【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、
可変容量型油圧ポンプと、
可変容量型油圧モータと、
油圧ポンプを駆動するために、油圧ポンプに連結された駆動シャフトと、
負荷に接続するために、油圧モータに連結された出力シャフトと、
を含む油圧トランスミッションであって、
油圧ポンプおよび油圧モータの少なくとも一方は、
回転シャフトと、
回転シャフトの回転位置または回転速度を測定するシャフトセンサと、
少なくとも1つのローブを有する少なくとも1つのカムと、
作動容積が回転シャフトの回転と共に周期的に変わる複数のシリンダと、
低圧作動流体ラインおよび高圧作動流体ラインと、
各シリンダと低圧作動流体ラインおよび高圧作動流体ラインとの間で作動流体の流れを調整する弁であって、各シリンダに関連付けられた少なくとも1つの前記弁が電子制御式弁である複数の弁と、
を含み、
油圧トランスミッションは、電子制御式弁を能動的に制御し、それにより、各シリンダが、シリンダ容積の各サイクルについて、作動流体の正味押しのけ容積が存在する作動サイクルを行うか、または作動流体の正味押しのけ容積が存在しない非作動サイクルを行うかを決定するためのコマンド信号を生成するように構成された制御手段(1つまたは複数の制御器など)を含み、作動サイクルを行うシリンダの基本周波数、または非作動サイクルを行うシリンダの基本周波数は、回転シャフトの回転速度に比例し、
制御手段は、回転シャフトの回転速度を考慮して、シリンダによって行われるシリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避するように、あるいは1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内の1つまたは複数の前記強度ピークの強度を弱めるように、油圧トランスミッションを制御するように構成される、油圧トランスミッションが提供される。
【0009】
通常、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲には、油圧トランスミッションの一部である、または油圧トランスミッションと機械的につながった(例えば、機械的に連結された)機械の一部分の1つまたは複数の共振周波数が含まれる。通常、少なくとも1つの前記共振周波数(またはすべての前記共振周波数、したがって、少なくとも1つの前記望ましくない周波数範囲)は、回転シャフトの回転速度に比例して変化しない。少なくとも1つの前記共振周波数(またはすべての前記共振周波数、したがって、少なくとも1つの前記望ましくない周波数範囲)が、回転シャフトの回転速度と共に変化しないこともあり得る。
【0010】
そのために、油圧トランスミッションの励起による機械の一部分の共振現象が回避される。機械の一部分は、油圧トランスミッションの(例えば、1つまたは複数の構成要素の)一部であり得るし(例えば、油圧ポンプまたは油圧モータに連結された駆動シャフト)、または、例えば、ブレードまたは油圧トランスミッションを収容する風車発電機のタワーなどの油圧トランスミッションに機械的につながった(例えば、機械的に連結された)1つまたは複数の構成要素であり得る。
【0011】
共振周波数(ひいては、望ましくない周波数範囲)の1つまたは複数は、回転シャフトの回転速度と共に変化するが、回転シャフトの回転速度に比例しないことがあり得る。例えば、風車発電機のブレードの剛性、ひいてはブレードの共振の1つまたは複数のモードの周波数は、ブレードが連結されるポンプの回転シャフトの回転速度と共に高くなるが、線形ではない。共振周波数(ひいては、望ましくない周波数の範囲)の1つまたは複数は、回転シャフトの回転速度と無関係であり得るパラメータに応じて変わることがある。例えば、1つまたは複数の前記共振周波数は、ラムまたはブームの位置に依存し得る。油圧ライン内の2つの蓄圧器間の流体振動は、油圧ライン内の圧力と共に変わり得る。例えば、ラムの共振周波数は、ラムの位置によって決まり得る。場合によっては、1つまたは複数の共振周波数は、2つ以上のパラメータで決まることがあり、それらパラメータの一部またはすべては、回転シャフトの回転速度と無関係なことがあり、例えば、2つのラムを有する機械は、各ラムの位置によって決まる周波数において共振モードを有し得る。1つまたは複数のパラメータは、1つまたは複数のセンサによって測定される測定パラメータとすることができる。
【0012】
一部の実施形態では、1つまたは複数の振動の共振周波数は、(例えば、周波数解析によって)1つまたは複数の振動を特定し、1つまたは複数の振動の共振周波数を特定するために、信号(例えば、高圧ライン内の圧力、回転シャフトの回転速度、機械の共振する可能性のある部分に取り付けられた、加速度計または歪みゲージなどのセンサからの信号)を解析し、次いで、求めた1つまたは複数の周波数を含むように、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲を設定することで決めることができる。
【0013】
したがって、制御手段は、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲を求めるように運転可能な共振算出モジュールからのデータを含むか、または受け取ることができる。したがって、弁制御モジュールは、共振算出モジュールからの1つまたは複数の望ましくない周波数範囲に関するデータを含むか、または受け取ることができる。共振算出モジュールは、1つまたは複数の測定パラメータに基づいて、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲を求めることができる。共振算出モジュールは、回転シャフトの回転速度とは無関係の1つまたは複数の測定パラメータに基づいて、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲を求めることができる。共振算出モジュールは、(1つまたは複数の前記測定パラメータを測定できる)1つまたは複数の前記センサからのデータを処理することができる。共振算出モジュールは、回転シャフトの回転速度を入力として受け取ることができる。共振算出モジュールは、共振を特定するために、前記信号解析を行うことができる。
【0014】
シリンダ作動容積のサイクルの周期性のために、シリンダによって行われる作動および非作動サイクルのパターンが、油圧トランスミッションの一部である、または(例えば、油圧ポンプおよびモータの少なくとも一方に機械的に連結されるなど)油圧トランスミッションに機械的につながった(例えば、機械的に連結された)機械要素に共振振動を発生させることがある。シリンダによって行われる作動および非作動サイクルのパターンは、コマンド信号のパターンによって決まり、そのため、制御手段は、制御信号のパターンを決定することで作動および非作動サイクルのパターンを決定することができる。それにもかかわらず、共振振動を発生させるのは、作動および非作動サイクルによって生じる脈動流である。
【0015】
シリンダによって行われる作動および非作動サイクルのパターンは、1つまたは複数の強度ピークを含む周波数スペクトルを有する。例えば、シリンダが作動および非作動サイクルを交互に行う場合、シリンダ作動容積のサイクルの周波数の半分に等しい周波数に強度ピークがある。より一般的には、シリンダは、1つまたは複数の強度ピークを含む周波数スペクトルを有する、さらに複雑なパターンの作動および非作動サイクルを行う。周波数スペクトルは、周波数解析、例えば、高速フーリエ変換を行うことで、作動および非作動サイクルのパターンから求めることができる。
【0016】
本発明者は、これらの強度ピークの周波数が、作動および非作動サイクルのシーケンス(すなわち、作動および非作動サイクルが行われる順番)だけでなく、回転シャフトの回転速度と共に変わることを確認した。例えば、回転シャフトがx%だけ増速され、シリンダ作動容積のサイクルの周波数がx%だけ高くなると、一部またはすべての強度ピークの周波数がx%だけ高くなる。したがって、強度ピークの一部またはすべての周波数は、回転シャフトの回転速度に比例する。
【0017】
本発明は、前記周波数スペクトルにおける強度ピークが、油圧トランスミッションの構成要素、または油圧構成要素と機械的につながった(例えば、機械的に連結された)構成要素などの機械の一部分の共振周波数(例えば、油圧トランスミッションが風車発電機に組み込まれた実施形態におけるタービンブレードまたはタービンタワーの共振周波数)と一致する周波数に存続することを回避するように、油圧トランスミッションを制御する。
【0018】
1つまたは複数の強度ピークの前記周波数は、作動サイクルを行うシリンダの基本周波数、またはその基本周波数の線形関数、あるいは非作動サイクルを行うシリンダの基本周波数、またはその基本周波数の線形関数であり得る。
【0019】
線形関数は、作動サイクルを行うシリンダの基本周波数または非作動サイクルを行うシリンダの基本周波数の整数倍(>1)(すなわち、基本周波数の高調波)とすることができるが、作動サイクルを行うシリンダの基本周波数または非作動サイクルを行うシリンダの基本周波数の非整数倍、例えば、2.5倍である周波数を回避することが望ましい状況もあり得る。線形オフセットもあり得る。
【0020】
作動サイクルを行うシリンダの基本周波数とは、作動サイクルを行うシリンダ数(1秒当たりのシリンダ数)が共に変化する時間平均した周波数を指す。非作動サイクルを行うシリンダの基本周波数とは、非作動サイクルを行うシリンダ数(1秒当たりのシリンダ数)が共に変化する時間平均した周波数を指す。各シリンダは、シリンダ作動容積の各サイクルにおいて、作動サイクルまたは非作動サイクルのいずれかを行うので、作動サイクルを行うシリンダの基本周波数と、非作動サイクルを行うシリンダの基本周波数とを合わせると一定値になる。
【0021】
各シリンダが異なる位相で運転する場合、一定値は、通常、シリンダ作動容積のサイクルの周波数にシリンダ数を乗じたものになる。一方、そうではなくて、複数のシリンダがシリンダ作動容積のサイクル全体にわたって実質的に同じ位相で運転する場合、一定値は小さくなる。例えば、シリンダが、シリンダ作動容積のサイクル全体にわたって実質的に同じ位相を有するC個のシリンダのグループで運転する場合、前記一定値は、シリンダ数をCで除した値を作動チャンバ容積のサイクルの周波数に乗じたものになる。
【0022】
重要であるのは、作動(または、必要に応じて非作動)サイクルを行うシリンダ数が共に変化する周波数である。作動(または、必要に応じて非作動)サイクルを行うシリンダ数が一定量だけ変わる場合、基本周波数に影響を及ぼすことはない。例えば、1つまたは複数のシリンダが、作動サイクルまたは非作動サイクルのどちらを行うべきかに関する連続決定点で、0、0、0、1、0、0、0、1個のシリンダが作動サイクルを行うと決めた場合、基本周波数は、1、1、1、2、1、1、1、2個のシリンダが作動サイクルを行うという決定から影響を受けない。
【0023】
作動または非作動サイクルを行うシリンダ選択周波数は、回転シャフトの回転速度(1秒当たりの回転数)に比例する。これは、通常、シリンダ作動容積の各サイクル時に、所与のシリンダが作動サイクルまたは非作動サイクルのいずれかを行うように投入される1つの地点があるからである。例えば、通常、シリンダと低圧作動流体ラインとの間で作動流体の流れを調整する電子制御式弁を閉じるかどうかが決定される。
【0024】
したがって、本発明は、油圧ポンプおよび油圧モータの少なくとも一方が、作動および非作動サイクルのパターンによって決まり、作動および非作動サイクルの所与のシーケンスにおいて、回転シャフトの回転速度に比例する周波数に強度ピークがある振動を生じさせることを受け入れる。本発明によれば、トランスミッションは、作動サイクルを行うシリンダの基本周波数、またはその基本周波数の高調波、あるいは非作動サイクルを行うシリンダの基本周波数、またはその基本周波数の高調波が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避するように制御される。
【0025】
一部の実施形態では、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける強度ピークの周波数は、限定された期間にわたって、例えば、回転シャフトの100回転よりも短い間、または回転シャフトの10回転よりも短い間、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まることができる。これは、通常、望ましくない共振が高まり、振幅が大きくなるのにある程度の時間がかかるからである。
【0026】
制御手段はまた、シリンダによって行われる作動および非作動サイクルのパターンを決定する、またはシリンダによって行われる作動および非作動サイクルのパターンを示す1つまたは複数の信号を考慮に入れることができる。
【0027】
1つまたは複数の前記信号は、油圧ポンプおよび油圧モータの少なくとも一方による、作動流体の目標となる時間平均押しのけ容積を示す要求信号とすることができる。シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける強度ピークの周波数は、回転シャフトの回転速度だけでなく、要求信号によって決まり得るシリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのシーケンスによっても決まる。この要求信号は、制御手段が受け取ってよいし、または制御手段が生成してもよい。要求信号は、例えば、(回転シャフトの1回転当たりの最大押しのけ容積に対する割合である)油圧ポンプおよび油圧モータの少なくとも一方による、作動流体の最大限の正味押しのけ容積に対する容積比として、または油圧ポンプおよび油圧モータの少なくとも一方による、作動流体の要求された正味押しのけ容積の絶対値として、または(時間平均した正味押しのけ容積と高圧作動流体ライン内の圧力との積である)所望のトルクとして表すことができる。
【0028】
一方、単に要求信号だけではなく、シリンダの作動および非作動サイクルの選択パターンに影響を及ぼす要素も、制御手段によって考慮に入れられる。例えば、制御手段は、作動サイクル時の個々のシリンダによる作動流体の最大正味押しのけ容積に対する割合も考慮に入れることができる。作動サイクル時に、シリンダによる作動流体の最大正味押しのけ容積に対する割合が作動サイクル間で変わる場合、これは、得られる強度ピークの周波数を変えることがある。
【0029】
複数のシリンダにおけるシリンダのグループに関して、シリンダ作動容積のサイクル全体にわたって実質的に同じ作動容積を有する、シリンダのグループ内の別のシリンダが存在することがあり得る。
【0030】
シリンダのグループは、複数のシリンダの一部とすることができる。シリンダのグループは、複数のシリンダのすべてとすることができる。
【0031】
通常、シリンダのグループ内のシリンダは、同じリングカムと駆動関係にあり、シリンダのグループ内の各シリンダに対して、シリンダ作動容積のサイクル全体にわたって実質的に同じ作動容積を有する別のシリンダがあるように、前記リングカムは複数のローブを有している。
【0032】
駆動関係にあるとは、シリンダがリングカムの回転によって駆動されるか(油圧ポンプの場合)、またはリングカムを回転させるか(油圧モータの場合)のいずれかを意味する。
【0033】
同じリングカムと駆動関係にあるシリンダのグループはA個のシリンダを含み、リングカムはB個のローブを有し、シリンダ作動容積のサイクル全体にわたって実質的に同じ作動容積を有するシリンダ数(冗長性、C)は、AとBの最大公約数であることがあり得る。
【0034】
通常、シリンダのグループのシリンダは、グループにあるシリンダの作動容積のサイクルにおける相対位相が均等に分散するように、回転可シャフトのまわりに配置される。シリンダのグループのシリンダは、回転シャフトのまわりに均等に配置することができる。
【0035】
シリンダのグループは、シリンダ作動容積のサイクル全体にわたって実質的に同じ作動容積を有する同じ数量(C、冗長性)のシリンダからなる複数の(D、位相数)セットで構成され、制御手段は、前記シリンダのセット内の各シリンダが、シリンダ作動容積の所与のサイクルで、作動サイクルを行うべきか、または非作動サイクルを行うべきかを単一の決定点で選択することがあり得る。
【0036】
シリンダ作動容積のサイクル全体にわたって実質的に同じ作動容積を有する各シリンダセットに対する決定点は、シリンダ作動容積が所定の位相にある場合、ひいては、回転シャフトが1つまたは複数の所定の向きにある場合に生じる。
【0037】
シリンダのグループのシリンダは、2以上のローブ数(B)を有する1つまたは複数のカムによって駆動され、回転シャフト1回転当たりの決定点数(E)は、B×Dであることがあり得る。
【0038】
制御手段は、ポンプおよびモータの少なくとも一方による作動流体の設定押しのけ容積を計算し、少なくとも1つのポンプまたはモータが、作動流体の設定押しのけ容積を実施することを要求された場合に生じる、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数を計算して、計算した1つまたは複数の周波数を1つまたは複数の望ましくない周波数範囲と比較するように構成されることがあり得る。
【0039】
制御手段は、作動サイクルを行うシリンダの割合を増減することにより、回転シャフトの回転速度を考慮して、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避するように油圧トランスミッションを制御するよう構成されることがあり得る。
【0040】
制御手段は、油圧ポンプおよび油圧モータの少なくとも一方による、作動流体の目標となる時間平均押しのけ容積に関連する要求信号を受け取るか、または生成し、制御手段は、受け取った、または生成した要求信号を修正し、修正した信号を使用することで、作動サイクルを行うシリンダの割合を増減して、油圧ポンプおよび油圧モータの少なくとも一方によって行われるシリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンを決定することがあり得る。
【0041】
例えば、要求信号は、ジャンプアップ/ジャンプダウン法を使用して修正することができる。要求信号は、修正した要求信号の使用によって生じる、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける対応する強度ピークの周波数が、それぞれの望ましくない周波数範囲より上、または下になるように要求信号を増減することで修正することができる。
【0042】
制御手段は、高圧作動流体ライン内の圧力を増減させること、および、回転シャフトの回転速度を増減させることの1つまたは複数により、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの前記周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避するように油圧トランスミッションを制御することがあり得る。
【0043】
高圧作動流体ライン内の圧力は、制御手段により、その、また各油圧ポンプの正味押しのけ容積(1秒当たりの容積)を、その、または各油圧モータの正味押しのけ容積(1秒当たりの容積)とは異なるようにすることで変えることができる。
【0044】
通常、制御手段は、高圧作動流体ライン内の圧力を変えることにより、作動サイクルを行うシリンダの割合を変える。例えば、油圧ポンプまたは油圧モータの正味押しのけ容積、あるいは高圧作動流体ライン内の圧力を変えて、油圧ポンプおよび油圧モータの少なくとも一方の正味トルクを変えることで、回転シャフトの回転速度を増減させることができる。
【0045】
制御手段は、高圧作動流体ライン内の圧力が油圧トランスミッションの動力伝達量と共に変わるように、油圧ポンプおよび油圧モータを制御することができる。例えば、高圧作動流体ライン内の圧力は、動力伝達量の運用範囲の上端で約350barとすることができる。高圧作動流体ライン内の圧力は、動力伝達量の運用範囲の下端で約200barとすることができる。
【0046】
制御手段は、複数のシリンダの少なくとも1つを飛ばすことで、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避するように油圧トランスミッションを制御するよう構成されることがあり得る。飛ばすとは、シリンダが本来なら作動サイクルを行う場合に、シリンダに非作動サイクルを行わせること、および、非作動サイクルだけを行わせて、作動サイクルを行わせないことの両方を含む。
【0047】
制御手段は、前記シリンダのグループの少なくとも1つを飛ばすことで、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避するように油圧トランスミッションを制御するよう構成され、シリンダのグループは、シリンダ作動容積のサイクル全体にわたって実質的に同じ作動容積を有する同じ数量(C、冗長性)のシリンダからなる複数(D、位相数)のセットで構成されることがあり得る。
【0048】
シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避することが必要とされる間、同じ1つまたは複数のシリンダが、回転シャフトの各回転においてスキップされることがあり得る。
【0049】
1つまたは複数のシリンダが、シリンダ作動容積の連続サイクルにおいて非作動サイクルを行い、それにより、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避することがあり得る。
【0050】
1つまたは複数のシリンダを飛ばすことには、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける強度ピークが、少なくとも2つの離れた強度ピークに分割され、その強度ピークの少なくとも一方は高い方の周波数を有し、その強度ピークの少なくとも一方は低い方の周波数を有する。制御手段は、複数のシリンダの少なくとも1つを飛ばすことで、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避するように油圧トランスミッションを制御するよう構成されることがあり得る。通常、1つまたは複数のシリンダを飛ばしたために、少なくとも2つの離れた強度ピークの少なくとも一方は、該当する望ましくない周波数範囲より上の周波数を有し、少なくとも2つの強度ピークの少なくとも一方は、該当する望ましくない周波数範囲より下の周波数を有する。
【0051】
制御手段は、シリンダ作動容積のサイクルに関連するコマンド信号の少なくとも一部のタイミングをずらすことで、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの強度が弱まるように油圧トランスミッションを制御するよう構成されることがあり得る。例えば、電子制御式弁に低圧ラインとシリンダとの間の流体流れを調整させる制御信号のタイミングを、シリンダ作動容積のサイクル内で(制御手段が1つまたは複数の強度ピークの強度を弱めるように機能しない場合のタイミングに対して)進めるか、または遅らせ、それにより、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの強度を弱めることができる。
【0052】
制御手段は、シリンダ作動容積の1つまたは複数の作動サイクル時に、作動流体の正味押しのけ容積を変える(例えば、減らす)ことで、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの強度を弱めるように油圧トランスミッションを制御するよう構成されることがあり得る。ここでも、これは、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの強度を弱めることができる。
【0053】
制御手段は、(例えば、複数のシリンダの少なくとも1つを飛ばすことで)シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避し、(例えば、コマンド信号の少なくとも一部のタイミングをずらす、かつ/または作動サイクルの押しのけ容積を変えることで)1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内の、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの強度を弱めるように油圧トランスミッションを同時に制御するように構成することができる。
【0054】
制御手段は、回転シャフトの1回転当たりのサイクルに比例する単位周波数を示す値を求め、次いで、その値に回転シャフトの回転速度に比例する値を乗ずることで、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける前記強度ピークの1つまたは複数の周波数を求めることがあり得る。
【0055】
例えば、その値が、回転シャフトの1回転当たり300サイクル(振動)であり、回転シャフトの回転速度が1秒当たり10回転である場合、算出したそれぞれの強度ピークの周波数は3,000サイクル/秒である。
【0056】
考慮に入れる回転シャフトの速度は、通常(例えば、シャフトセンサで測定できる、またはシャフトセンサから受け取ったデータを処理することで得ることができる)回転シャフトの測定した回転速度である。ただし、回転シャフトの速度は、例えば、計算するか、または特定の値を有するように制御することができる。
【0057】
回転シャフトの1回転当たりのサイクルに比例する単位周波数を示す前記値は、シリンダの作動および非作動サイクルの選択パターンを考慮して求めることができる。
【0058】
制御手段は、回転シャフトの回転速度を考慮に入れて、作動サイクルの基本周波数、またはその基本周波数の高調波が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避するように油圧トランスミッションを制御するよう構成されることがあり得る。
【0059】
制御手段は、回転シャフトの回転速度を考慮に入れて、非作動サイクルの基本周波数、またはその基本周波数の高調波が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避するように油圧トランスミッションを制御するよう構成されることがあり得る。
【0060】
「〜と機械的につながる」、さらには、〜に機械的に接続される、または連結される、とは、油圧回路を通じて油圧ポンプまたはモータに接続されることを含む(油圧回路およびアクチュエータを通じて接続されることを含む)。
【0061】
用語、油圧ポンプ、および、油圧モータ、とは、油圧ラムを含む(それぞれ加圧された油圧流体の供給源またはシンクとして機能する場合)。
【0062】
本発明は、第2の態様において、本発明の第1の態様による油圧トランスミッションを含む機械にまで拡張され、1つまたは複数の前記望ましくない周波数範囲には、回転シャフトの回転速度に比例して変わらない機械(通常は、油圧トランスミッションの構成要素、または油圧トランスミッションと機械的につながった(例えば、機械的に連結された)構成要素)の一部分の1つまたは複数の共振周波数が含まれる。機械の一部分の前記共振周波数の1つまたは複数は、回転シャフトの回転速度と共に変わらないことがあり得る。
【0063】
機械は、油圧ポンプに連結され、複数のブレードを含むタービンと、油圧モータに連結された発電機とを有する風車発電機とすることができ、1つまたは複数の前記望ましくない周波数範囲には、ブレードの共振周波数、タービンの共振周波数、風車発電機のタワーの共振周波数、および、タービンを油圧ポンプに連結する駆動シャフトの共振周波数の1つまたは複数が含まれる。
【0064】
1つまたは複数の前記望ましくない周波数範囲には、0.2〜0.7Hzのタワーの共振周波数を含む周波数範囲が含まれることがあり得る。
【0065】
本発明は、第3の態様において、油圧トランスミッションを運転する方法にまで拡張され、油圧トランスミッションは、
可変容量型油圧ポンプと、
可変容量型油圧モータと、
油圧ポンプを駆動するために、油圧ポンプに連結された駆動シャフトと、
負荷に接続するために、油圧モータに連結された出力シャフトと、
を含み、
油圧ポンプおよび油圧モータの少なくとも一方は、
回転シャフトと、
回転シャフトの回転位置または回転速度を測定するシャフトセンサと、
少なくとも1つのローブを有する少なくとも1つのカムと、
作動容積が回転シャフトの回転と共に周期的に変わる複数のシリンダと、
低圧作動流体ラインおよび高圧作動流体ラインと、
各シリンダと低圧作動流体ラインおよび高圧作動流体ラインとの間で作動流体の流れを調整する複数の弁であって、各シリンダに関連付けられた少なくとも1つの前記弁が電子制御式弁である複数の弁と、
を含み、
方法は、前記電気制御式弁を能動的に制御し、それにより、シリンダ作動容積の各サイクルにおいて、各シリンダによる作動流体の正味押しのけ容積を決定するためのコマンド信号を生成することを含み、
作動サイクルを行うシリンダの基本周波数または非作動サイクルを行うシリンダの基本周波数は、回転シャフトの回転速度に比例し、
方法は、回転シャフトの回転速度を考慮して、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まらないように、あるいは1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内の1つまたは複数の前記強度ピークの強度を弱めるように油圧トランスミッションを制御することを含む。
【0066】
通常、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲には、油圧トランスミッションの一部である、または油圧トランスミッションと機械的につながった機械の一部分の1つまたは複数の共振周波数が含まれる。通常、少なくとも1つの前記共振周波数(したがって、少なくとも1つの前記望ましくない周波数範囲)は、回転シャフトの回転速度に比例して変化しない。
【0067】
方法は、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲を決定することを含むことができる。共振周波数(ひいては、望ましくない周波数の範囲)の1つまたは複数は、回転シャフトの回転速度と共に変化しないことがあり得る。共振周波数(ひいては、望ましくない周波数の範囲)の1つまたは複数は、回転シャフトの回転速度と共に変化するが、回転シャフトの回転速度に比例しないことがあり得る。
【0068】
方法は、1つまたは複数の共振周波数を特定する1つまたは複数のパラメータを(例えば、1つまたは複数のセンサを使用して)測定することと、それにより、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲を求めることとを含むことができる。1つまたは複数(またはすべて)のパラメータは、回転シャフトの回転速度とは無関係であり得る。
【0069】
方法は、複数のシリンダの少なくとも1つを飛ばすことで、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避するように油圧トランスミッションを制御することを含むことができる。方法は、前記シリンダのグループの少なくとも1つを飛ばすことを含むことができ、シリンダのグループは、シリンダ作動容積のサイクル全体にわたって実質的に同じ作動容積を有する同じ数量(C、冗長性)のシリンダからなる複数(D、位相数)のセットで構成される。
【0070】
シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、特定の1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避することが必要とされる間、同じ1つまたは複数のシリンダが、回転シャフトの各回転においてスキップされることがあり得る。
【0071】
1つまたは複数のシリンダが、シリンダ作動容積の各連続サイクルにおいて非作動サイクルを行い、それにより、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避することがあり得る。
【0072】
方法は、シリンダ作動容積のサイクルに関連するコマンド信号の少なくとも一部のタイミングをずらすことで、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの強度を弱めるように油圧トランスミッションを制御することを含むことができる。
【0073】
方法は、シリンダ作動容積の1つまたは複数の作動サイクル時に、作動流体の正味押しのけ容積を変える(例えば、減らす)ことで、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの強度を弱めるように油圧トランスミッションを制御することを含むことができる。
【0074】
方法は、(例えば、複数のシリンダの少なくとも1つを飛ばすことで)シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの周波数が、1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内に留まるのを回避し、(例えば、コマンド信号の少なくとも一部のタイミングをずらす、かつ/または作動サイクルの押しのけ容積を変えることで)1つまたは複数の望ましくない周波数範囲内の、シリンダ作動容積の作動および非作動サイクルのパターンの周波数スペクトルにおける1つまたは複数の強度ピークの強度を弱めるように油圧トランスミッションを同時に制御することを含むことができる。
【0075】
方法は、(例えば、周波数解析によって)1つまたは複数の振動を特定し、1つまたは複数の振動の共振周波数を特定するために、信号(例えば、高圧ライン内の圧力、回転シャフトの回転速度、加速度計または歪みゲージなどの、機械の共振する可能性のある部分に取り付けられたセンサからの信号)を解析することと、次いで、求めた1つまたは複数の振動を含む1つまたは複数の望ましくない周波数範囲を決定することとを含むことができる。
【0076】
シャフト位置センサは、複数の向きのそれぞれで回転シャフトの位置を測定することができる。シャフト位置センサは、回転シャフトの向きに位置を合わせた構成要素の位置、例えば、ピストンの位置を測定することができる。シャフト位置センサは、例えば、ただ1つ、または少数(例えば、2、3、または4つ)の異なる向きでシャフトの位置を測定し、連続する測定値からシャフトの回転速度および/または回転速度の変化率の推定値を求め、それにより瞬間的なシャフト位置を推定することで、測定位置間のシャフトの位置を推測することができる。
【0077】
制御手段は、1つまたは複数の制御器を含むことができる。その、または各制御器は、プログラムコードを保存したプロセッサ可読メモリと電子通信するプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサまたはマイクロ制御器)を含むことができる。
【0078】
本発明の3つの態様の任意の1つの任意選択の特徴は、本発明の各態様の任意選択の特徴である。
【0079】
本発明の例示的な実施形態が、添付の図面を参照して以下に説明される。