【課題を解決するための手段】
【0020】
一般式(I):
{R
1及びR
2は、互いに独立して、それぞれ、(C
1−C
10)アルキル基、(C
2−C
6)シクロアルキル基、アリール基、アリール(C
1−C
10)アルキル基、又は複素環基を表し、
R
3及びR
4は、互いに独立して、それぞれ、水素原子、(C
1−C
10)アルキル基、アリール基、又はアリール(C
1−C
10)アルキル基を表し、そして
Yは、アジド、アルキン、シクロアルキン、及び共役ジエンを含む群から選択される、クリックケミストリーにより活性化されることができる反応性官能基を表す}
で表される特定の化合物は、前記のように公知であるが、多官能性カップリング反応性剤としては開示されていない(前に引用されているSOLA J参照)。
【0021】
本発明によれば、用語「(C
1−C
10)アルキル」は、炭素原子の1〜10個、有利には炭素原子の1〜5個を有する、直鎖状又は分枝状の飽和炭化水素含有基を表す。例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、テルチオブチル(tertiobutyle)、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル基が挙げられる。
【0022】
用語「アリール」は、炭素原子の6〜10個を含む、単環式又は二環式の芳香族炭化水素含有基を表す。例として、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
【0023】
用語「アリール(C
1−C
10)アルキル」は、先に定義したように炭素原子の1〜10個、有利には炭素原子の1〜5個を有しそして前記で定義したようなアリール基を含有するアルキル基を意味する。
【0024】
用語「複素環基」は、炭素原子の3〜7個を含み、酸素、窒素、又は硫黄によって構成される群から選択されるヘテロ原子の1〜3個を含有する、飽和又は不飽和の任意の複素環を表す。例として、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリジニル、イミダゾリル、フリル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、及びチアゾリル基が挙げられる。
【0025】
用語「アジド」は、アジ化水素酸HN
3の塩、及び窒素原子の1つが共有結合性有機化合物の炭素原子に結合している有機アジドを表す。例としてはメチルアジド及びフェニルアジドが挙げられる。
【0026】
用語「アルキン」は、炭素−炭素三重結合が存在することを特徴とする、不飽和を有する炭化水素を表す。例として、エチン、プロピン、but−1−yne、及びbut−2−yneが挙げられる。
【0027】
「シクロアルキン」により、三重結合の1つ又はそれ以上を含有する任意の炭素原子の環、例えばシクロオクチンが意味される。
【0028】
用語「共役ジエン」は、単結合の1つによって分離された二重結合の2つを有する炭化水素を表す。例として、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、及びフランを挙げることができる。
【0029】
本発明により使用される式(I)で表される化合物に共通する第1の化学的官能基は、アズラクトン(2−オキサゾリン−5−オン)タイプのものである。このグループは、第一級アミン官能基による開環により触媒を必要とせずに反応し、穏やかな条件下、具体的には水溶液中で、強固なアミド結合の形成を有し、したがって、生物学的媒体と適合することが知られている。前記システムと比較したこの化学的官能基の主な用途は、加水分解に対するその耐性から水媒体中で迅速かつ効率的な反応を引き起こすその固有の反応性に加えて、アミンとの反応により、おそらく毒性がありそして反応媒体から除去することが困難である反応副生成物の形成が導かれないという事実において、その存在を記載されている。第一級アミン官能基は、本発明の試薬のための用途の非常に広い分野を確保する、ほとんどの生物学的分子(具体的には、タンパク質、核酸)及び生物学的に関心のある分子において広く及んでいる。コストの面では、アズラクトン基との反応によって生成される副生成物の不在により、原子経済が導かれる。また、水媒体中における働きの可能性は、環境の観点から有利である。
【0030】
本発明により使用される式(I)で表される化合物中に存在する他の一般的な官能基は、付加環化反応に関与することができる群、具体的には、アジド、アルキン、シクロアルキン、及び共役ジエンに該当する。付加環化反応は、クリックケミストリーの最も広範な例、具体的には、前記のヒュスゲン反応、[4+2]付加環化(ディールス・アルダー反応(reaction de Diels-Alder))、及び複素環付加(l'heterocycloaddition)を構成する。これらの反応は、バイオ直交している、すなわち、生物学的媒体中に存在する種に適合する。実際には、それらは、一般的に存在しておらず生体分子内に存在する群により反応可能でもない官能基を利用する。
【0031】
本発明による化合物において存在する化学的官能基の2つは、それらの間でさらに直行している、すなわち、それらは異なる条件下でお互いに独立して反応する。したがって、これらの2つの群のうちの1つの反応を、他方を変形せずにトリガーすることが可能であり、したがって、これにより、連続する化学選択的反応が可能となる。
【0032】
本発明の主題は、一般式(I):
[R
1及びR
2は、互いに独立して、それぞれ、(C
1−C
10)アルキル基、(C
2−C
6)シクロアルキル基、アリール基、アリール(C
1−C
10)アルキル基、又は複素環基を表し、
R
3及びR
4は、互いに独立して、それぞれ、水素原子、(C
1−C
10)アルキル基、アリール基、又はアリール(C
1−C
10)アルキル基を表し、そして
Yは:
(i)N
3基、又は
(ii)(C
1−C
10)アルキル−N
3基、又は
(iii)アリール−N
3基、又は
(iv)アリール(C
1−C
10)アルキル−N
3基、又は
(v)(C
1−C
10)アルキル−C≡C−R
5基、又は
(vi)アリール−C≡C−R
5基、又は
(vii)アリール(C
1−C
10)アルキル−C≡C−R
5基、又は
(viii)−O−C(O)−(CH
2)
n−C≡CR
5{nは1〜10の間に含まれる整数であり、特に−O−C(O)−(CH
2)
n−C≡CH基では、nは1〜5の間に含まれる整数である}を表し、
R
5は、
(a)水素原子、
(b)又は、(C
1−C
10)アルキル基、
(c)又は、アリール基
(d)又は、アリール(C
1−C
10)アルキル基、
ここで、これらの全ての基は、共役二重結合の2つを、場合により環内に、含有することができるものとし、
(e)又は、三重結合の保護基
のいずれかを示すものとする]
で表される化合物である。
【0033】
前記定義(i)〜(viii)において、用語の(C
1−C
10)アルキル、アリール、及びアリール(C
1−C
10)アルキルは、以前に与えられた定義を意味する。
【0034】
共役二重結合の2つを、場合により環内に、含有することができる、(C
1−C
10)アルキル、アリール、又はアリール(C
1−C
10)アルキル基の例としては、具体的には、1,3−ブタジエニル、シクロペンタジエニル、ピロリル、及びフリルが挙げられる。
【0035】
言及した全てのグループは、[3+2]双極性環状付加若しくは環状付加、又は[4+2]複素環付加反応を生成する能力を共通して有している。
【0036】
三重結合の保護基は、当業者に周知である。例としては、トリアルキルシリル、具体的には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、及びベンジルジメチルシリルを挙げることができる。
【0037】
本発明の別の有利な実施態様によれば、式(I)で表される化合物は、R
1及びR
2が、それぞれ、(C
1−C
10)アルキル基を表し、R
3が水素原子を表し、R
4がメチル基を表し、そしてYが、N
3基又は−O−C(O)−(CH
2)
3−C≡CH基のいずれかを表す。
【0038】
有利には、R
1、R
2、及びR
4基が、それぞれ、メチル基を表し、R
3が水素原子を表し、そしてYがN
3基を表す。
【0039】
本発明の別の有利な実施態様によると、R
1、R
2、及びR
4が、それぞれ、メチル基を表し、R
3が水素原子を表し、そしてYが−O−C(O)−(CH
2)
3−C≡CH基を表す。
【0040】
本発明の別の主題は、生体分子と、生物学的に関心のある分子、天然の又は合成のポリマー、及び反応性表面を含む群から選択される標的分子とのカップリング方法であって、前記方法が、式(I){R
1及びR
2は、互いに独立して、それぞれ、(C
1−C
10)アルキル基、(C
2−C
6)シクロアルキル基、アリール基、アリール(C
1−C
10)アルキル基、又は複素環基を表し、
R
3及びR
4は、互いに独立して、それぞれ、水素原子、(C
1−C
10)アルキル基、アリール基、又はアリール(C
1−C
10)アルキル基を表し、そして
Yは、アジド、アルキン、シクロアルキン、及び共役ジエンを含む群から選択される、クリックケミストリーにより活性化されることができる反応性官能基を表す}で表される化合物を利用しており、そして、以下の工程:
前記式(I)で表される化合物を生体分子に接触させる工程の工程、
前記生体分子に結合した前記式(I)で表される化合物を標的分子に接触させる工程、そして、必要により、
カップリング生成物を単離する工程、
を含む。
【0041】
本発明の有利な実施態様においては、前記カップリング方法は式(I)[R
1及びR
2は、互いに独立して、それぞれ、(C
1−C
10)アルキル基、(C
2−C
6)シクロアルキル基、アリール基、アリール(C
1−C
10)アルキル基、又は複素環基を表し、
R
3及びR
4は、互いに独立して、それぞれ、水素原子、(C
1−C
10)アルキル基、アリール基、又はアリール(C
1−C
10)アルキル基を表し、そして
Yは:
(i)N
3基、又は
(ii)(C
1−C
10)アルキル−N
3基、又は
(iii)アリール−N
3基、又は
(iv)アリール(C
1−C
10)アルキル−N
3基、又は
(v)(C
1−C
10)アルキル−C≡C−R
5基、又は
(vi)アリール−C≡C−R
5基、又は
(vii)アリール(C
1−C
10)アルキル−C≡C−R
5基、又は
(viii)−O−C(O)−(CH
2)
n−C≡CR
5{nは1〜10の間に含まれる整数であり、特に−O−C(O)−(CH
2)
n−C≡CH基では、nは1〜5の間に含まれる整数である}を表し、
R
5は、
(a)水素原子、
(b)又は、(C
1−C
10)アルキル基、
(c)又は、アリール基
(d)又は、アリール(C
1−C
10)アルキル基、
ここで、これらの全ての基は、共役二重結合の2つを、場合により環内に、含有することができるものとし、
(e)又は、三重結合の保護基
のいずれかを示すものとする]
で表される化合物を利用する。
【0042】
「反応性表面」により、本発明の分子と反応することができるその表面上に化学的官能基を有する有機又は無機材料が意味される。例えば、表面上にアミン官能基を有する、ポリプロピレン又はポリエチレンの面(フィルム、布など)を挙げることができる。
【0043】
本発明による方法の有利な実施態様によると、前記カップリング方法に関与する生体分子は、タンパク質、ペプチド、DNA、生物学的マーカー、ホルモン、ビタミン、抗体、ポリアミン、単糖、オリゴ糖及び多糖類、並びに生物学的に関心のある医薬タイプの分子、例えば、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、標識例えば蛍光又は放射性標識を含む群から選択される。
【0044】
本発明の他の主題は、具体的には、式(I)[R
1及びR
2は、互いに独立して、それぞれ、(C
1−C
10)アルキル基、(C
2−C
6)シクロアルキル基、アリール基、アリール(C
1−C
10)アルキル基、又は複素環基を表し、
R
3及びR
4は、互いに独立して、それぞれ、水素原子、(C
1−C
10)アルキル基、アリール基、又はアリール(C
1−C
10)アルキル基を表し、そして
Yは:
(i)N
3基、又は
(ii)(C
1−C
10)アルキル−N
3基、又は
(iii)アリール−N
3基、又は
(iv)アリール(C
1−C
10)アルキル−N
3基、又は
(v)(C
1−C
10)アルキル−C≡C−R
5基、又は
(vi)アリール−C≡C−R
5基、又は
(vii)アリール(C
1−C
10)アルキル−C≡C−R
5基、又は
(viii)−O−C(O)−(CH
2)
n−C≡CR
5{nは1〜10の間に含まれる整数であり、特に−O−C(O)−(CH
2)
n−C≡CH基では、nは1〜5の間に含まれる整数である}を表し、
R
5は、
(a)水素原子、
(b)又は、(C
1−C
10)アルキル基、
(c)又は、アリール基
(d)又は、アリール(C
1−C
10)アルキル基、
ここで、これらの全ての基は、共役二重結合の2つを、場合により環内に、含有することができるものとし、
(e)又は、三重結合の保護基
のいずれかを示すものとする]
で表される化合物の少なくとも1つを利用する診断試薬である。
【0045】
本発明の主題はまた、式(I){R
1及びR
2は、互いに独立して、それぞれ、(C
1−C
10)アルキル基、(C
2−C
6)シクロアルキル基、アリール基、アリール(C
1−C
10)アルキル基、又は複素環基を表し、
R
3及びR
4は、互いに独立して、それぞれ、水素原子、(C
1−C
10)アルキル基、アリール基、又はアリール(C
1−C
10)アルキル基を表し、そして
Yは、アジド、アルキン、シクロアルキン、及び共役ジエンを含む群から選択される、クリックケミストリーにより活性化されることができる反応性官能基を表す}で表される化合物の診断試薬としての使用、及び式(I)で表される前記化合物のセットを利用する診断方法である。
【0046】
実際には、前記カップリング剤は、生物学的に関心のある分子例えば抗原を開発分子(molecule dite de revelation)と呼ばれる分子例えば酵素に結合させるものであることから、前記カップリング剤は、診断試薬分野、具体的にはリガンド−抗リガンドタイプの例えば抗原−抗体の又はタンパク質−タンパク質の反応の検出の分野における使用のものである。関心のある生体分子の別の分子例えば抗体への結合は、前記開発分子により実証される。また、それは、機能的イメージングによる検出用の生物学的に関心のある分子に蛍光プローブを結合するために有用である可能性がある。
【0047】
本発明の他の主題は、具体的には、式(I)[R
1及びR
2は、互いに独立して、それぞれ、(C
1−C
10)アルキル基、(C
2−C
6)シクロアルキル基、アリール基、アリール(C
1−C
10)アルキル基、又は複素環基を表し、
R
3及びR
4は、互いに独立して、それぞれ、水素原子、(C
1−C
10)アルキル基、アリール基、又はアリール(C
1−C
10)アルキル基を表し、そして
Yは:
(i)N
3基、又は
(ii)(C
1−C
10)アルキル−N
3基、又は
(iii)アリール−N
3基、又は
(iv)アリール(C
1−C
10)アルキル−N
3基、又は
(v)(C
1−C
10)アルキル−C≡C−R
5基、又は
(vi)アリール−C≡C−R
5基、又は
(vii)アリール(C
1−C
10)アルキル−C≡C−R
5基、又は
(viii)−O−C(O)−(CH
2)
n−C≡CR
5{nは1〜10の間に含まれる整数であり、特に−O−C(O)−(CH
2)
n−C≡CH基では、nは1〜5の間に含まれる整数である}を表し、
R
5は、
(a)水素原子、
(b)又は、(C
1−C
10)アルキル基、
(c)又は、アリール基
(d)又は、アリール(C
1−C
10)アルキル基、
ここで、これらの全ての基は、共役二重結合の2つを、場合により環内に、含有することができるものとし、
(e)又は、三重結合の保護基
のいずれかを示すものとする]で表される化合物の少なくとも1つを含む、カップリング及びバイオコンジュゲーションの実施用のキットである。
【0048】
本発明の別の主題は、媒体中に潜在的に存在する関心のある分子の少なくとも1つの分離、検出、及び/又は特徴付け方法であって、前記方法は、本発明によるキット又は式(I){R
1及びR
2は、互いに独立して、それぞれ、(C
1−C
10)アルキル基、(C
2−C
6)シクロアルキル基、アリール基、アリール(C
1−C
10)アルキル基、又は複素環基を表し、
R
3及びR
4は、互いに独立して、それぞれ、水素原子、(C
1−C
10)アルキル基、アリール基、又はアリール(C
1−C
10)アルキル基を表し、そして
Yは、アジド、アルキン、シクロアルキン、及び共役ジエンを含む群から選択される、クリックケミストリーにより活性化されることができる反応性官能基を表す}で表される化合物を利用する工程の少なくとも1つを含む。
【0049】
本発明の別の主題は、水媒体又は有機媒体と組み合わせた式(I)[R
1及びR
2は、互いに独立して、それぞれ、(C
1−C
10)アルキル基、(C
2−C
6)シクロアルキル基、アリール基、アリール(C
1−C
10)アルキル基、又は複素環基を表し、
R
3及びR
4は、互いに独立して、それぞれ、水素原子、(C
1−C
10)アルキル基、アリール基、又はアリール(C
1−C
10)アルキル基を表し、そして
Yは:
(i)N
3基、又は
(ii)(C
1−C
10)アルキル−N
3基、又は
(iii)アリール−N
3基、又は
(iv)アリール(C
1−C
10)アルキル−N
3基、又は
(v)(C
1−C
10)アルキル−C≡C−R
5基、又は
(vi)アリール−C≡C−R
5基、又は
(vii)アリール(C
1−C
10)アルキル−C≡C−R
5基、又は
(viii)−O−C(O)−(CH
2)
n−C≡CR
5{nは1〜10の間に含まれる整数であり、特に−O−C(O)−(CH
2)
n−C≡CH基では、nは1〜5の間に含まれる整数である}を表し、
R
5は、
(a)水素原子、
(b)又は、(C
1−C
10)アルキル基、
(c)又は、アリール基
(d)又は、アリール(C
1−C
10)アルキル基、
ここで、これらの全ての基は、共役二重結合の2つを、場合により環内に、含有することができるものとし、
(e)又は、三重結合の保護基
のいずれかを示すものとする]で表される化合物を含む組成物である。
【0050】
有機媒体としては、例えば、細胞培養物に適合するジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
【0051】
本発明は以下の実施例1〜6及び
図1に示されている。
【0052】
実施例1、2及び4、5は、本発明による化合物の合成を示し、そして実施例3及び6は、本発明の化合物と生体分子:リゾチーム(lysozyme)とを結合するための方法を示す。