(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出される1つ以上の有害な化合物の量を減少させるため、動物の飼料転換率を増加させるため、動物の飼料効率を増加させるため、および/または動物の成長速度を高めるための、請求項9〜17のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゆえに、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出される有害な化合物の量を減少させる方法(例えば、動物排泄物のアンモニアおよび/またはリンの含有量を減少させるための方法)が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態において、動物排泄物の環境影響を減少させるための方法が提供され、その方法は、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出される有害な化合物の量を減少させる有効量の酵素を動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、動物排泄物中のアンモニアの量を減少させるため方法が提供され、その方法は、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出されるアンモニアの量を減少させる有効量の酵素を動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、動物排泄物中のリンの量を減少させるための方法が提供され、その方法は、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出されるリンの量を減少させる有効量の酵素を動物に投与する工程を含む。動物におけるリンの消化を増加させるための方法も提供され、その方法は、有効量のアルカリホスファターゼをその動物に投与する工程を含む。
【0006】
これらの方法のいずれかにおいて、酵素は、経口的に投与され得る。
【0007】
これらの方法のいずれかにおいて、酵素は、アルカリホスファターゼであり得る。
【0008】
これらの方法のいずれかにおいて、動物は、家禽またはブタ動物であり得る。
【0009】
これらの方法のいずれかにおいて、酵素は、離乳期(starter phase)、育成期(grower phase)および/または仕上げ期(finisher phase)の1つ以上の間に投与され得る。
【0010】
これらの方法のいずれかにおいて、酵素は、動物飼料(例えば、離乳飼料(starter feed)、育成飼料(grower feed)または仕上げ飼料(finisher feed))として製剤化され得る。
【0011】
これらの方法のいずれかにおいて、酵素は、動物飼料の添加物として製剤化され得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出される有害な化合物の量を減少させる有効量の酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物が提供される。いくつかの実施形態において、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出されるアンモニアの量を減少させる有効量の酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物が提供される。いくつかの実施形態において、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出されるリンの量を減少させる有効量の酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物が提供される。
【0013】
これらの組成物のいずれかにおいて、組成物は、酵素に対する経口的に許容可能な担体を含み得る。
【0014】
これらの組成物のいずれかにおいて、酵素は、アルカリホスファターゼであり得る。
【0015】
これらの組成物のいずれもが、家禽またはブタへの投与に好適であり得る。
【0016】
これらの組成物のいずれもが、動物飼料(例えば、離乳食餌、育成食餌または仕上げ食餌)であってもよいし、動物飼料添加物であってもよい。
【0017】
以下の記述において使用されるように、用語「a」または「an」は、別段特定されない限り、1つ以上を包含すると理解されるべきである。
【0018】
本明細書中で使用されるとき、用語「動物」とは、ヒトおよび他の動物(コンパニオンアニマル(例えば、イヌおよびネコ)、家畜(例えば、ウシおよび他の反芻動物、スイギュウ、ウマ、ブタ(例えば、子ブタまたは雄ブタ)、ヒツジ、家禽(fowl)または家禽(poultry)(例えば、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウおよびガチョウ)および水産養殖動物(例えば、魚類ならびにエビおよびウナギ))を含む)を含む任意の動物のことを指す。幼若動物は、離乳(または離乳前)カテゴリーまたは育成カテゴリーに入る動物である。好ましくは、幼若動物は、離乳(または離乳前)カテゴリーに入る。ブタの場合、25キログラム未満の動物も、幼若動物とみなされる。
【0019】
動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出される有害な化合物(例えば、アンモニア(NH
3)またはリン(P))の量を減少させるのに有効な酵素を動物に投与する工程を含む方法およびそのような方法における使用に適した組成物が本明細書中に記載される。その方法は、家禽およびブタの生産を含む動物生産の状況においていくつかの利点を提供する。例えば、その方法は、動物生産システムへのリン酸投入量の減少、動物糞便中のアンモニアの減少、動物舎の屋内アンモニア濃度を希薄化するための循環空気の所要量の減少(およびそれに伴う省エネルギー)、および排気をさらに処理する必要性の低下などの利点を提供し得る。
【0020】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、下記に報告される結果は、本明細書中に記載される方法が、動物(例えば、幼若ブロイラー)がその食餌中に存在するリンを利用および消化することを助け得、そしてその後、成長速度をより良好にし得ることおよび排出による栄養分損失をより少なくし得ることを示唆する。さらにまたはあるいは、酵素処置によって、腸内の好ましい細菌集団の代謝および増殖が高まることがあり、食餌中のより一層の過剰量の窒素が、通常は分解されてNH
3として排出される尿酸の代わりに細菌タンパク質として糞便に残るので、本明細書中に記載される方法は、NH
3排出を減少させ得る。さらに、処置動物の糞便におけるより低いpHとより少ない窒素含有量の両方が、糞便中での気体NH
3の形成を抑止および阻止し得、NH
3排出を減少させ得る。尿酸(家禽糞便中の主要な窒素源)のpHと分解との関係は、pHの急激な上昇が家禽糞便の尿酸含有量の減少に関連し得ると報告されている。Elliot & Collins,1982,Transactions of ASAE 25:413−24は、貯蔵糞便における高pHが、NH
3としての窒素損失の大部分をもたらし得ることを示唆した。さらに、動物排泄物のリン含有量の減少は、細菌叢などの糞便の他の特性に影響し得る。
【0021】
特定の実施形態において、酵素は、アルカリホスファターゼ(AP)(EC3.1.3.1)である。アルカリホスファターゼは、原核生物、および哺乳動物(ヒトを含む)を含む真核生物に存在する。例えば、アルカリホスファターゼは、天然には、母乳および腸に存在し、消化および消化制御において重要な役割を果たす。アルカリホスファターゼは、治療の状況(例えば、癌、糖尿病および体重減少の処置)において使用するために研究されている。様々なアルカリホスファターゼの1次構造の比較から、高い相同性が示された(E.coliと哺乳動物との間で25〜30%の相同性)。Millan,1988 Anticancer Res.8,995−1004;Harris,1989 Clin.Chim.Acta 186,133−150。アルカリホスファターゼファミリーとしては、組織特異的AP(胎盤AP(PLAP)、生殖細胞AP(GCAP)および腸管AP(lAP)、ならびに主に肝臓、腎臓および骨に位置する組織非特異的AP(TnAP)が挙げられる。米国特許第6,884,602号は、酵母におけるアルカリホスファターゼの発現を報告している。数百の微生物アルカリ(alakaline)ホスファターゼが記載されている。例えば、BRENDA:The Comprehensive Enzyme Information System,http://www.brenda−enzvmes.orglphp/result flat.php4?ecno=3.1.3.1を参照のこと。さらに、高い活性などの所望の特性を有する酵素を産生するように生物を操作することができる。例えば、Du et al.J.Mol.BioI.316:941−53(2002);Dea1wis et al.,Biochem.34:13967−73(1995);Koutsioulis et al.,Protein Eng’g Design & Selection 21:319−27(2008)を参照のこと。
【0022】
本発明は、配列番号1のアルカリホスファターゼ、または配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を有するアルカリホスファターゼも提供する。以下は、配列番号1である:
VNKLLKGLAIGGIVLAVVSAGTLAVAKENASRAESSNGQSKNLIVLIGDGMGPAQVSAARYFQQHKNNINSLNLDPYYVG
QATTYADRGEDGGHIVSGIVTSSASAGTAFATGNKTYNAAISVSNEDVSRPFASVLEAAELSGKSTGLVTTARITHATPA
VYASHVRSRDNENAIAFQYLDSGIDVLLGGGESFFVTKEEKGKRNDKNLLPEFEAKGYKVVKTGQSLKSLSAKDAKVLGL
FGGSHIAYVPDRSDETPSLAEMTSKALEILSTNENGFAIMIEGGRIDHAGHANDFPTMVQEALDFDEAFKVAIDFAKKDG
NTSVVVTADHETGGLSLSRDNIYELNVDLWNKQKNSSESLVSALNEAKTIADVKKIVSDNTWITDLTNEEAQYILDGDGS
SYKREGGYNAVISKRLLVGWSGHGHSAVDVGVWAYGPIADKVKGQIDNTRIATASAEVLGVDLKKATADLQSKYLYPKFK
INRNKEVLFPAKPLAEALGGKYQAANGTATISGMSGTITVDLNAKKAKLSGNSSSITIDVDNDVLYLPLTAFSQITGQTL
KWDALSERIMLK
【0023】
本発明は、配列番号1と少なくとも71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%の配列同一性を有するアルカリホスファターゼも提供する。本発明は、上記アルカリホスファターゼの少なくとも1つを含む組成物、ならびに動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出される1つ以上の有害な化合物の量を減少させるため、動物の飼料転換率を増加させるため、動物の飼料効率を増加させるためおよび/または動物の成長速度を高めるために、そのようなアルカリホスファターゼを使用する方法も提供する。
【0024】
配列同一性とは、配列比較アルゴリズムを使用するまたは手動でのアラインメントおよび目視検査によって比較され、比較範囲または測定される指定の領域にわたって対応が最大になるようにアラインメントされるとき、特定のパーセンテージの同一アミノ酸残基を有する(すなわち、例えば、少なくとも70%の同一性を共有する)配列のことを指す。
【0025】
特定の実施形態において、上記方法は、動物の廃棄物に存在するまたは動物の廃棄物から放出されるアンモニア(NH
3)またはリンの量を減少させるのに有効な量のアルカリホスファターゼなどの酵素を動物に投与する工程を含む。その量は、動物、動物の食餌および他の因子に応じて変動し得、当該分野で公知の方法を使用して当業者によって容易に決定され得、実施例に例証され得る。例えば、所与の動物が所与の条件下で生育されたときの動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出されるアンモニア(NH
3)および/またはリンの量は、測定することができ、同等の条件下で生育されただけでなくアルカリホスファターゼなどのある量の酵素も投与された動物の動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出される量と比較することもできる(この点において、下記の実施例に記述されるように、糞便の特性は齢とともに変化し得るので、同齢の処置動物とコントロール動物とを比較することが有益であり得る)。酵素の投与に伴う糞便のアンモニア(NH
3)および/もしくはリンの含有量または放出の減少は、有効量の酵素が投与されたことを示唆する。
【0026】
酵素は、典型的には、経口的に投与される。しかしながら、本発明は、酵素が、公知の慣習に従って他の経路によって腸または消化管に投与される(例えば、坐剤などを介して)実施形態も包含する。
【0027】
酵素は、経口投与に適した任意の形態(例えば、液体、固体、粉末、ゲルなど)で提供され得る。酵素は、単独で投与され得るか、または経口投与に適した任意の組成物として製剤化され得る。いくつかの実施形態において、経口投与に適した組成物は、動物への経口投与にとって安全であると広く認識される。例えば、経口投与に適した組成物は、動物への経口投与にとって安全であると広く認識されている成分だけ、およびそのように認識されている量の前記成分を含み得、かつ動物への経口投与にとって安全であると広く認識されないいかなる成分も含まないか、またはそのように認識されていない量の前記成分を含まない。さらにまたはあるいは、経口投与に適した組成物は、動物への経口投与に対して許容されているもしくは禁止されていない成分だけ、およびそのような量の前記成分を含み、かつ動物への経口投与に対して許容されていないもしくは禁止されているいかなる成分も含まないかまたはそのような量の前記成分を含まない。
【0028】
いくつかの実施形態において、組成物は、酵素に対する経口的に許容可能な担体を含む。本明細書中で使用されるとき、「経口的に許容可能な担体」は、経口投与に適した任意の生理的に許容可能な担体を含む。経口的に許容可能な担体としては、動物飼料製品における使用および/または動物への経口投与に適した、動物飼料組成物、水性組成物ならびに液体および固体の組成物(液体および固体の動物飼料添加物を含む)が挙げられるがこれらに限定されない。好適な担体は、当該分野で公知であり、その好適な担体としては、米国特許第6,780,628号に記載されている担体が挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態において、組成物は、動物飼料である。本明細書中で使用されるとき、用語「動物飼料」は、畜産の分野におけるその従来の意味を有する。例えば、動物飼料は、家畜がその栄養的価値のために消費する可食の材料を含む。動物飼料は、飼料配給量(feed rations)、例えば、動物の栄養所要量を満たす組成物を含み、動物の栄養所要量を満たさない組成物も含む。いくつかの実施形態において、動物飼料は、離乳期間中に使用するために製剤化された離乳飼料である。他の実施形態において、動物飼料は、育成期間中に使用するために製剤化された育成飼料である。他の実施形態において、動物飼料は、仕上げ期間において使用される仕上げ飼料である。
【0030】
動物飼料の実施形態の特定の例において、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ)の量は、飼料1米トンあたり少なくとも約10,000国際単位(IU)、飼料1米トンあたり少なくとも約15,000国際単位(IU)、飼料1米トンあたり少なくとも約20,000国際単位(IU)、飼料1米トンあたり少なくとも約25,000国際単位(IU)、飼料1米トンあたり少なくとも約30,000国際単位(IU)、飼料1米トンあたり少なくとも約35,000国際単位(IU)、飼料1米トンあたり少なくとも約40,000国際単位(IU)、飼料1米トンあたり少なくとも約45,000国際単位(IU)、飼料1米トンあたり少なくとも約50,000国際単位(IU)、飼料1トンあたり少なくとも約60,000IU、飼料1トンあたり少なくとも約70,000IU、飼料1トンあたり少なくとも約80,000IU、飼料1トンあたり少なくとも約90,000IU、飼料1トンあたり少なくとも約100,000IU、飼料1トンあたり少なくとも約200,000IU、飼料1トンあたり少なくとも約500,000IUもしくは飼料1トンあたり少なくとも約3,000,000IUまたはそれ以上である。
【0031】
いくつかの実施形態において、酵素の量は、約25〜約75MU/トンの範囲内である(MU=124,000IU)。いくつかの実施形態において、酵素の量は、少なくとも約2MU/トン(240,000IU/トンまたは264IU/kg)である。
【0032】
動物飼料実施形態の他の特定の例において、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ)の量は、少なくとも約10IU/kg飼料、少なくとも約15IU/kg飼料、少なくとも約20IU/kg飼料、例えば、少なくとも20IU/kg飼料、少なくとも25IU/kg飼料、少なくとも30IU/kg飼料、少なくとも35IU/kg飼料、少なくとも40IU/kg飼料、少なくとも45IU/kg飼料、少なくとも50IU/kg飼料、少なくとも550IU/kgまたはそれ以上である。
【0033】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出される有害な化合物(例えば、アンモニア(NH
3)および/またはリン)の量を減少させるおよび/またはリンの消化を増加させるのに有効な量のアルカリホスファターゼなどの酵素を含む動物飼料を提供する。
【0034】
飼料組成物は、当該分野で公知の方法によって調製され得る。例えば、酵素は、当業者によって適切であると見なされる製造プロセス中の任意の段階において他の飼料成分に加えられ得る。1つの実施形態において、酵素は、溶液(例えば、製造プロセス中に他の飼料成分に加えられる液体酵素濃縮物)として提供される。あるいは、酵素含有溶液が、実質的に最終的な形態の動物飼料に噴霧される。別の実施形態において、酵素は、固体組成物(例えば、粉末)(例えば、製造プロセス中に他の飼料成分に加えられる固体組成物)として提供される。酵素含有飼料を製造するための例示的な方法は、WO97/41739に記載されている。
【0035】
いくつかの実施形態において、組成物は、動物飼料以外である。例えば、組成物は、動物飼料以外の液体組成物または動物飼料以外の固体組成物であり得る。そのような組成物は、動物への直接投与に好適であり得るか、または飼料添加物(例えば、給餌の前に飼料に加えられるもの)もしくは飼料サプリメント(給餌の前に他の飼料成分で希釈されるサプリメントおよび自由選択の別個の根拠に基づいて動物に提供されるサプリメントを含む)として使用され得る。動物飼料以外の液体組成物の例としては、液体酵素濃縮物(典型的には、動物に経口投与する前に、他の成分で希釈されるかまたは他の成分と混和される液体酵素濃縮物を含む)が挙げられる。
【0036】
組成物が酵素溶液などの動物飼料以外の液体組成物である実施形態において、その液体組成物または溶液は、溶液1リットルあたり少なくとも約40,000国際単位(IU)(例えば、少なくとも40,000IU/L、少なくとも50,000IU/L、少なくとも60,000IU/L、少なくとも70,000IU/L、少なくとも80,000IU/L、少なくとも90,000IU/L、少なくとも100,000IU/L、少なくとも約500,000IU/L、少なくとも約600,000IU/L、少なくとも約700,000IU/L、少なくとも約800,000IU/L、少なくとも約900,000IU/L、少なくとも約1,000,000IU/L、少なくとも約2,000,000IU/L、少なくとも約5,000,000IU/Lまたは少なくとも約200,000,000IU/L)の量で酵素(例えば、アルカリホスファターゼ)を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、動物飼料以外のある量の液体組成物(例えば、約500mLまたは1000mLの溶液)は、上に記載された酵素レベルを有する飼料配合物に到達するようにある量の飼料(例えば、1トンの飼料)に適用されるか、またはそのような量の飼料と混和される。他の実施形態において、動物飼料以外のある量の液体組成物は、動物排泄物に存在するもしくは動物排泄物から放出される有害な化合物(例えば、アンモニア(NH
3)および/またはリン)の量を減少させるおよび/またはリンの消化を増加させるのに有効な量の酵素を含む動物飼料を調製するために、ある量の飼料に適用されるかまたはとそのような飼料と混和される。
【0038】
組成物が動物飼料以外の固体組成物である実施形態において、その組成物は、少なくとも約40,000IU/kg(例えば、少なくとも40,000IU/kg、少なくとも50,000IU/kg、少なくとも60,000IU/kg、少なくとも70,000IU/kg、少なくとも80,000IU/kg、少なくとも90,000IU/kg、少なくとも100,000IU/kg、少なくとも120,000IU/kg、少なくとも140,000IU/kg、少なくとも160,000IU/kg、少なくとも180,000IU/kg、少なくとも200,000IU/kgもしくは少なくとも60,000,000IU/kgまたはそれ以上)の量で酵素(例えば、アルカリホスファターゼ)を含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、動物飼料以外のある量の固体組成物は、上に記載された酵素レベルを含む飼料配合物に到達するようにある量の飼料に適用されるか、またはそのような量の飼料と混和される。他の実施形態において、動物飼料以外のある量の固体組成物は、動物排泄物に存在するもしくは動物排泄物から放出される有害な化合物(例えば、アンモニア(NH
3)および/またはリン)の量を減少させるおよび/またはリンの消化を増加させるのに有効な量の酵素を含む動物飼料を調製する量の飼料と混和される。
【0040】
他の実施形態において、酵素は、経口摂取用のカプセルまたは錠剤の形態で提供される。
【0041】
当該分野における従来のとおり、用語「IU」または「国際単位」とは、その酵素にとって最適な条件下において1分あたり1マイクロモルの基質の変換を触媒する酵素の量のことを指す。本明細書中で使用されるとき、「MU」(Million Chemgen単位)=120,000IU(1IU=8.33ChemGenU)である。多くの酵素に対する重量当量(Weight equivalents)は、当該分野で公知であり、標準的なアッセイを用いて測定することができる。当該分野で公知であるように、緩衝液および/または基質の選択は、測定される単位に影響し得る。アルカリホスファターゼ活性に対する標準的なアッセイは、当該分野で公知である。例えば、Davidson,Enzyme Microb.Techno1.1:9−14(1979);Gonzalez−Gil et al.,Marine Ecol.Prog.Ser.164:21−35(1998);Sekiguchi et al.,Enzyme Microb.Technol.49:171−76(2011);Simpson et al.,Promega Notes 74:7−9を参照のこと。
【0042】
本発明の1つの実施形態において、本発明の乾燥組成物は、完成飼料1メートルトンあたり100gより多い量で存在する。本発明の1つの実施形態において、本発明の乾燥組成物は、完成飼料1メートルトンあたり500gより多い量で存在する。
【0043】
本発明の1つの実施形態において、本発明の乾燥組成物は、濃縮プレミックス1メートルトンあたり10g〜30gの量で存在する。本発明の1つの実施形態において、本発明の乾燥組成物は、濃縮プレミックス1メートルトンあたり約20gの量で存在する。
【0044】
本発明の1つの実施形態において、本発明の液体組成物は、完成飼料(液体)1メートルトンあたり100ml未満の量で存在する。本発明の1つの実施形態において、本発明の液体組成物は、完成飼料(液体)1メートルトンあたり50〜100mlの量で存在する。
【0045】
本明細書中に記載される方法および組成物の任意の実施形態における使用に対して、アルカリホスファターゼなどの酵素は、商業的供給源から入手することができる。あるいは、酵素(アルカリホスファターゼを含む)は、酵素を産生する微生物(例えば、細菌、真菌および酵母)から得ることができる。
【0046】
さらに、酵素は、当該分野で公知の組換え技術法を用いて、例えば、酵素を産生するように宿主細胞を遺伝的に操作することによって、例えば、酵素をコードする遺伝子の転写および翻訳を引き起こすことによって、得ることができる。公知のアミノ酸配列またはそれらの配列をコードする公知のヌクレオチド配列を用いて、当業者は、酵素の組換え発現に適した遺伝子をデザインすることができる。さらにまたはあるいは、アルカリホスファターゼなどの公知の酵素をコードするヌクレオチド配列を使用してDNAライブラリーを探索することにより、本明細書中に記載される方法における使用に適した酵素をコードする他のヌクレオチド配列を識別することができる。当該分野で公知であるように、そのようなDNAライブラリーは、規定の生物もしくは生物集団から得ることができるか、または自然源から得ることができ、ゆえに、培養しにくい微生物由来のDNAに相当する。
【0047】
本明細書中に記載される方法および組成物の任意の実施形態において、アルカリホスファターゼなどの酵素は、動物飼料に使用される植物によって発現され得る。例えば、トウモロコシを、アルカリホスファターゼを発現するように遺伝的に操作することができ、得られた遺伝的に改変されたトウモロコシ生成物を、飼料に使用することができる。他の遺伝的に改変されたまたは古典的に改変された系、例えば、細菌、例えば、E.coli、Bacillus sp.、Lactobacillus;酵母、例えば、Pichia、Yarrow、Saccharomyces、Schizosaccharomyces(例えば、Schizosaccharomyces pomb、Hansenula、Kluyveromyces、Candida)および他の真菌類(例えば、Aspergillu、Rhizopus、Tricoderma、Humicola、PenicilliumおよびHumicola)を用いて産生させることもできる。特定の実施形態において、アルカリホスファターゼなどの酵素は、Bacillus lentusから得られる。
【0048】
組成物が酵素の組み合わせを含む実施形態において、それらの酵素は、個々に別個の生物によって産生されてもよいし、それらの酵素の2つ以上が、単一の生物によって産生されてもよい。例えば、単一の生物を、当該分野で公知の方法によって2腫以上の酵素を産生するように組換え的に操作することができる。
【0049】
上で述べたように、本発明は、動物排泄物の環境影響を減少させるための方法を含み、その方法は、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出される有害な化合物の量を減少させる有効量の酵素を動物に投与する工程を含む。本発明はまた、動物排泄物中のアンモニアの量を減少させるための方法も含み、その方法は、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出されるアンモニアの量を減少させる有効量の酵素を動物に投与する工程を含む。本発明はまた、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出されるリンの量を減少させるための方法も含み、その方法は、動物排泄物に存在するリンの量を減少させる有効量の酵素を動物に投与する工程を含む。その酵素は、単独で、または上に記載された任意の組成物(動物飼料などの経口組成物、動物飼料以外の液体組成物、または動物飼料以外の固体組成物を含む)として、投与され得る。その動物は、任意の動物(ヒトまたは食肉生産動物を含む)であり得、健常な動物あるいは感染症または他の疾患もしくは状態に罹患している動物であり得る。
【0050】
これらの方法のいずれかにおいて、酵素は、経口的に投与され得、アルカリホスファターゼであり得る。
【0051】
これらの方法のいずれかにおいて、動物は、家禽動物(例えば、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウまたはガチョウ)またはブタ動物(例えば、子ブタまたは雄ブタ)であり得る。これらの方法のいずれかにおいて、酵素は、離乳期、育成期および/もしくは仕上げ期の1つ以上の間に、または任意の段階もしくはすべての段階において投与され得る。
【0052】
これらの方法のいずれかにおいて、酵素は、動物飼料(離乳飼料、育成飼料または仕上げ飼料を含む)として製剤化され得る。あるいは、これらの方法のいずれかにおいて、酵素は、動物飼料の添加物として製剤化され得る。
【0053】
上で述べたように、本発明は、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出される有害な化合物の量を減少させる有効量の酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物も含む。本発明は、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出されるアンモニアの量を減少させる有効量の酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物も含む。本発明は、動物排泄物に存在するまたは動物排泄物から放出されるリンの量を減少させる有効量の酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物も含む。これらの組成物のいずれかにおいて、組成物は、その酵素に対する経口的に許容可能な担体を含み得る。上で述べたように、酵素の有効量は、動物ごとおよび酵素ごとに異なり得るが、上に記載されたようにおよび実施例3に例証されるように、当業者によって容易に決定され得る。
【0054】
これらの組成物のいずれかにおいて、酵素は、アルカリホスファターゼであり得る。
【0055】
これらの組成物のいずれかにおいて、組成物は、家禽(例えば、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウまたはガチョウ)またはブタ(例えば、子ブタまたは雄ブタ)への投与に好適であり得る。
【0056】
これらの組成物のいずれかにおいて、組成物は、離乳飼料食餌または育成飼料食餌などの動物飼料であり得る。あるいは、これらの組成物のいずれかにおいて、組成物は、動物飼料添加物であり得る。
【0057】
本発明の実施形態のいずれかにおいて、1つ以上のさらなる活性成分が使用され得る。さらなる活性成分の例は、本発明の酵素と同じまたは異なる特性を有し得る別の酵素である。
【0058】
以下の実施例は、本発明をさらに例証するものであって、本発明は、詳細に例示される実施形態に限定されない。
【実施例】
【0059】
実施例1
2つの飼料添加物処理(マンナナーゼHT−「HT」およびアルカリホスファターゼ「AP」)からの、ブロイラー糞便サンプルのアンモニア(NH
3)排出を、6週間の成長完了(grow−out)期間中に評価した。マンナナーゼHTを60MU/トン(240,000IU/トン)で加え、APを141MU/トンの平均値で加えた。3つの処理(コントロールを含む)によるブロイラーの飼料および水の消費量、糞便生成量ならびに飼料効率を測定し、報告した。新鮮糞便サンプルの窒素含有量、水分含有量およびpHを解析した。この実験を、気温および換気速度が制御された排出容器内で行った。
【0060】
ブロイラー鳥への添加物の供給は、気体の排出および生成成績に対して以下の影響を及ぼすと示された:
(a)HTまたはAPを与えられたブロイラーに対して観察された飼料消費量、飼料効率、糞便水分含有量およびpHは、コントロール食餌を与えられた鳥と比べて有意差はなかったが、AP食餌からの糞便は、コントロール群の糞便よりも低いpHを示した。
(b)HT群とコントロール群との間にNH
3の排出率(ER)および累積排出量に差はなかった。
(c)AP食餌を与えられたブロイラーは、コントロール食餌およびHT食餌を与えられたブロイラーよりもNH
3排出が少ない傾向があった。
(d)NH
3ERは、28および42日から劇的に変化し、指数関数的に増加した。
(e)AP食餌によるNH
3ERの有効性は、3つの試験期間中、齢依存的である傾向があった。
(t)5日間の貯蔵期間にわたる全体のNH
3ER率は、AP群の35日齢の鳥では−7.4%および28日齢の鳥では42.2%だった。
【0061】
材料および方法
117羽の1日齢の雌Ross708ヒヨコを、3つの育雛室(brooding houses)(7.4ft×7.4ft,W×L)に等しく分配した。単一の檻を備える各育雛室内の鳥に4日齢においてCoccidia生ワクチンを接種し、それらの鳥は、水および3種の実験食餌(HT、MTまたはコントロールを含む離乳食餌)のうちの1つを自由に摂取できた。育雛室は、同じ温度設定および照明プログラムを有した。20日齢になった後、96羽を、換気された家禽舎(9ft×9ft,W×L)内の成長完了ケージに移し、1ケージ(30in×59in,W×L)あたり8羽の群で収容した。
【0062】
引き続いて、成長完了に向けてそれらの鳥に対して3種の育成食餌を与えた。各ケージ内の8羽はすべて、3つの処理のうちの1つ由来だった。35日齢になった後、6羽を各ケージに残して、動物福祉の基準を満たした。合計12個のケージを、位置の影響を最小にするために、ランダムに3種の食餌に割り当てた。各ケージ内の鳥の新鮮糞便を、5日間にわたるNH3排出の評価および解析のために23、28、35および42日目に糞便パンを用いて回収した。
【0063】
12個の5ガロン(19リットル)排出容器(EV)を使用して、評価を行った。各バッチの12個の糞便サンプルを回収し、2.2lb(1kg)2.2lb(1kg)の糞便サンプルを、各サンプルが50インチ
2(324cm
2)の表面積を有するようにランダムに12個のEVに入れ、68°F(20℃)の気温および6.4ft
3/時(3L/分)の気流速度を用いた5日間にわたって、気体の排出について測定した。吸気口と排気口の両方に、気密性の蓋を設置した。テフロン管(直径114inまたは0.635cm)を排出容器系において使用した。それらの容器を陽圧下で操作した。隔膜ポンプ(Model DDL−80,Gast Inc.,Benton Harbor,MI)を使用して、排出容器に新鮮な空気を供給した。その新鮮な供給空気の流速は、空気流量制御装置(0〜100LPM、ステンレス鋼の湿った部品を備える、Aalborg,Orangeburg,NY)を用いて制御され、測定された。供給空気は、12個の同一の流量計(0.2〜5LPM,ステンレス鋼弁,Dwyer Instruments,Inc.,Michigan City,IN)を介して空気をさらに分割する分配マニホールドに接続された。各容器は、1.5ヘッドスペースを均一に混合するために、蓋の2in(5cm)下に位置する小型の撹拌ファン(12VDC)を備えた。それらの容器から排出された気体を、建物の排気口に通じる通常の1.5in(3.75cm)のPVC管に接続した。12個の容器の各々からの排気サンプルおよび供給空気サンプルを、安定化のための最初の3分および測定のための最後の2分とともに、5分間隔で連続的に採取し、解析した。これにより、各容器に対して65分間の測定サイクルがもたらされた。この連続的なサンプリングを、12個のソレノイド弁(Type6014,24V,ステンレス鋼弁本体.Burkert,Irvine,CA)の制御された操作によって行った。毎週検証して必要に応じてゼロ校正された光音響マルチガスアナライザー(INNOVA 1412,INNOVA,Denmark)およびNH
3較正用ガスを用いてNH
3濃度を測定した。気温を、タイプT熱電対(0.5°F分解能)を用いて測定した。熱電対、マルチガスアナライザーおよび質量流量計からのアナログ出力を、1秒間隔でサンプリングし、1分間隔で測定および制御ユニット(USC−2416,Measurement Computing Corp.,Norton,MA)に記録を残した。
【0064】
排出測定を完了するために7週間を用いた。糞便の栄養分および特性(全ケルダール態窒素(TKN)、アンモニア態窒素、水分およびpHを含む)の解析のために、凍結糞便サンプル(0.25lb/サンプル)をUniversity of Delawareの土壌および水の検査研究室に送付した。JMP9.0(SAS Institute,Inc.,Cary,NC)を使用して統計解析を行った。食餌の影響は、P値≦0.05において有意であると見なした。
【0065】
生成成績および糞便特性
3種の食餌からのブロイラーの生成成績および新鮮糞便特性を、表1および2に示す。
【表1】
【表2】
【0066】
生成成績および糞便特性について、3種の食餌の間に有意差は無かった(0.05のP)。3種の食餌からの窒素含有量(アンモニア態窒素:NH
4+−Nおよび全ケルダール態窒素:TKN)は、類似のレベルだった(P>0.28)。HTおよびAP食餌は、成長完了の間、わずかにより低い糞便pHを有する傾向があった。より幼若な鳥の新鮮糞便は、より高齢の鳥よりも酸性だった。
【0067】
アンモニアの排出および減少
3種の食餌に対する5日間の貯蔵期間にわたるNH
3の1日ERおよび累積排出量を表3に要約し、示す。
【表3】
【0068】
NH
3ERは、AP食餌に対する5日間の貯蔵期間中、23および28日が最も低かった。HT食餌とコントロール食餌との間にNH
3ERおよび累積排出量の差は無かった。AP食餌とコントロール食餌との間にいくらかの有意差があった(P<0.05)。例えば、28日齢の鳥の4日目および5日目のNH
3ERは、有意に低かった(P=0.02)。NH
3ERは、28および42日から劇的に変化し、指数関数的に増加した。例えば、5日間の貯蔵の2日目の35日齢の鳥のERは、18.2mg/羽/日であり、これは、28日齢の鳥のER(1.01mg/羽/日)よりもかなり高かった。この変化は、糞便のpHが5.5未満から6.5に上昇する傾向に関連し得る。アンモニア態Nは、NH
4+の形態であり、低pHでは揮発性ではない。
【0069】
AP食餌によるNH
3排出減少の有効性は、この試験期間中、齢依存的である傾向があった。AP食餌によるNH
3排出減少の有効性は、鳥の齢が上がるにつれて低下した(表4)。
【表4】
【0070】
比較すると、NH
3ERの減少は、貯蔵時間後に、AP食餌の場合、23日齢の鳥の57.7%から42日齢の鳥の19.1%まで様々だった。5日間の全NH
3排出減少率は、APレジメンの場合、35日齢の鳥で−7.4%および28日齢の鳥で42.2%だった。
【0071】
微生物の活性がかなり変動するので、変動する食餌の有効性の結果は、糞便特性、特に、水分含有量およびpHの変化に起因し得る。生産条件下において、幼若な鳥を含むブロイラー舎は、限られた換気、暖房エネルギーの節約およびガス使用量の減少に起因して鳥のレベルにおいてより高いNH
3濃度を有する傾向がある。幼若な鳥を含むブロイラー舎からのNH
3排出を減少させることは、健常な群を確立することおよび高NH
3濃度に関連する疾患発生のリスクを低下させることを助けるだろう。
【0072】
実施例2
この研究では、酵素飼料添加物(アルカリホスファターゼ−AP)を与えられたブロイラーチキンのアンモニア(NH
3)排出を、30日の成長完了期間中に評価した。それらのブロイラーを、12日齢まで木の削りくずの上で育雛させ、残りの成長完了期間はケージに移動させた。新鮮糞便を、14、22および30日目に回収し、気温および換気速度を制御して、排出容器内でNH
3排出について試験した。ブロイラーの飼料および水の消費量、糞便生成量ならびに飼料効率を測定し、報告した。新鮮糞便サンプルの栄養分含有量、水分およびpHを解析した。ブロイラー鳥への酵素添加物の供給は、気体の排出および生成成績に対して以下の影響を及ぼすと示された:
(a)AP食餌は、22および30日齢においてブロイラーの成長および飼料効率比を改善した
(b)AP食餌は、22日齢において糞便のpHを低下させ、14および22日齢においてリンを6および7%減少させた
(c)NH
3排出が、14日齢における4日間で有意に23.8%減少した。
(d)4日間にわたる全NH
3排出の減少率は、30日齢の鳥で5.9%および22日齢の鳥で30.7%だった。
【0073】
材料および方法
新しい木の削りくずが入った4つの温度制御小屋(7.4ft×7.4ft,W×L)を、育雛のために使用した。各育雛室は、1つのカップ式給水器(直径1フィート)および1つの給餌器(直径1フィート)とともに、1つの1.5kW室内暖房具および150W加熱ランプを備えた。同じ飼育者の群の148日齢雌Ross708雌ヒヨコの2つの群(3日の隔たり)を集め、2つの育雛室に等しく分配した(1つの育雛室につき74羽)。単一の檻を備える各育雛室内の鳥にCoccidia生ワクチンを接種し、それらの鳥は、水および2種の実験食餌(APおよびコントロール)を自由に摂取できた(APは、離乳食餌と育成食餌の両方に60MU/トンで加えられていた)。それらの育雛室は、同一の温度設定および照明プログラムを有した。それらの鳥は、2種の食餌:コントロールおよびAPを自由に摂取できた。12日後、1ケージあたり12羽の群を、2つの同一の育雛室(9ft×9ft,W×L)内の成長完了ケージ(30in×30in,W×L)に移した(育雛室1つにつき12個のケージ)。各ケージは、2つのニップル式給水器、1つのトラフ(trough)給水器(2.5in×30in,W×L)および1つのトラフ給餌器(5in×30in,W×L)を有した。鳥の数を、22日齢において1ケージあたり8羽に減少させた。合計24個のケージを、育雛室の影響を最小にするために、ランダムなブロックデザインによって2つの育雛室に割り当てた。同じ育雛室の中の鳥は、同じ齢だった。照明プログラムは、育雛期間の場合、23:1時間(明期:暗期)であり、残りの成長完了の場合、24時間明期だった。各育雛室の温度を、5分間隔で測定し、温度ロガー(HOBO U23,Onset Comp.,Pocasset,MA)によって記録した。鳥を0、12、14、22および30日目に計量した。飼料の使用量を毎日記録し、飼料効率比(FCR)を計算した。離乳食餌は、以下のとおりだった:
【表5】
【0074】
育成食餌は、以下のとおりだった:
【表6】
【0075】
ステンレス鋼の糞便パンを使用して、ブロック1のケージから12、20および28日目に、ならびにブロック2のケージから13、21および29日目に、2日間にわたって新鮮糞便を回収した。12個の2.2lb(1kg)糞便サンプルを、それぞれブロック1については14、22および30日目に、ブロック2については15、23および31日目に、NH
3排出試験のために採取した。さらなる0.5lbサンプルを−20℃冷凍庫で保管し、栄養分および特性の解析のために、認定された研究室(Midwest Laboratories,Omaha,NE)に送付した(その解析は、全ケルダール態窒素(TKN)、アンモニア窒素(NH
3−N)、リン(P
20
5として報告される)、カリウム(K
20)、硫黄(S)、水分およびpHを含んだ)。
【0076】
12個の5ガロン(19リットル)排出容器(EV)を使用して、NH
3排出評価を行った。各ブロックの12個の糞便サンプルを回収し、2.2lbの糞便サンプルを、各サンプルが50インチ
2(324cm
2)の表面積を有するようにランダムに12個のEVに入れ、75°F(24C)の気温および6.4ft
3/時(3L/分)の気流速度を用いた4日間にわたって、気体の排出について測定した。吸気口と排気口の両方に、気密性の蓋を設置した。テフロン管(直径0.635cmまたは1/4in)を排出容器系において使用した。それらの容器を陽圧下で操作した。隔膜ポンプ(Model DDL−80,Gast Inc.,Benton Harbor,MI)を使用して、排出容器に新鮮な空気を供給した。その新鮮な供給空気の流速は、空気流量制御装置(0〜100LPM、ステンレス鋼の湿った部品を備える、Aalborg,Orangeburg,NY)を用いて制御され、測定された。供給空気は、12個の同一の流量計(0.2〜5LPM,ステンレス鋼弁,Dwyer Instruments,Inc.,Michigan City,IN)を介して空気をさらに分割する分配マニホールドに接続された。各容器は、ヘッドスペースを均一に混合するために、蓋の2in(5cm)下に位置する小型の撹拌ファン(12VDC)を備えた。容器から排出された気体を、建物の排気口に通じる通常の1.5in(3.75cm)のPVC管に接続した。12個の容器の各々からの排気、供給空気および周囲空気のサンプルを、安定化のための最初の3分および測定のための最後の2分とともに、5分間隔で連続的に採取し、解析した。これにより、各容器に対して65分間の測定サイクルがもたらされた。この連続的なサンプリングを、12個のソレノイド弁(Type6014,24V,ステンレス鋼弁本体.Burkert,Irvine,CA)の制御された操作によって行った。毎週検証して必要に応じてゼロ校正された光音響マルチガスアナライザー(INNOVA 1412,INNOVA,Denmark)およびNH
3較正用ガスを用いてNH
3濃度を測定した。気温を、タイプT熱電対(0.5°F分解能)を用いて測定した。熱電対、マルチガスアナライザーおよび質量流量計からのアナログ出力を、1秒間隔でサンプリングし、1分間隔で測定および制御ユニット(USB−2416,Measurement Computing Corp.,Norton,MA)に記録を残した。
【0077】
類似の齢の2つのブロックからのデータをプールし、食餌および齢の影響について解析した。ゆえに、14〜15日齢、22〜23日齢および30〜31日齢に相当するそれぞれ14、22および30日齢の3つの年齢群を使用した。JMP9.0(SAS Institute,Inc.,Cary,NC)を使用して、統計解析を行った。食餌の影響は、P値≦0.05において有意であると見なした。
【0078】
生成成績および糞便特性
2種の食餌からのブロイラーの生成成績を表5に示す。
【表7】
【0079】
いずれの齢の糞便生成率も、AP食餌との有意差は無かった。AP食餌を摂取した鳥は、22および30日齢においてより良い成長速度を有した(P=0.037および0.006)。30日齢では、AP群は、コントロール群より良いFCR(1.36に対して1.31)を有した(P=0.03)。
【0080】
2種の食餌の糞便特性を表6に示す。
【表8】
【0081】
この表は、AP食餌が、22日齢において糞便のpHを低下させ(P=0.05)、14日齢(P=0.05)および22日齢(P=0.02)においてリンを減少させた(2.22対2.36%および2.12対2.27%)ことを示している。さらに、AP食餌が糞便中により少ないNH
3−NおよびTKNをもたらし得る傾向がある。
【0082】
これらの結果は、AP食餌が、幼若ブロイラーが窒素およびリンを利用および消化することを助け得、それにより、成長速度がより良くなり、排出による栄養分損失がより少なくなることを示唆する。糞便におけるより低いpHとより少ない窒素含有量の両方が、糞便中での気体NH
3の形成を抑止および阻止し得、NH
3排出を減少させ得る。
【0083】
アンモニアの排出
2種の食餌についての4日間にわたるNH
3の1日排出率(ER)および累積排出量を表7に要約し、示す。
【表9】
【0084】
NH
3のERおよび累積排出量は、AP食餌の場合、14日齢において、4日間の貯蔵期間にわたって有意に減少した(p≦0.04)。ブロイラー糞便の累積NH
3排出は、AP食餌によって、4日間の貯蔵後に23.8%減少した。1日排出率は、同様の減少傾向を有した。22および30日齢では、大きなばらつきに起因して2種の食餌の間にNH
3のERおよび累積排出量の差はなかった。しかしながら、AP食餌がなおも22日齢においてERおよび累積排出量を減少させる傾向がある(P=0.1)。
【0085】
AP食餌による累積排出量の減少率は、22日齢において31〜38%の範囲だった(表8)。
【表10】
【0086】
AP食餌によるNH
3排出減少の有効性は、試験期間中、齢依存的だった。鳥の齢は、より幼若な鳥の糞便中のより少ない窒素含有量およびより低いpHに起因して、NH
3排出に有意に影響する(P<0.01)。この変化は、糞便のpHが5.73から6.44に上昇する傾向に関係し得る。アンモニア態Nは、NH
4+の形態であり、低pHでは揮発性ではない。微生物の活性およびNH
3の揮発は、温度に直接影響されるので、温度もまたNH
3排出に対して重要な役割を果たす。微生物の活性がかなり変動したので、変動する食餌の有効性の結果は、糞便特性、特に、窒素含有量およびpHの変化に起因し得る。
【0087】
生産条件下において、幼若な鳥を含むブロイラー舎は、限られた換気に起因して鳥のレベルにおいてより高いNH
3濃度を有する傾向がある。幼若な鳥を含むブロイラー舎からのNH
3排出を減少させることは、健常な群を確立することおよび高NH
3に関連する疾患発生のリスクを低下させることを助けるだろう。
【0088】
実施例3
この研究は、実施例2から選択される添加物の有効性を検証することによって、処置群において36MU/トンで加えられたアルカリホスファターゼを含む食餌が、非AP処置コントロールと比べて、商業的条件下においてNH
3排出を減少させ得ることを証明するために行われる。
【0089】
このフィールド検証試験を、16区画(各々6m×6m(20ft×20ft))に分割された48m×13.5m(160ft×45ft)の大きさの1つの小屋を使用して行った。この研究で使用された6つの部屋を別々に管理したが、それらの部屋は、同じ鳥の遺伝的性質および生産段階を共有したことから、2つの異なる食餌を与えられた6つの群のより良い比較が可能だった。3つの部屋は、コントロール食餌にランダムに割り当てられた(signed)群を保持し、その他の部屋は、AP食餌を与えられる鳥を含んだ。38日間の成長完了期間にわたるブロイラーを、小屋にランダムに割り当てたコントロールまたは処置を用いて、その小屋内で飼育した。各部屋は、新しい木の削りくずとともに、530羽の純系の鳥(straight−run birds)(雌雄混合,Cobb×Cobb)の初期配置を有した。その生産部屋は、断熱天井、中央の通路に沿った箱形吸気口、1つの育雛用ヒーター(30,000BTU)、1つの0.3m(12in)遠心ファン、およびその部屋の側壁に配置された1つの直径0.6m(24in)のファンを有する。独立した環境制御装置は、気温、換気ファンおよびヒーターの操作ならびに照明プログラムの制御を調整する。温度センサーおよびロガー(TMC6およびU12,Onset,Pocasset,MA)によって、気温をモニターした。
【0090】
コントロール部屋と処置部屋の両方に対する生成成績データ(飼料消費量、体重、飼料効率および鳥の死亡率を含む)を収集した。各部屋の鳥の生体重を、鳥用の秤によって測定し、記録した。それらの鳥に給餌し、死亡率を毎日記録した。3つの時期給餌ストラテジーを使用した:0日目〜13日目は離乳、14〜31日目は育成および32〜38日目は仕上げ。各部屋に加えられる飼料を計量し、記録した。試験の終わりに、鳥を再度計量し、飼料効率比(FCR)を計算した。
【0091】
多点空気サンプリング(Pak III,CAI,Orange,CA)およびデータ収得システム(SCADA3000,Sensaphone,Aston,PA)を使用して、5秒間隔でコントロール(Ctrl)部屋および処置(Trt)部屋をモニターした。各ファンのON/OFF状態をAC−DCリレーによってモニターした。部屋の静圧を、差圧センサー(T−VER−PXU−L,Onset,Pocasset,MA)を用いて測定した。光音響マルチガスアナライザー(Innova Model 1412,CAI,Orange,CA)を使用して、NH
3、CO
2の濃度および排気の露点温度を測定した。Innova 1412アナライザーは、非常に正確かつ安定で応答性に優れていると示されている。各部屋のファンから排気サンプルを吸い込み、解析して、大気に排出されたその部屋の空気が良好であることを保証した。サンプリングポートは、床から1.8m(6ft)上の高さで壁から2フィート離して、2つのファンの間に配置した。その空気サンプリングの間隔は、1部屋につき140秒に設定した(5サンプル/部屋×28秒/サンプル)。気体の濃度に加えて、対応する建物の換気率を、FANSユニットを備える排気ファンの現場較正ならびにファンの動作状態および部屋の静圧の連続的なモニタリングによって測定する(方程式1)。
VR=a+b×SP [1]
式中、VR=ファンの換気率,m
3/時;
a、b=ファン曲線係数;および
SP=静圧,Pa。
【0092】
3つの寝わらサンプルを、栄養分の解析および化学的解析(アンモニア窒素(NH
3−N)、全ケルダール態窒素(TKN)、水分含有量およびpHを含む)のために、各部屋から採取した。NH
3排出率を、濃度および換気率を用いて計算した[方程式2]。
ER=VR/n×(C
e−C
i)×(17.031g/mol)/(22.414L/mol)[2]
式中、ER=排出率,mg/羽−時;
VR=換気率,m
3/時;
C
e=排出NH
3濃度,ppmv;
C
i=吸入NH
3濃度,ppmv;および
n=1部屋あたりの鳥の数
【0093】
2種の食餌に対する38日間の成長完了期間にわたる1日のNH
3排出率(ER)および累積排出量を計算し、データ解析のために使用した。各食餌からのデータをプールし、食餌および齢の影響について解析した。JMP9.0(SAS Institute,Inc.,Cary,NC)を使用して、統計解析を行った。食餌の影響の有意性を、P値≦0.05の場合は
**およびP値≦0.1の場合は
*として示した。
【0094】
生成成績および糞便特性
2種の食餌からのブロイラーの生成成績を表9に示す。
【表11】
【0095】
2種の食餌の間に体重増加および生存率の有意差は無かった。AP食餌を摂取した鳥は、32日齢においてより良い成長速度を有した(P=0.08)。しかしながら、コントロール鳥は、処置群よりも低いFCRを有した(P=0.002)。31日齢の後に、食餌の変化によって引き起こされ得る処置群の成長曲線が低下するという明らかな傾向があった。それは、38日間のモニタリングの終了時に、2種の食餌の間にNH
3−N、TKN、pHおよび水分含有量の差が無いことを示す。
【0096】
アンモニアの排出
2種の食餌に対する38日間の成長完了期間にわたる1日のNH
3排出率(ER)および累積排出量を表10に要約し、示した。
【表12】
【0097】
AP食餌のNH
3排出量は、P≦0.05レベルでは28日齢まで、およびP≦0.1レベルでは31日齢まで、コントロール食餌よりも有意に少なかった。NH
3排出減少率は、12日齢における40%から27日齢における19%および31日齢における10%まで低下した。1日の排出率は、同様の減少傾向を有した。このフィールド試験は、AP食餌によるNH
3排出減少の有効性が以前の研究室での研究(Li,2011)において齢依存的だったという同様の結果を示す。より幼若な鳥の糞便中のより少ない窒素含有量およびより低いpHに起因して、鳥の齢は、NH
3排出に有意に影響した。生産条件下において、寝わらは再利用され、幼若な鳥を含むブロイラー舎は、限られた換気のせいで鳥のレベルにおいてより高いNH
3濃度を有する傾向がある。幼若な鳥を含むブロイラー舎からのNH
3排出を減少させることは、鳥レベルのNH
3濃度を低下させ、高NH
3濃度を伴う不良な空気質に関連する疾患発生のリスクを低下させる。
【0098】
実施例2および3に基づくと、ブロイラー鳥へのAP添加物の給餌は、NH
3排出および生成成績に対して以下の影響を及ぼすと示された:
1)38日間の成長完了の間に、AP食餌による鳥の体重、生存率および寝わら特性に有意差は観察されなかった。AP食餌を摂取した鳥は、より良い成長速度を有した。しかしながら、コントロール群は、より良い飼料効率比を有した。
2)AP食餌は、22日齢において糞便pHを低下させ(P=0.05)、14および22日齢においてリンを6および7%減少させた(P=0.02)。AP食餌は、糞便中のNH
3−NおよびTKNを減少させ得る傾向があった。
3)新鮮糞便からのNH
3排出は、AP食餌を与えたとき、14日齢において4日間で23.8%有意に減少した。AP食餌によるNH
3排出減少の有効性は、3つの試験期間中、齢依存的だった。4日間にわたる全体のNH
3排出減少率は、30日齢の鳥では5.9%および22日齢の鳥では30.7%だった。
4)フィールド条件下でのAP食餌によるNH
3排出減少の有効性は、38日間の成長完了期間中、齢依存的だった。NH
3排出は、27日齢において19%および31日齢において10%有意に減少した。38日間にわたる全体のNH
3排出減少率は、4.7%だった。
5)これらの結果は、AP食餌が、幼若ブロイラーが窒素およびリンを利用および消化することを助け得、それにより、成長速度がより良くなり、排出による栄養分損失がより少なくなることを示唆する。糞便におけるより低いpHとより少ない窒素含有量の両方が、糞便中での気体NH
3の形成を抑止および阻止し得、NH
3排出を減少させ得る。
【0099】
実施例4
用量漸増試験をシチメンチョウにおいて行った。その実験は、ランダム化されたブロックデザインとして計画され、4つの食餌処置(コントロールおよび3つの異なるレベルのアルカリホスファターゼ)を、各々12個のバッテリーケージ(檻)の4つのブロックにランダムに割り当てた。シチメンチョウは、4週までこれらの食餌を無制限に摂取できた。鳥の24日齢において、糞便を回収した。その糞便を、上記の実施例1および2に記載されたように解析した。
【0100】
試験食餌は、アルカリホスファターゼを4つの異なるレベル:A:0(コントロール);B:22MU/トン飼料;C:49MU/トン飼料;およびD:74MU/トン飼料で含んだ(1MU=120,000IU)。その食餌は、下に示されるような栄養分が補充された典型的な離乳食餌だった。
【表13】
1NaSeO3プレミックスは、0.3mgSe/kg完成飼料を提供した。
2ミネラルプレミックス(.1%含有)の各キログラムは、完成飼料1kgあたり以下を供給した:60mgのZn(ZnS0
4H
20として);60mgのMn(MnS0
4H
20として);40mgのFe(FeS0
4H
20として);5mgのCu(CuS0
4として);1.25mgのI(Ca(I0
3)
2として);1mgのCo(CoS0
4として)。
3ビタミンプレミックス(.1%含有)の各キログラムは、完成飼料1kgあたり以下を供給した:ビタミンA,13,200IU;コレカルシフェロール,4,000IU;アルファ−トコフェロール,66IU;ナイアシン,110mg;パントテン酸,22mg;リボフラビン,13.2mg;ピリドキシン,8mg;メナジオン,4mg;葉酸,2.2mg;チアミン,4mg;ビオチン,0.253mg;ビタミンB12,0.04mg;エトキシキン,100mg。
【表14】
【0101】
データは、食餌A、BおよびDの間の用量反応関係を示している。食餌Cを用いて得られた結果は、用量反応関係に当てはまらなかったが、なおもコントロールと比べて低いNH
3ERを示した。
【0102】
糞便特性
糞便特性について3種のAP食餌の間に有意差は無かった(0.05のP)。しかしながら、APを含むB、CおよびDの食餌は、より低い糞便pHおよびより少ないTKNを有し、細菌集団の代謝および増殖を変化させ得、より少ないNH
3の形成および揮発をもたらし得る傾向があった。A、BおよびC食餌からのそれぞれ6.37、6.15および6.38に対して、D食餌からの新鮮糞便は、5.83という最も低いpHを有した。B、CおよびDのTKNは、2.45、2.38および2.57%であり、これらは、A食餌からの3.61%よりも低かった。
【0103】
アンモニアの排出および減少
D食餌のNH
3ERが、7日間の貯蔵期間にわたって最も低かった。大きなばらつきに起因して、4種の食餌の間にNH
3ERおよび累積排出量に差は無かった(P>0.05)。NH
3排出の大きなばらつきは、糞便サンプルの不均一な水分含有量が原因であり得る。48個のサンプルのすべての糞便の水分含有量が、54〜83%で様々だった。食餌の影響は有意でないが、結果はなおも、NH
3排出の平均値を比較すると、その排出が減少し得ることを明らかにしている。全体のNH
3ER減少は、6.5から40%まで様々だった(7日間の貯蔵時間の後、A食餌と比べて、B(20.6%)、C(6.5%)およびD(40%)食餌)。微生物の活性がかなり変動するので、変動する食餌の有効性の結果は、糞便特性、特に、水分含有量およびpHの変化に起因し得る。商業的生産条件下において、異なる水分レベルを有する糞便の間のNH
3排出の大きなばらつきは、無効にされ得る。糞便サンプルは、より均一であるべきであり、糞便サンプルの回収は、より慎重に行われるべきであることが示唆される。
【0104】
要約すると、シチメンチョウへの添加物の給餌は、アンモニア排出および糞便特性に対して以下の影響を及ぼすと示された:
1)B、CおよびD食餌(APを含む)における糞便は、A食餌(コントロール)よりも低いpHおよびより少ない全窒素含有量を示した。
2)糞便の水分含有量の大きな範囲が原因である大きなばらつきに起因して、4種の食餌の間のNH
3ERおよび累積排出量に有意差は無かった。B、CおよびD食餌(AP)を摂取したシチメンチョウは、A食餌(コントロール)よりも少ないNH
3排出を有する傾向があった。
3)7日間にわたる全体のNH
3排出減少率は、C食餌の場合、−6.5%およびD食餌の場合、40%だった。
【0105】
実施例5
哺乳ブタの離乳時における乾燥飼料への移行は、そのブタの一生の中で最もストレスの多い期間である。そのブタは、新しい食餌レジメンへの適応に加えて、新しい群給餌構造および免疫系への潜在的な疾患攻撃に適応しなければならない。
【0106】
豚肉生産者に対する別の難題は、全農地栄養バランス(whole farm nutrient balance)、特に水質に影響を及ぼし得る栄養分に現在焦点が当てられている環境規制である。特にリンは、過剰量で糞便中に排泄される栄養分であり、どれだけの糞便が農耕地に適用できるかが規定されている制限的栄養物質になっている。通常のトウモロコシはPを含むが、ブタに給餌されたとき、そのPのおよそ15%だけしか消化できない。ゆえに、ブタのPの所要量を満たすように無機Pを食餌に加えなければならず、その食餌中の消化されないPは排泄される。
【0107】
ブタの成長、飼料摂取量、飼料効率および健康状態に基づいて、哺乳ブタの食餌中のアルカリホスファターゼの価値を評価する必要がある。さらに、離乳後にブタの腸が成長し、食餌が変更され続けるにつれて、哺乳ブタの食餌中のリンの利用可能性および排泄されるPの量を測定する必要がある。この研究の目的は、栄養分の消化性および排出に基づいて、哺乳ブタの食餌中のアルカリホスファターゼの栄養上および環境上の価値を判断することである。
【0108】
アルカリホスファターゼが補充された食餌を与えられた哺乳ブタの栄養分の消化性およびそのブタからの排出を評価するために、代謝試験を行う。12頭の去勢ブタを、食餌処置1つあたり6頭の去勢ブタで使用する。離乳後7日間にわたって、ブタに第1期の従来のトウモロコシ−ダイズ−ホエーベースのペレット食餌を与える。次いで、ブタを体重および系統によって、2つの食餌処置のうちの1つにブロック分けする。
【0109】
ブタを、代謝期間の最初の6日間にわたって対にして代謝檻に収容し、1日2回給餌されるほぼ無制限の第2期の実験食餌に適応させた後、個別の代謝クレートに分け、4日間、摂取量を制限して給餌した後、3日間のすべての尿および糞の回収を始めた。回収中は、ブタを、ニップル式給水器が取り付けられた個別のステンレス鋼代謝クレート(2.33×2.83ft.)に収容する。網および回収パンをクレートの真下に置くことにより、尿および糞を別々にかつすべて回収することができる。アンモニアの揮発を防ぐために、尿回収バケツを、100mLの10%HClを用いて酸性化する。
【0110】
3日間の回収期間の前の4日間およびその3日間の回収期間中、ブタにBW
.75の9%の割合で07:30および17:00に1日2回給餌する。回収の毎朝、すべての残滓、尿および糞を回収し、測定し、後の解析のために−20Cで凍結する。各ブタの毎日のサンプルを後の解析のためにプールする。糞を解凍し、脱イオン水と混合して、50:50(重量基準)スラリーを調製し、それを混合し、次いで窒素アッセイ用の糞スラリーとして維持される1サンプル、および凍結乾燥され、他のすべての栄養分アッセイのために使用されるサンプルとしてサブサンプリングする。
【0111】
解析の前に、食餌をWiley Mill(Thomas Scientific,Swedesboro,NJ)において1mmの篩に通して粉砕する。100℃における16時間の乾燥時間の後、乾物を測定する。総N(Nelson and Sommers,1972)およびAmmN(Bremner and Keeney,1965)をミクロケルダール法によって測定する。総Pを、Beckman Du−6分光光度計(Beckman Coulter,Irvine,CA)を使用して比色分析的に(colormetrically)(Murphy and Riley,1962)測定する。食餌、糞および尿エネルギーを、ボンベ熱量計によって測定する。エネルギーカプセル内のsulka floc上で4mLの尿を乾燥させ、次いで、ボンベ熱量計内でそのsulka flocおよび尿を燃焼させ、次いで、脱イオン水で処理されたsulka flocとの差によってその尿エネルギーを測定することによって、尿エネルギーを測定する。
【0112】
ブタは、実験単位だった。SASのGLM手順を使用して、処置間の統計的差異を判定する。統計的有意性をP<0.05によって示し、統計的傾向をP<0.10によって示す。2種の実験食餌を代謝研究中に使用した:1)コントロールおよび2)コントロール+60MU AP。これらの食餌によって、従来の食餌とAP補充食餌との比較が可能になり、それらの食餌を以下で述べる。
【表15】
【0113】
結果を、哺乳初期の期間中の乾物(DM)、エネルギー、窒素(N)およびリン(P)の消化性および排出に対するアルカリホスファターゼ(AP)酵素の効果という表題の表11に提供する。
【表16】
【0114】
第1週は、与えられた食餌のブタの成長速度に対する食餌の影響は無かった。しかしながら、第2週(6〜13日目)に、アルカリホスファターゼを与えられたブタは、補充されていないブタよりもわずかに速く成長する(9.4%)傾向があった(P<0.12)(表11)。
【0115】
アルカリホスファターゼは、DM、エネルギー、または窒素の消化性もしくは排出に影響しなかった(P>0.26)。しかしながら、わずかに高い飼料摂取量および解析された食餌由来のリンに起因して、AP食餌を与えられたブタは、より多いリンを摂取した(P<0.01)が、糞および尿中へのリンの排泄は同様だった。これにより、コントロール食餌を与えられたブタよりも、APを与えられたブタにおいて高いリン消化性(P<0.03)および多いリン貯留(P<0.02)がもたらされた。
【0116】
理論に拘束されるものではないが、AP酵素が離乳したブタの腸の生理機能を改善する機会が存在する可能性があり、これは、リンのより効率的な利用をもたらす可能性がある。