特許第6262948号(P6262948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262948
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】英文法学習システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/06 20060101AFI20180104BHJP
   G09B 5/02 20060101ALI20180104BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20180104BHJP
【FI】
   G09B19/06
   G09B5/02
   G06Q50/20
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-136636(P2013-136636)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-11188(P2015-11188A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】516120733
【氏名又は名称】株式会社EduLab
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】メルセデス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】小林 夏子
(72)【発明者】
【氏名】大場 誠士
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−324616(JP,A)
【文献】 実開平07−016949(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3064015(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 − 9/56
G09B 17/00 − 19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚的に図解された色分けされた英文法教材を作成させるコンピュータを用いた英文法学習システムであって、
入力装置及び表示装置を具備する学習者端末と、
英単語から構成される英語文章と、前記英語文章の文法に関連する複数の質問情報と、を1組とする作業情報を複数蓄積したデータベースと、を含み、
前記作業情報の1つを選択し、前記表示装置に前記英語文章及び前記質問情報を表示させ、前記質問情報に対応する単語列を選択し前記入力装置から入力させる問題提示及び入力制御において、前記表示装置に前記質問情報をそれぞれ異なる色で表示させるとともに、前記表示装置に表示させたポインタで前記質問情報を選択してから前記英単語を前記ポインタで選択し前記英単語を前記異なる色に色分けするよう前記入力装置から入力させ前記英文法教材を作成させる上で、選択した前記質問情報に対応する前記異なる色のうちの1の色と同系統の色に前記ポインタを変化させ且つこれで選択した前記英単語を前記1の色にハイライト表示させることを特徴とする英文法学習システム。
【請求項2】
選択した前記質問情報を色の濃度を変化させて表示させることを特徴とする請求項1記載の英文法学習システム。
【請求項3】
前記データベースは前記質問情報毎に対応する前記英語文章の一部である単語列情報を含み、前記問題提示及び入力制御は、前記入力装置から入力をさせるとともに、前記異なる色の色分けに関して、前記質問情報毎に対応する前記単語列であるかどうかを表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の英文法学習システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを用いた英文法学習システムに関し、特に、比較的低年齢の学習者を対象にしたコンピュータ英文法学習システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙媒体で提供されている学習教材をコンピュータシステムによって提供することが試みられている。問題や解答などをデータベース化して一元管理し検索システムを用いることで、迅速且つ的確に情報を提供できるようになる。つまり、従来の紙媒体であれば、冊子毎に目次などが設けられて情報を検索することも可能であったが、異なる複数の冊子を横断して検索をしたいときや、一般的に目次で与えられる情報とは異なる内容で検索を必要とするときは、もはや対応ができなかったのである。また、データベースを用いたコンピュータシステムによれば、学習者の学習到達度に応じて教材を自動的に選択し提供することなども容易になる。
【0003】
例えば、特許文献1では、教科書データ及び学習データを記憶媒体からディスプレイに呼出して必要な単元の学習内容を画面表示及び音響表示し、これに対してキーボードで応答することによって学習を進行させる学習システムを開示している。学習者に対応する学年の学習単元とこの学習単元に関するテスト問題及びその解答をデータベースに収容し、学習者がテスト問題に応答することで学習結果が記録される。また、学習結果に応じて次の学習から自動的に難易を塩梅してテスト問題を出題する。ここで、データベースには、学習の難易を学習する学年の内容の順に配置し、学習結果に応じてテスト問題の提供をできるようにしている。
【0004】
ところで、コンピュータを用いた学習システムでは、学習者にとって情報を得るためのシステムの操作性を簡略化させる一方で、従来とは異なる「学習者への情報の定着」の工夫も必要である。例えば、紙媒体では、情報を提供しつつ学習者に紙媒体上での作業を求めることで情報の定着を計ること、一般的には、ドリルと称される学習教材を用いることが広く行われている。これと同様に、学習システムにタッチパネルを組み合わせることで学習者に作業としての手書き入力をさせて、情報の定着を計らせようとするシステムが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献2では、学習者の操作端末としてペンとタッチパネルとを含む学習支援装置において、重要語を含む説明文を所定時間だけ表示し、次に、重要語を除く説明文を表示し、重要語の入力を操作端末から受けつける装置を開示している。学習者の重要語に対する注意力を高めて操作入力をさせることで、学習者に重要語を効率的に覚えさせることが可能であるとしている。かかる学習システムのように、学習者への情報の提供の仕方に工夫をして、「学習者への情報の定着」を計ろうとするコンピュータを用いた学習システムも多く提案されている。
【0006】
例えば、特許文献3では、品詞を視覚的に区別できるように色分けした日本語の文法学習システム、特に、助詞についての文法学習システムを開示している。詳細には、情報と述部の関係を述べる助詞と、情報の中の選択と並列の関係を述べる助詞との2種類に助詞を分類し、一列目に前者の助詞を配置し、二列目に後者の助詞を配置し表示する。一列目の前に活用しない品詞を品詞毎に色分けし、二列目の後に活用する品詞を品詞毎に色分けして表示する。易しい文例を題材として必要に応じて文法を学習させるのではなく、一般的な文例を用いても、色分けすることで視覚的に図解されて文法を学習させ得ると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−27869号公報
【特許文献2】特開2006−78551号公報
【特許文献3】特開2002−36753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3のように、コンピュータを用いた文法学習システムにおいて、学習者への情報の提示に「色分け」を利用することで、視覚効果による「学習者への情報の定着」を期待できる。特に、比較的低年齢の学習者では、文章による説明の理解に個人差が大きく、個人差の小さい視覚効果による学習システムが望まれている。
【0009】
本発明は、上記したような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、学習者へのより高い情報の定着を可能にするコンピュータを用いた英文法学習システムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるコンピュータを用いた英文法学習システムは、入力装置及び表示装置を具備する学習者端末と、英単語から構成される英語文章と、前記英語文章の文法に関連する複数の質問情報と、を1組とする作業情報を複数蓄積したデータベースと、を含み、前記作業情報の1つを選択し、前記表示装置に前記英語文章及び前記質問情報を表示させ、前記質問情報に対応する単語列を選択し前記入力装置から入力させる問題提示及び入力制御において、前記表示装置に前記質問情報をそれぞれ異なる色で表示させるとともに、前記英単語を選択し前記異なる色に色分けするよう前記入力装置から入力させることを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、視覚的に図解されて文法学習の効果を高め得る色分けされた英文法教材を与えられるだけでなく、学習者自身がこれを作成することでその内容について学習者へのより高い情報の定着を可能にするのである。
【0012】
上記した発明において、前記入力装置からの入力は、前記質問情報を選択してから前記英単語を選択して行わしめることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、学習者に質問情報と英単語の選択との関係を意識させ得て、学習者へのより高い情報の定着を可能にするのである。
【0013】
上記した発明において、前記データベースは前記質問情報毎に対応する前記英語文章の一部である単語列情報を含み、前記問題提示及び入力制御は、前記入力装置から入力をさせるとともに、前記異なる色の色分けに関して、前記質問情報毎に対応する前記単語列であるかどうかを表示させることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、視覚的に図解されて文法学習の効果を高め得る色分けされた英文法教材の作成の誤りを防ぐとともに、学習者に作業をより強く意識させ得て、より高い情報の定着を可能にするのである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の1つの実施例における英文法学習システムの構成を示す模式図である。
図2】英文法学習システムが実行する処理の手順を示すフロー図である。
図3】作業情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の1つの実施例における英文法学習システムについて図1図3を用いて説明する。
【0016】
まず、本実施形態に係る英文法学習システム1の構成について図1を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の英文法学習システム1は、学習者(使用者)が学習の際に使用するパーソナルコンピュータ等の学習者端末2と、インターネット等の通信回線を介して学習者端末2と情報の受信及び送信を行うサーバ3とにより構成されている。
【0018】
学習者端末2は、学習者が入力に使用するマウスやキーボード等の入力装置4と、サーバ3から送信された情報を表示するためのディスプレイ等の表示装置5とを備えている。
【0019】
サーバ3は、図示しないCPU、ROM、RAM等を含み所定のプログラムを実行する制御部6と、記憶装置7と、を備えている。記憶装置7は、例えばハードディスクであり、後述する作業情報を複数蓄積したデータベース8(DB)の構築された領域を含む。記憶装置7には、また、学習者の学習実績に関する情報などが格納される。
【0020】
次に、本実施形態に係る英文法学習システム1が実行する処理について図2に沿って図3を参照しつつ説明する。
【0021】
図2に示すように、まず、学習者が自らを識別するための情報として、例えばIDを入力装置4から学習者端末2に入力する。学習者端末2はこれを受付けて、サーバ3へ向けて送信する(S1)。
【0022】
次に、IDを受信したサーバ3は(S2)、制御部6により、受信したIDに基づいて、記憶装置7から学習実績等の学習者に関する情報を読み込み、読み込んだ情報に基づいて表示装置5に表示すべき作業情報をデータベース8の中から1つ決定する(S3)。サーバ3は決定した作業情報を学習者端末2に向けて返信する(S4)。
【0023】
続いて、サーバ3は、学習者端末2の表示装置5に受信した作業情報を表示させる(S5)。図3を併せて参照すると、作業情報は、英単語よって構成される英語文章12と、英語文章12の文法に関する複数の質問情報11と、英語文章12中において各質問情報11に対応する単数又は複数の英単語からなる単語列を示す情報である単語列情報との組み合わせを含む。質問情報11は、例えば、4つの品詞の種類を示す品詞情報と、4つの品詞のそれぞれに異なる色を対応させる色情報との組み合わせを含む。これらの質問情報11は、表示装置15の画面10上において品詞ボタン11a〜11dに表示される。つまり、各品詞ボタン11a〜11dを各品詞に対応する色で塗りつぶすとともに、品詞の種類を示す文字(品詞情報)をその上に重ねたように表示させる。さらにこれらの4つの品詞のそれぞれに対応する英単語の選択及び指定を促すための質問文13を別途表示させてもよい。
【0024】
さらに、サーバ3は、学習者端末2において入力装置4からの入力を受け付けさせる(S6)。このとき、学習者は、表示装置5に表示されるポインタ15をマウス等で操作し、上記した作業情報に基づく入力等の作業を行う。作業にはキーボードを使用させても良い。例えば、質問文13に応じて、品詞として「助動詞」を選択すべく、品詞ボタン11aをクリックする。すると「助動詞」が選択された状態となる。このとき、選択された品詞ボタン11aの色の濃度を変化させるとともに、ポインタ15の色を選択した品詞ボタン11aの色と同系統の色に変化させ、対応する品詞として「助動詞」が選択されていることを表示する。続いて、学習者は助動詞であると考える英単語を英語文章12の中から選択し、ポインタ15で指定する。すると、指定された英単語が、品詞ボタン11a(助動詞)を塗りつぶした色と同色でハイライト表示される。つまり、英単語の背景を対応する色で塗りつぶすのである。英単語の文字の色を変えたり、対応する色の下線を表示したりすることもできる。同様に、学習者は各品詞ボタン11a〜11dを選択しつつそれぞれに対応すると考える英単語を選択しその全てを指定する。これにより、英語文章12が各品詞に対応すると学習者の考える色に色分けされる。
【0025】
このように、学習者が英語文章12を色分けすることで、結果として、視覚的に図解されて文法学習の効果を高め得る色分けされた英文法教材が作成されるのである。学習者は自らの作業によりかかる英文法教材の作成を行うことになり、その内容について強く意識し、かかる内容についてのより高い情報の定着を可能にする。また、学習者に品詞ボタン11a〜11dの選択と対応する英単語の指定の両方を行わせることで選択した質問情報12と指定した英単語との関係をより強く意識させ得る。
【0026】
英単語の指定を完了したら、学習者は解答ボタン19を指定し、解答を確定させる。また、残り時間18を表示させ、解答ボタン19が指定されるより早く残り時間が0となった場合に、解答を確定させるようにする。
【0027】
解答が確定すると、単語列情報と照合して色分けが正解であるか否かを判定する(S7)。すなわち、英語文章12に対して学習者の行った色分けが、英単語毎に正しい品詞に対応する色に色分けされているかを単語列情報に基づいて判定し、正解又は不正解であることを表示装置5に表示して学習者に報知するのである。かかる判定結果はサーバ3に送信され(S8)、これを受けたサーバ3は、上記において送信した作業情報を示す符号と併せて記憶装置7に学習者の学習実績として格納する(S9)。このとき、色分けされた英語文章12も英文法教材として併せて格納し、以後、学習者の求めに応じて参照できるようにしてもよい。引き続き、作業情報の決定(S3)から同様のフローを複数回繰り返すようにすることもできる。その際、判定結果が不正解であった作業情報を再度表示装置5に表示すべき作業情報として選択させるようにしてもよい。これにより。学習者は誤った色分けを正しい色分けとできるまで繰り返し作業することで、上記した英文法教材の作成の誤りを正すことができる。
【0028】
本実施例では、各品詞に対応する英単語の指定において、学習者に品詞と対応する英単語との両方を選択させ指定させたが、所定の時間毎に順に品詞の選択状態を変化させてその時間内に対応する英単語を指定させたり、各英単語について順にどの品詞であるかを指定させたりすることもできる。また、品詞毎に英単語を指定させるだけではなく、複数の英単語を指定させて所定の句などを入力させるようにすることもできる。すなわち、質問情報11を所定の句を指定するものとし、これに基づき1つ又は複数の英単語を学習者に指定させるのである。このとき、上記した単語列情報を質問情報11に対応する句を示す1つ又は複数の英単語からなる単語列を示す情報とし、上記したように色分けが正解であるか否かの判定を行ってもよい。かかる単語列は連続した英単語だけではなく、英語文章12上で、間に他の単語列を挟んでもよい。
【0029】
なお、解答を確定させる以前に、例えば、英単語の指定毎に上記した判定と正解又は不正解の報知を行ってもよい。これにより上記した英文法教材の誤った作成を防止でき、学習者に品詞や所定の句を示す質問情報11の選択とこれに対応する英単語の指定を行う作業を強く意識させ得て、より高い情報の定着を可能にする。
【0030】
このように、英語文章12を学習者に質問情報11に従って色分けさせることで、英語文章12を各品詞や句を視覚的に図解した英文法教材を作成させることができる。かかる英文法教材は、上記したように、学習者が自ら作成することになり、学習者にその内容をより強く意識させ、学習者へのより高い情報の定着を可能にする。つまり、英文法の学習効果を高め得るのである。
【0031】
以上、本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0032】
1 英文法学習システム
2 学習者端末
3 サーバ
4 入力装置
5 表示装置
8 データベース
11 質問情報
12 英語文章
図1
図2
図3