(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記退店者に関する情報に基づいて生成されるモデルであって、前記出店者に関する情報が入力された場合に、当該退店者と前記出店者との相関性を示す指標値を出力するモデルを生成する生成部、
をさらに備え、
前記算出部は、
前記生成部によって生成されたモデルから出力された指標値に基づいて、前記出店者の信用度を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の算出装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る算出装置、算出方法及び算出プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と表記する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る算出装置、算出方法及び算出プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.算出処理の一例〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る算出処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る算出処理の一例を示す図である。
図1では、実施形態に係る算出装置100による算出処理について説明する。具体的には、
図1では、算出装置100によって、ネットワーク上の所定の商取引サイトに出店する出店者に対する信用度を算出する算出処理が行われる例について説明する。
【0012】
図1に示す例において、算出装置100と、ユーザ端末10と、ウェブサーバ30とは、図示しない通信ネットワーク(例えば、インターネット)を介して通信可能に接続される。
【0013】
図1に示す算出装置100は、事業者に対する信用度を算出する算出処理を行うサーバ装置である。実施形態において、算出装置100は、ウェブサーバ30が提供するネットワーク上の所定の商取引サイトであるショッピングモールに出店する出店者に対する信用度を算出する。なお、実施形態において、算出装置100は、算出した信用度を種々の処理に利用する。例えば、算出装置100は、算出した信用度に基づいて、事業者に対する融資条件(与信枠や金利等)を判定する処理を行う。
【0014】
図1に示すユーザ端末10は、ユーザによって利用される情報処理装置である。具体的には、ユーザ端末10は、ユーザがウェブページを閲覧するためや、ウェブサイト(例えばネットワーク上のショッピングモール)において商品を購入したり、商品情報の評価(いわゆるレビュー)を投稿したりするために利用される。
図1の例では、ユーザ端末10は、例えばスマートフォンやタブレット端末である。
【0015】
図1に示すウェブサーバ30は、ユーザ端末10からアクセスされた場合に、各種ウェブページを提供するサーバ装置である。
図1に示す例では、ウェブサーバ30は、ネットワーク上のショッピングモールサイトを提供するものとする。ウェブサーバ30が提供するショッピングモールでは、各事業者が種々のカテゴリの商品を扱う店舗(ストア)を出店する。実施形態では、ショッピングモールに出店する事業者を出店者と表記する。また、ショッピングモールにかつて出店していて、現時点ではショッピングモールに出店していない事業者を退店者と表記する。
【0016】
ウェブサーバ30は、提供するウェブサイトを介して、ネットワーク上におけるユーザ行動に関する情報を取得してもよい。ユーザ行動に関する情報は、例えば、ウェブサーバ30が備える記憶部や、所定のストレージ装置に格納される。ネットワーク上におけるユーザ行動に関する情報とは、ウェブサーバ30から提供されるサービス(
図1の例ではショッピングモール)の利用に際して、ユーザの操作に従いユーザ端末10から発信される情報を意味する。例えば、ネットワーク上におけるユーザ行動は、ショッピングモールにおける購買行動や、ショッピングモールの各店舗に対するユーザからのレビューの投稿等である。
【0017】
ところで、ウェブサーバ30が提供するショッピングモールのようなネットワーク上の商取引サイトに出店する事業者は、事業構成が小規模であったり、設立が比較的新しかったり、非上場であったり、法人格が個人事業主であったりして、信頼に足る財務情報や実績を有していない場合も多い。この場合、事業者は、与信を示す信用度がないと判定され、銀行等の金融機関から融資を受けることができない場合がある。
【0018】
また、例えば事業者が信頼に足る財務情報を公表していたとしても、一般的な事業者の財務情報は、上場企業の株価などのリアルタイムに変動する情報を除けば、四半期や半期に一度公表されるものである場合が多い。このため、事業者の財務情報に基づいて信用度が算出されたとしても、当該信用度は、実際の商取引サイトにおけるリアルタイムな業績等が反映されたものとならない場合もある。すなわち、実際には将来的に事業がうまくいく可能性がある事業者であっても、その将来性が信用度に適切に反映されなければ、金融機関からの信用が得られず、融資を受けられないことになる。
【0019】
そこで、実施形態に係る算出装置100は、ショッピングモール等の所定の商取引サイトにおける実情に即した信用度の算出処理を行うことにより、通常では信用度の算出が困難なベンチャー企業や小規模な事業者に対する信用度を算出することを可能とする。具体的には、算出装置100は、ショッピングモールにおいて商取引を行う権利を失った事業者に関する情報を取得し、取得された情報に基づいて、当該ショッピングモールに出店する出店者に対する信用度を算出する。
【0020】
ショッピングモールにおいて商取引を行う権利を失った事業者とは、過去にショッピングモールに出店し、その後、ショッピングモールから退店した事業者をいう。実施形態では、ショッピングモールから退店した事業者を退店者と表記する。例えば、退店者は、ショッピングモールにおいて事業の操業がうまくいかなくなった事業者である。また、例えば、退店者は、ショッピングモールにおける出店の規約に違反したことにより、ウェブサーバ30の管理者から強制的に退店させられた事業者である。なお、退店者には、何らかの理由によりショッピングモールへの出店を休止している事業者が含まれてもよい。
【0021】
実施形態では、算出装置100は、ショッピングモールにおいて商取引を行う権利を失った退店者に関する情報と、ショッピングモールに現時点で出店している出店者に関する情報との相関性を算出する。そして、算出装置100は、算出した相関性に基づいて、出店者の信用度を算出する。
【0022】
ここで、ショッピングモールにおいて商取引を行う権利を失った退店者は、退店に至るほどの何らかの問題を抱えていたものと推測される。すなわち、算出装置100は、退店者に関する情報と出店者に関する情報との相関性を求めることで、出店者がショッピングモールにおいて将来的に退店に至る可能性を判定する。そして、算出装置100は、判定結果に基づいて事業者の信用を示す信用度を算出する。これにより、算出装置100は、現時点で比較的実績の少ない出店者や財務情報が公表されていない事業者であっても、実情に即した、信頼に足る信用度を算出することができる。以下、
図1を用いて、実施形態に係る算出処理について流れに沿って説明する。
【0023】
図1に示す例において、ウェブサーバ30が提供するショッピングモールには、過去にショッピングモールに出店していた退店者60が運営するショップAAAのウェブページ61が存在していたものとする。また、ショッピングモールには、現時点において出店している出店者70が運営するショップBBBのウェブページ71が存在しているものとする。なお、
図1では図示を省略しているが、ウェブサーバ30が提供するショッピングモールには、後述する算出処理を行うのに充分な量の情報が得られるほどの相当数の退店者60が存在するものとする。
【0024】
ユーザ端末10は、ユーザによる操作に従い、ウェブサーバ30が提供するショッピングモールにアクセスするものとする。なお、
図1では図示を省略しているが、ユーザ端末10は複数存在し、退店者60が出店していた時期から現時点までを含めて、後述する算出処理を行うのに充分な量の情報が得られるほどの相当数のアクセスを行っているものとする。ショッピングモールにアクセスしたユーザは、購買行動やレビュー送信等の行動を介して、ショッピングモールを利用する(ステップS11)。
【0025】
ウェブサーバ30は、ユーザ端末10から送信される各種情報を取得する。例えば、ウェブサーバ30は、退店者60が運営するショップAAAが存在していた期間において、ショップAAAに対するユーザからの評価に関する情報を取得していたものとする。ユーザからの評価に関する情報とは、例えば、レビューとともに送信されるショップAAAに対する評点であったり、レビューに含まれる単語であったり、ショップAAAで提供される商品に対するレビューの評点や単語等の情報である。なお、ウェブサーバ30は、同様に、出店者70が運営するショップBBBに対するユーザからの評価に関する情報も取得する。
【0026】
また、ウェブサーバ30は、ショッピングモールにおける、退店者60や出店者70の事業者としての属性情報等も有しているものとする。例えば、ウェブサーバ30は、属性情報として、退店者60や出店者70の法人格(例えば、株式会社、有限会社、合資会社、個人事業主、財団法人、社団法人などの種別)や、業種(電気、通信、製造、食料品小売、衣料品小売などの種別)に関する情報を有する。例えば、ウェブサーバ30は、事業者が出店を行う際の受け付け手続きに際して、このような属性情報を取得し、事業者の識別情報と対応付けてデータベースに格納する。
【0027】
このようにウェブサーバ30によって取得される情報を用いて、算出装置100は、ショッピングモールに出店する事業者(
図1では出店者70)に対する信用度を算出するものとする。この場合、算出装置100は、ウェブサーバ30から退店者60及び出店者70に関する情報を取得する。具体的には、算出装置100は、ショッピングモールを利用したユーザによる、退店者60及び出店者70に対する評価に関する情報を取得する(ステップS12)。
【0028】
そして、算出装置100は、取得した情報に基づいて、所定の指標値(スコア)を出力するモデルを生成する(ステップS13)。具体的には、算出装置100は、退店者60に関する情報に基づいて生成されるモデルであって、出店者70に関する情報が入力された場合に、退店者60と出店者70との相関性を示すスコアを出力するモデルを生成する。生成処理の詳細は後述するが、算出装置100は、例えば退店者60を正解データ(教師データ、目的変数)とし、退店者60に対するユーザからの評価に関する情報や退店者60の属性情報等を素性(説明変数)とするサポートベクターマシン(Support Vector Machine)等の回帰学習モデルを生成する。そして、算出装置100は、生成したモデルに出店者70に関する情報を入力することにより、正解データである退店者60との相関性を示すスコアを出力する。
【0029】
具体的には、算出装置100は、生成したモデルを利用し、出店者70に対する信用度を算出する(ステップS14)。例えば、算出装置100は、退店者60と出店者70との相関性が低い、すなわちモデルから出力されたスコアが低いほど、出店者70が退店する可能性が低いものとして、出店者70の信用度を高く算出する。一方、算出装置100は、モデルから出力されたスコアが高いほど、出店者70が退店する可能性が高いと想定されることから、出店者70の信用度を低く算出する。
【0030】
そして、算出装置100は、算出した信用度に基づいて、出店者70への融資条件を判定する(ステップS15)。具体的には、算出装置100は、算出した信用度が所定値より高い場合には、信用度が所定値より低い場合と比較して、与信枠を拡大したり、金利を下げたりするなどの融資条件が適用されると判定してもよい。あるいは、算出装置100は、算出した信用度が所定値より低い場合には、信用度が所定値より高い場合と比較して、与信枠を縮小したり、金利を上げたりするなどの融資条件が適用されると判定してもよい。
【0031】
このように、実施形態に係る算出装置100は、ショッピングモール等のネットワーク上の所定の商取引サイトにおいて商取引を行う権利を失った退店者60に関する情報を取得する。そして、算出装置100は、取得された退店者60に関する情報に基づいて、所定の商取引サイトであるショッピングモールに出店する出店者70に対する信用度を算出する。
【0032】
すなわち、実施形態に係る算出装置100は、事業者の信用度を計るために一般的に用いられる企業の財務情報のみならず、ショッピングモール等の商取引サイトにおける退店者60に関する情報に基づいて、出店者70の信用度を算出する。商取引サイトにおける退店者60は、当該商取引サイトに適合しないビジネス形態を有していたり、当該商取引サイトの規約に適しない運営を行っていたり、ユーザからの評価(ユーザレビューの内容)が著しく悪い事業者であることが想定される。実施形態に係る算出装置100は、そのような退店者60に関する情報をいわゆる不芳データとして扱い、不芳データとの相関性を参照することで、現時点において出店中の事業者である出店者70の信用度を算出する。これにより、算出装置100は、出店者70に対して、所定の商取引サイトにおける実情に即した信用度を算出することができる。
【0033】
また、算出装置100は、ネットワークを介してショッピングモールを利用するユーザからの反応をリアルタイムに取得して算出処理に利用することができる。このため、算出装置100は、鮮度の高いデータを用いて出店者70の信用度を算出することができる。この点においても、算出装置100は、所定の商取引サイトにおける実情に即した信用度を算出することができる。
【0034】
なお、算出装置100によって算出される信用度は、必ずしも融資や投資を目的として利用されなくてもよい。例えば、算出装置100によって算出される信用度は、ショッピングモールにおける加盟店としての信用度や、出店者70が広告配信を依頼する際の広告主としての信用度として利用されてもよい。以下、上記の処理を行う算出装置100、及び、算出装置100を含む算出システム1の構成等について詳細に説明する。
【0035】
〔2.算出システムの構成〕
図2を用いて、実施形態に係る算出装置100が含まれる算出システム1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る算出システム1の構成例を示す図である。
図2に例示するように、実施形態に係る算出システム1には、ユーザ端末10と、ウェブサーバ30と、算出装置100とが含まれる。これらの各種装置は、ネットワークN(例えば、インターネット)を介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、
図2に示した算出システム1には、複数台のユーザ端末10や、複数台のウェブサーバ30が含まれてもよい。
【0036】
ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンや、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、タブレット型端末や、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルデバイス(Wearable Device)等の情報処理装置である。ユーザ端末10は、ユーザによる操作に従って、ウェブサーバ30にアクセスすることで、ウェブサーバ30から提供されるウェブサイトからウェブページ(例えば、
図1に示したショップAAAのウェブページ61やショップBBBのウェブページ71)を取得する。そして、ユーザ端末10は、取得したウェブページを表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)に表示する。なお、本明細書中においては、ユーザとユーザ端末10とを同一視する場合がある。例えば、「ユーザに情報コンテンツを提供する」とは、実際には、「ユーザが利用するユーザ端末10に情報コンテンツを提供する」ことを意味する場合がある。
【0037】
ウェブサーバ30は、ユーザ端末10からアクセスされた場合に、各種ウェブページを提供するサーバ装置である。実施形態では、ウェブサーバ30がショッピングモールに対応するウェブサイトを提供し、当該ショッピングモールに出店している出店者70のウェブページを提供する例を示した。しかし、ウェブサーバ30が提供するウェブページはこれに限られず、ウェブサーバ30は、例えば、ニュースサイト、天気予報サイト、ショッピングサイト、ファイナンス(株価)サイト、路線検索サイト、地図提供サイト、旅行サイト、飲食店紹介サイト、ウェブブログなどに関する各種ウェブページを提供してもよい。
【0038】
また、ウェブサーバ30は、各ウェブサイトにおける情報であって、ネットワーク上における情報を取得してもよい。ネットワーク上における情報とは、例えば、各種ウェブサイトから提供されるサービスの利用に際して、ユーザの操作に従いユーザ端末10から発信される情報である。例えば、ネットワーク上における情報は、検索サイトにおける検索クエリに関する情報や、ショッピングサイトにおける購買行動やユーザからのレビューに関する情報や、ユーザが投稿するSNS(Social Networking Service)サイトにおけるメッセージに関する情報等を含む。
【0039】
算出装置100は、所定の商取引サイトにおいて商取引を行う権利を失った退店者60に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、所定の商取引サイトに出店する出店者70に対する信用度を算出するサーバ装置である。なお、算出装置100は、上記のウェブサーバ30としての構成を兼ねてもよい。すなわち、算出装置100自身がショッピングモールを提供し、算出装置100自身がショッピングモールにアクセスしたユーザ端末10から情報を取得してもよい。
【0040】
また、算出装置100は、実際に事業者に融資を行う金融機関に設置された情報処理端末や、事業者に関する財務情報の調査、取得、管理及び提供等を行う財務管理企業に設置された情報処理端末等と相互に通信を行ってもよい。例えば、算出装置100は、金融機関等に設置される情報処理端末から、融資条件の判定に関する情報を取得してもよい。また、算出装置100は、退店者60や出店者70の財務情報が公表されている場合には、財務管理企業等に設置される情報処理端末から、財務情報を適宜取得してもよい。
【0041】
〔3.算出装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る算出装置100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る算出装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、算出装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、算出装置100は、算出装置100を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0042】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。かかる通信部110は、通信ネットワークと有線又は無線で接続され、通信ネットワークを介して、ユーザ端末10等との間で情報の送受信を行う。
【0043】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。実施形態に係る記憶部120は、出店者情報記憶部121と、素性情報記憶部122と、モデル記憶部127と、融資条件記憶部128とを有する。以下、各記憶部について順に説明する。
【0044】
(出店者情報記憶部121について)
出店者情報記憶部121は、所定の商取引サイトに出店する事業者に関する情報を記憶する。例えば、出店者情報記憶部121に記憶される情報は、通信ネットワークを介して、ウェブサーバ30から取得される。ここで、
図4に、実施形態に係る出店者情報記憶部121の一例を示す。
図4に示すように、出店者情報記憶部121は、「出店者」、「ストアアカウント」、「出店日」、「退店日」、「退店理由」、「素性情報」、「信用度」といった項目を有する。また、「素性情報」の項目は、「事業情報」、「ストア情報」、「商品情報」、「単語情報」、「財務情報」といった小項目を含む。
【0045】
「出店者」は、商取引サイトに過去に出店していた、もしくは現時点で出店している事業者の名称を示す。「ストアアカウント」は、事業者が商取引サイトにおいて出店する際にウェブサーバ30側から発行されたアカウントを示す。なお、
図4に示すように、事業者は、複数のストアアカウントを有することができる。例えば、事業者は、取り扱う商品のカテゴリや、事業形態に応じて、ストアアカウントを使い分けることができる。また、ウェブサーバ30は、事業者が有するストアアカウントのうち、一つのストアアカウントに関して強制退店等の処分を下した場合、同一事業者が有する他のストアアカウントについても退店させる(出店の権利を失わせる)処理を行ってもよい。
【0046】
「出店日」は、商取引サイトに出店した日を示す。「退店日」は、商取引サイトから退店した日を示す。なお、現時点で退店していない事業者(あるいはストアアカウント)については、退店日の項目は空欄(「−」)となる。「退店理由」は、商取引サイトから退店した際の理由を示す。退店理由は、例えば、後述するモデル生成処理における正解データの区別に利用される。例えば、「強制退店」は、ウェブサーバ30側から強制的に退店させられたアカウントであるため、不芳データである可能性が高いことが想定される。一方、「休店」は、事業者による自発的な退店であるため、不芳データである可能性が低いことが想定される。
【0047】
「素性情報」は、算出装置100によるモデル生成処理(モデリング)における素性となりうる情報を示す。「事業情報」は、例えば、事業者の属性情報等を示す。「ストア情報」は、例えば、事業者が運営するストアへのユーザからの評点等を示す。「商品情報」は、例えば、事業者が運営するストアで取り扱う商品のユーザからの評点等を示す。「単語情報」は、ユーザからストアに対して投稿されるレビューに含まれる単語に関する情報を示す。「財務情報」は、事業者が公表していたり、上記の財務管理企業等によって調査されたりした事業者の財務情報を示す。
【0048】
なお、
図4で示した例では、「事業情報」等の素性情報は、「aaa」などの概念で示しているが、実際には、事業情報として含まれる事業者の属性情報や、モデル生成処理において算出された各属性情報の重み値などの情報が記憶されているものとする。なお、各素性情報の詳細については、
図5乃至
図8を用いて説明する。
【0049】
「信用度」は、事業者に対する信用度を示す。なお、信用度は、後述する算出部134により信用度が算出された後に出店者情報記憶部121に記憶される。
図4に示すように、例えば既に退店した退店者(ストアアカウント)については、信用度の項目は空欄となる。
【0050】
すなわち、
図4では、出店者情報記憶部121に記憶されるデータの一例として、「退店者60」がストアアカウントA01及びA02を有していることを示している。また、ストアアカウントA01に対応するストアは、出店日が「2014年7月1日」であり、退店日が「2016年3月1日」であり、退店理由が「強制退店」である。また、ストアアカウントA01の素性情報は、事業情報が「aaa」であり、ストア情報が「bbb」であり、商品情報が「ccc」であり、単語情報が「ddd」であり、財務情報が「eee」である。また、ストアアカウントA01は、退店しているため信用度は算出されていない。一方、ストアアカウントA11の信用度は、「75」と算出されていることを
図4では示している。
【0051】
(素性情報記憶部122について)
素性情報記憶部122は、モデル生成処理に用いられる素性に関する情報を記憶する。具体的には、素性情報記憶部122は、商取引サイトにおける退店者及び出店者に対するユーザからの評価に関する情報や、退店者及び出店者の属性情報等を記憶する。
図3に示すように、素性情報記憶部122は、事業情報テーブル123と、ストア情報テーブル124と、商品情報テーブル125と、単語情報テーブル126といったデータテーブルを有する。以下、各データテーブルについて順に説明する。
【0052】
(事業情報テーブル123について)
事業情報テーブル123は、退店者及び出店者の事業者としての属性情報等を記憶する。ここで、
図5に、実施形態に係る事業情報テーブル123の一例を示す。
図5に示すように、事業情報テーブル123は、「出店者」、「ストアアカウント」、「法人格」、「業種」、「継続年数」といった項目を有する。
【0053】
「出店者」及び「ストアアカウント」は、出店者情報記憶部121に記憶されている同一の項目に対応する。「法人格」は、出店者の法人格を示す。「業種」は、ストアの業種を示す。なお、業種は、例えば、ストアで取り扱う商品のカテゴリに対応するものであってもよい。また、業種は、1のストアに1の業種が設定されるのではなく、複数の業種が設定されてもよい。「継続年数」は、ストアが継続している年数を示す。
【0054】
すなわち、
図5では、事業情報テーブル123に記憶されるデータの一例として、退店者60の法人格は「個人事業主」であり、ストアアカウントA01の業種は「ファッション」であり、ストアアカウントA02の業種は「食品」であり、ストアアカウントA01の継続年数は「1年8ヵ月」であり、ストアアカウントA02の継続年数は「0年7ヶ月」であることを示している。
【0055】
(ストア情報テーブル124について)
ストア情報テーブル124は、出店者が運営しているストア(店舗)に関する情報を記憶する。ここで、
図6に、実施形態に係るストア情報テーブル124の一例を示す。
図6に示すように、ストア情報テーブル124は、「出店者」、「ストアアカウント」、「売上件数」、「売上金額」、「PV(1日)」、「レビュー数」、「ストア評点」といった項目を有する。
【0056】
「出店者」及び「ストアアカウント」は、出店者情報記憶部121に記憶されている同一の項目に対応する。「売上件数」は、ストアにおける商品の売上件数を示す。「売上金額」は、ストアにおける商品の売上金額を示す。なお、
図6で示した例では、「売上件数」や「売上金額」に記憶される情報を「B01」や「C01」等の概念で示しているが、実際には、「売上件数」や「売上金額」の項目には、具体的な商品の売上件数や売上金額の値や、取り扱う商品数に対する売上件数の割合や、件数や金額の集計期間等、売上件数や売上金額に関する種々の情報が記憶されるものとする。
【0057】
「PV(1日)」は、商取引サイトにおいて、ストアアカウントに対応するストアのショップページにユーザがアクセスした一日のアクセス数(Page View)を示す。例えば、PVの項目には、日々集計されるPVの数が随時記憶されてもよいし、所定期間におけるアクセス数の合計数を平均した場合の1日のPVの数が記憶されてもよい。
【0058】
「レビュー数」は、ストアに対してユーザが投稿したレビューの数を示す。
図6に示した例では、レビュー数として、ストアにおける1日の平均のレビュー数が記憶される例を示している。「ストア評点」は、ユーザが投稿したレビューにおいてストアを評価する指標値を示す。例えば、ストア評点は、1から5までの5段階の数値により示され、5が最も評価が高く、1が最も評価が低いものとする。
図6に示した例では、ストア評点として、ストアが退店する迄にユーザから投稿されたレビューにおける評点の平均点が記憶される例を示している。なお、レビュー数やストア評点は、所定期間(例えば1週間など)において集計した数や評点の平均が記憶されてもよいし、現時点までの累積数が記憶されてもよいし、現時点までの累積数をストアの継続年数で割った数など、様々な態様で集計された情報が記憶されてもよい。
【0059】
すなわち、
図6では、ストア情報テーブル124に記憶されるデータの一例として、退店者60が有するストアアカウントA01の売上件数は「B01」であり、売上金額は「C01」であり、ストアのPV(1日)は「350」回であり、1日の平均のレビュー数は「20」であり、ストア評点は「3.4」であることを示している。
【0060】
なお、
図6での図示は省略するが、ストア情報テーブル124には、上述した情報の他に、ストアに関する種々の情報が記憶されてもよい。例えば、ストア情報テーブル124には、継続してストアを利用するユーザ(例えば、1週間以内に再びアクセスを行うなどの行動を行うユーザ)の数や、ユーザの顧客単価(例えば、所定期間における1ユーザあたりの購買額)等の情報が記憶されてもよい。
【0061】
(商品情報テーブル125について)
商品情報テーブル125は、出店者がストアにおいて提供する商品に関する情報を記憶する。ここで、
図7に、実施形態に係る商品情報テーブル125の一例を示す。
図7に示すように、商品情報テーブル125は、「出店者」、「ストアアカウント」、「商品ID」、「商品評点」、「レビュー総数」といった項目を有する。
【0062】
「出店者」及び「ストアアカウント」は、出店者情報記憶部121に記憶されている同一の項目に対応する。「商品ID」は、ストアで取り扱う商品を識別する識別情報を示す。「商品評点」は、商品に対してユーザが投稿したレビューにおける評点を示す。例えば、商品評点は、
図6で示したストア評点と同様、1から5までの5段階の数値により示され、5が最も評価が高く、1が最も評価が低いものとする。
図7に示した例では、商品評点として、ストアにおける商品の取り扱いが終了する迄にユーザから投稿されたレビューにおける評点の平均点が記憶される例を示している。「レビュー総数」は、商品に対して投稿されたレビューの総数を示している。
【0063】
すなわち、
図7では、商品情報テーブル125に記憶されるデータの一例として、退店者60が有するストアアカウントA01で取り扱う商品ID「P01」で識別される商品P01は、商品評点が「3.2」であり、レビュー総数が「125」であることを示している。
【0064】
なお、
図7での図示は省略するが、商品情報テーブル125には、レビューが集計された期間に関する情報や、PVに対して投稿されたレビュー数の割合や、商品ごとの売上件数や売上金額等の情報が記憶されてもよい。
【0065】
(単語情報テーブル126について)
単語情報テーブル126は、出店者(ストア)に対してレビューとしてユーザから投稿されたテキストデータに含まれる単語に関する情報を記憶する。ここで、
図8に、実施形態に係る単語情報テーブル126の一例を示す。
図8に示すように、単語情報テーブル126は、「出店者」、「ストアアカウント」、「出現単語」、「単語出現数」といった項目を有する。
【0066】
「出店者」及び「ストアアカウント」は、出店者情報記憶部121に記憶されている同一の項目に対応する。「出現単語」は、ストアや商品に対してユーザから投稿されたレビューにおいて出現した単語を示す。「単語出現数」は、集計されたテキストデータのうち、各単語が出現した回数を示す。
【0067】
すなわち、
図8では、単語情報テーブル126に記憶されるデータの一例として、退店者60が有するストアアカウントA01に対応するストアに対して投稿されたレビューでは、「商品」が「80」回、「偽物」が「51」回、「海外」が「26」回、「かかる」が「16」回、「休店」が「12」回、「最悪」が「9」回出現したことを示している。また、出店者70が有するストアアカウントA11に対応するストアに対して投稿されたレビューでは、「梱包」が「57」回、「配送」が「50」回、「迅速」が「46」回、「送料」が「31」回、「翌日」が「25」回、「助かる」が「14」回出現したことを示している。
【0068】
なお、
図8では、単語出現数を回数として示したが、単語出現数に対応する情報は、例えば、テキストデータに含まれる全単語の数のうちに占める割合等の情報であってもよい。また、単語情報テーブル126に記憶される情報は、所定期間ごとに集計された情報が記憶されてもよい。例えば、ユーザからのレビューは、季節ごとに投稿される内容が異なることも予測される。このため、単語情報テーブル126には、例えば、同一の時期に集計されたテキストデータにおいて出現する単語や出現数などを比較した情報等が記憶されてもよい。
【0069】
なお、算出装置100は、単語に関する情報を集計するにあたり、例えば、ユーザから投稿されるテキストデータに対して形態素解析を行ってもよい。さらに、算出装置100は、1のレビューにおける単語の重みに基づいて、集計する単語を予め取捨選択してもよい。例えば、算出装置100は、tf−idf(Term Frequency−Inverse Document Frequency)など、レビューに出現する各単語をスコアリングするアルゴリズムを利用し、重みの高い単語のみを記憶するようにしてもよい。また、算出装置100は、出現数や重み等にかかわらず、レビューに出現した全ての単語を記憶するようにしてもよい。
【0070】
(モデル記憶部127について)
モデル記憶部127は、算出装置100によって生成されたモデルに関する情報を記憶する。ここで、
図9に、実施形態に係るモデル記憶部127の一例を示す。
図9に示すように、モデル記憶部127は、「モデルID」、「情報更新日」、「正解データ」といった項目を有する。
【0071】
「モデルID」は、モデルを識別するための識別情報を示す。「情報更新日」は、モデルが更新された日付を示す。「正解データ」は、生成されたモデルが正解データとした事例を示す。例えば、正解データの項目が「強制退店者」であるモデルは、退店理由が「強制退店」であったストアアカウントに対応するデータを正解データとして学習されたモデルであることを示す。
【0072】
すなわち、
図9では、モデル記憶部127に記憶されるデータの一例として、モデルID「M01」で識別されるモデルM01は、「2016年11月1日」に情報が更新されており、モデルM01が正解データとした事例は、「強制退店者」に対応するストアアカウントであることを示している。
【0073】
(融資条件記憶部128について)
融資条件記憶部128は、算出された信用度に基づき判定される融資条件に関する情報を記憶する。ここで、
図10に、実施形態に係る融資条件記憶部128の一例を示す。
図10に示すように、融資条件記憶部128は、「条件ID」、「信用度」、「融資条件」といった項目を有する。
【0074】
「条件ID」は、条件を識別するための識別情報を示す。「信用度」は、算出装置100によって算出された出店者に対する信用度を示す。融資条件は、算出装置100が判定する融資条件の内容を示す。なお、
図10で示した例では、融資条件を「H01」のような概念で示しているが、実際には、融資条件の項目には、与信枠(融資可能額)や、金利や、返済期間などの具体的な条件が記憶されるものとする。
【0075】
すなわち、
図10では、融資条件記憶部128に記憶されるデータの一例として、条件ID「G01」で識別される融資条件G01とは、信用度が「100」から「81」までの出店者に対して適用される条件であり、その融資条件の内容は「H01」であることを示している。
【0076】
(制御部130について)
制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、算出装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(算出プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0077】
実施形態に係る制御部130は、
図3に示すように、取得部131と、生成部132と、受付部133と、算出部134と、判定部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0078】
(取得部131について)
取得部131は、ネットワーク上の所定の商取引サイトにおいて商取引を行う権利を失った退店者60に関する情報を取得する。例えば、取得部131は、退店者60に関する情報として、所定の商取引サイトにおける退店者60に対するユーザからの評価に関する情報を取得する。
【0079】
取得部131は、退店者60に対するユーザからの評価に関する情報として、退店者60が出店したストア(店舗)もしくは商品に対するユーザからの反応の数、又は、退店者60が出店したストアもしくは商品に対してユーザが評点した評価値に関する情報を取得する。具体的には、取得部131は、素性情報記憶部122内に記憶される、ユーザからのレビューに関する情報を取得する。
【0080】
また、取得部131は、退店者60が出店したストアもしくは商品に対するユーザからの反応の数の推移、又は、退店者60が出店したストアもしくは商品に対してユーザが評点した評価値の推移に関する情報を取得してもよい。すなわち、取得部131は、所定期間におけるレビューが投稿された数の増減や、評点の増減の推移を取得する。これにより、取得部131は、かつてユーザから高い評価を得ていたストアが、近年では低い評価を受けるようになった等の傾向に関する情報を取得することができる。また、商取引サイトに出店する事業者の中には、例えば財務戦略に基づき、計画的に店舗を倒産させる意図を有する事業者が存在する場合がある。例えば、このような事業者については、商品の売上げが低下する前に、急激にユーザからの評価を低下させるような現象が観測される場合がある。取得部131は、評価に関する情報の推移を取得することで、このような事業者を判定するための情報を取得することができる。
【0081】
また、取得部131は、退店者60に対するユーザからの評価に関する情報として、退店者60が出店したストアもしくは商品に対するユーザからのレビューに含まれる単語を取得する。例えば、取得部131は、ユーザからのレビューを形態素解析し、レビューに含まれる単語を抽出し、抽出された単語に関する情報を取得する。また、取得部131は、tf−idfなど、レビューに出現する各単語をスコアリングするアルゴリズムを利用し、重みの高い単語のみを取得するようにしてもよい。
【0082】
また、取得部131は、退店者60に関する情報として、所定の商取引サイトにおける退店者60の事業者としての属性情報を取得する。具体的には、取得部131は、属性情報として、退店者60の事業者としての法人格、又は、退店者60の事業者としての業種を取得する。なお、この場合の業種とは、製造業や通信業などの狭義の意味の業種ではなく、例えば、出店したストアで取り扱う商品のカテゴリ等により示されるような、ストアの特徴を示す広義の業種の意味を含んでもよい。
【0083】
また、取得部131は、退店者60の各々のストアアカウントにおける退店理由を取得する。例えば、商取引サイトにおいて出店者が退店する理由には、サイト側からの強制退店であったり、強制退店されたストアアカウントの道連れとなる退店であったり、出店者側からの要求による退店や休店であったりする。取得部131は、これらの理由を退店者60に関する情報として取得し、退店者60のストアアカウントと対応付けて出店者情報記憶部121に記憶する。
【0084】
また、取得部131は、取得した情報を適宜各記憶部に記憶する。例えば、取得部131は、取得した事業者の属性情報等を事業情報テーブル123に記憶する。また、取得部131は、取得したユーザからの評価に関する情報をストア情報テーブル124や、商品情報テーブル125や、単語情報テーブル126に記憶する。また、取得部131は、例えば算出装置100の管理者や金融機関等により設定される融資条件を取得した場合には、融資条件に関する情報を融資条件記憶部128に記憶する。また、取得部131は、退店者60に関する情報のみならず、信用度算出の対象となる出店者70に関する情報も取得する。
【0085】
なお、取得部131は、情報を取得する退店者60及び出店者70を特定せずに、種々の退店者60及び出店者70の情報を無作為に取得してもよい。例えば、取得部131は、検索エンジン等に用いられる探索ロボットなどのプログラムを利用して、インターネット上をクロールさせることにより、退店者60及び出店者70に関する情報を随時取得したり、取得した情報を更新したりしてもよい。
【0086】
また、取得部131は、例えば金融機関や財務管理企業等から退店者60及び出店者70の財務情報が取得可能な場合には、財務情報を取得してもよい。後述する算出部134は、取得部131によって財務情報が取得された場合には、財務情報を加味して出店者70に対する信用度を算出してもよい。
【0087】
(生成部132について)
生成部132は、退店者60に関する情報に基づいて生成されるモデルであって、出店者70に関する情報が入力された場合に、退店者60と出店者70との相関性を示すスコアを出力するモデルを生成する。
【0088】
生成部132は、所定の商取引サイトにおける退店者60に対するユーザからの評価に関する情報に基づいてモデルを生成する。例えば、生成部132は、退店者60が出店したストアもしくは商品に対するユーザからのレビューに含まれる単語と、出店者70が出店したストアもしくは商品に対するユーザからのレビューに含まれる単語との相関性に基づいてスコアを出力するモデルを生成してもよい。
【0089】
また、生成部132は、所定の商取引サイトにおける退店者60の事業者としての属性情報に基づいてモデルを生成してもよい。例えば、生成部132は、退店者60の事業者としての法人格と出店者70の事業者としての法人格、又は、退店者60の事業者としての業種と出店者70の事業者としての業種との相関性に基づいてスコアを出力するモデルを生成してもよい。
【0090】
上記のように、生成部132は、取得部131によって取得された退店者60に関する各情報を素性とし、正解データである退店者60を当てるためのモデルを生成する。具体的には、生成部132は、素性となる退店者60に関する各情報のうち、どのような情報にどのような重みが与えられるかを回帰的に学習させたモデルを生成する。言い換えれば、生成部132は、正解データとして取得された退店者60に関する各情報のうち、いずれの情報が「退店」という不芳な結果をもたらすのに影響を与えるか、といったことを示すモデルを生成する。
【0091】
以下に、生成部132が生成するモデルの一例を示す。なお、生成部132が生成するモデルは以下のものに限られず、退店者60に関する情報に基づいて生成されるモデルであって、出店者70に関する情報が入力された場合に、退店者60と出店者70との相関性を示すスコアを出力するモデルであれば、どのようなモデルであってもよい。
【0092】
例えば、生成部132は、退店者60が現時点において退店に至ったことを示す結果情報を機械学習における目的変数とする。そして、生成部132は、退店者60が出店していた間に取得された退店者60に関する各情報を説明変数(素性)とする。そして、生成部132は、目的変数と説明変数とを用いて、退店者60に関するモデルを生成する。生成部132は、種々の説明変数を用いてモデルを生成する。例えば、生成部132は、素性情報記憶部122に記憶されているあらゆる情報を説明変数として用いることができる。
【0093】
例えば、生成部132は、退店者60が退店しているか否かという結果情報と、退店者60に関する情報を示す式を生成する。さらに、生成部132は、退店者60に関する個々の情報が、退店者60が退店に至ったという結果の事象に対して、どのような重みを有するかを学習して算出する。これにより、生成部132は、退店という事象に対して、個々の情報がどのくらい寄与するのかといった情報を得ることができる。例えば、生成部132は、下記式(1)を作成する。
【0094】
y = ω
1・x
1 + ω
2・x
2 + ω
3・x
3 ・・・+ ω
N・x
N ・・・(1)(Nは任意の数)
【0095】
上記式(1)は、例えば、個々の退店者60ごとに作成される。上記式(1)において、「y」は、「退店者60が商取引サイトにおいて出店する権利を失ったか否か(退店したか否か)」という事象を示す。学習において、退店者60を正解データとするのであれば、「y」は「1」の値を取る。また、学習において、現時点では退店していない出店者70を正解データとするのであれば、「y」は「0」の値を取る。なお、実施形態のように、退店の判定がストアアカウントごとに行われるのであれば、「y」に代入される値は、ストアアカウントごとの退店の結果が対応する。
【0096】
また、上記式(1)において、「x」は、退店者60に関する情報(素性)である各説明変数に対応する。また、上記式(1)において、「ω」は、「x」の係数であり、所定の重み値を示す。具体的には、「ω
1」は、「x
1」の重み値であり、「ω
2」は、「x
2」の重み値であり、「ω
3」は、「x
3」の重み値である。このように、上記式(1)は、退店者60に関する情報から抽出された特徴情報に対応する説明変数「x」と、所定の重み値「ω」とを含む変数(例えば、「ω
1・x
1」)を組合せることにより作成される。
【0097】
例えば、上記式(1)において、仮に、「x
1」は、「(退店者60が有する)ストアアカウントA01におけるストア評点」であるとする。また、「x
2」は、「退店者60の法人格」であるとする。また、「x
3」は、「(退店者60が有する)ストアアカウントA01におけるストアへのレビュー数」であるとする。この場合、退店者60に対応する上記式(1)は、以下の式(2)のように表すことができる。
【0098】
y
(退店者60)(=1) = ω
1・(ストアアカウントA01におけるストア評点(=3.4)) + ω
2・(法人格(=個人事業主)) + ω
3・(ストアアカウントA01におけるストアへのレビュー数(=20))) + ω
N・x
N ・・・(2)
【0099】
生成部132は、上記式(2)のように、退店者60ごと、より具体的には退店者60が有するストアアカウントごとに式を生成する。そして、生成部132は、生成した式を機械学習のサンプルとする。そして、生成部132は、サンプルとなる式の演算処理(回帰学習)を行うことにより、所定の重み値「ω」に対応する値を導出する。すなわち、生成部132は、上記式(2)を満たすような所定の重み値「ω」を決定する。言い換えれば、生成部132は、所定の説明変数が目的変数「y」に与える影響を示す重み値「ω」を決定することができる。例えば、「退店」という事象に対して、「法人格」が他の変数と比較して大きく寄与しているのであれば、「法人格」に対応する重み値「ω
2」の値は、他の変数と比較して大きな値が算出される。
【0100】
なお、上記の例では、ストア評点やレビュー数を数値として示したが、これらの数値は、所定の設定により、説明変数として用いられるように変換されてもよい。例えば、生成部132は、既知の手法により、これらの数値を正規化して用いてもよい。あるいは、生成部132は、例えば、ストア評点を「高」「中」「低」と三段階に分け、それぞれを説明変数として用いてもよい。この場合、例えば、生成部132は、ストア評点が「低」であるという説明変数が、目的変数(=退店)に与える重み値を算出することができる。具体的には、生成部132は、学習の結果として、ストア評点が低い出店者ほど、退店に至る可能性が高いことを学習することができる。
【0101】
上記のようにして、生成部132は、商取引サイトにおいて出店していた事業者が「退店」に至るという傾向と、その事業者に関する情報(素性)との関連性を求めるためのモデルを生成する。すなわち、生成部132は、生成したモデルに、処理対象とする出店者70の情報を入力した場合に、それらの情報が「退店」という事象、言い換えれば退店者60にどのくらい類似した傾向を有するか、といった関連性を示すスコアを出力することができる。なお、上記式(2)を用いた算出処理では、左辺を「1」や「0」そのものとするのではなく、所定の誤差を想定し、かかる誤差との差異を2乗した値が最小値となるよう近似する最小二乗法などの手法を用いて、「ω」の最適解を算出してもよい。
【0102】
また、上記の例では表記を省略したが、生成部132は、退店者60に関するあらゆる素性を用いてモデルを生成してもよい。例えば、生成部132は、退店者60に対してユーザから投稿されたあらゆる単語を説明変数としてモデルを生成してもよい。これにより、生成部132は、例えば、レビューに「偽物」や「海外」や「かかる」が含まれているストアは退店する傾向が高く、レビューに「梱包」や「配送」や「迅速」が含まれているストアは退店する傾向が低いといった傾向を見出すようなモデルを生成できる場合がある。このことは、処理対象となる出店者70に対するユーザからの評価に「偽物」という単語が含まれている場合、当該出店者70が、将来的に退店する可能性が高いことを意味する。すなわち、「偽物」という単語は、「退店」という結果に対して(退店者60との相関性を求める素性として)重みが重い要素であるといえる。
【0103】
なお、生成部132は、単語を素性として用いる場合には、単語の出現数を加味してもよい。例えば、生成部132は、所定の単語に対して算出した重みについて、単語が出現する回数に応じて、さらに所定の割合を乗じるような調整を行ってもよい。これにより、生成部132は、退店者60との相関性を強く示す単語が頻繁に出現する出店者70については、より退店者60との相関性を強く示すスコアを出力するようなモデルを生成することができる。また、生成部132は、所定のドキュメント(ユーザから投稿された1つのレビューや、商品に対する一つのレビューなど)におけるtf−idf等の重みを利用して、所定の単語に対して算出した重みについて、さらに所定の割合を乗じるような調整を行ってもよい。
【0104】
また、かかる学習を経て、生成部132は、例えば法人格のうち「個人事業主」は退店の可能性が高く、「株式会社」や「財団法人」は退店の可能性が低い、といった傾向を導出することができる場合がある。この場合も、「個人事業主」という属性が、「退店」という結果に対して、「株式会社」や「財団法人」といった属性に対して重みが重いといえる。
【0105】
なお、生成部132は、さらに種々の情報を加味してモデルを生成してもよい。例えば、生成部132は、上記のように退店者60のモデルを生成する場合に、既知のモデルから算出される信用度を含めてもよい。
【0106】
一例として、生成部132は、既存モデルとして、既知の任意の企業評価モデルを用いてもよい。例えば、財務情報に基づいて事業者の倒産確率を示すスコアを求める企業評価モデルとして、アルトマン(Edward Altman)のZ値等が広く知られている。生成部132は、このような既存モデルを用いて、事業者の倒産確率(実施形態では、「出店者が商取引サイトから退店する確率」と読み替えてもよい)を示すスコアを説明変数の1つとして、上記モデルに組み込んでもよい。
【0107】
なお、例示したモデルは一例であり、生成部132が生成するモデルは上記の例に限られない。すなわち、生成部132は、退店者60に関する情報に基づいて生成されるモデルであって、出店者70に関する情報が入力された場合に、退店者60と出店者70との相関性を示すスコアを出力するモデルであれば、既知の手法を組み合わせることによって、上記例とは異なるモデルを適宜生成してもよい。例えば、上記の例では、回帰分析によってモデルを生成する例を示したが、生成部132は、他の統計的処理によりモデルを生成してもよいし、また、ニューラルネットワークを利用したモデル等を生成してもよい。
【0108】
また、生成部132は、退店理由の種別ごとに正解データを区別してもよい。一般に、自主的な都合で退店した退店者60と比較して、ウェブサーバ30側から強制的に退店させられた退店者60は、より信用度が低い事業者と想定される。このため、生成部132は、例えば正解データとする退店者60を「強制退店」させられたストアアカウントのみに絞ったモデルを生成してもよい。あるいは、生成部132は、正解データとする退店者60を「(自主都合の)退店」や「休店」のストアアカウントのみに絞ったモデルを生成してもよい。これにより、生成部132は、出店者70が、単に「退店」すると予測される事業者であるか、あるいは「強制退店」させられる可能性の高い事業者であるかといったことを示すスコアを出力するモデルを別に生成することができる。すなわち、生成部132は、生成する正解データや素性を使い分けて別のモデルを生成することにより、ある事象(単に退店するか、強制退店させられるか)を示すスコアを出力する精度を向上させたモデルを生成することができる。
【0109】
(受付部133について)
受付部133は、出店者70の信用度に関する要求を受け付ける。具体的には、実施形態に係る受付部133は、融資を行おうとする金融機関等の情報処理端末から、出店者70の信用度を算出する旨の要求を受け付ける。受付部133は、要求を受け付けたことを契機として、処理対象となる出店者70に関する情報を取得部131に取得させてもよい。例えば、受付部133は、出店者70のストアに対するユーザからの評価や、出店者70の属性情報等を取得させる。そして、受付部133は、受け付けた情報を生成部132や算出部134に送る。
【0110】
(算出部134について)
算出部134は、取得部131によって取得された退店者60に関する情報に基づいて、所定の商取引サイトに出店する出店者70に対する信用度を算出する。例えば、算出部134は、生成部132によって生成されたモデルから出力されたスコアに基づいて、出店者70の信用度を算出する。
【0111】
具体的には、算出部134は、生成部132が生成したモデルに処理対象とする出店者70に関する情報を入力することにより、出力される処理対象である出店者70のスコアを取得する。出力されたスコアは、処理対象である出店者70と退店者60との相関性を示す。例えば、処理対象である出店者70と退店者60との相関性が高いという事象は、当該出店者70が、退店する可能性が高いことを示している。算出部134は、かかるスコアに基づいて、出店者70の信用度を算出する。算出部134は、出力されたスコアそのものを出店者70の信用度としてもよいし、出力されたスコアを正規化する等の処理を行い、処理後に算出された値を出店者70の信用度としてもよい。例えば、算出部134は、モデルから出力されたスコアを100段階の数値に正規化する処理を行い、処理後に算出された1から100までの値を出店者70の信用度としてもよい。
【0112】
なお、算出部134は、必ずしも生成部132が生成したモデルを用いて出店者70の信用度を算出しなくてもよい。例えば、算出部134は、出店者70に対するユーザからの評価に関する情報と、退店者60に対するユーザからの評価に関する情報とを統計的に比較し、比較した情報に基づいて出店者70の信用度を算出してもよい。
【0113】
(判定部135について)
判定部135は、算出部134によって算出された信用度に基づいて、出店者70に対する融資条件を判定する。例えば、判定部135は、算出部134によって算出された信用度が融資条件記憶部128に保持された条件のいずれに該当するかを判定し、出店者70に対する融資条件を判定する。
【0114】
判定部135は、判定した融資条件を出店者70に対して通知してもよい。また、判定部135は、出店者70と出店者70に対して判定した融資条件とを対応付けた情報を金融機関等に通知してもよい。
【0115】
〔4.処理手順〕
次に、
図11を用いて、実施形態に係る算出装置100による生成処理の手順について説明する。
図11は、実施形態に係る算出装置100による生成処理手順を示すフローチャートである。
【0116】
図11に示すように、取得部131は、ウェブサーバ30から退店者60に関する情報を取得する(ステップS101)。そして、生成部132は、取得部131によって取得された情報に基づいて、出店者70に関する情報が入力された場合に、退店者60と出店者70との相関性を示すスコアを出力するモデルを生成する(ステップS102)。生成部132は、生成したモデルをモデル記憶部127に格納する(ステップS103)。
【0117】
次に、
図12を用いて、実施形態に係る算出装置100による算出処理の手順について説明する。
図12は、実施形態に係る算出装置100による算出処理手順を示すフローチャートである。
【0118】
図12に示すように、受付部133によって信用度算出の要求が受け付けられた場合には、取得部131は、処理対象とする出店者70に関する情報を取得したか否かを判定する(ステップS201)。取得部131は、情報を取得していない場合には、取得するまで待機する(ステップS201;No)。
【0119】
一方、出店者70に関する情報を取得した場合には(ステップS201;Yes)、算出部134は、取得した出店者70に関する情報を生成部132が生成したモデルに入力する(ステップS202)。
【0120】
そして、算出部134は、処理対象とする出店者70と、退店者60との相関性を示すスコアを出力させる(ステップS203)。さらに、算出部134は、出力させたスコアに基づいて出店者70の信用度を算出する(ステップS204)。判定部135は、算出された信用度に基づいて出店者70に対する融資条件を判定する(ステップS205)。
【0121】
〔5.変形例〕
上述した実施形態に係る算出装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、上記の算出装置100の他の実施形態について説明する。
【0122】
〔5−1.共起する単語〕
上記実施形態では、算出装置100は、素性として単語を用いる例を示した。かかる例において、算出装置100は、1つの単語を素性とするのではなく、ある単語と、当該単語と共起する単語とのペアを素性として用いてもよい。
【0123】
例えば、ユーザからのレビューにおいて、「梱包」という単語が出現する場合には、「梱包」と「丁寧」という単語が共起して用いられる場合と、「梱包」と「雑」という単語が共起して用いられる場合とでは、ユーザの評価に隔たりがあると想定される。このため、算出装置100は、所定の単語に関して共起する組み合わせを予め設定し、設定した単語の組合せを素性として用いるようにしてもよい。
【0124】
なお、算出装置100は、共起する単語の組み合わせについて、予め設定されたデータを記憶してもよいし、学習処理によって組み合わせとする単語のペアを抽出するようにしてもよい。これにより、算出装置100は、ユーザからの評価をより精度高く反映させた信用度の算出処理を行うことができる。
【0125】
〔5−2.モデルに入力するデータ〕
上述した実施形態において、算出装置100は、出店者70に関する情報を入力して、退店者60との相関性を示すスコアを算出する例を示した。ここで、算出装置100は、モデルを生成するために用いられた退店者60の情報と、モデルに入力される出店者70の情報との取得時期を対応させるようにしてもよい。
【0126】
算出装置100が取得する情報は、ショッピングモール等の商取引サイトにおける情報であるため、時期的影響を受けた情報となる可能性がある。例えば、年末など取引が盛んに行われる時期と、それ以外の時期とでは、ストアごとの売上件数や売上金額に差が生じる可能性がある。このため、算出装置100は、モデルを生成するために情報を取得した時期を記憶しておく。そして、算出装置100は、処理対象となる出店者70の情報を入力する場合には、モデルの生成に用いられた情報が取得された時期と類似する時期に取得された情報を入力する。これにより、算出装置100は、出力されるスコアの時期的影響を加味した算出処理を行うことができる。
【0127】
〔5−3.情報量〕
上記実施形態において、算出装置100は、ネットワーク上で取得可能な種々の情報に基づいて、モデルを生成する例を示した。ここで、算出装置100は、各種ウェブサイトを利用する一般ユーザから取得される情報が一定の閾値を超えたもののみを用いて処理を行うようにしてもよい。
【0128】
例えば、あるストアにおける商品に関するレビューや、ユーザの評価等は、一定数以上のデータに基づかない場合、偏った傾向を示すことがありうる。この場合、回帰式に偏った傾向のデータの影響が及ぶため、算出装置100は、出店者70の信用度を精度よく算出することができないモデルを生成する場合がある。このため、算出装置100は、所定のストアアカウントに対して、ユーザから送信された評点やレビューの総数が一定数を超えたもののみを、モデルの算出処理で扱うデータとすることができる。これにより、算出装置100は、信頼性の高いスコアを出力するモデルを生成することができる。
【0129】
〔5−4.補正〕
算出装置100は、現実の経済状態によって、出力されるスコアに補正をかけることのできるモデルを生成してもよい。例えば、算出装置100は、円高傾向のときに経営状態が良くなる出店者70と、影響のない出店者70と、経営状態が悪化する出店者70とを分類する。そして、算出装置100は、モデルを生成する際には、所定期間における円の価値の動向についても素性とすることにより、円の価値の動向が加味されて補正されたスコアを出力させるモデルを生成する。算出装置100は、例えば、長期的に退店者60及び出店者70の情報を取得し、円の価値の動向などとの連動性に関する情報を蓄積することにより、このような補正情報をモデルに反映させる。
【0130】
〔5−5.情報のバリエーション〕
上記実施形態において、算出装置100は、素性情報記憶部122に記憶される各種情報を用いて処理を行う例を示した。ここで、算出装置100が扱う情報のバリエーションに関して、より詳細に説明する。
【0131】
例えば、算出装置100は、単語情報テーブル126に記憶される単語に関して、さらに詳細な情報を取得してもよい。例えば、算出装置100は、取得された単語を形態素解析し、品詞ごとに集計された情報を取得してもよい。具体的には、算出装置100は、名詞のカテゴリを人、物、場所等へ分類した集計結果を取得する。また、算出装置100は、各単語がポジティブ属性を有するか、ネガティブ属性を有するかといった分類結果や、メッセージが対話形式である場合、かかる対話の意図判定などの判定結果を取得することができる。
【0132】
また、算出装置100は、ユーザから送信される音声情報を、メッセージとして取得してもよい。すなわち、算出装置100は、音声検索や音声入力などを利用するユーザから送信される音声を音声認識することにより、単語を含むテキスト情報として取得してもよい。
【0133】
また、算出装置100は、取得された単語に関して、特定の品詞のみを抽出してもよい。例えば、算出装置100は、名詞や形容詞など、退店者60及び出店者70の状況を端的に表すことのできる品詞を処理に用いてもよい。これにより、算出装置100は、スコア算出の精度を低下させずに、処理負担を軽減させることができる。
【0134】
また、算出装置100は、予め登録された単語のみをスコア算出の処理に用いてもよい。例えば、算出装置100は、「良い」や、「悪い」等といった、退店者60及び出店者70への評価を端的に表すことのできる単語を処理に用いてもよい。かかる登録は、例えば、算出装置100の管理者により行われる。
【0135】
また、算出装置100は、単語を品詞として分類する他に、所定のカテゴリ毎に分類してもよい。例えば、算出装置100は、「人名」や、「場所」や、「金額」といったカテゴリを予め登録し、かかるカテゴリに該当する単語に関する情報を処理に用いてもよい。
【0136】
〔5−6.アカウント別の処理〕
上記実施形態において、算出装置100が、退店者60に関する情報に基づいてモデルを生成することを示した。このとき、算出装置100は、ストアアカウントごとの情報を用いてモデルを生成してもよい。
【0137】
例えば、退店者60は複数のストアアカウントを有する場合があるが、そのうちの一つが強制退店になったとしても、それまで他のストアは正常に営業を行っていた可能性がある。この場合、当該退店者60に関する全てのストアアカウントを「強制退店」したストアアカウントとして取り扱うと、正常なストアアカウントに関する情報も「強制退店」したストアアカウント、すなわち正解データとして扱われるため、モデルの精度が低下するおそれがある。
【0138】
そこで、算出装置100は、所定の商取引サイトにおいて退店者60が複数のストアアカウントを有する場合、ストアアカウントごとに所定の商取引サイトにおける退店者60に関する情報を取得する。そして、算出装置100は、退店者60が有するストアアカウントのうち、所定の条件に適合するアカウントを正解データとして学習することによってモデルを生成する。具体的には、算出装置100は、所定の退店者60が有する一つのストアアカウントが強制退店されたことにより、残り全てのストアアカウントが退店扱いになったとしても、モデル生成に用いる情報については、実際に強制退店の原因となったストアアカウントのみを用いる。これにより、算出装置100は、退店者60との相関性を求める際の精度を低下させないモデルを生成することができる。
【0139】
〔6.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0140】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0141】
例えば、
図3に示した記憶部120内の情報は、算出装置100が保持せずに、外部のストレージサーバ等に保持されてもよい。この場合、算出装置100は、ストレージサーバにアクセスすることで、格納されている各種情報を取得する。
【0142】
また、例えば、上述してきた算出装置100は、各種情報を取得したり、事業者の信用度の算出要求を受け付けたりといった、外部装置とのやりとりを主に実行するフロントエンドサーバ側と、生成処理や算出処理などを実行するバックエンドサーバ側とに分散されてもよい。この場合、例えば、フロントエンドサーバは、少なくとも、取得部131を有する。また、バックエンドサーバは、少なくとも、算出部134を有する。
【0143】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る算出装置100は、例えば
図13に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図13は、算出装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0144】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0145】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(
図2に示すネットワークNに対応する)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、また、通信網500を介してCPU1100が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0146】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0147】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0148】
例えば、コンピュータ1000が算出装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部120内の各データが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信網500を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0149】
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る算出装置100は、取得部131と、算出部134とを有する。取得部131は、ネットワーク上の所定の商取引サイトにおいて商取引を行う権利を失った退店者60に関する情報を取得する。算出部134は、取得部131によって取得された退店者60に関する情報に基づいて、所定の商取引サイトに出店する出店者70に対する信用度を算出する。
【0150】
このように、実施形態に係る算出装置100は、事業者の信用度を計るために一般的に用いられる企業の財務情報等のみならず、ショッピングモール等の商取引サイトにおける退店者60に関する情報に基づいて、出店者70の信用度を算出する。すなわち、算出装置100は、商取引サイトから退店した事業者に関する情報を不芳な情報と想定することにより、かかる情報との関連性に基づいて、当該商取引サイトに出店する出店者70の信用度を算出する。このため、算出装置100によれば、通常では、信頼できる財務情報や所定のホワイトリスト等に基づかなければ信用度の判定が難しい小規模な事業者である出店者70に対しても、精度よく信用度を算出することができる。さらに、算出装置100は、当該商取引サイトにおける退店者60を判定基準として信用度を算出するという構成を有することで、所定の商取引サイトにおける実情に即した信用度を算出することができる。
【0151】
また、実施形態に係る算出装置100は、退店者60に関する情報に基づいて生成されるモデルであって、出店者70に関する情報が入力された場合に、退店者60と出店者70との相関性を示す指標値を出力するモデルを生成する生成部132をさらに有する。算出部134は、生成部132によって生成されたモデルから出力された指標値(スコア)に基づいて、出店者70の信用度を算出する。
【0152】
このように、実施形態に係る算出装置100は、退店者60に関する情報に基づいて生成されたモデルを利用して、処理対象とする出店者70の信用度を算出する。これにより、算出装置100は、効率よく出店者70の信用度を算出することができるとともに、学習されたモデルを利用して退店者60と出店者70との相関性を求めることで、算出処理の精度を高めることができる。
【0153】
また、取得部131は、退店者60に関する情報として、所定の商取引サイトにおける退店者60に対するユーザからの評価に関する情報を取得する。生成部132は、所定の商取引サイトにおける退店者60に対するユーザからの評価に関する情報に基づいて、モデルを生成する。
【0154】
このように、実施形態に係る算出装置100は、ネットワークを介して商取引サイトを利用するユーザからの反応を取得し、取得した情報を用いてモデルを生成する。これにより、算出装置100は、ユーザからの反応という鮮度の高いデータを用いて出店者70の信用度を算出することができる。
【0155】
また、取得部131は、退店者60に対するユーザからの評価に関する情報として、退店者60が出店した店舗もしくは商品に対するユーザからの反応の数、又は、退店者60が出店した店舗もしくは商品に対してユーザが評点した評価値に関する情報を取得する。
【0156】
このように、実施形態に係る算出装置100は、ユーザからの反応の数や評点を取得し、算出処理に用いる。これにより、算出装置100は、ユーザからの反応が直接的に反映された、信頼性の高いデータを用いて出店者70の信用度を算出することができる。
【0157】
また、取得部131は、退店者60が出店した店舗もしくは商品に対するユーザからの反応の数の推移、又は、退店者60が出店した店舗もしくは商品に対してユーザが評点した評価値の推移に関する情報を取得する。
【0158】
このように、実施形態に係る算出装置100は、ユーザの評価に関する情報について、その情報の推移を捉えた情報を利用して算出処理を行う。一般に、商取引サイトから退店する事業者は、徐々にユーザからの評価を低下させたり、商品売上が低下したりするような傾向を示すことが想定される。算出装置100は、このように推移する情報を素性として処理に用いることで、出店者70が将来的に退店するか否か、言い換えれば、当該出店者70が信頼のおける事業者であるか否かを精度よく判定することができる。
【0159】
また、取得部131は、退店者60に対するユーザからの評価に関する情報として、退店者60が出店した店舗もしくは商品に対するユーザからのレビューに含まれる単語を取得する。生成部132は、退店者60が出店した店舗もしくは商品に対するユーザからのレビューに含まれる単語と、出店者70が出店した店舗もしくは商品に対するユーザからのレビューに含まれる単語との相関性に基づいて指標値を出力するモデルを生成する。
【0160】
このように、実施形態に係る算出装置100は、レビューに含まれる単語そのものを素性としてモデルを生成する。例えば、商取引サイトから退店する事業者に対しては、類似する傾向のあるレビュー内容がユーザから投稿される可能性がある。算出装置100は、そのようなユーザが示す反応を単語という情報で捉えることで、レビューを受け付ける商取引サイトにおける出店者70の信用度を精度よく算出することができる。
【0161】
また、取得部131は、退店者60に関する情報として、所定の商取引サイトにおける退店者60の事業者としての属性情報を取得する。生成部132は、所定の商取引サイトにおける退店者60の事業者としての属性情報に基づいて、モデルを生成する。
【0162】
このように、実施形態に係る算出装置100は、事業者としての属性情報を用いてモデルを生成してもよい。これにより、算出装置100は、処理の対象となる商取引サイトでは、どのような属性を有する事業者が退店し易いかといった情報を反映させたモデルを生成することができるため、当該商取引サイトにおける出店者70に対して、属性情報によって示される傾向(退店のしやすさ)を反映させた信用度を算出することができる。
【0163】
また、取得部131は、属性情報として、退店者60の事業者としての法人格、又は、退店者60の事業者としての業種を取得する。生成部132は、退店者60の事業者としての法人格と出店者70の事業者としての法人格、又は、退店者60の事業者としての業種と出店者70の事業者としての業種との相関性に基づいて指標値を出力するモデルを生成する。
【0164】
このように、実施形態に係る算出装置100は、事業者の法人格や業種を反映させたモデルを生成してもよい。一般に、法人格や業種は商取引サイトにおける事業者の動向を示す指標となる可能性が高いため、算出装置100は、そのような情報を加味したモデルを生成することで、信用度の算出処理の精度を向上させることができる。
【0165】
また、取得部131は、所定の商取引サイトにおいて退店者60が複数のアカウントを有する場合、アカウントごとに所定の商取引サイトにおける退店者60に関する情報を取得する。生成部132は、退店者60が有するアカウントのうち、所定の条件に適合するアカウントを正解データとして学習することによって、モデルを生成する。
【0166】
このように、実施形態に係る算出装置100は、退店者60が複数のストアアカウントを有する場合には、所定の条件に適合するストアアカウント(例えば、強制退店となったストアアカウント)を正解データとして学習し、退店者60のその他のストアアカウントについては正解データとして学習しないようにして、モデルを生成してもよい。これにより、算出装置100は、真に不芳なストアアカウントのみを正解データとすることができるため、モデルの精度を向上させることができる。
【0167】
以上、本願の実施形態及び実施形態の変形例のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0168】
また、上述した算出装置100は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0169】
また、特許請求の範囲に記載した「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、生成部は、生成手段や生成回路に読み替えることができる。
【解決手段】本願に係る算出装置は、取得部と、算出部とを有する。取得部は、商取引を行う権利を失った退店者に関する情報をネットワーク上から取得する。算出部は、取得部によって取得された退店者に関する情報に基づいて、所定の商取引サイトに出店する出店者に対する信用度を算出する。例えば、取得部は、退店者に関する情報として、ネットワーク上における退店者に対するユーザからの評価に関する情報を取得する。