(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263011
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】ドアウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
B60J 10/24 20160101AFI20180104BHJP
B60J 10/50 20160101ALI20180104BHJP
B60J 10/86 20160101ALI20180104BHJP
【FI】
B60J10/24
B60J10/50
B60J10/86
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-250750(P2013-250750)
(22)【出願日】2013年12月4日
(65)【公開番号】特開2015-107704(P2015-107704A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】小田 廣
(72)【発明者】
【氏名】岡山 彰夫
【審査官】
三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭55−023905(JP,U)
【文献】
特開平10−006772(JP,A)
【文献】
特開平09−300963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
B60J 10/00 − 10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドア周縁に沿って取付けられる取付基部と、その取付基部の車内側に一体成形されドア閉時にはボディのドア開口縁の車内側に弾接する中空シール部と、前記取付基部の車外側に一体成形されドア閉時には前記ドア開口縁の車外側に弾接するシールリップ部を備えるドアウェザーストリップであって、
前記取付基部は、前記ドア周縁に接して取付けられる板状の底壁部と、該底壁部の車内側から前記ドア閉時のボディのドア開口縁側に向けて車外側に斜めに延びる車内側壁部と、前記底壁部の車外側から延びて前記車内側壁部の端部に接続された車外側壁部からなり、
前記シールリップ部は、前記取付基部の車外側壁部から車外側に向けて延設され、
前記中空シール部は、前記取付基部の車内側壁部の前記底壁部側に寄った部位に配置された第一付け根部と前記車内側壁部の端部側に寄った部位に配置された第二付け根部を介して前記車内側壁部に接続されるとともに、前記中空シール部の車内側の底面に相対向する前記ドア周縁の面を延長した基準線に対する前記中空シール部の最高位置までの距離を、前記基準線に対する前記車内側壁部と車外側壁部の接続位置頂点までの距離以下にし、
前記中空シール部の前記ボディのドア開口縁側の面を前記第二付け根部から車内側に向けて真っ直ぐ延びる平担面にし、
前記中空シール部の車外側壁部を前記取付基部の車内側壁部の一部として一連に前記第一付け根部から前記第二付け根部に向かって車外側に傾けてなることを特徴とするドアウェザーストリップ。
【請求項2】
自動車のドア周縁に沿って取付けられる取付基部と、その取付基部の車内側に一体成形されドア閉時にはボディのドア開口縁の車内側に弾接する中空シール部と、前記取付基部の車外側に一体成形されドア閉時には前記ドア開口縁の車外側に弾接するシールリップ部を備えるドアウェザーストリップであって、
前記取付基部は、前記ドア周縁に接して取付けられる板状の底壁部と、該底壁部の車内側から前記ドア閉時のボディのドア開口縁側に向けて車外側に斜めに延びる車内側壁部と、前記底壁部の車外側から延びて前記車内側壁部の端部に接続された車外側壁部からなるとともに、前記車内側壁部と車外側壁部の接続位置頂点から近接する前記ボディのドア開口縁までの距離は、前記底壁部に対する前記車内側壁部と車外側壁部の接続位置頂点までの距離の1/2以下であり、
前記シールリップ部は、前記取付基部の車外側壁部から車外側に向けて延設され、
前記中空シール部は、前記取付基部の車内側壁部の前記底壁部側に寄った部位に配置された第一付け根部と前記車内側壁部の端部側に寄った部位に配置された第二付け根部を介して前記車内側壁部に接続されるとともに、前記中空シール部の車内側の底面に相対向する前記ドア周縁の面を延長した基準線に対する前記中空シール部の最高位置までの距離を、前記基準線に対する前記車内側壁部と車外側壁部の接続位置頂点までの距離以下にし、
前記中空シール部の前記ボディのドア開口縁側の面を前記第二付け根部から車内側に向けて真っ直ぐ延びる平担面にし、
前記中空シール部の車外側壁部を前記取付基部の車内側壁部の一部として一連に前記第一付け根部から前記第二付け根部に向かって車外側に傾けてなることを特徴とするドアウェザーストリップ。
【請求項3】
前記中空シール部の第二付け根部の位置を、前記取付基部の車内側壁部と車外側壁部の接続位置にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のドアウェザーストリップ。
【請求項4】
前記シールリップ部は、前記取付基部の車外側に互いに離間した状態で一体成形された第一シールリップ部及び第二シールリップ部からなり、前記ボディのドア開口縁に弾接する時、前記第一シールリップ部及び第二シールリップ部は互いに干渉しないように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載のドアウェザーストリップ。
【請求項5】
前記取付基部の車外側壁部は、前記車内側壁部の端部に向けて車内側に斜めに延び、前記取付基部の断面形状を略三角形状にするとともに、
前記第一シールリップ部は、前記車内側壁部と車外側壁部の接続位置から延設され、前記第二シールリップ部は、前記車外側壁部の略中間位置から延設されてなることを特徴とする請求項4に記載のドアウェザーストリップ。
【請求項6】
前記取付基部の車外側壁部は、前記底壁部から略直角に立設された立設部と該立設部の端部から前記車内側壁部の端部に向けて車内側に延びる連結部からなり、前記取付基部の断面形状を略矩形状にするとともに、
前記第一シールリップ部は、前記車内側壁部と車外側壁部の接続位置から延設され、前記第二シールリップ部は、前記車外側壁部の立設部と連結部の接続位置から延設されてなることを特徴とする請求項4に記載のドアウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドア周縁に沿って取付けられ、ボディ側に弾接してドアとボディとの間をシールするドアウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
図8及び
図9に示すように、自動車のドア1の周縁に沿ってドア1とボディのドア開口縁部2の間をシールするドアウェザーストリップ10が取付けられている。
ドアウェザーストリップ10は、ドア1周縁に沿って直接取付けられる取付基部11と、その取付基部11の車内側に一体成形されドア1の閉時にはボディのドア開口縁2の車内側に弾接する中空シール部12と、取付基部11の車外側に一体成形され同じくドア1の閉時にはドア開口縁2の車外側に弾接するシールリップ部13を備えている。
【0003】
このようなドアウェザーストリップ10では遮音性を向上させるために中空シール部12の肉厚を、
図9に示すように大きくして面密度を高くすることが考えられるが、ドア1の閉時に中空シール部12が撓んだ際に、
図10に示すように、中空シール部12の上面側に断面略U字形状に膨らんだ部位12aが生じ、その根元同士が接触するとドア閉じ性が悪くなるといった問題がある。
【0004】
これに対して、シールリップ部13を1枚から2枚にすることで遮音壁を増加させることも考えられる(例えば、特許文献1参照)が、2枚のシールリップ部13が互いに接触すると同様にドア閉じ性が悪くなるため、車外側のシールリップ部をより車外側に移動させると先端がボディのドア開口縁2から車外側にはみ出して外観性が悪くなりシール性にも問題が発生し、逆に、車内側のシールリップ部をより車内側に移動させると車内側のシールリップ部が断面略U字形状に膨らんだ部位に接触してドア閉じ性が悪くなってしまう。
【0005】
また、中空シール部の上面壁の取付基部側から延びる方向をドアの進入軌跡よりも中空シール部の底面側に下げるようにすれば(例えば、特許文献2参照)、断面略U字形状に膨らんだ部位の発生を抑えることができるが、中空シール部の上面壁とボディのドア開口縁部2との間に大きな隙間ができるため、遮音性能としては不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−61544号公報
【特許文献2】特開2004−299527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、断面形状だけを変えることで、特にドア閉じ性を悪化させることなく遮音性能を一層向上させることのできるドアウェザーストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のドアウェザーストリップは、自動車のドア(1)周縁に沿って取付けられる取付基部(21)と、その取付基部(21)の車内側に一体成形されドア(1)閉時にはボディのドア開口縁(2)の車内側に弾接する中空シール部(22)と、前記取付基部(21)の車外側に一体成形されドア(1)閉時には前記ドア開口縁(2)の車外側に弾接するシールリップ部(23,24)を備えるドアウェザーストリップ(20)であって、
前記取付基部(21)は、前記ドア(1)周縁に接して取付けられる板状の底壁部(21a)と、該底壁部(21a)の車内側から前記ドア(1)閉時のボディのドア開口縁(2)側に向けて車外側に斜めに延びる車内側壁部(21b)と、前記底壁部(21a)の車外側から延びて前記車内側壁部(21b)の端部に接続された車外側壁部(21c)からなり、
前記シールリップ部(23,24)は、前記取付基部(21)の車外側壁部(21c)から車外側に向けて延設され、
前記中空シール部(22)は、前記取付基部(21)の車内側壁部(21b)の前記底壁部(21a)側に寄った部位に配置された第一付け根部(22a)と前記車内側壁部(21b)の端部側に寄った部位に配置された第二付け根部(22b)を介して前記車内側壁部(21b)に接続されるとともに、前記中空シール部(22)の車内側の底面(22c)に相対向する前記ドア(1)周縁の面(1b)を延長した基準線(L)に対する前記中空シール部(22)の最高位置(Q)までの距離(D)を、前記基準線(L)に対する前記車内側壁部(21b)と車外側壁部(21c)の接続位置頂点(P)までの距離(S)以下に
し、
前記中空シール部(22)の前記ボディのドア開口縁(2)側の面(22d)を前記第二付け根部(22b)から車内側に向けて真っ直ぐ延びる平担面にし、
前記中空シール部(22)の車外側壁部を前記取付基部(21)の車内側壁部(21b)の一部として一連に前記第一付け根部(22a)から前記第二付け根部(22b)に向かって車外側に傾けてなることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、自動車のドア(1)周縁に沿って取付けられる取付基部(21)と、その取付基部(21)の車内側に一体成形されドア(1)閉時にはボディのドア開口縁(2)の車内側に弾接する中空シール部(22)と、前記取付基部(21)の車外側に一体成形されドア(1)閉時には前記ドア開口縁(2)の車外側に弾接するシールリップ部(23,24)を備えるドアウェザーストリップ(20)であって、
前記取付基部(21)は、前記ドア(1)周縁に接して取付けられる板状の底壁部(21a)と、該底壁部(21a)の車内側から前記ドア(1)閉時のボディのドア開口縁(2)側に向けて車外側に斜めに延びる車内側壁部(21b)と、前記底壁部(21a)の車外側から延びて前記車内側壁部(21b)の端部に接続された車外側壁部(21c)からなるとともに、前記車内側壁部(21b)と車外側壁部(21c)の接続位置頂点(P)から近接する前記ボディのドア開口縁(2)までの距離(M)は、前記底壁部(21a)に対する前記車内側壁部(21b)と車外側壁部(21c)の接続位置頂点(P)までの距離(T)の1/2以下であり、
前記シールリップ部(23,24)は、前記取付基部(21)の車外側壁部(21c)から車外側に向けて延設され、
前記中空シール部(22)は、前記取付基部(21)の車内側壁部(21b)の前記底壁部(21a)側に寄った部位に配置された第一付け根部(22a)と前記車内側壁部(21b)の端部側に寄った部位に配置された第二付け根部(22b)を介して前記車内側壁部(21b)に接続されるとともに、前記中空シール部(22)の車内側の底面(22c)に相対向する前記ドア(1)周縁の面(1b)を延長した基準線(L)に対する前記中空シール部(22)の最高位置(Q)までの距離(D)を、前記基準線(L)に対する前記車内側壁部(21b)と車外側壁部(21c)の接続位置頂点(P)までの距離(S)以下に
し、
前記中空シール部(22)の前記ボディのドア開口縁(2)側の面(22d)を前記第二付け根部(22b)から車内側に向けて真っ直ぐ延びる平担面にし、
前記中空シール部(22)の車外側壁部を前記取付基部(21)の車内側壁部(21b)の一部として一連に前記第一付け根部(22a)から前記第二付け根部(22b)に向かって車外側に傾けてなることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記中空シール部(22)の第二付け根部(22b)の位置を、前記取付基部(21)の車内側壁部(21b)と車外側壁部(21c)の接続位置にしたことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記シールリップ部(23,24)は、前記取付基部(21)の車外側に互いに離間した状態で一体成形された第一シールリップ部(23)及び第二シールリップ部(24)からなり、前記ボディのドア開口縁(2)に弾接する時、前記第一シールリップ部(23)及び第二シールリップ部(24)は互いに干渉しないように配置されていることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記取付基部(21)の車外側壁部(21c)は、前記車内側壁部(21b)の端部に向けて車内側に斜めに延び、前記取付基部(21)の断面形状を略三角形状にするとともに、
前記第一シールリップ部(23)は、前記車内側壁部(21b)と車外側壁部(21c)の接続位置から延設され、前記第二シールリップ部(24)は、前記車外側壁部(21c)の略中間位置から延設されてなることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記取付基部(21)の車外側壁部(21c)は、前記底壁部(21a)から略直角に立設された立設部(21d)と該立設部(21d)の端部から前記車内側壁部(21b)の端部に向けて車内側に延びる連結部(21e)からなり、前記取付基部(21)の断面形状を略矩形状にするとともに、
前記第一シールリップ部(23)は、前記車内側壁部(21b)と車外側壁部(21c)の接続位置から延設され、前記第二シールリップ部(24)は、前記車外側壁部(21c)の立設部(21d)と連結部(21e)の接続位置から延設されてなることを特徴とする。
【0015】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、中空シール部の第二付け根部の位置を取付基部の車内側壁部端部側に寄った部位に配置したので、ドアの閉時にドアの周縁とボディのドア開口縁間は、取付基部と中空シール部によって大きく覆い隠され、覆われずに残った隙間は少ない領域となる。これにより、優れた遮音性効果が得られる。
そして取付基部の車内側壁部と車外側壁部の接続位置頂点から近接するボディのドア開口縁までの距離は、底壁部に対する車内側壁部と車外側壁部の接続位置頂点までの距離の1/2以下といったように、取付基部において車内側壁部と車外側壁部の接続位置は、従来のドアウェザーストリップに比べてドアの閉時にはボディのドア開口縁側に大きく寄った位置に設けられることになる。
しかも、中空シール部は第一付け根部と第二付け根部を介して車内側壁部に接続されるが、中空シール部の車内側の底面に相対向するドア周縁の面を延長した基準線に対する中空シール部の最高位置までの距離を、基準線に対する車内側壁部と車外側壁部の接続位置頂点までの距離以下にするように中空シール部の断面形状は設定されるので、ドアの閉時に中空シール部がボディのドア開口縁に弾接する際に、従来例で示したような断面略U字形状に膨らんだ部位が中空シール部に発生したり、中空シール部が第一シールリップ部に干渉することによってドア閉じ性を特に悪化させることもない。
【0017】
また、本発明によれば、中空シール部の第二付け根部の位置を、取付基部の車内側壁部と車外側壁部の接続位置にしたので、ドアの閉時にドアの周縁とボディのドア開口縁間は、取付基部と中空シール部によって最も大きく覆い隠され、覆われずに残った隙間は極めて少ない領域となり、その分遮音性効果は一層大きいものとなる。
【0018】
また、本発明によれば、中空シール部のボディのドア開口縁側の面を第二付け根部から車内側に向けて真っ直ぐ延びる平担面にしたので中空シール部をボディのドア開口縁に対して密に弾接させることができる。
【0019】
また、本発明によれば、シールリップ部は、取付基部の車外側に互いに離間した状態で一体成形された第一シールリップ部及び第二シールリップ部からなるといったように、二枚のシールリップ部からなるので、一枚のものと比較して遮音効果は増加する。
そして、ボディのドア開口縁に弾接する時、第一シールリップ部及び第二シールリップ部は互いに干渉しないように配置されているのでドア閉じ性を悪化させることが防止される。
【0020】
また、本発明によれば、取付基部の断面形状を略三角形状にするとともに、第一シールリップ部を車内側壁部と車外側壁部の接続位置から延設し、第二シールリップ部を車外側壁部の略中間位置から延設したので、両シールリップ部同士が接触することを防止しつつ両シールリップ部を安定して取付基部で支持することができる。
しかも、両シールリップ部は、取付基部の底壁部の車外側から車内側壁部端部に向けて車内側に斜めに延びる車外側壁部から延設されているため、底壁部に略平行に車内外方向に延びる部位に両シールリップ部を離間させた状態で設けた場合と比較して第一シールリップ部に対して第二シールリップ部をより車内側に配置させることができ、第二シールリップ部がドアから車外側にはみ出す危険性を回避することができる。
【0021】
また、本発明によれば、取付基部の断面形状を略矩形状にするとともに、第一シールリップ部を車内側壁部と車外側壁部の接続位置から延設し、第二シールリップ部を車外側壁部の立設部と連結部の接続位置から延設したので、両シールリップ部同士が接触することを防止しつつ両シールリップ部を安定して取付基部で支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係るドアウェザーストリップを示す、
図8のA−A線拡大断面図である。
【
図2】
図1に示したドアウェザーストリップがボディ側に弾接した状態を示す、
図8のA−A線拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る別のドアウェザーストリップを示す、
図8のA−A線拡大断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るさらに別のドアウェザーストリップを示す、
図8のA−A線拡大断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るさらに別のドアウェザーストリップを示す、
図8のA−A線拡大断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るさらに別のドアウェザーストリップを示す、
図8のA−A線拡大断面図である。
【
図7】
図6に示したドアウェザーストリップがボディ側に弾接した状態を示す、
図8のA−A線拡大断面図である。
【
図9】従来例に係るドアウェザーストリップを示す、
図8のA−A線拡大断面図である。
【
図10】
図9に示したドアウェザーストリップがボディ側に弾接した状態を示す、
図8のA−A線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1,
図2及び
図8を参照して、本発明の実施形態に係るドアウェザーストリップについて説明する。なお、従来例と同一部分は同一符号を付した。
図1は本発明の実施形態に係るドアウェザーストリップ20がボディのドア開口縁2に弾接する前の状態を示し、
図2はボディのドア開口縁2に弾接した状態を示している。
【0024】
このドアウェザーストリップ20は、
図1及び
図8に示すように、自動車のドア1周縁に沿って取付けられる取付基部21と、その取付基部21の車内側に一体成形されドア1閉時にはボディのルーフ側のドア開口縁2の車内側に弾接する中空シール部22と、取付基部21の車外側に一体成形されドア1閉時には、中空シール部22とともにドア開口縁2の車外側に弾接する二つのシールリップ部(第一シールリップ部23と第二シールリップ部24)を備えている。
【0025】
取付基部21は、底壁部21a,車内側壁部21b及び車外側壁部21cがそれぞれ接続された断面形状を略三角形状にしたもので断面略中央に中空部25が形成されている。
底壁部21aは、ドア1周縁となるフレーム(サッシュでもよい)の水平に延びる取付面1aに接して取付けられる板状でありその車内側端部及び車外側端部がドア1のフレームに形成された嵌合部1X,1Yに嵌め込まれることによって取付けられている。なお、底壁部21aを嵌合部1X,1Yに嵌め込むことにかえてクリップ(図示しない)を介してドア1周縁に固定するようにしてもよい。
車内側壁部21bは、底壁部21aの車内側からドア1閉時のボディのドア開口縁2側に向けて車外側に斜めに延びている。
車外側壁部21cは、底壁部21aの車外側からドア1閉時のボディのドア開口縁2側に向けて車内側に斜めに延びて車内側壁部21bの端部に接続されている。
【0026】
そして、車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置頂点Pから近接するボディのドア開口縁2までの距離Mは、底壁部21aに対する車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置頂点Pまでの距離Tの1/2以下(ここでは略1/5にしている)になるようにしている。このとき、取付基部21の底壁部21aに対する車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置頂点Pまでの距離Tを、底壁部21aの幅(車内外方向の長さ)W以上にしてもよい。
【0027】
また、取付基部21の車外側壁部21cの肉厚は底壁部21a及び車内側壁部21bの肉厚よりも厚く設定するとともに、車外側壁部21cの底壁部21a側の肉厚Kは車内側壁部21b端部側の肉厚Jよりも厚く設定して、第一シールリップ部23と第二シールリップ部24を安定して支持するようにしている。
【0028】
中空シール部22は、取付基部21の車内側壁部21bの底壁部21a側に寄った部位に配置された第一付け根部22aと車内側壁部21bの端部側に寄った部位に配置された第二付け根部22bを介して車内側壁部21bに接続されている。より具体的には、第一付け根部22aは、嵌合部1Xに近接した車内側壁部21bに接続され、第二付け根部22bは、車内側壁部21bの端部、すなわち車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置に接続されている。
【0029】
そして、中空シール部22の車内側の底面22cに相対向するドア1周縁の面1bを延長した線を基準線Lとした場合、その基準線Lに対する中空シール部22の最高位置Qまでの距離Dを、基準線Lに対する車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置頂点Pまでの距離S以下になるように中空シール部22の断面形状を設定している。
ここでは、中空シール部22のボディのドア開口縁2側の面22dについては第二付け根部22bから車内側に向けて真っ直ぐ延びる平担面とするとともに、前記基準線Lに平行に延びるようにしているので、車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置頂点Pは中空シール部22の最高位置Qとなり、基準線Lからその最高位置Qまでの距離Dは、基準線Lから車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置頂点Pまでの距離Sと同一になる。
なお、中空シール部22のドア1周縁2側の面22eについては第一付け根部22aから車内側で前記基準線Lに交差する方向に向けて真っ直ぐ延びる平担面としている。よって、この第一付け根部22aから真っ直ぐ延びる平担面22eの端部が、中空シール部22の車内側の底面22cの位置となる。第一付け根部22aから真っ直ぐ延びる平担面22eの断面形状の幅(長さ)よりも、第二付け根部22bから真っ直ぐ延びる平担面22dの断面形状の幅(長さ)の方が長く、両平担面22d,22eの端部同士を車内側に向けて膨出湾曲した曲面22fで接続してなるものが中空シール部22の断面形状を形成している。
【0030】
第一シールリップ部23と第二シールリップ部24は、断面略舌形状で取付基部21の車外側壁部21cに互いに離間した状態で一体成形され、ボディのドア開口縁2に弾接する時、第一シールリップ部23及び第二シールリップ部24は互いに干渉しないように配置されている。すなわち、第一シールリップ部23は、取付基部21の車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置から車外側に向けて延設されるとともに、第二シールリップ部24は、車外側壁部21cの略中間位置から車外側に向けて延設され、ドア1の閉時には、
図2に示すように、両シールリップ部23,24が接触しないように第一シールリップ部23の付け根部と第二シールリップ部24の付け根部間には十分な空間が確保されている。また、両シールリップ部23,24の断面形状の長さは、第一シールリップ部23より第二シールリップ部24の方が長く略平行に延びていて、ドア1の閉時には両シールリップ部23,24は略同じ撓み量でボディのドア開口縁2に弾接するようにされている。
【0031】
なお、取付基部21の車外側壁部21cにおいて第二シールリップ部24の車外側には、ドアフレームの側端に弾接するリップ26が設けられている。
【0032】
このように構成されたドアウェザーストリップ20によれば、取付基部21において車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置は、従来のドアウェザーストリップに比べてドア1の閉時にはボディのドア開口縁2側に大きく寄った位置に設けられることになり、しかもその接続位置から中空シール部22のボディ側の第二付け根部22bが延設されているので、ドア1の閉時にドア1の周縁とボディのドア開口縁2の間は、取付基部21と中空シール部22で大きく覆い隠され、覆われずに残った隙間Zは極めて少ない領域となり、遮音性効果は大きい。
しかも、中空シール部22のボディのドア開口縁2側の面22dについては第二付け根部22bから車内側に向けて真っ直ぐ延びる平担面で、第二付け根部22bの位置は中空シール部22の車内側の底面22cに相対向するドア1周縁の面1bを延長してなる基準線Lに対する最高位置であるので、
図2に示したように、ドア1の閉時に中空シール部22がボディのドア開口縁2に弾接する際に、従来例で示したような断面略U字形状に膨らんだ部位が中空シール部22に発生したり、中空シール部22が第一シールリップ部23に干渉することによってドア閉じ性を特に悪化させることもない。
【0033】
また、ドア1の閉時に取付基部21の車内側において中空シール部22がボディのドア開口縁2に弾接する際に、取付基部21の車外側では第一シールリップ部23及び第二シールリップ部24といった二枚のシールリップ部がボディのドア開口縁2に弾接するので遮音性に優れるとともに、両シールリップ部22,23の付け根部間には十分な空間が確保されているのでドア1の閉時に両シールリップ部23,24同士が接触してドア閉じ性を悪化させることもない。
しかも、両シールリップ部23,24は、取付基部21の底壁部21aの車外側から車内側壁部21bの端部に向けて車内側に斜めに延びる車外側壁部21cから延設されているため、底壁部21aに略平行に車内外方向に延びる部位に両シールリップ部23,24を離間させた状態で設けた場合と比較して第一シールリップ部23に対して第二シールリップ部24をより車内側に配置させることができ、第二シールリップ部24がドア1から車外側にはみ出す危険性を回避することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、
図1に示したように、中空シール部22の車内側の底面22cに相対向するドア1周縁の面1bを延長した線を基準線Lとした場合、その基準線Lに対する中空シール部22の最高位置Qまでの距離Dを、基準線Lに対する車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置頂点Pまでの距離Sと同一にしたが、
図3に示すように、車内側壁部21bに対する中空シール部22の第一付け根部22aの位置を、車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置頂点Pから底壁部22a側に下げてもよい。
このとき、中空シール部22のボディのドア開口縁2側の面22dは第二付け根部22bから車内側に向けて真っ直ぐ延びる平担面で基準線Lに平行に延びているので、基準線Lに対する中空シール部22の最高位置Qまでの距離Dは、基準線Lに対する車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置頂点Pまでの距離Sより小さくなっている。
【0035】
なお、本実施形態では、中空シール部22のボディのドア開口縁2側の面22dについては第二付け根部22bから車内側に向けて真っ直ぐ延びる平担面とするとともに、基準線Lに平行に延びるようにしたが、平行でなくても車内側に向かうに従って基準線L側に接近するようにしてもよく、その場合は車内側に向けて真っ直ぐ延びる平担面でなくてもよい。
また、逆に中空シール部22のボディのドア開口縁2側の面22dは第二付け根部22bから車内側に向かうに従って基準線L側から離れるようにすることも可能ではあるが、その場合には、
図4に示すように、基準線Lに対する中空シール部22の最高位置Qまでの距離Dは、基準線Lに対する車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置頂点Pまでの距離S以下になるように中空シール部22の断面形状を設定して(
図4の場合では距離D=距離Sとしている)、ドア1の閉時に中空シール部22と第一シールリップ部23が干渉しないようにする。
【0036】
なお、本実施形態では、取付基部21の断面形状を略三角形状にしたが、
図5に示すように、断面形状を略矩形状にするようにしてもよい。
この場合、取付基部21の車外側壁部21cは、底壁部21aからボディのドア開口縁2側に向けて略直角に立設された立設部21dとその立設部21dの端部から車内側壁部21bの端部に向けて車内側に延びる連結部21eから構成される。
そして、第一シールリップ部23は、車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置から延設され、第二シールリップ部24は、車外側壁部21cの立設部21dと連結部21eの接続位置から延設されてなる。
また、取付基部21の車外側壁部21cにおける連結部21eの肉厚は底壁部21a及び車内側壁部21bの肉厚よりも厚く設定するとともに、車外側壁部21cの立設部21dの肉厚Iは連結部21eの肉厚Hよりも厚く設定して、第一シールリップ部23と第二シールリップ部24を安定して保持している。
このように取付基部21の形状を略矩形状(その他の形状であってもよい)にしても上述した
図1の場合と同様に特にドア閉じ性を悪化させることなく遮音性能を優れたものにすることができる。
【0037】
また、
図6及び
図7に示すように、シールリップ部を第一シールリップ部23の一枚だけにすることも可能である。この場合、第一シールリップ部23が接続される取付基部21の車外側壁部21cの部位はドア1の閉時にボディのドア開口縁2側に近接しているので極端に第一シールリップ部23の断面形状を大きくさせる必要はない。
【0038】
また、本実施形態例では、中空シール部22の車内側の底面22cに相対向するドア1周縁の面1bを延長した線を基準線Lとしその基準線Lは、ドア周縁において取付基部21の底壁部21aが取付けられる取付面1aに平行になっているが平行であることに限定されるものではない。また、第一シールリップ部23は、取付基部21の車内側壁部21bと車外側壁部21cの接続位置から延設するようにしたが、多少底壁部21aに寄った車外側壁部21cの位置から延設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ドア
1a 取付面
1b 面
1X 嵌合部
1Y 嵌合部
2 ドア開口縁部
10 ドアウェザーストリップ
11 取付基部
12 中空シール部
12a 断面略U字形状に膨らんだ部位
13 シールリップ部
20 ドアウェザーストリップ
21 取付基部
21a 底壁部
21b 車内側壁部
21c 車外側壁部
21d 立設部
21e 連結部
22 中空シール部
22a 第一付け根部
22b 第二付け根部
22c 車内側の底面
22d ボディのドア開口縁側の面
22e ドア周縁側の面
22f 曲面
23 第一シールリップ部
24 第二シールリップ部
25 中空部
26 リップ
L 基準線
J 車外側壁部の車内側壁部側の肉厚
K 車外側壁部の底壁部側の肉厚
P 接続位置頂点
Q 基準線に対する中空シール部の最高位置
Z 隙間