【実施例】
【0011】
<分級システム>
図1は、分級システム100の構成を示す説明図である。
分級システム100は、フライアッシュの原粉を貯蔵する原粉サイロ11と、原粉を分級する分級装置1と、原粉から分級された微粉をろ過捕集するバグフィルタ12を備え、原粉サイロ11内の原粉を空気流に乗せて分級装置1に輸送する原粉輸送機構14と、分級装置1とバグフィルタ12とを接続する微粉輸送配管5aと、バグフィルタ12で収集された微粉を製品サイロ(図示せず)に輸送する微粉輸送機構15とを有している。
【0012】
原粉輸送機構14は、原粉サイロ11の底部11aにIN側が接続されたロータリーフィーダ14aと、ロータリーフィーダ14aのOUT側に接続された加速管14bと、ルーツブロワ13とを備えている。加速管14bは、IN側が、途中にエアバルブ14cが設けられた配管13aを介してルーツブロワ13に接続され、OUT側が原粉供給配管14dを介して分級装置1に接続されている。
【0013】
原粉輸送機構14は、稼働時に、以下のような動作をする。まず、ロータリーフィーダ14aが起動し、加速管14bに、原粉サイロ11から定量的に原粉を供給する。次に、エアバルブ14cが開状態に切り替えられ、加速管14bのIN側に、配管13aを介してルーツブロワ13から圧縮空気が送風される。尚、送風するのは、圧縮空気に限るものではなく、窒素等の適宜の気体を圧縮した圧縮気体であればよい。加速管14b内で、圧縮空気は流速を加速させ、加速管14b内の原粉を分散,浮遊させる。そして、原粉は、空気流に乗って、加速管14bのOUT側から放出され、原粉供給配管14d内を通って分級装置1に輸送される。
【0014】
分級装置1は、原粉を分級する。尚、動作の詳細は後述する。また、図中のように、分級装置1は、2基または複数基を直列に設置してもよく、これにより、より高性能な分級を実現することができる。
【0015】
分級装置1で分級された微粉は、空気流に乗って微粉輸送配管5aを通って輸送され、バグフィルタ12に送られる。
バグフィルタ12は、微粉を伴った空気流から微粉をろ過捕集するろ布12bと、ろ布12bから払い落とした微粉を収集するためのホッパ12cを備えている。
【0016】
微粉輸送機構15は、ホッパ12cの底部12aにIN側が接続されたロータリーフィーダ15aと、ロータリーフィーダ15aのOUT側に接続された加速管15bと、ルーツブロワ13とを備えている。加速管15bは、IN側が、途中にエアバルブ15cが設けられた配管13cを介してルーツブロワ13に接続され、OUT側が微粉回収配管15dを介して製品サイロ(図示せず)に接続されている。
【0017】
微粉輸送機構15は、稼働時には、上述の原粉輸送機構14と同様の動作をする。すなわち、ロータリーフィーダ15aが起動し、加速管15bに、ホッパ12cから定量的に微粉を供給する。次に、エアバルブ15cが開状態に切り替えられ、加速管15bのIN側に、配管13cを介してルーツブロワ13から圧縮空気が送風される。加速管15b内で、圧縮空気は流速を加速させ、加速管15b内の微粉を分散,浮遊させる。そして、微粉は、空気流に乗って、加速管15bのOUT側から放出され、微粉回収配管15d内を通って製品サイロ(図示せず)に輸送される。
【0018】
<分級装置>
図2は、分級装置1の構造を模式的に示す説明図であり、
図3(A)は、分級装置のA−A横断面図であり、
図3(B)は、分級装置1の原粉放出部6の縦断面図であり、図(C)は、分級装置1のB−B横断面の斜視図である。
【0019】
分級装置1は、原粉を空気と共に放出する原粉放出部6と、原粉放出部6から離間した位置に原粉放出部6に対向して配置され、原粉放出部6が放出する原粉と空気の一部を吸入する吸入部4と、原粉放出部6と吸入部4を内部に収容して外周を取り囲む収容部2と、収容部2の底部22に堆積した分級処理中または分級処理済みの原粉を輸送する処理原粉輸送機構7とを備えている。
【0020】
原粉放出部6は、中心線が鉛直方向を向いた略円筒状で、上面が略水平で略え円形の開口62を有し、内部に原粉および空気を旋回させる旋回部61を有している。この構造により、下方から供給される原粉および空気を旋回部61で平面視時計回りに旋回させて上方の開口62から放射状に放出する。
【0021】
原粉放出部6は、収容部2の内部空間の中央より上方に設けられており、この実施例では中央より少し上に設けられている。これにより、収容部2の内部空間における原粉放出部6より下方部分の領域に原粉を大量に堆積可能とし、かつ、原粉放出部6より上方の領域にて吸入部4により吸入する原粉を分級することができる。
【0022】
旋回部61は、
図3(C)に示すように、原粉放出部6の中心と吸入部4の中心を通る一直線上に中心を有して当該中心から半径方向へ広がりかつ円周方向に傾斜する複数の固定羽根61aにより形成されている。尚、旋回部61は、ここでは3枚の固定羽根61aにより形成されているが、固定羽根61aは複数枚あればよく、4枚、6枚あるいは8枚でもよい。また、旋回部61は、ここでは3枚の固定羽根61aにより1式に形成されているが、3枚の固定羽根61aのセットを中心線上に間隔を開けて複数配置した複数連式(多段式)に形成してもよい。
【0023】
原粉放出部6の下方には、収容部2の中心軸を上下方向に通る円筒形の処理中原粉供給配管73が接続されている。この処理中原粉供給配管73は、原粉放出部6より小さい半径(すなわち細い)の一定の太さに形成されており、収容部2内の下方付近で90度方向を変えて収容部2の外へ突出し、さらに下方に方向を変えた後に加速管72に接続されている。収容部2の外へ出た処理中原粉供給配管73の途中には、切替バルブ73aが設けられている。
【0024】
吸入部4は、中心線が鉛直方向を向いた略円筒状で、下面に略水平で略円形の開口42が設けられ、原粉放出部6の上方に原粉放出部6に対向して配置されている。吸入部4は、原粉放出部6に対向しない反対側(すなわち上方)に、吸入部4が吸入した原粉と空気の一部を排出する微粉排出管5が接続されている。
【0025】
この吸入部4の開口42の大きさは、原粉放出部6の開口62の大きさと同じ大きさに形成されている。なお、吸入部4の開口42の開口の大きさは、原粉放出部6の開口62より大きくする、あるいは原粉放出部6の開口62より小さくするなど、適宜の構成とすることができる。
【0026】
また、吸入部4は、円筒形(円形の開口42)の中心軸が原粉放出部6の円筒形(円形の開口62)の中心軸と一致するように原粉放出部6から鉛直上方に離間して配置され、かつ、吸入部4の開口42と原粉放出部6の開口62が対向するように配置されている。これにより、原粉放出部6から放出される原粉のうち、吸入部4で吸入する粒子サイズを適切に調整できる。
【0027】
微粉排出管5は、下方部分が吸入部4内の吸入部4に接続されており、上方部分が吸入部4の外に配置されて、吸入部4内の原粉および空気のうち分級されて補足された一部を外部へ搬送する排出管として機能する。
【0028】
この微粉排出管5は、摺動自在の2重管(内管と外管)で構成されており、外管が収容部2に固定され、内管が吸入部4に接続されている。微粉排出管5は、外管に外側からねじ込まれたネジであって、ネジの先端が内管の外周面を押圧することにより内管の摺動を止め、内管と外管の相対位置を変えて固定することのできる位置可変ネジ4aを備えている。これにより、内管に接続された吸入部4と、外管に固定された収容部2、及び収容部4内部に収容された原粉放出部6との相対位置を変えて固定することができる。すなわち、吸入部4と原粉放出部6との距離Dは変更することが可能である。なお、吸入部4と原粉放出部6との距離Dを変更する構造は、これに限らず適宜の構造とすることができる。
【0029】
収容部2は、中心線が鉛直方向を向いた略円筒状の容器で、原粉放出部6の半径より大きい縦長の形状に形成されている。この収容部2の半径は、原粉放出部6の半径の2倍以上が好ましく、この実施例では3倍程度に形成されている。
【0030】
収容部2は、円筒形部分が壁内面に旋回流を沿わせて流動させる旋回流案内壁21として機能する。この旋回流案内壁21には、吸入部4近傍の壁面の接線方向に沿って直進する供給ノズル3(
図3(A)参照)が設けられている。この供給ノズル3から収容部2内に原粉が空気と共に供給される。この実施例では、供給ノズル3は、旋回流案内壁21内に流入した原粉と空気が旋回流案内壁21内で平面視時計周りに回転(旋回)するように配置されている。これにより、旋回流案内壁21内において、供給ノズル3から供給された原粉および空気の平面視の回転方向(旋回方向)と、原粉放出部6から放出された原粉および空気の平面視の回転方向(旋回方向)が一致するように構成されている。
【0031】
処理原粉輸送機構7は、収容部2の底部22にIN側が接続されたロータリーフィーダ71と、ロータリーフィーダ71のOUT側に接続された加速管72と、ルーツブロワ13(
図1参照)とを備えている。加速管72は、IN側が、途中にエアバルブ74aが設けられた配管13bを介してルーツブロワ13(
図1参照)に接続され、OUT側が処理中原粉供給配管73と処理済み原粉回収配管75とに接続されている。処理中原粉供給配管73は、途中に切替バルブ73aが設けられ、原粉放出部6に接続されている。他方、処理済み原粉回収配管75は、途中に切替バルブ75aが設けられ、製品サイロ(図示せず)に接続されている。
【0032】
≪原粉供給時の分級動作≫
図4(A)は、原粉供給時の分級の様子を模式的に示す説明図である。
原粉輸送機構14(
図1参照)は、稼働すると、原粉供給配管14dを通じて原粉を空気と共に分級装置1の供給ノズル3に輸送する。原粉は、その後、空気と共に供給ノズル3から収容部2内部に放出され、旋回流案内壁21に沿って流動し、旋回流を生成しつつ落下する(
図3(A)参照)。この旋回流によって、原粉には遠心力がかかる。この時、原粉中の微粉FA1(
図4(A)参照)は、質量が小さいため遠心力の作用が弱く、一部が旋回流案内壁21から空気と共に吸入部4に吸入される。他方、残りの原粉FA2は、旋回流案内壁21に沿って旋回しながら、重力の作用により徐々に降下し、収容部2の底部22(
図4(B)参照)に堆積する。一定量の原粉が収容部2内に供給されたところで、原粉輸送機構14(
図1参照)を停止し、分級装置1への原粉の供給を停止する。
【0033】
≪処理中原粉の解砕分級動作≫
図4(B)は、処理中原粉の解砕分級の様子を模式的に示す説明図である。
原粉輸送機構14(
図1参照)を停止して、分級装置1への原粉供給を停止すると同時に、以下のようにして、処理原粉輸送機構7を稼働させ、分級装置1内において、供給時に分級処理された処理原粉の循環輸送を開始する。なお、原粉輸送機構14の停止と処理原粉輸送機構7の稼働は、同時にすることに限らず、一方を先に、他方を後にしてもよい。ここで、処理原粉輸送機構7を稼働してから原粉輸送機構14を停止する順として両方が稼働している瞬間が存在しても、原粉の供給と分級はそれぞれ適切に実施される。すなわち、供給ノズル3の原粉および空気の放出方向からずらした位置に供給ノズル3が設けられているため、供給ノズル3から供給された原粉は、大部分が吸入部4に吸入されることなく落下する。吸入部4に吸入されるのは、分級して吸入部4に吸入されるサイズの細かい粒子だけであるため、分級性能に影響を与えない。
【0034】
まず、ロータリーフィーダ71を起動し、収容部2の底部22に堆積した処理中の原粉を加速管72に定量的に供給する。次に、エアバルブ74aが開状態に切り替えられ(
図2参照)、加速管72のIN側に、配管13bを介してルーツブロワ13(
図1参照)から圧縮空気が送風される。尚、送風するのは、圧縮空気に限るものではなく、窒素等の気体を圧縮した圧縮気体であればよい。加速管72内で、圧縮空気は流速を加速させ、加速管72内の原粉を分散,浮遊させる。原粉は、空気流に乗って、加速管72のOUT側から放出される。その際、処理中原粉供給配管73に設けられた切替バルブ73aを開状態にし、処理済み原粉回収配管75に設けられた切替バルブ75aを閉状態にする。これにより、原粉は、空気流に乗って、処理中原粉供給配管73内を通って原粉放出部6に輸送される。
【0035】
原粉放出部6に輸送された原粉は、原粉供給時の分級動作で吸入部4に吸入されずに残存した微粉と粗粉を含んでいる。微粉は、粒径の小さな粒子である。粗粉には、粒径の大きな粒子(真性粗粉)の他に、複数の粒径の小さな粒子(微粉)同士が弱い結合力で結合しブドウの房のような塊となったものや、真性粗粉の周りに複数の微粉が弱い結合力で結合して塊となったもの等のクラスタが含まれている。
【0036】
処理中原粉供給配管73から原粉放出部6に輸送された原粉は、空気流に乗って、原粉放出部6の中心線方向の上方(鉛直上方)へ直進し、旋回部61を形成する固定羽根61aに衝突する(
図3(B)参照)。この衝突により、クラスタの多くは解砕され、複数の単独の微粉が分離される。これにより、原粉放出部6に輸送された原粉は、上述の残存した微粉に加えて、解砕により新たに生成された微粉と、解砕しきれずに残存するクラスタと、真性粗粉とになる。
【0037】
これらの微粉とクラスタと真性粗粉とが乗った空気流は、中心から半径方向へ広がりかつ円周方向に傾斜する複数の固定羽根61aにより、原粉放出部6の中心線の回りを旋回しながら中心線方向に直進する旋回流となり、開口62から旋回しつつ放射状に上方空間へ放出される。微粉は、質量が小さいため、旋回流の遠心力の作用をあまり受けない。そのため、微粉FB1は、中心線方向もしくは中心線方向から僅かに傾いた方向に旋回しながら進行し、吸入部4により吸入される(
図4(B)参照)。一方、解砕しきれずに残存したクラスタや真性粗粉は、質量が大きいため、遠心力の作用を大きく受ける。そのため、クラスタFB2や真性粗粉FB3は、中心線方向から大きく外れた半径方向に近い方向に旋回しながら進行し、その後、旋回流案内壁21に沿って旋回しながら、重力の作用により徐々に降下し、収容部2の底部22に再度堆積する。
【0038】
上述のように、残存した微粉や、クラスタの解砕により分離された微粉は、吸入部4により吸入され、他方、クラスタや真性粗粉は、再度収容部2の底部22に堆積することで、原粉の分級は実施される。
【0039】
収容部2の底部22に堆積したクラスタや真性粗粉は、処理原粉輸送機構7を稼働し続けることにより分級装置1内を循環し、原粉放出部6に何度でも輸送することができる。上述のように、原粉放出部6に輸送されたクラスタは、解砕されて新たに微粉を分離すると共に、より小さなクラスタとなる。そして、新たに分離された微粉や吸入されずに残存した微粉は、吸入部4により吸入される。このように処理原粉輸送機構7を稼働し続けることで、クラスタがクラスタでなくなるまで何度でも解砕を繰り返すことができ、原粉に含まれている微粉がほぼ吸入されるまで繰り返すことができる。これにより、クラスタとなって存在していた微粉も、最終的にはほとんどが分離され吸入部4により吸入され回収される。このため、微粉の回収率を向上させることができる。
【0040】
図5は、吸入部の位置を変更した場合における解砕分級時の分級の様子を模式的に示す説明図である。
【0041】
上述のように、吸入部4と原粉放出部6との距離の変更は、微粉排出管5に設けられた位置可変ネジ4aを用いて吸入部4の位置を変更することで可能になる。例えば、吸入部4の位置をP2にし、吸入部4と原粉放出部6との距離を短いD2に設定した場合には、微粉FB1だけでなく、一部の小規模のクラスタも、吸入部4に吸入されてしまう恐れがある。しかし、吸入部4の位置をP1にし、吸入部4と原粉放出部6との距離をD1にまで伸ばす(間隔を広く)ことにより、微粉FB1だけを吸入部4で吸入することが可能になる。これにより、微粉と微粉以外とを分級する確度が向上する。このように、吸入部4と原粉放出部6の間隔Dを広くすることで、より細かい微粉のみを吸入部4で吸入することができ、逆に、吸入部4と原粉放出部6の間隔Dを狭くすることで、より荒い粒子も含めて吸入部4で吸入することができる。従って、吸入部4と原粉放出部6との距離(間隔)を調節することにより、吸入部4により吸入する微粉の最大粒径を調節することが可能になり、分級の精度が向上する。
【0042】
≪処理済み原粉(粗粉)の回収動作≫
処理済み原粉(粗粉)を回収する際には、処理原粉輸送機構7を一旦停止して、分級装置1内での処理原粉の循環供給を停止する(
図2参照)。そして、処理中原粉供給配管73に設けられた切替バルブ73aを閉状態に切り替え、処理済み原粉回収配管75に設けられた切替バルブ75aを開状態に切り替える。そして、処理原粉輸送機構7を再稼働させることにより、処理済み原粉(粗粉)は、空気流に乗って、処理済み原粉回収配管75内を通って製品サイロ(図示せず)に輸送される。
【0043】
以上の構成と動作により、分級装置1は、簡易な構造で粉体を高精度に分級することができる。
詳述すると、分級装置1は、原粉を気体とを旋回させながら共に放出する原粉放出部6と、原粉放出部6から離間した位置に原粉放出部6に対向して配置され原粉と気体の一部を吸入する吸入部4とを備え、原粉放出部6は、原粉を気体とを旋回させる旋回部61を有している。このため、原粉は、原粉放出部6で旋回運動をする。これにより、旋回運動をする微粉と微粉以外は、異なる大きさの遠心力の作用を受ける。そして、遠心力の作用の小さい微粉は、原粉放出部6から離間した位置に原粉放出部6に対向して配置された吸入部4により吸収される。このように、簡易な構造の分級装置1を用いて、原粉を、微粉と微粉以外とに分級できる。
【0044】
また、必要とされる電力の主なものは、ルーツブロワ13を稼働せるための電力であり、省電力である。すなわち、固定羽根61aは、旋回部61に固定されており、固定羽根61aをモータ等で回転させる必要がないために、そのような電力を不要とすることができる。
【0045】
分級装置1は、原粉放出部6と吸入部4を内部に収容して外周を取り囲む収容部2と、収容部2の下方の原粉を気体と共に取り込む底部22の取込口を有して該取込口から原粉放出部6まで取り込んだ原粉および気体を送り出す放出用搬送管(処理原粉輸送機構7)とを備えている。このため、吸入部4が吸入し損なって収容部2の底部22に堆積した微粉を含んだ原粉を、原粉放出部6から再度放出することができる。これにより、吸入部4が微粉を吸入する機会が改めて設けられるため、微粉の回収率が向上する。特に、「原粉供給時の分級動作」、「処理中原粉の解砕分級動作」、および「処理済み原粉(粗粉)の回収動作」を、それぞれ個別に行うバッチ処理で実行することにより、微粉の回収率が所望の回収率となるまで「処理中原粉の解砕分級動作」を実行でき、安定した回収率を実現できる。
【0046】
分級装置1は、放出用搬送管(処理原粉輸送機構7の処理中原粉供給配管73)に放出口を設けて当該放出口付近を原粉放出部6とし、旋回部61は、放出用搬送管内に設けられている。このため、収容部2に底部22に堆積した原粉を、旋回部61を有する原粉放出部6から旋回して再度放出することができる。これにより、旋回による遠心力の作用を利用した分級が繰り返されるため、微粉と微粉以外とを分級する確度を保ちつつ、微粉の回収率を向上することができる。
【0047】
分級装置1は、旋回部61が、原粉放出部6の中心と吸入部4の中心を通る一直線上に中心を有して当該中心から半径方向へ広がりかつ円周方向に傾斜する複数の固定羽根61aにより形成されている。このため、原粉放出部6に輸送された原粉は、旋回部61の固定羽根61aと衝突する。その際、原粉に含まれるクラスタは、解砕され、少なくとも複数の単体の微粉を分離する。そして、分離された微粉は、吸入部4により吸入される。これにより、本来なら粗粉として処理されるはずのクラスタから新たに微粉が生成され回収されるため、微粉の回収率が飛躍的に向上する。
【0048】
分級装置1は、吸入部4と原粉放出部6との距離を変更する距離変更手段(微粉排出管5に設けられた位置可変ネジ4a)が設けられている。このため、上述のように、微粉と微粉以外とを分級する確度が向上し、分級の精度も向上する。
【0049】
分級装置1は、収容部2は、中心線が鉛直方向を向いた略円筒状で、吸入部4近傍の収容部2の内壁(旋回流案内壁21)に接線方向に沿って配置され、原粉を気体と共に流入させる供給ノズル3を備えている。このため、分級装置1に原粉を供給する時にも分級が行われ、分級の効率が良い。
【0050】
また、原粉放出部6の開口62と、吸入部4の開口42が、相似形(この実施例では円形)で中心軸が一致するように配置されているため、原粉放出部6から放出した原粉を偏りなく安定して吸入部4に吸入できる。従って、所望のサイズの粒子(微粉)を適切に吸入して得ることができる。
【0051】
尚、本願発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。
例えば、「原粉供給時の分級動作」、「処理中原粉の解砕分級動作」、および「処理済み原粉(粗粉)の回収動作」をバッチ処理としたが、全てを同時に実行する連続処理とすることができる。あるいは、「原粉供給時の分級動作」および「処理中原粉の解砕分級動作」をまず実行し、所定時間経過後に「処理済み原粉(粗粉)の回収動作」を開始し、その一方で収容部2に十分な量の原粉が供給されると「原粉供給時の分級動作」を一旦停止して、収容部2の原粉が所定量まで減少すると「原粉供給時の分級動作」を再開するといったように各部の可動/停止を柔軟に変更してもよい。
【0052】
また、分級装置1により分級する原粉(粉体)は、フライアッシュに限らず、小麦粉やセメント等、様々な粉体(粒子のサイズ又は/及び粒子の質量に差異のある複数の粒子)とすることができる。この場合も、様々な原粉に対して、好適に解砕及び分級することができる。