【実施例1】
【0020】
本実施例1のカメラユニット内蔵歯科用インスツルメントは、歯科用インスツルメントの一種である例えばエアータービン駆動型の歯科用ハンドピースにカメラユニットを内蔵してカメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1としたものである。
【0021】
本実施例1に係るカメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1について、
図1乃至
図14を参照して詳細に説明する。
【0022】
本実施例1のカメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1は、
図1乃至
図5に示すように、患部Pの治療用の切削工具4を着脱可能に装着するヘッド部3を先端側に備えるとともに、後端側の内部にカップリング部10aを備えるグリップ部6からなり、滅菌・消毒対応(耐オートクレーブ性、耐ケミクレーブ性)型に構成した歯科用インスツルメント本体としてのハンドピース本体2と、前記グリップ部6のカップリング部10aに着脱可能なカップリング部10bを備える歯科用ホース部11とを有している。
【0023】
前記ハンドピース本体2におけるグリップ部6には、前記ヘッド部3の近傍に、カメラ本体収容穴部5を設け、また、グリップ部6の外周部の一部、例えばグリップ部6の後端側の外周部に一定の容積の略直方体状の収容領域を有する収容突部7を一体に突設している。
【0024】
前記収容突部7は、
図5に示すように、グリップ部6の後方から見て右利き仕様の場合はグリップ部6の長さ方向に対して所定角度(例えば40〜50度)左に傾けた配置としている。
【0025】
また、左利き仕様の場合には、図示しないが、グリップ部6の長さ方向に対して所定角度(例えば40〜50度)右に傾けた配置とするものである。
【0026】
前記カップリング部10a(ハンドピース本体2側)と、前記カップリング部10b(歯科用ホース部11側)とにより、カップリング10を構成している。
【0027】
そして、前記カメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1において、前記カップリング部10a、10bは、
図2、
図3に示すように、軸受結合により同軸配置で回転可能に、かつ、着脱可能に結合されるように構成している。
【0028】
前記歯科用ホース部11は、図示しない歯科用治療ユニットに接続される接続ホース12を備えている。
【0029】
この接続ホース12内に、図示しない歯科用治療ユニットから供給される圧縮空気を導く空気流路系を構成する空気パイプ13、及び加圧水を導く水流路系を構成する水パイプ14、発光素子駆動用の電気ケーブル15を内装している。
【0030】
そして、歯科用ホース部11、カップリング部10a、ヘッド部3を含むグリップ部6内には、詳細構造は省略するが、前記歯科用ホース部11を経てハンドピース本体2のヘッド部3内に圧送されるエアータービン用の空気流、及び、ヘッド部3から切削工具4に向けて噴射する空気流用の圧縮空気を導く空気流路系21を設けている。
【0031】
また、前記歯科用ホース部11を経てハンドピース本体2のヘッド部3に圧送されヘッド部3から切削工具4に向けて噴射する水流用の加圧水を導く水流路系22を設けている。
【0032】
尚、前記ヘッド部3に装着する切削工具4を回転させる前記エアータービン8への空気流路及びヘッド部3内の水流路については詳細説明を省略する。
【0033】
前記グリップ部6内を占める先端部には、照明用の例えばLED(Light Emitting Diode)素子(例えば駆動電圧DC3.3Vのもの)等からなる光源部16を配置するとともに、前記グリップ部6における前記ヘッド部3の近傍位置に一端が露出し、他端を前記光源部16の近傍に臨ませる配置でロッドファイバ17を配置し、前記光源部16が発光する光を前記ロッドファイバ17を経て導光し、その一端から前記切削工具4による対象部位(患部P)の領域に照明光として射出するように構成している。
【0034】
前記ハンドピース本体2における前記カメラ本体収容穴部5からグリップ6内を経て収容突部7にわたって以下に詳述するカメラ本体32、及び、このカメラ本体32を構成するスリーブ35の外周に装着されるとともに前記空気流路系21に連通させたエアーガイド51、耐熱性ケーブル33、防水コネクタ(メス)34を配置している。
【0035】
ここで、前記カメラユニット31について、
図4乃至
図13を参照して詳述する。
【0036】
前記カメラユニット31は、各部品が耐熱性素材仕様であり、カメラ本体32と、耐熱性ケーブル33と、前記収容突部7内に配置した防水仕様構造の防水コネクタ(メス)34とを具備している。
【0037】
前記カメラ本体32は、円筒状で、ステンレス又は耐熱性樹脂(摂氏135度以上)等からなるスリーブ35と、円板状で、透明な多成分ガラス、石英ガラス等からなり、前記スリーブの一端側に配置されるとともに、ヘッド部の端面近傍に患部、その周辺領域等を撮影した光が入射する撮像窓を構成する撮像用透明体36と、前記スリーブ35内で前記撮像用透明体36の隣りに配置した金属、ステンレス又はアルミニューム等からなる円板状で、絞り機能を備えた絞り体37と、前記スリーブ35内で前記絞り体37の隣りに配置したガラス非球面レンズ等からなるレンズ38と、前記スリーブ35内で、前記レンズ38の隣りに配置した撮像素子支持体39により撮像面を前記撮像用透明体36側に向けて支持されたCMOS(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)等からなる撮像素子(カラーイメージセンサ)40と、金属、ステンレス又はアルミニューム等からなる円板状で、前記スリーブ35の他端側に配置した端部板41と、前記スリーブ35の他端側において端部板41を覆い、かつ、一端側を前記撮像素子40に接続した耐熱性ケーブル33を貫通させた略円錐体形状のエポキシ又はシリコン等からなり、固定シール機能を発揮する弾性部材42と、を有している。
【0038】
前記耐熱性ケーブル33は、テフロン(登録商標)被覆電線等からなり、その他端側は、前記収容突部7内に配置した防水コネクタ(メス)34に接続している。
【0039】
前記防水コネクタ(メス)34に対しては、
図4に示すように、撮像信号出力ケーブル44を備えたコネクタ(オス)43が着脱自在に装着されるようになっている。
【0040】
前記耐熱性樹脂としては、PTEE(4フッ化エチレン)、POM(ポリアセタール)、PEEK(ポリエーテルケトン:スーパーエンジニアリングプラスチック)、PEI(ポリエーテルイミド)等の例を挙げることができる。
【0041】
前記撮像用透明体36の外周部と前記スリーブ35の内壁との間はFPM(フッ素ゴム)等からなるOリング45により密着結合し外部からシールしている。
【0042】
また、前記撮像素子支持体39の外周とスリーブ35の内壁との間はFPM(フッ素ゴム)等からなるOリング45により密着結合し外部からシールしている。
【0043】
尚、前記撮像用透明体36の外周部と前記スリーブ35の内壁との間、及び、前記撮像素子支持体39の外周とスリーブ35の内壁との間は、各々例えばエポキシ系接着剤、
ホットメルト接着剤、嫌気性接着剤等のシール材Sにより密着結合する構成を採用してもよい。
【0044】
さらに、前記絞り体37の外周部と前記スリーブ35の内壁との間、及び、前記レンズ38の外周部と前記スリーブ35の内壁との間も、上述した場合と同様に例えばエポキシ系接着剤、ホットメルト接着剤、嫌気性接着剤等のシール材Sにより密着結合する構成としてもよい。
【0045】
前記スリーブの一端側の外周には略円筒状のエアーガイド51を装着している。
【0046】
前記エアーガイド51は、
図9乃至
図11に示すように、ステンレス又は耐熱性樹脂(摂氏135度以上)からなり、略二重円筒状に形成したガイド筒52を具備している。
【0047】
すなわち、前記エアーガイド51を構成するガイド筒52は、前記スリーブ35が嵌装される内孔53aを中央部に有する内側筒部53と、内側筒部53の外側で、かつ、内側筒部53の外周との間に一定の隙間を有するように同心配置に形成した外側筒部54と、を有し、前記内側筒部53、外側筒部54の
図10における上端部間を端板部52aにより閉塞し、
図10における下端部間は開口して、前記内側筒部53、外側筒部54間に下端側のみ開口した空気流通穴部55を設けた構成としている。
【0048】
また、空気流通穴部55は、
図11に示すように、前記内側筒部53の外壁と、外側筒部54の内壁とにわたって分離配置に形成した4つの仕切り片56により例えば4つに仕切られている。
【0049】
さらに、端板部52aを貫通するように前記空気流路系21から分岐した一本の空気分岐管路57が配置され、前記空気流路系21、空気分岐管路57、空気流通穴部55を経て、前記エアーガイド51の下方へエアーを吹き出すように構成し、これにより、エアーカーテン効果で、撮像用透明体36の撮像面の曇りを防止し得るように構成している。
前記仕切り片56は、空気流通穴部55の開口端から前記端板部52aの空気流通穴部55に臨む下面より例えば5乃至10mm下側の位置までとされており、これにより、一本の空気分岐管路57から空気流通穴部55内にエアーを供給するだけで、4つに仕切られた空気流通穴部55の各穴からエアーを吹き出すことが可能となっている。
【0050】
本実施例1のカメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1においては、前記カメラ本体32を構成するスリーブ35の外周とエアーガイド51の内側筒部53の内周との間、前記エアーガイド51の外側筒部54の外周とカメラ本体収容穴部5の内壁との間、前記収容突部7の内周と防水コネクタ(メス)34の外周との間の各固定連結部は、各々上述した場合と同様に例えばエポキシ系接着剤、嫌気性接着剤等のシール材Sにより密着結合するシール構造としている。
【0051】
図14は、本実施例1に係るカメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1により撮像した患部Pの画像を詳細は省略するが表示手段60の画面に表示した例を示す図である。
【0052】
上述した構成からなる本実施例1のカメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1は、滅菌・消毒対応(耐オートクレーブ性、耐ケミクレーブ性)型に構成したハンドピース本体2に対して前記カメラユニット31を内蔵している。
【0053】
そして、前記カメラユニット31におけるカメラ本体32、エアーガイド51、防水コネクタ34、耐熱性ケーブル33をいずれも耐熱性素材により構成し、かつ、カメラユニット31におけるカメラ本体32の各構成部品の固定連結部、カメラ本体32とエアーガイド51との固定連結部、エアーガイド51とカメラ本体収容穴部5との固定連結部、カメラ本体32に対する耐熱性ケーブル33の接続部外側領域、前記カメラ本体32とカメラ本体収容穴部5との固定連結部、前記防水コネクタ34と収容突部7の収容領域との固定連結部を、各々耐熱性シール部材によるシール構造とし、滅菌・消毒対応型としたものである。
【0054】
これにより、前記ハンドピース本体2に加えて前記カメラユニット31をも滅菌・消毒対応(耐オートクレーブ性、耐ケミクレーブ性)型としてこれら両者を一体化でき、本実施例1のカメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1を使用して患部Pの治療を行った後の滅菌、消毒後の前記ハンドピース本体2全体の清潔性、安全性を確保することができ、さらには、全体構成の簡略化、取扱い容易化を実現できるカメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1を提供することができる。
【0055】
また、前記カメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1に内蔵したカメラユニット31による患部Pの撮像によって、
図14に示すような患部Pの画像を視覚により確認することもでき、 これにより、施術者側における治療操作性を高めつつ口腔内の各部、例えば根管口、髄角、髄床底、窩洞陰影部等の視認による死角領域の低減、さらには、患者側の治療、処置内容への理解促進を図ることも可能なカメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1を提供することができる。
【0056】
さらに、本実施例1によれば、前記エアーガイド51から撮像用透明体36の下方へ、すなわち、前記切削工具4側へエアーを吹き出すように構成しているので、これにより、カメラユニット31による患部Pの撮像に際してエアーカーテン効果により撮像用透明体36の撮像面の曇りを防止し、患部Pの高品質の画像を得ることもできるカメラユニット内蔵歯科用ハンドピース1を提供することができる。
【実施例2】
【0057】
本発明の実施例2について
図15を参照して説明する。
【0058】
本実施例2は、滅菌・消毒対応型の歯科用インスツルメントの他例である例えば歯科用シリンジ(マルチウェイシリンジ)に上述した場合と同様な構成の基にカメラユニット31を内蔵して
図15に概略的に示すカメラユニット内蔵歯科用シリンジ71としたものである。
【0059】
尚、
図15に示すカメラユニット内蔵歯科用シリンジ71において、実施例1の場合と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0060】
本実施例2において、前記カメラユニット内蔵歯科用シリンジ71を構成する滅菌・消毒対応型のシリンジ本体72は、公知のように加圧された流体(水又は薬液)の管路と、圧縮空気の管路と、それらの管路を夫々制御する制御弁とを備えており、歯科処置に応じて複数種の歯科用作用流体を噴射ノズル73から患部Pに選択的に噴射し、患部Pを処置する構成とするとともにカメラユニット31により患部Pやその周辺領域の画像を撮像可能に構成している。
【0061】
また、シリンジ本体72の外周の一部に、実施例1の場合と同様な収容突部74を一体に設け、前記シリンジ本体72における噴射ノズル73の取り付け部の近傍位置に、実施例1の場合と同様な構成の基にカメラユニット31のカメラ本体32を、前記収容突部74に防水コネクタ(メス)34を各々配置し、さらにシリンジ本体72内にカメラ本体32と防水コネクタ34とを接続する耐熱性ケーブル33を配置している。
【0062】
本実施例2のカメラユニット内蔵歯科用シリンジ71におけるカメラ本体32とシリンジ本体72との固定連結部、収容突部74と防水コネクタ34との固定連結部のシール構造は各々実施例1の場合と同様である。
【0063】
本実施例2のカメラユニット内蔵歯科用シリンジ71は、さらに実施例1の場合と同様な接続コネクタ(オス)43、撮像信号出力ケーブル44を備えている。
【0064】
本実施例2によれば、シリンジ本体72に加えて前記カメラユニット31をも滅菌・消毒対応(耐オートクレーブ性、耐ケミクレーブ性)型としてこれら両者を一体化でき、本実施例2のカメラユニット内蔵歯科用シリンジ71を使用して患部Pの治療を行った後の滅菌、消毒後の前記シリンジ本体72の清潔性、安全性を確保することができ、さらには、全体構成の簡略化、取扱い容易化を実現できるカメラユニット内蔵歯科用シリンジ71を提供することができる。
【0065】
また、前記カメラユニット内蔵歯科用シリンジ71により患部Pの処置を実行する際に、カメラユニット31により患部Pの撮像を行うことによって、実施例1の場合と同様、
図14に示すような患部Pの画像を視覚により確認することもでき、これにより、施術者側における処置操作性を高めつつ口腔内の各部、例えば根管口、髄角、髄床底、窩洞陰影部等の視認による死角領域の低減、さらには、患者側の処置内容への理解促進を図ることも可能なカメラユニット内蔵歯科用シリンジ71を提供することができる。
【実施例3】
【0066】
本発明の実施例3について
図16を参照して説明する。
【0067】
本実施例3は、滅菌・消毒対応型の歯科用インスツルメントの他例である例えば歯科用スケーラに上述した場合と同様な構成の基にカメラユニット31を内蔵して
図16に概略的に示すカメラユニット内蔵歯科用スケーラ81としたものである。
【0068】
尚、
図16に示すカメラユニット内蔵歯科用スケーラ81において、実施例1の場合と同一のヨウ素には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0069】
前記カメラユニット内蔵歯科用スケーラ81は、例えば、詳細説明は省略するが、超音波振動源(圧電素子)と振動伝達部材(ホーン)とが一体形成された超音波振動子を滅菌・消毒対応型のスケーラ本体82に配置し、患部Pに有効に作用する歯科用チップ83をスケーラ本体82の先端に配置して、超音波振動により歯科用チップ83を駆動して、口腔内の歯面,歯間、歯肉縁下のスケーリング(歯石取り)等を行うとともに、カメラユニット31により患部Pやその周辺領域の画像を撮像可能に構成している。
【0070】
また、スケーラ本体82の外周の一部に、実施例1の場合と同様な収容突部84を一体に設け、前記スケーラ本体82における歯科用チップ83の取り付け部の近傍位置に、実施例1の場合と同様な構成の基にカメラユニット31のカメラ本体32を、前記収容突部84に防水コネクタ(メス)34を各々配置し、さらにスケーラ本体82内にカメラ本体32と防水コネクタ34とを接続する耐熱性ケーブル33を配置している。
【0071】
本実施例3のカメラユニット内蔵歯科用スケーラ81におけるカメラ本体32とスケーラ本体82との固定連結部、収容突部84と防水コネクタ34との固定連結部のシール構造は各々実施例1の場合と同様である。
【0072】
本実施例3のカメラユニット内蔵歯科用スケーラ81は、さらに接続コネクタ(オス)43、撮像信号出力ケーブル44を備えている。
【0073】
本実施例3によれば、スケーラ本体82に加えて前記カメラユニット31をも滅菌・消毒対応(耐オートクレーブ性、耐ケミクレーブ性)型としてこれら両者を一体化でき、本実施例3のカメラユニット内蔵歯科用スケーラ81を使用して患部Pの治療を行った後の滅菌、消毒後の前記スケーラ本体82の清潔性、安全性を確保することができ、さらには、全体構成の簡略化、取扱い容易化を実現できるカメラユニット内蔵歯科用スケーラ81を提供することができる。
【0074】
また、前記カメラユニット内蔵歯科用スケーラ81により患部Pの処置を実行する際に、カメラユニット31により患部Pの撮像を行うことによって、実施例2の場合と同様、
図14に示すような患部Pの画像を視覚により確認することもでき、これにより、施術者側における処置操作性を高めつつ口腔内の各部、例えば根管口、髄角、髄床底、窩洞陰影部等の視認による死角領域の低減、さらには、患者側の処置内容への理解促進を図ることも可能なカメラユニット内蔵スケーラ歯科用81を提供することができる。