(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各隔壁部分は、前記薬剤搬送部の回転方向で後ろ寄りの部分の上面が相対的に高い位置にあり、前記薬剤搬送部の回転方向で前寄りの部分の上面が相対的に低い位置にある請求項1に記載の薬剤供給体。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤供給ユニットの、錠剤カセットと支持台部とを示す平面側斜視図である。
【
図2】同薬剤供給ユニットの、錠剤カセットと支持台部とを示す底面側斜視図である。
【
図3】同薬剤供給ユニットの、錠剤カセットと支持台部とを示す、平面側の縦断面斜視図である。
【
図4】同薬剤供給ユニットの、錠剤カセットと支持台部との積層状態を示す斜視図である。
【
図5A】同薬剤供給ユニットのロータを示す平面側斜視図である。
【
図5B】同薬剤供給ユニットのロータを示す底面側斜視図である。
【
図6】同薬剤供給ユニットの、レバーと被駆動軸部との関係を示す、側面視の説明図である。
【
図7】同薬剤供給ユニットにおける、錠剤カセットの要部拡大底面側斜視図である。
【
図8】同薬剤供給ユニットにおける、錠剤カセットの要部拡大底面図である。
【
図9A】同薬剤供給ユニットの薬剤一時収容部を錠剤が乗り越える様子を順次示した、側面視の概略図である。
【
図9B】同薬剤供給ユニットの薬剤一時収容部を錠剤が乗り越える様子を順次示した、側面視の概略図である。
【
図9C】同薬剤供給ユニットの薬剤一時収容部を錠剤が乗り越える様子を順次示した、側面視の概略図である。
【
図9D】同薬剤供給ユニットの薬剤一時収容部を錠剤が乗り越える様子を順次示した、側面視の概略図である。
【
図9E】同薬剤供給ユニットの薬剤一時収容部を錠剤が乗り越える様子を順次示した、側面視の概略図である。
【
図9F】同薬剤供給ユニットの薬剤一時収容部を錠剤が乗り越える様子を順次示した、側面視の概略図である。
【
図9G】同薬剤供給ユニットの薬剤一時収容部を錠剤が乗り越える様子を順次示した、側面視の概略図である。
【
図10A】本発明の一実施形態に係る薬剤供給ユニットの、アーム、被駆動係合ブロック、駆動係合ブロックの位置関係を示す概略図である。
【
図10B】同薬剤供給ユニットの、アーム、被駆動係合ブロック、駆動係合ブロックの位置関係を示す概略図である。
【
図10C】同薬剤供給ユニットの、アーム、被駆動係合ブロック、駆動係合ブロックの位置関係を示す概略図である。
【
図10D】同薬剤供給ユニットの、アーム、被駆動係合ブロック、駆動係合ブロックの位置関係を示す概略図である。
【
図10E】同薬剤供給ユニットにおける、アームと突出壁との位置関係を示す概略図である。
【
図10F】同薬剤供給ユニットにおける、アームと突出壁との位置関係を示す概略図である。
【
図11A】従来の薬剤一時収容部に生じる不都合点を示す、側面視の概略図である。
【
図11B】従来の薬剤一時収容部に生じる不都合点を示す、側面視の概略図である。
【
図11C】従来の薬剤一時収容部に生じる不都合点を示す、側面視の概略図である。
【
図11D】従来の薬剤一時収容部に生じる不都合点を示す、側面視の概略図である。
【
図11E】従来の薬剤一時収容部に生じる不都合点を示す、側面視の概略図である。
【
図11F】従来の薬剤一時収容部に生じる不都合点を示す、側面視の概略図である。
【
図11G】従来の薬剤一時収容部に生じる不都合点を示す、側面視の概略図である。
【
図11H】従来の薬剤一時収容部に生じる不都合点を示す、側面視の概略図である。
【
図11I】従来の薬剤一時収容部に生じる不都合点を示す、側面視の概略図である。
【0017】
次に、本発明につき、薬剤供給ユニットの一実施形態を取り上げて説明を行う。以下の方向の説明では、錠剤カセット1について、薬剤供給ユニットをユーザー等が見た場合における、ユーザー等に近い側を「正面側」、同遠い側を「背面側」とする。また、この場合のユーザー等が見る方向を「前後方向」、ユーザー等から見た左右方向を「左右方向」とする。また、ロータ16について、回転方向Rを流れになぞらえて、回転方向Rの回転元側(回転方向での後ろ側)を「上流側」、回転先側(回転方向での前側)を「下流側」と表現している。
【0018】
この薬剤供給ユニットは、
図1〜
図3に示すように、長細形状である錠剤Mを供給する薬剤供給体としての錠剤カセット1と、薬剤供給ユニットの本体の一部を構成する、支持体としての支持台部2とを備える。
【0019】
この薬剤供給ユニットは、例えば
図4に示すように、上下方向に支持台部2…2が複数配置され、各支持台部2の上方に錠剤カセット1が配置される(
図4では下方の錠剤カセット1のみ示している)。よって、複数の薬剤供給ユニットが上下方向に並べて配置される。薬剤供給ユニットは、
図4に示すような要領で、正面または背面から見て上下左右に複数の錠剤カセット1…1を積層できる棚状に形成されている。本実施形態の薬剤供給ユニットは、左右方向について直線状に延びるような棚状に形成される。しかし、これに限定されず、例えば左右方向に一定曲率で湾曲するように延びることで、円筒状や半円筒状の棚状に形成されることもできる。
【0020】
錠剤カセット1は、合成樹脂等により形成された箱状の薬剤収容部1aを備える。また錠剤カセット1は、
図3に示すように、薬剤収容部1aに対して回転可能に設けられる被駆動軸部17を有し、被駆動軸部17が回転駆動されることで薬剤収容部1aから薬剤を供給できる。このため、この薬剤収容部1aに複数の錠剤Mを収容して適宜取り出すことができる。本実施形態の薬剤収容部1aに収容される錠剤Mは、長細形状のカプセル剤(
図9参照)である。しかし、薬剤収容部1aに収容される対象物は、種々の形状(長細形状に限定されない)である固形の薬剤であってよい。この薬剤収容部1aを備えた錠剤カセット1は、薬剤供給ユニットの本体に固定された支持台部2に対して前後にスライドすることで着脱可能である。より詳しくは、支持台部2が有する駆動軸部23の軸方向に対して交差する関係にある上面であるスライド表面21に対してスライドすることで着脱可能である。
【0021】
なお、前記錠剤Mに関する「長細形状」とは、一方向の断面寸法(短径寸法)に比べて、前記一方向と交わる他方向の断面寸法(長径寸法)が大きい形状を指す。カプセル剤の形状(断面形状が長円形)が代表的な形状である。ただ、薬剤収容部1aに収容される錠剤Mはカプセル剤だけに限定されるものではなく、カプセルを用いない長細い錠剤も含む。また、後述する「乗り越え」の作用を奏することを要しない場合にあっては、薬剤収容部1aに円形錠剤を収容することも可能である。
【0022】
薬剤収容部1aは、
図1、
図2に示すように、底部11と、底部11から上方に立ち上げられた側壁部12とを有する。側壁部12の上方には蓋部13が開閉可能に取り付けられている。本実施形態の蓋部13は背面側に位置するヒンジ131により、側壁部12等に対して回動可能に支持されている。また、底部11における側面にはメンテナンス穴114が形成されている。このメンテナンス穴114を通してドライバー等の工具を挿入できる。
【0023】
また、側壁部12の一部として、ロータ16の外径よりもやや大径の内周面を有する筒状部121が形成されている。
図3に示すように、薬剤収容部1aの内部、具体的には筒状部121の内部に薬剤搬送部としてのロータ16が位置する。
【0024】
底部11のうち、前記筒状部121に囲まれた部分(より詳しくは前記筒状部121の内周面に隣接する部分)に、薬剤収容部1aから錠剤Mを排出する薬剤排出口111が形成されている。本実施形態では、底部11の上面にステンレス鋼板等からなる円板状体14が配置されている。この円板状体14の外周部1箇所に、ロータ16から落下した錠剤Mが通過する切欠部141が形成されている。この切欠部141は、ロータ16の薬剤一時収容部164における周方向寸法よりもやや大きく形成されている。この円板状体14は、薬剤排出口111のうち錠剤Mの落下に関して不必要な領域を塞ぐことができる部材である。錠剤Mによっては、薬剤排出口111から落下するときに、不所望な動きをするものがある。前記円板状体14を用いることにより、錠剤Mが落下する領域を絞り、これによって錠剤Mの不所望な動きを抑えることができる。なお、切欠部141の端縁については、ステンレス鋼板等が切断された状態のままであると、切断面が鋭利であり、また、バリが残る場合もある。このため、切欠部141を通過する錠剤Mが損傷される可能性がある。このため、切欠部141の端縁については、前記のように切断された状態のままとはせずに、例えばこの端縁を下方に折り曲げた形状とすることが望ましい。
【0025】
底部11は、
図3に示すように、ロータ16の径方向中心付近で上方に屈曲されることで、下側が開口した底凹部112が形成されている。この底凹部112には、被駆動軸部17における被駆動係合ブロック(被駆動係合部材)172と付勢ばね173とが位置する。また、
図7及び
図8に示すように、この底凹部112の内周面からは引掛突起113が突出している。複数(本実施形態では10個)の引掛突起113…113は、周方向に均等に位置している。2つの引掛突起113,113間に位置する凹部(本実施形態では10箇所)には、被駆動係合ブロック172に形成された板状部1723(後述)のうち、径外方向に突出して形成された突出部分1724が位置する。
図8に示すように、ロータ16の回転に伴い、当該突出部分1724と引掛突起113とが当接する。後述のように、未係合状態における回転阻止部において、突出部分1724は可動側係止部として機能し、引掛突起113は固定側係止部として機能する。このため、支持台部2上に錠剤カセット1を配置した際、被駆動係合ブロック172が、支持台部2の駆動軸部23における駆動係合ブロック232に対して当接しているものの係合がなされておらず、回転駆動に係る駆動力の伝達ができない状態(当接状態)にある場合、振動等の影響で、支持台部2から前記駆動力が伝達されなくても被駆動軸部17が回転してしまい、ロータ16が回転して薬剤が排出されてはいけないときに錠剤カセット1から錠剤Mが排出されてしまうことを抑制できる。
【0026】
前記複数の凹部(本実施形態では10箇所)の周方向における形成間隔に対応する、被駆動軸部17の軸心を基準とした角度は、ロータ16における薬剤一時収容部164…164(本実施形態では7箇所)の周方向における形成間隔に対応する、前記被駆動軸部17の軸心を基準とした角度よりも小さい。このため、隣り合う2個の引掛突起113,113間の範囲で被駆動軸部17が回転しても、ロータ16の薬剤一時収容部164と薬剤排出口111とは一致することがない。このため、前記振動等の影響による錠剤Mの排出を有効に抑制できる。
【0027】
また、
図3に示すように、薬剤収容部1aの筒状部121の背面側位置において、薬剤排出口111の上方位置、かつ、ロータ16における薬剤一時収容部164の形成された位置よりも上方には仕切体15が位置している。本実施形態では、ロータ16のブロック部162における斜面部1624の上端位置から間隔を空けて仕切体15が位置する(
図9B等参照)。なお、ロータ16の回転に伴い斜面部1624が擦るように仕切体15を位置させることもできる。この仕切体15は、薬剤排出口111の上方に重なった位置に来たロータ16の薬剤一時収容部164の有する薬剤収容空間164aに2錠以上の錠剤Mが入り込むことで、2錠以上の錠剤Mが同時に薬剤排出口111に落下することを防止する。換言すれば、仕切体15は薬剤進入防止部として機能し、ロータ16における複数の薬剤収容空間164a…164aのうち、薬剤排出口111に一致する薬剤収容空間164aの上方を覆い、当該薬剤収容空間164aに錠剤Mが進入することを防止する。
【0028】
この仕切体15は、基部151と可撓部152とを備える。基部151は、筒状部121に取り付けられる部分である。基部151の内側面は筒状部121の内側面と略同一の曲率で湾曲して形成されている。可撓部152は、錠剤Mが接触する部分であって、基部151から正面方向に延びるように形成され、平行に配置された複数の軟質合成樹脂からなるブラシから構成されている。このため、可撓部152は可撓性を有する。この可撓性は、ロータ16の回転に伴い移動する薬剤収容部1a内の錠剤Mに対しては、錠剤Mを摩耗や欠け等を発生させることなく、かつ、ロータ16の薬剤一時収容部164に錠剤Mを1錠だけ位置させることができるように上下を仕切ることのできる程度のものであればよい。よって、可撓部152の形態は、本実施形態のようなブラシに限定されず、例えば軟質剛性樹脂製の板状体であってもよく、適宜変更し得る。
【0029】
ロータ16は、底部11に交差する軸線周り(本実施形態では上下方向に延びる縦軸周り)に回転可能なように筒状部121に位置している。ロータ16は、錠剤Mの供給を行う場合には、
図5Aに示すように、平面視で時計回りである回転方向Rに回転する。なお、回転方向Rと逆の回転をさせることも可能である。このロータ16は、径内に位置する本体部161と、本体部161から径外方向に突出する複数(本実施形態では7個)のブロック部162…162とを備える。本体部161は、径内位置が上方に盛り上がった形状とされている。本体部161の上面は径外位置へ向かって下降する斜面となっている。この形状により、錠剤Mが斜面を滑り落ちるため、薬剤収容部1aに収容された錠剤Mを円滑に下方に導くことができる。本体部161の上部には、径方向に延びる4個の凹溝部163…163が形成されている。各凹溝部163は、ロータ16の回転に伴い薬剤収容部1a内の錠剤Mを動かすことで、薬剤収容部1a内における錠剤Mの配置の偏りを直すためのものである。
【0030】
複数のブロック部162…162は、周方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態では、複数のブロック部162…162が均等な間隔(角度)で配置されている。隣り合う二つのブロック部162,162間にて、上下方向に延びる薬剤収容空間164aを有する部分が薬剤一時収容部164である。つまり、薬剤一時収容部164は、本体部161と二つのブロック部162,162(より詳しくは二つのブロック部162,162が有する側壁部1621,1621)とにより規定される部分である。換言すれば、周方向に隣り合う薬剤収容空間164a,164aの間には、当該隣り合う薬剤収容空間164a,164aを区画する隔壁部分がそれぞれ配置される。これらの隔壁部分が複数のブロック部162…162にそれぞれ相当する。本実施形態では、薬剤一時収容部164は、ロータ16の周方向に沿って均等に7箇所形成されている。各薬剤一時収容部164の周方向寸法は、錠剤Mの長径寸法よりも小さい。複数の薬剤一時収容部164…164の薬剤収容空間164a…164aには、長細形状の錠剤Mを起立させた状態で1つずつ収容することができる。また、
図5Bに示すように底面165は平面である。このようなロータ16が回転駆動されることで、各薬剤収容空間164aに収容される錠剤Mを薬剤排出口111に搬送することができる。
【0031】
各ブロック部162には、回転方向Rでの上流側と下流側において上下方向に延びる側壁部1621、回転方向Rでの下流側における上隅に位置するアール部1622、アール部1622の回転方向Rでの上流側に隣接する平面部1623、平面部1623の回転方向Rでの上流側に隣接し、回転方向Rで上流側(つまり、回転方向Rとは逆方向)に向かうにつれ上昇する斜面である斜面部1624が形成されている。斜面部1624は、各ブロック部162における回転方向Rでの上流側端縁部を基準とすると、当該上流側端縁部の上端から回転方向Rで下流側に向かうにつれ下降する斜面である。この斜面部1624の形成により、各ブロック部162は、回転方向Rでの上流側端縁部の上端が相対的に高い位置に、下流側端縁部の上端が相対的に低い位置にある形状となっている。そして各ブロック部162は、回転方向Rでの上流寄りの部分の上面が相対的に高い位置にあり、回転方向Rでの下流寄りの部分の上面が相対的に低い位置にある。
【0032】
斜面部1624の傾斜は、
図9E、
図9Fに示すように、錠剤Mを回転方向Rの上流側に向かって上向きにさせることができればよい。よって、斜面部1624の傾斜角度は特に限定されない。また、斜面部1624は、本実施形態では平面であるが、湾曲面であってもよい。例えば錠剤Mの長径寸法に対して小さな寸法の階段状に形成されていてもよい。また、平面部1623を形成せず、各ブロック部162の上面全体に斜面部1624が形成されていてもよい。
【0033】
アール部1622は、ロータ16の上方に位置する錠剤Mを薬剤一時収容部164の有する薬剤収容空間164aに導くために形成されている。このアール部1622に錠剤Mを沿わせることで、薬剤一時収容部164に入るべき錠剤Mを、当該薬剤一時収容部164へとスムーズに導くことができる。本実施形態のアール部1622は一定曲率の湾曲面として形成されている。しかしこれに限定されず、回転方向Rでの下流側における上隅には、変化した曲率の湾曲面、傾斜平面(面取り部)が形成されることもできる。
【0034】
また、斜面部1624は、
図9C〜
図9Gに示すように、仕切体15の可撓部152とブロック部162との間に錠剤Mが挟まった場合に、当該挟まった錠剤Mが薬剤一時収容部164に落下しないように、薬剤一時収容部164上を乗り越えさせることができるよう作用する。
【0035】
前記「乗り越え」の作用について、
図9A〜
図9Gを示しつつ説明する。
図9各図においてロータ16は図示右方から左方へと移動(回転)している。まず、
図9Aに示すように、薬剤一時収容部164に錠剤Mの一部が入り込んだ状態となることがある。そして、前記状態の錠剤Mが仕切体15の可撓部152に当たると(
図9B)、ロータ16と共に図示左方に移動する錠剤Mが可撓部152の下方に潜り込み、ロータ16の平面部1623と可撓部152とに挟まれる(
図9C)。ロータ16の回転に伴い、前記挟まれた状態の錠剤Mは、可撓部152に上方から押圧されることにより、平面部1623上を摺動する(
図9D)。平面部1623を基準とすると前記摺動の方向は図示右方となる。前記摺動する錠剤Mは、斜面部1624に乗り上げることによって、図示右上がりの状態となる(
図9E、
図9F)。この状態でロータ16が更に回転すると、隣り合う2個のブロック部162,162に錠剤Mがまたがった状態となる(
図9G)。こうなると、錠剤Mは、またがった下に位置する薬剤一時収容部164には落下することなく、薬剤一時収容部164を乗り越えるように移動する。
【0036】
以上、仕切体15とロータ16との間に錠剤Mが挟まっても、当該挟まった錠剤Mを斜面部1624に沿うようにして、斜め上方を向いた状態で薬剤一時収容部164に臨ませることができる。このため、前記挟まった錠剤Mが薬剤一時収容部164の上を乗り越えるようにできる。よって、
図11Hに示すように薬剤排出口94に錠剤Mが挟まれてしまうことや、
図11I中の右側部分に示すように、2錠の錠剤M,M’が同時に落下してしまうような不都合の発生を抑制できる。以上により、本実施形態のロータ16を用いた薬剤供給ユニットでは、錠剤Mの供給を従来に比べて安定して行うことができる。
【0037】
ロータ16は、径方向中心にて下方に延びる被駆動軸部17に連結されている。被駆動軸部17が回転駆動されることで、ロータ16が回転駆動され、薬剤収容部1aから錠剤Mを供給することができる。
図3に示すように、被駆動軸部17は、被駆動軸部本体171、被駆動係合部材としての被駆動係合ブロック172、付勢ばね173を備える。薬剤収容部1aにおける底凹部112に囲まれるようにして、被駆動係合ブロック172と付勢ばね173とが位置している。
【0038】
図8に示すように、被駆動軸部本体171の下部は横断面形状が十字形とされている。一方、被駆動係合ブロック172には、横断面形状が十字形の上下貫通穴1721が形成されている。この上下貫通穴1721に前記被駆動軸部本体171の下部が位置することにより、被駆動係合ブロック172が被駆動軸部本体171とともに回転可能であって、かつ、軸方向、本実施形態では上下方向に移動可能である。これにより、被駆動係合ブロック172は薬剤収容部1aから出退するように移動可能である。また、付勢ばね173は、被駆動係合ブロック172を、駆動係合ブロック232に接近する接近方向、本実施形態では下方に付勢している。このため、被駆動係合ブロック172は、錠剤カセット1が支持台部2から離脱した状態では、薬剤収容部1aから突出している。
【0039】
被駆動係合ブロック172は、下端面の径内領域172aに、
図7及び
図8に示すように、前記上下貫通穴1721とともに、被駆動側係合部1722を備える。つまり、被駆動係合ブロック172は被駆動側係合部1722を含む部分である。この被駆動側係合部1722は、前記径内領域172aの外周縁に、所定深さ形成された凹部であり、周方向に均等に4箇所形成されている。この被駆動側係合部1722は、支持台部2の駆動軸部23における凸部である駆動側係合部2321に対して係合(嵌合)する。係合時、被駆動側係合部1722の軸心と駆動側係合部2321の軸心とは一直線上にある。この係合により、支持台部2から錠剤カセット1に回転駆動に係る駆動力が伝達される。
【0040】
なお従来、支持台から錠剤カセットへの回転駆動に係る駆動力の伝達方式の一例として、平歯車を側方から噛み合わせる方式が存在していた(例えば、日本国特開平9−323702号公報参照)。しかし、この方式では、確実な噛み合いをさせるために、支持台側の平歯車と錠剤カセット側の平歯車との間での距離を正確に設計する必要があった。これに対し、本実施形態では、上下方向で被駆動側係合部1722と駆動側係合部2321とを係合させるよう構成されているため、上下方向に関して多少の位置ずれであれば許容できる。また本実施形態では、駆動側係合部2321が被駆動側係合部1722に緩く嵌合するようになっている。したがって前後方向に関しても、多少の位置ずれであれば許容できる。このため、設計精度を緩和できるメリットがある。
【0041】
一方、被駆動係合ブロック172における下端面の径外領域172bには、
図7及び
図8に示すように、複数の板状部1723…1723が周方向に均等に形成されている。各板状部1723は、径方向に延びるように形成されている。この板状部1723は、支持台部2から錠剤カセット1が取り外されて離脱状態となった場合、アーム19(後述)の爪部195に係合することにより、ロータ16の回転が阻止される。後述のように、離脱状態における回転阻止部において、板状部1723は可動側係止部として機能し、爪部195は固定側係止部として機能する。この回転阻止のための構成として、本実施形態では板状部1723を形成したが、これに限定されず、アーム19の爪部195に係合できる凹凸部等、種々の形態で構成できる。
【0042】
そして、本実施形態では、前記板状部1723…1723のうち2個が、前記径外領域172bの外縁よりも更に径外方向に突出することで、突出部分1724が形成されている。ここで、被駆動係合ブロック172が、支持台部2の駆動軸部23における駆動係合ブロック232に対して当接しているものの係合がなされておらず、回転駆動に係る駆動力の伝達ができない状態(当接状態、
図10C参照)となっているものとする。この当接状態において、外力等を受けてロータ16が回転しようとする場合、
図8に示すように、この突出部分1724が前記引掛突起113に当接することで、ロータ16がそれ以上回転し、錠剤Mが排出されてはいけないときに錠剤カセット1の薬剤収容部1aから錠剤Mが排出されてしまうことを抑制できる。
【0043】
このように突出部分1724と引掛突起113とによって、未係合状態における回転阻止部が構成される。この未係合状態における回転阻止部は、錠剤カセット1が支持台部2に対して装着される装着状態において、被駆動係合ブロック172と駆動係合ブロック232とが係合する係合状態のときは、被駆動係合ブロック172の回転を許容する。一方、被駆動係合ブロック172と駆動係合ブロック232とが係合せずに当接する当接状態のときは、被駆動係合ブロック172の回転を阻止する。突出部分1724は、被駆動係合ブロック172(より詳しくは被駆動係合ブロック172の外周部)に設けられる可動側係止部である。引掛突起113は、薬剤収容部1aの底部11(より詳しくは底凹部112の内周部)に設けられ、前記係合状態のときは、突出部分1724から離間し、前記当接状態のときは、突出部分1724を係止するように配置される固定側係止部である。
【0044】
本実施形態では、突出部分1724が2箇所に形成されているが、1箇所にだけ形成されていてもよい。ただし、突出部分1724が2箇所に形成されている方が、前記ロータ16が回転しようとする場合に、回転方向が時計回り回転、反時計回り回転のいずれであっても、2箇所の突出部分1724,1724のうち、隣接する引掛突起113との距離が短い方の突出部分1724が先に当該引掛突起113に当接する。このため、突出部分1724が2箇所に形成されていると、許容されるロータ16の回転角度を、より小さい角度とできるというメリットがある。
【0045】
薬剤収容部1aの正面側には、
図1〜
図3に示すように、ユーザー等の作業者が錠剤カセット1を支持台部2に対して着脱する際に把持する部分である把持部18が形成されている。この把持部18の背面側には、錠剤カセット1を支持台部2から離脱させる際に、スライド不能とされた状態(ロック状態)を解除するために操作される操作体であるアーム19(後述)の操作部197が位置している。
【0046】
アーム19は、
図6に示す形状であり、横方向部191と縦方向部192とが一体に形成されている。なお、
図6は、アーム19が被駆動係合ブロック172を上方に押し上げた状態につき、アーム19、被駆動軸部本体171、被駆動係合ブロック172を抜き出して示した側面図である。横方向部191と縦方向部192との間に位置するヒンジ部193により、アーム19は薬剤収容部1aの底部11に対して回動可能に支持されている。これによりアーム19は、前記底部11に平行な回動軸(ヒンジ部193の軸心)を中心に、
図6に矢印で示したように所定範囲内を回動する。
【0047】
横方向部191は、中途位置にばね取付け部1911を備える。このばね取付け部1911と薬剤収容部1aの底部11との間には、
図3に示すようにアーム付勢ばね1921が取り付けられる。このばね1921により横方向部191は、ヒンジ部193を中心として反時計方向(本実施形態では下方)に付勢される。このばね1921による横方向部191の付勢方向は、被駆動係合ブロック172が駆動係合ブロック232に接近する接近方向と同じ方向である。
【0048】
横方向部191の背面側先端は、被駆動係合ブロック172を、前記接近方向とは反対の離反方向に押圧可能な押圧部19aであり、
図2及び
図7に示すように、左右二股に分かれている。ばね1921により、この押圧部19aもまた前記接近方向に付勢される。前記二股に分かれた部分の各々に、スライド制限部194、爪部195、押上面196が形成されている。なお、前記二股に分かれた部分の間における空間には、支持台部2に錠剤カセット1が取り付けられた状態では支持台部2の駆動軸部23が通る。
【0049】
スライド制限部194は、横方向部191から左右外方へと延びる突起である。このスライド制限部194は、スライド当接面1941と引掛面1942を備える。スライド当接面1941は、スライド制限部194の背面側、斜め下を向く斜面として形成されている。引掛面1942は、正面側を向いた平面として形成されている。これら面の機能については後述する。
【0050】
爪部195は、
図6に示すように、被駆動係合ブロック172の板状部1723に当接することで、被駆動軸部17の回転を阻止することができる。このように、爪部195は、例えば錠剤カセット1を支持台部2から取り外した際に、外力等によって、支持台部2から回転駆動に係る駆動力が伝達されないにもかかわらず、ロータ16が回転することを抑制する。よって、錠剤Mが排出されてはいけないときに錠剤カセット1の薬剤収容部1aから錠剤Mが排出されてしまうことを抑制できる。
【0051】
このように板状部1723と爪部195とによって、離脱状態における回転阻止部が構成される。この離脱状態における回転阻止部は、錠剤カセット1が支持台部2に対して装着される装着状態のときは、被駆動係合ブロック172の回転を許容する。一方、錠剤カセット1が支持台部2に対して離脱される離脱状態のときは、被駆動係合ブロック172の回転を阻止する。板状部1723は、被駆動係合ブロック172(より詳しくは、被駆動係合ブロック172の端面(具体的には端面における外周部))に設けられる可動側係止部である。爪部195は、薬剤収容部1aの底部11に設けられる。爪部195は、前記装着状態のときは、板状部1723から離間し、前記離脱状態のときは、板状部1723を係止するように配置される固定側係止部である。
【0052】
本実施形態では、爪部195はアーム19の一部である。よって、被駆動軸部17の回転を阻止するためのストッパーを別に設ける必要がなく、錠剤カセット1を構成する部品点数の削減をはかることができる。
【0053】
押上面196は、錠剤カセット1のスライドの際、被駆動軸部17と支持台部2の駆動軸部23とが互いに干渉しないように軸方向に移動させる退避機構の一部として機能する。本実施形態では、退避機構は、被駆動軸部17の被駆動係合ブロック172を、付勢ばね173による前記接近方向への付勢力に抗して、前記接近方向とは反対の離反方向に移動させる。押上面196は、被駆動軸部17の一部である被駆動係合ブロック172を、前記離反方向に押圧するための面であり、この押上面196により、
図6に示すように被駆動軸部17の被駆動係合ブロック172を上方へと押し上げることができる。
【0054】
縦方向部192は、錠剤カセット1の把持部18に位置する部分である。この縦方向部192は背面側に操作部197を備える。ユーザー等が把持部18を持ち、操作部197を、錠剤カセット1の離脱方向と一致する正面側に移動させると、アーム19はヒンジ部193を中心に側面視で時計回りに回転する。これにより、押圧部19aにおける押上面196により被駆動係合ブロック172が上方へと押し上げられ、支持台部2の駆動係合ブロック232から離れる。加えて、スライド制限部194を支持台部2の突出壁部25から離すことができる。
【0055】
支持台部2は、薬剤供給ユニットの本体に固定される部材である。支持台部2は、回転駆動源としてのモータ22と、被駆動軸部17に対して同軸、つまり軸方向が略同一(軸線が一直線になることまでは要さず、駆動力の伝達に問題が無い限りでの軸線のずれは許容される)となるように接続され、モータ22によって回転駆動される駆動軸部23とを備える。両軸部17,23の接続は、従来の平歯車を側方から噛み合わせる方式のように軸線の径外位置で接続されるのではなく、両軸部17,23の端部が突き合わされるようにして接続される。支持台部2は、駆動軸部23の軸方向に交差する方向に錠剤カセット1をスライド案内し、錠剤カセット1を着脱可能に支持する。本実施形態では、支持台部2は、上面に、水平面であるスライド表面21を備える。このスライド表面21に対し、薬剤収容部1aの底部11における下端が当接しつつ、押し込み(背面への方向)及び引き出し(正面への方向)のスライドがなされる。スライド表面21の下方にはモータ22が位置し、このモータ22から駆動軸部本体231がスライド表面21を貫通して上方に延びている。
【0056】
駆動軸部本体231の上端部には駆動係合ブロック(駆動係合部材)232が固定されている。駆動係合ブロック232は上部に駆動側係合部2321を備える。つまり、駆動係合ブロック232は駆動側係合部2321を含む部分である。この駆動側係合部2321は、駆動軸部本体231から径外方向に突出するように形成された凸部であり、錠剤カセット1における被駆動側係合部1722に対して係合(嵌合)可能とされている。この係合は、凸部である駆動側係合部2321と凹部である被駆動側係合部1722とが軸方向に移動してなされる。このため、駆動側係合部2321と被駆動側係合部1722とが、設計値に対して軸方向に少しずれていたとしても、問題なく駆動力の伝達を行うことができる。また本実施形態では、駆動側係合部2321が被駆動側係合部1722に緩く嵌合するようになっている。したがって駆動軸部23と被駆動軸部17とが、軸方向に直交する方向に少しずれていたとしても、問題なく駆動力の伝達を行うことができる。
【0057】
また、支持台部2の背面側には、薬剤収容部1aの薬剤排出口111から落下する錠剤Mを受ける薬剤通路部24が、斜め下方に延びるように形成されている。この薬剤通路部24の側壁には薬剤通過センサー241が位置しており、この薬剤通過センサー241により錠剤Mの落下数を計数できる。
【0058】
スライド表面21には、前後方向に平行に延びる2個の突出壁部25,25が形成されている。この突出壁部25の上端面として、正面側にはアーム19に対する案内部としての誘導斜面251が形成されており、途中からは水平である水平上面252となっている。そして、突出壁部25の背面側端面253は略垂直面となっている。誘導斜面251および水平上面252は、錠剤カセット1のスライドの際、被駆動軸部17と支持台部2の駆動軸部23とが互いに干渉しないように軸方向に移動させる退避機構の一部として機能する。
【0059】
誘導斜面251は、錠剤カセット1を背面側へと押し込む方向へのスライドを行う場合に、錠剤カセット1におけるアーム19のスライド当接面1941に当接することで、アーム19を、ヒンジ部193を中心に側面視で時計回りに回転させることができ、水平上面252は、前記スライド当接面1941が当接することで、前記時計回りに回転した状態を、被駆動軸部17の軸心と駆動軸部23の軸心とが一致するまで維持する(
図10E参照)。つまりこの誘導斜面251は、錠剤カセット1を支持台部2に対してスライドして装着するときに、アーム19の押圧部19aを前記離反方向に案内する案内部として機能する。
【0060】
次に、突出壁部25とアーム19との関係について説明する。前記押し込み方向のスライドが行われ、錠剤カセット1が支持台部2の所定位置にセットされた際には、アーム19がアーム付勢ばね1921によって下方に付勢されていることから、突出壁部25の尽きた(無くなった)部分で、スライド制限部194は突出壁部25の背面側に位置することになる。この場合、錠剤カセット1を正面側へと引き出す方向へのスライドが行われようとすると、
図10Fに示すように、スライド制限部194の引掛面1942が突出壁部25の背面側端面253に当接する(嵌合状態となる)。これにより、被駆動側係合部1722と駆動側係合部2321との係合が解除されていない状態で、ユーザー等により錠剤カセット1が正面側に引かれても、駆動軸部23および被駆動軸部17に対して、軸方向に直交する方向に負荷がかかることを防止でき、前記各軸部の変形等を防止できる。
【0061】
錠剤カセット1を引き出す際には、ユーザー等が把持部18を持ち、操作部197を正面側に移動させる。これにより、アーム19の横方向部191はヒンジ部193を中心に時計回りに回転する。このため、押上面196によって被駆動係合ブロック172を上方へと押し上げるとともに、スライド制限部194を突出壁部25における水平上面252の延長位置よりも上方に移動させることができる。こうすることにより、被駆動側係合部1722と駆動側係合部2321との係合を解除するとともに、スライド制限部194の引掛面1942と突出壁部25の背面側端面253との嵌合状態を解除して、錠剤カセット1を引き出すことができるようになる。
【0062】
嵌合状態を解除する際の、ユーザー等による操作部197の操作方向は正面方向である。この方向は錠剤カセット1を引き出す際のスライド方向と一致している。このため、引き出し時の操作性が良好である。
【0063】
次に、突出壁部25による前記被駆動係合ブロック172の押し上げにつき説明する。錠剤カセット1が支持台部2から離脱した状態、及び、アーム19のスライド制限部194が支持台部2の突出壁部25よりも正面側に位置している場合、アーム19は
図10Aに示す状態である。前述のようにユーザー等による錠剤カセット1を背面側へと押し込む方向へのスライドにより、アーム19が突出壁部25の誘導斜面251及び水平上面252に押され、側面視で時計回りに回転する。この回転に伴い、アーム19の押上面196が被駆動係合ブロック172を上方に押し上げ、
図10Bに示す状態となる。なおこの状態は、アーム19と突出壁部25との関係を示した
図10Eの状態に対応する。この押し上げにより、被駆動係合ブロック172の下端は、支持台部2における駆動係合ブロック232(破線で図示)の上端よりも上方に位置する。このため、被駆動係合ブロック172を、干渉することなく、
図10C、
図10Dに示すように、駆動係合ブロック232の上方に位置させることができる。なお、
図10Bの状態から
図10C及び
図10Dの状態に至る状態は、アーム19と突出壁部25との関係を示した
図10Fの状態に対応する。
【0064】
図10Cは、被駆動係合ブロック172が、支持台部2の駆動軸部23における駆動係合ブロック232に対して当接しているものの凹凸の周方向における位置が合っていないことにより、被駆動側係合部1722と駆動側係合部2321との係合がなされておらず、回転駆動に係る駆動力の伝達ができない状態(当接状態)を示す。前述のように、この当接状態では、前記突出部分1724と引掛突起113とにより、被駆動軸部17の回動は阻止されている。なお、当接状態では、爪部195は、板状部1723から離間して、爪部195と板状部1723との係合は解除されている。
【0065】
支持台部2のモータ22が回転駆動を開始すると、駆動係合ブロック232が回転して被駆動係合ブロック172が下降し、凹凸の周方向における位置が合う。これにより、被駆動側係合部1722と駆動側係合部2321とが係合するため前記当接状態は解消し、
図10Dに示す係合状態となる。この係合状態で、支持台部2から錠剤カセット1に駆動力が伝達可能となる。なお、この係合状態では、被駆動係合ブロック172が下降したことにより、前記突出部分1724(低位)が引掛突起113(高位)に当接しなくなるため、被駆動軸部17の回転が可能となる。なお、係合状態でも、前記当接状態と同様に、爪部195は、板状部1723から離間して、爪部195と板状部1723との係合は解除されている。
【0066】
以上のように、本実施形態の薬剤供給ユニットは、錠剤カセット1のスライドの際、被駆動軸部17と駆動軸部23とが互いに干渉しないように軸方向への移動を行う退避機構を備える。このため、支持台部2に対する錠剤カセット1の着脱の際に、錠剤カセット1自体を上下方向に移動させる必要がない。よって、
図4に示すように、上下方向に複数の支持台部2…2を配置する際でも、上下に積層させた支持台部2,2間には錠剤カセット1の上下方向寸法分の隙間を確保するだけでよいため、錠剤カセット1…1の配置密度を高くできるメリットがある。
【0067】
最後に、本実施形態の構成及び作用についてまとめておく。本実施形態は、長細形状である錠剤(固形の薬剤)Mを供給する錠剤カセット(薬剤供給体)1であって、錠剤Mを収容し、底部11には、錠剤Mを排出する薬剤排出口111が形成される薬剤収容部1aと、前記薬剤収容部1aの内部に設けられ、前記薬剤収容部1aの底部11に交差する軸線まわりに回転可能なロータ(薬剤搬送部)16であり、錠剤Mを起立させた状態で1つずつ収容する複数の薬剤収容空間164a…164aが、前記軸線まわりの周方向に間隔をあけて配置され、前記軸線まわりに回転駆動されることで、各薬剤収容空間164aに収容される錠剤Mを前記薬剤排出口111に搬送するロータ16と、前記薬剤収容部1aに設けられ、可撓性を有する仕切体(薬剤進入防止部)15であり、前記複数の薬剤収容空間164aのうち、前記薬剤排出口111に一致した前記薬剤収容空間164aの上方を覆うことで当該薬剤収容空間164aに錠剤Mが進入することを防止する仕切体15とを備え、前記軸線まわりの周方向に隣り合う前記薬剤収容空間164aの間には、当該隣り合う薬剤収容空間164aを区画するブロック部(隔壁部分)162がそれぞれ配置され、各ブロック部162は、前記ロータ16の回転方向Rでの後ろ寄りの部分の上面が、前記ロータ16の回転方向Rとは逆方向に向かうにつれて上昇する形状の薬剤供給体1である。
【0068】
また、本実施形態は、前記薬剤供給体1と、前記ロータ16を回転駆動するモータ(回転駆動源)22を有し薬剤供給体1を支持する支持台部(支持体)2とを備える薬剤供給ユニットである。
【0069】
前記各構成によると、ロータ16が回転するときに、仕切体15とロータ2との間に錠剤Mが挟まれたとき、当該錠剤Mは、前記後ろ寄りの部分の上面に沿って、ロータ16の回転方向とは逆方向に向かうにつれて上方に傾斜する。この状態でロータ16がさらに回転すると、前記錠剤Mは、隣り合うブロック部162,162にまたがった状態となり、薬剤収容空間164aには落下することなく、薬剤収容空間164aを乗り越えるように移動する。
【0070】
また、各ブロック部162は、前記ロータ16の回転方向Rで後ろ寄りの部分の上面が相対的に高い位置にあり、前記ロータ16の回転方向Rで前寄りの部分の上面が相対的に低い位置にあるものとできる。
【0071】
この構成によると、前記前寄りの部分の上面が相対的に低い位置にあるので、仕切体15とロータ16との間に挟まれた錠剤Mが、より確実に薬剤収容空間164aを乗り越えることができる。
【0072】
また、各ブロック部162の、前記ロータ16の回転方向Rでの前方側端縁部における上方隅部は、アール部(湾曲面または傾斜平面)1622を有するものとできる。
【0073】
この構成によると、薬剤収容空間164aに入るべき錠剤Mを、アール部1622に沿って、当該薬剤収容空間164aへとスムーズに導くことができる。
【0074】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0075】
例えば、ロータ16の軸線が延びる方向は上下方向に限定されず、斜め方向であってもよい。また、場合によっては水平方向であってもよい。また、本実施形態の錠剤カセット1にはロータ16が1個設けられているが、1台の錠剤カセット1に複数のロータ16が設けられることもできる。この場合、複数の薬剤排出口111を設けることもできる。また、場合によっては前記退避機構を備えず、錠剤カセット1を上下方向に移動させて支持台部2に対して着脱するよう構成されることもできる。
【0076】
また、操作体は、前記実施形態では、ヒンジ部193により支持されることで底部11に対して回動するアーム19として構成されていたが、これに限定されない。つまり、錠剤カセット1のスライドの際、スライド方向に交わる方向であり、かつ、前記スライド表面21と前記錠剤カセット1において前記スライド表面21に対向する面との距離が互いに広がる方向に移動するよう構成されていればよい。なお、前記操作体の移動方向は、方向を特定するために錠剤カセット1と支持台部2(スライド表面21)との関係を用いたに過ぎず、現実に錠剤カセット1と支持台部2とが互いに離れることは必須ではない。更に操作体は、錠剤カセット1の底部11に対して平行移動するよう構成されることもできる。また、底部11に対して前後方向への移動を伴うよう構成されることもできる。また、操作体は錠剤カセット1または支持台部2に移動不能に固定されており、例えば、スライドに伴う錠剤カセット1と支持台部2との位置関係(特に前後方向の位置関係)の変化により、被駆動軸部17または駆動軸部23の一部を移動させることができるよう構成されることもできる。