(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気の流れる流路を有した空調ケースと、該空調ケースの内部に設けられ前記流路に空気を送るファンと、前記ファンを駆動する駆動源を含む送風機と、前記空調ケースの内部に設けられ前記流路を流通する空気を冷却する冷却用熱交換器と、前記流路を流通する空気を加熱する加熱用熱交換器と、前記流路を流れる前記空気の流量を変化させるダンパと、前記ダンパを駆動するアクチュエータとを備えた車両用空調装置において、
前記冷却用熱交換器の厚さ方向から見て、該冷却用熱交換器の幅方向一端部に沿った一方の仮想線と、幅方向他端部に沿った他方の仮想線との間の領域に前記送風機のファンが位置し、且つ、前記駆動源の回転軸が前記冷却用熱交換器の幅方向に延在するように前記送風機が配置され、
前記空調ケースの前記駆動源側の側壁には、前記冷却用熱交換器の幅方向から見た際に前記アクチュエータの少なくとも一部が前記送風機の駆動源と重複して配置されることを特徴とする車両用空調装置。
空気の流れる流路を有した空調ケースと、該空調ケースの内部に設けられ前記流路に空気を送るファンと、前記ファンを駆動する駆動源を含む送風機と、前記空調ケースの内部に設けられ前記流路を流通する空気を冷却する冷却用熱交換器と、前記流路を流通する空気を加熱する加熱用熱交換器と、前記流路を流れる前記空気の流量を変化させるダンパと、前記ダンパを駆動するアクチュエータとを備えた車両用空調装置において、
前記冷却用熱交換器の厚さ方向から見て、該冷却用熱交換器の幅方向一端部に沿った一方の仮想線と、幅方向他端部に沿った他方の仮想線との間の領域に前記送風機のファンが位置し、且つ、前記駆動源の回転軸が前記冷却用熱交換器の幅方向に延在するように前記送風機が配置され、
前記空調ケースの前記駆動源側の側壁には、前記冷却用熱交換器の幅方向から見た際に前記アクチュエータの少なくとも一部が前記送風機の駆動源と重複して配置され、
前記アクチュエータは、前記空調ケースと別体に設けられ、且つ、前記駆動源を跨ぐホルダに固定され、
前記冷却用熱交換器の厚さ方向から見て前記アクチュエータの少なくとも一部が前記領域と重複することを特徴とする車両用空調装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した車両用空調装置では、送風機のファンを駆動させるためのモータの背後を避けるようにスクロールケーシングの吸い込み側(ファン側)のみにデフロスタ通路等の機能部を配置しているため、前記モータの背後を十分に活用できておらず、活用できるスペースが限定的であるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、空調ケースにおいて送風機の軸線上に設けられたスペースをさらに有効活用することで小型化を図ることが可能な車両用空調装置及びその組み付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、空気の流れる流路を有した空調ケースと、空調ケースの内部に設けられ流路に空気を送るファンと、ファンを駆動する駆動源を含む送風機と、空調ケースの内部に設けられ流路を流通する空気を冷却する冷却用熱交換器と、流路を流通する空気を加熱する加熱用熱交換器と、流路を流れる空気の流量を変化させるダンパと、ダンパを駆動するアクチュエータとを備えた車両用空調装置において、
冷却用熱交換器の厚さ方向から見て、冷却用熱交換器の幅方向一端部に沿った一方の仮想線と、幅方向他端部に沿った他方の仮想線との間の領域に送風機のファンが位置し、且つ、駆動源の回転軸が
冷却用熱交換器の幅方向に延在するように送風機が配置され、
空調ケースの駆動源側の側壁には、冷却用熱交換器の幅方向から見た際にアクチュエータの少なくとも一部が送風機の駆動源と重複して配置されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、車両用空調装置を構成する空調ケースにおいて、流路に空気を送る送風機のファンが、空調ケースに設けられた冷却用熱交換器の厚さ方向から見て、冷却用熱交換器の幅方向一端部に沿った一方の仮想線と、幅方向他端部に沿った他方の仮想線との間の領域に配置され、且つ、送風機
は駆動源の回転軸が
前記冷却用熱交換器の幅方向に延在するように配置され、冷却用熱交換器の幅方向から見た際に、空調ケースの駆動源側の側壁には、ダンパを駆動させるためのアクチュエータの少なくとも一部が送風機の駆動源と重複するように配置される。
【0009】
従って、冷却用熱交換器の幅方向から見て、アクチュエータを送風機の駆動源と重複するように配置することで、従来の車両用空調装置においてアクチュエータの設けられていた空調ケースにおける設置面積を低減することができる。その結果、空調ケースにおいて送風機の軸線上で駆動源の後端側(背後)に存在しているデッドスペースを有効活用することで、車両用空調装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0010】
また、アクチュエータを駆動源の軸心と重複するように配置することで、駆動源との重複範囲を十分に大きく確保することができ、さらなるスペースの有効活用を図ることができると共に、駆動源の位置に制限されることなくダンパの位置との兼ね合いのみを考慮して最適な場所にアクチュエータを配置できるため、設計の自由度を高めることが可能となる。
【0011】
さらに、本発明は、空気の流れる流路を有した空調ケースと、空調ケースの内部に設けられ流路に空気を送るファンと、ファンを駆動する駆動源を含む送風機と、空調ケースの内部に設けられ流路を流通する空気を冷却する冷却用熱交換器と、流路を流通する空気を加熱する加熱用熱交換器と、流路を流れる空気の流量を変化させるダンパと、ダンパを駆動するアクチュエータとを備えた車両用空調装置において、
冷却用熱交換器の厚さ方向から見て、冷却用熱交換器の幅方向一端部に沿った一方の仮想線と、幅方向他端部に沿った他方の仮想線との間の領域に送風機のファンが位置し、且つ、駆動源の回転軸が
冷却用熱交換器の幅方向に延在するように送風機が配置され、
空調ケースの駆動源側の側壁には、冷却用熱交換器の幅方向から見た際にアクチュエータの少なくとも一部が送風機の駆動源と重複して配置され、
アクチュエータは、空調ケースと別体に設けられ、且つ、駆動源を跨ぐホルダに固定され、
冷却用熱交換器の厚さ方向から見てアクチュエータの少なくとも一部が領域と重複することを特徴とする。
【0013】
またさらに、冷却用熱交換器の幅方向において、送風機のファンを冷却用熱交換器の中央よりもアクチュエータに対して反対側にオフセットさせることにより、アクチュエータ側となる駆動源の端部も同一方向へ移動させることができるため、アクチュエータを領域と重複させるためのスペースをより広く確保することができ、レイアウトの自由度を拡大することができる。
【0014】
また、アクチュエータを、駆動源側となるホルダの面に固定することにより、送風機側となる領域にアクチュエータが突出することとなり、アクチュエータと領域とをより一層容易に重複させてスペースの有効活用を図ることができ、しかも、ホルダの形状を簡素化することができる。
【0015】
さらに、冷却用熱交換器の厚さ方向から見て、ホルダの少なくとも一部を領域と重複させ、アクチュエータをホルダにおける駆動源とは反対側の面に固定することにより、ホルダ自体が領域と重複しているためアクチュエータを駆動源とは反対側の面に設けた場合でも領域と重複させて配置することが可能となる。また、ホルダを空調ケースに組み付けたままの状態でアクチュエータの着脱を行うことができ、組付性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【0016】
さらにまた、空調ケースに対する駆動源及びホルダの締結方向を同一とすることにより、送風機の駆動源を空調ケースへと組み付けた後に、空調ケースの向きを変更させることなく円滑にホルダの組み付けを行うことができるため、組付性及びメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0017】
またさらに、アクチュエータの回転軸に固定されるアクチュエータリンクと、ダンパに固定されるダンパリンクと、アクチュエータリンクとダンパリンクとを互いに連結する中間リンクと、を有し、ホルダに中間リンクの支持部を設けるとよい。これにより、中間リンクを支持するために要する空調ケースにおける設置面積を小さくすることができるため、中間リンクに要するスペースの有効活用を図ることで、車両用空調装置の小型化を図ることができる。
【0018】
また、本発明は、車両用空調装置において、アクチュエータをホルダに組み付ける工程と、ホルダを空調ケースに対して組み付ける工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、アクチュエータを予めホルダへと組み付けた後に、ホルダを空調ケースへと組み付けるため、送風機の駆動源とホルダの間にアクチュエータの取り付けを想定した余分なスペースを確保しておく必要がなく、しかも、アクチュエータを駆動源により近づけて設置することができるため、駆動源の後端側のスペースを有効に活用することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0021】
すなわち、車両用空調装置を構成する空調ケースにおいて、流路に空気を送る送風機のファンが、空調ケースに設けられた冷却用熱交換器の厚さ方向から見て、冷却用熱交換器の幅方向一端部に沿った一方の仮想線と、幅方向他端部に沿った他方の仮想線との間の領域に配置され、冷却用熱交換器の幅方向から見た際に、ダンパを駆動させるためのアクチュエータの少なくとも一部を送風機の駆動源と重複して配置することで、従来の車両用空調装置においてアクチュエータの設けられていた空調ケースにおける設置面積を低減でき、しかも、空調ケースにおいて送風機の軸線上で駆動源の後端側に存在しているデッドスペースを有効活用することで、車両用空調装置のさらなる小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る車両用空調装置及びその組み付け方法について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用空調装置を示す。
【0024】
この車両用空調装置10は、
図1A及び
図1Bに示されるように、空気の各通路を構成する空調ケース12と、該空調ケース12の内部に配設される送風機14と、前記空気を冷却するエバポレータ(冷却用熱交換器)16と、該空気を加熱するヒータコア(加熱用熱交換器)18と、前記各通路内を流通する空気の流れを切り換えるダンパ機構20と、該ダンパ機構20を駆動させるアクチュエータ22を保持するホルダ24とを含む。
【0025】
空調ケース12は、例えば、略対称形状の第1及び第2分割ケース26、28から構成され、前記第1及び第2分割ケース26、28は車両の幅方向(矢印A方向)に分割可能に設けられている。この空調ケース12の上方には、乗員の顔近傍に送風を行うベント送風口30と、車両のフロントウィンドウ近傍に送風を行うデフロスタ送風口32とが隣接して開口している。
【0026】
また、空調ケース12には、ベント送風口30及びデフロスタ送風口32の下方となる位置に幅方向内側へと窪んだ送風機取付部34が形成される。この送風機取付部34は、第1分割ケース26と第2分割ケース28との境界部からそれぞれ所定幅で形成され、その中心に送風機14の装着される装着孔36が開口している。換言すれば、送風機取付部34は、第1及び第2分割ケース26、28の側壁から幅方向中央へと窪んだ位置に設けられ、前記第1分割ケース26の側壁との間に空間部44を有している。
【0027】
そして、空調ケース12には、送風機取付部34の装着孔36に送風機14のファン40が収納される。
【0028】
さらに、空調ケース12には、
図1Aに示されるように、送風機14の外周側を取り巻くように螺旋状の送風通路(流路)38が形成され、該送風通路38は第1分割ケース26側から見て前記送風機14の下方から時計回りに形成され、通路断面積が徐々に大きくなりながら外周側へと延在している。
【0029】
送風機14は、複数のフィンを有したファン40と、該ファン40を回転駆動するモータ(駆動源)42とを有し、前記ファン40及びモータ42の軸線が第1及び第2分割ケース26、28における車両の幅方向(矢印A方向)に延在するように略水平に配置されると共に、第1分割ケース26と第2分割ケース28とに跨るように配置される。また、送風機14は、モータ42の一部が第1分割ケース26側(矢印A1方向)において送風機取付部34から突出するように空間部44に設けられる。
【0030】
エバポレータ16は、例えば、空調ケース12の内部において送風機14の下方に設けられ、第1分割ケース26と第2分割ケース28とに跨るように空調ケース12の幅方向(矢印A方向)に沿って設けられる。そして、エバポレータ16には図示しない複数のチューブを通じて冷媒が循環されており、空気が通過することで該冷媒との間で熱交換がなされ、冷却された空気がエバポレータ16の下流側へと供給される。
【0031】
また、
図1Bに示されるエバポレータ16の厚さ方向(
図1A中、矢印B方向)から見た際に、該エバポレータ16の幅方向一端16aに沿った第1仮想線L1と、幅方向他端16bに沿った第2仮想線L2とし、前記第1仮想線L1と前記第2仮想線L2との間となる領域Sにファン40を含む送風機14が配置されている。
【0032】
ヒータコア18は、
図1Aに示されるように、空調ケース12においてエバポレータ16の下流側に設けられ、図示しない複数のチューブを通じて循環された温水と通過する空気との間で熱交換がなされ、加熱された空気がヒータコア18の下流側へと流通する。
【0033】
ダンパ機構20は、
図1Aに示されるように、例えば、エバポレータ16とヒータコア18との間に設けられるエアミックスダンパ46と、ベント送風口30及びデフロスタ送風口32の送風状態を切り替える第1切替ダンパ48と、乗員の足元近傍へと温風を送風するためのフット送風口50の送風状態を切り替える第2切替ダンパ52とを有する。
【0034】
ホルダ24は、
図1A及び
図1Bに示されるように、例えば、断面三角形状のプレート体からなり、その略中央に形成される孔部(図示せず)にアクチュエータ22の一部が挿通されると共に、外縁部近傍に形成されたリンク孔(支持部)56a、56bには、第1及び第2切替ダンパ48、52を駆動させるための中間リンク58a、58bがそれぞれ回動自在に設けられる。そして、ホルダ24は、角部に挿通された複数のボルト60を介して第1分割ケース26の側壁に固定され、第1分割ケース26の側壁に対して略平行となるように設けられる。
【0035】
アクチュエータ22は、例えば、図示しないコントローラからの制御信号が入力されることで回転駆動し、第1分割ケース26側(矢印A2方向)とは反対側となる面24aに固定されると共に、その回転軸62が孔部を通じて前記第1分割ケース26側(矢印A2方向)へと突出している。
【0036】
そして、アクチュエータ22の回転軸62は、図示しないアクチュエータリンクに連結され、該アクチュエータリンクが中間リンク58a、58bにそれぞれ係合されることで、前記アクチュエータ22の駆動作用下に中間リンク58a、58bがホルダ24のリンク孔56a、56bを支点として回動し、該中間リンク58a、58bの他端部にそれぞれ係合されたダンパリンク64a、64bによって第1切替ダンパ48や第2切替ダンパ52が開閉動作する。
【0037】
また、アクチュエータ22は、
図1Aに示されるように車両用空調装置10をエバポレータ16の幅方向(
図1B中、矢印A方向)から見た際、その一部が送風機14のモータ42と重複するように配置される。
【0038】
本発明の第1の実施の形態に係る車両用空調装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に空調ケース12に対して送風機14及びアクチュエータ22を組み付ける場合について説明する。
【0039】
先ず、
図2に示されるように、空調ケース12における送風機取付部34の装着孔36に対して一直線状となるように送風機14を把持し、第1分割ケース26側の開口部からファン40を挿入していく。そして、送風機14のモータ42が空間部44側(矢印A1方向)へと突出した状態で、該送風機14を送風機取付部34へと固定する。
【0040】
次に、アクチュエータ22の予め組み付けられたホルダ24を、第1分割ケース26の側壁へと当接させ、複数のボルト60を介して固定することで、
図1Aに示されるように車両用空調装置10の幅方向から見て、前記アクチュエータ22が空間部44を介して送風機14のモータ42と重複するように組み付けられる。
【0041】
次に、上述したように空調ケース12に対して送風機14及びアクチュエータ22の組み付けられた車両用空調装置10の動作について説明する。
【0042】
先ず、図示しないコントローラからの制御信号に基づき、送風機14のモータ42が駆動することでファン40が回転すると共に、車室内に配置された操作スイッチを乗員が操作することで、該操作スイッチに応じて前記コントローラからアクチュエータ22へと制御信号が出力され、該アクチュエータ22の駆動作用下にアクチュエータリンク(図示せず)、中間リンク58a、58b及びダンパリンク64a、64bを介して第1切替ダンパ48又は第2切替ダンパ52が開閉動作する。
【0043】
そして、送風機14の駆動作用下に空調ケース12内へと吸い込まれた空気が送風通路38を通じて流れ、エバポレータ16を通過することで冷却された後、ヒータコア18を通過した空気と混合されることで所望の温度へと調温され、開放されたベント送風口30やデフロスタ送風口32等を通じて車室内へと送風される。
【0044】
以上のように、第1の実施の形態では、車両用空調装置10においてダンパ機構20を駆動させるためのアクチュエータ22を、前記車両用空調装置10(エバポレータ16)の幅方向から見て、空調ケース12において送風機14のモータ42側(矢印A1方向)となる軸線上に重複するように配置することで、従来技術に係るアクチュエータの設けられていた前記空調ケース12の側壁の設置面積を低減することができる。その結果、空調ケース12において送風機14の軸線上でモータ42の後端側(矢印A1方向)に存在しているデッドスペースを有効活用することで、車両用空調装置10のさらなる小型化を図ることができる。
【0045】
また、アクチュエータ22を配置する際、送風機14におけるモータ42の位置に制限されることなく、第1及び第2切替ダンパ48、52の位置との兼ね合いのみを考慮し最適な場所に配置できるため、設計の自由度を高めることができる。
【0046】
さらに、ホルダ24においてアクチュエータ22を、送風機14におけるモータ42の軸心42aとも重複するように配置し、前記モータ42との重複範囲を十分に大きく確保することで、さらにスペースを有効に活用することができる。
【0047】
さらにまた、空調ケース12とホルダ24とを別体とすることにより、前記空調ケース12の形状を複雑化させることなく簡素な構成で、前記モータ42の後端側(矢印A1方向)にアクチュエータ22を好適に配置することができる。
【0048】
またさらに、アクチュエータ22の少なくとも一部を、空調ケース12内に収納されたエバポレータ16の幅方向端部から延在する第1及び第2仮想線L1、L2の間となる領域Sと重複するように配置することで、車両用空調装置10の幅方向(矢印A方向)において前記空調ケース12より外側へと突出する部分を減少させることができる。すなわち、車両用空調装置10の幅寸法をさらに小型化することができる。
【0049】
また、空調ケース12内において送風機14のファン40を第2分割ケース28側(矢印A2方向)へとオフセットすることで、アクチュエータ22側(矢印A1方向)となるモータ42の端部も同じ方向へ移動するため、前記アクチュエータ22を領域Sと重複させるためのスペースをより広く確保することができ、レイアウトの自由度を拡大することが可能となる。
【0050】
さらに、ホルダ24は、空調ケース12に対する複数のボルト60の締結方向(矢印A2方向)が同一方向であるため、送風機14のモータ42を空調ケース12へと組み付けた後に前記空調ケース12の向きを変更することなく円滑に前記ホルダ24の組み付けを行うことができ、組付性並びにメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0051】
さらにまた、第1及び第2切替ダンパ48、52を駆動させるための中間リンク58a、58bをホルダ24に対して回動自在に支持することで、従来、中間リンクを支持するために必要としていた空調ケース12の側壁における設置面積を小さくすることができるため、前記中間リンク58a、58bの設置に要するスペースを有効活用することができ、それに伴って、車両用空調装置の小型化を図ることができる。
【0052】
さらに、アクチュエータ22を予めホルダ24へと組み付けた後に、前記ホルダ24を空調ケース12の側壁へと組み付けるため、前記ホルダ24と送風機14のモータ42との間にアクチュエータ22の取り付けを想定した余分なスペースを確保する必要がなく、しかも、前記アクチュエータ22を前記モータ42により近づけて配置することができるため、前記モータ42の後端側(矢印A1方向)のスペースをより有効的に活用することができる。
【0053】
また、ホルダ24に対してアクチュエータ22を第1分割ケース26側とは反対側の面24aに設ける場合に限定されるものではなく、例えば、
図3A及び
図3Bに示される車両用空調装置70のように、前記第1分割ケース26側(矢印A2方向)となるホルダ72の面24bに対して前記アクチュエータ22を設けるようにしてもよい。この場合、アクチュエータ22の回転軸62は、図示しない孔部を通じて前記第1分割ケース26側とは反対側(矢印A1方向)となる面24aへと突出している。
【0054】
このように、第1分割ケース26の空間部44に臨むホルダ72において、送風機14側(矢印A2方向)となる領域S内にアクチュエータ22を設けることで、上述した車両用空調装置10と比較し、より一層空間部44を有効活用することができ、しかも、ホルダ72の形状を簡素化することができる。
【0055】
さらに、上述した車両用空調装置10、70のように、ホルダ24、72はプレート体から板状に形成される場合に限定されるものではなく、例えば、
図4Aに示す車両用空調装置80におけるホルダ82のように、断面U字状に形成して空間部44の内部に収納し、その開口端部84を送風機取付部34の側面に固定すると共に、該開口端部84から所定間隔離間した平面状の取付部86に対してアクチュエータ22を取り付けるようにしてもよい。
【0056】
また、
図4Bに示される車両用空調装置90におけるホルダ92のように、第1分割ケース26の側壁に外縁部94を固定すると共に、略中央部に断面U字状に窪んだ収納部96を形成し、その内部にアクチュエータ22を設けるようにしてもよい。
【0057】
このような構成とすることで、ホルダ82、92を領域S内に配置することができ、アクチュエータ22をモータ42側とは反対側(矢印A1方向)の面に設けた場合でも前記領域Sと重複させて配置することが可能となる。その結果、ホルダ82、92を空調ケース12に組み付けたままの状態でアクチュエータ22の着脱を行うことができ、組付性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0058】
さらに、ホルダ82、92自体が領域Sと重複しているため、アクチュエータ22をモータ42と反対側の面に固定してもアクチュエータ22を確実に前記領域Sと重複させることができる。
【0059】
さらにまた、
図5A及び
図5Bに示される車両用空調装置100のように、二層構造のホルダ102を採用するようにしてもよい。このホルダ102は、第1分割ケース26の側壁に当接する平面状のベース部104と、該ベース部104に対して所定間隔離間して平行に設けられた取付部106とを有し、前記ベース部104と前記取付部106とが角部に設けられた複数の脚部108を介して前記第1分割ケース26に固定されている。
【0060】
そして、ベース部104と取付部106との間に図示しないアクチュエータリンクや中間リンク58a、58b等が回動自在に収納されると共に、ベース部104又は取付部106のいずれか一方にアクチュエータ22が設けられる。なお、取付部106にアクチュエータ22を設ける場合には、
図5Aに示されるようにベース部104に臨む面とは反対側となる面に設け、一方、ベース部104にアクチュエータ22を設ける場合には、取付部106に臨む面とは反対側となる第1分割ケース26側(矢印A2方向)の面に設ける。
【0061】
このような構成とすることで、中間リンク58a、58b等のリンク機構を取付部106とベース部104との間で保護することができると共に、前記中間リンク58a、58b等を、取付部106とベース部104に対してそれぞれ回動自在に支持することで、より安定的に回動動作させることが可能となる。
【0062】
また、上述した車両用空調装置10、70、80、90、100は、デフロスタ送風口32を有し車両の前席用として用いられる車両用空調装置であるが、前記デフロスタ送風口32を有していない車両の後席用として用いられる車両用空調装置に上記の構成を適用するようにしてもよい。
【0063】
さらに、上述したアクチュエータ22は、送風モードを切り替えるためのモード切替用として第1及び第2切替ダンパ48、52を駆動させる目的で用いられるものであるが、特にこれに限定されるものではなく、内気と外気とを切り替える内外気切替用として用いられるアクチュエータであってもよいし、冷風と温風とを混合させるためのエアミックスダンパを駆動させるためのアクチュエータであってもよい。
【0064】
さらにまた、単一のアクチュエータ22で複数のダンパを駆動させる場合に限定されるものではなく、単一のダンパを駆動させるものであってもよいし、複数のアクチュエータが設けられていてもよい。
【0065】
またさらに、中間リンク58a、58bを設けることなくアクチュエータリンクによって直接ダンパリンク64a、64bを駆動させるようにしてもよい。
【0066】
なお、本発明に係る車両用空調装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。