(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1フォークは、前記上壁および前記左右一対の側壁によって囲まれる空間の内部に、前記保持部を駆動するための配線を前後方向にガイドするための配線ガイド機構が収納可能に構成される、請求項3に記載の搬出入装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の搬出入装置では、旋回アーム等の保持機構が搬出入装置の本体上に設けられるため、搬出入装置の高さが高くなるという問題がある。搬出入装置の高さが高くなると使用できる自動車の最低地上高(例えば、9〜10cm)に制限が生じる場合がある。
【0005】
搬出入装置の高さを低くするためには、本体内に保持機構を収納することが考えられる。しかし、この場合、保持機構は、定期的なメンテナンスが必要であるため、ハウジング内に保持機構が収納される構成では、保持機構へのアクセスが悪くなり、保持機構のメンテナンス性が損なわれる。
【0006】
保持機構のメンテナンス性を高めるために、搬出入装置のベース板上に保持機構を設けることが考えられる。しかし、この場合、搬送装置に対して保持機構を進退させるための構造を設けることが難しい。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決すべくなされたものであり、高さを低く抑えつつ保持機構のメンテナンス性を高めることができる搬出入装置およびそれを備えた駐車システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る搬出入装置は、自動車を搬送装置上に位置させるための搬出入装置であって、自動車の前後方向に移動する本体と、前記自動車のタイヤを持ち上げて保持する左右一対の保持機構を有する保持部と、を備え、前記本体は、内部に収容可能に構成され、前記保持部を前記搬送装置に対して進退させる際のガイドとなる移動案内機構を備え、前記保持部は、幅方向中央部において上面を形成する第1平面と、幅方向両端部において前記第1平面より低い高さの上面を形成する左右一対の第2平面とを含む段差形状を有し、前記本体は、前記第1平面の下方に配置され、前記左右一対の保持機構は、それぞれ、前記左右一対の第2平面上に設けられるものである。
【0009】
本明細書および特許請求の範囲における「前後方向」は、搬送台車に載置しようとする自動車の前後方向と同じ方向であり、「幅方向」は、前後方向と直交する水平方向をいう。
【0010】
上記構成によれば、内部に移動案内機構を収容する本体が保持部の幅方向中央部において段差形状の第1平面の下方に配置される一方、左右一対の保持機構が保持部の幅方向両端部において段差形状の左右一対の第2平面上に設けられる。すなわち、本体内に収容される移動案内機構と保持機構とが幅方向に並べて配置されるとともに、保持機構のみが保持部の上面からアクセス可能な第2平面上に設けられる。このように、本体内に収容される移動案内機構と保持機構とを幅方向に並べて配置することにより搬出入装置の高さを抑えることができる。さらに、保持機構が第2平面上に設けられることで保持機構のメンテナンス性を高めることができる。さらに、移動案内機構が本体内に収容されることにより、移動案内機構を本体の搬送装置に面する側に容易に設けることができる。
【0011】
前記保持部は、自動車の左右の前タイヤおよび後タイヤのうちの一方を持ち上げて保持する左右一対の第1の保持機構を有する第1保持部と、前記自動車の前タイヤおよび後タイヤのうちの他方を持ち上げて保持する左右一対の第2の保持機構を有する第2保持部と、を備え、前記第1保持部および前記第2保持部は、互いに前後方向に相対移動可能となるように前記本体に取り付けられてもよい。これにより、第1保持部と第2保持部との相対距離を変化させることができるため、簡単な構成でホイルベースの異なる自動車に対応した搬出入装置を構成することができる。
【0012】
前記第1保持部および前記第2保持部の少なくとも一方は、前記第1平面と前記左右一対の第2平面のそれぞれとを繋ぐ左右一対の垂直壁を含み、前記第1保持部および前記第2保持部の少なくとも一方における前記左右一対の垂直壁と当該左右一対の垂直壁に対向する前記本体における左右一対の外側面との間には、前記第1保持部および前記第2保持部の少なくとも一方が前記本体の前記左右一対の外側面に沿って移動するためのガイド機構が設けられてもよい。これにより、保持部の段差形状を利用して第1保持部および/または第2保持部の直進性を容易に高めることができる。
【0013】
前記本体は、前記搬送装置の外部において平面上を移動可能に構成されてもよい。保持部の高さを低く抑えることができるため、保持部の上面と自動車の車体下端部との距離を十分空けることができるので、搬送装置の外部において自動車の下方に搬出入装置を通過させるための溝や段差を設けて当該溝や段差内に搬出入装置を埋め込む必要がなくなる。したがって、搬出入装置を導入するために自動車の載置領域の加工を行う必要がなくなり、駐車システムをより容易に実現できる。
【0014】
前記本体は、前記保持部が取り付けられる第1フォークと、前記第1フォークに摺動可能に設けられた第2フォークと、前記第1フォークおよび前記第2フォークを移動させる駆動機構と、を備え、前記第1フォークは、上壁および左右一対の側壁を有し、前記上壁および前記左右一対の側壁によって囲まれる空間の内部に前記第2フォークおよび前記駆動機構が収納可能に構成されてもよい。これにより、搬出入装置を前後方向に移動させる移動機構が保持部の幅方向中央部において段差形状の第1平面の下方に配置される一方、左右一対の保持機構が保持部の幅方向両端部において段差形状の左右一対の第2平面上に設けられる。すなわち、移動機構と保持機構とが幅方向に並べて配置されるとともに、保持機構のみが保持部の上面からアクセス可能な第2平面上に設けられる。このように移動機構と保持機構とを幅方向に並べて配置することにより搬出入装置の高さを抑えることができる。
【0015】
前記第1フォークは、前記上壁および前記左右一対の側壁によって囲まれる空間の内部に、前記保持部を駆動するための配線を前後方向にガイドするための配線ガイド機構が収納可能に構成されてもよい。これにより、搬出入装置の前後方向の移動時に保持部を駆動するための配線の繰り出しおよび引き込みを容易にして、搬出入装置の前後方向の移動をスムーズに行うことができる。
【0016】
前記第2フォークは、左右一対の外側面を有し、前記第1フォークにおける前記左右一対の側壁と前記第2フォークにおける前記左右一対の外側面との間には、前記第1フォークが前記第2フォークの前記左右一対の外側面に沿って移動するためのガイド機構が設けられてもよい。これにより、第1フォークおよび第2フォークの直進性を容易に高めることができる。
【0017】
本発明の他の形態に係る駐車システムは、上記構成の搬出入装置と、前記搬出入装置が取り付けられ、前記搬出入装置の移動方向に交差する方向に移動する搬送装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以上に説明したように構成され、高さを低く抑えつつ保持機構のメンテナンス性を高めることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1A、
図1B、
図2および
図3は本発明の一実施形態における搬出入装置が適用された駐車システムの概略構造を示す図である。
図1Aは、自動車の搬送装置として構成される搬送台車に載置する前の状態における側面図であり、
図1Bは、
図1Aの平面図である。
図2は、
図1Aに示す駐車システムにおいて、搬出入装置を搬送台車の外部に載置された自動車の下方へ移動させた状態における平面図である。
図3は、
図1Aに示す駐車システムにおいて、自動車を搬送台車に載置した状態における平面図である。
【0022】
本実施形態の駐車システムは、所定の移動方向Zへ移動可能な搬送装置である搬送台車3と、搬送台車3の上面3aに取り付けられ、搬送台車3に交差する移動方向Mへ移動可能な搬出入装置1を備えている。例えば、搬送台車3の移動方向Zと搬出入装置1の移動方向Mとは直交している。搬出入装置1は、格納スペース2等の外部から自動車Vを搬送台車3上に位置させる。自動車Vは、搬出入装置1により、格納スペース2等の外部と搬送台車3との間で受け渡しされる。自動車Vは、その前後方向が搬出入装置1の移動方向Mに向くように搬送台車3または格納スペース2等に載置される(以下、移動方向Mを前後方向M、移動方向Zを幅方向Zとも表記する)。自動車Vを格納する格納スペース2は、搬送台車3が移動する通路99を隔てて2箇所に設けられる。
【0023】
図1Aおよび
図1Bには、自動車Vが、図中右側の格納スペース2上の載置領域4に載置されている例が示されている。搬送台車3は通路99を幅方向Zに移動でき、かつ、通路99の所定の位置で停止できるように構成されている。
【0024】
搬出入装置1は、搬送台車3の停止状態において、自動車Vを搬送台車3から格納スペース2上の載置領域4に移動させたり、載置領域4から搬送台車3上に移動させたりすることができるように構成されている。
【0025】
搬出入装置1は、自動車VのタイヤTF,TRを持ち上げて保持する左右一対の保持機構41を有する保持部10を備えている。保持部10は、自動車Vの左右の前タイヤTFおよび/または左右の後タイヤTR間を移動可能に配置され、前後方向Mに移動する本体11に設けられている。保持部10は、本体11とともに搬送台車3上および搬送台車3の外部平面(例えば載置領域4等)を自動車Vの前後方向Mに移動可能に構成される。本体11は、内部に配線ガイド機構40が収容可能に構成される。配線ガイド機構40は、保持部10を駆動するための配線を前後方向にガイドする。左右一対の保持機構41は、それぞれ一対のアーム20,21を備え、水平面内において回動させて自動車VのタイヤTF,TRを挟持することによって、自動車Vを載置領域4から浮かせた状態にすることができる。
【0026】
以下、載置領域4上に載置されている自動車Vを搬送台車3上に移動させる方法について説明する。まず、搬送台車3を自動車Vが載置されている載置領域4の前方に位置するように移動させて停止させる。このとき、左右一対の保持機構41における一対のアーム20,21は各アームの軸線が前後方向Mに沿うように位置した開状態となっている。
【0027】
次に、
図2に示すように、搬出入装置1を前後方向に移動させ、搬送台車3から格納スペース2上の載置領域4に移動させる。これにより、搬出入装置1は自動車Vの下に潜り込み、自動車Vの左右の前タイヤTFの間、および、左右の後タイヤTRの間に配置される。
【0028】
この状態で、左右一対の保持機構41のそれぞれは、各アーム20,21が互いに平行に並び、かつ、各アームの軸線が幅方向Zに沿うように位置した閉状態になるまで、一対のアーム20,21を水平面内において回動させる。これによって、一対のアーム20,21は対応するタイヤTF,TRを前後から挟み込み、その結果、タイヤTF,TRは載置面4から浮いた状態となる。
【0029】
このようにして、搬出入装置1が自動車Vを持ち上げると、搬出入装置1を載置領域4から搬送台車3に移動させる。これにより、自動車Vは
図3に示すように搬送台車3上に位置した状態となる。自動車Vが搬送台車3上に位置した状態で、通路99を移動する際には、左右一対の保持機構41が、タイヤTF,TRを一対のアーム20,21によって挟持した状態が保持される。
【0030】
自動車Vが搬送台車3上に位置した状態で、搬送台車3が所定の位置に移動した後、自動車Vは、搬出入装置1により上記手順とは逆の手順によって、払い出される。
【0031】
なお、駐車システムは、入出庫部と格納スペース2との間で自動車Vを搬送するエレベータ装置を備えていてもよい。入出庫部を介してエレベータ装置の昇降台に自動車Vが停止すると、エレベータ装置は自動車Vを載せたまま昇降台を昇降させ、格納スペース2がある階層に移動する。当該階層に到着したエレベータ装置の昇降台位置に搬送台車3が移動する。搬送台車3は、格納スペース2の載置領域4との間で自動車Vの受け渡しをしたのと同様の手順によって、エレベータ装置との間でも自動車Vの受け渡しをすることができる。
【0032】
よって搬送台車3は、入出庫部に新たに入庫した自動車Vを格納スペース2に格納するときにも使われ、また、格納スペース2に格納されている自動車Vを出庫のために入出庫部に送り出すときにも使われる。
【0033】
なお、水平方向に移動する搬送台車3に搬出入装置1が設けられる構成に代えて、搬出入装置1を備えた搬送装置そのものが入出庫部と格納スペース2の間を昇降して、隣接する所定高さの載置領域との間で自動車Vを搬出入するように構成したり、搬出入装置1が昇降と同時に水平移動も行えるように構成することもできる。
【0034】
以下に、本実施形態における搬出入装置について説明する。本実施形態では、自動車の前タイヤおよび後タイヤを挟持して持ち上げて搬送する搬出入装置を説明する。
図4は
図1に示す搬出入装置を前後方向から視た図である。また、
図5は
図1に示す搬出入装置の部分拡大平面図である。
図6は
図5の側面図である。なお、
図5および
図6は、後述する第2保持部10bを例示するが、本体11に対して前後方向Mに相対移動可能とするための保持部移動機構35(後述)を有する他は第1保持部10aと共通の構成を有する。そこで、以下の説明では第1保持部10aと第2保持部10bとで共通の構成については特に区別せず、同じ符号(例えば10aおよび10bは何れも符号10)で表す。
【0035】
保持部10(第1保持部10aおよび/または第2保持部10b)は、第1平面P1および左右一対の第2平面P2とを含む段差形状を有するベース部12を備えている。第1平面P1は、保持部10の幅方向中央部において上面を形成する。第2平面P2は、保持部10の幅方向両端部において第1平面P1より低い高さの上面を形成する。ベース部12は、例えば平面視矩形状に形成された鉄板などの板状体を前後方向(長手方向)Mに沿った境界線で折り曲げたり、板状体を上記形状に削り出したりすることにより形成される。ベース部12の幅方向(短手方向)の長さWは、自動車の左右一対のタイヤ間に入る大きさで形成される。
【0036】
ベース部12の第1平面P1の下方には、本体11が配置される。一方、ベース部12の左右一対の第2平面P2上には、左右一対の保持機構41が設けられる。
【0037】
上記構成によれば、保持部10を前後方向Mに移動させる本体11が保持部10の幅方向中央部において段差形状を有するベース部12の第1平面P1の下方に配置される一方、左右一対の保持機構41が保持部10の幅方向両端部において段差形状を有するベース部12の左右一対の第2平面P2上に設けられる。すなわち、本体11内に収容される配線ガイド機構40と保持機構41とが幅方向に並べて配置されるとともに、保持機構41のみが保持部10の上面からアクセス可能な第2平面P2上に設けられる。このように、本体11内に収容される配線ガイド機構40と保持機構41とを幅方向に並べて配置することにより搬出入装置1の高さを抑えることができる。さらに、保持機構41が第2平面P2上に設けられることで保持機構41のメンテナンス性を高めることができる。
【0038】
ベース部12は、搬送台車3の外部(格納スペース2の載置領域4やエレベータ装置の昇降台)において平面上を移動可能に構成される。すなわち、格納スペース2の載置領域4やエレベータ装置の昇降台には、搬出入装置1が走行するための溝や段差等は形成されない。上記構成により、保持部10の高さを低く抑えることができるため、保持部10の上面と自動車Vの車体下端部との距離を十分空けることができるので、搬送台車3の外部において自動車Vの下方に搬出入装置1を通過させるための溝や段差を設けて当該溝や段差内に搬出入装置1を埋め込む必要がなくなる。したがって、搬出入装置1を導入するために自動車Vの載置領域4の加工を行う必要がなくなり、駐車システムをより容易に実現できる。
【0039】
また、載置領域4に溝や段差を設けると、載置領域4を上下に複数層設ける場合に必要な層間高さをその深さ分広げる必要が生じる。これに対し、上記構成にれば、載置領域4に溝や段差を設けるスペースが不要となるので、省スペース化を図ることができる。
【0040】
保持部10は、自動車Vの左右の前タイヤTFおよび左右の後タイヤTRのうちの一方を持ち上げて保持する左右一対の第1の保持機構41aを有する第1保持部10aと、この自動車Vの左右の前タイヤTFおよび左右の後タイヤTRのうちの他方を持ち上げて保持する左右一対の第2の保持機構41bを有する第2保持部10bと、を備えている。第1の保持機構41aと第2の保持機構41bとは、同様の構成を有している。第1保持部10aおよび第2保持部10bは、互いに前後方向Mに相対移動可能となるように本体11に取り付けられる。具体的には、第1保持部10aは、本体11に対して前後方向Mに相対移動不能に取り付けられ、第2保持部10bは、本体11に対して前後方向Mに相対移動可能に取り付けられている。これにより、第1保持部10aと第2保持部10bとの相対距離を変化させることができるため、簡単な構成でホイルベースの異なる自動車に対応した搬出入装置1を構成することができる。なお、第1保持部10aは、ベース部12の前後方向中央部において本体11に枢支されている。より詳しくは、第1保持部10aのベース部12の前後方向中央部における垂直壁P3(後述)の内側面と、本体11の外側面との間に幅方向Zに沿った揺動軸が設けられ、第1保持部10aが本体11に対して揺動軸回りに揺動可能に構成される。このように、第1保持部10aが本体11に対する前後方向Mへ相対移動することを規制しつつ、第1保持部10aが本体11に対して上下方向に変位することを許容する。これにより、搬送台車3と載置領域4との間に段差がある場合等でも第1保持部10aの衝撃を緩和することができる。
【0041】
図5および
図6に示すように、第2保持部10bは、本体11に対して前後方向Mに相対移動するための保持部移動機構35を備えている。保持部移動機構35は、本体11の側方において前後方向に張り渡された(前端部と後端部とにおいてそれぞれ固定された)チェーン42に噛合するスプロケット機構43と、スプロケット機構43を駆動する駆動モータ44とを有する。スプロケット機構43は、駆動モータ44により回転駆動する駆動スプロケット45と、駆動スプロケット45の前後にそれぞれ配置された従動スプロケット46とを有する。
【0042】
スプロケット機構43は、駆動スプロケット45と前後の従動スプロケット46とでチェーン42が噛合する位置が上下互い違いになるように噛み合わせられる。例えば、駆動スプロケット45においては、チェーン42が上を通り(駆動スプロケット45の上部においてチェーン42が噛合し)、前後の従動スプロケット46においては、チェーン42が下を通る(従動スプロケット46の下部においてチェーン42が噛合する)ように構成される。
【0043】
これにより、保持部移動機構35をコンパクトに構成することができる。さらに、第2保持部10bおよび/または本体11の上下動を3つのスプロケット45,46とチェーン42とで吸収することができ、外力や変形による力が保持部移動機構35に直接伝わり難い構造を簡単に実現することができる。
【0044】
なお、保持部移動機構35は、上記の構成に限られず、例えばボールネジを利用した移動機構等、種々適用可能である。
【0045】
本実施形態の保持部10のベース部12は、第1平面P1と左右一対の第2平面P2のそれぞれとを繋ぐ左右一対の垂直壁P3を含んでいる。すなわち、ベース部12は、前後方向Mに垂直な断面視において左右に鍔部を有するハット形状を有している。
【0046】
さらに、第2保持部10bにおける左右一対の垂直壁P3と当該左右一対の垂直壁P3に対向する本体11における左右一対の側壁(後述する第1フォーク11aの左右一対の側壁)P5の外側面との間には、第2保持部10bが本体11の左右一対の側壁P5の外側面に沿って移動するための保持部ガイド機構が設けられている。本実施形態において、保持部ガイド機構は、ベース部12の左右一対の垂直壁P3の幅方向内側面にそれぞれ設けられ、鉛直方向に回転軸を有するガイドローラ47により構成される。ガイドローラ47は、本体11の左右一対の側壁P5の外側面に摺動可能に当接される。これにより、保持部10の段差形状を利用して第2保持部10bの直進性を容易に高めることができる。
【0047】
保持部10の左右一対の第2平面P2上には、保持部10の移動を円滑にするための複数の車輪13が設けられる。このため、第2平面P2の車輪13が設けられる箇所には、孔が空けられており、各車輪13が第2平面P2を構成するベース部12の下面より下方に突出するように取り付けられている。このようにして、複数の車輪13により、保持部10および本体11が搬送台車3の上面または格納スペース2の載置領域4上に支持される。
【0048】
なお、本実施形態においては、第1保持部10bが本体11に対して前後方向Mに相対移動不能かつ第2保持部10bが本体11に対して前後方向Mに相対移動可能とすることにより、第1保持部10aと第2保持部10bとの距離を変更可能に構成している。しかし、これに限られず、例えば第1保持部10aおよび第2保持部10bがともに本体11に対して前後方向Mに相対移動可能に構成されてもよい。また、例えば第1保持部10aが取り付けられる本体(第1本体)と、第2保持部10bが取り付けられる本体(第2本体)とが別体で構成され、当該第1本体および第2本体が互いに前後方向Mに相対移動可能に構成されてもよい。
【0049】
搬出入装置1の本体11は、内部に収容可能に構成され、保持部10を搬送台車3に対して進退させる際のガイドとなる移動案内機構を備える。具体的には、本体11は、保持部10が取り付けられる第1フォーク11aと、第1フォーク11aに摺動可能に設けられた第2フォーク11bと、第1フォーク11aおよび第2フォーク11bを移動させる駆動機構48と、を備えている。第1フォーク11aおよび第2フォーク11bが移動案内機構を構成する。第1フォーク11aは、上壁P4および左右一対の側壁P5を有し、上壁P4および左右一対の側壁P5によって囲まれる空間の内部に第2フォーク11bおよび駆動機構48が収納可能に構成されている。
【0050】
これにより、搬出入装置1を前後方向Mに移動させる移動案内機構(第1フォーク11a、第2フォーク11b)および駆動機構48が保持部10の幅方向中央部において段差形状の第1平面P1の下方に配置される一方、左右一対の保持機構41が保持部10の幅方向両端部において段差形状の左右一対の第2平面P2上に設けられる。すなわち、移動機構と保持機構41とが幅方向に並べて配置されるとともに、保持機構41のみが保持部10の上面からアクセス可能な第2平面P2上に設けられる。このように移動機構と保持機構41とを幅方向に並べて配置することにより搬出入装置1の高さを抑えることができる。さらに、移動案内機構11a,11bが本体11内に収容されることにより、移動案内機構11a,11bを本体11の搬送台車3に面する側に容易に設けることができる。
【0051】
駆動機構48は、例えば搬送台車3、第2フォーク11bおよび第1フォーク11aに巻回されたチェーン機構を有し、搬送台車3においてチェーン機構に噛合するスプロケット(図示せず)を回転駆動することにより第2フォーク11bおよび第1フォーク11aを前後方向Mに繰り出しおよび引き戻し可能に構成される。
【0052】
さらに、第1フォーク11aは、上壁P4および左右一対の側壁P5によって囲まれる空間の内部に配線ガイド機構40が収納可能に構成される。具体的には、第1フォーク11aの上壁P4の下面には、配線ガイド機構40を前後方向にガイドするための構造が設けられる。これにより、搬出入装置1の前後方向Mの移動時に保持部10を駆動するための配線の繰り出しおよび引き込みを容易にして、搬出入装置1の前後方向Mの移動をスムーズに行うことができる。なお、第1フォーク11aの左右一対の側壁P5には、それぞれ、平面上を走行可能な車輪50が設けられている。
【0053】
また、第2フォーク11bは、左右一対の外側面P6を有している。第1フォーク11aにおける左右一対の側壁P5と第2フォーク11bにおける左右一対の外側面P6との間には、第1フォーク11aが第2フォーク11bの左右一対の外側面P6に沿って移動するためのフォークガイド機構が設けられてもよい。本実施形態において、フォークガイド機構は、第2フォーク11bの左右一対の外側面P6にそれぞれ設けられ、鉛直方向に回転軸を有するガイドローラ49により構成される。ガイドローラ49は、第1フォーク11aの左右一対の側壁P5の幅方向内側面に摺動可能に当接される。これにより、第1フォーク11aおよび第2フォーク11bの直進性を容易に高めることができる。さらに、第2フォーク11bには、搬送台車3上に設けられ、鉛直方向に回転軸を有するガイドローラ51に第2フォーク11bを摺動させるためのガイド溝52も設けられる。
【0054】
なお、上記のような第1フォーク11a、第2フォーク11bおよび駆動機構48を備えた移動機構に代えて、複数の車輪13の少なくとも1つをモータ等によって駆動される駆動輪として構成することにより、搬出入装置1の移動機構を保持部10が自動車Vの前後方向Mに自走可能な構成としてもよい。この場合、本体11は、搬出入装置1の配線ガイド機構40を収納する構成に加えて、駆動輪による前後方向Mの移動において直進性を高めるためのガイド機構として構成されてもよい。また、移動機構として上記のようなフォーク機構を用いる場合には、1つのフォークおよびそれを駆動する駆動機構により構成してもよいし、3つ以上のフォークおよびそれらを駆動する駆動機構により構成してもよい。
【0055】
以下、左右一対の保持機構41の構成について説明する。
図5および
図6に示すように、保持部10のベース部12における左右一対の第2平面P2上には、基部がベース部12に回動可能に軸支された一対のアーム20,21が左右位置に設けられている。これらのアーム20,21は、水平方向に回動可能となっている。この実施形態の図示する一対のアーム20,21は、図の右側が第1アーム20、図の左側が第2アーム21となっている。ベース部12の左右位置に設けられた第1アーム20および第2アーム21は、図の上下位置における構成はベース部12の中心に対して線対称であるため、以下の説明では、
図1の上部に示された第1アーム20および第2アーム21について説明する。
【0056】
上記第1アーム20は、基部に第1セクタギア22が設けられ、第2アーム21は、基部に第2セクタギア23が設けられている。第1アーム20は、第1セクタギア22の軸中心26に対して水平面内で回動可能となっており、第2アーム21は、第2セクタギア23の軸中心27に対して水平面内で回動可能となっている。これらの第1アーム20および第2アーム21は、内部に設けられた支持軸24に対して周囲が回動自在となっている。また、第1アーム20および第2アーム21の先端部には、それぞれの支持軸24に支持された大径のローラ25が回転自在に設けられている。
【0057】
さらに、ベース部12の第2平面P2上には、前後方向Mに延びるラックギア30が設けられている。ラックギア30は、ベース部12に設けられたリニアガイド31に沿って、ベース部12の前後方向Mに直線的に移動するようになっている。ラックギア30は、このラックギア30を前後方向Mに移動させるボールねじ33を介して駆動機たる駆動モータ32と連結されている。この駆動モータ32で回転させるボールねじ33によって、ラックギア30が上記リニアガイド31に沿って前後方向Mに移動する。
【0058】
上記第1アーム20の第1セクタギア22は、アイドルギア34と噛合しており、このアイドルギア34がラックギア30と噛合している。上記第2アーム21の第2セクタギア23は、ラックギア30と直接噛合している。これら第1セクタギア22と第2セクタギア23のピッチ半径は同一であり、それぞれの軸中心26,27を結ぶ直線28は、ラックギア30と平行となっている。
【0059】
このように構成された第1アーム20および第2アーム21は、搬出入装置1を自動車Vのタイヤ間に配置するときには、本体11の前後方向Mに開いた開状態(
図5に示す状態)となっている。
【0060】
また、図示するように、ベース部12の左右位置に保持機構41を設けることにより、ベース部12の幅方向中央部に、第1平面P1および左右一対の側壁P3で囲まれる空間(空スペース)Sを形成することができる。そして、この空スペースSに、保持機構41を駆動するための動力を供給する配線をガイドする配線ガイド機構40が収納可能に構成されている。
【0061】
配線ガイド機構40は、例えばケーブルベア(登録商標)等の内部に配線を配設することができるチェーン構造により構成される。配線ガイド機構40は、一端部が本体11(第1フォーク11a)の一端部(本実施形態においては、
図1Bに示すように、本体11の第1保持部10a側の端部)に固定され、他端部が搬送台車3に固定される(他端部については図示せず)。配線は、搬送台車3から配線ガイド機構40内に配設され、配線ガイド機構40の本体11の一端部に固定された端部から左右一対の保持機構41(第1保持機構41aおよび第2保持機構41b)の各構成に分配される(図示せず)。搬出入装置1が本体11における配線ガイド機構40との固定端側(例えば
図1Bにおいて搬送台車3より紙面右側)に移動した場合には、配線ガイド機構40は、両端部間の少なくとも一部が第1フォーク11aおよび第2フォーク11b内に位置する。反対に、搬出入装置1が本体11における上記固定端とは反対の端部側(例えば
図1Bにおいて搬送台車3より紙面左側)に移動した場合には、配線ガイド機構40は、両端部間の少なくとも一部が第2フォーク11bの上面に位置する。
【0062】
図6に示すように、上記ベース部12上に配設された保持機構41は、ラックギア30と第1セクタギア22および第2セクタギア23とアイドルギア34とが、略同一面内に配置されている。つまり、これらの歯車は、高さ方向に1段で形成され、これにより保持部10の高さを低く抑えている。しかも、各ギア22,23,30,34の歯幅を確保しているので、大きな面圧を受けることができる。
【0063】
図7は
図5において保持部を閉状態にした場合の平面図である。
図7においては保持するタイヤをT(前タイヤTFまたは後タイヤTR)としている。
図7に示すように、本実施形態の保持部10によれば、ラックギア30を前後方向Mに移動させることにより、このラックギア30に噛合している第2アーム21の第2セクタギア23と、アイドルギア34を介して噛合している第1アーム20の第1セクタギア22とが逆向きに回動する。
【0064】
このように、本実施形態の保持機構41は、アイドルギア34を介して設けた第1アーム20の第1セクタギア22と第2アーム21の第2セクタギア23とをラックギア30に噛合させて、1つのラックギア30の一方向への移動によって第1アーム20と第2アーム21とを逆向きに回動させるラックアンドピニオン機構を有している。
【0065】
第1アーム20および第2アーム21の回動角は、ラックギア30の移動量で制御されている。この実施形態では、ラックギア30の移動量を、近接スイッチ等で検知することで制御している。
【0066】
図7に示すように、タイヤTを挟持した状態では、保持部10の第1アーム20および第2アーム21は、ベース部12から左右方向に突出して閉じた状態となる。このアーム20,21を閉じたときの距離Wは、タイヤTを所定量浮かして挟持できる距離に設定されている。
【0067】
また、上記アイドルギア34は、半径が他の構成要素に対して以下の条件を満足するものとなっている。後述する
図9にも示すが、アイドルギア34の半径は、ラックギア30が第1アーム20側から第2アーム21側に向けて移動するとき、第1アーム20の第1セクタギア22の回転方向前端の(A点)がラックギア30に干渉する前に、ラックギア30の進行方向後端の(B点)が第1セクタギア22から離れるような大きさに設定されている。しかも、このアイドルギア34の半径は、第2アーム21の第2セクタギア23に干渉する大きさよりも小さく設定されている。
【0068】
これにより、ラックギア30と噛合して第1セクタギア22を回動させるアイドルギア34の大きさを、これらのギアを同一面内で噛合させて駆動機構の高さを抑えて省スペース化を図りつつ、適切な大きさに設定することができる。
【0069】
図8は
図5に示す保持機構の開状態における拡大平面図であり、
図9は
図7に示す保持機構の閉状態における拡大平面図である。
【0070】
図8に示すように、本実施形態における保持部10は、搬出入装置1を自動車Vのタイヤ間に配置するために搬送台車3から格納スペース2等の外部へ移動させるときには(
図1)、第1アーム20および第2アーム21は前後方向Mに開いた状態となっている。この状態では、
図5に示すように、第1アーム20および第2アーム21は、ベース部12の左右方向端部よりも内方に位置した状態となっている。
【0071】
上記したように、この状態では、第2アーム21の第2セクタギア23はラックギア30と噛合しており、第1アーム20の第1セクタギア22はアイドルギア34と噛合して、このアイドルギア34が上記ラックギア30と噛合している。
【0072】
この状態が第1アーム20および第2アーム21の待機状態であり、図示する各噛合状態から、以下に説明するようにラックギア30で第1セクタギア22および第2セクタギア23が駆動されて第1アーム20および第2アーム21が左右方向に突出するように回動する。
【0073】
図9に示すように、上記
図7に示す開状態から駆動モータ32を駆動してボールねじ33でラックギア30を図示する左方向に移動させると、このラックギア30と噛合している第2セクタギア23と、アイドルギア34を介して噛合している第1セクタギア22とが逆方向に回動し、第1アーム20および第2アーム21がベース部12から横方向に回動する。
【0074】
そして、ラックギア30を所定量移動させると、第1アーム20および第2アーム21が軸線が左右方向に向いた状態かつ互いに平行な状態でベース部12から突出した状態となる。この状態では、平行となった第1アーム20と第2アーム21との間の距離Wが、タイヤTを格納スペース2の載置領域4(
図1)から所定量浮かせる距離となっているため、タイヤTが載置領域4から浮いた状態で挟持される。この状態でラックギア30の位置が保たれ、第1セクタギア22および第2セクタギア23と噛合しているアイドルギア34の回動位置が保たれる。
【0075】
しかも、第1アーム20を回動させる第1セクタギア22および第2アーム21を回動させる第2セクタギア23、アイドルギア34、およびラックギア30を、ベース部12の第2平面P2上の同一面内に配置することにより、保持部10の高さ寸法を抑えることができ、自動車Vの最低地上高(例えば、9〜10cm)が小さい車両でも保持部10をタイヤ間に配置することができる。
【0076】
また、保持機構41をコンパクトに形成して保持部10の幅方向両端部に設けることにより、保持部10の幅方向中央部に空スペースSを確保することが可能となる。
【0077】
そのため、この保持部10の幅方向中央部に確保した空スペースSに、配線ガイド機構40や第1フォーク11a、第2フォーク11bおよび駆動機構48を含む移動機構を収納することが可能となる。
【0078】
なお、上記実施形態では、平面往復式の駐車装置における自動車搬送装置1の動作を例に説明したが、エレベータ式、エレベータスライド式、スタッカークレーン式など、他の形式の駐車装置においても適用可能であり、自動車搬送装置1の適用例は上記実施形態に限定されるものではない。
【0079】
また、上記実施形態では、駐車システムに搬出入装置1が用いられた例について説明したが、搬出入装置1は上記実施形態の用途に限定されるものではなく、例えば自動車検査装置、立体倉庫、自動車格納設備等のように自動車のタイヤTを持ち上げて搬送する必要があるシステムであれば同様に適用可能である。
【0080】
また、第1セクタギア22、第2セクタギア23、アイドルギア34およびラックギア30の大きさは一例であり、これら第1セクタギア22、第2セクタギア23、アイドルギア34およびラックギア30は、所定の強度を有し、それぞれのギアが干渉しないように大きさを決定すればよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0081】
また、搬出入装置1の保持部10の構成は、ベース部12の幅方向両端部に分割配置可能かつ自動車Vのタイヤを持ち上げて保持することが可能な構成であれば、上記実施形態の構成に限られない。さらに、上記実施形態においては、保持部10として前タイヤTFと後タイヤTRとをそれぞれ挟持して持ち上げる構成(第1保持部10aおよび第2保持部10bを有する構成)を例示したが、保持部10は、少なくとも自動車Vの駆動タイヤを挟持して持ち上げるように構成されていればよい。
【0082】
また、上記実施形態では、第1保持部10aおよび第2保持部10bが1つの本体11に設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。すなわち、第1保持部10aが設けられる本体と第2保持部10bが設けられる本体とが別体に構成されてもよい。
【0083】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本願発明の要旨を損わない範囲での種々の変更は可能であり、本願発明は上述した実施形態に限定されるものではない。