(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヘッド部に切削工具を装着するとともに切削工具の近傍位置に光受光口を設けたハンドピース本体と、このハンドピース本体に対して着脱可能に連結されるグリップ部と、前記ハンドピース本体内に配置したカラーカメラモジュールとを有するカメラ内蔵ハンドピースであって、
前記カラーカメラモジュールは、集光レンズユニット、カラー画像信号を出力するカラーイメージセンサを有するカメラユニットと、このカメラユニットの周りに配置した任意数の発光素子とを具備するとともに、
前記ヘッド部に設けた光受光口に臨ませた対物レンズと、前記ハンドピース本体内において、前記対物レンズに入射端を、前記カラーカメラモジュールに射出端を臨ませる状態に配置した光伝送体としてのロッドファイバと、を具備し、患部の撮像光を前記対物レンズ、光伝送体を経て前記カメラユニットに伝送する撮影光学系を備えるカメラ内蔵ハンドピースにおいて、前記光受光口の周りの前方に空気を噴射し、エアーカーテン効果により光受光口に入射する撮像光に対する視界を確保する曇り防止機構を備えることを特徴とするカメラ内蔵ハンドピース。
ヘッド部に切削工具を装着するとともに切削工具の近傍位置に光受光口を設けたマイクロモータ駆動型のハンドピース本体と、このハンドピース本体に対して着脱可能に連結されるグリップ部と、前記ハンドピース本体内に内蔵したカラーカメラモジュールとを有するカメラ内蔵ハンドピースであって、
前記カラーカメラモジュールは、集光レンズユニット、カラー画像信号を出力するカラーイメージセンサを有するカメラユニットと、このカメラユニットの周りに配置した任意数のLEDとを具備するとともに、前記ハンドピース本体における前記グリップ部寄りの内壁部に添着配置され、
前記ヘッド部に設けた光受光口に臨ませた対物レンズと、前記ハンドピース本体内において、前記対物レンズに入射端を、前記カラーカメラモジュールに射出端を各々所定間隔をもって臨ませる状態で内壁部に添着したロッドファイバと、を具備し、患部の撮像光を前記対物レンズ、ロッドファイバを経て前記カメラユニットに伝送する撮影光学系を備えるカメラ内蔵ハンドピースにおいて、前記対物レンズとロッドファイバの入射端との間隔は、前記対物レンズからの撮影光がロッドファイバの受光角内に略収まり、前記ロッドファイバの射出端と前記集光レンズユニットとの間隔は、前記集光レンズユニットの視野角内にロッドファイバからの射出光が略収まるように構成するとともに、前記光受光口の周りの前方に空気を噴射し、エアーカーテン効果により光受光口に入射する撮像光に対する視界を確保する曇り防止機構を備えることを特徴とするカメラ内蔵ハンドピース。
ヘッド部に切削工具を装着するとともに切削工具の近傍位置に光受光口を設けたエアータービン駆動型のハンドピース本体と、このハンドピース本体に対して着脱可能に連結されるグリップ部と、前記ハンドピース本体内の接続筒部の中央部に配置したカラーカメラモジュールとを有するカメラ内蔵ハンドピースであって、
前記カラーカメラモジュールは、集光レンズユニット、カラー画像信号を出力するカラーイメージセンサを有するカメラユニットと、このカメラユニットの周りに配置した任意数のLEDとを具備するとともに、前記ハンドピース本体の中央部に配置され、
前記ヘッド部に設けた光受光口に臨ませた対物レンズと、前記ハンドピース本体内において、前記対物レンズに入射端を、前記カラーカメラモジュールに射出端を各々所定間隔をもって臨ませる状態で配置したロッドファイバと、を具備し、患部の撮像光を前記対物レンズ、ロッドファイバを経て前記カメラユニットに伝送する撮影光学系を備えるカメラ内蔵ハンドピースにおいて、前記対物レンズとロッドファイバの入射端との間隔は、前記対物レンズからの撮影光がロッドファイバの受光角内に略収まり、前記ロッドファイバの射出端と前記集光レンズユニットとの間隔は、前記集光レンズユニットの視野角内にロッドファイバからの射出光が略収まるように構成するとともに、前記光受光口の周りの前方に空気を噴射し、エアーカーテン効果により光受光口に入射する撮像光に対する視界を確保する曇り防止機構を備えることを特徴とするカメラ内蔵ハンドピース。
【背景技術】
【0002】
歯科治療の分野において、口腔内のう歯等の治療する際に、施術者は、治療部位を目視観察しながら、う蝕した歯質部分を切削除去する切削用ハンドピースが多く用いられている。この場合、施術者は、目視によっては観察しにくい歯牙の遠位壁等についてはデンタルミラーを用いて観察することが一般的である。
【0003】
近年では、口腔内観察のための画像撮影機能を備えるハンドピースも開発されている。
【0004】
例えば特許文献1には、電磁エネルギーを出力する医療処置用ハンドピース(レーザーハンドピース)と、レーザーハンドピースに着脱して使用する画像捕捉用付属装置とを組み合わせた装置が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の場合、レーザーハンドピース自体が画像捕捉手段を内蔵するものではなく、レーザーハンドピースの使用時に治療部位の画像捕捉を行うためにはその都度画像捕捉用付属装置を取り付けなければならず、施術者にとって煩雑さを伴うものであった。
【0006】
特許文献2には、既存の歯科撮影用ハンドピースに組み合わせる蛍光撮影用の補助装置が開示されている。
【0007】
しかし、特許文献2の場合には、歯科撮影用ハンドピースと蛍光撮影用の補助装置とを組み合わせたものであり、治療部位の切削用ハンドピースに画像撮影機能を付加した構成とは明確に異なるものである。
【0008】
特許文献3には、ハンドピース1の先端部にヘッド部を有し、該ヘッド部に、対物レンズ及び該対物レンズの像を電気信号に変換するCCDを配置し、CCDにて変換した電気信号は、画像表示装置に伝達する構成とし、口腔内の患部は、ライトガイドの光放出端から放射される光によって照明するように構成した歯科用口腔内観察カメラが提案されている。
【0009】
しかし、この特許文献3の場合も、治療部位の切削用ハンドピースに画像撮影機能を付加したような構成ではない。
【0010】
特許文献4には、画像導体と光導波体とから成る画像記録装置を備えた歯科用の作業ハンドピースにおいて、画像導体(3)と光導波体(4)とがハンドピース(1)に組み込まれている構成を有する画像記録装置を備えた歯科用の作業ハンドピースが提案されている。
【0011】
特許文献4の歯科用の作業ハンドピースの場合、口腔内の患部の画像記録は可能であると推定されるものの、本体内に患部照明用の光導波体(4)を画像導体(3)とは別系統で配置したごく一般的な構成である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする問題点は、治療部位の切削用ハンドピースにカラーカメラ機能を組み込み、歯牙の遠位壁等のような通常では見えにくい治療部位の明瞭なカラー画像を見ながら治療を実行し得るようなカメラ内蔵ハンドピースが存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ヘッド部に切削工具を装着するとともに切削工具の近傍位置に光受光口を設けたハンドピース本体と、このハンドピース本体に対して着脱可能に連結されるグリップ部と、前記ハンドピース本体内に
配置したカラーカメラモジュールとを有するカメラ内蔵ハンドピースであって、前記カラーカメラモジュールは、集光レンズユニット、カラー画像信号を出力するカラーイメージセンサを有するカメラユニットと、このカメラユニットの周りに配置した任意数の発光素子とを具備するとともに、前記ヘッド部に設けた光受光口に臨ませた対物レンズと、前記ハンドピース本体内において、前記対物レンズに入射端を、
前記カラーカメラモジュールに射出端を臨ませる状態に配置した光伝送体と、を具備し、患部の撮像光を前記対物レンズ、光伝送体を経て前記カメラユニットに伝送する撮影光学系を備えることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、ハンドピース本体に、集光レンズユニット、カラーイメージセンサを有するカメラユニットと、前記ヘッド部に設けた光受光口に臨ませた対物レンズと、前記対物レンズに入射端を、前記カラーカメラモジュールに射出端を臨ませる状態に配置した光伝送体とを備える構成の基に、
観察部位を中心に、集光する光源と、観察部位を中心に保護されたエアーカーテンの相乗効果によって、歯牙の遠位壁等のような通常では見えにくい治療部位の明瞭なカラー画像を見ながら治療を実行し得るカメラ内蔵ハンドピースを提供することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、ハンドピース本体に、集光レンズユニット、カラーイメージセンサを有するカメラユニットと、前記ヘッド部に設けた光受光口に臨ませた対物レンズと、前記対物レンズに入射端を、前記カラーカメラモジュールに射出端を臨ませる状態に配置したロッドファイバとを備える構成の基に、
観察部位を中心に、集光する光源と、観察部位を中心に保護されたエアーカーテンの相乗効果によって、歯牙の遠位壁等のような通常では見えにくい治療部位の明瞭なカラー画像を見ながら治療を実行し得るカメラ内蔵でマイクロモータ駆動型のハンドピースを提供することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、ハンドピース本体に、集光レンズユニット、カラーイメージセンサを有するカメラユニットと、前記ヘッド部に設けた光受光口に臨ませた対物レンズと、前記対物レンズに入射端を、前記カラーカメラモジュールに射出端を臨ませる状態に配置したロッドファイバとを備える構成の基に、
観察部位を中心に、集光する光源と、観察部位を中心に保護されたエアーカーテンの相乗効果によって、歯牙の遠位壁等のような通常では見えにくい治療部位の明瞭なカラー画像を見ながら治療を実行し得るカメラ内蔵でエアータービン駆動型のハンドピースを提供することができる。
【0018】
特に、請求項2および3記載の発明によれば、前記対物レンズとロッドファイバの入射端との間隔は、前記対物レンズからの撮影光がロッドファイバの受光角内に略収まり、前記ロッドファイバの射出端と前記集光レンズユニットとの間隔は、前記集光レンズユニットの視野角内にロッドファイバからの射出光が略収まるように構成したことによって、前記対物レンズに入射する撮影光を確実にカラーイメージセンサに導光してカラー画像化を実現することが可能で実用価値の高いカメラ内蔵ハンドピースを提供することができる。
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至7のいずれかに記載のカメラ内蔵ハンドピースにおいて、内部の電気ケーブルの配線本数を少なくし、ケーブル断線という不都合な事態の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は本発明の実施例1に係るカメラ内蔵ハンドピースの部分切欠正面図である。
【
図2】
図2は本実施例1に係るカメラ内蔵ハンドピースの平面図図である。
【
図3】
図3は本実施例1に係るカメラ内蔵ハンドピースのカメラモジュールを示す概略断面図である。
【
図4】
図4は本実施例1に係るカメラ内蔵ハンドピースのカメラモジュールの概略側面図である。
【
図5】
図5は本実施例1に係るカメラ内蔵ハンドピースのカメラユニットを示す概略断面図である。
【
図7】
図7は本実施例1におけるロッドファイバの拡大説明図である。
【
図8】
図8は本実施例1におけるカメラユニットと、ロッドファイバと、対物レンズとの光学的配置の説明図である。
【
図9】
図9は、本実施例1における発光素子の駆動回路を示す回路図である。
【
図10】
図10本実施例1における駆動制御ユニットの概略構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は本実施例1におけるカラー画像表示部によるカラー画像表示例を示す図である。
【
図12】
図12は本発明の実施例2に係るカメラ内蔵ハンドピースの部分切欠正面図である。
【
図13】
図13は本実施例2におけるロッドファイバの拡大説明図である。
【
図14】
図14は本発明の実施例2に係るカメラ内蔵ハンドピースにおけるヘッド部を含むハンドピース本体の変形例を示す部分切欠概略拡大図である。
【
図15】
図15は本発明の実施例1に係るカメラ内蔵ハンドピースの変形例を示す部分切欠正面図である。
【
図16】
図16は本発明の実施例1に係るカメラ内蔵ハンドピース
に接続する駆動制御ユニットの変形例を示すブロック図である。
【
図17】
図17は本発明の実施例2に係るカメラ内蔵ハンドピースにおけるヘッド部を含むハンドピース本体の別の変形例を示す部分切欠概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、歯牙の遠位壁等のような通常では見えにくい治療部位の明瞭なカラー画像を見ながら治療を実行し得るカメラ内蔵ハンドピースを提供するという目的を、ヘッド部に切削工具を装着するとともに切削工具の近傍位置に光受光口を設けたハンドピース本体と、このハンドピース本体に対して着脱可能に連結されるグリップ部と、前記ハンドピース本体内に
配置したカラーカメラモジュールとを有するカメラ内蔵ハンドピースであって、前記カラーカメラモジュールは、集光レンズユニット、カラー画像信号を出力するカラーイメージセンサを有するカメラユニットと、このカメラユニットの周りに配置した任意数のLEDとを具備するとともに、前記ヘッド部に設けた光受光口に臨ませた対物レンズと、前記ハンドピース本体内において、前記対物レンズに入射端を、
前記カラーカメラモジュールに射出端を臨ませる状態に配置したロッドファイバとを具備し、患部の撮像光を前記対物レンズ、ロッドファイバを経て前記カメラユニットに伝送する撮影光学系を備える構成により実現した。
【0022】
以下に本発明の実施例に係るカメラ内蔵ハンドピースについて図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
本実施例1のカメラ内蔵ハンドピース1は、マイクロモータ型に構成したものであり、
図1、
図2に示すように、略円筒状のグリップ部3と、前記グリップ部3の他端側に対して、軸受結合により同軸配置で回転可能に、かつ、着脱可能に嵌着結合されるハンドピース本体2と、を有している。
【0024】
前記ハンドピース本体2は、前記グリップ部3に対して軸受結合により同軸配置で回転可能に、かつ、着脱可能に結合される略円筒状の接続筒部11と、この接続筒部11に着脱可能に連結し、他端側、すなわち、先端部に接続工具16が装着されるとともに光受光口13を備えるヘッド部14を固着した略円筒状で、かつ、途中で所定角度曲げた形状のハンドピース本体筒部12と、を有している。
【0025】
本実施例1のカメラ内蔵ハンドピース1は、
図1に示すように、ハンドピース本体2内であって、かつ、下部内周部内に、例えば口腔内の患部の画像を撮像するためのカラーカメラモジュール21を備えるとともに、前記ヘッド部14に設けた光受光口13に光入射端を、前記カラーカメラモジュール21に光射出端を臨ませた撮像光学系41を有している。
【0026】
前記カラーカメラモジュール21は、
図3、
図4に示すように、円筒状のカメラヘッド部22を備え、その先端端面から内方にわたってカメラユニット31を配置し、このカメラユニット31の端面の回りに任意数(例えば8個)の発光素子(LED:Light Emitting Diode)24(例えば駆動電圧DC3.3Vのもの)を円形に配置した構成としている。また、カメラヘッド部22には、カメラケーブル23が接続されている。
尚、前記発光素子24の配置としては、上述した場合の他、カメラユニット31の端面の外側に照明用の光をロッドファイバ43に入射できる発光素子を配置した構成であればよく、その配置個数は1個、2個、4個、・・12個・・等任意に設定でき、また、配置形態も特に限定するものではない。
【0027】
前記カメラユニット31について、
図5、
図6を参照して詳述する。
前記カメラユニット31は、例えば直径1.2mm、内径約1.1mm、長さ3mmの円筒状の支持筒32と、この支持筒32の一方の端面に光入射端を臨ませて配置した直径Φ1=1.1mmの集光レンズユニット33と、支持筒32内に前記集光レンズユニット33に対して一定の間隔を隔て対向配置した撮像部34と、前記支持筒32の他方の端面側から支持筒32内に至る範囲に嵌着したカバー部材35と、前記撮像部34に接続されるとともにカバー部材35を貫いて後方側に導出した信号ケーブル36とを有している。
【0028】
前記撮像部34は、支持筒32内において中心を前記集光レンズユニット33の光軸に一致させた状態で固着した直径1.1mmの円板状の支持基板37と、外形寸法0.84×0.74mm、厚さ0.1mmのセンサ基板38aの表面に画素数320×240ピクセルとなるようにカラー画素を配列し、中心部が前記集光レンズユニット33の光軸に一致する状態で取り付けたカラーイメージセンサ(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)38とを具備し、前記信号ケーブル36の一端側を前記カラーイメージセンサ38に接続し、他端側を支持基板37、カバー部材35を貫いて後方側に導出している。
【0029】
前記集光レンズユニット33は、例えば視野角70度、フォーカスレンジ3−50mmの光学特性を有するものを採用している。
【0030】
前記カメラユニット31の端面の回りに配置した発光素子24には、発光素子用ケーブル25の一端が接続され、この発光素子用ケーブル25は前記信号ケーブル36とともにカメラケーブル23内に収納されて前記グリップ部3側に導出している。
【0031】
前記撮像光学系41は、
図1に示すように、前記ヘッド部14に設けた光受光口13に光入射端を、前記カラーカメラモジュール21に光射出端を臨ませている。
【0032】
すなわち、撮像光学系41は、前記光受光口13に取り付けた透明ガラス板15の内部に配置した対物レンズ42と、この対物レンズ42に光入射端を臨ませ、前記ハンドピース本体2内であって、かつ、下部内周部に沿って延在され、前記集光レンズユニット33に光射出端を臨ませる状態に配置した光伝送体であるロッドファイバ43とを具備している。
【0033】
前記ロッドファイバ43の具体的構成例を
図7に示す。
【0034】
前記ロッドファイバ43は、コア、クラッド及びスキンチューブにいずれも多成分ガラスを用い、屈折率が段階的に異なるステップインデックス型の構造とし、また、光学特性としては受光角度約70度、開口数(NA)0.57としたものを採用している。
【0035】
また、前記ロッドファイバ43は、光射出端の形状が例えばファイバ直径Φ2=約2.4mmで、その端部外周をステンレス円筒体44で覆うとともに、光入射端の形状が例えば長径約3.6mm、短径約1.35mmの長円形状としている。
【0036】
さらに、前記ロッドファイバ43は、135℃、100%RH、3分間のオークレーブ条件で350サイクル後、初期の透過率にたいして90%以内という耐オークレーブ性を有する仕様としている。
【0037】
ここで、前記カラーカメラモジュール21を構成するカメラユニット31と、前記ロッドファイバ43と、前記対物レンズ42とについて、
図8の拡大説明図を参照して詳述する。
【0038】
前記ロッドファイバ43の光射出端と前記カメラユニット31の集光レンズユニット33との関係については、前記集光レンズユニット33として視野角θ1=70度を有するものを使用し、また、前記ロッドファイバ43の光射出端の直径Φ2=約2.4mmとすることにより、集光レンズユニット33の光入射面とロッドファイバ43の光射出端との間隔D1を約3mm程度とする構成で、前記ロッドファイバ43の光射出端から射出される光束を前記集光レンズユニット33として視野角の範囲内に収め、前記集光レンズユニット33に支障なく導光することができる。
【0039】
一方、前記対物レンズ42と前記ロッドファイバ43の光入射端との関係については、前記ロッドファイバ43の受光角度θ2が約70度有ることから、例えば前記対物レンズ42としてレンズ径3mm程度で焦点距離3mm程度の凸レンズを用い、前記対物レンズ42と前記ロッドファイバ43の光入射端との間隔D2=3mm程度とすることにより、前記対物レンズ42経て前記ロッドファイバ43の光入射端に入射する撮像光を受光角度の範囲内に収め、ロッドファイバ43の光入射端に支障なく導光することができる。
【0040】
このような構成により、本実施例1によれば、前記対物レンズ42に入射する患部Pからの撮影光を確実にカラーイメージセンサ38に導光してカラー画像化を実現することが可能で実用価値の高いカメラ内蔵ハンドピース1を提供することが可能となる。
【0041】
また、本実施例1によれば、前記集光レンズユニット33のフォーカスレンジが3−50mmに設定されていることから、カメラ内蔵ハンドピース1を使用して治療を行っている際に、患部Pの鮮明なカラー画像を得られる範囲が広く、この点からも実用価値の高いカメラ内蔵ハンドピースを提供することができる。
【0042】
次に、前記カメラケーブル23に収納された発光素子用ケーブル25、信号ケーブル36の処理構造について説明する。
【0043】
前記発光素子用ケーブル25、信号ケーブル36については、前記接続筒部11とグリップ部3との接合部の対向する端面間に、図示しないが発光素子用ケーブル25用の接点部、信号ケーブル36用の接点部を各々設け、接点部を介して信号ケーブル36から送られる前記カラーイメージセンサ38からの画像信号をグリップ部3に導入した信号出力ケーブル51によりカメラ内蔵ハンドピース1の外部に取り出して後述する駆動制御ユニット61に伝送し、また、駆動制御ユニット61から供給される発光素子駆動電力をグリップ部3に導入した発光素子駆動ケーブル52から前記発光素子用ケーブル25に接点部を経て供給する構成を採用することができる。
【0044】
図9は、前記発光素子24の駆動回路を示すものであり、例えば8個の発光素子24を並列接続し、発光素子電源部63から前記発光素子用ケーブル24を経て供給される直流電圧を各発光素子22のアノード、カソード間に引加し、これらを点灯駆動するように構成している。
【0045】
次に、
図10を参照して前記駆動制御ユニット61の概略構成について説明する。
前記駆動制御ユニット61は、前記カメラ内蔵ハンドピース1全体の動作制御を行う制御部62と、各発光素子24に駆動電圧(例えばDC3.3V)を供給する発光素子電源部63と、前記カメラユニット31からの画像信号を受信する画像信号受信部64と、受信した画像信号に基づき口腔内の歯列等のカラー画像を生成するカラー画像生成部65と、生成したカラー画像を記憶する画像記憶部66と、前記カメラ内蔵ハンドピース1の動作に必要な各種操作ボタン等を搭載した操作パネル67と、を有している。
【0046】
さらに、本実施例1のカメラ内蔵ハンドピース1は、前記カメラユニット31により撮像し、カラー画像生成部65により生成したカラー画像を画面表示するカラー液晶ディスプレイ等からなるカラー画像表示部71を備えている。
これにより、
図11に示すように、術者の肉眼ではみにくい口腔内の歯列の遠心壁の部分もカラー画像にて確認することが可能となる。
【0047】
尚、本実施例1においては、前記切削工具16の駆動系については説明を省略する。
【実施例2】
【0048】
本実施例2のカメラ内蔵ハンドピース1Aは、
図12、
図13に示すようにエアータービン駆動型に構成したものであり、実施例1の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0049】
本実施例2のカメラ内蔵ハンドピース1Aは、基本的構造は実施例1の場合と略同様であるが、前記ハンドピース本体2の接続筒部11の中央部に前記カラーカメラモジュールを配置し、前記ヘッド部に設けた光受光口に臨ませた対物レンズ42と、前記カラーカメラモジュール21を構成する集光レンズユニット33に射出端を各々所定間隔をもって臨ませる状態でロッドファイバ43Aを配置したことが特徴である。
【0050】
尚、前記切削工具16の駆動系については説明を省略する。
【0051】
前記ロッドファイバ43Aは、
図13に示すように、ロッドファイバ43の場合と同様、コア、クラッド及びスキンチューブにいずれも多成分ガラスを用い、屈折率が段階的に異なるステップインデックス型の構造とし、また、光学特性としては受光角度約70度、開口数(NA)0.57としたものを採用している。
【0052】
また、前記ロッドファイバ43Aは、光射出端の形状が例えばファイバ直径Φ2=約2.4mmで、光入射端の形状が例えば長径約2.85mm、短径約2.00mmの長円形状としている。
【0053】
本実施例2のカメラ内蔵ハンドピース1Aのこの他の構成は、実施例1の場合と同様としている。
【0054】
本実施例2のカメラ内蔵ハンドピース1Aによれば、実施例1の場合と同様、対物レンズ42に入射する患部Pからの撮影光を確実にカラーイメージセンサ38に導光してカラー画像化を実現することが可能で実用価値の高いカメラ内蔵ハンドピース1Aを提供することが可能となる。
【0055】
また、本実施例2によれば、実施例1の場合と同様、前記集光レンズユニット33のフォーカスレンジが3−50mmに設定されていることから、カメラ内蔵ハンドピース1を使用して治療を行っている際に、患部Pの鮮明なカラー画像を得られる範囲が広く、この点からも実用価値の高いカメラ内蔵ハンドピース1Aを提供することができる。
【0056】
次に、
図14を参照して実施例2のエアータービン駆動型のカメラ内蔵ハンドピース1Aの変形例に係るカメラ内蔵ハンドピース1Bについて説明する。
【0057】
変形例に係るカメラ内蔵ハンドピース1Bは、基本的構成は実施例2のカメラ内蔵ハンドピース1Aの場合と同様であるが、前記光受光口13の領域、すなわち、前記透明ガラス板15の外面の曇り防止機構を付加したことが特徴である
【0058】
すなわち、ハンドピース本体2側には水流路81及び空気流路80を設け、ヘッド部14の下面には前記切削工具16を取り付けた位置の近傍位置にリング91がナット92を介して固定されており、リング91の下面における外側に水噴射孔93が形成され、水噴射孔93に隣接した内側に空気噴射孔94を設けている。
【0059】
そして、水噴射孔93はヘッド部14側に形成した周溝95を介して水流路81に接続し、空気噴射孔94は周溝96を介して空気流路80に接続している。
【0060】
さらに、前記空気流路80の途中を分岐して前記透明ガラス板15に向けた曇り防止機構を構成する曇り防止用空気流路82を設け、この曇り防止用空気流路82から前記透明ガラス板15に向けて空気を吹き付けることにより、前記カメラ内蔵ハンドピース1Bにより患部Pの切削加工を行う際に生じる透明ガラス板15の曇りを除去し、前記対物レンズ42に鮮明な状態で患部Pからの撮影光を入射しカラーイメージセンサ38に導光して、鮮明なカラー画像を撮像することできるように構成している。
【0061】
尚、前記水流路81、空気流路80に対する水、空気の供給系、及び、ヘッド部14の内部構造については説明を省略する。
【0062】
また、実施例1のカメラ内蔵ハンドピース1の場合にも、
図14に示す曇り防止機構を付加した構成とすることができることはもちろんである。
【0063】
次に、
図15、
図16を参照して、実施例1のカメラ内蔵ハンドピース1の変形例について説明する。
【0064】
この変形例においては、カメラ内蔵ハンドピース1におけるグリップ部3内に
図15に示すような前記信号出力ケーブル36に接続した例えばブルートゥス(Blutooth)規格(無線による通信プロトコルの一つ)の送信側のトランスミッター101を内蔵し、また、前記駆動制御ユニット61に例えばブルートゥス規格の受信側のトランスミッター102を付加した構成とし、前記カメラユニット31により撮像した患部Pのカラー画像信号を前記トランスミッター101から前記トランスミッター102に無線送信する構成としたものである。
【0065】
前記駆動制御ユニット61としては、カメラ内蔵ハンドピース1が接続されるコントロールユニット又はブルートゥス規格のコンピュータ等の例を挙げることができる。
【0066】
図15、
図16に示す変形例によれば、前記送信側のトランスミッター101の駆動電圧として、前記発光素子24(例えば駆動電圧DC3.3V)の駆動電圧と等しい仕様のものを採用することにより、発光素子駆動ケーブル52の2本の電線を利用して送信側のトランスミッター101の電源配線を行うことができ、送信側のトランスミッター101専用のケーブル配線を行う必要がなくなり、配線数の省略を図れるとともに、ケーブル断線という不都合な事態の発生を低減することができる。
【0067】
また、実施例2のカメラ内蔵ハンドピース1Bの場合にも、
図15に示す変形例の場合と同様な無線送信手段を採用することができることはもちろんである。
【0068】
次に、
図17を参照して実施例2のエアータービン駆動型のカメラ内蔵ハンドピース1Aの別の変形例に係るカメラ内蔵ハンドピース1Cについて説明する。
【0069】
変形例に係るカメラ内蔵ハンドピース1Cは、基本的構成は実施例2のカメラ内蔵ハンドピース1Aの場合と同様であるが、前記光受光口13の周りに、
図14に示す場合と略同様にして前記透明ガラス板15の外面の曇り防止機構を付加したことが特徴である。
【0070】
すなわち、
図14に示す場合と同様な構造の前記空気流路80の途中から分岐され、前記光受光口13の外側(透明ガラス板15の外側)の部分を囲む位置を占める構造の曇り防止用空気流路82aを設け、この曇り防止用空気流路82aの開口部82bから空気を透明ガラス板15の前方に噴射するように構成している。
【0071】
図17に示す曇り防止機構によれば、前記曇り防止用空気流路82aの開口部82bから噴射される空気によるエアーカーテン効果によって、カメラ内蔵ハンドピース1Cによる切削加工時に生じる噴霧や水滴から透明ガラス板15の曇りを防止し、視界を確保しつつ前記対物レンズ42に鮮明な状態で患部Pからの撮影光を入射しカラーイメージセンサ38に導光して、鮮明なカラー画像を撮像することできる。
【0072】
尚、
図14に示す前記曇り防止用空気流路82から前記透明ガラス板15に向けて空気を吹き付ける曇り防止機構と、
図17に示す曇り防止用空気流路82aを設け、この曇り防止用空気流路82aの開口部82bから空気を透明ガラス板15の前方に噴射するように構成した曇り防止機構との双方を設けた曇り防止機構とすることも可能である。
【0073】
このような構成にすれば、より良好な視界を確保しつつ前記対物レンズ42に鮮明な状態で患部Pからの撮影光を入射しカラーイメージセンサ38に導光して、鮮明なカラー画像を撮像することできる。