(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262940
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】液晶表示装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20180104BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20180104BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20180104BHJP
G09G 3/18 20060101ALI20180104BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 621A
G09G3/20 641A
G09G3/20 641E
G09G3/20 641S
G09G3/20 641T
G09G3/18
G02F1/133 535
G02F1/133 575
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-54429(P2013-54429)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-182157(P2014-182157A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】重藤 泰大
【審査官】
武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開平9−274472(JP,A)
【文献】
特開2003−195262(JP,A)
【文献】
特開平10−63225(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0057894(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルと、
前記液晶セルに光を供給する光源と、
前記液晶セルに対する駆動電圧のオンとオフを制御して前記液晶セルの光変調動作を制御する液晶制御回路と、
前記光源の発光と非発光を切り替える光源制御回路と、
前記光源の発光開始のタイミングを遅延させる発光遅延回路と、を備え、
前記光源の発光と非発光のタイミングに同期させて前記液晶セルの光変調動作を制御することで1つ又は複数のフィールド単位で1つの画像を表示し、前記フィールドには、前記画像を表示するための駆動を行う画像表示駆動期間が設けられ、当該画像表示駆動期間には、前記光源の発光期間及び非発光期間と、前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間及びオフ期間とが設けられ、前記画像表示駆動期間における前記光源の発光期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間の長さを制御することで前記画像の階調表示を行い、
前記発光遅延回路が前記画像表示駆動期間の開始のタイミングから所定時間が経過するまで前記画像表示駆動期間における前記光源の発光開始のタイミングを遅延させ、当該遅延させた期間が前記画像表示駆動期間における前記光源の非発光期間となり、当該非発光期間が前記画像表示駆動期間において前記液晶に対する前記駆動電圧のオン期間と重なることにより、前記階調表示を行う際に、前記光源の発光開始のタイミングを遅延させる前後の間で輝度の誤差が生じる液晶表示装置において、
前記液晶セルが前記階調表示を行う際に生じる輝度の前記誤差を、前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間の長さを変化させることで補正する液晶駆動時間補正回路を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶駆動時間補正回路は、前記液晶セルが特定の中間調よりも低階調側であって最低階調を除く階調表示を行う際に、前記発光遅延回路が前記光源の発光開始のタイミングを遅延させることで生じる輝度の前記誤差を、前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間を延長させることで補正することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶駆動時間補正回路は、前記液晶セルの液晶の応答速度に起因して生じる輝度の理想値からの誤差を、前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間の長さを変化させることで補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶駆動時間補正回路は、前記液晶セルが特定の中間調よりも高階調側の階調表示を行う際に、前記液晶の応答速度に起因して生じる輝度の理想値からの誤差を、前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間を短縮させることで補正することを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
光源の発光のタイミングに同期させて液晶セルの光変調動作を制御することで1つ又は複数のフィールド単位で1つの画像を表示し、前記フィールドには、前記画像を表示するための駆動を行う画像表示駆動期間が設けられ、当該画像表示駆動期間には、前記光源の発光期間及び非発光期間と、前記液晶セルに対する駆動電圧のオン期間及びオフ期間とが設けられ、前記画像表示駆動期間における前記光源の発光期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間の長さを制御することで前記画像の階調表示を行い、
前記画像表示駆動期間の開始のタイミングから所定時間が経過するまで前記画像表示駆動期間における前記光源の発光開始のタイミングを遅延させ、当該遅延させた期間が前記画像表示駆動期間における前記光源の非発光期間となり、当該非発光期間が前記画像表示駆動期間において前記液晶に対する前記駆動電圧のオン期間と重なることにより、前記階調表示を行う際に、前記光源の発光開始のタイミングを遅延させる前後の間で輝度の誤差が生じる液晶表示装置の駆動方法において、
前記液晶セルが前記階調表示を行う際に生じる輝度の前記誤差を、前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間の長さを変化させることで補正することを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記液晶セルが特定の中間調よりも低階調側であって最低階調を除く階調表示を行う際に、前記光源の発光開始のタイミングを遅延させることで生じる輝度の前記誤差を、前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間を延長させることで補正することを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記液晶セルの液晶の応答速度に起因して生じる輝度の理想値からの誤差を、前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間の長さを変化させることで補正することを特徴とする請求項5又は6に記載の液晶表示装置の駆動方法。
【請求項8】
前記液晶セルが特定の中間調よりも高階調側の階調表示を行う際に、前記液晶の応答速度に起因して生じる輝度の理想値からの誤差を、前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間を短縮させることで補正することを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶セルをフィールドシーケンシャル方式により駆動して画像を表示する方法が知られている。
【0003】
この方法は、表示画素にカラーフィルターのようなR(赤)、G(緑)、B(青)の各色のセグメントを設けることでカラー表示を行うものとは異なり、各色の光を発する光源を設け、短時間に各色の照明を順次切り替えて行うことによってカラー表示を行うものである。
【0004】
この方法では、液晶セルにはモノクロ表示に用いる液晶セルと同じ構成のものが用いられ、液晶セルを前方又は後方から照明するように配置された発光素子が、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光を発し、ある所定時間TSの間、液晶セルに順次これらの光を照射する。すなわち、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の順に、それぞれの色の光を時間TSずつ液晶セルに照射し、これら3原色の光の照射を同様に繰り返す。液晶セルは、この時間TSに同期して各表示画素の光透過率を変化させる。すなわち、表示する色に応じて、R、G、Bの各光の透過率を液晶セルを駆動して制御し、液晶セルを透過する各光の割合を変化させる。ここで、時間TSを非常に短くすることにより、それぞれの色はひとつずつの色とは認識されず、それぞれの色の混色として人間の目に認識される。
【0005】
この方法では、時間TSを非常に短くする必要があり、それに応じて液晶セルの透過率を高速で変化させる必要がある。そこで、この方法には、ネマチック液晶に比べてスイッチングスピードの速い強誘電性液晶が適している。強誘電性液晶は、双安定状態でオンとオフが高速で切り替わるもので、オンとオフの時間を制御して1フィールド内の透過光量を変化させることで、階調表示を行う。
【0006】
図4−1は、理想的な黒表示(階調0表示)、グレー表示(階調127表示)、白表示(階調255表示)が行われている状態を示すタイミングチャート、
図4−2は、理想的な低階調黒表示(階調1表示、階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートである。尚、ここでは、画像を表示するアクティブ(Active)期間と、表示画像の焼きつきを防ぐために画像表示時とは逆極性の電圧を印加するパッシブ(Passive)期間とで1フィールド(Field)が構成されており、カラー表示を行う場合には、そのようなフィールドがRGBの各色に対応させて連続的に3つ設けられ、それら3つのフィールドで1つの画像が表示される。尚、白黒表示のみを行う場合には、1つのフィールドで1つの画像が表示される。
【0007】
光源は常に一定の周期で発光(点灯)と非発光(消灯)を繰り返し、例えば黒表示(階調0表示)を行う場合、理想的には、RGBの各フィールドにおいて、光源の発光開始のタイミングと液晶をオン状態からオフ状態へ切り替えるタイミングを一致させることにより、光は透過せずに完全な黒表示となる。
【0008】
また、グレー表示(階調127表示)を行う場合、白表示(階調255表示)を行う場合、低階調黒表示(階調1表示、階調2表示)を行う場合には、RGBの各フィールドのアクティブ期間内において、液晶をオン状態からオフ状態へ切り替えるタイミングを光源の発光開始のタイミングから所定時間ずつ遅らせ、その間、所定の透過光量を得ることにより、それぞれの階調の表示を行う。尚、図においては、得られる透過光量の大きさを斜線部の面積で概念的に表している。
【0009】
図5は、理想的なγ(ガンマ)特性を示す図である。
図4−1、
図4−2に示すように理想的な階調表示が行われている状態において、階調に対する輝度は、
図5に示すように低階調から高階調になるに連れて直線的に増加するように変化する。階調表示においては、このようなγ特性が得られるのが理想的である。
【0010】
図6は、現実的な黒表示(階調0表示)が行われている状態を示すタイミングチャートである。液晶がオン状態からオフ状態になるまでにはある程度の時間を要し、仮にネマチック液晶に比べてスイッチングスピードの速い強誘電性液晶であっても50μsec程度以上の時間を要するため、前述のように光源の発光開始のタイミングと、液晶をオン状態からオフ状態へ切り替えるタイミング液晶をオン状態からオフ状態へ切り替えるタイミングを一致させたとしても、実際には、光源の発光開始のタイミングと、液晶がオン状態からオフ状態へ完全に切り替わるタイミングとの間には誤差が生じる。つまり、液晶が完全にオフ状態になるより先に光源が発光し、その間、光が透過してしまうため、黒表示(階調0表示)の際に、黒表示に対して輝度が十分小さくならず、コントラストが低くなってしまうという問題が生じる。
【0011】
図7は、従来技術を用いて黒表示(階調0表示)が行われている状態を示すタイミングチャートである。上述の問題を解決する従来の駆動方法として、以下のものが知られている。この駆動方法では、黒表示(階調0表示)をする際に、液晶がオン状態からオフ状態に変化するのに要する時間TDだけ、光源の発光開始のタイミングを遅らせることで、液晶がオン状態からオフ状態に変化するまでの間、透過光量が得られないようにしている。この駆動方法によれば、黒表示(階調0表示)の際に輝度を十分低下させることができるため、高コントラストが得られる。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−63225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図8−1は、(a)理想的な低階調黒表示(階調1表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて低階調黒表示(階調1表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図、
図8−2は、(a)理想的な低階調黒表示(階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて低階調黒表示(階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図である。従来技術では、光源の発光開始のタイミングを遅らせることで、階調0表示を行う際に高いコントラストを得ることができるが、例えば、階調1や2のような低階調表示を行う際には、光源の発光開始のタイミングが遅れることにより、適正な透過光量が得られず、本来の階調表示を行うことができないという問題が生じる。
【0014】
即ち、階調1、2の黒表示を行う際の理想的な透過光量は、それぞれ
図8−1(a)、
図8−2(a)中の斜線部の面積で表されるが、光源の発光開始のタイミングを遅延させた場合には、光源の発光開始のタイミングが遅れた分(時間TD)だけ、液晶のオン時間TAが光源の発光時間TSと重なる期間が短くなるため、得られる透過光量は、それぞれ
図8−1(b)、
図8−2(b)中の斜線部の面積で表されるように、理想値に対して減少し、その分、本来の階調表示を行うことができなくなる。尚、液晶のオン時間TAとは、液晶セルの液晶に駆動電圧を印加する時間を示している。
【0015】
図8−3は、(a)理想的な高階調白表示(階調253表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて高階調白表示(階調253表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図、
図8−4は、(a)理想的な高階調白表示(階調254表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて高階調白表示(階調254表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図である。また、従来技術では、例えば、階調253や254のような高階調表示を行う際には、液晶がオン状態からオフ状態へ完全に切り替わるタイミングの遅れにより、適正な透過光量が得られず、本来の階調表示を行うことができないという問題も生じる。尚、この問題は、液晶の応答速度に起因する問題であり、光源の発光開始のタイミングが遅れることとは直接関係が無いため、光源の発光開始のタイミングを遅らせる従来技術に限らず、生じるものである。
【0016】
即ち、階調253、254の高階調白表示を行う際の理想的な透過光量は、それぞれ
図8−3(a)、
図8−4(a)中の斜線部の面積で表されるが、実際には液晶がオン状態からオフ状態へ完全に切り替わるのに時間を要するため、得られる透過光量は、それぞれ
図8−3(b)、
図8−4(b)中の斜線部の面積で表されるように、理想値に対して増加し、その分、本来の階調表示を行うことができなくなる。
【0017】
図9は、従来技術を用いて階調表示を行った際のγ(ガンマ)特性を示す図である。以上のように、従来技術では、適正な透過光量が得られないことから、γ特性は、例えば図中実線で示すような二次曲線的な特性となり、図中破線で示すような理想的な特性(直線的な特性)とは、差が生じることとなる。即ち、その差の分だけ、本来の階調表示が行えないこととなる。
【0018】
以上のように理想的な階調表示が行えないという問題は、動作方式がノーマリーブラックモードであるかノーマリーホワイトモードであるかを問わず、表示色がカラーであるか白黒であるかを問わず、階調が256階調であるかを問わず、また、上述のような理由に限らず、階調表示を行う際には同様に起こり得るものである。
【0019】
本発明は、上記問題に鑑みたもので、理想的な階調表示を実現することが可能な液晶表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
液晶セルと、前記液晶セルに光を供給する光源と、前記液晶セルに対する駆動電圧のオンとオフを制御して前記液晶セルの光変調動作を制御する液晶制御回路と、前記光源の発光と非発光を切り替える光源制御回路と、
前記光源の発光開始のタイミングを遅延させる発光遅延回路と、を備え、前記光源の発光と非発光のタイミングに同期させて前記液晶セルの光変調動作を制御することで1つ又は複数のフィールド単位で1つの画像を表示し、
前記フィールドには、前記画像を表示するための駆動を行う画像表示駆動期間が設けられ、当該画像表示駆動期間には、前記光源の発光期間及び非発光期間と、前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン期間及びオフ期間とが設けられ、前記画像表示駆動期間における前記光源
の発
光期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン
期間
の長さを制御することで
前記画像の階調表示を行
い、
前記発光遅延回路が前記画像表示駆動期間の開始のタイミングから所定時間が経過するまで前記画像表示駆動期間における前記光源の発光開始のタイミングを遅延させ、当該遅延させた期間が前記画像表示駆動期間における前記光源の非発光期間となり、当該非発光期間が前記画像表示駆動期間において前記液晶に対する前記駆動電圧のオン期間と重なることにより、前記階調表示を行う際に
、前記光源の発光開始のタイミングを遅延させる前後の間で輝度
の誤差が生じる液晶表示装置において、前記液晶セルが前記階調表示を行う際に生じる輝度の
前記誤差を、
前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン
期間
の長さを変化させることで補正する液晶表示装置とする。
【0022】
前記液晶駆動時間補正回路は、前記液晶セルが特定の中間調よりも低階調側
であって最低階調を除く階調表示を行う際に、前記発光遅延回路が前記光源の発光開始のタイミングを遅延させることで生じる輝度の
前記誤差を、
前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン
期間を延長させることで補正する液晶表示装置とすることができる。
【0023】
前記液晶駆動時間補正回路は、前記液晶セルの液晶の応答速度に起因して生じる輝度の理想値からの誤差を、
前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン
期間
の長さを変化させることで補正する液晶表示装置とすることができる。
【0024】
前記液晶駆動時間補正回路は、前記液晶セルが特定の中間調よりも高階調側の階調表示を行う際に、前記液晶の応答速度に起因して生じる輝度の理想値からの誤差を、
前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン
期間を短縮させることで補正する液晶表示装置とすることができる。
【0025】
光源の発光のタイミングに同期させて液晶セルの光変調動作を制御することで1つ又は複数のフィールド単位で1つの画像を表示し、
前記フィールドには、前記画像を表示するための駆動を行う画像表示駆動期間が設けられ、当該画像表示駆動期間には、前記光源の発光期間及び非発光期間と、前記液晶セルに対する駆動電圧のオン期間及びオフ期間とが設けられ、前記画像表示駆動期間における前記光源
の発光期間において前記液晶セルに対する
前記駆動電圧のオン
期間
の長さを制御することで
前記画像の階調表示を行い、
前記画像表示駆動期間の開始のタイミングから所定時間が経過するまで前記画像表示駆動期間における前記光源の発光開始のタイミングを遅延させ、当該遅延させた期間が前記画像表示駆動期間における前記光源の非発光期間となり、当該非発光期間が前記画像表示駆動期間において前記液晶に対する前記駆動電圧のオン期間と重なることにより、前記階調表示を行う際に
、前記光源の発光開始のタイミングを遅延させる前後の間で輝度
の誤差が生じる液晶表示装置の駆動方法において、前記液晶セルが
前記階調表示を行う際に生じる輝度の
前記誤差を、
前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン
期間
の長さを変化させることで補正する液晶表示装置の駆動方法とする。
【0027】
前記液晶セルが特定の中間調よりも低階調側
であって最低階調を除く階調表示を行う際に、前記光源の発光開始のタイミングを遅延させることで生じる輝度の理想値からの
前記誤差を、
前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン
期間を延長させることで補正する液晶表示装置の駆動方法とすることができる。
【0028】
前記液晶セルの液晶の応答速度に起因して生じる輝度の理想値からの誤差を、
前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン
期間
の長さを変化させることで補正する液晶表示装置の駆動方法とすることができる。
【0029】
前記液晶セルが特定の中間調よりも高階調側の階調表示を行う際に、前記液晶の応答速度に起因して生じる輝度の理想値からの誤差を、
前記画像表示駆動期間において前記液晶セルに対する前記駆動電圧のオン
期間を短縮させることで補正する液晶表示装置の駆動方法とすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、階調表示を行う際に生じる輝度の理想値からの誤差を、液晶セルに対する駆動電圧のオン時間を可変させることにより補正することができるため、理想的な階調表示を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1-1】(a)理想的な低階調黒表示(階調1表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて低階調黒表示(階調1表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(c)本発明を用いて低階調黒表示(階調1表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図
【
図1-2】(a)理想的な低階調黒表示(階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて低階調黒表示(階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(c)本発明を用いて低階調黒表示(階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図
【
図1-3】(a)理想的な高階調白表示(階調253表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて高階調白表示(階調253表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(c)本発明を用いて高階調白表示(階調253表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図
【
図1-4】(a)理想的な高階調白表示(階調254表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて高階調白表示(階調254表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(c)本発明を用いて高階調白表示(階調254表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図
【
図2】本発明を用いて黒表示(階調0表示)及び低階調黒表示(階調1〜4表示)が行われている状態を示すタイミングチャート
【
図4-1】理想的な階調表示(階調0、127、255表示)が行われている状態を示すタイミングチャート
【
図4-2】理想的な低階調黒表示(階調1、2表示)が行われている状態を示すタイミングチャート
【
図6】現実的な黒表示(階調0表示)が行われている状態を示すタイミングチャート
【
図7】従来技術を用いて黒表示(階調0表示)が行われている状態を示すタイミングチャート
【
図8-1】(a)理想的な低階調黒表示(階調1表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて低階調黒表示(階調1表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図
【
図8-2】(a)理想的な低階調黒表示(階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて低階調黒表示(階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図
【
図8-3】(a)理想的な高階調白表示(階調253表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて高階調白表示(階調253表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図
【
図8-4】(a)理想的な高階調白表示(階調254表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて高階調白表示(階調254表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図
【
図9】従来技術を用いて階調表示を行った際のγ(ガンマ)特性を示す図
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明による液晶表示装置は、例えば、反射型液晶表示装置として構成される。反射型液晶表示装置は、例えば、光学的要素として、反射型の液晶セルと、液晶セルに光を供給するための光源と、光源より発せられた光のうち特定の方向の偏波面を有する光のみを透過させる第一の偏光フィルタと、第一の偏光フィルタを透過した光を液晶セルに向けて反射すると共に、液晶セルに向けて反射された光のうち液晶セルの光変調により偏波面の方向が他の方向へ変換された光のみを透過させる第二の偏光フィルタとを備え、また、電気的要素として、所定のタイミングで光源の発光(点灯)と非発光(消灯)を切り替える光源制御回路と、所定のタイミングで駆動電圧のオンとオフを切り替えることで液晶セルの液晶に光変調動作(スイッチング動作)を行なわせる液晶制御回路とを備えている。
【0033】
第一の偏光フィルタは、例えば、吸収型偏光板又は反射型偏光板で構成され、第二の偏光フィルタは、例えば、反射型偏光板で構成される。
【0034】
光源は、カラー画像を表示する液晶表示装置においては、RGBの光を個別に発するLEDなどで構成されるが、白黒画像のみを表示する液晶表示装置においては、白色の光を発するLEDなどで構成される。
【0035】
液晶セルは、例えば、スイッチングスピードが高速である強誘電性液晶を用いた強誘電性液晶セルで構成される。
【0036】
以上の反射型液晶表示装置では、光源の発光と非発光のタイミングに同期させて液晶制御回路が液晶のスイッチング動作を制御することで液晶セルから光画像信号が出力され、その光画像信号が第二の偏光フィルタを通して画像として出力される。
【0037】
また、液晶制御回路がRGBの各フィールドにおいて液晶セルに対する駆動電圧のオンとオフの時間を制御し、透過光量を変化させることで階調表示が行われる。
【0038】
本発明による液晶表示装置は、従来技術と同様に、光源の発光開始のタイミングを遅延させる発光遅延回路を備えている。発光遅延回路は、RGBの各フィールドの先頭(開始)のタイミングから所定時間が経過するまで光源の発光開始のタイミングを遅延させる。発光遅延回路が光源の発光開始のタイミングを遅延させる時間TDは、例えば、液晶がオン状態から完全にオフ状態になるまでに要する時間と同じ長さであるが、それよりも短い時間又は長い時間も選択可能である。
【0039】
光源の発光開始のタイミングを遅延させることにより、液晶の応答速度に起因する、階調0表示の際のコントラストの低下は防止されるが、特に低階調表示と高階調表示を行う際に、適正な透過光量が得られなくなり、理想的な階調表示が行えなくなるという問題が新たに生じる。
【0040】
そこで、本発明による液晶表示装置は、その問題を解決する目的で、液晶駆動時間補正回路を更に備えることとしている。液晶駆動時間補正回路は、発光遅延回路が光源の発光開始のタイミングを遅延させることで生じる透過光量(輝度)の理想値からの誤差が補正されて適正な透過光量が得られるように、RGBの各フィールドにおいて、液晶セルに対する駆動電圧のオン時間を変化させる。即ち、光源の発光開始のタイミングが遅れることで、透過光量が不足するのであれば、透過光量が増加するように液晶のオン時間を変化させ、それとは逆に、透過光量が過剰となるのであれば、透過光量が減少するように液晶のオン時間を変化させる。
【0041】
図1−1は、(a)理想的な低階調黒表示(階調1表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて低階調黒表示(階調1表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(c)本発明を用いて低階調黒表示(階調1表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図、
図1−2は、(a)理想的な低階調黒表示(階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて低階調黒表示(階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(c)本発明を用いて低階調黒表示(階調2表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図である。
【0042】
例えば、ノーマリーブラックモードで動作する液晶表示装置において、階調1、2の低階調黒表示を行う際の理想的な透過光量は、それぞれ
図1−1(a)、
図1−2(a)中の斜線部の面積で表されるが、光源の発光開始のタイミングを遅延させる従来技術を用いて同じ表示を行った場合には、光源の発光開始のタイミングが遅れた分(時間TD)だけ、液晶のオン時間TAが光源の発光時間TSと重なる期間が短くなるため、得られる透過光量は、それぞれ
図1−1(b)、
図1−2(b)中の斜線部の面積で表されるように、理想値に対して減少する。
【0043】
そのため、本発明では、上述の表示を行う際に、
図1−1(c)、
図1−2(c)に示すように、液晶がオン状態からオフ状態へ切り替わり始めるタイミングをRGBの各フィールドの先頭のタイミングから通常よりも所定時間だけ遅らせ、液晶のオン時間TSをRGBの各フィールドの先頭のタイミングから通常よりも引き延ばしている。こうすることで、液晶のオン時間TAが光源の発光時間TSと重なる期間が長くなり、その分、得られる透過光量が増加し、それぞれ
図1−1(c)、
図1−2(c)中の斜線部の面積で表されるような理想的な透過光量が得られ、理想的な階調表示が行われる。
【0044】
液晶がオン状態からオフ状態へ切り替わり始めるタイミングを遅らせる時間、つまり液晶のオン時間TAを引き延ばす時間(補正時間)は、透過光量の理想値からの誤差に応じて適宜設定すれば良いが、例えば、強誘電性液晶を用いて階調1の表示を行う際には、30μsec程度である。尚、各階調に適した補正時間は、実験的手法や計算的手法などにより求めることができる。
【0045】
図2は、本発明を用いて黒表示(階調0表示)及び低階調黒表示(階調1〜4表示)が行われている状態を示すタイミングチャートである。光源の発光開始のタイミングを遅延させると、γ(ガンマ)特性は、例えば、
図9に示すような二次曲線的な特性となり、
図5に示すような理想的な特性(直線的な特性)との間に生じる誤差も、同様に二次曲線的な特性を示すこととなる。そのため、液晶のオン時間を変化させる量(補正時間)は、各階調の間で必ずしも一定とはならないが、階調3や4のような低階調黒表示を行う際にも、それらの階調に適した補正時間を適用し、
図2に示すように、液晶のオン時間TAをフィールドの先頭のタイミングから所定の長さまで引き延ばすことで、理想的な階調表示を行う。また、その一方で、黒表示(階調0表示)を行う際には、高コントラストを得るため、液晶のオン時間TSは変化させずに、通常通りの駆動を行う。尚、
図9に示すγ特性はあくまで一例であり、γ特性がそれとは異なる場合には、その特性に応じた誤差が補正されるように液晶のオン時間を適宜変化させる。
【0046】
図1−3は、(a)理想的な高階調白表示(階調253表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて高階調白表示(階調253表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(c)本発明を用いて高階調白表示(階調253表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図、
図1−4は、(a)理想的な高階調白表示(階調254表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(b)従来技術を用いて高階調白表示(階調254表示)が行われている状態を示すタイミングチャートと、(c)本発明を用いて高階調白表示(階調254表示)が行われている状態を示すタイミングチャートとを比較した図である。
【0047】
例えば、ノーマリーブラックモードで動作する液晶表示装置において、階調253、254の高階調白表示を行う際の理想的な透過光量は、それぞれ
図1−3(a)、
図1−4(a)中の斜線部の面積で表されるが、光源の発光開始のタイミングを遅延させる従来技術に限らず、特に液晶の応答速度が遅い液晶セルを用いて同じ表示を行った場合には、液晶がオン状態からオフ状態に完全に切り替わるまでに比較的長い時間を要することから、その分、得られる透過光量は、それぞれ
図1−3(b)、
図1−4(b)中の斜線部の面積で表されるように、理想値に対して増加する。
【0048】
そのため、本発明では、上述の表示を行う際に、
図1−3(c)、
図1−4(c)に示すように、液晶がオン状態からオフ状態へ切り替わり始めるタイミングをRGBの各フィールドの先頭のタイミングから通常よりも所定時間だけ早め、液晶のオン時間TSをRGBの各フィールドの先頭のタイミングから通常よりも短縮させている。こうすることで、液晶のオン時間TAが光源の発光時間TSと重なる期間が短くなり、その分、得られる透過光量が減少し、それぞれ
図1−3(c)、
図1−4(c)中の斜線部の面積で表されるような理想的な透過光量が得られ、理想的な階調表示が行われる。
【0049】
液晶がオン状態からオフ状態へ切り替わり始めるタイミングを早める時間、つまり液晶のオン時間TAを短縮させる時間(補正時間)は、透過光量の理想値からの誤差に応じて適宜設定すれば良いが、例えば、強誘電性液晶を用いて階調254の表示を行う際には、30μsec程度である。尚、各階調に適した補正時間は、実験的手法や計算的手法などにより求めることができる。
【0050】
図3は、本発明を概念的に示すブロック図である。本発明においては、各階調表示を行う際に液晶のオン時間TSをどれだけ変化させるべきかを示すデータ(補正データ)を、例えば、液晶表示装置内の記憶装置に予め記憶させておき、液晶制御回路(駆動回路)は、そこから必要な補正データを適時読み出し、その補正データと入力された通常の画像信号を基に、液晶のオン時間TSが調整された補正画像信号を作成し、その補正画像信号に基づいて液晶を駆動することで、理想的な階調表示を行う。
【0051】
このように、階調の補正は、液晶駆動回路に入力された画像信号自体を補正することにより行うため、液晶駆動回路がすでに完成している場合であっても、比較的容易に実現することが可能である。
【0052】
また、本発明の液晶表示装置には、通常のγ(ガンマ)補正を行う回路を更に組み込むことも可能である。この場合には、
図3に示すように、本発明により階調が補正された画像に対して、更に任意のγ補正を施すことができる。
【0053】
本発明は、ノーマリーブラックモードで動作する液晶表示装置に限らず、ノーマリーホワイトモードで動作する液晶表示装置にも適用することが可能である。
【0054】
液晶表示装置は、反射型の液晶セルを用いた反射型液晶表示装置に限らず、透過型の液晶セルを用いた透過型液晶表示装置であっても良い。
【0055】
上述の実施例では、光源の発光開始のタイミングを遅延させる構成としているが、本発明は、光源の発光開始のタイミングを遅延させない構成の液晶表示装置にも適用することが可能である。即ち、液晶の応答速度に起因して生じる輝度の理想値からの誤差のみを補正する目的で、本発明を適用することも可能であり、また、それとは逆に、光源の発光開始のタイミングを遅延させることに起因して生じる輝度の理想値からの誤差のみを補正する目的で、本発明を適用することも可能であり、更に、それら以外の要因により生じる輝度の理想値からの誤差を補正する目的で、本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
TS 光源の発光時間
TD 光源の発光遅延時間
TA 液晶のオン時間(駆動電圧の印加時間)