特許第6262973号(P6262973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262973
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】用紙搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20180104BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B65H5/06 D
   B65H5/06 P
   B65H5/06 F
   G03G15/00 480
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-195193(P2013-195193)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-59036(P2015-59036A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】石川 貢規
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−102348(JP,A)
【文献】 特開平06−191686(JP,A)
【文献】 特開2011−154229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 9/00−9/20
B65H 13/00−15/02
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を用紙搬送路に沿って搬送する用紙搬送装置において、
前記用紙搬送路中に回転/停止可能に設置され、停止中に前記用紙の搬送方向の先端部を突き当てて撓みを形成することで前記用紙の斜行を補正し、斜行補正後に回転するレジストローラ対と、
前記レジストローラ対よりも用紙搬送方向の上流側の用紙搬送路に沿って駆動ローラと従動ローラとを対にして設置され、両ローラ間で前記用紙を前記レジストローラ対に向けて挟持搬送する用紙搬送ローラ対と、
前記レジストローラ対よりも上流側の前記駆動ローラ側に設置された駆動ローラ側用紙搬送ガイド板と、
前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板と対向して前記従動ローラ側に設置されており、前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板の上流側に位置し且つ上流端側が用紙搬送方向と直交した軸に回動可能に軸支された第1分割ガイド板と、
前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板の下流側に位置し且つ前記第1分割ガイド板の下流端側に前記軸と平行に設けられて該第1分割ガイド板の回動に伴って一体に移動する移動軸に回動可能に軸支された第2分割ガイド板と、
が用紙幅方向に設定した分割線に沿って2分割され、前記第1分割ガイド板と第2分割ガイド板が前記移動軸を介して連結された状態で前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して開閉可能な従動ローラ側用紙搬送ガイド板と、
前記従動ローラ側用紙搬送ガイド板の前記第2分割ガイド板を閉じ方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記従動ローラ側用紙搬送ガイド板は、前記第1分割ガイド板及び第2分割ガイド板が閉じ状態のときに、前記用紙の搬送をガイドするも、前記第2分割ガイド板が前記付勢部材の付勢力に応じて前記レジストローラ対で前記撓みを形成させるべく前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板から離れる方向に前記移動軸を中心に回動し、一方、前記第1分割ガイド板及び第2分割ガイド板が前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板から離間する方向に開いたときに、前記第1分割ガイド板と第2分割ガイド板とは略逆く字状に屈曲した姿勢を維持することを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記第1分割ガイド板及び第2分割ガイド板が前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板から離間する方向に開いたときに、前記1分割ガイド板は前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して略直交した状態で、前記2分割ガイド板は前記1分割ガイド板に略直交した状態でそれぞれ保持されることを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を用紙搬送路に沿って搬送する用紙搬送装置に係り、用紙搬送路中に回転/停止可能に設けられて用紙の斜行を補正するレジストローラ対よりも用紙搬送方向の上流側に用紙搬送ガイド板を設置した用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、用紙を用紙搬送路に沿って搬送する用紙搬送装置は、用紙に画像や文字を印刷する印刷装置や、用紙に画像や文字を複写する複写機などの画像形成装置に適用されている。
【0003】
この種の用紙搬送装置において、用紙を用紙搬送路に沿って搬送する際に、用紙搬送路中で用紙ジャムが発生する場合があり、この場合に用紙搬送路中からジャム用紙を除去できる画像形成装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記した特許文献1に開示された画像形成装置における給紙装置では、ここでの図示を省略するものの、2枚の案内板の間を通過する用紙がジャムしたときに、一方の案内板を枢支軸を中心にして、対峙する固定案内板から離反回動させることにより、ジャム用紙を除去できる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−301487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の画像形成装置における給紙装置では、固定案内板と対峙する案内板をこの固定案内板から離反回動させているが、ジャム用紙の除去時に可動側の案内板を人手が挿入できる程度に大きく回動させた場合に、可動側の案内板が周囲の部品に接触して周囲の部品を破損させてしまう危険性が生じるので問題である。
【0007】
更に、一般的な画像形成装置内の用紙搬送路中には、用紙の斜行を補正するレジストローラ対が回転/停止可能に設置されており、このレジストローラ対は、停止中に用紙の搬送方向の先端部を突き当てて撓みを形成することで用紙の斜行を補正し、斜行補正後に回転して用紙を下流側に搬送する機能を有している。
【0008】
そこで、ジャム用紙を除去可能な用紙搬送装置をレジストローラ対よりも用紙搬送方向の上流側に設置するにあたって、レジストローラ対よりも用紙搬送方向の上流側の用紙搬送路中で用紙ジャムが生じた場合に、固定側の用紙搬送ガイド板に対して可動側の用紙搬送ガイド板を回動させたときに、ジャム用紙を除去するために人手を挿入できるスペースを十分確保でき、且つ、用紙搬送ガイド板の回動時に周囲の部品に対して悪影響を及ぼさず、更に、レジストローラ対に対して良好な撓みを形成することができる用紙搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、用紙を用紙搬送路に沿って搬送する用紙搬送装置において、
前記用紙搬送路中に回転/停止可能に設置され、停止中に前記用紙の搬送方向の先端部を突き当てて撓みを形成することで前記用紙の斜行を補正し、斜行補正後に回転するレジストローラ対と、
前記レジストローラ対よりも用紙搬送方向の上流側の用紙搬送路に沿って駆動ローラと従動ローラとを対にして設置され、両ローラ間で前記用紙を前記レジストローラ対に向けて挟持搬送する用紙搬送ローラ対と、
前記レジストローラ対よりも上流側の前記駆動ローラ側に設置された駆動ローラ側用紙搬送ガイド板と、
前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板と対向して前記従動ローラ側に設置されており、前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板の上流側に位置し且つ上流端側が用紙搬送方向と直交した軸に回動可能に軸支された第1分割ガイド板と、
前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板の下流側に位置し且つ前記第1分割ガイド板の下流端側に前記軸と平行に設けられて該第1分割ガイド板の回動に伴って一体に移動する移動軸に回動可能に軸支された第2分割ガイド板と、
が用紙幅方向に設定した分割線に沿って2分割され、前記第1分割ガイド板と第2分割ガイド板が前記移動軸を介して連結された状態で前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して開閉可能な従動ローラ側用紙搬送ガイド板と、
前記従動ローラ側用紙搬送ガイド板の前記第2分割ガイド板を閉じ方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記従動ローラ側用紙搬送ガイド板は、前記第1分割ガイド板及び第2分割ガイド板が閉じ状態のときに、前記用紙の搬送をガイドするも、前記第2分割ガイド板が前記付勢部材の付勢力に応じて前記レジストローラ対で前記撓みを形成させるべく前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板から離れる方向に前記移動軸を中心に回動し、一方、前記第1分割ガイド板及び第2分割ガイド板が前記駆動ローラ側用紙搬送ガイド板から離間する方向に開いたときに、前記第1分割ガイド板と第2分割ガイド板とは略逆く字状に屈曲した姿勢を維持することを特徴とする用紙搬送装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の用紙搬送装置によれば、駆動ローラ側に設置された駆動ローラ側用紙搬送ガイド板と、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板と対向して従動ローラ側に設置されており、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板の上流側に位置し且つ上流端側が用紙搬送方向と直交した軸に回動可能に軸支された第1分割ガイド板と、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板の下流側に位置し且つ第1分割ガイド板の下流端側に軸と平行に設けられた移動軸に回動可能に軸支された第2分割ガイド板とが用紙搬送方向に設定した分割線に沿って2分割され、第1,第2分割ガイド板が移動軸を介して連結された状態で駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して開閉可能な従動ローラ側用紙搬送ガイド板と、従動ローラ側用紙搬送ガイド板の第2分割ガイドを閉じ方向に付勢する付勢部材と、を備え、従動ローラ側用紙搬送ガイド板は、第1,第2分割ガイド板が閉じ状態のときに、用紙の搬送をガイドするも、第2分割ガイド板が付勢部材の付勢力に応じてレジストローラ対で撓みを形成できる方向に移動軸を中心に回動し、一方、第1,第2分割ガイド板を開いたときに、第1,第2分割ガイド板が駆動ローラ側用紙搬送ガイド板から離間する方向に略逆く字状に屈曲している。
【0011】
この結果、従動ローラ側用紙搬送ガイド板の第1,第2分割ガイド板が閉じていて、例えば、腰の強い用紙が通紙されたときに、腰の強い用紙に対して第2分割ガイド板が付勢部材の付勢力に抗してレジストローラ対で撓みを形成できる方向に移動軸を中心に回動するので、腰の強い用紙の先端部が停止中のレジストローラ対に突き当たったときに撓みを良好に形成できる。
【0012】
一方、従動ローラ側用紙搬送ガイド板の第1,第2分割ガイド板を開いたときに、第1,第2分割ガイド板が駆動ローラ側用紙搬送ガイド板から離間する方向に略逆く字状に屈曲するので、第1,第2分割ガイド板を周囲の構成部材に衝突することなく開くことができるために、ジャム用紙を用紙搬送装置の外側に安心して取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係る用紙搬送装置を適用したインクジェット印刷装置の全体構成を示した構成図である。
図2】本発明の実施例に係る用紙搬送装置を示した斜視図であり、且つ、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して開閉可能な従動ローラ側用紙搬送ガイド板が閉じた状態を示した図である。
図3】(a)〜(h)は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して従動ローラ側用紙搬送ガイド板が閉じた状態をそれぞれ平面的に示した図である。
図4図2及び図3に示した駆動ローラ側用紙搬送ガイド板を前面側から見て示した斜視図である。
図5図2及び図3に示した駆動ローラ側用紙搬送ガイド板を後面側から見て示した斜視図である。
図6図2及び図3に示した従動ローラ側用紙搬送ガイド板を前面側から見て示した斜視図である。
図7】(a)〜(c)は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、第1〜第3使用形態を右側面側から見て模式的に示した図である。
図8】本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して開閉可能な従動ローラ側用紙搬送ガイド板が開いた状態を示した斜視図である。
図9】(a)〜(h)は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して従動ローラ側用紙搬送ガイド板が開いた状態をそれぞれ平面的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明に係る用紙搬送装置を実施する形態につき、図1図9を参照して詳細に説明する。
【0015】
本発明に係る用紙搬送装置は、用紙に画像や文字を印刷する印刷装置や、用紙に画像や文字を複写する複写機などの画像形成装置に適用されている。
【0016】
また、本発明に係る用紙搬送装置は、画像形成装置内の用紙搬送路中に回転/停止可能に設けられて用紙の斜行を補正するレジストローラ対よりも用紙搬送方向の上流側に設置されている。
【0017】
また、本発明に係る用紙搬送装置では、用紙搬送路に沿って駆動ローラ側に位置する用紙搬送ガイド板(駆動ローラ側の用紙搬送ガイド板)と、従動ローラ側に位置する用紙搬送ガイド板(従動ローラ側の用紙搬送ガイド板)とを互いに対向して設け、且つ、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板を固定設置する一方、従動ローラ側用紙搬送ガイド板は用紙搬送方向の上流側に位置する第1分割ガイド板と下流側に位置する第2分割ガイド板とが用紙幅方向に設定した分割線に沿って2分割された上で、第1,第2分割ガイド板が駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して開閉可能に設けられている。
【0018】
そして、従動ローラ側用紙搬送ガイド板の第1,第2分割ガイド板を開いたときに、第1,第2分割ガイド板が駆動ローラ側用紙搬送ガイド板から離間する方向に略逆く字状に屈曲することで、ジャム用紙を容易に取り除くことができ、一方、従動ローラ側用紙搬送ガイド板の第1,第2分割ガイド板を閉じたときに、例えば、腰の強い用紙の搬送方向の先端部が停止中のレジストローラ対に突き当たっても撓みを良好に形成できるように構成されている。
【0019】
ここで、本発明の実施例に係る用紙搬送装置を説明する前に、この実施例の用紙搬送装置を適用した画像形成装置の一例としてインクジェット印刷装置について、図1を用いて説明する。
【0020】
図1は本発明の実施例に係る用紙搬送装置を適用したインクジェット印刷装置を示している。
【0021】
図1に示す如く、インクジェット印刷装置1は、用紙P上にインクジェット方式により片面印刷又は両面印刷可能になっており、このインクジェット印刷装置全体を操作する操作パネル部10と、用紙Pを1枚ずつ給紙する給紙部20と、給紙部20よりも用紙搬送方向の下流側に設置したベルトプラテン部30と、ベルトプラテン部30と対向して複数色のインクIKを吐出する複数のライン型インクジェットヘッド41が設置された印刷部40と、印刷部40で印刷された印刷済みの用紙Pを排紙する排紙部50と、両面印刷するための循環用搬送路JRと、後述するレジストローラ対27よりも用紙搬送方向の上流側で循環用搬送路JRの第2縦搬送路JR4に沿って設置された実施例の用紙搬送装置60と、インクジェット印刷装置全体を制御する制御部90とで構成されている。
【0022】
また、インクジェット印刷装置1内で用紙Pを一定の速度で搬送する用紙搬送路は、給紙部20からベルトプラテン部30及び印刷部40に向かう給紙用搬送路KRと、ベルトプラテン部30及び印刷部40に沿った印刷用搬送路IRと、ベルトプラテン部30及び印刷部40から排紙部50に向かう排紙用搬送路HRと、給紙部20と排紙部50との間に設置され且つ用紙Pへの両面印刷を行うために片面印刷済みの用紙Pをベルトプラテン部30の下方に沿わせて搬送した後にレジストローラ対27を経て再び印刷用搬送路IRに向けて循環させる循環用搬送路JRとからなっている。
【0023】
この際、上記した循環用搬送路JRは、片面印刷済みの用紙Pをベルトプラテン部30側の下方に向かって搬送させる第1縦搬送路JR1と、片面印刷済みの用紙Pをスイッチバックしてこの用紙Pの先頭を先端部から後端部に変更するように搬送するスイッチバック搬送路JR2と、スイッチバックした片面印刷済みの用紙Pの表裏を反転させてベルトプラテン部30の下方に沿いながら用紙搬送方向の上流側に向かって略水平に搬送させる水平搬送路JR3と、水平搬送路JR3から送られて表裏が反転した片面印刷済みの用紙Pを上方に向けながら後述するレジストローラ対27まで搬送する第2縦搬送路JR4とがこの順に連接されている。
【0024】
また、用紙搬送路には、用紙Pを一定の速度で搬送する用紙搬送ローラ対Rが、用紙サイズが異なる複数種の用紙Pのうちで最小サイズの用紙を搬送できるように間隔を隔てて複数設置されている。この際、各用紙搬送ローラ対Rは、駆動源となるギアードモータMと連結されて回転する駆動ローラR1と、この駆動ローラR1に圧接して従動する従動ローラR2とで対をなしている。
【0025】
また、用紙搬送路には、用紙Pの通過を検出する複数の用紙センサSが適宜な位置に設置されており、複数の用紙センサSは光反射型センサ又は光透過センサを用いて一定の速度で搬送される用紙Pがそれぞれのセンサ位置で予め設定した時間に到達しない場合に用紙ジャムが生じたことを制御部90により検出できるようになっている。
【0026】
更に、排紙用搬送路HRと循環用搬送路JR中の第1縦搬送路JR1との間、及び、循環用搬送路JR中の第1縦搬送路JR1とスイッチバック搬送路JR2との間には、用紙Pの搬送方向を切り替えるためのフリッパFがそれぞれ回動自在に設置されている。
【0027】
ここで、インクジェット印刷装置1の各部について順を追って具体的に説明すると、このインクジェット印刷装置1の外観を形成する筐体2は箱状に形成されている。
【0028】
まず、上記した操作パネル部10は、筐体2の上面2aに設置されており、ここでの詳細な図示を省略するが、片面/両面印刷選択キー、スタートキー、ストップキー、テンキー、印刷枚数設定キー、アラーム表示部、液晶パネルなどが設けられている。
【0029】
次に、上記した給紙部20は、給紙台21が第1ギアードモータ22により筐体2の左側板2bの外側に沿って上下動可能に設置されている。
【0030】
また、給紙台21上には、最小サイズ(例えば、葉書サイズ)から最大サイズ(例えば、A3サイズ)までの複数種の用紙Pのうちで1種類の用紙Pが積載されており、1種類の用紙Pの用紙サイズは給紙台21内で不図示の用紙サイズ検出手段により自動的に検出されている。
【0031】
そして、給紙台21が上動して、給紙台21上に積載した未印刷の用紙Pのうちで最上層の用紙Pが給紙位置に至ったときに、この最上層の用紙Pに給紙ローラ23が回転しながら圧接してこの用紙Pを給紙している。
【0032】
この後、給紙された用紙Pは、給紙ローラ23よりも下流に設けた捌きローラ24と、捌き板25との間で挟持搬送される際に1枚ずつに分離される。
【0033】
この際、給紙ローラ23及び捌きローラ24は、同一の駆動源となる第2ギアードモータ26によりそれぞれ時計方向に回転駆動されている。
【0034】
更に、給紙された用紙Pの搬送方向の下流側には、この用紙Pの斜行を補正するレジストローラ対27が回転/停止可能に設置されている。ここで、給紙された用紙Pの搬送方向の先端部は、回転停止中のレジストローラ対27に突き当たって点線で示した撓み(ループ)Lが形成されて、この撓み(ループ)Lにより用紙Pの先端位置がレジストローラ対27に対して揃うようになる。
【0035】
その後、レジストローラ対27が回転を開始することにより、このレジストローラ対27で用紙Pの斜行が補正され且つ用紙Pの搬送タイミングが調整されながらこの用紙Pがベルトプラテン部30及び印刷部40に向けて搬送されるようになっている。
【0036】
そして、上記した給紙ローラ23と、捌きローラ24と、捌き板25とが給紙台21上に積層された用紙Pを1枚ずつ給紙する1次給紙手段となり、一方、上記したレジストローラ対27が1次給紙手段で給紙した用紙Pに対して斜行を補正し且つ搬送タイミングを調整してこの用紙Pを下流に向けて搬送する2次給紙手段となっている。
【0037】
次に、上記したベルトプラテン部30は、昇降機構部31によって昇降可能な枠32内に複数のエアー吸引孔(図示せず)を有して帯状に形成されたベルトプラテン33が第3ギアードモータ34により一定の搬送速度で回転駆動される駆動プーリ35と従動プーリ36との間に中間プーリ37を介してエンドレスに掛け渡されており、ベルトプラテン33上に搬送された用紙Pをエアー吸引部38で吸引搭載しながら矢印方向に搬送している。
【0038】
尚、昇降機構部31によって枠32ごと昇降させる理由は、後述する印刷部40内に設けた複数のライン型インクジェットヘッド41をクリーニングするための不図示のヘッドクリーニング機構をヘッド41の下方に進退させるためである。
【0039】
次に、上記した印刷部40は、筐体2内の略中央部位に位置してベルトプラテン部30の上方に設けられており、用紙Pへの印刷時にはベルトプラテン部30と僅かに間隔を離して対向している。
【0040】
この印刷部40では、複数色のインクIKと対応して複数のライン型インクジェットヘッド41が用紙Pの搬送方向の上流側から下流側に向かってC(シアン)用,K(ブラック)用,M(マゼンタ)用,Y(イエロー)用の順に固定設置されている。
【0041】
尚、ここでは、用紙P上にカラー印刷するために4色(CKMY)のインクIKに対応して4つのライン型インクジェットヘッド41を設置した例を図示しているが、例えば文字だけを印刷する場合には1色(K)用だけで良いので、ライン型インクジェットヘッド41は少なくとも一つ以上設置すれば良いものである。
【0042】
そして、用紙Pをエアー吸引によりベルトプラテン33上に固定した状態でベルトプラテン33の回転より用紙Pを矢印方向に搬送しながら複数のライン型インクジェットヘッド41により用紙P上にカラー画像を印刷している。
【0043】
この際、用紙P上にカラー画像を片面印刷する場合には、用紙Pに対して印刷用搬送路IRを1回通して下記する排紙部50に排紙している。一方、用紙P上にカラー画像を両面印刷する場合には、循環用搬送路JRを介して印刷用搬送路IRを計2回通して下記する排紙部50に排紙している。
【0044】
次に、上記した排紙部50は、ベルトプラテン部30及び印刷部40よりも下流で筐体2の右側板2c側に設けられている。この排紙部50では片面印刷済み又は両面印刷済みの用紙Pを排紙ローラ対51を介して排紙台52上に排紙している。
【0045】
次に、インクジェット印刷装置全体を制御する制御部90は、筐体2内の適宜な位置に設置されている。この制御部90は、演算処理や判断処理するCPU90aと、インクジェット印刷装置1の動作プログラムなどを格納したROM90bと、インクジェット印刷装置1内で変更可能な各種の情報などを一時的に記憶するRAM90cと、用紙Pが各用紙センサSを通過する時間を計測するタイマ90dとを内部に有している。
【実施例】
【0046】
ここで、本発明の実施例に係る用紙搬送装置60の構成について、先に示した図1と、新たな図2図6とを用いて説明する。
【0047】
図2は本発明の実施例に係る用紙搬送装置を斜視的に示しており、且つ、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して開閉可能な従動ローラ側用紙搬送ガイド板が閉じた状態を示している。また、図3(a)〜(h)は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して従動ローラ側用紙搬送ガイド板が閉じた状態をそれぞれ平面的に示している。また、図4図5は駆動ローラ側用紙搬送ガイド板を前面側,後面側からそれぞれ見て斜視的に示している。また、図6は従動ローラ側用紙搬送ガイド板を前面側から見て斜視的に示している。
【0048】
図1に示す如く、本発明の実施例に係る用紙搬送装置60は、インクジェット印刷装置1内の用紙搬送路に沿って回転/停止可能に設けられたレジストローラ対27よりも用紙搬送方向の上流側で、例えば、循環用搬送路JR中の第2縦搬送路JR4に沿ってユニット化して設置されているが、これに限らず、レジストローラ対27よりも用紙搬送方向の上流側の給紙用搬送路KRに沿って設置することも可能である。
【0049】
そして、循環用搬送路JR中の第2縦搬送路JR4には、前述したように、駆動源となるギアードモータMに連結されて回転駆動する駆動ローラR1と、この駆動ローラR1に圧接して従動する従動ローラR2とを対にした用紙搬送ローラ対Rが設置されており、用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1と従動ローラR2とで用紙Pをニップしながらレジストローラ対27に向けて搬送するようになっている。
【0050】
ここで、図1図3に示す如く、実施例の用紙搬送装置60では、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板(以下、簡略化して、駆動側用紙ガイド板と呼称する)70が、循環用搬送路JR中の第2縦搬送路JR4に沿いながら用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1側に不図示の固定部材を介して固定設置されている。
【0051】
そして、駆動側用紙ガイド板70は、用紙搬送ローラ対Rにより搬送される用紙Pの一方の面Paをガイドするようになっている。
【0052】
一方、従動ローラ側用紙搬送ガイド板(以下、簡略化して、従動側用紙ガイド板と呼称する)80は、初期時又は用紙Pの搬送時に用紙Pを通紙できる程度の間隔を隔てて駆動側用紙ガイド板70と対向しており、且つ、循環用搬送路JR中の第2縦搬送路JR4に沿いながら用紙搬送ローラ対Rの従動ローラR2側に開閉可能に設置されている。
【0053】
上記した従動側用紙ガイド板80は、用紙搬送方向の上流側に位置する第1分割ガイド板81と、用紙搬送方向の下流側に位置する第2分割ガイド板82とが用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に設定した分割線B(図2のみ図示)に沿って2分割されており、且つ、第2分割ガイド板82側がレジストローラ対27に接近している。
【0054】
この際、以下に記載する駆動側用紙ガイド板70及び従動側用紙ガイド板80において、用紙搬送方向の上流側の端部を上流端、用紙搬送方向の下流側の端部を下流端とそれぞれ呼称して以下説明する。
【0055】
上記した第1分割ガイド板81は、この上流端側が駆動側用紙ガイド板70の上流端側に位置し、且つ、用紙幅方向の左右の側面81c,81dの上流端から左右一対の軸83L,(83R…図示せず)が用紙幅方向に沿ってそれぞれ外側に向けて横設されているので、第1分割ガイド板81は左右一対の軸83L,(83R)を中心にして回動可能になっている。
【0056】
尚、第1分割ガイド板81を回動可能に軸支する左右一対の軸83L,(83R)は、実施例の用紙搬送装置60をユニット化するために後述するように駆動側用紙ガイド板70側に支持されているが、これに限ることなく、用紙搬送装置60をユニット化しない場合には装置60内の不図示の固定部材に支持すれば良い。
【0057】
更に、図2中において、第1分割ガイド板81の前面81aとは反対側の後面81bには、後述するボックス部81e1及び複数の補強リブ81fが形成されている。
【0058】
一方、上記した第2分割ガイド板82は、この上流端側が第1分割ガイド板81の下流端側に位置し、且つ、上流端側が第1分割ガイド板81の下流端側に用紙幅方向に沿って支持されて第1分割ガイド板81の回動に伴って一体に移動する長尺な移動軸84に回動可能に軸支されている。
【0059】
従って、従動側用紙ガイド板80は、第1,第2分割ガイド板81,82を移動軸84を介して連結した状態で駆動側用紙ガイド板70に対して開閉可能に設けられている。
【0060】
そして、第1,第2分割ガイド板81,82が閉じているときには、従動側用紙ガイド板80の用紙搬送方向の長さは駆動側用紙ガイド板70の用紙搬送方向の長さと略同じ程度に設定されて、用紙搬送ローラ対Rにより搬送される用紙Pの他方の面Pbをガイドし、一方、第1,第2分割ガイド板81,82が開いているときには、後述するようにジャム用紙を取り除くために略逆く字状に屈曲するようになっている。
【0061】
ここで、駆動側用紙ガイド板70及び従動側用紙ガイド板80について具体的に説明する。
【0062】
まず、図4及び図5に示す如く、駆動側用紙ガイド板70は、板金材を用いて用紙搬送方向の長さが短尺に形成され、且つ、用紙幅方向の幅寸法は長尺に形成されており、更に、前面70aが長方形状の平坦面に形成されていると共に、前面70aの上下左右が後面70b側に向かって折り曲げ形成されている。
【0063】
また、駆動側用紙ガイド板70の後面70b側で且つ用紙幅方向の左右に対称に折り曲げ形成した左右一対の側面70c,70d間には、ギアードモータMによって回転駆動する長尺な回転軸71が軸支されている。
【0064】
そして、長尺な回転軸71には、用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1が用紙幅方向の中心線を中心にして左右対称に1個ずつ固着されており、且つ、各駆動ローラR1は、駆動側用紙ガイド板70の前面70a及び後面70b間に貫通して形成した各ローラ孔70e内に後面70b側から臨んで前面70a側に僅かに突出している。
【0065】
また、駆動側用紙ガイド板70の後面70b側で且つ用紙幅方向の中心部には、ジャム用紙検出センサ72が取り付けられており、このジャム用紙検出センサ72は駆動側用紙ガイド板70の前面70a及び後面70b間に貫通して形成したセンサ孔70fに臨んでいる。
【0066】
上記したジャム用紙検出センサ72は、通紙時に用紙サイズに応じた長さを有する用紙Pが予め設定した用紙通過時間内に通過するか否かを制御部90(図1)内のタイマ90dで計測し、用紙通過時間を越えても用紙Pがある場合に用紙ジャムが発生したと制御部90が判断するので、このときに制御部90を介して操作パネル部10(図1)のアラーム表示部(図示せず)で用紙ジャムの発生を表示してユーザに警告している。
【0067】
また、駆動側用紙ガイド板70の前面70a上で左右の下流端近傍には、左右一対の凸部70g1,70g2が用紙幅方向の中心線を中心にして左右対称で且つ最大サイズの用紙Pの通紙に対して影響しない位置に用紙搬送方向に沿って形成されており、且つ、左右一対の凸部70g1,70g2は用紙Pを通紙できる程度の高さで前方に向かって突出形成されている。
【0068】
そして、上記した左右一対の凸部70g1,70g2には、従動側用紙ガイド板80の第2分割ガイド板82(図2図6)が接離自在になっている。
【0069】
また、駆動側用紙ガイド板70の用紙幅方向の左右端側には、左右一対の係止孔70h1,70h2が用紙幅方向の中心線を中心にして左右対称で且つ最大サイズの用紙Pの通紙に対して影響しない位置に貫通して形成されており、且つ、左右一対の係止孔70h1,70h2には後述する従動側用紙ガイド板80の左右に取り付けた左右一対の係止爪86L,86R(図5図6)が進退自在になっている。
【0070】
この際、左右一対の係止孔70h1,70h2内で上記した左右一対の係止爪86L,86Rが係止する上方部位には、各係止孔70h1,70h2内に生じたバリを避けるために摩擦係数の低い素材を用いて薄板状に形成した左右一対のカバー73L,73Rが駆動側用紙ガイド板70の前後の面70a,70bに跨って折り曲げた状態で取り付けられており、左右一対の係止爪86L,86Rが左右一対の係止孔70h1,70h2内から左右一対のカバー73L,73Rにスムーズに係止又は係止解除できるようになっている。
【0071】
更に、駆動側用紙ガイド板70の前面70a上で左右の上流端側には、左側のL字状ブラケット74Lと、右側のL字状ブラケット74Rとが用紙幅方向の中心線を中心にして略左右対称な位置に取り付けられており、且つ、左右のL字状ブラケット74L,74R中で互いに対向して前方に向かっており曲げ形成した折り曲げ片74a,74bに左右一対の軸孔74a1,74b1が形成されて、これらの左右一対の軸孔74a1,74b1内に従動側用紙ガイド板80(図2)の第1分割ガイド板81に取り付けた左右一対の軸83L,(83R)が嵌合されている。
【0072】
更に、右側のL字状ブラケット74Rに形成した折り曲げ片74bの下方部位に、ストッパ片74cが左側に向かって直角に折り曲げ形成されており、このストッパ片74cは後述するよう従動側用紙ガイド板80を開いたときに、第1分割ガイド板81が駆動側用紙ガイド板70に対して略直交した状態で保持されるようになっている。
【0073】
次に、図6に示す如く、従動側用紙ガイド板80は、前述したように、用紙搬送方向の上流側に位置する第1分割ガイド板81と、用紙搬送方向の下流側でレジストローラ対27(図1)に接近して位置する第2分割ガイド板82とが用紙幅方向に設定した分割線B(図2)に沿って2分割されている。
【0074】
そして、第1,第2分割ガイド板81,82が長尺な移動軸84によって連結された状態で、駆動側用紙ガイド板70(図4)の前面70aと対向する第1,第2分割ガイド板81,82の各前面81a,82aは共に平坦面に形成されて閉じ状態のときに略同一平面となっている。
【0075】
上記した第1分割ガイド板81は、樹脂材を用いて用紙搬送方向の長さが駆動側用紙ガイド板70(図4)よりも短尺に形成され、且つ、用紙幅方向の幅寸法は駆動側用紙ガイド板70の幅寸法よりも少し幅狭いが長尺に形成されて、直方体に一体的に成形されている。
【0076】
また、第1分割ガイド板81は、駆動側用紙ガイド板70の前面70a(図4)と対向する前面81aが平坦面に形成されており、この前面81a側に用紙搬送ローラ対Rの従動ローラR2を回転自在に収納するための有底孔81eが用紙幅方向の中心線を中心にして左右対称に1個ずつ形成されている。
【0077】
上記に伴って、第1分割ガイド板81の後面81bは、図2に示すように、上記した有底孔81eと対応する部位がボックス部81e1で閉じられていると共に、後面81b側は複数の補強リブ81fにより剛性を持たせて枠組みされている。
【0078】
この際、従動ローラR2は有底孔81e内に回転自在に収納した不図示のバネによって駆動ローラR1(図4)側に付勢されている。
【0079】
図6に戻り、第1分割ガイド板81の前面81a側で左右の側面81c,(81d…図示せず)の近傍には、左右一対の凸部(81g1…図示せず),81g2が用紙幅方向の中心線を中心にして左右対称で且つ最大サイズの用紙Pの通紙に対して影響しない位置に形成されており、且つ、左右一対の凸部(81g1),81g2は用紙Pを通紙できる程度の高さで前方に向かって突出形成されている。
【0080】
そして、上記した左右一対の凸部(81g1),81g2には、駆動側用紙ガイド板70(図4)の前面70aが接離自在になっている。
【0081】
更に、第1分割ガイド板81の左右の側面81c,(81d…図示せず)側で左右一対の凸部(81g1),81g2の後ろ側には、左右一対のストッパ(81h1),81h2が図3(h),図9(h)に示すように所定の角度の傾斜を持って形成されている。
【0082】
そして、従動側用紙ガイド板80の第1,第2分割ガイド板81,82を開いたときに、後述するように第2分割ガイド板82の左右の三角状の側面81c,(81d)が上記した左右一対のストッパ(81h1),81h2に当接するようになっている。
【0083】
また、第1分割ガイド板81の左右の側面81c,(81d)の上流端近傍には、前述したように、左右一対の軸83L,83Rがそれぞれ外側に向けて横設されており、これらの左右一対の軸83L,83Rは、駆動側用紙ガイド板70(図4)に取り付けた左右のL字状ブラケット74L,74Rに回動自在に支持されている。
【0084】
尚、この実施例では、第1分割ガイド板81を樹脂材を用いて一体成形しているが、これに限ることなく、板金材を用いて前面81b側を長方形状に折り曲げ形成し、且つ、裏面81b側に樹脂材を用いて形成した従動ローラ収納用のボックス部(図示せず)を取り付けても良い。
【0085】
一方、上記した第2分割ガイド板82は、用紙搬送方向の長さが第1分割ガイド板81よりも短尺に形成され、且つ、用紙幅方向の幅寸法は第1分割ガイド板81の幅寸法と略同じ程度に長尺に形成されて、軽量なフラッパとして成形されている。従って、第2分割ガイド板82を軽量化するために、この第2分割ガイド板82には従動ローラR2が設けられていない。
【0086】
また、第2分割ガイド板82は、駆動側用紙ガイド板70の前面70a(図4)と対向する前面82aが平坦面に形成されており、この前面82aの下流端側が後面82b側に向かって僅かに折り曲げ形成され、且つ、前面82aの左右端に左右の側面82c,82dが三角形状に折り曲げ形成されている。
【0087】
また、第1,第2分割ガイド板81,82を連結する長尺な移動軸84は、第1,第2分割ガイド板81,82の各左側面81c,82cの外側では長く延出され、一方、第1,第2分割ガイド板81,82の各右側面(81d),82dの外側では短く延出されている。
【0088】
また、第2分割ガイド板82の右側面82dの外側に延出された移動軸84には、図3(h),図7(a)〜(c),図9(h)にも示す如く、用紙Pの腰の強さに応じて変位可能なネジリバネ85が嵌め込まれており、このネジリバネ85の一端及び他端は第1,第2分割ガイド板81,82に掛止されて、第2分割ガイド板82を閉じ方向に付勢している。この際、上記したネジリバネ85のバネ定数は、用紙Pの腰の強さに応じてレジストローラ対27(図1)に対して良好な撓みLを形成できる値に実験により予め設定されている。
【0089】
また、第2分割ガイド板82の左側面82cの外側に延出された移動軸84上と、第2分割ガイド板82の右側面82dに延出された移動軸84上でネジリバネ85よりも外側とに、左右一対の係止爪86L,86Rが各係止部86aを上方に向けて位相を合わせて取り付けられており、これらの左右一対の係止爪86L,86Rは駆動側用紙ガイド板70に形成した左右一対の係止孔70h1,70h2(図4)内に進退可能になっている。
【0090】
更に、また、第2分割ガイド板82の左側面82cの外側に延出された移動軸84上で左側の係止爪86Lよりも外側に係止/係止解除レバー87が取り付けられており、この係止/係止解除レバー87はユーザの人手で操作することにより左右一対の係止爪86L,86Rの駆動側用紙ガイド板70(図2図4)への係止又は係止解除ができるようになっている。
【0091】
ここで、上記のように構成した実施例の用紙搬送装置60の使用形態について、先に示した図2及び図6と、新たな図7図9を用いて説明する。
【0092】
図7(a)〜(c)は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、第1〜第3使用形態を右側面側から見て模式的に示している。また、図8は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して開閉可能な従動ローラ側用紙搬送ガイド板が開いた状態を斜視的に示している。また、図9(a)〜(h)は本発明の実施例に係る用紙搬送装置において、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板に対して従動ローラ側用紙搬送ガイド板が開いた状態をそれぞれ平面的に示している。
【0093】
図7(a)〜(c)に示す如く、本発明の実施例に係る用紙搬送装置60では、3通りの使用形態(第1〜第3の使用形態)がある。
【0094】
まず、図2及び図7(a)に示す如く、第1の使用形態は、実施例1の用紙搬送装置60が初期状態に至っている初期時、又は、実施例1の用紙搬送装置60内で腰の弱い薄紙などの用紙Pを搬送するときの通紙時に対応している。
【0095】
この第1の使用形態では、駆動側用紙ガイド板70に対して、従動側用紙ガイド板80の第1,第2分割ガイド板81,82が共に閉じて、駆動側用紙ガイド板70と従動側用紙ガイド板80とが互いに対向して略平行な姿勢を維持している。
【0096】
そして、第1,第2分割ガイド板81,82を連結する長尺な移動軸84の左右に取り付けた左右一対の係止爪86L,86Rが、駆動側用紙ガイド板70に形成した左右一対の係止孔70h1,70h2内に進入して係止されているので、従動側用紙ガイド板80は駆動側用紙ガイド板70に係止されている。
【0097】
また、駆動側用紙ガイド板70の前面70aと、第1,第2分割ガイド板81,82の各前面81a,82aとが、駆動側用紙ガイド板70に形成した左右一対の凸部70g1,70g2(図4)及び第1分割ガイド板81に形成した左右一対の凸部(81g1),81g2(図6)により用紙Pを通紙できる程度の間隔を隔てて対向していると共に、軽量化された第2分割ガイド板82は移動軸84の右端側に嵌め込んだネジリバネ85の付勢力により閉じ方向に付勢されている。この際、ネジリバネ85は、前述したように、用紙Pの腰の強さに応じて変位可能である。
【0098】
この時に、駆動側用紙ガイド板70と、従動側用紙ガイド板80との間に腰の弱い薄紙などの用紙Pが搬送されても、ネジリバネ85の付勢力は腰の弱い用紙Pに対して打ち勝つので、第2分割ガイド板82がネジリバネ85の付勢力により閉じており、この状態で腰の弱い用紙Pの搬送方向の先端部が停止中のレジストローラ対27に突き当たった時に撓みLを良好に形成することができる。
【0099】
次に、図7(b)に示す如く、第2の使用形態は、実施例1の用紙搬送装置60内で腰の強い厚紙などの用紙Pを搬送するときの通紙時に対応している。
【0100】
この第2の使用形態でも、第1の使用形態と同様に、駆動側用紙ガイド板70に対して、従動側用紙ガイド板80の第1,第2分割ガイド板81,82が共に閉じられているが、第1の使用形態とは異なって、用紙Pの腰の強さに応じて変位可能なネジリバネ85によって閉じ方向に付勢されている第2分割ガイド板82が軽く形成されているので、用紙Pの腰の強さによってネジリバネ85の付勢力に抗して移動軸84を中心にして閉じ方向とは反対方向に回動する。
【0101】
この際、第2分割ガイド板82が第1の使用形態のように駆動側用紙ガイド板70と略平行に閉じたままであると、腰の強い厚紙などの用紙Pの搬送方向の先端部は回転停止中のレジストローラ対27に突き当たったときに良好な撓みLができにくいが、この第2の使用形態では、用紙Pの腰の強さに応じて第2分割ガイド板82のみが撓みLを形成できる方向に逃げるので、腰の強い用紙Pの先端部が停止中のレジストローラ対27に突き当たったときに撓みLを良好に形成できる。
【0102】
次に、図7(c)〜図9に示す如く、第3の使用形態は、実施例1の用紙搬送装置60内で発生したジャム用紙PJを取り除くジャム用紙除去時に対応している。
【0103】
この第3の使用形態では、実施例1の用紙搬送装置60内の駆動側用紙ガイド板70に取り付けたジャム用紙検出センサ72(図4)でジャム用紙PJが生じたことを検出したときに、ユーザが図6に示した係止/係止解除レバー87を移動軸84を中心にして係止解除方向に回転すると、移動軸84に取り付けた左右一対の係止爪86L,86Rが駆動側用紙ガイド板70に形成した左右一対の係止孔70h1,70h2内から退出して従動側用紙ガイド板80の駆動側用紙ガイド板70への係止が解除される。
【0104】
これにより、駆動側用紙ガイド板70に対して、従動側用紙ガイド板80の第1,第2分割ガイド板81,82が共に開いて、第1,第2分割ガイド板81,82は人手が挿入できるように駆動側用紙ガイド板70から離間する方向に略逆く字状に屈曲した姿勢を維持している。
【0105】
この際、第1分割ガイド板81は、自分自身の重量によって、左右の側面81c,81dに取り付けた左右一対の軸83L,83Rが、駆動側用紙ガイド板70に取り付けた左右のL字状ブラケット74L,74Rに形成した左右一対の軸孔74a1,74b1(図4)を中心にして開き方向に回動する。
【0106】
そして、第1分割ガイド板81の開き方向への回動により、この第1分割ガイド板81の後面81bが右側のL字状ブラケット74Rの下方部位に形成したストッパ片74cに当接するので、このストッパ片74cによって第1分割ガイド板81が駆動側用紙ガイド板70に対して略直交した状態で保持される。
【0107】
更に、第2分割ガイド板82は、移動軸84の右端側に嵌め込んだネジリバネ85の付勢力によって移動軸84を中心にして閉じ方向に回動するも、第2分割ガイド板82の左右の三角状の側面(82c),82dが第1分割ガイド板81の左右の側面(81c),81dの各外側に形成した左右一対のストッパ(81h1),81h2に当接するので、この当接した状態で回動が規制されて、これらの左右一対のストッパ(81h1),81h2によって第2分割ガイド板82は駆動側用紙ガイド板70の前面70aに対して略120°程度傾いた姿勢で保持される。
【0108】
この際、実施例の用紙搬送装置60内で発生したジャム用紙PJを除去するにあたって、用紙搬送装置60の右方には昇降可能なベルトプラテン部30(図1)が設置されているので、従動側用紙ガイド板80が分割されずに直線状に開いた場合に、従動側用紙ガイド板80が昇降可能なベルトプラテン部30に衝突してしまうが、この第3の使用形態では従動側用紙ガイド板80の第1,第2分割ガイド板81,82が略逆く字状に屈曲することにより昇降可能なベルトプラテン部30に衝突することなく開くことができるために、ジャム用紙PJを用紙搬送装置60の外側に安心して取り除くことができる。
【符号の説明】
【0109】
1…インクジェット印刷装置、2…筐体、
10…操作パネル部、20…給紙部、21…給紙台、23…給紙ローラ、
24…捌きローラ、25…捌き板、27…レジストローラ対、
30…ベルトプラテン部、33…ベルトプラテン、
40…印刷部、41…インクジェットヘッド、
50…排紙部、51…排紙ローラ対、52…排紙台、
60…実施例の用紙搬送装置、
70…駆動ローラ側用紙搬送ガイド板(駆動側用紙ガイド板)、
70a…前面、70b…後面、70c,70d…左右一対の側面、
70e…ローラ孔、70f…センサ孔、70g1,70g2…左右一対の凸部、
70h1,70h2…左右一対の係止孔、
71…回転軸、72…ジャム用紙検出センサ、73L,73R…左右一対のカバー、
74L,74R…左右のL字状ブラケット、74a,74b…折り曲げ片、
74a1,74b1…左右一対の軸孔、74c…ストッパ片、
80…従動ローラ側用紙搬送ガイド板(従動側用紙ガイド板)、
81…第1分割ガイド板、81a…前面、81b…後面、
81c,81d…左右の側面、81e…有底孔、81e1…ボックス部、
81f…補強リブ、81g1,81g2…左右一対の凸部、
81h1,81h2…左右一対のストッパ、
82…第2分割ガイド板、82a…前面、82b…後面、
82c,82d…左右の側面、
83L,83R…左右一対の軸、84…移動軸、85…ネジリバネ、
86L,86R…左右一対の係止爪、87…係止/係止解除レバー、
90…制御部、
KR…給紙用搬送路、IR…印刷用搬送路、HR…排紙用搬送路、
JR…循環用搬送路、JR1…第1縦搬送路、JR2…スイッチバック搬送路、
JR3…水平搬送路、JR4…第2縦搬送路、
B…分割線、P…用紙、Pa…一方の面、Pb…他方の面、PJ…ジャム用紙、
R…用紙搬送ローラ対、R1…駆動ローラ、R2…従動ローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9