特許第6262785号(P6262785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイリン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6262785-衣服 図000002
  • 特許6262785-衣服 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262785
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/00 20180101AFI20180104BHJP
   A41H 43/00 20060101ALI20180104BHJP
   A41D 27/00 20060101ALI20180104BHJP
   D04B 1/06 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   A41D1/00 Z
   A41H43/00 C
   A41D27/00 Z
   A41H43/00 A
   D04B1/06
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-42069(P2016-42069)
(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2017-155384(P2017-155384A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2016年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】397062113
【氏名又は名称】アイリン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】林 憲志
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−181908(JP,A)
【文献】 特開平11−279801(JP,A)
【文献】 特表2010−528195(JP,A)
【文献】 特許第5737773(JP,B1)
【文献】 特開2005−133264(JP,A)
【文献】 特開2009−041120(JP,A)
【文献】 実開昭57−056703(JP,U)
【文献】 特開2003−183908(JP,A)
【文献】 特開2002−227006(JP,A)
【文献】 特開2007−162200(JP,A)
【文献】 特許第3286787(JP,B2)
【文献】 米国特許第06055673(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/00
A41D 27/00
A41H 43/00
D04B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天竺編みした編地で構成される衣服であって、
衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように縫製された衣服。
【請求項2】
請求項1に記載の衣服において、
前記切断予定部位には、切断が予定されている切断予定位置が設定され、前記切断予定位置から見て、前記切断予定部位が他の前記部位と接続される接続側であって、前記切断予定部位の巾方向のいずれか一端側に、前記切断予定部位の編地のほつれを抑制する閂止めが掛けられている衣服。
【請求項3】
請求項2に記載の衣服において、
前記閂止めは、前記切断予定部位の編地とは異なる色の糸を用いて形成されている衣服。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の衣服において、
前記各部位は、三本針オーバーロックにより縫製されている衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
インナーは、丈(たけ)方向と編地のウェール方向とが沿うように縫製されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このように縫製されていると、例えば袖丈を調整するために袖巾(はば)方向に沿って切断した場合、編地を構成する糸がほつれて、その縫製された製品が破損してしまうという問題があった。
【0004】
本発明では、衣服を構成する部位を、丈を調整するために巾方向に沿って切断しても、製品が破損することを抑制可能な衣服を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明に係る衣服は、天竺編みした編地で構成される衣服であって、衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように縫製されている。
【0006】
このようにすると、巾方向がウェール方向に沿う。天竺編みした編地は、コース方向に沿って切断するとほつれるが、ウェール方向に沿って切断するとほつれない。そのため、この衣服は、丈の調整をするため切断予定部位を巾方向に沿って切断しても編地がほつれない。
【0007】
したがって、請求項1に記載の発明に係る衣服は、切断予定部位を、丈を調整するために巾方向に沿って切断しても、製品が破損することを抑制できる。
次に、切断予定部位には、切断が予定されている切断予定位置が設定され、切断予定位置から見て、切断予定部位が他の部位と接続される接続側であって、切断予定部位の巾方向のいずれか一端側に、切断予定部位の編地のほつれを抑制する閂止めが掛けられている。
【0008】
このようにすると、切断予定部位をウェール方向に沿って切断しても、閂止めによってほつれがより確実に抑制される。
次に、閂止めは、切断予定部位の編地とは異なる色の糸を用いて形成してもよい。このようにすれば、切断予定位置が明確になる。
【0009】
次に、各部位は、三本針オーバーロックにより縫製してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、第1実施形態のシャツタイプのインナーの正面図である。図1(b)は、第1実施形態のシャツタイプのインナーの右袖部分を抜き出した正面図である。
図2図2(a)は、第2実施形態のズボンタイプのインナーの正面図である。図2(b)は、第2実施形態のズボンタイプのインナーの右股下部分を抜き出した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態のインナー1は、図1(a)に示すように、シャツタイプのインナーである。
【0012】
インナー1は、身頃10、左袖12、右袖14の各部位で構成されている。このインナー1は、天竺編みした編地を型抜し、身頃10については、この型抜きした編地を、脇線10a、肩線10bに相当する部分を三本針オーバーロックで縫製することによって形成する。また、左袖12及び右袖14も、袖下線12a、14aを三本針オーバーロックで縫製することによって形成する。
【0013】
身頃10は着丈に沿った丈方向A1と、身頃10を構成する編地のコース方向a1とが沿うように構成されている。左袖12及び右袖14も、袖丈に沿った丈方向B1と、左袖12及び右袖14を構成する編地のコース方向b1とが沿うように構成されている。
【0014】
また、左袖12及び右袖14(本発明の切断予定部位に相当する)には、図1(b)に示すように、切断が予定される切断予定位置α、βが設定されている。そして、左袖12及び右袖14には、これら切断予定位置α、βからみて、左袖12及び右袖14が身頃10(本発明の他の部位に相当する)と接続される接続側であって、この接続側の巾方向B2のいずれか一端側に、左袖12及び右袖14の編地のほつれを抑制するための閂止め13、15が掛けられている。これら閂止め13,15は、左袖12及び右袖14を構成する編地とは、異なる色の糸で掛けられている。尚、切断予定位置は、2カ所設けられている。
【0015】
以上説明したインナー1では、左袖12及び右袖14の袖の巾方向B2がウェール方向b2に沿っている。天竺編みした編地は、コース方向b1に沿って切断するとほつれるが、ウェール方向b2に沿って切断するとほつれない。そのため、このインナー1は、左袖12及び右袖14の袖丈の調整をするため袖の巾方向B2に沿って切断しても編地がほつれない。
【0016】
したがって、インナー1は、左袖12及び右袖14を、袖丈を調整するために袖の巾方向B2に沿って切断しても、製品が破損することを抑制できる。
また、インナー1では、左袖12及び右袖14を、袖の巾方向B2に沿って切断しても、閂止め13,15によってほつれがより確実に抑制される。また、閂止め13,15は、左袖12及び右袖14の編地とは異なる色の糸で掛けられているので、切断予定位置が明確になる。
(第2実施形態)
第1実施形態のインナー3は、図2(a)に示すように、ズボンタイプのインナーである。
【0017】
インナー3は、股上30、左股下32、右股下34の各部位を有する。このインナー3は、天竺編みした編地を型抜し、股上30については、この型抜きした編地を、脇線3aを三本針オーバーロックで縫製することにより形成する。また、左股下32及び右股下34も、脇線3aと股下線3bを三本針オーバーロックで縫製することにより形成する。
【0018】
股上30は股上丈に沿った丈方向C1と、股上30を構成する編地のコース方向c1とが沿うように構成されている。左股下32及び右股下34も、股下丈に沿った丈方向D1と、左股下32及び右股下34を構成する編地のコース方向d1とが沿うように構成されている。
【0019】
また、左股下32及び右股下34(本発明の切断予定部位に相当する)には、図2(b)に示すように、切断が予定されている切断予定位置γ、δが設定されている。そして、左股下32及び右股下34には、これら切断予定位置γ、δからみて、左股下32及び右股下34が股上30(本発明の他の部位に相当する)と接続される接続側であって、この接続側の巾方向D2のいずれか一端側に、左股下32及び右股下34の編地のほつれを抑制するための閂止め33、35が掛けられている。これら閂止め33、35は、左股下32及び右股下34を構成する編地とは、異なる色の糸で掛けられている。尚、切断予定位置は、2カ所設けられている。
【0020】
以上説明したインナー3では、左股下32及び右股下34の巾方向D2がウェール方向d2に沿っている。天竺編みした編地は、コース方d1向に沿って切断するとほつれるが、ウェール方向d2に沿って切断するとほつれない。そのため、このインナー3は、左股下32及び右股下34の袖丈の調整をするため巾方向D2に沿って切断しても編地がほつれない。
【0021】
したがって、インナー3は、左股下32及び右股下34を、袖丈を調整するために巾方向D2に沿って切断しても、製品の破損を抑制できる。
また、インナー3では、左股下32及び右股下34を、巾方向D2に沿って切断しても、閂止め33、35によってほつれがより確実に抑制される。また、閂止め33、35は、左股下32及び右股下34の編地とは異なる色の糸で掛けられているので、切断予定位置γ、δが明確になる。
[他の実施形態]
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0022】
(1)上記実施形態では、身頃10や股上30について切断する場合について説明していないが、身頃10や股上30も丈方向A1、C1と編地のコース方向a1,c1とが沿うように構成されているので、ウェール方向a2,c2方向に沿って切ってもほつれが生じない。
【符号の説明】
【0023】
1…インナー、3…インナー、3a…脇線、3b…股下線、10…身頃、12…左袖、13、15…閂止め、14…右袖、30…股上、32…左股下、33、35…閂止め、34…右股下。
図1
図2