特許第6262938号(P6262938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262938
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】車両のリヤアンダミラー
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/04 20060101AFI20180104BHJP
   B60R 1/08 20060101ALI20180104BHJP
   G02B 5/10 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B60R1/04 G
   B60R1/08 Z
   G02B5/10 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-17651(P2013-17651)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-148241(P2014-148241A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】大島 研介
(72)【発明者】
【氏名】志岐 有太
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−235852(JP,A)
【文献】 特開2009−120080(JP,A)
【文献】 特開2002−160583(JP,A)
【文献】 特開平08−129341(JP,A)
【文献】 特開平11−078698(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/136206(WO,A1)
【文献】 特開2006−231998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/04
B60R 1/08
G02B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右幅方向において凸面であり、かつ上下高さ方向において凹面の鏡面を有しており、
前記鏡面の下部側には、車体後部が映り、かつその鏡像が車室内のユーザにおいて視認できるようにされている、車両のリヤアンダミラーであって、
前記鏡面は、その左右幅方向中心部から両端部に進むにしたがって前記凹面の曲率半径が漸次小さくなる形状とされており、
前記凸面の曲率半径は、前記鏡面の上下高さ方向の中央部よりも上部側および下部側の方が大きくされ、前記鏡面の下部側に映る前記車体後部の鏡像は、前記鏡面の下部側が前記中央部と前記凸面の曲率半径が同一とされている場合と比較して、前記鏡面の左右幅方向中心部が左右幅方向両端部よりも上方に膨らむ寸法が小さい輪郭の鏡像となるように構成されていることを特徴とする、車両のリヤアンダミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のリヤウインドウの上部または上方に配されて、車両の後部下方周辺を視認するのに用いられる車両のリヤアンダミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のリヤアンダミラーの一例として、車両の後部下方周辺を映すための鏡面が、左右幅方向において凸面され、かつ上下高さ方向において凹面とされたものがある(たとえば、特許文献1を参照)。
このような構成によれば、鏡面が左右幅方向において凸面とされているために、車幅方向の広範囲を鏡面に映すことが可能である。一方、前記鏡面が上下高さ方向において凹面とされていることにより、鏡像を正立像とし、視認性をよくすることが可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来においては、次のように改善すべき余地があった。
すなわち、図6は、鏡面3Eの下部寄り領域に、リヤバンパなどの車体後部の像Ib(クロスハッチング部分)を映した場合の例を示している。従来では、鏡面3Eの下部寄り領域に映る像は、左右幅方向の中央側部分がその両端側よりもかなり上側に位置ずれした状態に見えるようになっている(その詳細は、後述する本発明との対比例の説明を参照)。このため、車体後部の外形が実際にはストレートに近い形状であるにも拘わらず、車体後部の像Ibは、大きく湾曲した像となる。ところが、このように車体後部が大きく湾曲した状態に見えたのでは、ユーザに違和感を与えてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2011/136206公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、車体後部が大きく湾曲した状態に見えることを適切に防止、ユーザに違和感を与えないようにすることが可能な車両のリヤアンダミラーを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明により提供される車両のリヤアンダミラーは、左右幅方向において凸面であり、かつ上下高さ方向において凹面の鏡面を有しており、前記鏡面の下部側には、車体後部が映り、かつその鏡像が車室内のユーザにおいて視認できるようにされている、車両のリヤアンダミラーであって、前記鏡面は、その左右幅方向中心部から両端部に進むにしたがって前記凹面の曲率半径が漸次小さくなる形状とされており、前記凸面の曲率半径は、前記鏡面の上下高さ方向の中央部よりも上部側および下部側の方が大きくされ、前記鏡面の下部側に映る前記車体後部の鏡像は、前記鏡面の下部側が前記中央部と前記凸面の曲率半径が同一とされている場合と比較して、前記鏡面の左右幅方向中心部が左右幅方向両端部よりも上方に膨らむ寸法が小さい輪郭の鏡像となるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、後述する実施形態から理解されるように、鏡面の下部寄り領域に映る像が、左右幅方向の中央部側と両端部側とで上下方向に大きく位置ずれしたものとなることが抑制され、車体後部が大きく湾曲した状態に見えないようにすることができる。その結果、ユーザに違和感を与えないようにすることができる。
【0009】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る車両のリヤアンダミラーの一例を示す概略説明図である。
図2図1に示すリヤアンダミラーの作用説明図である。
図3図1に示すリヤアンダミラーの鏡面を示し、(a)は、(b)のIIIa−IIIa断面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、(b)のIIIc−IIIc断面図であり、(d)は、(b)のIIId−IIId断面図である。
図4図1に示すリヤアンダミラーの鏡面の形状の説明図である。
図5図1に示すリヤアンダミラーの鏡面に映る像の一例を模式的に示す概略正面図である。
図6】従来のリヤアンダミラーの鏡面に映る像の一例を模式的に示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
図1に示す車両のリヤアンダミラーAは、車両1の後部下方周辺を視認するのに用いられるものであり、車両1のリヤウインドウの上部または上方に、ブラケット2を用いて取り付けられている。好ましくは、このリヤアンダミラーAは、車室内の車幅方向略中央位置に配設される。車両1に室内付けハイマウントストップランプが取り付けられている場合には、そのハウジングの前面側に配設され、外部からのストップランプの視認性を損なわないようにされる。
【0013】
リヤアンダミラーAは、鏡面3を有するが、この鏡面3は、図3(b)に示すように、その正面視形状は、左右両側縁が円弧状の略矩形状である。また、同図(a)に示すように、鏡面3は、左右幅方向において適当な曲率半径Raの凸面である。なお、図3(同図(b)を除く)においては、鏡面3を模式的に1本の線のみによって示しているが、実際には、リヤアンダミラーAは、鏡面3を形成するためのベース部(図示略)を有している。前記した曲率半径Raは、鏡面3の上下高さ方向の中央部よりも上部側および下部側の方が若干大きくされている。
【0014】
図3(c),(d)に示すように、鏡面3は、上下高さ方向において凹面である。ただし、この凹面の曲率半径Rbは、各所同一ではなく、鏡面3の左右幅方向中心部からその両端部に進むにしたがって漸次小さくなっている。したがって、同図(c),(d)にそれぞれ示す曲率半径Rb1,Rb2は、Rb1>Rb2の関係にある。
【0015】
図4に示す立体SBは、円弧状に湾曲した断面円形の湾曲棒状または湾曲管状であって、所定の中心位置から離間するにしたがって直径が漸次小さくなる立体である。鏡面3は、この立体SBの一部の面Fと同様なものである。
【0016】
車両のリヤアンダミラーAは、図1に示すように、車両1の後方の地面や車両1の後部の一部が鏡面3に映り、これがユーザによって視認し得るように設定されて使用される。
その際の作用を、図2を参照して以下に説明する。
【0017】
図2は、図1に示した車両1のリヤバンパ10の後端の輪郭線Lが鏡面3に映り、ユーザに視認される状態を示す。輪郭線Lは、車両1の車幅方向に延びた直線であるものと仮定する。図2においては、鏡面3の計3箇所のセクションS1〜S3が実線で示されている。これらのセクションS1〜S3は、図3(b)の仮想線で示す位置であり、セクションS1,S3は、図3(c),(d)に示した部分である。セクションS2は、セクションS1,S3間の略中央に位置する。
【0018】
図2には、対比例として、図6に示した従来の鏡面3EのセクションSa〜Scも示されている。この対比例の鏡面3Eは、左右幅方向において凸面であって、上下高さ方向において凹面の鏡面であるが、凹面の曲率半径は一定であり、この点が本実施形態の鏡面3とは相違する。セクションSaは、鏡面3Eの左右幅方向中央部分であり、その曲率半径や位置は、本実施形態の鏡面3のセクションS1と一致させている。鏡面3EにおけるセクションSb,Scの横幅方向の位置は、本実施形態の鏡面3のセクションS1,S2のそれぞれに対応している。
【0019】
まず、対比例においては、リヤバンパ10の輪郭線Lからの光線Ra〜Rcは、セクションSa〜Scのそれぞれの位置Pa〜Pcにおいて反射されてからユーザの眼に到達する。ここで、位置Pb,Pcは、位置Paよりも低く、位置Pa,Pcの高低差H1は、かなり大きい。したがって、輪郭線Lの鏡像は、左右横幅方向中央部が両端側よりも上側に突出するように大きく湾曲したラインとなる。このような原理により、図6に示したように、車体後部の像Ibは大きく湾曲した像となる。
【0020】
これに対し、本実施形態においては、リヤバンパ10の輪郭線Lからの光線R1〜R3(光線R1,Raは同じ)は、セクションS1〜S3のそれぞれの位置P1〜P3(位置P1,Paは同じ)において反射されてからユーザの眼に到達する。位置P2,P3は、位置P1よりもやや高いものの、位置P1,P3の高低差H2は、かなり小さいものとなる。このため、輪郭線Lの鏡像は、殆ど湾曲のない直線状となる。本実施形態では、図5に示すように、鏡面3における車体後部(リヤバンパ10)の像Iaは、大きく湾曲したものとはならない。その結果、ユーザに違和感を与えないようにすることが可能であり、また視認性も良好となる。
【0021】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る車両のリヤアンダミラーの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0022】
本発明においては、鏡面の各部の具体的な曲率半径は限定されない。本発明では、鏡面の左右幅方向中心部からその両端部に進むにしたがって凹面の曲率半径が漸次小さくなるが、この凹面の曲率半径の変化の度合いも限定されない。鏡面の縦横のサイズや、全体の形状も限定されない。たとえば、正面視台形状などの他の形状にすることもできる。本発明に係る車両のリヤアンダミラーは、本発明が意図する構成の鏡面を有していればよく、具体的な材質や、車両への取り付け方法なども限定されない。
【符号の説明】
【0023】
A 車両のリヤアンダミラー
3 鏡面
図1
図2
図3
図4
図5
図6