特許第6263033号(P6263033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263033
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/00 20180101AFI20180104BHJP
   F21S 43/00 20180101ALI20180104BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20180104BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20180104BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20180104BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20180104BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180104BHJP
【FI】
   F21S8/10 371
   F21S8/10 352
   F21S8/10 380
   F21W101:14
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-10664(P2014-10664)
(22)【出願日】2014年1月23日
(65)【公開番号】特開2015-138709(P2015-138709A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一
(72)【発明者】
【氏名】中島 一穂
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】柴田 大樹
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−222377(JP,A)
【文献】 特開2009−230996(JP,A)
【文献】 特開2010−021001(JP,A)
【文献】 特開2010−092708(JP,A)
【文献】 特開2012−123977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00−19/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に第1及び第2灯具ニットを含む複数の灯具ユニットを収容して成る車両用灯具において、
前記第1灯具ユニットを、光源と、導光レンズを含んで構成し、
前記第2灯具ユニットを、光源と、リフレクタ、点刻レンズを含んで構成し、
前記第1灯具ユニットの前記導光レンズの表面に凸カットを突設し、前記第1灯具ユニットの光源から出射して前記導光レンズ内を導光する光の一部を前記凸カットで全反射させて前記第2灯具ユニットの前記点刻レンズに入射させるよう構成したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第1灯具ユニットはテイルランプであり、前記第2灯具ユニットはストップランプであることを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1灯具ユニットは、前記第2灯具ユニットの上下及び/又は左右に配置されていることを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯室内に複数の灯具ユニットを備えて成る車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の後部左右に配置されるリアコンビネーションランプには、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に、テイルランプやストップランプ、ターンシグナルランプ等の複数の灯具ユニットが収容されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
斯かるリアコンビネーションランプにおいては、ストップランプに点刻レンズを用い、この点刻レンズを夜間に常時発光させることが行われている。このように点刻レンズを発光させる手法には、導光レンズと点刻レンズとを一体化する手法と、点刻レンズを発光させるための専用光源を設ける手法とがあった。
【0004】
ここで、導光レンズと点刻レンズとを一体化する手法を図4図7に基づいて説明する。尚、図4は一体化された導光レンズと点刻レンズの正面図、図5図4のC−C線断面図、図6図4のD−D線断面図、図7図4のE−E線断面図である。
【0005】
図示例では、表面に多数の点刻(点やラインのカット)112a(図5及び図7参照)が施された点刻レンズ112の上下に、裏面に多数のプリズムカット108a(図5及び図6参照)が施された横方向に細長い導光レンズ108を一体的に設けて両者が一体化されている。そして、基板109上に実装された光源であるLED(発光ダイオード)110は、上下の導光レンズ108の各端面に対向配置されている。
【0006】
而して、上下の各LED110から出射する光は、上下の各導光レンズ108の端面から各導光レンズ108内の入射し、各導光レンズ108内に入射した光の一部は、各導光レンズ108の裏面に施されたプリズムカット108aによって反射して出射面である表面から出射するため、各導光レンズ108が発光する。又、各導光レンズ108に入射した光の他の一部は、点刻レンズ112内へと入射し、図5に示すように点刻レンズ112の裏面で全反射して表面側へと向かい、点刻レンズ112の表面に施された点やラインのカット等の点刻112aによって拡散されて出射するため、点刻レンズ112の全体が発光する。
【0007】
次に、点刻レンズを発光させるための専用光源を設ける手法を図8及び図9に基づいて説明する。尚、図8は専用の光源によって発光する点刻レンズの正面図、図9図8のF−F線断面図である。
【0008】
図示例では、表面に多数の点刻212aが施された点刻レンズ212の上方に、基板209上に横方向に適当な間隔で実装された複数のLED210が対向配置されており、各LED210から下方に向かって出射する光は、点刻レンズ212の上面の入射面から点刻レンズ212内に入射する。そして、点刻レンズ212内に入射した光は、図9に示すように、該点刻レンズ212の裏面で全反射して表面側に向かうが、点刻212aが施されていない部分では光が全反射するためにその部分は発光せず、点刻212aが施された部分では光が外部へと出射するためにその部分が発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許2013−235729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図4図7に示すように導光レンズ108と点刻レンズ112とを一体化する手法では、一体化した導光レンズ108と点刻レンズ112がほぼ同一面を構成するため、これらのレイアウト上の自由度が低くなるという問題がある。
【0011】
又、図8及び図9に示すように専用のLED210を用いる手法では、多くのLED210を要する他、回路構造が複雑化してコストアップを招くという問題がある。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、専用の光源を要することなく点刻レンズを発光させることができ、回路構成の単純化とコストダウン、レイアウトの自由度の向上を図ることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に第1及び第2灯具ニットを含む複数の灯具ユニットを収容して成る車両用灯具において、
前記第1灯具ユニットを、光源と、導光レンズを含んで構成し、
前記第2灯具ユニットを、光源と、リフレクタ、点刻レンズを含んで構成し、
前記第1灯具ユニットの前記導光レンズの表面に凸カットを突設し、前記第1灯具ユニットの光源から出射して前記導光レンズ内を導光する光の一部を前記凸カットで全反射させて前記第2灯具ユニットの前記点刻レンズに入射させるよう構成したことを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第1灯具ユニットはテイルランプであり、前記第2灯具ユニットはストップランプであることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第1灯具ユニットは、前記第2灯具ユニットの上下及び/又は左右に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明2よれば、第1灯具ユニットの光源から出射して導光レンズに入射する光の一部は、該導光レンズの表面に突設された凸カットで全反射して第2灯具ユニットの点刻レンズへと入射し、該点刻レンズの点刻部分から出射してその部分を光らせる。このように第2灯具ユニットの点刻レンズを第1灯具ユニットの光源によって発光させるようにしたため、点刻レンズを発光させるための専用の光源が不要となり、光源数を削減して回路構成の単純化とコストダウンを図ることができる。
【0017】
又、第2灯具ユニットの点刻レンズを第1灯具ユニットの導光レンズとは別体に構成することができるため、両者のレイアウトの自由度が高められ、車両用灯具のデザインに凹凸(深さ感)を出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る車両用灯具(リアコンビネーションランプ)の正面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3図2のB部拡大詳細図である。
図4】点刻レンズを発光させるための従来の手法(導光レンズと点刻連ストを一体化する手法)を示す正面図である。
図5図4のC−C断面図である。
図6図4のD−D線断面図である。
図7図4のE−E線断面図
図8】点刻レンズを発光させるための従来の手法(専用光源を設ける手法)を示す正面図である。
図9図8のF−F線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明に係る車両用灯具であるリアコンビネーションランプの正面図、図2図1のA−A線断面図、図3図2のB部拡大詳細図であり、図1に示すリアコンビネーションランプ1は、車両の後部左右に設けられるものである。尚、図1には左右一対のリアコンビネーションランプ1の一方のみを示すが、他方のリアコンビネーションランプの基本構成は同じであるため、これについての図示及び説明は省略する。
【0021】
本実施の形態に係るリアコンビネーションランプ1は、ハウジング2とその開口部を覆うアウタレンズ3によって画成される灯室4(図2参照)内に、第1灯具ユニットであるテイルランプ5と、第2灯具ユニットであるストップランプ6と、第3灯具ユニッであるターンシグナルランプ7を収容して構成されている(図1参照)。
【0022】
上記テイルランプ5は、図2に示すように、左右方向(図2の紙面垂直方向)に配されて導光レンズ8と、該導光レンズ8の少なくとの左右何れかの端面に対向配置された光源である不図示のLEDと、導光レンズ8の車両後方(図2の左方)に配置されたインナレンズ9を含んで構成されている。尚、図示しないが、導光レンズ8の裏面には、配光制御のための多数のプリズムカットが施されている。
【0023】
又、前記ストップランプ6は、図2に示すように、光源であるLED10と、該LED10から下方に向けて出射される光を車両後方に向けて反射させるリフレクタ11と、該リフレクタ11の車両後方に配置された点刻レンズ12を含んで構成されている。尚、本実施の形態では、テイルランプ5の前記インナレンズ9とストップランプ6の前記点刻レンズ12とは一体に構成されており、図示しないが、点刻レンズ12の表面には多数の点刻(点やラインのカット)が全体に亘って(図示の範囲Rの領域に施されている。
而して、本実施の形態においては、図2及び図3に示すように、テイルランプ5の前記導光レンズ8の下部表面には、三角プリズム状の凸カット8aが左右方向(図2の紙面垂直方向)に沿って一体に突設されている。そして、この凸カット8aの斜め後下方にストップランプ6の前記点刻レンズ12が配置されており、該点刻レンズ12と導光レンズ8との間には側方視において図示Xの段差が設けられている。
【0024】
而して、夜間においてはテイルランプ5の不図示のLEDが常時点灯しており、該LEDから横方向に出射する光は、導光レンズ8の左右の端面から該導光レンズ8内に入射する。そして、導光レンズ8内に入射した光は、全反射しながら導光レンズ8内を進む過程で、導光レンズ8の裏面に施されたプリズムカットによって屈折して導光レンズ8の表面側(車両後方)へと向かい、導光レンズ8の表面から出射してインナレンズ9を透過することによって配光が制御された後、透明なアウタレンズ3を通過して車両後方に向かって出射する。従って、夜間にはテイルランプ5の導光レンズ8が発光し、後続車や歩行者は、車両の存在をテイルランプ5の点灯によって視認することができる。
【0025】
ところで、本実施の形態では、テイルランプ5の表面下部に三角プリズム状の凸カット8aを一体に突設したため、図2に示すように、導光レンズ8の内部を導光する光の一部は、導光レンズ8の凸カット8aによって全反射して斜め下方の点刻レンズ12へと入射する。そして、ストップランプ6の点刻レンズ12へと入射した光は、点刻レンズ12の裏面で反射して車両後方へと向かい、点刻レンズ12の表面の点刻が施された部分を通過する際にその部分を光らせるため、点刻レンズ12の全体が発光する。従って、車両の夜間走行においては、ドライバがブレーキペダルを踏み込んでいない場合にも、ストップランプ6の点刻レンズ12はぼんやりと発光し、テイルランプ5と同様の機能を果たす。
【0026】
而して、ドライバが制動のためにブレーキペダルを踏み込むと、このことが検知されてストップランプ6のLED10が点灯し、その光はリフレクタ11によって車両後方へと反射される。そして、リフレクタ11によって車両後方へと反射した光は、点刻レンズ12と透明なアウタレンズ3を透過して車両後方へと出射するため、点刻レンズ12の全体が明るく発光し、このストップランプ6の点灯によって後続車や歩行者は、車両のブレーキペダルが踏み込まれたことを視認することができる。
【0027】
以上のように、本実施の形態に係るリアコンビネーションランプ1においては、テイルランプ5のLEDから出射して導光レンズ8に入射する光の一部は、該導光レンズ8の表面下部に突設された凸カット8aで全反射してストップランプ6の点刻レンズ12へと入射し、該点刻レンズ12の点刻部分から出射してその部分を光らせる。このようにストップランプ6の点刻レンズ12をテイルランプ5のLEDによって発光させるようにしたため、点刻レンズ12を発光させるための専用の光源が不要となり、光源数を削減して回路構成の単純化とコストダウンを図ることができる。
【0028】
又、ストップランプ6の点刻レンズ12をテイルランプ5の導光レンズ8とは別体に構成することができるため、両者のレイアウトの自由度が高められ、図2に示すように導光レンズ8と点刻レンズ12との間に側面視でXの段差を設けることができ、リアコンビネーションランプ1のデザインに凹凸(深さ感)を出すことができる。
【0029】
尚、以上の実施の形態では、テイルランプ5は、ストップランプ6の上下に配置されているが、イツのテイルランプ5と1つのストップランプ6が並んだ配置でも良く、2つのテイルランプ5が1つのストップランプ6の左右に配置されたレイアウトの車両用灯具に対しても本発明を適用することができる。
【0030】
又、以上は本発明をリアコンビネーションランプに対して適用した形態について説明したが、本発明は、灯室内に複数の灯具ユニットを備える他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0031】
1 リアコンビネーションランプ(車両用灯具)
2 ハウジング
3 アウタレンズ
4 灯室
5 テイルランプ(第1灯具ユニット)
6 ストップランプ(第2灯具ユニット)
7 ターンシグナルランプ
8 導光レンズ
8a 導光レンズの凸カット
9 インナレンズ
10 LED(光源)
11 イフレクタ
12 点刻レンズ
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
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