特許第6262952号(P6262952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262952
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】メラニン生成抑制剤及び美白剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20180104BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61Q19/02
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-152088(P2013-152088)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-20989(P2015-20989A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000252300
【氏名又は名称】和光純薬工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597021026
【氏名又は名称】大日本化成株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古崎 敦史
(72)【発明者】
【氏名】佐野 淳典
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 絢子
(72)【発明者】
【氏名】松田 久司
(72)【発明者】
【氏名】井谷 衛
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 隆嗣
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−321747(JP,A)
【文献】 特開2012−056857(JP,A)
【文献】 特開2013−193994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/37
A61Q 19/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4-((E)-3-ヒドロキシ-1-プロペニル)フェニルアセテートを有効成分とするメラニン生成抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラニン生成抑制剤、美白剤、メラニン生成抑制方法及び美白方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シミ、ソバカス、日焼け、肝斑等の皮膚の色素沈着は、メラニンの生成と排泄のバランスが崩れ、表皮細胞にメラニンが過剰に蓄積したものである。
【0003】
皮膚の色素沈着は、表皮細胞に存在する色素細胞(メラノサイト)が増殖・活性化することにより、メラノサイトのメラニン色素生成が著しく亢進し、必要以上にメラニンが生成され、生成したメラニン色素が隣接細胞に拡散することで生じる。
【0004】
メラノサイトを増殖・活性化させる原因は、炎症、ホルモンのバランス、遺伝的要因等、様々であるが紫外線の影響により助長される。また、メラノサイトは、テオフィリン等の薬剤を与えることにより、紫外線を浴びたように、メラニンを増産する。
【0005】
従って、肌のシミ、ソバカスや黒化を防止又は改善するための方法として、メラニン生成の律速酵素であるチロシナーゼ活性を抑制・阻害すること、メラニンの生成過程を阻害すること、細胞のターンオーバーを促進してメラニン排出を促進させること、生成されたメラニンを還元して淡色化させること等が考えられ、これらの作用を有すると期待される種々の美白成分が提案されている。
【0006】
例えば、アルブチン(チロシナーゼ活性抑制)、ハイドロキノン(チロシナーゼ活性抑制、メラニンの漂白)、コウジ酸(チロシナーゼ活性抑制)、グルタチオン(チロシナーゼ活性抑制)、アスコルビン酸誘導体(チロシナーゼ活性抑制、メラニン還元)などが、美白成分として美白化粧料の原料に用いられてきた。しかし何れも、満足のいく美白効果が得られていない。
【0007】
また、例えばアルブチンはチロシナーゼ活性を阻害することが知られているが、配糖体であり、配糖体は一般に化学的に不安定であるという問題がある。
【0008】
また、ハイドロキノンは発癌性物質であるため、化粧料としての使用に制限がある。
【0009】
更にアスコルビン酸は原料自体が不安定であり、時間の経過と共にその有効成分の活性度が落ちるという問題がある。
【0010】
以上のように、これまでに知られている美白剤は、いずれも何らかの不満を有するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−173803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、既存の美白剤に比して優れた美白効果を有し、安全性及び経時安定性にも優れたメラニン生成抑制剤、美白剤、メラニン生成抑制方法及び美白方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
下記式[A]
【0014】
(式中、R1、R2、R4、R5は、水素、水酸基、アルキル基、又は−O−C(=O)R6を示す。R6はアルキル基を示す。R3は、水素、アルキル基又は−C(=O)R7を示す。R7はアルキル基を示す。)で表される化合物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤が知られている(特許文献1)。
【0015】
本発明者等は、従来のメラニン生成抑制剤や美白剤に関する上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、上記式[A]で表される化合物のうち、下記式[1]
【0016】
(式中、Acはアセチル基を示す。)
で表される4-((E)-3-ヒドロキシ-1-プロペニル)フェニルアセテート(以下、「HPA」と略記する。)に、コラーゲン産生促進作用だけでなく、従来の美白剤よりも優れた細胞のメラニン生成抑制作用があることを見出した。また、HPAは有効濃度での細胞毒性が極めて低く安全性が高いことから、美白剤及び皮膚外用剤としても有用であることを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0017】
即ち、本発明は下記の構成からなる。
(1)HPAを有効成分とするメラニン生成抑制剤。
(2)HPAを有効成分とする美白剤。
(3)HPAを皮膚に適用することを特徴とするメラニン生成抑制方法。
(4)HPAを皮膚に適用することを特徴とする美白方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高いメラニン生成抑制効果、生体への安全性、および経時安定性に優れたメラニン生成抑制剤、美白剤、メラニン生成抑制方法及び美白方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に用いられるHPAは、公知化合物であり、公知の方法に基づき製造することができる。あるいは特許文献1に記載された方法に従い、1’-アセトキシチャビコールアセテートもしくはその類縁体を水系溶媒に溶解し、熱処理することにより製造することができる。
【0020】
例えば、4-ヨードフェノールを原料とし、水酸基をアセチル化した後、有機金属反応によりアリルアルコール部位を導入し、目的とする化合物を得ることができる。
【0021】
本発明に係るHPAは、後述する実施例1で示すように優れたメラニン生成抑制作用を有しており、メラニン生成抑制剤として有用である。また、安全性に優れていることから、HPAを用いて、特に皮膚の美白を目的とする美白剤及び美白方法を提供することができる。
【0022】
以下に、本発明に係るHPAを用いたメラニン生成抑制剤、美白剤の実施態様について説明する。
【0023】
1.メラニン生成抑制剤
本発明のメラニン生成抑制剤は、HPAを有効成分として含有するものである。
【0024】
本発明のメラニン生成抑制剤におけるHPAの配合割合は、適用部位、適用対象の年齢、メラニン生成抑制剤の形態等によって異なるが、組成物全体に対して0.1〜1000μM、好ましくは0.3〜600μMである。
【0025】
また、本発明のメラニン生成抑制剤には、本発明の効果を奏する範囲内であれば、薬学的に許容可能な担体や、公知の添加剤、或いは他の薬学的活性成分などを含むこともできる。
【0026】
本発明のメラニン生成抑制剤は、所望に応じて、デキストリン,シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーやその他任意の助剤を用いて、常法に従い、適当な形態とすることができる。例えば、乾燥粉末、顆粒、錠剤ゲル、クリーム、軟膏、懸濁液、溶液等の形態とすることができる。
【0027】
この際の助剤としては、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。
【0028】
本発明のメラニン生成抑制剤は、例えば皮膚外用剤に含有させて、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として、皮膚の黒色化防止等のための利用に供することができる。
【0029】
更に、本発明のメラニン生成抑制剤は、優れたメラニン産生抑制作用を有するので、メラニンの生成機構に関連する研究のための試薬としても用いることができる。
【0030】
2.美白剤
本発明の美白剤は、HPAを有効成分とするものである。
【0031】
本発明の美白剤中のHPAの配合割合は、化合物の種類や、適用部位、適用対象の年齢や特性、化粧品用組成物の形態等によって異なるが、組成物全体に対して0.1〜1000μM、好ましくは0.3〜600μMである。又は組成物の総量に対して、0.000002〜0.02質量%、好ましくは0.000006〜0.006質量%の含有量とすることができる。
【0032】
本発明の美白剤は、HPAそのものからなるものであってもよいし、HPAを有効成分とし、本発明の効果を損なわない範囲で、薬学上又は衛生上許容される担体や添加物等の他の成分を更に含んでなるものであってもよい。
【0033】
このような担体又は添加物の種類及び配合量は、本発明の効果を損なわない限り、適宜設定することができる。
【0034】
例えば、HPAの他に、更に他の美白効果のある他の成分を本発明の美白剤に配合すると、より優れた美白効果が得られるため好ましい。そのような美白効果のある他の成分の例としては、ハイドロキノン、アルブチン、エラグ酸、ビタミンC又はその誘導体(例えば、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸イソパルミチン酸エステル、アスコルビン酸エチルエステル等)、ビフェニル誘導体(例えば、デヒドロジクレオソール、2,2'−ジヒドロキシ−5,5'−ジプロピルビフェニル等)、4−(4一ヒドロキシフェニル)−2−ブタノール又はその誘導体、胎盤抽出液、火棘抽出物、ラズベリーケトングルコシド、杏エキス、小麦胚芽エキス、亜鉛含有酵母エキス、リンドウエキス、アニスエキス、油溶性カンゾウエキス、サイシンエキス、亜麻仁エキス、オランダカラシエキス、ジオスコレアコンポジ一夕エキス、ニワトコエキス、岩白菜エキス、カミツレ抽出物、アデノシン−5'−1−リン酸又はその塩、リノール酸誘導体、ビタミンB類又はその誘導体、トラネキサム酸、トラネキサム酸塩、トラネキサム酸誘導体等が挙げられる。
【0035】
また、該美白剤には、必要に応じて通常医薬品、医薬部外品、皮膚化粧料等に配合される成分、例えば保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、酸化防止剤、抗炎症剤などが含まれていてもよい。
【0036】
保湿剤としては、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ヒアルロン酸、スクワラン、コレステロール、1,2−プロパンジオール、ポリグルタミン酸、セリン、グリシン、スレオニン、アラニン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ヒドロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、リノール酸又はそのエステル類、エイコサペンタエン酸又はそのエステル類、ペクチン、ビフィズス菌発酵物、乳酸発酵物、酵母抽出物、レイシ菌糸体培養物又はその抽出物、小麦胚芽油、アボガド油、米胚芽油、ホホバ油、ダイズリン脂質、γ−オリザノール、ビロウドアオイエキス、ヨクイニンエキス、ジオウエキス、タイソウエキス、カイソウエキス、キダチアロエエキス、ゴボウエキス、マンネンロウエキス、アルニカエキス、小麦フスマ多価アルコール、糖アルコール等が挙げられる。
【0037】
紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、サルチル酸誘導体、アントラニル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体、カンファー誘導体、フラン誘導体、ピロン誘導体、核酸誘導体、アラントイン誘導体、ニコチン酸誘導体、ビタミンB6誘導体、オキシベンゾン、ベンゾフェノン、グアイアズレン、シコニン、バイカリン、バイカレイン、ベルベリン等が挙げられる。
【0038】
紫外線散乱剤としては、コスメサーブ WP-40TK(大日本化成(株)商品名)、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられる。
【0039】
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸及びその塩、ステアリン酸エステル、トコフェロール及びそのエステル誘導体、ノルジヒドログアセレテン酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、パラヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポール等が挙げられる。
【0040】
抗炎症剤としては、ナイアシンアミド,乳酸菌発酵液,α-ヒドロキシ液等のメラニン代謝改善剤、塩酸ジフェンヒドラミン,グリチルリチン酸類及びその誘導体等が挙げられる。
【0041】
その他、DN ベーシックCP(大日本化成(株)商品名),ステアリン酸グリセリル,ステアリン酸ソルビタン,(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル,ラウロリルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)等の乳化剤、セタノール,ヒドロキシステアリン酸フィトステリル,ベヘニルアルコール,モノステアリン酸グリコール,イソステアリルアルコール等の乳化安定剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の可溶化剤、パルミチン酸セチル,ジカプリン酸ネオペンチルグリコール,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマー,クインスシードエキス分散体,PEG−9 ポリジメチルシロキシエチルジメチコン,マイクロクリスタリンワックス,ジステアルジモニウムヘクライト等の増粘剤、防菌防黴剤、パラベン,メチルパラベン,フェノキシエタノール,トリエチルヘキサノインパラオキシ安息香酸プロピル,パラオキシ安息香酸メチル,プロピルパラベン等の防腐剤、イソステアリン酸ポリグリセリル−2等の分散剤、ジメチコン等の撥水・つや出し剤、フェニルトリメチコン等の潤滑剤、メタクリル酸メチルクロスポリマー等の滑沢剤、シクロペンタシロキサン等の柔軟剤、pH調整剤、変色防止剤、界面活性剤、アルコール類、水溶性高分子油性成分、粉末成分、色剤(色素、顔料等)、洗浄剤、薬剤、香料、樹脂、各種皮膚栄養剤等を本発明の目的を損なわない範囲内で、必要に応じて適宜配合することができる。
【0042】
本発明の美白剤は、HPA、又はHPAと添加物等を含有する美白剤を常法に従って、適当な媒体や担体と共に目的の形態(剤形)に製剤化することによって調製することができる。
【0043】
本発明の美白剤の形態は、HPAが安定的に配合できるのであれば特に制限されず、適用される製品の剤型、形態、用途等に応じて設定することができる。
【0044】
例えばローション等の液状、ゲル、乳液、クリーム等の乳化状、シート状、スティック状、軟膏、適当な賦形剤等を用いた穎粒状や粉末状の剤型が挙げられる。乳化状のものとしては、油中水型、水中油型、マルチエマルジョンのいずれの形状のものであってもよい。
【0045】
また、本発明の美白剤を用いて、更に化粧水、ローション、エッセンス(美白美容液)、トニック、乳液、クリーム、軟膏、パック、口紅、ファンデーション、入浴剤、整髪料等の各種化粧品や化粧料を、常法に従って製造することもできる。
【0046】
本発明の美白剤の適用部位も、本発明の効果が奏される範囲内であれば特に限定されず、顔面用、ボディ用、頭髪用等、種々の部位に利用できる。例えば、本発明の美白剤を皮膚に適用することによって、美白作用が発揮され、皮膚色素沈着及びこれに伴って生じるシミ、ソバカス等を予防又は改善することができる。
【0047】
該美白剤の皮膚への適用方法としては、皮膚に塗布、散布、その他これらに類似する任意の方法が挙げられる。例えば液剤、軟膏剤、乳液剤、パック剤、ハップ剤、散布剤、石けん、クリーム、リンス、入浴剤等の方法で使用される。
【0048】
上記した美白剤の添加剤及び剤形等は、本発明のメラニン生成抑制剤にも適用することができる。
【0049】
なお、本発明のメラニン生成抑制剤及び美白剤は、ヒトに対して好適に適用されるものではあるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【0050】
以下、製造例、実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
合成例1
4-ヨードフェノール75g(341mmol)とトリエチルアミン68.99g(682mmol)をトルエン375mLに溶解し、氷冷下、塩化アセチル32.11g(409mmol)を滴下した。1時間後TLCで反応終了を確認し、イオン交換水150mLを加え、10分攪拌後、分液した。3.5%塩酸150mL、イオン交換水150mL×2、5%NaHCO3水溶液150mL、イオン交換水150mL×2の順に、洗浄、分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:トルエン/酢酸エチル=20/1)で精製し、78.93gのアセチル体を得た(収率88.4%)。
【0052】
1H-NMR(CDCl3) δ: 7.68ppm (2h, dt, J=2.9 and 9.0Hz), 6.86 ppm (2h, dt, J=2.9 and 9.0Hz), 2.29ppm (3h, s)
【0053】
得られたアセチル体80g(305mmol)、酢酸パラジウム3.43g(15.3mmol)、酢酸銀50.96g(305mmol)、トリフェニルホスフィン16.02g(61.1mmol)、アリルアルコール53.19g(91.6mmol)をDMF 640mLに懸濁し、窒素雰囲気下、70℃で7時間攪拌した。反応液にトルエン100mLを加え、セライトでろ過後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル300mL、5%塩酸100mLを加え分液後、イオン交換水100mL×2、5%NaHCO3水溶液150mL、5%食塩水150mL×2の順に、洗浄、分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/5)で精製し、14gの粗晶を得た。粗晶を酢酸エチル28mLに溶解し、ヘキサン140mLで晶析させ、1時間攪拌後、ろ取、乾燥し、目的の4-((E)-3-ヒドロキシ-1-プロペニル)フェニルアセテート11.8g(収率20.1%)を得た。
【0054】
融点:102.6℃。
【0055】
1H-NMR(CDCl3) δ: 7.38 ppm (2h, d, J=8.6Hz), 7.04 ppm (2h, d, J=8.6Hz), 6.60ppm (1h, d, J=16Hz), 6.31 ppm (1h, dt, J=5.6 and 16Hz), 4.32 ppm (2h, d, J=5.6Hz), 2.29ppm (3h, s)
【0056】
実施例1.マウスメラノーマ細胞におけるメラニン生成抑制作用の検討
(1)メラニン生成抑制作用の検討
Matsuda H. et al., Melanogenesis inhibitors from the rhizomes of Alpinia officinarum in B16 melanoma cells, Bioorg. Med. Chem., 17, pp.6048-6053 (2009)に記載の方法に準じ、以下の方法で、マウスメラノーマ細胞のメラニン生成に対するHPAの抑制作用の検討を行った。
【0057】
独立行政法人理化学研究所 バイオリソースセンター 細胞バンクより分譲されたマウスメラノーマ由来B16 melanoma 4A5(RCB0557)を、10%ウシ胎児血清(FBS),100 units/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン含有DMEM (4500 mg/L glucose)培地(Sigma-Aldrich社製)で培養(5%CO2,37℃)した。
【0058】
次いで、培養した細胞を24 wellマルチプレートに2.0×104 cells/400μL/wellになるように、上記と同じ組成のDMEM培地に播種し、24時間培養した後、培地を除去し、合成例1で合成したHPA、およびtheophylline(Sigma-Aldrich社製、終濃度1 mM)を添加した培地を細胞に加えた。なお、HPAは、DMSOに0.1%になるように溶解させた溶液を、終濃度が下記表1に記載の濃度になるように、培地に添加した。
【0059】
72時間培養後、トリプシン処理を行って、細胞をマルチプレートから剥離、回収した。回収した細胞をPBSで2回洗浄後、1 mol/LのNaOH aq. を120μL/well加え、80℃で30分処理して、細胞を溶解させた。得られた細胞溶解液を96 wellマイクロプレートに分取(100 μL/well)し、生成したメラニンの吸光度をマイクロプレートリーダー(SH−1000、コロナ電気(株)製)にて測定した(測定波長:405nm)。
【0060】
得られた測定値をもとに、B16 melanoma 4A5のメラニン生成に対する、HPAの抑制効果を、下記式により求めた。
【0061】
Inhibition (%) = [(A-B) / A] / (C / 100) × 100
[A : HPA未添加(コントロール)の場合の吸光度, B :HPA添加の場合の吸光度, C : 細胞生存率(%)]
【0062】
また、比較対象としてHPAの代わりにアルブチン(Sigma-Aldrich社製)を用い、同じ方法で、細胞が生成したメラニンの吸光度を測定し、アルブチンの、B16 melanoma 4A5のメラニン生成に対する抑制効果を求めた。なお、アルブチンは、終濃度が下記表2に記載の濃度になるよう、培地に添加した。
【0063】
(2)細胞毒性試験(細胞生存率)
培養したマウスメラノーマ由来B16 melanoma 4A5(RCB0557)を、上記と組成のDMEM培地を用い、96ウェルマイクロプレートに播種し(5.0×103 cells/0.1 mL/well)、さらに24時間培養した。その後、合成例1で合成したHPA、およびtheophylline(終濃度1 mM)を培地に添加した後70時間培養し、Cell Counting Kit-8 (同仁) を用いて2 時間反応させた。なお、HPAは、DMSOに0.1%になるように溶解させた溶液を、終濃度が下記表1に記載の濃度になるよう、培地に添加した。
【0064】
細胞毒性は、下記式により求めた。
【0065】
Cell viability (%) = [B / A] × 100
[A : HPA未添加(コントロール)の場合の細胞数, B :HPA添加の場合の細胞数]
【0066】
また、比較対象としてHPAの代わりにアルブチンを用い、同じ方法で細胞毒性試験を行った。なお、アルブチンは、終濃度が下記表2に記載の濃度になるよう、培地に添加した。
【0067】
(3)結果
HPAのメラニン生成抑制作用の検討結果(Inhibition(%))、及び細胞毒性試験結果(細胞生存率、Cell viability (%))を表1に併せて示す。
【0068】
【表1】
【0069】
アルブチンのメラニン生成抑制作用の検討結果(Inhibition(%))、及び細胞毒性試験結果(Cell viability (%))を表2に併せて示す。
【0070】
【表2】
【0071】
表1から明らかな通り、テオフィリン刺激により誘導されるB16 melanoma 4A5のメラニン生成に対して、1.0μMのHPAで有意な抑制作用が認められた。また、HPAのメラニン生成抑制作用のIC50値は0.3μMであった(表1)。これに対し、表2から明らかな通り、従来より美白剤として用いられているアルブチンの、メラニン生成抑制作用のIC50値は174μMであった。
【0072】
以上のことから、HPAにはアルブチンよりもはるかに高い、顕著なメラニン生成抑制作用があることが判る。
【0073】
また、HPAとアルブチンとで、メラニン生成抑制作用のIC50値を示す濃度付近での細胞毒性を比較すると、表1から明らかな通り、HPAの場合は、メラニン生成抑制のIC50値を示す0.3μMでの細胞生存率は、111.6 ± 3.3%であった。
【0074】
これに対し、メラニン生成抑制のIC50値を示すアルブチンの濃度は174μMであったが、この濃度での細胞生存率は、当然のことながらアルブチン濃度が100μMの場合の細胞生存率、すなわち78.1±1.9%(表2)よりも低い(データは示していない。)。
【0075】
以上のことから、HPAはメラニン生成抑制作用の有効濃度での細胞毒性に対する安全性に優れていることがわかる。
【0076】
参考例1.チロシナーゼ阻害活性試験
(1)チロシナーゼ阻害活性試験
L-DOPA [L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、2.5 mM, 0.1Mリン酸緩衝液 (pH 6.8)] 70 μL、HPA20 μLの混合溶液に酵素液 (Sigma-Aldrich: マッシュルーム由来,80.5 units/mL) を120 μL加え,25℃で5分間インキュベートした。反応後405 nmにおける吸光度を測定した。なお、HPAは、DMSOに0.1%になるように溶解させた溶液を、終濃度が下記表3に記載の濃度になるように、培地に添加した。
【0077】
得られた測定値をもとに、チロシナーゼ活性阻害率を、下記式により求めた。
【0078】
Inhibition(%)={1−(B/A)}×100
[A : HPA未添加(コントロール)の場合の吸光度, B :HPA添加の場合の吸光度]
【0079】
また、比較対象としてHPAの代わりにコウジ酸(和光純薬工業(株)製)を用い、同じ方法で吸光度を測定し、チロシナーゼ活性阻害率を求めた。
【0080】
(2)結果
得られたチロシナーゼ阻害活性の試験結果(チロシナーゼ活性阻害率、Inhibition(%))を表3に示す。
【0081】
【表3】
【0082】
表3から明らかな通り、HPAには、マッシュルームチロシナーゼ阻害活性がほとんど認められなかった。なお、従来より美白剤として用いられているコウジ酸のチロシナーゼ阻害活性は、10μMのコウジ酸で22.3±2.1%であった。
【0083】
参考例2.RAW264.7細胞におけるリポ多糖 (LPS) 刺激による一酸化窒素産生抑制作用
(1)一酸化窒素産生抑制作用の確認
Hegazy M-E.F. et al., Chem. Pharm. Bull., 60,363-370 (2012)に記載の方法に準じ、以下の方法で、LPS刺激により活性化されるRAW264.7細胞(ACTT No. TIB-71、マウスマクロファージ様細胞株)の一酸化窒素(NO)産生に対する、HPAの抑制作用の確認を行った。
【0084】
RAW264.7細胞を10%ウシ胎仔血清 (FBS), 100 units/mL ペニシリン, 100μg/mL ストレプトマイシン含有DMEM培地 (4500 mg/mL glucose)中で、37℃、5%炭酸ガス気相下で培養した。次いで、培養したRAW264.7細胞をセルスクレーパーを用いて培養容器から剥離し、上記と同じ組成のDMEM培地を用い、2.5×105 cells/ wellになるように調整して96 ウェルマイクロプレートに100μLずつ播種し、6時間前培養 (5 % CO2、37℃)した。96 ウェルマイクロプレートに接着したRAW264.7細胞をPBS (-) で洗浄した後、上記と同じ組成のDMEM培地にHPAを含む培地100μLを、HPAの終濃度が下記表4記載の濃度になるように添加し、さらに10分培養後、LPS (Escherichia coli 由来リポ多糖、Lipopolyisaccharide, Sigma社)を含むDMEM培地100μLを添加した (LPS終濃度:10μg/ mL)。
【0085】
18時間細胞を培養したのち、培地上清中に蓄積したNO2-をGriess法により定量し、NO産生量とした。すなわち、培養上清をチューブに取り、同量のGriess試薬 (1% スルファニルアミド/0.1% N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩/2.5% リン酸)を加えて混和し、10分間室温で放置した後に、マイクロプレートリーダーにて吸光度 (測定波長;570nm, 参照波長;655 nm) を測定した。DMEM培地で希釈した濃度既知のNaNO2をスタンダードとして培養上清に蓄積したNO2- を定量した。一酸化窒素産生阻害率 (%) は下記式により求めた。
【0086】
Inhibition (%) = [(A−B)/(A−C)]×100
A−C: 亜硝酸濃度 (μg/mL)
[A: LPS添加, HPA未添加の場合の吸光度、 B: LPS添加, HPA添加の場合の吸光度、C: LPS未添加, HPA未添加の場合の吸光度]
【0087】
また、比較対象としてHPAの代わりにCAPE(caffeic acid phenethyl ester、和光純薬工業(株)製)を用い、同じ方法でCAPEの一酸化窒素産生抑制作用を求めた。
【0088】
(2)結果
得られた一酸化窒素産生抑制作用の試験結果(一酸化窒素産生阻害率、Inhibition(%))を表4に示す。
【0089】
【表4】
【0090】
表4から明らかな通り、HPAにはほとんど一酸化窒素産生の抑制作用が認められなかった。一方、CAPEの一酸化窒素産生抑制作用のIC50値は3.1 μMであった(データは示していない)。すなわち、一酸化窒素の産生能を指標にマクロファージの活性化、すなわちマクロファージの殺菌作用等を阻害しないことが判った。
【0091】
実施例2
合成例1で合成したHPAを含有する化粧水を調製し、経時での製剤の安定性及び使用性評価の試験を行った。
(1)HPA含有化粧水の調製
容器に、下記表5の「実施例2」の欄に記載のA成分を加え、均一に溶解させた。別の容器に、B成分を均一溶解させた。次いで、溶解させたB成分にA成分をゆっくり添加し、可溶化させた。全体が均一になるまで撹拌し、容器に充填した。
調製した化粧水中のHPAの濃度は、約1μMである。
【0092】
(2)製剤の安定性評価
上記(1)で調製した化粧水を40℃で1ヶ月保存した後、化粧水の状態を目視で観察し、臭いを確認した。
【0093】
(3)使用性評価
女性パネラー(10名)が、上記(1)で調製した化粧水を通常の使用法で用い、使用性に関する表5記載の各項目について、「5:非常に良い、4:良い、3:普通、2:やや悪い、1:非常に悪い」の5段階で評価した。得られた評価の平均点を評価点として、以下の基準で判定符号を付した。
【0094】
◎:評価点 5〜4.5
○:評価点 4.5〜3.5
△:評価点 3.5〜2.5
×:評価点 2.5以下
【0095】
(4)結果
得られた結果を表5に示す。
【0096】
【表5】
【0097】
実施例3〜4
表5の「実施例3」又は「実施例4」の欄の記載に従い、それぞれ実施例2と同様の方法で、HPAを含有する化粧水を調製した。
【0098】
実施例3〜4で調製した化粧水中のHPAの濃度は、それぞれ約300μM(実施例3)、約1000M(実施例4)である。
【0099】
また、実施例2と同様の方法で製剤の安定性評価、及び使用性評価を行った。
【0100】
得られた結果を表5に併せて示す。
【0101】
比較例1〜2
(1)アスコルビン酸含有化粧水の調製、及び製剤の安定性・使用性評価
表5記載の「比較例1」又は「比較例2」の欄の記載に従い、それぞれ実施例2と同様の方法で、本発明に係るHPAの代わりにアスコルビン酸を含有する化粧水を調製した。
【0102】
また、実施例2と同様の方法で製剤の安定性評価、及び使用性評価を行った。
【0103】
得られた結果を表5に併せて示す。
【0104】
(2)結果
表5の実施例2〜4の結果から明らかな通り、HPAを含有する本発明の化粧水は、40℃で1ヶ月保存しても、変色、異臭がなく、製剤の安定性に優れた可溶化型化粧水であった。また、実施例2〜4で調製した本発明の化粧水は、使用時の刺激感は無く、美白感、肌ツヤ改善効果、小じわの減少効果共に優れたものであった。
【0105】
これに対し、表5の比較例1〜2の結果から明らかな通り、医薬部外品主剤としても配合されるアスコルビン酸を含有する化粧水は、40℃で1ヶ月保存することにより変色及び異臭が確認され、経時での製剤の安定性に劣ることが判った。アスコルビン酸のアクティビティを保持するためには系のpHを低く保つ必要がある。そのため、比較例1及び比較例2で調製した化粧水のpHは、それぞれpH 3.41、pH 2.95で、アスコルビン酸のアクティビティを発揮するに適したpHであったが、用いたクエン酸バッファー量ではこの十分なpHが維持できず、製剤の安定性に影響を及ぼしたものと考えられる。また、多く配合しなければ使用効果が得られないため、かえって、べたつき感が出たりした。
【0106】
実施例5
合成例1で合成したHPAを含有する乳液を調製し、経時での製剤の安定性及び使用性評価の試験を行った。
【0107】
(1)HPA含有乳液の調製
容器に下記表6記載のA成分を加え、加熱・撹拌して均一に溶解させた。全量が仕込める乳化釜にB成分を秤り込み、加熱・撹拌して均一にした。B成分を撹拌しながら、上記で得られた油相(A成分)をゆっくり添加し、乳化を行った。ホモミキサーを作動させ、全体を均一にした後、減圧下で冷却した。バルク温度が40℃になれば、予め別の容器で溶解させたC成分を添加した。バルク温度が30℃以下になったら冷却・撹拌を停止し、常圧に戻した後、容器に充填した。
【0108】
調製した乳液中のHPAの濃度は、約260μMである。
【0109】
【表6】
【0110】
(2)製剤の安定性の評価及び使用性評価
実施例2と同様の方法で、得られた乳液の製剤の安定性の評価を行った。また、実施例2と同様の方法で、女性パネラー(10名)による使用性評価を行った。
【0111】
(3)結果
HPAを含有する本発明の乳液は、製剤の安定性も良好で、40℃で1ヶ月保存してもエマルジョンの分離・析出はなく、また、変色、異臭もなく、安定な製剤状態であった。
【0112】
また、本発明の乳液は使用時のべたつきがなく、使用中での刺激もなかった。更に、本発明の乳液を使用して1ヶ月後の肌は、やや美白感があり、肌のツヤが改善され、小じわの減少効果も認められた。
【0113】
実施例6
合成例1で合成したHPAを含有するフェイスクリームを調製し、経時での製剤の安定性及び使用性評価の試験を行った。
【0114】
(1)HPA含有フェイスクリームの調製
容器に下記表7記載のA成分を加え、加熱・撹拌して均一に溶解させた。全量が仕込める乳化釜にB成分を秤り込み、加熱・撹拌して均一にした。B成分を撹拌しながら、上記で得られた油相(A成分)をゆっくり添加し、乳化を行った。ホモミキサーを作動させ、全体を均一にした後、減圧下で冷却した。バルク温度が40℃になれば、予め別の容器で溶解させたC成分を添加した。バルク温度が30℃以下になったら冷却・撹拌を停止し、常圧に戻した。得られたフェイスクリームを容器に充填した。
【0115】
調製したフェイスクリーム中のHPAの濃度は、約520μMである。
【0116】
【表7】
【0117】
(2)製剤の安定性評価及び使用性評価
実施例2と同様の方法で、得られたフェイスクリームの製剤の安定性の評価を行った。また、実施例2と同様の方法で、女性パネラー(10名)による使用性評価を行った。
【0118】
(3)結果
HPAを含有する本発明のフェイスクリームは、製剤の安定性も良好で、40℃で1ヶ月保存してもエマルジョンの分離・析出はなく、また、変色、異臭もなく、安定な製剤状態であった。
【0119】
また、本発明のフェイスクリームは、使用時のべたつきがなく、使用中での刺激もなかった。更に、本発明のフェイスクリームを使用して1ヶ月後の肌は、やや美白感があり、肌のツヤが改善され、小じわの減少効果も認められた。
【0120】
実施例7
合成例1で合成したHPAを含有するエッセンスを調製し、経時での製剤の安定性及び使用性評価の試験を行った。
【0121】
(1)HPA含有エッセンスの調製
容器に下記表8記載のA成分を加え、均一に溶解させた。全量が仕込める製造釜にB成分を秤り込み、均一溶解させた。次いで溶解させたB成分にC成分を加えて均一にした後、A成分を加えて均一になるまで撹拌した。次に、D成分を加えて十分に撹拌して均一にした後、容器に充填した。
【0122】
調製したエッセンス中のHPAの濃度は、約520μMである。
【0123】
【表8】
【0124】
(2)製剤の安定性評価及び使用性評価
実施例2と同様の方法で、得られたエッセンスの製剤の安定性の評価を行った。また、実施例2と同様の方法で、女性パネラー(10名)による使用性評価を行った。
【0125】
(3)結果
HPAを含有する本発明のエッセンスは、製剤の安定性も良好で、40℃で1ヶ月保存してもゲルの粘度変化はなく、分離・析出もなく、また、変色、異臭もなく、安定な製剤状態であった。
【0126】
また、本発明のエッセンスは、使用時のべたつきがなく、使用中での刺激もなかった。更に、本発明のエッセンスを使用して1ヶ月後の肌は、やや美白感があり、肌のツヤが改善され、小じわの減少効果も認められた。
【0127】
実施例8
合成例1で合成したHPAを含有するBBクリームを調製し、経時での製剤の安定性及び使用性評価の試験を行った。
【0128】
(1)HPA含有BBクリームの調製
容器に下記表9記載のB成分を粉砕混合して均一にした。全量が仕込める製造釜にA成分を秤り込み、加熱・混合して均一にした。次いでA成分にB成分、C成分、D成分を順次加えて均一にした後、E成分を加えて乳化を行った。ホモミキサーを作動させ、全体を均一にした後、減圧下、冷却した。バルク温度が30℃以下になったら、冷却・撹拌を停止し、常圧に戻した後、容器に充填した。
【0129】
調製したBBクリーム中のHPAの濃度は、約300μMである。
【0130】
【表9】
【0131】
(2)製剤の安定性の評価及び使用性評価
実施例2と同様の方法で、得られたフェイスクリームの製剤の安定性の評価を行った。また、実施例2と同様の方法で、女性パネラー(10名)による使用性評価を行った。
【0132】
(3)結果
HPAを含有する本発明のBBクリームは、製剤の安定性も良好で、40℃で1ヶ月保存してもエマルジョンの分離・析出物は認められず、また、変色、異臭もなく、安定な製剤状態であった。
【0133】
また、本発明のBBクリームは、使用時のべたつきがなく、使用中での刺激もなかった。更に、本発明のBBクリームを使用して1ヶ月後の肌は、やや美白感があり、肌のツヤが改善され、小じわの減少効果も認められた。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、高いメラニン生成抑制効果、生体への安全性、および経時安定性に優れたメラニン生成抑制剤及び美白剤を提供するものであり、これを用いて皮膚の黒化、シミ、ソバカス等の、ソバカス等の色素沈着の予防、治療又は改善に貢献することができる。