【実施例】
【0046】
ここで、本発明の実施例に係る用紙搬送装置60の構成について、先に示した
図1と、新たな
図2〜
図6とを用いて説明する。
【0047】
図2は本発明の実施例に係る用紙搬送装置を斜視的に示しており、且つ、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して開閉可能な従動ローラ側用紙搬送ガイド板が閉じた状態を示している。また、
図3(a)〜(h)は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して従動ローラ側用紙搬送ガイド板が閉じた状態をそれぞれ平面的に示している。また、
図4,
図5は駆動ローラ側用紙搬送ガイド板を前面側,後面側からそれぞれ見て斜視的に示している。また、
図6は従動ローラ側用紙搬送ガイド板を前面側から見て斜視的に示している。
【0048】
図1に示す如く、本発明の実施例に係る用紙搬送装置60は、インクジェット印刷装置1内の用紙搬送路に沿って回転/停止可能に設けられたレジストローラ対27よりも用紙搬送方向の上流側で、例えば、循環用搬送路JR中の第2縦搬送路JR4に沿ってユニット化して設置されているが、これに限らず、レジストローラ対27よりも用紙搬送方向の上流側の給紙用搬送路KRに沿って設置することも可能である。
【0049】
そして、循環用搬送路JR中の第2縦搬送路JR4には、前述したように、駆動源となるギアードモータMに連結されて回転駆動する駆動ローラR1と、この駆動ローラR1に圧接して従動する従動ローラR2とを対にした用紙搬送ローラ対Rが設置されており、用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1と従動ローラR2とで用紙Pをニップしながらレジストローラ対27に向けて搬送するようになっている。
【0050】
ここで、
図1〜
図3に示す如く、実施例の用紙搬送装置60では、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板(以下、簡略化して、駆動側用紙ガイド板と呼称する)70が、循環用搬送路JR中の第2縦搬送路JR4に沿いながら用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1側に不図示の固定部材を介して固定設置されている。
【0051】
そして、駆動側用紙ガイド板70は、用紙搬送ローラ対Rにより搬送される用紙Pの一方の面Paをガイドするようになっている。
【0052】
一方、従動ローラ側用紙搬送ガイド板(以下、簡略化して、従動側用紙ガイド板と呼称する)80は、初期時又は用紙Pの搬送時に用紙Pを通紙できる程度の間隔を隔てて駆動側用紙ガイド板70と対向しており、且つ、循環用搬送路JR中の第2縦搬送路JR4に沿いながら用紙搬送ローラ対Rの従動ローラR2側に開閉可能に設置されている。
【0053】
上記した従動側用紙ガイド板80は、用紙搬送方向の上流側に位置する第1分割ガイド板81と、用紙搬送方向の下流側に位置する第2分割ガイド板82とが用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に設定した分割線B(
図2のみ図示)に沿って2分割されており、且つ、第2分割ガイド板82側がレジストローラ対27に接近している。
【0054】
この際、以下に記載する駆動側用紙ガイド板70及び従動側用紙ガイド板80において、用紙搬送方向の上流側の端部を上流端、用紙搬送方向の下流側の端部を下流端とそれぞれ呼称して以下説明する。
【0055】
上記した第1分割ガイド板81は、この上流端側が駆動側用紙ガイド板70の上流端側に位置し、且つ、用紙幅方向の左右の側面81c,81dの上流端から左右一対の軸83L,(83R…図示せず)が用紙幅方向に沿ってそれぞれ外側に向けて横設されているので、第1分割ガイド板81は左右一対の軸83L,(83R)を中心にして回動可能になっている。
【0056】
尚、第1分割ガイド板81を回動可能に軸支する左右一対の軸83L,(83R)は、実施例の用紙搬送装置60をユニット化するために後述するように駆動側用紙ガイド板70側に支持されているが、これに限ることなく、用紙搬送装置60をユニット化しない場合には装置60内の不図示の固定部材に支持すれば良い。
【0057】
更に、
図2中において、第1分割ガイド板81の前面81aとは反対側の後面81bには、後述するボックス部81e1及び複数の補強リブ81fが形成されている。
【0058】
一方、上記した第2分割ガイド板82は、この上流端側が第1分割ガイド板81の下流端側に位置し、且つ、上流端側が第1分割ガイド板81の下流端側に用紙幅方向に沿って支持されて第1分割ガイド板81の回動に伴って一体に移動する長尺な移動軸84に回動可能に軸支されている。
【0059】
従って、従動側用紙ガイド板80は、第1,第2分割ガイド板81,82を移動軸84を介して連結した状態で駆動側用紙ガイド板70に対して開閉可能に設けられている。
【0060】
そして、第1,第2分割ガイド板81,82が閉じているときには、従動側用紙ガイド板80の用紙搬送方向の長さは駆動側用紙ガイド板70の用紙搬送方向の長さと略同じ程度に設定されて、用紙搬送ローラ対Rにより搬送される用紙Pの他方の面Pbをガイドし、一方、第1,第2分割ガイド板81,82が開いているときには、後述するようにジャム用紙を取り除くために略逆く字状に屈曲するようになっている。
【0061】
ここで、駆動側用紙ガイド板70及び従動側用紙ガイド板80について具体的に説明する。
【0062】
まず、
図4及び
図5に示す如く、駆動側用紙ガイド板70は、板金材を用いて用紙搬送方向の長さが短尺に形成され、且つ、用紙幅方向の幅寸法は長尺に形成されており、更に、前面70aが長方形状の平坦面に形成されていると共に、前面70aの上下左右が後面70b側に向かって折り曲げ形成されている。
【0063】
また、駆動側用紙ガイド板70の後面70b側で且つ用紙幅方向の左右に対称に折り曲げ形成した左右一対の側面70c,70d間には、ギアードモータMによって回転駆動する長尺な回転軸71が軸支されている。
【0064】
そして、長尺な回転軸71には、用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1が用紙幅方向の中心線を中心にして左右対称に1個ずつ固着されており、且つ、各駆動ローラR1は、駆動側用紙ガイド板70の前面70a及び後面70b間に貫通して形成した各ローラ孔70e内に後面70b側から臨んで前面70a側に僅かに突出している。
【0065】
また、駆動側用紙ガイド板70の後面70b側で且つ用紙幅方向の中心部には、ジャム用紙検出センサ72が取り付けられており、このジャム用紙検出センサ72は駆動側用紙ガイド板70の前面70a及び後面70b間に貫通して形成したセンサ孔70fに臨んでいる。
【0066】
上記したジャム用紙検出センサ72は、通紙時に用紙サイズに応じた長さを有する用紙Pが予め設定した用紙通過時間内に通過するか否かを制御部90(
図1)内のタイマ90dで計測し、用紙通過時間を越えても用紙Pがある場合に用紙ジャムが発生したと制御部90が判断するので、このときに制御部90を介して操作パネル部10(
図1)のアラーム表示部(図示せず)で用紙ジャムの発生を表示してユーザに警告している。
【0067】
また、駆動側用紙ガイド板70の前面70a上で左右の下流端近傍には、左右一対の凸部70g1,70g2が用紙幅方向の中心線を中心にして左右対称で且つ最大サイズの用紙Pの通紙に対して影響しない位置に用紙搬送方向に沿って形成されており、且つ、左右一対の凸部70g1,70g2は用紙Pを通紙できる程度の高さで前方に向かって突出形成されている。
【0068】
そして、上記した左右一対の凸部70g1,70g2には、従動側用紙ガイド板80の第2分割ガイド板82(
図2,
図6)が接離自在になっている。
【0069】
また、駆動側用紙ガイド板70の用紙幅方向の左右端側には、左右一対の係止孔70h1,70h2が用紙幅方向の中心線を中心にして左右対称で且つ最大サイズの用紙Pの通紙に対して影響しない位置に貫通して形成されており、且つ、左右一対の係止孔70h1,70h2には後述する従動側用紙ガイド板80の左右に取り付けた左右一対の係止爪86L,86R(
図5,
図6)が進退自在になっている。
【0070】
この際、左右一対の係止孔70h1,70h2内で上記した左右一対の係止爪86L,86Rが係止する上方部位には、各係止孔70h1,70h2内に生じたバリを避けるために摩擦係数の低い素材を用いて薄板状に形成した左右一対のカバー73L,73Rが駆動側用紙ガイド板70の前後の面70a,70bに跨って折り曲げた状態で取り付けられており、左右一対の係止爪86L,86Rが左右一対の係止孔70h1,70h2内から左右一対のカバー73L,73Rにスムーズに係止又は係止解除できるようになっている。
【0071】
更に、駆動側用紙ガイド板70の前面70a上で左右の上流端側には、左側のL字状ブラケット74Lと、右側のL字状ブラケット74Rとが用紙幅方向の中心線を中心にして略左右対称な位置に取り付けられており、且つ、左右のL字状ブラケット74L,74R中で互いに対向して前方に向かっており曲げ形成した折り曲げ片74a,74bに左右一対の軸孔74a1,74b1が形成されて、これらの左右一対の軸孔74a1,74b1内に従動側用紙ガイド板80(
図2)の第1分割ガイド板81に取り付けた左右一対の軸83L,(83R)が嵌合されている。
【0072】
更に、右側のL字状ブラケット74Rに形成した折り曲げ片74bの下方部位に、ストッパ片74cが左側に向かって直角に折り曲げ形成されており、このストッパ片74cは後述するよう従動側用紙ガイド板80を開いたときに、第1分割ガイド板81が駆動側用紙ガイド板70に対して略直交した状態で保持されるようになっている。
【0073】
次に、
図6に示す如く、従動側用紙ガイド板80は、前述したように、用紙搬送方向の上流側に位置する第1分割ガイド板81と、用紙搬送方向の下流側でレジストローラ対27(
図1)に接近して位置する第2分割ガイド板82とが用紙幅方向に設定した分割線B(
図2)に沿って2分割されている。
【0074】
そして、第1,第2分割ガイド板81,82が長尺な移動軸84によって連結された状態で、駆動側用紙ガイド板70(
図4)の前面70aと対向する第1,第2分割ガイド板81,82の各前面81a,82aは共に平坦面に形成されて閉じ状態のときに略同一平面となっている。
【0075】
上記した第1分割ガイド板81は、樹脂材を用いて用紙搬送方向の長さが駆動側用紙ガイド板70(
図4)よりも短尺に形成され、且つ、用紙幅方向の幅寸法は駆動側用紙ガイド板70の幅寸法よりも少し幅狭いが長尺に形成されて、直方体に一体的に成形されている。
【0076】
また、第1分割ガイド板81は、駆動側用紙ガイド板70の前面70a(
図4)と対向する前面81aが平坦面に形成されており、この前面81a側に用紙搬送ローラ対Rの従動ローラR2を回転自在に収納するための有底孔81eが用紙幅方向の中心線を中心にして左右対称に1個ずつ形成されている。
【0077】
上記に伴って、第1分割ガイド板81の後面81bは、
図2に示すように、上記した有底孔81eと対応する部位がボックス部81e1で閉じられていると共に、後面81b側は複数の補強リブ81fにより剛性を持たせて枠組みされている。
【0078】
この際、従動ローラR2は有底孔81e内に回転自在に収納した不図示のバネによって駆動ローラR1(
図4)側に付勢されている。
【0079】
図6に戻り、第1分割ガイド板81の前面81a側で左右の側面81c,(81d…図示せず)の近傍には、左右一対の凸部(81g1…図示せず),81g2が用紙幅方向の中心線を中心にして左右対称で且つ最大サイズの用紙Pの通紙に対して影響しない位置に形成されており、且つ、左右一対の凸部(81g1),81g2は用紙Pを通紙できる程度の高さで前方に向かって突出形成されている。
【0080】
そして、上記した左右一対の凸部(81g1),81g2には、駆動側用紙ガイド板70(
図4)の前面70aが接離自在になっている。
【0081】
更に、第1分割ガイド板81の左右の側面81c,(81d…図示せず)側で左右一対の凸部(81g1),81g2の後ろ側には、左右一対のストッパ(81h1),81h2が
図3(h),
図9(h)に示すように所定の角度の傾斜を持って形成されている。
【0082】
そして、従動側用紙ガイド板80の第1,第2分割ガイド板81,82を開いたときに、後述するように第2分割ガイド板82の左右の三角状の側面81c,(81d)が上記した左右一対のストッパ(81h1),81h2に当接するようになっている。
【0083】
また、第1分割ガイド板81の左右の側面81c,(81d)の上流端近傍には、前述したように、左右一対の軸83L,83Rがそれぞれ外側に向けて横設されており、これらの左右一対の軸83L,83Rは、駆動側用紙ガイド板70(
図4)に取り付けた左右のL字状ブラケット74L,74Rに回動自在に支持されている。
【0084】
尚、この実施例では、第1分割ガイド板81を樹脂材を用いて一体成形しているが、これに限ることなく、板金材を用いて前面81b側を長方形状に折り曲げ形成し、且つ、裏面81b側に樹脂材を用いて形成した従動ローラ収納用のボックス部(図示せず)を取り付けても良い。
【0085】
一方、上記した第2分割ガイド板82は、用紙搬送方向の長さが第1分割ガイド板81よりも短尺に形成され、且つ、用紙幅方向の幅寸法は第1分割ガイド板81の幅寸法と略同じ程度に長尺に形成されて、軽量なフラッパとして成形されている。従って、第2分割ガイド板82を軽量化するために、この第2分割ガイド板82には従動ローラR2が設けられていない。
【0086】
また、第2分割ガイド板82は、駆動側用紙ガイド板70の前面70a(
図4)と対向する前面82aが平坦面に形成されており、この前面82aの下流端側が後面82b側に向かって僅かに折り曲げ形成され、且つ、前面82aの左右端に左右の側面82c,82dが三角形状に折り曲げ形成されている。
【0087】
また、第1,第2分割ガイド板81,82を連結する長尺な移動軸84は、第1,第2分割ガイド板81,82の各左側面81c,82cの外側では長く延出され、一方、第1,第2分割ガイド板81,82の各右側面(81d),82dの外側では短く延出されている。
【0088】
また、第2分割ガイド板82の右側面82dの外側に延出された移動軸84には、
図3(h),
図7(a)〜(c),
図9(h)にも示す如く、用紙Pの腰の強さに応じて変位可能なネジリバネ85が嵌め込まれており、このネジリバネ85の一端及び他端は第1,第2分割ガイド板81,82に掛止されて、第2分割ガイド板82を閉じ方向に付勢している。この際、上記したネジリバネ85のバネ定数は、用紙Pの腰の強さに応じてレジストローラ対27(
図1)に対して良好な撓みLを形成できる値に実験により予め設定されている。
【0089】
また、第2分割ガイド板82の左側面82cの外側に延出された移動軸84上と、第2分割ガイド板82の右側面82dに延出された移動軸84上でネジリバネ85よりも外側とに、左右一対の係止爪86L,86Rが各係止部86aを上方に向けて位相を合わせて取り付けられており、これらの左右一対の係止爪86L,86Rは駆動側用紙ガイド板70に形成した左右一対の係止孔70h1,70h2(
図4)内に進退可能になっている。
【0090】
更に、また、第2分割ガイド板82の左側面82cの外側に延出された移動軸84上で左側の係止爪86Lよりも外側に係止/係止解除レバー87が取り付けられており、この係止/係止解除レバー87はユーザの人手で操作することにより左右一対の係止爪86L,86Rの駆動側用紙ガイド板70(
図2,
図4)への係止又は係止解除ができるようになっている。
【0091】
ここで、上記のように構成した実施例の用紙搬送装置60の使用形態について、先に示した
図2及び
図6と、新たな
図7〜
図9を用いて説明する。
【0092】
図7(a)〜(c)は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、第1〜第3使用形態を右側面側から見て模式的に示している。また、
図8は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して開閉可能な従動ローラ側用紙搬送ガイド板が開いた状態を斜視的に示している。また、
図9(a)〜(h)は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して従動ローラ側用紙搬送ガイド板が開いた状態をそれぞれ平面的に示している。
【0093】
図7(a)〜(c)に示す如く、本発明の実施例に係る用紙搬送装置60では、3通りの使用形態(第1〜第3の使用形態)がある。
【0094】
まず、
図2及び
図7(a)に示す如く、第1の使用形態は、実施例1の用紙搬送装置60が初期状態に至っている初期時、又は、実施例1の用紙搬送装置60内で腰の弱い薄紙などの用紙Pを搬送するときの通紙時に対応している。
【0095】
この第1の使用形態では、駆動側用紙ガイド板70に対して、従動側用紙ガイド板80の第1,第2分割ガイド板81,82が共に閉じて、駆動側用紙ガイド板70と従動側用紙ガイド板80とが互いに対向して略平行な姿勢を維持している。
【0096】
そして、第1,第2分割ガイド板81,82を連結する長尺な移動軸84の左右に取り付けた左右一対の係止爪86L,86Rが、駆動側用紙ガイド板70に形成した左右一対の係止孔70h1,70h2内に進入して係止されているので、従動側用紙ガイド板80は駆動側用紙ガイド板70に係止されている。
【0097】
また、駆動側用紙ガイド板70の前面70aと、第1,第2分割ガイド板81,82の各前面81a,82aとが、駆動側用紙ガイド板70に形成した左右一対の凸部70g1,70g2(
図4)及び第1分割ガイド板81に形成した左右一対の凸部(81g1),81g2(
図6)により用紙Pを通紙できる程度の間隔を隔てて対向していると共に、軽量化された第2分割ガイド板82は移動軸84の右端側に嵌め込んだネジリバネ85の付勢力により閉じ方向に付勢されている。この際、ネジリバネ85は、前述したように、用紙Pの腰の強さに応じて変位可能である。
【0098】
この時に、駆動側用紙ガイド板70と、従動側用紙ガイド板80との間に腰の弱い薄紙などの用紙Pが搬送されても、ネジリバネ85の付勢力は腰の弱い用紙Pに対して打ち勝つので、第2分割ガイド板82がネジリバネ85の付勢力により閉じており、この状態で腰の弱い用紙Pの搬送方向の先端部が停止中のレジストローラ対27に突き当たった時に撓みLを良好に形成することができる。
【0099】
次に、
図7(b)に示す如く、第2の使用形態は、実施例1の用紙搬送装置60内で腰の強い厚紙などの用紙Pを搬送するときの通紙時に対応している。
【0100】
この第2の使用形態でも、第1の使用形態と同様に、駆動側用紙ガイド板70に対して、従動側用紙ガイド板80の第1,第2分割ガイド板81,82が共に閉じられているが、第1の使用形態とは異なって、用紙Pの腰の強さに応じて変位可能なネジリバネ85によって閉じ方向に付勢されている第2分割ガイド板82が軽く形成されているので、用紙Pの腰の強さによってネジリバネ85の付勢力に抗して移動軸84を中心にして閉じ方向とは反対方向に回動する。
【0101】
この際、第2分割ガイド板82が第1の使用形態のように駆動側用紙ガイド板70と略平行に閉じたままであると、腰の強い厚紙などの用紙Pの搬送方向の先端部は回転停止中のレジストローラ対27に突き当たったときに良好な撓みLができにくいが、この第2の使用形態では、用紙Pの腰の強さに応じて第2分割ガイド板82のみが撓みLを形成できる方向に逃げるので、腰の強い用紙Pの先端部が停止中のレジストローラ対27に突き当たったときに撓みLを良好に形成できる。
【0102】
次に、
図7(c)〜
図9に示す如く、第3の使用形態は、実施例1の用紙搬送装置60内で発生したジャム用紙PJを取り除くジャム用紙除去時に対応している。
【0103】
この第3の使用形態では、実施例1の用紙搬送装置60内の駆動側用紙ガイド板70に取り付けたジャム用紙検出センサ72(
図4)でジャム用紙PJが生じたことを検出したときに、ユーザが
図6に示した係止/係止解除レバー87を移動軸84を中心にして係止解除方向に回転すると、移動軸84に取り付けた左右一対の係止爪86L,86Rが駆動側用紙ガイド板70に形成した左右一対の係止孔70h1,70h2内から退出して従動側用紙ガイド板80の駆動側用紙ガイド板70への係止が解除される。
【0104】
これにより、駆動側用紙ガイド板70に対して、従動側用紙ガイド板80の第1,第2分割ガイド板81,82が共に開いて、第1,第2分割ガイド板81,82は人手が挿入できるように駆動側用紙ガイド板70から離間する方向に略逆く字状に屈曲した姿勢を維持している。
【0105】
この際、第1分割ガイド板81は、自分自身の重量によって、左右の側面81c,81dに取り付けた左右一対の軸83L,83Rが、駆動側用紙ガイド板70に取り付けた左右のL字状ブラケット74L,74Rに形成した左右一対の軸孔74a1,74b1(
図4)を中心にして開き方向に回動する。
【0106】
そして、第1分割ガイド板81の開き方向への回動により、この第1分割ガイド板81の後面81bが右側のL字状ブラケット74Rの下方部位に形成したストッパ片74cに当接するので、このストッパ片74cによって第1分割ガイド板81が駆動側用紙ガイド板70に対して略直交した状態で保持される。
【0107】
更に、第2分割ガイド板82は、移動軸84の右端側に嵌め込んだネジリバネ85の付勢力によって移動軸84を中心にして閉じ方向に回動するも、第2分割ガイド板82の左右の三角状の側面(82c),82dが第1分割ガイド板81の左右の側面(81c),81dの各外側に形成した左右一対のストッパ(81h1),81h2に当接するので、この当接した状態で回動が規制されて、これらの左右一対のストッパ(81h1),81h2によって第2分割ガイド板82は駆動側用紙ガイド板70の前面70aに対して略120°程度傾いた姿勢で保持される。
【0108】
この際、実施例の用紙搬送装置60内で発生したジャム用紙PJを除去するにあたって、用紙搬送装置60の右方には昇降可能なベルトプラテン部30(
図1)が設置されているので、従動側用紙ガイド板80が分割されずに直線状に開いた場合に、従動側用紙ガイド板80が昇降可能なベルトプラテン部30に衝突してしまうが、この第3の使用形態では従動側用紙ガイド板80の第1,第2分割ガイド板81,82が略逆く字状に屈曲することにより昇降可能なベルトプラテン部30に衝突することなく開くことができるために、ジャム用紙PJを用紙搬送装置60の外側に安心して取り除くことができる。