(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定の層数の仮連結されている環状体の内部に水を貯留して、前記水に作業用の浮力体を浮かべ、前記水を排出することによって前記水の水面および前記浮力体を下降させながら、前記浮力体の上において前記本連結する工程を実施することを特徴とする請求項1記載の地中構造物の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、特許文献1に開示された発明は、セグメント(環状体)の外面側に開口した凹部が形成され、該凹部に貫通孔が到達している(凹部と側面との間、凹部と端面との間にそれぞれ貫通孔が形成されている)ことから、施工者は地上において(環状体の外面側において)セグメントを連結することが可能になっている。
このため、特許文献1に開示された発明は、既設の環状体の内面側に足場を設置して、環状体の内面側においてセグメントを連結したり、環状体を積層する度に、環状体の内面側に設置した足場を取り外したり、再度、設置したりする作業を排除することによって、施工作業を簡素にすることができるという顕著な効果を奏する。
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、連結ボルトが外面側(地中側)に設置されるため、環状体が地中に設置された状態では、内面側から視認することができないため、連結ボルトが長期化に渡って健全であることを確認したい、あるいは、仮に、経年劣化した場合には、これを交換したいという要請があった。また、施工時に結合ボルトが緩んだ場合など締め直しが出来ないため、強度上問題となることがあった。
【0005】
本発明は、前記要請に応えるものであって、環状体の内面側への足場の設置を不要にすると共に、連結ボルトの点検や交換を可能にする
地中構造物の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(
1)本発明に係る地中構造物の施工方法は、複数のセグメントを周方向で連結した環状体を、上下方向で積層してなる地中構造物を、地中に設置する地中構造物の施工方法であって、
前記セグメントが、互いに面対称な一対の側面および互いに面対称な一対の端面と、前記側面の前記環状体の外面寄りに形成された外側面継手と、前記端面の前記環状体の外面寄りに形成された外端面継手と、前記側面の前記環状体の内面寄りに形成された内側面継手と、前記端面の前記環状体の内面寄りに形成された内端面継手と、を具備し、
地上において、前記複数のセグメントを、前記外側面継手において仮連結して環状体を形成すると共に、該環状体を既に仮連結されている下方の環状体に前記外端面継手において仮連結する工程と、
前記仮連結された環状体を地中に圧入する工程と、
前記仮連結する工程と前記地中に圧入する工程とを繰り返して、所定の層数の仮連結されている環状体を地中に設置する工程と、
所定の層数の仮連結されている環状体を地中に設置する工程の後、前記所定の層数の仮連結されている環状体について、上方に配置された前記環状体から下方に配置された前記環状体に向かって順次、前記環状体を形成する前記セグメント同士を前記内側面継手および前記内端面継手において本連結する工程と、
を有することを特徴とする。
【0011】
(
2)前記(
1)において、前記所定の層数の仮連結されている環状体の内部に水を貯留して、前記水に作業用の浮力体を浮かべ、前記水を排出することによって前記水の水面および前記浮力体を下降させながら、前記浮力体の上において前記本連結する工程を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
(i)本発明に係る地中構造物は、地中構造物は内周側と外周側との両面において、セグメントが連結されているから、内面側に設置された連結ボルトを内面側から視認することができる。このため、経時的な点検を実施することができることから、地中構造物の保全性が向上する。また、内面側に設置された連結ボルトの劣化が発見された場合には、これを取り替えることができるから、長期に渡る信頼性が向上する。さらには、施工時に前記環状体を圧入する際に連絡ボルトの緩みが生じた場合でも、内側に連絡ボルトを設置することが出来るので、強度低下の心配がない。
【0013】
(ii)また、セグメントが、一方の端面に形成された端面突起が他方の端面に形成された端面穴に侵入することによって上下方向で連結されるから、作業が容易で迅速になる。
(iii)また、連結ナットに相当する外側面継手ネジおよび内側面継手ネジが、予め設置されているから、施工現場に、連結ナットを用意する必要がなくなるため、施工資材の管理が容易になる。
(iv)また、外側面継手の数が内側面継手の数よりも少なく、外側面継手においてセグメントを仮連結し、点検可能な内側面継手においてセグメントを本連結しているから、仮連結に要す資材数量を最小に抑え、製造コストおよび施工コストの低減を図ることができる。
【0014】
(v)さらに、本発明に係る地中構造物の施工方法は、外側において、セグメントを仮連結して、仮連結された環状体を形成し、これを順次、地中に圧入し、所定の層数の仮連結されている環状体が地中に設置されたところで、内側において、上方に配置された前記環状体から下方に配置された前記環状体に向かって順次、本連結している。
したがって、地上において仮連結をするから、仮連結のための足場等が不要になり、作業が容易かつ迅速になる。
また、一旦、所定の層数の仮連結されている環状体が地中に設置されたところで、内側において本連結を実施しているから、環状体内部の掘削等の作業が終了した後、本連結を実施することになり、施工工程が簡素になり、施工工期が短縮する。すなわち、仮に、1層の環状体が仮連結される度に、内側において本連結をしようとすると、内側における掘削作業と本連結作業とが干渉することになり、それぞれの作業用機器の一時的な撤去や再配置等の余計な作業が発生することになる。
また、特に、最下部に水中コンクリートを設置して、水中コンクリートの養生期間に合わせて本連結を実施することができるから、施工工期がさらに短縮する。
なお、本発明において、「仮連結」および「本連結」の用語は、説明の便宜上使い分けているが、いずれも、地中構造物を形成する恒久的な締結であって、「仮連結」とは、主に地中構造物の形状を維持するための締結を、「本連結」とは、主に地中構造物の強度や剛性を維持するための締結を意味しているが、何れも、形状および強度や剛性を維持するものである。
【0015】
(vi)また、本連結を、環状体の内部に貯留した水に作業用の浮力体を浮かべ、水を排出することによって水の水面および浮力体を下降させながら、浮力体の上において実施するから、内側に足場等を設置する必要がなく、作業が簡素かつ迅速になり、また、無駄な施工資材が不要になるから、施工コストの低減および施工工期の短縮を図ることができる。なお、前記浮力体は、船、筏等を用いるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態1]
図1〜
図5は本発明の実施の形態1に係る地中構造物を説明するものであって、
図1は施工状況を模式的に示す側面図、
図2は地中構造物を構成する環状体を示す正面図、
図3の(a)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す外面側の側面図、
図3の(b)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す正面図、
図3の(c)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す内面側の側面図、
図4は地中構造物を構成する部材(セグメント)の仮連結を示す側面図、
図5の(a)〜(d)は地中構造物の施工要領を工程を追って示す側面視の断面図である。なお、以下の各図において同じ部分または対応する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、符号の一部の記入を省略した図がある。また、各部は模式的に描かれているため、本発明は描かれた形態に限定されるものではない。
【0018】
(地中構造物)
図1において、地中構造物300は、地中90に圧入沈設装置8によって設置されたものであって、それぞれセグメント100が周方向で連結された環状体200g、200h等が上下方向で積層され互いに接合された筒状体である。
圧入沈設装置8は地中90に浮き上がり不能に接合された装置スタンド8aと、装置スタンド8aに案内されて昇降する昇降アーム8bと、昇降アーム8bに設置され環状体200を地中90に圧入する圧入ジャッキ8cと、昇降アーム8bや圧入ジャッキ8c等を駆動する油圧ユニット8dと、を有している。
そして、以下の説明の便宜上、最上層を形成するものを「環状体200h」と、その直下を「環状体200g」と、さらにその直下を「環状体200f」とそれぞれ称しているが、地中構造物300は、環状体200h等の数(積層数)を限定するものではない。
すなわち、環状体200fが所定の距離だけ沈下した(圧入された)ところで、昇降アーム8bを持ち上げ、環状体200fの上に環状体200gを載せて両者を接合し、さらに、環状体200gを所定の距離だけ沈下(圧入)させ、同様に、環状体200hを積層している。
なお、共通する内容の説明においては、符号の添え字「f、g、h」の記載を省略する場合がある。
【0019】
(環状体)
図2において、環状体200は、複数のセグメント100が側面において連結されたものである。なお、環状体200を形成するセグメント100の数は限定するものではない。
なお、以下、説明の便宜上、環状体200が円筒状であって、セグメント100が何れも同じ形態である場合について説明するが、環状体200は円筒状であるものに限定されるものではなく、平面視において非円形(楕円、矩形、小判形、多角形等)であってもよい。
また、セグメントは何れも同一の形態でなく、平面視で円弧状でないもの(例えば、正面視で「く字状」や「ヘ字状」等)であってもよく、さらに、セグメント100の一部を平板(平面視で矩形状)にして、残りを正面視で円弧状、く字状あるいはヘ字状にしてもよい。
【0020】
(セグメント)
図3の(a)〜(c)において セグメント100は、断面円弧状の所謂「八つ橋」形状をしている。すなわち、断面円弧状の外面10と、断面円弧状の内面20と、外面10と内面20とに跨がった側面30、40と、内面20、外面10および側面30、40の端部に跨がった端面50、60を具備する。このとき、側面30と側面40とは面対称で、端面50と端面60とは面対称で、外面10の曲率中心と内面20の曲率中心とは一致しているから、セグメント100は均一な厚さになっている。
【0021】
(側面継手)
セグメント100の側面30には、外面10に跨がって外側面継手31と、内面20に跨がって内側面継手32とが設けられている。なお、外側面継手31が1個所に、内側面継手32が2個所に設けられているが、本発明はそれらの数量を限定するものではない。
外側面継手31は、外面10と側面30との角部に形成された外側面凹部31aと、外側面凹部31aの側面30側の一部を覆い、側面30と略同一面を形成する外側面継手板31bと、外側面継手板31bに形成された貫通孔である外側面継手孔31cとを具備している。
内側面継手32は、内面20と側面30との角部に形成された内側面凹部32aと、内側面凹部32aの側面30側の一部を覆い、側面30と略同一面を形成する内側面継手板32bと、内側面継手板32bに形成された貫通孔である内側面継手孔32cとを具備している。
【0022】
同様に、セグメント100の側面40には、外面10に跨がって外側面継手41と、内面20に跨がって内側面継手42とが設けられている。
外側面継手41は、外側面凹部41aと、外側面継手板41bと、外側面継手孔41cとを具備し、内側面継手42は、内側面凹部42aと、内側面継手板42bと、内側面継手孔42cとを具備している。
【0023】
(端面継手)
セグメント100の端面50には、外面10に跨がって外端面継手51と、内面20に跨がって内端面継手52とが設けられている。なお、外端面継手51が3個所に、内端面継手52が3個所に設けられているが、本発明はそれらの数量を限定するものではない。
外端面継手51は、外面10と端面50との角部に形成された外端面凹部51aと、外端面凹部51aの端面50側の一部を覆い、端面50と略同一面を形成する外端面継手板51bと、外端面継手板51bに形成された貫通孔である外端面継手孔51cとを具備している。
内端面継手52は、内面20と端面50との角部に形成された内端面凹部52aと、内端面凹部52aの端面50側の一部を覆い、端面50と略同一面を形成する内端面継手板52bと、内端面継手板52bに形成された貫通孔である内端面継手孔52cとを具備している。
【0024】
同様に、セグメント100の端面60には、外面10に跨がって外端面継手61と、内面20に跨がって内端面継手62とが設けられている。
外端面継手61は、外端面凹部61aと、外端面継手板61bと、外端面継手孔61cとを具備し、内端面継手62は、内端面凹部62aと、内端面継手板62bと、内端面継手孔62cとを具備している。
【0025】
(セグメントの周方向の仮連結)
図4において、環状体200hを形成する隣接するセグメント100(以下、説明の便宜上「セグメント100a」と称す)の側面30とセグメント100(以下、説明の便宜上「セグメント100b」と称す)の側面40とを当接して、両者を仮に連結する(仮に組み立てる)要領について説明する。
既に積層された環状体200gの上面に、セグメント100aの側面30とセグメント100bの側面40とが当接または近接した状態で、セグメント100aおよびセグメント100bを載置する。
そして、セグメント100aの外側面継手31とセグメント100bの外側面継手41において、周方向を連結する。すなわち、外側面継手31の外側面凹部31aに連結ボルト(図示しない)を配置し、外側面継手41の外側面凹部41aに連結ナット(図示しない)を配置し、外側面継手孔31c、41cを貫通した連結ボルトに連結ナットを螺合する。
同様に、セグメント100aの側面40とこれに隣接するセグメント100の側面30とを仮連結し、セグメント100bの側面30とこれに隣接するセグメント100の側面40とを仮連結する。さらに、同様にして、全てのセグメント100を周方向に仮連結して、環状体200hを仮に組み立てる。
【0026】
(セグメントの上下方向の仮連結)
図4において、環状体200hを形成する隣接するセグメント100(以下、説明の便宜上「セグメント100a」と称す)の端面60と、環状体200gを形成するセグメント100(以下、説明の便宜上「セグメント100c、100d」と称す)の端面50とを当接して、両者を仮に連結する(仮に組み立てる)要領について説明する。
環状体200gを形成するセグメント100c、100dの端面50に跨がって、これに設置されるセグメント100a(環状体200hを形成する)を配置する。
そして、下方に位置する環状体200gのセグメント100cの外端面継手51と環状体200hのセグメント100aの外端面継手61とにおいて、また、環状体200gのセグメント100dの外端面継手51と環状体200hのセグメント100aの外端面継手61とにおいて、上下方向を仮連結する。
すなわち、外端面継手51の外端面凹部51aに連結ボルト(図示しない)を配置し、外端面継手61の外端面凹部61aに連結ナット(図示しない)を配置し、外端面継手孔51c、61cを貫通した連結ボルトに連結ナットを螺合する。
【0027】
同様に、下方に位置する環状体200gのセグメント100dの外端面継手51と環状体200hのセグメント100aの外端面継手61とにおいて、上下方向を連結する。
さらに、同様に、環状体200gのセグメント100の外端面継手51と環状体200hのセグメント100の外端面継手61とにおいて、相互に仮に連結して、環状体200gと環状体200hとを仮連結する。
【0028】
なお、以上は、まず、周方向で仮に連結された環状体200gを形成し、その後に、周方向で仮連結された環状体200hを形成するセグメント100を、環状体200gを形成するセグメント100に上下方向で仮に連結しているが、本発明はこれに限定するものではなく、周方向に仮連結された環状体200gに、セグメント100を載置して、これを上下方向で仮連結した後、周方向で仮連結して環状体200hを形成するようにしてもよい。
【0029】
(地中構造物の仮組み立て)
前記のように、セグメント100を外側面継手31、41において周方向で、および外端面継手51、61において上下方向で、それぞれ仮連結することによって、地中構造物300は仮に組み立てられる。すなわち、地中構造物300の仮組み立ては、地中構造物300(環状体200)の外側において実施することができるから、地中構造物300(環状体200)の内側に足場等を設置することなく、地上91において実施することができる。
【0030】
(セグメントの周方向の本連結)
次に、仮連結されたセグメント100a等を周方向に本連結する要領について説明する(図示しない)。
すなわち、セグメント100aの内側面継手32とセグメント100bの内側面継手42において、周方向を本連結する。すなわち、内側面継手32の内側面凹部32aに連結ボルト(図示しない)を配置し、内側面継手42の内側面凹部42aに連結ナット(図示しない)を配置し、内側面継手孔32c、42cを貫通した連結ボルトに連結ナットを螺合する。
同様に、セグメント100aの側面40とこれに隣接するセグメント100の側面30とを本連結し、セグメント100bの側面30とこれに隣接するセグメント100の側面40とを本連結し、全てのセグメント100を周方向で本連結して、環状体200を本組み立てする。
【0031】
(セグメントの上下方向の本連結)
環状体200gのセグメント100cの内端面継手52と、環状体200hのセグメント100aの内端面継手62とにおいて、また、環状体200gのセグメント100dの内端面継手52と環状体200hのセグメント100aの内端面継手62とにおいて、上下方向を本連結する。
すなわち、内端面継手52の内端面凹部52aに連結ボルト(図示しない)を配置し、内端面継手62の内端面凹部62aに連結ナット(図示しない)を配置し、内端面継手孔52c、62cを貫通した連結ボルトに連結ナットを螺合する。
【0032】
同様に、下方に位置する環状体200gのセグメント100dの内端面継手52と環状体200hのセグメント100aの内端面継手62とにおいて、また、環状体200gのセグメント100dの内端面継手52と環状体200hのセグメント100aの内端面継手62とにおいて、上下方向を本連結する。
さらに、下方に位置する環状体200gのセグメント100の内端面継手52と環状体200hのセグメント100の内端面継手62とにおいて、相互に本連結して、環状体200gと環状体200hとを本連結する。
【0033】
なお、以上は、まず、周方向で本連結された環状体200gを形成し、その後に、本周方向で本連結された環状体200hを形成するセグメント100を、環状体200gを形成するセグメント100に上下方向で仮連結しているが、本発明はこれに限定するものではなく、周方向に本連結された環状体200gに、セグメント100を載置して、これを上下方向で本連結した後、周方向で本連結して環状体200hを形成するようにしてもよい。
【0034】
(地中構造物の本組み立て)
セグメント100を内側面継手32、42において周方向で、および内端面継手52、62において上下方向で、それぞれ本連結することによって、前記のように、セグメント100を周方向および上下方向で本連結することによって、地中構造物300は本組み立てされる。すなわち、地中構造物300の本組み立ては、地中構造物300(環状体200)の内側において実施する(これについては、別途詳細に説明する)。
【0035】
(作用効果)
以上のように、地中構造物300は内周側と外周側との両面において、セグメント100が連結されている。したがって内面側に設置された連結ボルトを内面側から視認することができるため、経時的な点検を実施することができることから、地中構造物300の保全性が向上する。また、内面側に設置された連結ボルトの劣化が発見された場合には、これを取り替えることができるから、長期に渡る信頼性が向上する。また、前記環状体を圧入施工する時に連絡ボルトの緩みが生じた場合でも、内側に連絡ボルトを設置しているので、締め直しを行うことができるため、強度低下の心配がない。
【0036】
(地中構造物の施工要領)
図5の(a)において、地中構造物300は、環状体200が外面側から、地上91において仮連結されている。
図5の(b)において、最上層の環状体200hが、地中90に圧入されている。このとき、地中構造物300の内部には、作業用の水80が貯められて、例えば、水80の水面81が、環状体200gに達している。
なお、
図5の(a)および(b)において、内面側の内側面継手42に本連結されている内側面継手32と、互いに仮連結されている外端面継手51および外端面継手61とを塗り潰して示し、仮連結されていない、内面側の内側面継手42、内端面継手52および内端面継手62を、白抜きで示している。
したがって、前記のように、環状体200の外面側における作業を、地上91において実施することができるから、施工が簡素で、迅速になっている。
【0037】
図5の(c)において、水面81に作業用の浮力体(図示しない)を浮かべて、該浮力体に乗った作業者(図示しない)によって、環状体200hが内面側において本連結されている。
すなわち、
図5の(c)において、環状体200hの内側面継手42に本連結されている内側面継手32と、互いに本連結されている環状体200gの内端面継手52および環状体200hの内端面継手62とを塗り潰して示している。
【0038】
図5の(d)において、水80の一部が排出され、水面81が環状体200fの位置にまで下降している。そこで、図示しない浮力体に乗った作業者によって、環状体200gが内面側において本連結されている。すなわち、
図5の(d)において、環状体200gの内面側の内側面継手42に本連結されている内側面継手32と、互いに本連結されている環状体200fの内端面継手52および環状体200gの内端面継手62とを塗り潰して示している。
【0039】
(作用効果)
以上のように、地中構造物300は、内部に貯められた水80に作業用の浮力体を浮かべて、該浮力体に乗って、下方に向かって順次、内面側で本連結の作業を実施するから、特別の作業用足場を設置する必要がない。
特に、所定の層数の環状体200が地中90に圧入された時点で、地中構造物300の底部には水中コンクリートが設置され、当該水中コンクリートは所定の期間、養生する必要があるため、当該養生期間を利用して、水80を排水して水面81を下降させながら、上方の環状体200から下方の環状体200に向かって順次、本連結の作業を実施する。このため、作業が簡素で迅速であって、本連結のための作業時間を別途設ける必要がない。また、水中コンクリートの養生期間が単純に施工期間に付加されることがなくなることから、施工工期の短縮を図ることができる。
なお、仮に、環状体200を外面側において仮連結する度に、環状体200を内面側で本連結しようとすると、その都度、水面81(地上91に近い高さに位置している)に浮力体を浮かべたり、足場を設置したりする必要が生じ、掘削等の作業を阻害することになる。
【0040】
[実施の形態2]
図6および
図7は本発明の実施の形態2に係る地中構造物を説明するものであって、
図6は地中構造物(環状体)を示す正面図、
図7の(a)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す外面側の側面図、
図7の(b)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す正面図、
図7の(c)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す内面側の側面図、
図7の(d)および(e)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す端面図である。
なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、各部は模式的に描かれているため、本発明は描かれた形態に限定されるものではない。
【0041】
(環状体)
図6において、環状体500は、複数のセグメント400が側面において連結されたものであって、環状体500が積層されて地中構造物600が形成される。
すなわち、セグメント400は、正面視の形状を「く字状」にして、環状体500を六角形状にしたものである。
【0042】
(セグメント)
図7の(a)〜(e)において セグメント400は、正面視の形状が、セグメント100(実施の形態1)とは相違しているが、側面30、40には、セグメント100と同様に、外側面継手31、41および内側面継手32、42が設けられている。
一方、端面50、60には、外端面継手51、61および内端面継手52、62に代えて、端面突起55および端面穴66が設けられている。
すなわち、端面突起55は端面穴66に侵入自在であるから、下方に配置されたセグメント400の端面突起55が上方に配置されたセグメント400の端面穴66に侵入することによって、あるいは、下方に配置されたセグメント400の端面穴66に、上方に配置されたセグメント400の端面突起55が侵入することによって、セグメント400は上下方向で連結(本連結)される。
【0043】
(作用効果)
したがって、上下方向の連結(仮連結および本連結)が簡素になるから、セグメント400の製造コストが安価になると共に、施工がより簡素になり、施工工期がさらに短縮する。
【0044】
(地中構造物の施工要領)
地中構造物600の施工要領は、地中構造物300の施工要領において、上下方向の仮連結および本連結を、端面突起55の端面穴66への侵入に置き換えたものであって、周方向の仮連結および本連結は地中構造物300に同じであるから、説明を省略する。
したがって、地中構造物600においても、実施の形態1における地中構造物300の施工と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
[実施の形態3]
図8は本発明の実施の形態3に係る地中構造物を説明するものであって、
図8の(a)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す外面側の側面図、
図8の(b)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す正面図、
図8の(c)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す内面側の側面図、
図8の(d)および(e)は地中構造物を構成する部材(セグメント)を示す端面図である。なお、実施の形態2と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0046】
(セグメント)
図8において、セグメント700は、実施の形態2におけるセグメント400に代えて、環状体500および地中構造物600を形成するものである。
セグメント700の一方の側面30には、外面10寄りの位置に外側面継手71と、内面20寄りの位置に内側面継手72とが、それぞれ設けられている。なお、外側面継手71が1個所に、内側面継手72が2個所に設けられているが、本発明はそれらの数量を限定するものではない。そして、外側面継手71および内側面継手72を除く構成は、セグメント400(実施の形態2)に同じである。
【0047】
外側面継手71は、外側面継手板71bと、外側面継手板71bに形成された外側面継手ネジ71cと、外側面継手ネジ71cの位置に形成された穴(図示しない)とを有している。同様に、内側面継手72は、内側面継手板72bと、内側面継手板72bに形成された内側面継手ネジ72cと、内側面継手ネジ72cの位置に形成された穴(図示しない)とを有している。
なお、外側面継手ネジ71cおよび内側面継手ネジ72cは、それぞれ外側面継手板71bおよび内側面継手板72bに直接形成しても、あるいは、外側面継手板71bおよび内側面継手板72bに形成した貫通孔の位置にナットを溶接固定したものであってもよい。
【0048】
(セグメントの周方向の仮連結)
セグメント700は、実施の形態2におけるセグメント400の外側面継手31および内側面継手32を、それぞれ外側面継手71および内側面継手72に変更したものであるから、セグメントの周方向の仮連結は以下の要領になる。
すなわち、周方向で仮連結しようとする一対のセグメント700において、一方のセグメント700の外側面継手41の外側面凹部41aに連結ボルト(図示しない)を配置し、当該連結ボルトを外側面継手孔41cを貫通させて、他方のセグメント700の外側面継手71の外側面継手ネジ71cに螺合する。したがって、かかる仮連結は、環状体500の外周側から、地上91において実施することができる。
【0049】
(セグメントの周方向の本連結)
また、セグメント700の周方向の本連結は、周方向で本連結しようとする一対のセグメント700において、一方のセグメント700の内側面継手42の内側面凹部42aに連結ボルト(図示しない)を配置し、当該連結ボルトを内側面継手孔42cを貫通させて、他方のセグメント700の内側面継手72の内側面継手ネジ72cに螺合する。したがって、かかる本連結は、前記のように、水面81に浮かべた浮力体の上において、環状体500の内周側で、上方から下方に向かって順次実施することができる。
【0050】
(作用効果)
以上のように、セグメント700は、実施の形態2におけるセグメント400の外側面継手31および内側面継手32を、それぞれ予め「連結ナットに相当する外側面継手ネジ71cおよび内側面継手ネジ72c」が設置された外側面継手71および内側面継手72に変更したものであるから、施工現場に、連結ナットを用意する必要がなくなるため、施工資材の管理が容易になる。
そして、セグメント700を用いた地中構造物600の施工要領は、セグメント400を用いた地中構造物600の施工要領に同じであるから、実施の形態1における地中構造物300の施工と同様の作用効果を得ることができる。