マスク層における開口部を起点として緩衝層上に成長する。マスク層の材料は、例えば酸化シリコンまたは窒化シリコンである。
【0029】
少なくとも一実施形態によれば、マスク層は、完成した発光ダイオードディスプレイ内に残存する。すなわち、マスク層は、後工程において、例えばエッチングによって除去されないということである。特に、マスク層は、ステップD)後に厚さまたは幾何学形状の点で変化しないかまたは大きくは変化しない。
【0030】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、島部は、マスク層から突き出るように成長する。この場合、島部の高さは、基板上面に対するマスク層の厚さよりも大きい。島部の高さは、マスク層の厚さよりも例えば少なくとも10倍または少なくとも100倍または少なくとも1000倍大きい。
【0031】
少なくとも一実施形態によれば、中間層を緩衝層と成長基板との間に配置する。中間層は、例えば窒化アルミニウムまたは窒化ハフニウム等の窒化金属から形成される。特に、緩衝層のガリウムが成長基板の材料、特にシリコンに接触することを中間層によって妨げることができる。
【0032】
少なくとも一実施形態によれば、緩衝層の構造化によって成長島部を形成する。緩衝層の構造化は、好ましくは緩衝層材料を除去することによって行われる。
【0033】
少なくとも一実施形態によれば、緩衝層の構造化は、マスク処理技術を用いて行なわれる。例えば緩衝層の材料は、マスクで被覆されない領域において部分的にまたは完全に除去される。この場合、緩衝層は連続的な層として残存することができ、その結果、例えば緩衝層の厚さは成長島部周辺で減少するが、0よりも大きい。
【0034】
少なくとも一実施形態によれば、成長島部用にマスク層を堆積させるよりも先に緩衝層の構造化を行う。例えば、成長島部の外側の構造化された緩衝層に酸化シリコン製の電気絶縁層を設ける。この電気絶縁層はこの場合、マスク層になることができ、例えば成長島部の側面を部分的にまたは完全に被覆する。
【0035】
少なくとも一実施形態によれば、特に遷移金属または希土類金属の酸化物または窒化物で形成される第1緩衝層を直接成長基板に設ける。例えば第1緩衝層は、窒化ハフニウムからなる。さらに、好ましくはステップC)よりも先に、第1緩衝層と異なる第2緩衝層を直接第1緩衝層に設ける。第2緩衝層は、GaNまたはAlGaNをベースとするかまたはGaNまたはAlGaNからなることが好ましい。島部および半導体積層体はこの場合、好ましくはAlInGaNをベースにする。
【0036】
成長基板が好ましくはトランジスタを含む少なくとも一実施形態によれば、ブラッグミラーが第1緩衝層の後に、特に直後に設けられる。ブラッグミラーは、エピタキシャル成長させることができる。ブラッグミラーは、例えば希土類酸化物、希土類窒化物、III−V族化合物、および/またはIII族窒化物化合物から形成される複数層の積層体である。
【0037】
少なくとも一実施形態によれば、ステップD)後に隣り合う島部間の領域を完全にまたは部分的に充填化合物で充填する。充填化合物は、島部に接してもよく、また、中間層によって島部と離隔してもよい。充填化合物は、好ましくは島部のネガとして形成され、島部上に密着して適合するように成形される。
【0038】
少なくとも一実施形態によれば、充填化合物は、隣り合う島部間における光の結合を調節するかまたは減少させるために構成される。このために、充填化合物を、例えば放射に対する不透明性、放射低減性、放射吸収性、放射透過性、または光拡散性を有するように形成することができる。また、充填化合物または充填化合物の部分領域に蛍光体、散乱粒子、または反射粒子等の光活性材料を埋め込むこともできる。
【0039】
少なくとも一実施形態によれば、充填化合物は、隣り合う島部間の領域を部分的にのみ充填する。特に、充填化合物はこの場合、島部の周囲に島部のように配置される。充填化合物は、一体としてまたは複数の個別領域によって形成されることができ、この場合、各個別領域は好ましくは正確に1つの島部と連結される。さらなる充填材は、例えば反射性を有するように具現化され、隣り合う充填化合物間の領域に導入され得る。
【0040】
少なくとも一実施形態によれば、ステップE)において、成長基板の島部とは反対側の面で成長基板内にトランジスタを形成する。このステップは、ステップD)の後に行うこともでき、少なくとも部分的にステップD)よりも先に行うこともできる。
【0041】
少なくとも一実施形態によれば、成長基板および/または基板上面の上面視において、島部とトランジスタとは重なっている。このように、トランジスタと島部との相互の、特に省スペースの配置が実現される。
【0042】
少なくとも一実施形態によれば、ステップE)において、緩衝層または島部を、特に成長基板の島部とは反対側の面から諸所で露出させる。島部および/または緩衝層へのスルーコンタクトを成長基板を通して形成することができる。好ましくは、緩衝層および/または島部の露出箇所に1種または複数種のメタライゼーションを設ける。
【0043】
少なくとも一実施形態によれば、緩衝層のキャリア基板とは反対側の面を構造化する。好ましくはステップE)後にこの構造化を行う。隣り合う島部間の光の減結合(optical decoupling)のために緩衝層を構造化可能である。例えば、構造化は、諸所で深く行なうか、または例えば島部全体に一致するように、特定の領域に行なうのみである。緩衝層の代替として、または緩衝層への付加として、島部のn型導電層を構造化することもできる。
【0044】
また、発光ダイオードディスプレイを特定する。発光ダイオードディスプレイは、特に1つまたは複数の上記実施形態と関連して記載される方法を用いて製造される。したがって、本方法の特徴もまた、本発光ダイオードディスプレイと対応して開示され、その逆も同様である。
【0045】
少なくとも一実施形態において、発光ダイオードディスプレイは、複数のトランジスタおよび複数の個別の放射活性島部を有するキャリアを含む。各島部は、1つ以上の活性領域を有する無機半導体積層体を有する。島部のキャリアの上面視における平均径は、50nm〜20μm(両端値を含む)である。島部は、トランジスタと電気的に相互接続される。
【0046】
少なくとも一実施形態によれば、島部の半導体積層体の平均高さおよび/または島部の平均高さは、緩衝層から、または島部に対向するキャリアの面から、少なくとも0.2μmまたは少なくとも2μmである。代替または追加として、この平均高さは、最大で25μmまたは最大で6μmである。
【0047】
本発光ダイオードディスプレイの少なくとも一実施形態によれば、正確に1つの各島部をトランジスタ一つずつと関連付ける。島部の数とトランジスタの数とは等しいか、またはほぼ等しい数とすることができる。
【0048】
少なくとも一実施形態によれば、発光ダイオードディスプレイの画素は、島部から形成される。例えば、一画素が正確に1つの島部によって形成される。代替として、複数の島部が一画素を形成することができる。この場合、複数の島部は、好ましくはさまざまなスペクトル域の光(例えば赤色光、緑色光、および青色光)を放射するように構成される。
【0049】
以下に、本明細書に記載の方法および本明細書に記載の発光ダイオードディスプレイを、例示的な実施形態に基づく図面を参照して詳細に説明する。本願の個々の図面において、同一の参照符号は同一の要素を表す。ただし、図面に縮尺は示されておらず、むしろよりよく理解できるように個々の要素は大きく誇張され得る。