(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6262995
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】凹凸補正化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/894 20060101AFI20180104BHJP
A61K 8/895 20060101ALI20180104BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20180104BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20180104BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20180104BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
A61K8/894
A61K8/895
A61K8/27
A61K8/891
A61Q1/00
A61Q17/04
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-227596(P2013-227596)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-86196(P2015-86196A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】高野 絵美
(72)【発明者】
【氏名】富田 由利子
【審査官】
松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−524644(JP,A)
【文献】
特開2007−254432(JP,A)
【文献】
特開2003−063933(JP,A)
【文献】
特開2013−043847(JP,A)
【文献】
特開2006−069902(JP,A)
【文献】
特開2013−103895(JP,A)
【文献】
特開2010−184912(JP,A)
【文献】
特開2009−155274(JP,A)
【文献】
特開2001−002530(JP,A)
【文献】
特開2007−269724(JP,A)
【文献】
特開2003−055134(JP,A)
【文献】
特開2012−180290(JP,A)
【文献】
特開平07−277914(JP,A)
【文献】
特開平06−264049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(d):
(a)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)シリコーン樹脂粉体
(c)酸化亜鉛
(d)液体油
を含有し、
前記成分(b)の含有量が15〜40質量%である
ことを特徴とする凹凸補正化粧料。
【請求項2】
前記成分(b)の平均粒径が1〜25μmであることを特徴とする請求項1に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項3】
前記成分(b)、前記成分(c)を含む粉体成分の総量と成分(d)の配合比が1:7〜2:1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項4】
凹凸補正化粧料の30℃における稠度が100〜200mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の凹凸補正化粧料。
【請求項5】
前記成分(a)の含有量が0.05〜15質量%であり、
前記成分(c)の含有量が1〜15質量%であり、
前記成分(d)の含有量が20〜70質量%である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の凹凸補正化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小皺や毛穴等の肌上の微小な凹凸を自然にぼかし、目立たなくする化粧料(いわゆる、凹凸補正化粧料)に関するものであり、部分架橋型オルガノポリシロキサンとシリコーン樹脂粉体と酸化亜鉛を配合することを特徴とする凹凸補正化粧料に関するものである。そして、より詳細には、小皺や毛穴等の肌上の凹凸を自然にぼかして目立ちにくくし、滑らかに伸び広がって均一に密着し、さらさらとした使用感に優れ、しかもその効果の持続性に優れる凹凸補正化粧料に関するものである。さらには、本発明品の上に塗布するメイクの持続効果にも優れ、化粧料としての経時安定性も優れた凹凸補正化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の肌悩みの調査において、小皺や毛穴等の肌上の微小な凹凸が気になるということが上位にきている。さらに、近年の高齢化社会において、いつまでも若々しい肌でいたいという女性のニーズの高まりにより、小皺や毛穴等の肌上の微小な凹凸を自然にぼかし、目立たなくするための化粧料が望まれており、様々な化粧料が開発されている。
このような凹凸補正化粧料には、ファンデーション等のメーキャップ化粧料の塗布前後に使用し、小皺や毛穴等の肌上の微小な凹凸を目立たなくする特殊用途の化粧料や、好ましくない微小な凹凸を目立たなくする機能を付加したファンデーション、コンシーラー、下地料等のメーキャップ化粧料等があり、多数の商品が発売され、市場で好評を得ている。
【0003】
このような従来の凹凸補正化粧料には、球状の粉体やパール顔料と固形のワックスや油のゲル化剤等を組み合わせて、球状粉体により皮膚上で光を散乱させる技術(例えば、特許文献1、2)や、水溶性の高分子と保湿剤を組み合わせて、皮膚上の凹凸を平滑化させる技術(例えば、特許文献3)等が用いられていた。
しかしながら、前記特許文献1記載の技術では、肌への密着感と伸び広がりが良好ではなく、使用感の点で問題があった。また、前記特許文献2記載の技術では、感触のべたつきが生じ、経時での化粧持続効果も劣るものがあり、さらには油性中に球状の粉体を高配合するため、化粧料の安定性維持の懸念もあった。また、前記特許文献3記載の技術では、使用後のべたつきと、上に重ねるファンデーションの伸び広がりに影響を与え、均一な膜を形成できないことがあった。
【0004】
【特許文献1】特開2010−163370
【特許文献2】特開2010−30971
【特許文献3】特開2010−43051
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、滑らかに伸び広がって肌に均一に密着し、使用後のべたつきがなく、さらさらとした感触を与え、小皺や毛穴等の凹凸をしっかりと自然にカバーする凹凸補正化粧料の開発が望まれていた。また、この凹凸補正化粧料の塗布前後に併せて使用する化粧料の化粧持続効果を向上させる効果を持ち、化粧料としての経時安定性にも優れた凹凸補正化粧料の開発が望まれていた。
【0006】
かかる実情を鑑み、本発明者らは鋭意研究を行なった結果、部分架橋型オルガノポリシロキサンとシリコーン樹脂粉体と油剤との組み合わせでは、密着感が悪かったり、油剤が分離してしまったりすることがあったが、これに酸化亜鉛を組合せて用いることにより、毛穴の引き締め効果に加え、肌への密着感を向上することができたことと、酸化亜鉛の屈折率がこれらの組み合わせにおいて、小皺、毛穴等の凹凸補正効果の向上に働き、非常に高い効果を得ることができ、その化粧効果が持続した。一方密着感が向上しても、滑らかに伸び広がり化粧膜が均一になる点も良好で、さらさらとした感触を得ることができた。そして、油剤が分離してくることを防ぐことが可能になり、化粧料の経時安定性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(a)〜(d):
(a)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(b)シリコーン樹脂粉体
(c)酸化亜鉛
(d)液体油
を含有
し、
前記成分(b)の含有量が15〜40質量%である
ことを特徴とする凹凸補正化粧料である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の凹凸補正化粧料は、小皺、毛穴等の凹凸補正効果が非常に高く、滑らかに伸び広がって均一に密着し、またさらさらとした感触に優れ、さらには化粧持続効果の向上と経時安定性にも優れることを特徴とする、化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる成分(a)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、オルガノポリシロキサンを架橋結合させて得られる、一部に三次元架橋構造を有する重合物である。これは、例えば、特公平8−6035号公報、特開平4−272932号公報、特開平5−140320号公報、特開2001−342255号公報、国際公開第2003/024413号パンフレットに記載されているものを使用することができる。
【0010】
成分(a)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、例えば、次の(A)に示されるケイ素原子に結合した水素原子を平均で1.5個以上分子中に含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B)に示される分子中に平均で1.5個以上のビニル性反応部位を有する化合物との付加重合によって得ることができる。
【0011】
(A)は、SiO
2単位、HSiO
1.5単位、RSiO
1.5単位、RHSiO単位、R
2SiO単位、R
3SiO
0.5単位及びR
2HSiO
0.5単位(ここで、Rは脂肪族不飽和基を除く、置換もしくは非置換の炭素数1〜30の一価炭化水素基である。一価炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ビニル基等の脂肪族不飽和基、メチル基、エチル基、プロピル基等の水素原子をフェニル基、トリル基等のアリール基で置換されたアラルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フルオロ基を含有するハロゲン化炭化水素基、エチレンオキサイド基を含有する炭化水素基等である。)からなる群から選択された少なくとも1種の構造単位で構成され、且つケイ素原子に結合した水素原子を平均で1.5個以上分子中に含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
【0012】
(B)は次の(B−1)〜(B−3)から選ばれる1種又は2種以上である。(B−1)は、SiO
2単位、(CH
2=CH)SiO
1.5単位、RSiO
1.5単位、R(CH
2=CH)SiO単位、R
2SiO単位、R
3SiO
0.5単位及びR
2(CH
2=CH)SiO
0.5単位(ここで、Rは脂肪族不飽和基を除く置換もしくは非置換の炭素数1〜30の一価炭化水素基である。一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ビニル基等の脂肪族不飽和基、メチル基、エチル基、プロピル基等の水素原子をフェニル基、トリル基等のアリール基で置換されたアラルキル基、シクロヘキシル基や、フルオロ基を含有するハロゲン化炭化水素基、エチレンオキサイド基を含有する炭化水素基等が挙げられる。)からなる群から選択された少なくとも1種の構造単位で構成され、且つ分子中にケイ素原子に結合したビニル基を平均で1.5個以上含有するオルガノポリシロキサンである。
(B−2)は、下記一般式(イ)で表わされるポリオキシアルキレンである。
C
mH
2m−1O(C
2H
4O)
h(C
3H
6O)
iC
mH
2m−1・・・(イ)
(式中、hは2〜200の整数、iは0〜200の整数、h+iは3〜200の整数、mは2〜6をそれぞれ示す)
(B−3)は、下記一般式(ロ)で表される不飽和炭化水素である。
C
nH
2n−1(CH
2)
jC
nH
2n−1・・・(ロ)
(但し、nは2〜6、jは1以上の整数である。)
【0013】
成分(a)の具体例としては、化粧品の成分表示名称で表すと、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等の部分架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー等の部分架橋型メチルフェニルポリシロキサンが挙げられる。
また、分子中にポリオキシアルキレン基を含有する重合物としては、例えば、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー等の部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。
また、分子中に長鎖アルキル基を含有する重合物としては、例えば、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等の部分架橋型アルキル変性シリコーンが挙げられる。
分子中にポリオキシアルキレン基及び長鎖アルキル基を含有する重合物としては、例えば、PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー等の部分架橋型アルキル・ポリエーテル共変性シリコーンが挙げられる。
分子中にハロゲン化炭化水素基を含有する重合物としては、例えば、(トリフルオロプロピルジメチコン/トリフルオロプロピルジビニルジメチコン)クロスポリマー等の部分架橋型フッ素変性シリコーンが挙げられる。
これらの1種又は2種以上を適宜選択して配合することができる。
【0014】
成分(a)は、混合物の形態で市販されており、部分架橋型メチルポリシロキサンと環状シリコーンとの混合物としてKSG−15(固形分5%)、部分架橋型メチルポリシロキサンとジメチルポリシロキサンとの混合物としてKSG−16(固形分20〜30%)、部分架橋型メチルフェニルポリシロキサンとフェニルトリメチコンとの混合物としてKSG−18(固形分10〜20%)、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンとジメチルポリシロキサンとの混合物としてKSG−210(固形分20〜30%)、部分架橋型アルキル変性シリコーンと油剤との混合物としてKSG−41(固形分25〜35%)、KSG−42(固形分20〜30%)、KSG−43(固形分25〜35%)及びKSG−44(固形分25〜35%)、部分架橋型アルキル・ポリエーテル共変性シリコーンと油剤との混合物としてKSG−310(固形分25〜35%)、KSG−320(固形分20〜30%)、KSG−330(固形分15〜25%)、KSG−340(固形分25〜35%)及びKSG−340(固形分25〜35%)(以上、信越化学工業社製)が挙げられる。また、部分架橋型フッ素変性シリコーンは、フルオロアルキル基含有環状オルガノポリシロキサン等の環状フッ素含有シリコーンとの混合物として用いられ、例えばKSG−51(固形分15〜25%:信越化学工業社製)がある。
これらの中でも部分架橋型メチルポリシロキサンを用いることが、化粧料を安定化させ、滑らかな伸び広がりと均一な密着感が得られる点で好ましい。これらの部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は必要に応じてその1種又は2種以上を用いることができる。
【0015】
成分(a)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を配合することにより、特に、経時安定性を保ち、滑らかな伸び広がりと均一な密着感のある化粧膜を得ることができる。
本発明に用いられる成分(a)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の含有量は特に限定されないが、経時安定性の向上と伸び広がりの点において、0.05〜15質量%(以下単に「%」と示す。)であることが好ましく、より好ましくは0.1%〜10%である。
【0016】
本発明に用いられる成分(b)のシリコーン樹脂粉体は、通常化粧料に使用されるものであれば特に限定されず用いることができる。
シリコーン樹脂粉体としては、例えば、網状型シリコーンや架橋型シリコーン、これらの複合粉体である架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体等のシリコーン粉体が挙げられ、特に小皺、毛穴等の凹凸補正効果、伸び広がりと密着感の点において、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体が好ましい。
具体的には、例えば、化粧品の成分表示名称で表すと、ポリメチルシルセスキオキサン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー等を挙げることができ、エラストマーであるものやエラストマーでないもの等がある。
市販品としては、例えば、トレフィルE505、E506、E701(何れも、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、トスパール2000B*(東芝シリコーン社製)、KSP−100、101、102、105、300(何れも信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0017】
本発明の成分(b)の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、小皺、毛穴等の凹凸補正効果、伸び広がりと密着感、及び仕上がりのさらさらとした感触の点において、1〜25μmが好ましく、1〜15μmが更に好ましい。
尚、成分(b)の平均粒子径は電気抵抗法より測定した値である。
【0018】
本発明に用いられる成分(b)のシリコーン樹脂粉体の配合量は特に限定されるものではないが、小皺、毛穴等の凹凸補正効果、伸び広がり及び仕上がりのさらさらとした感触の点において、10〜50%が好ましく、より好ましくは20〜40%である。
【0019】
本発明に用いられる成分(c)は、未処理もしくは表面被覆処理剤により疎水化処理された酸化亜鉛であり、処理を施される酸化亜鉛としては、形状は特に限定はされないが、平均粒径は凹凸補正効果、仕上がりのさらさら感の点において、1μm以下であることが好ましい。ハンドリングの観点で1〜100nmであることが好ましく、更に好ましくは10〜100nmである。このような酸化亜鉛の市販品としては、例えばFINEX−50(堺化学工業社製)、ZnO−350(住友大阪セメント社製)、酸化亜鉛FZO−50(石原産業社製)、微粒子酸化亜鉛MZ−500(テイカ社製)等が挙げられる。
尚、成分(c)の平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−910を用い、湿式分散測定法にて測定した。
【0020】
成分(c)を表面被覆処理する場合の表面被覆処理剤としては、通常化粧料に用いられる疎水化剤であれば特に制限はなく、例えば、シリコーン処理剤、フッ素処理剤、有機チタネート処理剤、金属石鹸処理剤、レシチン処理剤などが挙げられる。特に分散性及び化粧膜の均一性の点で、シリコーン処理剤、フッ素処理剤、有機チタネート処理剤が好ましい。
【0021】
具体的には、シリコーン処理剤としては、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン類、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン等の変性シリコーン類、トリメチルシロキシケイ酸やアクリレートシリコーン等のシリコーン樹脂類、シリコーンゴム類、部分又は全架橋オルガノポリシロキサン類、シリル化剤類、シランカップリング剤類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、メチルハイドロジェン基を含むものであれば、特に限定はされない。
【0023】
また、シランカップリング剤の中でも、トリアルコキシアルキルシランが好ましい。トリアルコキシアルキルシランは、ケイ素原子に三つのアルコキシ基と一つのアルキル基が結合した化合物であり、該アルコキシ基が粉体表面の水酸基等と反応することにより、粉体表面を化学的に修飾する化合物である。該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルコキシ基は、炭素数1〜3のアルコキシ基であるメトキシ、エトキシ、プロポキシ等が好ましい。また、該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルキル基は、炭素数6〜18のアルキル基であるヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等が好ましい。このようなトリアルコキシアルキルシランは、例えば、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメトキシデシルシラン、トリメトキシオクタデシルシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシオクチルシラン、トリエトキシデシルシラン、トリエトキシオクタデシルシラン等が挙げられる。これらのトリアルコキシアルキルシランの中でも、トリメトキシオクチルシラン、トリエトキシオクチルシランを選択すると、肌との親和性が向上するため特に好ましい。
【0024】
フッ素処理剤としては、フッ素変性シリコーン、パーフルオロアルキルリン酸及びその塩、パーフルオロポリエーテル、フルオロアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸及びその塩、パーフルオロアルキルシラン等のフッ素化合物が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
有機チタネート処理剤は、例えば、長鎖カルボン酸型、ピロリン酸型、亜リン酸型、アミノ酸型等のアルキルチタネート等が挙げられ、炭素数8〜24のアルキル基を有するアルキルチタネートが好ましい。前記アルキルチタネートは、具体的には、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートとして、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられ、ピロリン酸型アルキルチタネートとして、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられ、亜リン酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられ、アミノ酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等が挙げられる。本発明においては、これらアルキルチタネートの中でも、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートを選択することが好ましく、特にイソプロピルトリイソステアロイルチタネートを選択すると、肌との親和性が向上するため特に好ましい。
【0026】
成分(c)における表面疎水化処理の方法は特に制限はなく、公知の方法で実施できる。例えば、溶媒に表面被覆処理剤と処理される粉体粒子を添加し、撹拌処理又はボールミル処理した後、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の表面疎水化処理粉体を得ることができる。また、表面被覆処理剤である数種類の化合物を同時に表面処理することもでき、何れか一つの化合物で予め表面被覆処理をしてから、更に他の化合物を表面被覆処理することもできる。
【0027】
本発明における成分(c)の含有量は、特に制限されないが、小皺や毛穴等の凹凸補正効果や、なめらかな伸び広がり、適度な皮膚への密着感と化粧料の経時安定性の点において、1〜15%が好ましく、さらには、なめらかな伸び広がりの点において、1〜10%が好ましい。また、成分(c)は、必要に応じその1種又は2種以上を用いることができる。
【0028】
本発明に用いられる成分(d)の液体油は、25℃において液状であり通常化粧料に用いられる液体油剤であれば特に制約なく使用することができ、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、炭化水素類、油脂類、エステル油類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、2−エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、トリメリト酸トリトリデシル等のエステル類、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2−オクチルドデシル)等のアミノ酸系油剤、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン油類、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。また、成分(d)は、成分(a)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の混合物として使用することもできる。これらの中でも、ジメチルポリシロキサンやメチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油が、さらさらとした感触の点で好ましい。
本発明における成分(d)の含有量は、特に制限されないが、小皺や毛穴等の凹凸補正効果や、なめらかな伸び広がり、適度な皮膚への密着感と化粧料の経時安定性の点において、成分(a)の混合物として含有する量も含めて、全成分中20〜70%が好ましく、25〜65%がより好ましい。
【0029】
本発明において、成分(b)、成分(c)を含む粉体成分の総量と成分(d)の含有比(質量比)が1:7〜2:1であると、手や塗布具へのとれに優れるため好ましい。更に、1:5〜1.7:1であるとより好ましい。
【0030】
本発明の口唇化粧料には、上記の(a)〜(d)の必須成分に加え、本発明の効果を妨げない範囲で、油性成分、油ゲル化剤、粉体およびそれらの表面処理物、界面活性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、色素、香料等、通常化粧料に配合される他の成分を配合することができる。
【0031】
油性成分としては、成分(d)以外で、通常化粧料に用いられる25℃で固形又はペースト状の油性成分であれば特に制約なく使用することができ、例えばワセリン、セレシンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライトワックス、エチレンプロピレンコポリマー等の炭化水素類、モクロウ等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ、モンタンワックス等のロウ類、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、等のアミノ酸系油剤、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、架橋型オルガノポリシロキサン、シリコーンワックス等のシリコーン油類、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、油性ゲル化剤として、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、オクタン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリンのデキストリン脂肪酸エステル類、ショ糖ステアリン酸エステル、酢酸ステアリン酸スクロースのショ糖脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
【0032】
粉体成分としては、成分(b)、(c)以外で、化粧料に一般に使用される粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等の合成樹脂粉体、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素の複合粉体等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、必要に応じて、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等を用いて、公知の方法により表面処理を施したり、更に複合化したものを用いても良い。
【0033】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
【0034】
水性成分としては、水の他に、例えば、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1、2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0035】
紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のPABA系;4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパン−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルへキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が挙げられ、目的に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0036】
保湿剤としては、尿素、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
防腐剤、抗菌剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
【0037】
酸化防止剤としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等、pH調整剤としては乳酸、乳酸塩、クエン酸、クエン酸塩、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としてはアラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン等、清涼剤としてはL−メントール、カンファ、薄荷油、ペパーミント油、ユーカリ油等、抗炎症剤としてはアラントイン、グリチルレチン酸塩、グリチルレチン誘導体、トラネキサム酸、アズレン等が夫々挙げられる。
【0038】
美容成分としては、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0039】
ビタミン類としてはビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等が挙げられる。
【0040】
アミノ酸類としては、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、アラニン、グリシン、プロリン等が挙げられる。
【0041】
本発明の凹凸補正化粧料は、油性剤型や粉体剤型等とすることができ、最も好ましい剤型は、油性と粉体の中間領域の剤型が好ましく、弾力性のある感触をもつ、弾性ゲル状が好ましい。弾性ゲル状とは、例えば、化粧料の表面を指で軽く押して弾力性を感じる化粧料である。
本発明の凹凸補正化粧料の形態は、固形状、ゲル状等の形態が好ましく、最も好ましい形態は、ゲル状であると、手や塗布具へのとれがよく好ましい。例えば、30℃において、稠度が100〜200mm(JIS K2220に基づき、2号アルミコーンを用いて測定した稠度値)を示すものが好ましい。
【0042】
本発明の凹凸補正化粧料は、特に限定されるものではないが、通常の化粧料を製造する方法にて製造されるものである。例えば、成分(a)と成分(d)の一部を混合し、ペースト状組成物とし、これに成分(b)、(c)及び残りの成分(d)を添加、混合し、必要に応じてその他成分を添加混合する方法等により製造することができる。
【0043】
本発明の凹凸補正化粧料は、ファンデーション等のメーキャップ化粧料の塗布前後に使用し、小皺や毛穴等の肌上の微小な凹凸を目立たなくする特殊用途の化粧料や、好ましくない微小な凹凸を目立たなくする機能を付加したファンデーション、コンシーラー、白粉、頬紅、化粧下地、アイシャドウ、日焼け止め化粧料等のメーキャップ化粧料や、乳液、クリーム等のスキンケア化粧料等の何れにも適用可能である。
【0044】
本発明の凹凸補正化粧料は、単独で肌に塗布することにより、小皺や毛穴等の肌上の凹凸を自然にぼかして目立ちにくくし、滑らかに伸び広がって均一に密着し、さらさらとした使用感に優れ、しかもその効果の持続性に優れるという効果を奏するものである。また、ファンデーション等のメーキャップ化粧料の塗布前後に使用し、メーキャップ化粧料の伸び広がりに影響を与えることなく、均一な膜が形成でき凹凸補正効果が得られるものである。
【実施例】
【0045】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0046】
実施例1〜7および比較例1〜4:凹凸補正化粧下地(ゲル状)
表1に示す組成の油性化粧下地を下記製造方法に従って調製した。得られた化粧下地について、下記評価方法により「凹凸補正効果」、「伸び広がり」、「密着感」、「さらさらとした使用感」、「化粧持続効果」、「経時安定性」について評価を行った。その結果を併せて表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
*1:KSG−15 (信越化学工業社製)
*2:KSG−16 (信越化学工業社製)
*3:KSG−310 (信越化学工業社製)
*4:KSP−101 (信越化学工業社製)
*5:KSP−300 (信越化学工業社製)
*6:トスパール2000B*(東芝シリコーン社製)
*7:MZ−500(テイカ社製)
*8:MZY−505S(テイカ社製)
*9:ジメチルポリシロキサン(20cs) 3%処理
【0049】
(製造方法)
A.成分1〜13を混合し、均一分散する。
B.Aをジャー容器に充填して油性化粧下地を得た。
【0050】
〔評価方法1:凹凸補正効果、伸び広がり、密着感、さらさらとした使用感、化粧持続効果〕
化粧料評価専門パネル20名に前記実施例及び比較例の化粧下地を毛穴、小皺、ほうれい線などの凹凸の気になる部分に使用してもらい、「凹凸補正効果」、「伸び広がり」、「密着感」、「さらさらとした使用感」、「化粧持続効果」について、各自が以下の基準に従って7段階評価し、試料毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。尚、「化粧持続効果」は塗布後6時間後の化粧膜の凹凸補正効果について評価した。
(評価基準)
(評点):(評価)
6 : 非常に良い
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い
(判定基準)
(評点の平均点) :(判定)
5.0以上 :◎(非常に良好)
3.5以上5.0未満:○(良好)
2.0以上3.5未満:△(普通)
2.0未満 :×(不良)
【0051】
〔評価方法2:経時安定性〕
直径30mm、深さ15mmのガラスジャー容器に5g充填し、50℃の高温槽に1週間おいてから観察した際に、変化なく安定なものを◎、僅かに変化したものを○、変化したものを△、明らかに変化したものを×とした。
【0052】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1〜7の化粧下地は、「凹凸補正効果」、「伸び広がり」、「密着感」、「さらさらとした使用感」、「化粧持続効果」、「経時安定性」の全ての項目に優れた油性化粧料であった。一方、成分(a)を変更した比較例1では、良好な伸び広がりが得られず、肌への密着感も不十分であり、経時安定性においても50℃で廃液が観察された。また、成分(b)を変更した比較例2では、製剤として適度な粘度も保てず、毛穴などの凹凸補正効果の点て著しく劣り、さらさらとした使用感の点でも劣るものであった。さらに、成分(b)を他の球状粉体に置き換えた比較例3では、やはり凹凸補正効果と使用感の点で劣り、経時安定性も良好なものではなかった。また、酸化亜鉛未配合の比較例4では凹凸補正効果、肌への密着感の点で劣り、経時安定性も不十分なものであった。
【0053】
〔評価方法3:メーキャップ化粧料との併用性〕
実施例1〜7および比較例1〜4の凹凸補正化粧下地を使用した後、ファンデーションを塗布した場合の、ファンデーションの付着性及び凹凸補正効果について評価した。尚、評価方法は、前記評価方法1を準用して行った。
【0054】
本発明の評価に使用したパウダーファンデーション組成及び製造方法
(成分) (%)
1.タルク 15
2.セリサイト 残量
3.酸化チタン 10
4.ナイロン粉末 5
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
6.流動パラフィン 5
7.ワセリン 1
8.ジメチルポリシロキサン(6mm
2/s、25℃) 4
(パウダーファンデーションの製造方法)
A:成分1〜5を均一に混合する。
B:成分6〜8を加熱混合し、これをAに添加混合後、粉砕する。
C:Bを金皿にプレス成型してパウダーファンデーションを得た。
【0055】
(評価結果)
本発明品である実施例1〜7の凹凸補正化粧下地を用いたものは、ファンデーションの付着性及び凹凸補正効果に優れるものであった。
一方、比較例1〜4は実施例に比べ付着性も良くないが、特に凹凸補正効果に劣り、比較例4は凹凸補正のみならず、付着性にも劣るものであった。
【0056】
〔評価方法4: 稠度測定)
実施例1〜7について、稠度を、測定温度30℃で、稠度計(日本油試験機工業株式会社製)を用い、JIS−K2220に基づき、2号アルミコーンを用いて測定した。
結果は、実施例1〜7全て100〜200mmに入り、適量使用するのに良いものであった。
【0057】
実施例8:油性ほほ紅
(成分) (%)
(1)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の混合物*10 10
(2)シリコーン樹脂粉体*11 20
(3)酸化亜鉛*12 4
(4)ジメチルポリシロキサン(10mm
2/s、25℃) 残量
(5)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3
(6)パルミチン酸2−エチルヘキシル 1
(7)リンゴ酸ジイソステアリル 1
(8)メチルフェニルポリシロキサン *13 0.5
(9)酸化チタン 2
(10)雲母チタン 5
(11)黄酸化鉄 0.2
(12)ベンガラ 0.4
(13)黒酸化鉄 0.1
(14)赤色202号 0.2
(15)ジプロピレングリコール 0.1
(16)香料 0.1
*10:KSG−210(信越化学工業社製)
*11:KSP−100(信越化学工業社製)
*12:300μ
*13:SH556FLUID(東レ・ダウコーニング社製)
【0058】
(製造方法)
A.成分1〜16を混合し、均一分散する。
B。Aを容器に充填し、油性ほほ紅を得た。
(結果)
実施例8の油性ほほ紅は、シワや毛穴がめだたず、伸び広がりが良く、密着感とさらさらとした使用感に優れ、化粧持続効果及び経時安定性に優れたものであった。
【0059】
実施例9:油性アイシャドウ
(成分) (%)
(1)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の混合物*14 5
(2)シリコーン樹脂粉体*6 25
(3)酸化亜鉛*12 3
(4)ジメチルポリシロキサン(10mm
2/s、25℃) 残量
(5)デカメチルシクロペンタシロキサン 7
(6)水添ポリイソブテン 2
(7)ミネラルオイル 5
(8)ジカプリン酸プロピレングリコール 5
(9)キャンデリラロウ 0.1
(10)ポリエチレンワックス 0.1
(11)酸化チタン 1.5
(12)セリサイト 1
(13)シリカ 0.5
(14)酸化チタン被覆ガラス末*15 3
(15)酸化チタン被覆合成金雲母*16 3
(16)雲母チタン 5
(17)ベンガラ 0.4
(18)赤色226号 0.5
(19)赤色226号 0.5
(20)黄色4号 1.2
(21)メチルパラベン 0.1
(22)香料 0.1
*14:KSG−43(信越化学工業社製)
*15:メタシャインMC1080TY(日本板硝子株式会社製)
*16:HELIOS R100S(トピー工業株式会社製)
【0060】
(製造方法):
A.成分4〜10を90℃に加熱し、均一混合する。
B.Aを攪拌しながら、成分1〜3、11〜22を添加し、均一分散する。
C.Bを容器に充填し製品を得た。
(結果)
実施例9の油性アイシャドウは、目のシワが目立たず、伸び広がりが良く、密着感とさらさらとした使用感に優れ、化粧持続効果及び経時安定性に優れたものであった。
【0061】
実施例10:油性コンシーラー
(成分) (%)
(1)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の混合物*2 8
(2)シリコーン樹脂粉体*4 10
(3)シリコーン樹脂粉体*11 5
(4)微粒子酸化亜鉛*17 10
(5)ジメチルポリシロキサン(20mm
2/s、25℃) 残量
(6)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3
(7)パルミチン酸2−エチルヘキシル 1
(8)シクロペンタシロキサン 10
(9)メチルトリメチコン 5
(10)酸化チタン 5
(11)黄酸化鉄 0.2
(12)ベンガラ 0.4
(13)黒酸化鉄 0.05
(14)ジプロピレングリコール 0.5
(15)香料 0.05
*17:ZnO−350(住友大阪セメント社製)
【0062】
(製造方法)
A.成分1〜15を混合し、均一分散する。
B.Aを容器に充填し製品を得た。
(結果)
実施例10の油性コンシーラーは、カバー効果だけでなく凹凸補正効果にも優れており、伸び広がりと密着感、さらにはさらさらとした使用感と化粧持続効果及び経時安定性に優れたものであった。
【0063】
実施例11:油性ファンデーション
(成分) (%)
(1)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の混合物*1 3
(2)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の混合物*2 1
(3)シリコーン樹脂粉体*4 15
(4)疎水化処理微粒子酸化亜鉛*18 5
(5)ジメチルポリシロキサン(10mm
2/s、25℃) 残量
(6)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3
(7)パルミチン酸2−エチルヘキシル 1
(8)パラメトキシケイヒ酸2−エチルヘキシル 4
(9)ジエチルアミノヒドロキシ安息香酸ヘキシル 1
(10)シクロペンタシロキサン 5
(11)メチルトリメチコン 5
(12)トリエトキシカプリリルシラン3%処理酸化チタン 7
(13)黄酸化鉄 0.2
(14)ベンガラ 0.4
(15)黒酸化鉄 0.05
(16)ジプロピレングリコール 0.5
(17)香料 0.1
*18:トリイソステアリン酸イソプロピルチタン3%、ハイドロゲンジメチコン5%処理微粒子酸化チタン(25μ)
【0064】
(製造方法)
A.成分1〜17を混合し、均一分散する。
B.Aを容器に充填し製品を得た。
(結果)
実施例11の油性ファンデーションは、凹凸補正効果と伸び広がりに優れており、肌への密着感、さらさらとした使用感、さらには化粧持続効果及び経時安定性にも優れたものであった。
【0065】
実施例12:油性日焼け止め
(成分) (%)
(1)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の混合物*2 4
(2)シリコーン樹脂粉体*4 15
(3)シリコーン処理微粒子酸化亜鉛*8 10
(4)ジメチルポリシロキサン(10mm
2/s、25℃) 残量
(5)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2
(6)パルミチン酸2−エチルヘキシル 1
(7)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 6
(8)ジエチルアミノヒドロキシ安息香酸ヘキシル 3
(9)ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシ
フェニルトリアジン 2
(10)シクロペンタシロキサン 5
(11)メチルトリメチコン 2
(12)酸化チタン 1
(13)黄酸化鉄 0.2
(14)ベンガラ 0.4
(15)黒酸化鉄 0.05
(16)ジプロピレングリコール 0.5
(17)香料 0.1
【0066】
(製造方法)
A.成分1〜17を混合し、均一分散する。
B.Aを容器に充填し製品を得た。
(結果)
実施例11の油性日焼け止めは、凹凸補正効果と伸び広がりに優れており、肌への密着感、さらさらとした使用感、さらには化粧持続効果及び経時安定性にも優れたものであった。