特許第6262807号(P6262807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6262807高圧ノズルのためのフィルタ、高圧ノズル、及び高圧ノズルのためのフィルタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262807
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】高圧ノズルのためのフィルタ、高圧ノズル、及び高圧ノズルのためのフィルタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/14 20060101AFI20180104BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B05B1/14 A
   B01D29/10 510C
   B01D29/10 530Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-123700(P2016-123700)
(22)【出願日】2016年6月22日
(65)【公開番号】特開2017-23997(P2017-23997A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年6月22日
(31)【優先権主張番号】10 2015 214 123.3
(32)【優先日】2015年7月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500181832
【氏名又は名称】レヒラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100174942
【弁理士】
【氏名又は名称】平方 伸治
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】ジークフリート フォシャッグ
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−159549(JP,A)
【文献】 特開2008−285755(JP,A)
【文献】 特開平1−111464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−3/18
B05B 7/00−9/08
B01D 29/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ノズル(10)のためのフィルタ(16)であって、
管状部(20)と、蓋部(22)と、を備え、
前記蓋部(22)及び/又は前記管状部(20)には、前記管状部(20)の長手方向に延びる複数のフィルタ溝(18)が設けられており、
前記複数のフィルタ溝の各々が、前記管状部(20)側に位置する第1の端部(26)と、前記蓋部(22)側に位置する第2の端部(28)と、を有する、フィルタにおいて、
前記管状部(20)と同軸に配置されたスリーブ(30,42)を備え、
前記スリーブが、前記フィルタ溝(18)の前記第1の端部(26)の領域において、前記フィルタ溝(18)を覆っていることを特徴とする、フィルタ。
【請求項2】
前記スリーブ(30)が、少なくとも一部分において、前記管状部(20)及び/又は前記蓋部(22)の内部に配置されており、前記フィルタ(16)を通る流路を形成していることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記スリーブ(30)の中心孔が、上流側の端部に向かって広くなっていることを特徴とする、請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記スリーブ(30)の端面が、前記上流側の端部において、丸みを有することを特徴とする、請求項3に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記スリーブ(30,42)が、少なくとも前記フィルタ溝(18)の前記第1の端部(26)の領域において、前記管状部(20)又は前記蓋部(22)の外側又は内側により支持されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に係るフィルタ(16)を有する高圧ノズル(10)。
【請求項7】
前記スリーブ(30)が、少なくとも一部分において、前記管状部(20)内に配置されており、前記フィルタ(16)を通る流路を形成しており、
前記スリーブ(30)の自由流れ断面が、前記スリーブ(30)の下流側の端部において、ノズル筐体(12)の自由流れ断面と一致することを特徴とする、請求項6に記載の高圧ノズル(10)。
【請求項8】
高圧ノズル(10)のためのフィルタ(16)の製造方法であって、
前記フィルタ(16)の管状部(20)及び/又は蓋部(22)に、複数のフィルタ溝(18)を、前記管状部(20)の長手方向に平行に鋸により切る工程と、
スリーブ(30,42)を、前記管状部(20)と同軸に配置する工程と、を備え、
結果として、スリーブ(30,42)が前記フィルタ溝(18)の第1の端部(26)の領域において前記フィルタ溝(18)を覆う、方法。
【請求項9】
前記管状部(20)及び/又は前記蓋部(22)内に前記スリーブ(30)を配置することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記管状部(20)及び/又は前記蓋部(22)の外側に前記スリーブ(42)を配置することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ノズルのためのフィルタであって、管状部と、蓋部と、を備え、蓋部及び/又は管状部には、管状部の長手方向に延びる複数のフィルタ溝が設けられており、複数のフィルタ溝の各々が、管状部側に位置する第1の端部と、蓋部側に位置する第2の端部と、を有する、フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタを有する高圧ノズルは、特許文献1で知られている。この種の高圧ノズルは、数100×105パスカル(数100バール)から600×105パスカル(600バール)であり得る圧力で液体を噴霧するために提供される。例えば、この種の高圧ノズルは、鋼製品から付着物を取り除くのに使用される。この目的のため、フィルタが設けられたノズル筐体が、結合ニップル又は結合管に挿入される。噴霧される液体は、次いで、フィルタ溝を通過し、その後、ノズル出口へと通じる高圧ノズルの流路内に流入する。したがって、任意の望ましい態様、特に、流れの観点において好ましい態様の入口溝の端部境界表面の構成を可能にするために、フィルタを焼結部品として具体化することが提案されている。
【0003】
特許文献2は、他の高圧ノズルを開示している。この高圧ノズルは同様にフィルタを有しており、フィルタには長手方向に延びる複数の溝が設けられている。これらの溝は、円形の鋸刃によってフィルタ筐体に形成される。
【0004】
フィルタの管状部の長手方向に沿って延びる複数のフィルタ溝を有するフィルタを備える、鋼製品から付着物を取り除くための高圧ノズルは、特許文献3でも知られている。フィルタ溝は、円形の鋸刃によってフィルタに切られる。フィルタの下流に設けられるのは整流器であり、整流器は、長手方向に沿って流れを整えるために、とりわけ、乱流を避けるために、ノズルの流路に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1992415号
【特許文献2】独国実用新案第29706863号
【特許文献3】米国特許4848672号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フィルタ、高圧ノズル及びフィルタの製造方法を改良することが企図されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、高圧ノズルのためのフィルタであって、管状部と、蓋部と、を備え、蓋部及び/又は管状部には、管状部の長手方向に延びる複数のフィルタ溝が設けられており、複数のフィルタ溝の各々が、管状部側に位置する第1の端部と、蓋部側に位置する第2の端部と、を有する、フィルタにおいて、管状部と同軸に配置されたスリーブを備え、当該スリーブが、フィルタ溝の第1の端部の領域において、フィルタ溝を覆っている、フィルタを提供することによって解決される。
【0008】
フィルタ溝は、管状部側に位置する第1の端部の領域で、スリーブによって覆われる。結果として、フィルタ溝の第1の端部の構成は、高圧下の、例えば50×105パスカル(50バール)から800×105パスカル(800バール)の間の液体のフィルタ内への流入において、もはや役割を果たさない、又は、無視できる程度の役割しか果たさない。これは、半径方向から見た場合に、スリーブが、フィルタ溝の第1の端部の領域において、フィルタ溝を覆っているからである。このため、液体は、フィルタ溝に流入するためには、スリーブの端部を通過しなければならず、フィルタ溝の第1の端部については無視できる程度しか通過しない。単に半径方向から見た場合にフィルタ溝の第1の端部を隠す又は覆うスリーブを提供することを通して、高圧ノズルのためのフィルタにおける流れ状態の大きな改善を達成することができる。フィルタ溝の第1の端部の領域に液体が流れるときの乱流の発生を防止できる又は大部分を避けられることが観察された。フィルタが焼結部品として製造され、このため、流れの観点において有利な態様にフィルタ溝の第1の端部が構成されることを可能にする従来技術に係る高圧ノズルに比して、又は、フィルタ溝の第1の端部の機械的な仕上げ加工に比して、本発明に係る解決法は、特に生産技術の観点において、かなりの簡単化を提供する。フィルタ溝を鋸により切った後に、スリーブが、少なくともフィルタ溝の第1の端部の領域に配置される。結果として、フィルタ溝は、もはや仕上げの機械加工を施される必要がない。これは、特にこの種のフィルタを大量に製造する場合に、かなりの軽減を提供する、何故ならば、フィルタ溝は、その濾過機能を発揮するために通常とても狭く、一般的に約1mmの幅を有するからである。本発明に係る高圧ノズルは、例えば、鋼製品から付着物を取り除くために提供される。
【0009】
本発明の発展型として、スリーブが、少なくとも一部分において、管状部及び/又は蓋部の内部に配置されており、フィルタを通る流路を形成している。
【0010】
管状部及び/又は蓋部内のスリーブの配置が、比較的簡単な態様で実施できる。例えば、フィルタ筐体に軸孔が作成され、次いで、スリーブが当該孔に挿入される。スリーブによって、フィルタ溝同士の間のウェブが機械的に固定され、これは特に圧力の急上昇が起きたときに有利である。
【0011】
本発明の発展型として、スリーブの中心孔が、上流側の端部に向かって広くなっている。
【0012】
スリーブは、少なくとも一部分において、ノズルを通る流路を形成し、噴霧される液体は、フィルタ溝を通ってスリーブの上流側の端部へと流れる。スリーブの中心孔を上流側の端部に向かって広げることは、スリーブの流れ抵抗を低減し乱流の発生を防止することができ、これによりフィルタが設けられた高圧ノズルの高い性能を確保できる。
【0013】
本発明の発展型として、スリーブの端面が、上流側の端部において、丸みを有する。
【0014】
スリーブの端面を上流側の端部において丸めることもまた、流れ抵抗を低減することに寄与し、結果として、フィルタが設けられた高圧ノズルの性能を改善することに寄与する。
【0015】
本発明の発展型として、スリーブが、管状部及び/又は蓋部の外側により支持されている。
【0016】
スリーブをフィルタの外側に配置することもまた、フィルタ溝の第1の端部の領域においてフィルタ溝を覆う又は隠すことを可能にする。スリーブをフィルタの外側に配置することは、例えば、単にスリーブをフィルタの上で摺動させて、次いで、固定することによる等、特に簡単なことである。
【0017】
本発明の発展型として、スリーブが、少なくともフィルタ溝の第1の端部の領域において、管状部又は蓋部の外側又は内側により支持されている。
【0018】
したがって、フィルタ溝の第1の端部の領域においてフィルタ溝を通る流れは、大部分が妨げられる。結果として、フィルタ溝の第1の端部の構成は、流れ抵抗又はフィルタに進入する液体中で発生するいかなる乱流に関しても、無視できる程度の役割しか果たさない又は何も役割を果たさない。
【0019】
本発明の背景にある課題は、本発明に係るフィルタを有する高圧ノズルによっても解決される。
【0020】
本発明の発展型として、本発明に係る高圧ノズルに対して、スリーブが、少なくとも一部分において、管状部内に配置されており、フィルタを通る流路を形成しており、スリーブの自由流れ断面が、スリーブの下流側の端部において、ノズル筐体の自由流れ断面と一致する、との事項が設けられる。
【0021】
したがって、スリーブと、ノズル筐体内の流路の延長部と、の間の段無し移行が可能になる。よって、乱流の発生を防止することが可能になり、高圧ノズルの性能が改善される。
【0022】
本発明の背景にある課題はまた、高圧ノズルのためのフィルタの製造方法であって、フィルタの管状部及び/又は蓋部に、複数のフィルタ溝を、管状部の長手方向に平行に鋸により切る工程と、スリーブを、管状部と同軸に配置する工程と、を備え、結果として、スリーブがフィルタ溝の第1の端部の領域においてフィルタ溝を覆う方法によっても、解決される。
【0023】
フィルタの管状部及び/又は蓋部にフィルタ溝を鋸により切ることは、大量に製造する場合に、比較的簡単に且つ確実な工程によって達成することができる。ここでは、フィルタ溝をフライス加工するよりも、フィルタ溝を鋸により切ることが好ましい。これは、フィルタ溝の幅が通常1mm程度であり、そのような直径のフライスを操作することはとても慎重を要するからである。本発明にしたがってスリーブが管状部と同軸に配置され、結果としてスリーブがフィルタ溝の第1の端部の領域においてフィルタ溝を覆う場合には、フィルタ溝を鋸により切る際に形成されるフィルタ溝の凸状の端部は、もはや流体力学の観点において何も役割を果たさない。したがって、フィルタ溝を鋸で切ることの生産技術的な利点と、流れの観点において有利なフィルタ溝の第1の端部の構成と、を組み合わせることが、驚くべき簡単な方法によって可能である。
【0024】
本発明の発展型として、スリーブが管状部及び/又は蓋部内に配置される。
【0025】
本発明の発展型として、スリーブが管状部及び/又は蓋部の外側に配置され得る。
【0026】
本発明の範囲は、2つのスリーブの配置を含む、すなわち、第1のスリーブが管状部及び/又は蓋部内に配置され、第2のスリーブが管状部及び/又は蓋部の外側に配置される。そのような解決法は複雑だが、特別な取付条件、サイズ比率、又は、流れ状態が要求される場合には、用いられ得る。
【0027】
本発明の更なる特徴及び利点が、特許請求の範囲、並びに以下の発明を実施するための形態及び図面から明らかになるであろう。ここで、図示又は説明された異なる実施形態の個々の要素は、本発明の範囲を逸脱することなく、任意の望ましい態様で組み合わされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る高圧ノズルの下方からの斜視図である。
図2図1の高圧ノズルの背面図である。
図3図1の高圧ノズルの側面図である。
図4図1の高圧ノズルの正面図である。
図5図3中のA−A切断面に沿う断面図である。
図6図1の高圧ノズルのフィルタの上方からの斜視図である。
図7図6のフィルタの背面図である。
図8図6のフィルタの側面図である。
図9図6のフィルタの正面図である。
図10図8中のA−A切断面に沿った断面図である。
図11】他の実施形態に係る高圧ノズルのための本発明に係るフィルタの断面図である。
図12】本発明に係る高圧ノズルが適合された結合ニップルを示す図である。
図13図12中のA−A切断面に沿った断面図である。
図14図13中の詳細部Yの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明に係る高圧ノズル10を示しており、高圧ノズル10は、筐体12と、図1では断面のみが見て取れるノズル口14と、筐体12に連結されたフィルタ16と、を有している。
【0030】
噴霧される液体は、フィルタの長手方向に延びる複数のフィルタ溝18を通してフィルタ16に進入し、それらを通過してノズル筐体12の内部の流路(図1では見られない)内に流入する。噴霧される液体は、ノズル口14に、具体的にはノズル口14の出口開口に移動し、示された実施形態では、扇形の噴射の形状で現れる。
【0031】
示された高圧ノズル10は、鋼製品から付着物を取り除くために提供される。噴霧される液体の圧力は、典型的には、約50×105パスカル(約50バール)から数100×105パスカル(数100バール)、例えば800×105パスカル(800バール)、の範囲である。したがって、高圧ノズル10に対する機械的要求はかなりのものである、何故ならば、高圧ノズル10へと導く配管において圧力急上昇が起こる可能性があり、これらはまた重大な高圧力スパイクを有している可能性があるからである。フィルタ16は、通常、噴霧される液体が供給される配管内に突き出る。結果として、フィルタ16は、高い機械的応力にさらされ、噴霧される液体がフィルタ溝18を通して進入するときに発生する乱流もまた、不利な態様で高圧ノズル10の性能に影響する。
【0032】
図2は、図1の高圧ノズル10を後から示している、すなわち、流れの方向に沿って見た高圧ノズル10を示している。フィルタ溝18が、フィルタ16に半径方向に設けられていることが見て取れる。
【0033】
示された実施形態では、フィルタ16は、管状部20と、蓋部22と、を有している。フィルタ溝18は、管状部20の長手方向に延びており、蓋部22及び管状部20の双方に設けられている。
【0034】
図1及び図2におけるフィルタ溝18の端部から、フィルタ溝18が、その円周において線状のエッジとなっている円形(円盤)の鋸刃を用いて作製されることが見て取れる。このため、複数のフィルタ溝18の各端部も、エッジとして途切れている。ここで、本発明では、その円周のエッジにおいて長方形の構成である鋸刃によってフィルタ溝18を作製することも同様に考えられる。
【0035】
図3は、高圧ノズル10の側面図を示している。この図でも、管状部20の長手方向に導入されたフィルタ溝18が見て取れ、蓋部22から管状部20に延びている。図示の高圧ノズル10の実施形態では、フィルタ16の円柱部分が、管状部20として言及されている。次いで、管状部20の一端を終端させているほぼ半球の部分が、蓋部として言及されている。図示の実施形態では、フィルタ16は一体形のデザインである。フィルタ16は、例えば、旋削された真鍮キャップから作成することができ、当該旋削された真鍮キャップにフィルタ溝18が鋸により形成される。
【0036】
図4は、図1の高圧ノズル10を正面から示している。ノズル筐体12に加えて、出口開口24をともなうノズル口14が見て取れる。
【0037】
図5の断面図は、フィルタ溝18の構成を見て取ることを可能にする。フィルタ溝18の各々は、第1の端部26及び第2の端部28を有しており、第1の端部26は管状部20側に位置しており、第2の端部28は蓋部22側に位置している。したがって、流れの方向で見た場合に、第1の端部26は、高圧ノズル10を通る流れの方向においてフィルタ溝18の下流側の端に配置されており、第2の端部28は、フィルタ溝18の上流側の端に配置されている。上記の通り、端部26,28の双方が、エッジに向かって細くなっている。これは、フィルタ溝18が、エッジで細くなっている円形の鋸刃を用いて形成されるという事実によってもたらされる。上記の通り、フィルタ溝18の端部26,28は、長方形のエッジデザインの鋸刃を用いて切られる場合には、長方形の構成であり得る。
【0038】
図5では、フィルタ溝18が、右から鋸により切られる。円形の鋸刃が、右から左へと動かされ、したがって、先ず蓋部22を横断し、次いで管状部20へと進入する。次いで、鋸刃の送り動作が停止され、図5では左に配置されているフィルタ溝18の第1の端部26の形状が得られる。第1の端部26の形状は、鋸刃の外側輪郭線にしたがい、結果として凸状表面を形成する。この表面は、フィルタ16の中心に向かって鋭いエッジになっているが、図5では既にスリーブ30が配置されているため見て取ることができない。しかしながら、図11では、フィルタ16の中心孔32からフィルタ溝18への間の移行部におけるエッジが、どのように設計されているかを見て取ることができる。より具体的には、この縁エッジは、鋸刃の構成によってもたらされるジグザグ線にしたがう。図11のこのエッジの構成は、円周において先細りしたエッジをともなう鋸刃が使用されるために生じる。代わりに、先細りしていない長方形のエッジの鋸刃が使用された場合、ジグザグ線ではなく、互いに離間して配置され各々が長方形である複数の溝によって特徴付けられるエッジが得られる。
【0039】
全ての場合において、この鋭いエッジの輪郭は、流れに対して好ましくない構成であり、乱流の発生に寄与する。そのような乱流の形成を防止する、又は、少なくとも可能な限り防止するために、図5の実施形態に係るノズルのスリーブ30が、フィルタに挿入される。この目的のため、フィルタの中心孔は、段状のデザインとなっており、したがって、スリーブ30が左から図5のオフセット34までフィルタに挿入されることを許容する。オフセット34は、流れの方向に沿って見た場合に、フィルタ溝18の第1の端部26の上流側に位置している。結果として、フィルタ溝18を通して外部からフィルタ16に進入する液体は、上流であり図5において右側に位置するスリーブ30の端部に流入しなければならない。図5から、結果として、フィルタ溝18の第1の端部26の形状が、流入する液体に関してもはや実質的に何の役割も果たさないことが見て取れる。これは、液体に対する結果的な入口エッジが、上流であり図5において右側に位置するスリーブ30の端部によっていまや定義されるためである。結果として、スリーブ30が第1の端部26の領域においてフィルタ溝18を覆うため、いまやフィルタ溝の第1の端部26を通しては、弱い流れがあるのみである。
【0040】
スリーブ30の中心孔は、その上流側の端部、すなわち、図5において右に位置する端部において広くなるように形成されている。より具体的には、流れの方向と逆向きに広くなる円錐面36が、図示の実施形態では設けられている。噴霧される液体は、流れの方向においては先細りするこの円錐面36を経由して進入する。これにより、スリーブ30への入口における流れ抵抗が減少する。さらに、流れと逆向きのスリーブ30の端面、すなわち、図5において右に配置されたスリーブ30の端面は、流れ抵抗をさらに減少させるために、丸みを有することができる。ここで、図5において右に配置されているスリーブ30のこの端面が噴霧される液体によって衝突されるのは、フィルタ溝18の領域においてのみであることが考慮されるべきである。フィルタ溝18同士の間では、フィルタ溝18同士を分離しているウェブも、スリーブ30の端面を覆っている。
【0041】
図6から図10は、ノズル筐体12と組み付ける前のフィルタ16を示す。フィルタ16は、ねじを設けることができる円筒部38によって、筐体12に固定されている。
【0042】
フィルタ16には、フィルタ16を筐体12にねじ込むことを可能にするために、スパナのための2つの対向する平らな係合表面40が設けられている。
【0043】
上記のように、図11は、本発明に係るフィルタ16の他の実施形態を示す。繰り返しを防ぐため、図1から図10に示されたフィルタの要素と異なる要素のみがここでは説明される。
【0044】
図11のフィルタ16には、フィルタ16の半径方向の外側表面により支持されたスリーブ42が設けられている。結果として、スリーブ42は、フィルタ溝18の第1の端部26を覆い、これにより、フィルタ溝18の第1の端部26の形状が、増大された乱流を、さらには結果として、噴霧される液体がフィルタ16に進入するときの増大された流れ抵抗を引き起こす可能性を防ぐ。
【0045】
より具体的には、液体が、図11において右に位置するスリーブ42の端部、すなわち上流側の端部から、フィルタ溝18内に直接流れ込むことが、図11から見て取れる。対照的に、フィルタ溝18の第1の端部26の領域では、無視できる程度の流れがあるのみである。結果として、円形の鋸刃により溝を切ることによって決定されるフィルタ溝18の第1の端部26の形状は、わずかな乱流、及びわずかに増加した流れ抵抗のみを引き起こす。
【0046】
スリーブ42が、図11においてフィルタ16の外側に装着され、フィルタ16の外側表面により支持されているため、フィルタ16の中心孔32自体が、高圧ノズルを通る流路の一部を形成している。
【0047】
図1から図10の実施形態、及び図11の実施形態の双方において、スリーブ30及び42の各々が、フィルタ16の管状部20側に位置するフィルタ溝18の第1の端部26を覆い、これによって、噴霧される液体が、フィルタ16に進入した後に、通常であれば出口開口24に至るまでの残りの流路に配置される整流器によって実行可能な程度の、非常に小さな乱流にさらされることが見出された。結果として、本発明に係る高圧ノズル10は、低コストで製造できるうえに大変強力である、何故ならば、整流器はいつも同様に流れ抵抗を引き起こすからである。より具体的には、「衝撃」、すなわち、付着物が取り除かれる表面上に形成される扇形の噴射の接触衝撃は、従来技術に係る従来のノズルよりも大きい。
【0048】
フィルタへの入口流れが顕著に好ましくない場合には、整流器が、流れを落ち着かせる効果を有する。整流器を本発明に係る高圧ノズル内に設けることができ、例えば、スリーブ30内に取り付けることができる。
【0049】
図12は、本発明に係る高圧ノズル10が取り付けられた結合ニップル50の側面図を示す。しかしながら、図12では、高圧ノズル10は視認できない。結合ニップル50は、図12では上端に位置する自由端にユニオンナット54がねじ込まれた管状部52を有する。
【0050】
図12中のA−A切断面に沿った図13の断面図では、高圧ノズルの筐体12が結合ニップル50に対してユニオンナット54により予圧されていることがわかる。したがって、高圧ノズル10は、信頼性のある状態に保持されるにもかかわらず、結合ニップル50に対して容易に交換可能である。結合ニップル50を、噴霧される液体が供給される管の端部に取り付けることができる。しかしながら、結合ニップル50はまた、例えば、結合ニップル50に対して垂直に延びる管に溶接可能である。
【0051】
図14は、図13中の詳細部Yの拡大図を示す。図14は、ノズル口14に設けられ扇形の噴射が現れる出口開口24を示す。流れの方向と逆向きに見た場合、すなわち、図14において上端から下端に見た場合、ノズル筐体12内において、口14には、先ず、リングシール56が続き、次いで、中間スリーブ58が続き、次いで、適切である場合には更なるリングシール(不図示)の挿入物が続き、フィルタ16に挿入されるスリーブ30が続く。スリーブ30内の流路の直径が、中間スリーブ58の上流側の端部における流路の直径に一致することが見て取れる。結果として、噴霧される液体は、小さな圧力損失で出口開口24を通ることができる。
【0052】
ノズル口14は、有利には、高圧ノズル10の長い耐用年数を確保するために、硬い金属から成る。
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