特許第6263004号(P6263004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263004
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】切断屑処理装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 33/00 20060101AFI20180104BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20180104BHJP
   B30B 13/00 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B23D33/00 B
   B26D7/18 A
   B30B13/00 D
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-236237(P2013-236237)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-93371(P2015-93371A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長井 伸二
(72)【発明者】
【氏名】住貞 健次
(72)【発明者】
【氏名】吉村 一八
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−297825(JP,A)
【文献】 特開平06−277773(JP,A)
【文献】 特開昭53−122184(JP,A)
【文献】 特開平2−194935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 33/00 − 35/00
B26D 7/18
B30B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材の端部を裁断してできた切断屑を第1方向に搬送する搬送装置上から搬送装置外に排除する切断屑処理装置であって、
前記第1方向とは異なる第2方向に回転面を有し、周回駆動される引掛け凸部を有する第1排出機構を備え、
前記第1排出機構は、前記引掛け凸部を周回駆動することで前記引掛け凸部を前記切断屑に接触させて前記切断屑を前記搬送装置外に排除することを特徴とする切断屑処理装置。
【請求項2】
前記第1排出機構は、前記引掛け凸部を前記搬送装置の搬送面より上部において周回駆動することを特徴とする請求項1に記載の切断屑処理装置。
【請求項3】
前記引掛け凸部の先端と前記搬送装置の搬送面との最短距離は、距離の調整が可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の切断屑処理装置。
【請求項4】
前記第1排出機構は、前記切断屑の搬送方向の後端を検出した際に前記引掛け凸部を周回駆動することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切断屑処理装置。
【請求項5】
前記第1排出機構は、前記切断屑の搬送方向の後端を検出しない際には、前記引掛け凸部を周回軌道の上部側に停止して配置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の切断屑処理装置。
【請求項6】
前記引掛け凸部は、周回レール上を移動する構成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の切断屑処理装置。
【請求項7】
前記引掛け凸部は、前記搬送装置の搬送方向に長い長尺形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の切断屑処理装置。
【請求項8】
前記第1方向とは異なる第3方向に摺動するシリンダーのシリンダーロッドと、前記シリンダーロッドの端部に設けられた引掛け垂下部と、を有する第2排出機構をさらに備え、
前記第2排出機構は、前記シリンダーを駆動することで前記引掛け垂下部に前記切断屑を接触させて前記切断屑を前記搬送装置外に排除することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の切断屑処理装置。
【請求項9】
前記第1排出機構と前記第2排出機構とを前記第1方向と直交する前記搬送装置の上部に対向させて配置したことを特徴とする請求項8に記載の切断屑処理装置。
【請求項10】
前記引掛け垂下部の最下端と前記搬送装置の搬送面との離間距離は、距離の調整が可能であることを特徴とする請求項8または9に記載の切断屑処理装置。
【請求項11】
前記第2排出機構は、前記切断屑の搬送方向の後端を検出した際に前記シリンダーを駆動することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の切断屑処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置上に残る成形品の切断屑を搬送装置外へ排除する切断屑処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属製の長尺板材をロール成形機により所定の形状に成形し、成形された素成形品の幅や長さを規定寸法に切断して最終製品を得るロール成形設備が知られている。このロール成形設備は、ロール状に巻かれた板材を送出するアンコイラー、送出された板材を一方向に搬送しながら成形するロール成形機、成形された素成形品の長さを規定寸法に切断する走行切断機、当該素成形品を所定の幅寸法に切断するロール切断機、切断された最終製品を搬送するローラーコンベア等による搬送装置で構成されている。
走行切断機は、素成形品を搬送方向に直交する方向に切断するもので、ロール成形機の成形速度と同期して移動、動作して長尺方向の長さを決める切断機である。また、搬送方向に平行に切断し幅方向の長さを決めるスリッターと称されるロール切断機(固定された基台に据付られており、「ロールカッター」と呼ぶ事もある。)などを備えている。
【0003】
長尺方向の長さを決める走行切断機は、被切断体である素成形品に対して対向する上切断刃と下切断刃とを備えている。そして、素成形品を切断するに際しては、搬送されてくる被切断体を上下の位置関係にある上昇、下降する上切断刃と固定された下切断刃により、挟んで切断する。
また、幅方向の長さを決めるロール切断機は、被切断体である素成形品に対して対向する円盤状の上切断刃と同じく円盤状の下切断刃とを備えている。当該素成形品を搬送方向に切断するに際しては、搬送されてくる被切断体を回転する円盤状の上切断刃と下切断刃とで挟み込んで切断する(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
このようなロール成形設備のロール切断機での工程では、被切断体を切断した後の切断屑が搬送装置上に残されている。切断屑が搬送装置上に残されていると最終製品と一緒にその後の仕上げ工程に搬送されてしまったり、最終製品の保管、梱包工程に混入してしまったりといった問題がある。
【0005】
そこで、従来のロール成形設備は、図5に示すような跳ね出し装置30を搬送装置13のローラー13aの両側部に設け、切断屑21bを検知した跳ね出し装置30がローラー13aの下部から上部へと回動し、ローラー13a上を搬送されてくる切断屑21bを搬送装置外に取り払うように処理する切断屑処理装置が採用されていた。
また、搬送装置上の切断屑を搬送方向と直交する方向にシリンダー装置で押し出す構成の切断屑処理装置も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−274351号公報
【特許文献2】実開平3−59120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属製の長尺板材をロール成形機で成形したときには素成形品自体が特に幅方向で若干反ってしまうことがある。反った状態でロール切断機に搬送されて切断されると、成形した最終製品の幅方向の端部が搬送装置から浮いた状態となり、当該製品の下部に切断屑が挟まることがある。
このとき、上記の跳ね出しタイプの切断屑処理装置は、図6に示すように、製品21aの下部に挟まった切断屑21bを搬送装置外に取り払うことができない。そして、切断屑21bが跳ね出し装置の直上からずれていたときにも同様に切断屑を搬送装置外に取り払うことができない。
また、特許文献2に記載されたシリンダータイプの切断屑処理装置は、ロール切断機で素成形品の幅方向を切断した際に搬送装置上で成形した最終製品の両脇に切断屑が存在する場合には、搬送方向に直交する方向にシリンダーが駆動するため切断屑のみを取り除くことが構造上困難となっている。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、搬送装置上にロール成形機により幅方向が反った状態の最終製品と切断屑とが重なって存在していても、搬送装置上の切断屑を確実に排除する切断屑処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る切断屑処理装置は、板材の端部を裁断してできた切断屑を第1方向に搬送する搬送装置上から搬送装置外に排除する切断屑処理装置であって、前記第1方向とは異なる第2方向に回転面を有し、周回駆動される引掛け凸部を有する第1排出機構を備え、前記第1排出機構は、前記引掛け凸部を周回駆動することで前記引掛け凸部を前記切断屑に接触させて前記切断屑を前記搬送装置外に排除するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る切断屑処理装置によれば、搬送装置上にロール成形機により幅方向が反った状態の最終製品と切断屑とが重なって存在していても、搬送装置上の切断屑を確実に排除することができるのでロール成形設備を停止させることなく、手出し作業をなくして安全性で生産効率の高い生産設備を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係るロール成形設備の概略図である。
図2】実施の形態1に係る切断屑処理装置の概要図である。
図3】実施の形態1に係るデッキプレートのバリエーションa(素成形品21_1)の斜視図である。
図4a】実施の形態1に係るデッキプレートのバリエーションaの断面図である。
図4b】実施の形態1に係るデッキプレートのバリエーションbの断面図である。
図4c】実施の形態1に係るデッキプレートのバリエーションcの断面図である。
図4d】実施の形態1に係るデッキプレートのバリエーションdの断面図である。
図4e】実施の形態1に係るデッキプレートのバリエーションeの断面図である。
図4f】実施の形態1に係るデッキプレートのバリエーションf(素成形品21_2)の断面図である。
図4g】実施の形態1に係るデッキプレートのバリエーションgの断面図である。
図5】従来の切断屑処理装置である跳ね出し装置の概略図である。
図6】従来の切断屑処理装置の問題点を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るロール成形設備の切断屑処理装置1について、図面を用いて説明する。
なお、以下で説明する構成等は、一例であり、本発明に係る切断屑処理装置1は、そのような構成等に限定されない。
また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
また、重複又は類似する説明については、適宜簡略化又は省略している。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るロール成形設備の概略図である。
実施の形態1に係るロール成形設備では、製品として建築物の床材として使用されるデッキプレートを成形する例を説明する。
【0014】
[ロール成形設備]
ロール成形設備は、例えば金属製の長尺板材を所定の形状や寸法に成形する一つの製造ラインとして利用される。図1に示すように、長尺の金属板材をロール状に巻いたコイル材から一定速度で板材20を引き出すアンコイラー10と、送出された板材20を一方向に搬送しながら成形するロール成形機11と、成形された素成形品21の長さを規定寸法に切断する走行切断機12aと、当該素成形品を所定の幅寸法に切断するロール切断機12b、切断された最終製品21aを搬送する搬送装置13と、最終製品21aの載積、梱包を行う仕上げ装置14等で主に構成されている。
【0015】
[アンコイラー10]
アンコイラー10は、装着された亜鉛めっき鋼板等の金属のコイル材から所定の速度でロール成形機11に対して板材20を送出する装置である。
【0016】
[ロール成形機11]
ロール成形機11は、アンコイラー10から受けた板材20を対向する複数の成形ロール11aによって構成されるロールスタンド11bで冷間成形する装置である。デッキプレートなどの広幅断面製品は、主に軟鋼板に断面波付け加工をして剛性を向上させるため、種々の波形形状及び板端形状を組み合せて成形される。選定された断面波形形状及び板幅等に応じて成形ロール11aが設計され、板材20は複数のロールスタンド11bを介して板幅中央より順次外側へと冷間ロール成形されていく。
【0017】
[走行切断機12a]
ロール成形機11で成形された板材20は、走行切断機12aに送られる。走行切断機12aは、板材20を搬送方向に直交する方向に切断し長尺方向の長さを決める機械で、第1カッター装置12aと、以下、便宜的に呼ぶものとする。
【0018】
第1カッター装置12aは、搬送される板材20の上部に設けられた上切断刃12cと搬送される板材20の下部に設けられた下切断刃12dとを備えている。そして、板材20を裁断するに際しては、搬送されてくる板材20を上切断刃12cと下切断刃12dとで挟んで切断する。
【0019】
[ロール切断機12b]
ロール切断機12bは、搬送方向に平行に切断し幅方向の長さを決めるスリッターと称され、以下、便宜的に第2カッター装置12bと呼ぶ。第2カッター装置12bは、板材20の幅方向両端部のいわゆる耳部分を切り落とすため2枚の円盤状の上切断刃12eと、上切断刃12eの刃先と対向する下切断刃12fを備えている。板材20を搬送方向に切断するに際しては、搬送されてくる板材20を回転する円盤状の上切断刃12eと回転する下切断刃12fとで挟んで切断する。上切断刃12eと下切断刃12fとは、ロールシャフト(図示せず)を介して、固定された基台に設けられている。
【0020】
[搬送装置13]
走行切断機12aにより所定の長さ寸法と幅寸法に切断された成形後の素成形品21は、搬送装置13に載置されローラー13a上を搬送される。このとき素成形品21は最終製品21aと切断屑21bとに切断されている。切断屑21bは、前述の第2カッター装置12bにより素成形品21から切断されたものであり、ローラー13aの両端部に載置されている。すなわち、切断屑21bは素成形品21を搬送方向に直交する幅方向の両端部のいわゆる耳部分を切り落とした切断屑である。
【0021】
[切断屑処理装置1]
このときの搬送装置13の進行方向の断面の切断屑21bの様子を図2に示す。
図2は、実施の形態1に係る切断屑処理装置の概要図である。
搬送装置13のローラー13a上の両端部には、第2カッター装置12bにより最終製品21aから切断された切断屑21bが載置され搬送されている。
搬送装置13の上部には、この切断屑21bを搬送装置13のローラー13a上から排除する切断屑処理装置1が設置されている。
【0022】
[デッキプレート]
ここで、実施の形態1に係るロール成形設備で製造される最終製品21aの一例としてデッキプレートについて説明する。
図3は、実施の形態1に係るデッキプレートのバリエーションa(所定形状の素成形品21_1)の斜視図である。
図4a〜図4gは、実施の形態1に係るデッキプレートのバリエーションa〜gの各断面図である。(なお、図4fのバリエーションfは、所定形状の素成形品21_2である)。
【0023】
はじめに、上記ロール成形設備のロール成形機11により亜鉛めっき鋼板を冷間ロール成形し、第1凸部21cと第2凸部21dとが形成された長尺形状のデッキプレート(素成形品21_1)若しくは、第1凸部21cを有しない第2凸部21dのみで形成されたデッキプレート(素成形品21_2)を成形する。
第1凸部21cはデッキプレートの幅方向の端部に形成されており、デッキプレートを床材として並べる際に隣に敷設されたデッキプレートに差し込まれ、互いを係合する役割を果たすものである。第2凸部21dはデッキプレートが床材として施工されたときデッキプレート上に打設されるコンクリートの荷重を受ける構造梁の役目を果たすものである。
第2凸部21dは、図4a〜図4gに示すように先端が略三角断面形状の中空構造となっているが、この形状に限定されるわけではなく、例えば円形断面形状や矩形断面形状としてもよい。(JIS G 3352、JIS G 3316、等)
【0024】
このデッキプレートには実際の製造上から2種類の基礎形状があり、図4a(素成形品21_1)に示す断面形状と図4f(素成形品21_2)に示す断面形状のものがある。なお、この2種類の素成形品21_1、21_2は、このままの形状で最終製品21aとなる。
これら2種類の基礎形状のデッキプレートを走行切断機12aとロール切断機(第2カッター装置)12bにより長尺方向と幅方向とを切断し、その他のバリエーション(図4b〜図4e、図4g)の断面形状を製造する。
図4aに示した基礎形状(素成形品21_1)から、幅方向の端部を第2カッター装置12bでロール切断して図4b〜図4eに示す断面形状を制作する。また、図4fに示した基礎形状(素成形品21_2)から同様に図4gに示す断面形状を製造する。
すると、2種類の基本形状の幅方向の端部を切断することで、図4b〜図4e、図4gの破線部分に示すような第1凸部21cや第2凸部21dを有する切断屑21bが発生する。
【0025】
[第1排出機構2]
実施の形態1に係る切断屑処理装置1には、図2に示すように搬送装置13のローラー13aの一端部に対応した第1排出機構2が設けられている。
第1排出機構2は、ローラー13aの一端部直上に配置されており、切断屑処理装置1の梁部1aから吊り下げられている。また、梁部1aには最終製品21aを搬送中に位置決めする押さえ部1bが設けられている。
【0026】
第1排出機構2は、モータ2bとギア2cとの間を無端チェーン2aで接続し、無端チェーン2aの外周側に取り付けた引掛け凸部2dを水平方向に長い周回レール2f上で周回駆動させる構成となっている。周回レール2fは、上部と下部とに水平部分を有する形状をしており、引掛け凸部2dをその外周側に取り付けて周回駆動ができるように構成されている。引掛け凸部2dは周回レール2fの下面側を移動する際に引掛け凸部2dの先端の軌跡である下部水平軌道2e上をローラー13aと平行に外方に向けて移動する。引掛け凸部2dが周回レール2fの下面側を移動する向き(第2方向に相当)は、搬送装置13の搬送方向(第1方向に相当)に対して例えば直交する向きとなっている。
【0027】
すなわち、引掛け凸部2dが無端チェーン2aにより駆動されて周回レール2f上を回転する回転面(第2方向に相当)が搬送装置13の搬送方向(第1方向に相当)に対して例えば直交する向きとなっている。なお、この向きは直交していなくてもよく、搬送装置13の搬送方向に対してずれていればよい。
また、引掛け凸部2dが周回レール2f上を回転する構成を例として示したが、引掛け凸部2dを回転する円筒体の外周に配置し、円筒体と共に回転する構成としてもよい。
【0028】
引掛け凸部2dの下部水平軌道2eは、成形時に切断屑21bに形成された第1凸部21cの高さに合わせ、周回レール2fの高さを変更することにより、ローラー13aに対する高さを変更可能に構成されている。
また、引掛け凸部2dの形状は、搬送装置13の搬送方向に長い長尺形状であることが好ましい。さらに、引掛け凸部2dの本数は、図2では1本で記載したが複数備えていてもよい。
そして、第1排出機構2の引掛け凸部2dが周回レール2fの下面側を移動する際に切断屑21bの第1凸部21cに引っかかることで切断屑21bが搬送装置13外に排除される。
【0029】
この第1排出機構2は、光電管等のセンサー(図示しない)により搬送装置13上の切断屑21bにおける進行方向の後端を検出し、モータ2bが駆動するように制御される。
そして、切断屑21bの後端を検出しない場合には引掛け凸部2dは周回レール2fの上部に移動するように制御される。
【0030】
このように構成された第1排出装置は、切断屑21bの第1凸部21cの高さに合わせ、ローラー13aに対する高さを調整することができるので、低い高さの第1凸部21cに対応することができる。また、引掛け凸部2dは、切断屑21bの後端を検出しない場合には周回軌道上の上部に移動しており、引掛け凸部2dの下部を通過する切断屑21bに引っかかることがない。
【0031】
したがって、第1排出装置はローラー13aからの高さ(下部水平軌道2eとローラー13aとのクリアランス)を最小限まで小さくする微調整をすることが可能となることで、ローラー13aからの高さが低い切断屑21bの第1凸部21cを確実に引っ掛け、最終製品21aの下部に切断屑21bが挟まっている状態でも搬送装置13の外部に切断屑21bを排除することが可能となる。
【0032】
[第2排出機構3]
次に、同じく図2を用いて搬送装置13のローラー13aの他端部に対応して設けられた第2排出機構3について説明する。
第2排出機構3は、搬送装置13の搬送方向に例えば直交する向きに摺動するシリンダーのシリンダーロッド3aとシリンダーロッド3aの先端に取り付けられた引掛け垂下部3bとにより構成されている。
【0033】
引掛け垂下部3bの下部水平軌道3cは、切断屑21bに成形時に形成された第2凸部21dの高さに合わせ、ローラー13aに対して高さを変更可能に構成されている。
また、引掛け垂下部3bの形状は、搬送装置13の搬送方向に長い長尺形状であることが好ましい。この引掛け垂下部3bの長尺形状にあわせて、搬送装置13の搬送方向にシリンダーを複数設け、引掛け垂下部3bを駆動するとよい。
そして、第2排出機構3の引掛け垂下部3bがこの第2凸部21dに引っかかることで切断屑21bが搬送装置13外に排除される。ここでの第2凸部21dは、第1凸部21cに比べて突出高さが高い形状をしている。
【0034】
第2排出機構3は、第1排出機構2と同様に光電管等のセンサー(図示しない)により搬送装置13上の切断屑21bにおける進行方向の後端を検出し、シリンダーロッド3aを搬送装置13の外部に向けて(第3方向に相当)駆動するように制御される。
そして、切断屑21bの後端を検出しない場合には搬送装置13のローラー13aの中央側にシリンダーロッド3aを伸ばした状態となるよう制御される。
【0035】
このように構成された第2排出機構3は、シリンダーを利用した簡単な構成で、第1凸部21cよりも高さが高く、引掛け垂下部3bの精密な高さ調整の必要のない第2凸部21dを確実に引っ掛け、最終製品21aの下部に切断屑21bが挟まっている状態でも搬送装置13の外部に切断屑21bを排除することが可能となる。
【0036】
以上のように、実施の形態1に係る切断屑処理装置1は、切断屑21bの有する高さの異なる第1凸部21c及び第2凸部21dに対応して第1排出機構2と第2排出機構3とを使い分け、搬送装置13の外部に切断屑21bを確実に排除することが可能となる。また、切断屑21bを引掛ける凸部が第2凸部21dのように比較的高い場合には構成の簡単な第2排出機構3を採用することによって切断屑処理装置1のコストを抑えることができる。
【0037】
なお、実施の形態1に係る切断屑処理装置1は、第1排出機構2と第2排出機構3とを搬送装置13におけるローラー13aの両端部に1台ずつ配置したものを記載したが、切断屑21bが有する凸部の高さや切断屑21bの成形時の反り具合によって、両方を第1排出機構2としてもよいし、両方を第2排出機構3とした構成とすることも可能である。
【0038】
また、実施の形態1では建築物の床材であるデッキプレートを例として記載したが、凹凸のある板状部材であれば切断屑処理装置1としての第1排出機構2及び第2排出機構3が採用可能であり、例えば金属製の折板屋根材や、外壁材の成形時の切断屑処理などに適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 切断屑処理装置、1a 梁部、1b 押さえ部、2 第1排出機構、2a 無端チェーン、2b モータ、2c ギア、2d 引掛け凸部、2e 下部水平軌道、2f 周回レール、3 第2排出機構、3a シリンダーロッド、3b 引掛け垂下部、3c 下部水平軌道、10 アンコイラー、11 ロール成形機、11a 成形ロール、11b ロールスタンド、12a 走行切断機(第1カッター装置)、12b ロール切断機(第2カッター装置)、12c 上切断刃、12d 下切断刃、12e 上切断刃、12f 下切断刃、13 搬送装置、13a ローラー、14 仕上げ装置、20 板材、21 素成形品、21a 最終製品、21b 切断屑、21c 第1凸部、21d 第2凸部。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図5
図6