【0025】
部品(LED素子21を含む電子部品)の吸着及び装着動作について説明する。
前記プリント基板Pが上流装置より供給コンベアを介して位置決め部8に搬送されて位置決め固定され、装着順毎の装着データに従い、装着ヘッド6が移動して、電子部品の部品種に対応した吸着ノズル11が装着すべき電子部品を所定の部品供給ユニット5から吸着して取出す。
図1の部品供給装置3A、3B、3C、3Dに並設されている部品供給ユニット5は前記スプロケットの周囲に放射状に突出した歯(嵌合ピン)がLED素子21等の電子部品が所定間隔で収納された収納テープ30の送り孔29に嵌合してこの収納テープ30を送る。LED素子21を取出す前に前記スプロケットがLED素子21の収納間隔で間欠回転することによりLED素子21が収納されている収納部31は、LED素子21が取出される取出し位置に
図3(a)に示すように位置決め停止される。
次に、収納部31に収納されたLED素子21の外形の撮像及びその位置認識が行われる。即ち、基板認識カメラ19の下の鏡筒の周りに環状に備えられた図示しない光源から赤色等の照明光が収納部31内のLED素子21全体に照射される。この照射光は前記フィルタ24にカットされずに透過する波長の光である。この光源は照明灯20の近傍に基板認識カメラ19の光軸を中心として環状に設けられていてもよいし、この光軸の両側に一対もしくは列状に設けられていても良い。尚、外形の撮像時にフィルタにカットされないかカットされても一部透過するような近紫外光の照明を用いてもよい。
LED素子21は
図4に示すように収納部31内に載置されているが、
図3(b)に示すように赤色等の照明によりその外形の輪郭(エッジ)が収納部31の輪郭(エッジ)とは区別されて撮像される。この画像からLED素子21の中心等の外形基準位置32がLED素子21の外形の位置として図示しない発光部認識手段としての制御部に認識される。LED素子21の外形の位置として認識される外形基準位置32はLED素子21の重心であってもよいし、外形から認識して特定できる所定の基準点の位置であってもよい(例えば、矩形であれば辺あるいは角部等から所定の距離角度等で位置が特定できる位置)。
次に装着ヘッド6を移動させず、また部品供給ユニット5内での収納テープ30の送りも停止したまま、蛍光体21AのLED素子21の外形に対する位置を検出する。即ち、
図3(b)に示す位置で赤色等の照明を切り、青色光を照射する照明灯20を点灯させ収納部31及びLED素子21に照明を照射してカメラ19で撮像すると、
図4の蛍光体21Aのみが明るく映り、その周りのモールド部等からの青色光はフィルタ21でカットされ暗い状態の画像が撮像される。この画像から蛍光体21Aの中心等の蛍光体基準位置33が蛍光体21Aの位置として発光部認識手段としての制御部に認識・検出される。蛍光体21Aの位置としては中心位置でなく重心位置もしくは蛍光体21Aの画像から認識できる所定の基準点の位置であってもよい(例えば、認識可能な特定の辺あるいは角部等から所定の距離角度等で位置が特定できる点の位置)。
上述のようにLED素子21の外形の位置に対する蛍光体21Aの位置との関係が把握されることから、LED素子21の外形に対する蛍光体21Aの位置が認識・検出される。電子部品装着装置1の図示しない制御部にはLED素子21の外形に対して蛍光体21Aの位置すべき所定位置が記憶されており(上述の外形中心位置等の該駅基準位置32を原点として蛍光体基準位置33がX,Y方向に変位している座標位置として等)、この所定位置に対する蛍光体21Aの位置ずれが認識(算出)される。
次に、装着ヘッド6が部品取出し位置に移動する。この場合、吸着ノズル11がLED素子21の略中心位置を吸着できるように前述の認識結果に基づいて装着ヘッド6の水平方向への移動を制御することが好ましい。または、蛍光体21Aの位置も認識しているので、蛍光体21Aを吸着ノズル11が避けるほうが良い場合には避けた位置を吸着するように装着ヘッド6を移動させてもよい。このようにして装着ヘッド6の水平方向の位置決めをすると共に装着ヘッド6は
図3(c)に示すように下降してLED素子21を吸着して取出す。
次に、装着ヘッド6は吸着したLED素子21を吸着ノズル11に保持して部品認識カメラ12上に移動して、部品認識カメラ12の周囲からLED素子21に照射される光がLED素子21下面で反射された反射像の撮像を
図3(d)に示すように行う。この撮像画面は
図5に示すように暗い背景にその背景よりは明るいLED素子21の下面が映り下面の中のリード端子35が明るく映る画面となっており、装着ヘッド6に対するLED素子21の外形の位置の認識が可能である。従って、この外形の位置に対する蛍光体21Aの位置が前述のLED素子21を取出す前の認識により分かっているため、装着ヘッド6に対しての蛍光体21Aの位置が計算により部品外形認識手段としての図示しない制御部により認識できる。
図5には撮像されない蛍光体21Aの形成位置を参考のため点線で示しており、この基準位置である星印の位置33がLED素子21の中心32から認識される。
次に、装着ヘッド6はプリント基板P上に移動して図示しない装着データで示されたプリント基板Pの装着すべき位置に図示しない制御部の制御によりLED素子21を
図3(e)のように装着する。
この時、蛍光体21Aの中心位置(基準位置)をこの装着データで示す装着位置に位置決めしたい場合には、認識された蛍光体21Aの中心位置(基準位置)が装着データで示される装着位置に位置するように装着ヘッド6の水平方向の移動が制御され位置決めされ、吸着ノズル11の下降により装着動作が実行される。
次に、収納テープ30が部品供給ユニット5内で送られ次の収納部31に収納されたLED素子21が部品取出し位置に
図3(a)に示されるように位置すると前述と同様にして
図3(b)に示されるLED素子21の上面(発光面)の撮像及び蛍光体21AのLED素子21の外形に対する位置認識が行われ、装着データが示す次の装着位置に蛍光体21Aの位置が合わせて装着される。
このようにして、プリント基板P上に複数のLED素子21がその蛍光体21Aの位置を装着すべき位置に位置決めされて装着される。1直線上に複数の装着位置が並ぶ場合であれば、蛍光体21Aがその1直線上に並んで装着される。
次に、第2の実施形態について説明する。
LED素子21の裏面には
図5に示すように電導性のリード端子35が形成されており、このリード端子35が略同じ形状のプリント基板Pに形成されたランド(銅等の電導性の金属配線)に半田付けして固定される。
プリント基板Pのランドに予め印刷されたペースト状のクリーム半田上にLED素子21装着された状態で所謂リフロー炉にコンベア等で搬入して所定時間加熱して半田を溶かし、その後冷却して前記ランドにリード端子35が半田付けされることによりLED素子21はプリント基板Pに固定される。この半田付けの工程ではリード端子35が対応するランドの位置に対してずれて装着されていると半田が溶けたときにリード端子がランドに一致するようにLED素子21が移動する所謂セルフアライメントの現象が起こることがある。
セルフアライメントの現象が発生すると蛍光体21Aの位置を位置決めしてあってもその位置からずれてしまうことが起こり得る。
第1の実施形態のように蛍光体21Aの位置を装着データで示す装着すべき位置に装着する場合にセルフアライメントして位置ずれが生ずることを防止するために、接着剤をプリント基板Pの装着位置近傍に塗布してLED素子21がリフロー炉内で半田付けされているときにも位置ずれしないよう固定することがよい。
または、次に詳述するようにセルフアライメント効果により許容される以上の位置ずれを起こす虞があるLED素子21を装着せずに廃棄するようにしてもよい。
即ち、
図3(b)のようにして取出し前のLED素子21の外形に対する蛍光体21Aの位置が認識されており、
図3(d)の工程にて下面からの撮像で
図5に示される画像が得られるが、このとき外形により蛍光体21Aの位置が分かる。一方、この画像のリード端子35の部分から複数のリード端子35の全体としての位置が認識できる。リード端子35の端子基準位置として例えば
図5では3つのリード端子35の重心位置を採用することができる。または重心位置でないリード端子35の所定の基準点を端子基準位置として採用してもよい。
前述のように
図3(d)の部品認識によりこの画像での蛍光体21Aの位置が分かるので、蛍光体21Aの位置とリード端子35の位置(端子基準位置)との関係を算出することができる。
例えば、
図6のようにリード端子35の端子基準位置37と蛍光体21Aの蛍光体基準位置33の位置関係を算出することができる。
図6(a)が正しい位置関係を示すものとすると、
図6(a)の場合には蛍光体21Aの蛍光体基準位置33を装着データの示す位置に合わせて装着するとリード端子35は対応するランドの位置と一致し、半田付けしてもその位置を維持することができセルフアライメントですれることはない。または、少しずれた位置に装着してもセルフアライメント効果でランドとリード端子35が一致するように移動すれば蛍光体21Aの基準位置が装着データの指定位置と一致して半田付けされるようにすることができる。これに対して、
図6(b)のように正しい(a)の位置から蛍光体21Aの位置がずれていると装着データの示す位置に蛍光体21Aの位置を合わせて装着させたとしてもセルフアライメント効果により半田付け時にLED素子21の位置がずれ蛍光体21Aの位置が装着データの示す位置よりずれてしまうこととなる。
従って、
図6の場合であれば正しい位置ずれX1に対して位置ずれX2が許容範囲外であるときにはこのLED素子21をプリント基板Pに装着せずに所定の廃棄位置に廃棄するように電子部品装着装置1の図示しない制御部は装着ヘッド6の移動を制御する。許容範囲であるかどうかはX1とX2の差が所定の許容距離より短いこと等が考えられる。位置ずれX1に対して位置ずれX2が許容範囲内であれば前記制御部は装着データの示す位置に蛍光体21Aの位置を合わせてLED素子21をプリント基板Pに装着する。もしくは認識されたリード端子35の位置を装着データの示す位置に合わせて装着するよう制御しても良い。
また、第3の実施形態として基板認識カメラ19以外のカメラを装着ヘッド6に設け装着ヘッド6がLED素子21を吸着できる水平方向の位置に位置している場合に、LED素子21の上面(発光面)の撮像ができるようにしてもよい。
即ち、
図7に示すように基板認識カメラ19より吸着ノズル11側に発光部撮像カメラとしての吸着位置認識カメラ40を設け、装着ヘッド6に対して昇降する吸着ノズル11が下降して部品を吸着する収納部31の全体を1画面で撮像できるようにする。吸着位置認識カメラ40の光軸は
図7に1点鎖線で示すように斜め下方を向く。照明灯41がカメラ40の撮像画像の光を取り込む窓部の上側に設けられ、この照明灯41がLED素子21の外形を撮像する場合には赤色光を照射し、蛍光体21Aを撮像する場合には青色光を照射する。カメラ40の撮像素子と前記窓部との間に青色光をカットするフィルタが設けられる。また、カメラ40に取り込まれる画像の光が撮像素子まで至る前に通過するレンズは画像の大きさを変えないテレセントリックレンズが好ましい。
このようにしておけば、吸着位置認識カメラ40で蛍光体21Aを撮像して装着ヘッド6を水平移動させずに直ちにノズル11の下降を行うことができ、吸着動作の時間が短縮できる。または、撮像画像を認識処理してから認識された蛍光体21Aの水平位置ずれを補正移動しながら吸着ノズル11の下降をさせることもできる。または、撮像画像を認識処理してから認識された水平位置ずれがLED素子21の吸着には問題ない範囲と判断したならば、水平方向へ補正移動しないで吸着ノズル11の下降をさせることもできる。さらには、今回の認識された水平位置ずれを次回の吸着のときに補正して吸着ノズル11の下降をさせてもよい。この場合装着ヘッドを位置決め停止させてから吸着位置認識カメラ40で撮像し、許容範囲内であることを確認してから吸着ノズル11を下降させることができる。吸着位置認識カメラ40は収納部31に収納されたLED素子21を撮像するのみでなく、プリント基板Pに装着されたLED素子21を前述と同様に青色と赤色の照明で撮像して蛍光体21Aの位置を認識することもできる。
または、LED素子21の外形を撮像するのは基板認識カメラ19が実行し、その後装着ヘッド6が吸着ノズル11による取出し位置に移動した後に吸着位置認識カメラで蛍光体21Aを青色光で撮像するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、LED素子21は収納テープ30に収納された状態で撮像されたが、平板状のトレイに水平のXY方向に所定間隔で載置されているLED素子21を基板認識カメラ19で上述と同様に撮像して蛍光体21Aの位置認識をしてもよい。