(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、飲料容器などの各種被着体の周囲に熱収縮性筒状ラベルが装着された、ラベル包装体が広く流通している。熱収縮性筒状ラベルは、加熱することにより径内方向に収縮するものであり、筒状シュリンク、シュリンクチューブなどとも呼ばれる。
熱収縮性筒状ラベルは、通常、長尺帯状の熱収縮性基材を筒状に形成した熱収縮性筒状ラベル長尺体を、所定長さに切断することによって得られる。そして、この熱収縮性筒状ラベルを被着体の外周に被せ且つ加熱することによって、ラベル包装体が得られる。以下、熱収縮性筒状ラベルを「筒状ラベル」、熱収縮性筒状ラベル長尺体を「筒状ラベル長尺体」という場合がある。
機械的且つ連続的にラベル包装体を製造する場合には、扁平状に折った筒状ラベル長尺体をロールに巻き取り、このロールをラベラー(ラベル装着装置)に装填する工程、ロールから扁平状の筒状ラベル長尺体を引き出してライン上に送る工程、被着体の直前で筒状ラベル長尺体を所定長さに切断して1つの筒状ラベルを形成する工程、その筒状ラベルを開口させた状態で被着体に被せて装着する工程、という一連の工程が行われる。
【0003】
通常、前記筒状ラベル長尺体を送る工程とそれを切断する工程の間において、2本の折り線にて扁平状に折り畳まれた筒状ラベル長尺体を、その2本の折り線とは異なる2本の折り線にて扁平状に折り畳む工程が行われる。具体的には、2本の折り線にて扁平状に折り畳まれた筒状ラベル長尺体を、ラインの途中に設けられたテトラガイドの外側に通過させ、当該筒状ラベル長尺体を開口した後、前記折り線とは45度〜90度周方向にずれた2つの折り線にて扁平状に折り畳む(例えば、特許文献1参照)。
また、前記筒状ラベルを被着体に被せる工程において、前記筒状ラベルは、マンドレルによって開口され、筒状ラベルの内外に配置され且つ筒状ラベルを介して接する一対のローラの回転によって、前記開口された筒状ラベルは被着体へと送られる。
【0004】
ところで、筒状ラベル長尺体を構成する熱収縮性基材には、デザインなどを表示するため着色印刷層が設けられている。通常、前記着色印刷層は、傷付き防止のため、筒状ラベル長尺体の内面に設けられる。つまり、着色印刷層が設けられた熱収縮性基材を、その印刷層を内側にして筒状に形成することにより、筒状ラベル長尺体が構成されている。例えば、特許文献2には、カラー印刷層及び白色印刷層からなる着色印刷層が設けられた熱収縮性基材を筒状に形成した筒状ラベル長尺体が開示されている。
かかる筒状ラベル長尺体を前記ラベラーのテトラガイドやマンドレルの外側に通過させると、前記着色印刷層に、筋状の汚れ線が付く場合がある。前記汚れ線の程度が酷くなると、その筒状ラベルの外観において、汚れ線に起因してデザイン中に薄い筋が表れる。このため、汚れ線の発生を極力防止して、筒状ラベルの外観の悪化を防止できるように改善することが求められる。
【0005】
さらに、筒状ラベル長尺体をラベラーにて送っている間に、ラベラーの構成部品(例えば、前記ローラなど)に、粉塵が堆積するという問題点がある。このような粉塵は、筒状ラベル長尺体の着色印刷層がラベラーの構成部品に擦れ、前記着色印刷層の一部の成分が着色印刷層から脱落することによって生じる。粉塵がラベラーの構成部品に堆積していくと、比較的大きくなった粉塵塊が、筒状ラベルに付着又は被着体に混入するおそれがあるので、その改善が求められる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について説明する。
なお、本明細書において、ある部材又は部分の「外面」は、熱収縮性筒状ラベルを基準にしてその径外方向側にある面を指し、ある部材又は部分の「内面」は、熱収縮性筒状ラベルを基準にしてその径内方向側にある面を指す。「長尺」は、一方向の長さが他方向(一方向と直交する方向)の長さよりも十分に大きい形状をいい、例えば、一方向の長さが他方向の長さの10倍以上、好ましくは50倍以上である。また、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
各図において、寸法や厚みは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0014】
[熱収縮性筒状ラベル及び熱収縮性筒状ラベル長尺体について]
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、熱収縮性筒状ラベル長尺体を所定長さに切断することによって得られる。つまり、筒状ラベル長尺体は、筒状ラベルの前駆体の如きものであって、複数の筒状ラベルが連続的に繋がったものと考えることができる。従って、熱収縮性筒状ラベル長尺体の説明により、熱収縮性筒状ラベルも説明したものとする。
【0015】
図1乃至
図4において、筒状ラベル長尺体1は、長尺状の熱収縮性基材を筒状に形成した細長い長尺筒状体2を有する。長尺筒状体2の内側には、着色印刷層3が設けられている。
筒状ラベル長尺体1の長手方向(一方向)の長さは、特に限定されない。機械的且つ連続的にラベル包装体を製造するために用いられる筒状ラベル長尺体1にあっては、長手方向の長さが50m以上、好ましくは100m以上である。
【0016】
筒状ラベル長尺体1は、通常、
図1乃至
図3に示すように、対向する2つの折り線1a,1bで扁平状に折り畳まれ、
図4に示すように、ロール状に巻かれた状態で保管及び運搬される。
この折り線1a,1bは、それぞれ筒状ラベル長尺体1の長手方向に延びている。
上記筒状ラベル長尺体1から得られる筒状ラベルは、少なくとも周方向に熱収縮しうる(つまり、加熱によって収縮する性質(熱収縮性)を有する筒状ラベルである)。筒状ラベルは、周方向だけでなく、縦方向(この縦方向は、筒状ラベル長尺体1の長手方向に相当する)にも若干熱収縮又は熱伸張するものでもよい。さらに、筒状ラベルは、熱収縮だけでなく、周方向又は縦方向に伸縮性を有していてもよい。前記伸縮性は、常温下、引っ張ると伸び且つその引っ張り力を解除するとほぼ元に復元する性質をいう。このような伸縮性を有する熱収縮性筒状ラベルは、シュリンクストレッチラベルとも呼ばれる。
【0017】
前記筒状ラベル長尺体1は、長尺状の熱収縮性基材21を筒状に形成した長尺筒状体2と、前記長尺筒状体2の内側に設けられた着色印刷層3と、を有する。
具体的には、長尺状の熱収縮性基材21として、少なくとも幅方向(筒状としたときに周方向)に熱収縮しうるフィルムが用いられている。前記基材21の材質は、特に限定されず、その性質に応じて、従来公知の材料を用いることができる。例えば、基材21として、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、環状オレフィン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などからなる合成樹脂製フィルムを用いることができる。比較的腰が強いことから、基材21として、ポリエステル系フィルムを用いることが好ましく、ポリエステル系フィルムの中でも、ポリエチレンテレフタレート系フィルムを用いることがより好ましい。
【0018】
前記熱収縮性基材21の幅方向における熱収縮率は、好ましくは30%〜90%である。前記熱収縮性基材21は、縦方向に若干熱収縮又は熱膨張するフィルムを用いてもよい。そのような基材21の縦方向における熱収縮率は、好ましくは−3〜15%である。
ただし、前記熱収縮率は、加熱前のフィルムの長さ(元の長さ)と、フィルムを90℃の温水中に10秒間浸漬した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)の割合であり、下記式に代入して求められる。
式:熱収縮率(%)=[{(幅方向(又は縦方向)の元の長さ)−(幅方向(又は縦方向)の浸漬後の長さ)}/(幅方向(又は縦方向)の元の長さ)]×100。
【0019】
前記基材21は、単層フィルムでもよいし、2層以上が積層接着された積層フィルムでもよい。積層フィルムである場合には、その少なくとも1層が前記ポリエステル系フィルムであることが好ましい。
また、前記基材21は、非透明でもよいが、着色印刷層3を基材21の内側に設けるため、透明性に優れたものが用いられる。透明(無色透明又は有色透明)な基材21の透明性の指標は、全光線透過率70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した測定法によって測定される。
基材21の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm〜100μmであり、好ましくは10μm〜60μmである。
【0020】
前記熱収縮性基材21の少なくとも一方面には、着色印刷層3が設けられている。
この着色印刷層3が内側となるように、熱収縮性基材21を筒状にし、その両側端部21a,21bを重ね合わせ、一方の側端部21aの内面と他方の側端部21bの外面とを接着することにより(センターシール部を形成することにより)、熱収縮性筒状ラベル長尺体1が形成されている。
前記着色印刷層3は、長尺筒状体2の内面全域に亘って設けられていてもよいが、センターシール部における接着強度を高めるため、基材21の一方の側端部21aの内面には着色印刷層3が設けられておらず、基材21の一方の側端部と他方の側端部とは直接接着されている。また、本実施形態においては、筒状ラベルを得るべく筒状ラベル長尺体1を切断する切断予定領域にも、前記着色印刷層3は設けられていない。この切断予定領域は、筒状ラベル長尺体1の周方向に帯状に延びる周帯状領域であって、筒状ラベル長尺体1の長手方向に所定間隔を開けて複数存在する。
図1の二点鎖線で示す切断予定線Xに沿って筒状ラベル長尺体1を切断することにより、筒状ラベル長尺体1から個々の筒状ラベルが得られる。
【0021】
着色印刷層3は、酸化チタン及び微粒子を含む印刷層を有し、本実施形態では、酸化チタン及び微粒子を含む印刷層が、背景印刷層32である。この印刷層の表面の一部領域又は全領域が、熱収縮性筒状ラベル長尺体1の最内面を構成している。
具体的には、着色印刷層3は、デザイン印刷層31と、背景印刷層32と、からなる。デザイン印刷層31は、商品名などのデザインを一色又は多色にて表示した印刷層である。背景印刷層32は、前記デザインを際立たせる印刷層である。
図示例では、デザイン印刷層31は、基材21の一方面(長尺筒状体2の内面)に積層され、背景印刷層32は、そのデザイン印刷層31の内面(デザイン印刷層31のデザインを視認する側とは反対側)に積層されている。なお、特に図示しないが、背景印刷層32は、デザイン印刷層31に直接積層されていなくてもよい。また、背景印刷層32が、基材21の一方面(長尺筒状体2の内面)に直接積層され、デザイン印刷層31が、基材21の他方面(長尺筒状体2の外面)に直接積層されていてもよい。
デザイン印刷層31は、顔料などの着色剤とバインダー樹脂とを含む公知の印刷インキから構成されている。デザイン印刷層31の形成方法は、従来公知の印刷法を採用できる。前記基材21に印刷インキを印刷し且つそれを固化させることにより、デザイン印刷層31を形成できる。デザイン印刷層31の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1μm〜5μmである。
【0022】
背景印刷層32は、着色剤としての複数の酸化チタンと、前記酸化チタンよりも硬度の小さい複数の微粒子と、バインダー樹脂と、を含む。背景印刷層32の形成方法は、従来公知の印刷法を採用できる。前記デザイン印刷層31に、前記酸化チタン、微粒子及びバインダー樹脂を含む印刷インキを印刷し且つそれを固化させることにより、背景印刷層32を形成できる。背景印刷層32の厚みは、特に限定されず、例えば、1μm〜5μmである。
前記バインダー樹脂としては、従来公知の印刷インキに用いられている樹脂成分を用いることができ、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。なお、前記背景印刷層32には、酸化チタン及び微粒子以外に、他の添加剤が含まれていてもよい。
酸化チタンを含む背景印刷層32は、通常白色を呈するが、酸化チタン以外の着色剤を混合することにより、白色以外の色彩の背景印刷層32とすることもできる。
【0023】
酸化チタン(二酸化チタン)としては、例えば、ルチル型(正方晶高温型)、アナターゼ型(正方晶低温型)、ブルッカイト型(斜方晶)のものなどが挙げられる。酸化チタンのモース硬度は、ルチル型で7〜7.5、アナターゼ型又はブルッカイト型で5.5〜6である。
本明細書において、硬度の数値は、モース硬度に基づく。モース(Mose)硬度とは、10種の基準鉱物(滑石、石膏、方解石、ホタル石、燐石灰、正長石、石英、黄玉、硬玉、ダイアモンド)との比較による硬度をいい、数値が大きいほど硬い材質である。
【0024】
酸化チタンの体積平均粒径は、特に限定されないが、例えば、1μm以下であり、好ましくは0.01μm〜1μmであり、より好ましくは0.1μm〜0.8μmであり、特に好ましくは0.2μm〜0.5μmである。体積平均粒径が0.01μm未満の酸化チタンを用いると、分散性が低下し、白濃度が不足するおそれがあり、1μmを超える酸化チタンを用いると、加飾性が低下するおそれがある。
前記酸化チタンの体積平均粒径は、体積基準における算術平均径を意味する。前記体積平均粒径は、レーザー回折法により測定することができる。
【0025】
前記微粒子は、酸化チタンの硬度よりも硬度の小さい粒子が用いられる。微粒子としては、樹脂ビーズ、ガラスビーズなどが挙げられ、好ましくは樹脂ビーズが用いられる。前記樹脂ビーズの中でも、アルミニウムのモース硬度(3)と略同じのモース硬度(例えば、2〜4)を有する樹脂ビーズを用いることが好ましい。
前記微粒子の形状は、特に限定されないが、略球形又は略球形以外の形状が挙げられる。微粒子としては、略球形のものを用いることが好ましい。前記略球形は、球形及び楕円球形を含み、前記球形及び楕円球形は、一部分が少し凹んだ球形及び楕円球形、一部分が少し平坦面となった球形及び楕円球形を含む。前記略球形には、直交する2つの方向から見たときの長径及び短径の関係が、1≦長径/短径<3であり、好ましくは1≦長径/短径≦2であり、より好ましくは1≦長径/短径≦1.5であるものが含まれる。なお、真円球形は、長径及び短径の区別がなく、前記長径/短径(直径/直径)=1である。
【0026】
樹脂ビーズの材質としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられ、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、アミノ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。特に、ポリメタクリル酸メチル架橋物などのポリメタクリル酸エステル系樹脂(アクリル系樹脂)、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド縮合物(メラミン系樹脂)、スチレン−アクリル系架橋物(スチレン系樹脂、アクリル系樹脂)、ポリアクリルニトリル、ナイロン12(ポリアミド系樹脂)がより好ましい。
微粒子(例えば樹脂ビーズ)の個数平均粒径は、好ましくは1.5μm〜10μmである。
前記微粒子の個数平均粒径は、個数基準における算術平均径を意味する。前記個数による平均粒径は、画像解析により、直径(微粒子が、球形でない場合には、短径)を測定して決定できる。
【0027】
背景印刷層32(酸化チタン及び微粒子を含む印刷層)に含まれる複数の微粒子は、その粒径が一様ではなく、全体として複数の粒径のものが分布している。前記微粒子が略球形である場合には、その略球形の微粒子(樹脂ビーズ)の個数基準の粒度分布を測定した際、X以上Y未満の粒径の微粒子の存在比率は40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が特に好ましく、65%以上が最も好ましい。また、前記粒度分布におけるX以上Z未満の粒径の微粒子の存在比率は40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が特に好ましく、70%以上が最も好ましい。
ただし、前記Xは、前記微粒子が含まれる印刷層(図示例では背景印刷層32)の厚み×1倍(μm)を示し、前記Yは、同印刷層の厚み×3倍(μm)を示し、前記Zは、同印刷層の厚み×4倍を示す。
略球形の微粒子の粒径が印刷層の厚みよりも大きいと微粒子が印刷層より突出しやくすくなるため好ましいが、印刷層の厚みの4倍を超えると微粒子が印刷層から脱落しやすくなる。このため、このような粒度分布の微粒子を用いることにより、汚れ線の発生及び印刷層成分の脱落防止に優れた背景印刷層32を形成できる。
【0028】
背景印刷層32においては、前記バインダー樹脂及び酸化チタンがバインダー層を形成しており、そのバインダー層中に、前記微粒子が分散した状態で固定されている。
図5及び
図6に示すように、バインダー層5中に含まれる複数の微粒子4のうち、その全部又は一部の微粒子4は、バインダー層5の表面5a(この表面は、上記定義に従えば内面と呼ぶべきであるが、ここでは表面という)から突出している。バインダー層5に含まれる全部の微粒子4が、バインダー層5の表面5aから突出しないこともあり、その場合、一部の微粒子4が突出し、且つ、残る微粒子4は、その全体がバインダー層5内に埋没している。なお、バインダー層5の表面5aから突出する微粒子4も複数個である。前記バインダー層5の表面には、酸化チタンが存在している。詳しくは、バインダー層5は、複数の酸化チタンをバインダー樹脂が結合した構造を成しており、その表面には、少なくとも酸化チタンが露出している。
前記微粒子4の突出高さは、例えば、0.1μm〜10μmである。なお、微粒子4の突出高さは、バインダー層5の表面5aから微粒子4の突出頂部までの直線長さ(この直線は、バインダー層5の表面5aを含む平面に対して直交する)の算術平均値である。
【0029】
前記バインダー層5の表面5a全体において、隙間無く微粒子4が突出しているわけではなく、背景印刷層32の表面から見て、バインダー層5の表面5aを海とし且つ突出した微粒子4を島とする、海島構造となっている。前記海島構造のバインダー層5の表面5aは、突出した微粒子4を除いた部分と観念される。また、背景印刷層31(微粒子の突出した着色印刷層)の表面は、微粒子4の突出表面及びバインダー層5の表面と観念される。
前記突出した微粒子4の占める面積割合は、特に限定されないが、例えば、0.5%以上であり、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上である。突出した微粒子4の占める面積割合の上限も特に限定されないが、例えば、20%以下であり、好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下である。また、熱収縮性筒状ラベルは、熱収縮させて使用されるものであるため、熱収縮後に面積が小さくなるので、前記面積割合の値は、熱収縮性筒状ラベルの熱収縮前後(熱収縮性筒状ラベルの使用前後)で若干相違する。この点、前記突出した微粒子4の占める面積割合は、熱収縮性筒状ラベルの熱収縮後においても、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、その上限は、20%以下が好ましい。ただし、前記面積割合は、背景印刷層32(酸化チタン及び微粒子を含む印刷層)の表面に対して直交する方向から見た、複数の突出した微粒子4の面積の和/背景印刷層32の表面積、によって求められる。なお、背景印刷層32(酸化チタン及び微粒子を含む印刷層)の表面積は、突出した微粒子4の面積と微粒子4が突出していない部分の面積の和である。
前記突出した微粒子の個数は、300個/mm
2〜10000個/mm
2であり、好ましくは400個/mm
2〜8000個/mm
2であり、より好ましくは500個/mm
2〜5000個/mm
2である。前記突出した微粒子の個数は、熱収縮性筒状ラベルの熱収縮後においても、前記の範囲であることが好ましい。ただし、前記突出した微粒子の個数は、背景印刷層32の表面積1平方ミリメートル当たりの個数である。
もっとも、背景印刷層32は、筒状ラベル長尺体1の長手方向に亘って存在するため、前記面積割合及び個数は、背景印刷層32のうち任意の1平方ミリメートルを基準として算出するものとする。
【0030】
また、前記突出した微粒子4は、その体積の1/4以上がバインダー層5内に埋没していることが好ましく、その体積の1/3以上がバインダー層5内に埋没していることがより好ましく、他方、その体積の1/4以上がバインダー層5の表面から突出していることが好ましい。詳しくは、突出した微粒子4は、その体積の1/4以上3/4未満がバインダー層5内に埋まり且つその体積の1/4以上3/4未満がバインダー層5の表面から突出していることが好ましく、その体積の1/3以上2/3未満がバインダー層5内に埋まり且つその体積の1/3以上2/3未満がバインダー層5の表面から突出していることがより好ましく、その体積の1/3以上1/2未満がバインダー層5内に埋まり且つその体積の1/2以上2/3未満がバインダー層5の表面から突出していることが特に好ましい。このように突出した微粒子4の一部がバインダー層5内に埋没していることにより、微粒子4が脱落し難くなる。
前記微粒子4の突出高さは、背景印刷層32の断面を電子顕微鏡で観察して計測でき、前記面積割合及び突出した微粒子の単位面積当たりの個数は、背景印刷層32の表面を電子顕微鏡で観察して計測できる。
【0031】
前記酸化チタン、微粒子4及びバインダー樹脂を含む着色印刷層(本実施形態の場合には、背景印刷層32)の各成分の組成は適宜設定できる。例えば、その着色印刷層(背景印刷層32)の全体を100質量部とした場合、バインダー樹脂を、例えば、5質量部〜55質量部含み、好ましくは、10質量部〜50質量部含み、より好ましくは、15質量部〜45質量部含む。同様に、酸化チタンを、例えば、40質量部〜85質量部含み、好ましくは、45質量部〜80質量部含み、より好ましくは、50質量部〜80質量部含み、微粒子4を、例えば、0.1質量部〜20質量部含み、好ましくは、0.5質量部〜15質量部含み、より好ましくは、1質量部〜10質量部含む。
【0032】
前記背景印刷層32の表面の全領域が、筒状ラベル長尺体1の最内面(最も内側の面。露出面とも言える)を構成している。
なお、本実施形態においては、背景印刷層32の表面に、スポット的に接着部6が設けられている。接着部6は、感熱接着剤を塗工した部分からなる。感熱接着剤は、常温にて粘着性を有さず、加熱することによって接着性を生じる。
接着部6が設けられた部分及び背景印刷層32が設けられた領域を分かりやすく図示するため、
図1において、接着部6が設けられた部分に網掛けを付し、背景印刷層32が設けられた領域に無数のドットを付している。
接着部6は、例えば、筒状ラベル長尺体1の長手方向の一方側における背景印刷層32の表面に、周方向に所定間隔を開けて複数箇所設けられている。前記長手方向の一方側は、ラベラーにて送られる筒状ラベル長尺体の送り方向先頭側又はその反対側である。
図1の例では、接着部6は、筒状ラベル長尺体の送り方向先頭側に設けられている。
背景印刷層32の表面のうち接着部6が設けられた部分は、背景印刷層32の表面が露出していないので、本実施形態では、背景印刷層32の一部領域が筒状ラベル長尺体1の最内面を構成している。
【0033】
上記熱収縮性筒状ラベル長尺体1は、例えば、次のようにして機械的に被着体に装着される。
具体的には、
図7に示すように、筒状ラベル長尺体1のロール品Aを、ラベラー9に装填する。ラベラーによって、扁平状の筒状ラベル長尺体1がロール品から引き出され、送りローラを備える搬送装置(図示せず)によって、筒状ラベル長尺体1がラベラー9のライン上に送られる。
必要に応じて、ミシン目形成装置91を用いて、筒状ラベル長尺体1の所望の箇所にミシン目が形成される。次に、筒状ラベル長尺体1の折り返し処理が行われる。すなわち、一対の折り線で扁平状に折り畳まれた筒状ラベル長尺体1を切断して得られる筒状ラベルは、開口し難いので、筒状ラベル長尺体1に対して折り返し処理が行われる。折り返し処理は、扁平状の筒状ラベル長尺体1を一旦開口して、新たな折り線にて筒状ラベル長尺体1を扁平状に折り畳む。これにより、筒状ラベル長尺体1の周方向に略等間隔で4本の折り線(元の2本の折り線及び折り返し後に生じる新たな2本の折り線)が形成される。折り返し処理は、扁平状の筒状ラベル長尺体1を、公知のテトラガイド(図示せず)の外側に通した後、ピンチローラ(図示せず)に通すことにより行われる。
【0034】
その後、筒状ラベル長尺体1は、ラベラー9のライン上に具備されたインナーガイド92の外側に通される。前記インナーガイド92にて一旦開口された筒状ラベル長尺体1は、ラインの下流側へと送られる。インナーガイド92の下方において、筒状ラベル長尺体1をカッター94を用いて切断予定線に従って切断することにより、所定長さの扁平状の筒状ラベル11が得られる。
【0035】
得られた扁平状の筒状ラベル11は、搬送装置95にてマンドレル96に送られ、マンドレル96の外側に通されて開口される。さらに、搬送装置95にてマンドレル96に沿って筒状ラベル11が送られ、白抜き矢印方向から順に送られてくる被着体Bに被せられる。
このようなラベラー9としては、従来公知の装置を使用でき、例えば、特開2011−195176号公報に開示のものなどを使用できる。
被着体Bに被せた筒状ラベル11を加熱することにより、筒状ラベル11が熱収縮して被着体Bに装着される。
被着体は、特に限定されず、上面開口型のカップ型容器、飲料などが充填されたボトル型容器、化粧品などを充填した容器、調味料や食品などを充填した容器などが挙げられる。
図8は、被着体としてカップ型容器B1を用い、その容器胴部に、筒状ラベル11が装着された包装体10を示す。この包装体10において、接着部6を介して、筒状ラベル11は円錐台状のカップ型容器B1に接着しているため、筒状ラベル11が容器B1から外れ難くなっている。
【0036】
なお、上記実施形態において、着色印刷層3は、デザイン印刷層31と背景印刷層32からなるが、デザイン印刷層31又は背景印刷層32のみから構成されていてもよい。また、着色印刷層3は、デザイン印刷層31又は背景印刷層32に限られず、例えば、遮光印刷層のような熱収縮性筒状ラベルの外側から見えない印刷層(図示せず)でもよい。さらに、着色印刷層3は、デザイン印刷層31、背景印刷層32及び外側から見えない印刷層(遮光印刷層など)から選ばれる少なくとも2つから構成されていてもよい。
着色印刷層3がデザイン印刷層31、背景印刷層32又は外側から見えない印刷層のみからなる場合、その着色印刷層3が、上記酸化チタン、微粒子及びバインダー樹脂を含み、微粒子がバインダー層の表面から突出し、その微粒子の突出した着色印刷層の表面の一部領域又は全領域が、筒状ラベル長尺体1の最内面を構成する。
なお、微粒子の突出した着色印刷層の表面の一部領域が、筒状ラベル長尺体1の最内面を構成する場合としては、その着色印刷層が、長尺筒状体2の内面(内側の周面)の一部分に設けられ、筒状ラベル長尺体1の最内面の一部を構成している場合;その着色印刷層が、長尺筒状体2の内面(内側の周面)の全領域に設けられ、その着色印刷層の表面の一部分にオーバーコート層などの他の層が積層され、着色印刷層の表面の残部が筒状ラベル長尺体1の最内面の一部を構成している場合;などが挙げられる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明をさらに詳述する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0038】
[使用材料]
ウレタン系樹脂:三洋化成工業(株)製、商品名「サンプレン IB−915」。
酸化チタン:ルチル型酸化チタン。体積平均粒径0.27μm。テイカ(株)製、商品名「JR−800」。
樹脂ビーズ(a)乃至(d):球形アクリルビーズ(材質:ポリメタクリル酸メチル架橋物)。モース硬度3。なお、樹脂ビーズ(a)乃至(d)は、材質は同じで、粒度分布及び個数平均粒径が異なっている。
【0039】
[実施例1]
ウレタン系樹脂11質量部、酸化チタン38質量部、樹脂ビーズ(a)1質量部及び溶剤50質量部(溶剤は、酢酸エチル20質量部、酢酸プロピル20質量部、イソプロピルアルコール10質量部)を、ホモディスパーを用いて十分に混合し、白色印刷インキを調製した。
この印刷インキを、熱収縮性を有する厚み45μmの長尺状のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名「ヒシペット LX−18S」)の一方面に、グラビア印刷した。この印刷済みフィルムを白色印刷層が内側となるように筒状に形成し、これを扁平状に折り畳むことより、幅(扁平状にしたものの幅は、折り径ともいう)約110.5mm、長さ約1200mの熱収縮性筒状ラベル長尺体を作製した。得られた熱収縮性筒状ラベル長尺体の最内面は、白色印刷層の表面である。
【0040】
[実施例2]
樹脂ビーズ(a)に代えて、樹脂ビーズ(b)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、熱収縮性筒状ラベル長尺体を作製した。
【0041】
[実施例3]
樹脂ビーズ(a)に代えて、樹脂ビーズ(c)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、熱収縮性筒状ラベル長尺体を作製した。
【0042】
[実施例4]
樹脂ビーズ(a)に代えて、樹脂ビーズ(d)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、熱収縮性筒状ラベル長尺体を作製した。
【0043】
[比較例]
樹脂ビーズ(a)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、熱収縮性筒状ラベル長尺体を作製した。
【0044】
[樹脂ビーズの個数平均粒径の測定]
実施例1の熱収縮性筒状ラベル長尺体の一部を切り取り、白色印刷層(ウレタン系樹脂、酸化チタン及び樹脂ビーズ)をトルエン及び酢酸エチルの混合溶剤に十分に溶解させ、その溶液を遠心分離機にて分離した。遠心分離で得られた沈降物である酸化チタンと樹脂ビーズの混合物を、クロロホルムを用いて比重分離し、前記分離した樹脂ビーズを含む上澄み液を採取した。この上済み液中に含まれる樹脂ビーズ(a)を、デジタルマイクロスコープ(HIROX社製)を用いて2000倍で観察し、任意の200個の樹脂ビーズ(a)の短径を測定した。その測定に基づいて、樹脂ビーズ(a)の粒度分布及び個数平均粒径を特定した。その結果を表1に示す。
実施例2乃至4についても同様にして、樹脂ビーズ(b)乃至(d)の粒度分布及び個数平均粒径を特定した。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
[白色印刷層の厚みの測定]
実施例1乃至4及び比較例の熱収縮性筒状ラベル長尺体のそれぞれについて、その一部を切断し、切断面を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジー製、商品名「S−3000N」)を用いて、3000倍での反射電子像を撮像し、樹脂ビーズが突出していない箇所の白色印刷層の厚みを計測した。ただし、前記厚みは、任意の10箇所を計測し、その平均値である。その結果を表2に示す。
【0047】
[突出した樹脂ビーズの数及びその面積割合]
実施例1乃至4及び比較例の熱収縮性筒状ラベル長尺体のそれぞれについて、その白色印刷層の表面を、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジー製、商品名「S−3000N」)を用いて、1000倍で正面撮像し、その像の127μm×86μmの範囲内を1視野として、任意の10視野において突出している樹脂ビーズの数及びその樹脂ビーズの面積を計測した。その計測値(10視野の積算値)から1平方mm当たりの突出した樹脂ビーズの数及び1平方mm当たりの突出した樹脂ビーズの面積割合(1平方mm当たりに存在する樹脂ビーズの面積の和)を算出した。ただし、前記計測では、1個の樹脂ビーズの面積が0.2平方μm未満のものはノイズとして除去した。その結果を表2に示す。
【0048】
[装着試験]
実施例1乃至4及び比較例の熱収縮性筒状ラベル長尺体のそれぞれを、ラベラー((株)フジアスッテク製、商品名「OFM−300−ASC」)に装着し、230bpm装着試験を1200m行った。前記230bpm装着試験は、熱収縮性筒状ラベルを1分当たり230個の速度でボトル型容器に装着する試験である。
なお、このラベラーは、そのラインの途中に、テトラガイド、インナーガイド及びマンドレルを有し、熱収縮性筒状ラベル長尺体を、それらの外側を通過させながら送るものである。また、テトラガイド、インナーガイド及びマンドレルは、それぞれ、一部の部品がアルミニウム製であり、そのアルミニウム製部品が外側に配設されている。
【0049】
前記装着試験後の熱収縮性筒状ラベルについて、その白色印刷層の表面及びラベルの外面を目視で観察し、汚れ線の発生の状態を観察した。
また、ラベラーのマンドレルに、印刷層成分が付着しているかどうかを確認した。それらの結果を表2に併せて示す。
なお、表2の汚れ線の発生の欄において、「○」は、印刷層の表面に汚れ線がなく、ラベルの外面が綺麗であったことを、「△」は、印刷層の表面に非常に薄い汚れ線が見えたが、ラベルの外面からはその線が見えなかったことを、「×」は、印刷層の表面に黒い汚れ線が見え、ラベルの外面からもその線が見えたことを表す。
表2の印刷層成分の付着の欄において、「○」は、印刷層成分の付着がなかったことを、「△」は、印刷層成分が若干付着していたことを、「×」は、印刷層成分が多く付着していたことを表す。
【0050】
【表2】
【0051】
微粒子(樹脂ビーズ)が印刷層の表面から突出している実施例1乃至4は、比較例に比して、汚れ線の発生がないか又はその発生を抑制できることが判る。特に、実施例1乃至3は、汚れ線の発生防止に効果的である。このことから、汚れ線の発生を防止するために、突出した微粒子の面積割合は1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、2.5%以上が特に好ましいと考えられる。