特許第6263060号(P6263060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263060
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置および紙葉類処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20180104BHJP
   B65H 1/06 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   G07D9/00 456F
   G07D9/00 408E
   B65H1/06 C
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-57596(P2014-57596)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-184690(P2015-184690A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】向田 雅幸
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−133840(JP,A)
【文献】 特開2013−200791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
B65H 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を収納する収納部と、
前記収納部に収納されている紙葉類を当該収納部から繰り出す繰出機構と、
前記収納部に設けられ、当該収納部に収納されている紙葉類を前記繰出機構側に向かって押さえる押さえ部材と、
前記押さえ部材の駆動を行う駆動部と、
前記収納部から紙葉類を繰り出すことができなくなるような前記繰出機構の異常状態を検出する異常状態検出手段と、
前記異常状態検出手段により前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、前記収納部に収納されている紙葉類から前記押さえ部材を離間させるよう前記駆動部の制御を行う制御部と、
を備えた、紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記収納部は前記紙葉類処理装置の筐体から引き出し可能となっており、
前記制御部は、前記異常状態検出手段により前記繰出機構の異常状態が検出された後、前記紙葉類処理装置の前記筐体から前記収納部が引き出されたときに、前記収納部に収納されている紙葉類から前記押さえ部材を離間させるよう前記駆動部の制御を行うようになっている、請求項1記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記収納部には複数の紙葉類が積層状態で収納されるようになっており、
前記押さえ部材は、前記収納部に収納されている紙葉類を上方から押さえるようになっており、
前記駆動部は前記収納部における紙葉類の積み重ね方向に沿って前記押さえ部材を移動させるようになっており、
前記制御部は、前記異常状態検出手段により前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、前記押さえ部材を上方に移動させるよう前記駆動部の制御を行う、請求項1または2記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記押さえ部材は、前記収納部における紙葉類の収納領域内に進出する進出位置と、前記収納領域から退避する退避位置との間で移動するようになっており、
前記制御部は、前記異常状態検出手段により前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、前記押さえ部材を前記進出位置から前記退避位置に移動させるよう前記駆動部の制御を行う、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記収納部には扉が設けられており、
前記扉が開かれた状態のときに前記収納部に対する紙葉類の出し入れを行うことができるようになっている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記収納部は前記紙葉類処理装置の筐体から引き出し可能となっており、
前記収納部を前記紙葉類処理装置の筐体から引き出した状態のときに前記扉を開くことができるようになっている、請求項5記載の紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記扉には前記収納部の外部から内部を見るための窓部が設けられており、前記収納部に収納されている紙葉類を前記押さえ部材が押さえているか否かを前記収納部の外部から前記窓部を介して視認することができるようになっている、請求項5または6記載の紙葉類処理装置。
【請求項8】
前記収納部は複数設けられており、前記繰出機構は各前記収納部に対応して複数設けられており、
前記制御部は、前記異常状態検出手段により複数の前記繰出機構のうちある前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、当該繰出機構に対応する前記収納部についてのみ当該収納部に収納されている紙葉類から前記押さえ部材を離間させるよう前記駆動部の制御を行う、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項9】
紙葉類を収納する収納部と、前記収納部に収納されている紙葉類を当該収納部から繰り出す繰出機構と、前記収納部に設けられ、当該収納部に収納されている紙葉類を前記繰出機構側に向かって押さえる押さえ部材と、前記押さえ部材の駆動を行う駆動部とを備えた紙葉類処理装置による紙葉類処理方法であって、
前記収納部に収納されている紙葉類を前記繰出機構により当該収納部から繰り出す工程と、
前記収納部から紙葉類を繰り出すことができなくなるような前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、前記収納部に収納されている紙葉類から前記押さえ部材を離間させるよう前記駆動部により前記押さえ部材の駆動を行う工程と、
を備えた、紙葉類処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣等の紙葉類の処理を行う紙葉類処理装置およびこのような紙葉類処理装置による紙葉類処理方法に関し、とりわけ、紙葉類を収納する収納部を備えた紙葉類処理装置およびこのような紙葉類処理装置による紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣の入出金処理等の様々な処理を行う紙幣処理装置において、機体内に投入された紙幣を金種別に収納するとともに収納された紙幣を繰出機構により繰り出し可能な複数の紙幣収納庫を備えたものが従来から知られている。このような紙幣処理装置に配設される紙幣収納庫として、例えば特許文献1に開示されるものが知られている。特許文献1に開示されるような従来技術の紙幣収納庫には、当該紙幣収納庫に積層状態で収納されている複数の紙幣を上方から押さえる押さえ部材が設けられており、このような押さえ部材により紙幣収納庫内で紙幣を上方から押さえることによって繰出機構による紙幣の繰り出しをスムーズに行うことができるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4060062号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な紙幣処理装置では、各紙幣収納庫から繰出機構により紙幣を繰り出す際に、当該繰出機構においてジャム等のトラブルが発生して紙幣収納庫から紙幣を繰り出すことができなくなった場合には、紙幣収納庫を紙幣処理装置の筐体から手前側に引き出して、問題のある繰出機構に対応する紙幣収納庫から紙幣を取り出すことによりこのような異常状態を解消しなければならなかった。しかしながら、紙幣収納庫に収納されている紙幣が押さえ部材により上方から押さえられている場合には、操作者は紙幣収納庫の扉を一方の片手で開いた状態に保持するとともに、もう一方の片手で押さえ部材を紙幣から上方に離間させるよう持ち上げながら当該紙幣収納庫から紙幣を取り出したり、あるいは、扉を一方の片手で開いて肘で開いた状態に保持し、一方の片手で押さえ部材を持ち上げながら他方の片手で紙幣を取り出したりと、作業性が悪いという問題があった。また、紙幣処理装置において、紙幣収納庫が金種別に複数設けられている場合には、操作者は各紙幣収納庫の扉を開けて問題のある繰出機構を探さなければならず、どの紙幣収納庫から紙幣を取り出さなければならないか一目で分からないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、収納部に収納されている紙葉類を当該収納部から繰り出す繰出機構の異常状態が検出されたときに操作者がこの収納部から紙幣を取り出す際の作業性を向上させることができる紙葉類処理装置および紙葉類処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙葉類処理装置は、紙葉類を収納する収納部と、前記収納部に収納されている紙葉類を当該収納部から繰り出す繰出機構と、前記収納部に設けられ、当該収納部に収納されている紙葉類を前記繰出機構側に向かって押さえる押さえ部材と、前記押さえ部材の駆動を行う駆動部と、前記繰出機構の異常状態を検出する異常状態検出手段と、前記異常状態検出手段により前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、前記収納部に収納されている紙葉類から前記押さえ部材を離間させるよう前記駆動部の制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の紙葉類処理装置は、紙葉類を収納する収納部と、前記収納部に収納されている紙葉類を当該収納部から繰り出す繰出機構と、前記収納部に設けられ、当該収納部に収納されている紙葉類を前記繰出機構側に向かって押さえる押さえ部材と、前記押さえ部材の駆動を行う駆動部と、前記収納部から紙葉類を繰り出すことができなくなるような前記繰出機構の異常状態を検出する異常状態検出手段と、前記異常状態検出手段により前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、前記収納部に収納されている紙葉類から前記押さえ部材を離間させるよう前記駆動部の制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の紙葉類処理装置においては、前記収納部は前記紙葉類処理装置の筐体から引き出し可能となっており、前記制御部は、前記異常状態検出手段により前記繰出機構の異常状態が検出された後、前記紙葉類処理装置の前記筐体から前記収納部が引き出されたときに、前記収納部に収納されている紙葉類から前記押さえ部材を離間させるよう前記駆動部の制御を行うようになっていてもよい。
【0009】
本発明の紙葉類処理装置においては、前記収納部には複数の紙葉類が積層状態で収納されるようになっており、前記押さえ部材は、前記収納部に収納されている紙葉類を上方から押さえるようになっており、前記駆動部は前記収納部における紙葉類の積み重ね方向に沿って前記押さえ部材を移動させるようになっており、前記制御部は、前記異常状態検出手段により前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、前記押さえ部材を上方に移動させるよう前記駆動部の制御を行うようになっていてもよい。
【0010】
本発明の紙葉類処理装置においては、前記押さえ部材は、前記収納部における紙葉類の収納領域内に進出する進出位置と、前記収納領域から退避する退避位置との間で移動するようになっており、前記制御部は、前記異常状態検出手段により前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、前記押さえ部材を前記進出位置から前記退避位置に移動させるよう前記駆動部の制御を行うようになっていてもよい。
【0011】
本発明の紙葉類処理装置においては、前記収納部には扉が設けられており、前記扉が開かれた状態のときに前記収納部に対する紙葉類の出し入れを行うことができるようになっていてもよい。
【0012】
この場合、前記収納部は前記紙葉類処理装置の筐体から引き出し可能となっており、前記収納部を前記紙葉類処理装置の筐体から引き出した状態のときに前記扉を開くことができるようになっていてもよい。
【0013】
また、前記扉には前記収納部の外部から内部を見るための窓部が設けられており、前記収納部に収納されている紙葉類を前記押さえ部材が押さえているか否かを前記収納部の外部から前記窓部を介して視認することができるようになっていてもよい。
【0014】
本発明の紙葉類処理装置においては、前記収納部は複数設けられており、前記繰出機構は各前記収納部に対応して複数設けられており、前記制御部は、前記異常状態検出手段により複数の前記繰出機構のうちある前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、当該繰出機構に対応する前記収納部についてのみ当該収納部に収納されている紙葉類から前記押さえ部材を離間させるよう前記駆動部の制御を行うようになっていてもよい。
【0015】
本発明の紙葉類処理方法は、紙葉類を収納する収納部と、前記収納部に収納されている紙葉類を当該収納部から繰り出す繰出機構と、前記収納部に設けられ、当該収納部に収納されている紙葉類を前記繰出機構側に向かって押さえる押さえ部材と、前記押さえ部材の駆動を行う駆動部とを備えた紙葉類処理装置による紙葉類処理方法であって、前記収納部に収納されている紙葉類を前記繰出機構により当該収納部から繰り出す工程と、前記収納部から紙葉類を繰り出すことができなくなるような前記繰出機構の異常状態が検出されたときに、前記収納部に収納されている紙葉類から前記押さえ部材を離間させるよう前記駆動部により前記押さえ部材の駆動を行う工程と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
このような紙葉類処理方法によれば、繰出機構の異常状態が検出されたときに、収納部に収納されている紙葉類から押さえ部材を離間させるよう駆動部により押さえ部材の駆動を行うため、操作者が収納部から紙葉類を取り出す際に、収納部の扉を一方の片手で開いた状態に保持するとともに、もう一方の片手で収納部から紙葉類を取り出すことができるようになり、この操作者は押さえ部材を手動で移動させる必要がなくなるため、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の紙葉類処理装置および紙葉類処理方法によれば、収納部に収納されている紙葉類を当該収納部から繰り出す繰出機構の異常状態が検出されたときに操作者がこの収納部から紙幣を取り出す際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態によるバラ紙幣処理装置を備えた貨幣処理機の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態によるバラ紙幣処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。
図3図2に示すバラ紙幣処理装置における制御系の構成を示す機能ブロック図である。
図4図2に示すバラ紙幣処理装置における紙幣収納庫や紙幣繰出部の構成を示す側面図である。
図5図2に示すバラ紙幣処理装置における紙幣投入部の構成を示す側面図である。
図6図2に示すバラ紙幣処理装置において筐体から下部ユニットおよび中間ユニットを一体的に引き出したときの状態を示す斜視図である。
図7図2に示すバラ紙幣処理装置において紙幣繰出部に異常が発生したときに表示部等に表示されるガイダンス画面を示す図である。
図8図2に示すバラ紙幣処理装置において紙幣繰出部に異常が発生したときに表示部等に表示されるガイダンス画面を示す図である。
図9図2に示すバラ紙幣処理装置の表示部等における最新の50回分のリトライ動作のログの表示内容を示す図である。
図10】変形例に係るバラ紙幣処理装置における紙幣収納庫や紙幣繰出部の構成を示す側面図である。
図11】更なる変形例に係るバラ紙幣処理装置における紙幣収納庫や紙幣繰出部の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本実施の形態によるバラ紙幣処理装置およびこのバラ紙幣処理装置を備えた貨幣処理機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態によるバラ紙幣処理装置を備えた貨幣処理機の構成を示す斜視図であり、図2は、本実施の形態によるバラ紙幣処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。また、図3は、図2に示すバラ紙幣処理装置における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図4は、図2に示すバラ紙幣処理装置における紙幣収納庫や紙幣繰出部の構成を示す側面図であり、図5は、図2に示すバラ紙幣処理装置における紙幣投入部の構成を示す側面図である。また、図6は、図2に示すバラ紙幣処理装置において筐体から下部ユニットおよび中間ユニットを一体的に引き出したときの状態を示す斜視図であり、図7および図8は、それぞれ、図2に示すバラ紙幣処理装置において紙幣繰出部に異常が発生したときに表示部等に表示されるガイダンス画面を示す図である。また、図9は、図2に示すバラ紙幣処理装置の表示部等における最新の50回分のリトライ動作のログの表示内容を示す図である。
【0020】
まず、本実施の形態によるバラ紙幣処理装置30を備えた貨幣処理機1の構成について図1を用いて説明する。図1に示す貨幣処理機1は出納機として用いられるようになっており、当該貨幣処理機1は、バラ硬貨の処理を行うバラ硬貨処理装置10と、包装硬貨の処理を行う包装硬貨処理装置20と、バラ紙幣の処理を行うバラ紙幣処理装置30と、帯封紙幣の処理を行う帯封紙幣処理装置40とを備えている。
【0021】
図1に示すように、バラ硬貨処理装置10の上面にはバラ硬貨入金口12が設けられており、このバラ硬貨入金口12に投入されたバラ硬貨はバラ硬貨処理装置10の機体内に繰り出され、当該バラ硬貨処理装置10の機体内にある識別部(図示せず)によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別された後、バラ硬貨処理装置10の機体内にある複数のバラ硬貨収納部(図示せず)に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、バラ硬貨処理装置10の前面にはバラ硬貨出金口14が設けられており、貨幣処理機1にバラ硬貨の出金指令が与えられたときに、バラ硬貨処理装置10の機体内にあるバラ硬貨収納部からバラ硬貨が繰り出されてバラ硬貨出金口14に搬送されるようになっている。
【0022】
また、図1に示すように、バラ硬貨処理装置10の左隣には包装硬貨処理装置20が設置されており、バラ硬貨処理装置10から包装硬貨処理装置20にバラ硬貨が送られるようになっている。包装硬貨処理装置20において、バラ硬貨処理装置10から送られたバラ硬貨は包装部(図示せず)において例えば50枚単位で包装紙等により棒状となるよう包装され、この包装された包装硬貨は当該包装硬貨処理装置20の機体内にある複数の包装硬貨収納部に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、包装硬貨処理装置20の前面上部には包装硬貨出金口22が設けられており、貨幣処理機1に包装硬貨の出金指令が与えられたときに、包装硬貨処理装置20の機体内にある包装硬貨収納部から包装硬貨が繰り出されて包装硬貨出金口22に搬送されるようになっている。
【0023】
また、図1に示すように、包装硬貨処理装置20の左隣にはバラ紙幣処理装置30が設置されており、このバラ紙幣処理装置30の前面上部にはバラ紙幣をバラ紙幣処理装置30の機体内に投入するためのバラ紙幣入金口32が設けられているとともに、バラ紙幣処理装置30の上面にはバラ紙幣を機体外に投出するためのバラ紙幣出金口34が設けられている。バラ紙幣入金口32に投入されたバラ紙幣はバラ紙幣処理装置30の機体内にある入金識別部116(後述)によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別された後、バラ紙幣処理装置30の機体内にある一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142(後述)に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、貨幣処理機1にバラ紙幣の出金指令が与えられたときに、バラ紙幣処理装置30の機体内にある一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142からバラ紙幣が繰り出されてバラ紙幣出金口34に搬送されるようになっている。
【0024】
また、バラ紙幣処理装置30の左隣には帯封紙幣処理装置40が設置されており、バラ紙幣処理装置30から帯封紙幣処理装置40にバラ紙幣が送られるようになっている。帯封紙幣処理装置40において、バラ紙幣処理装置30から送られたバラ紙幣は帯封部(図示せず)において例えば100枚単位で帯封紙等により帯封され、この帯封された帯封紙幣は当該帯封紙幣処理装置40の機体内にある複数の帯封紙幣収納部に例えば金種毎に収納されるようになっている。また、帯封紙幣処理装置40の前面上部には帯封紙幣出金口42が設けられており、貨幣処理機1に帯封紙幣の出金指令が与えられたときに、帯封紙幣処理装置40の機体内にある帯封紙幣収納部から帯封紙幣が繰り出されて帯封紙幣出金口42に搬送されるようになっている。
【0025】
なお、図1に示すような本実施の形態に係る貨幣処理機1では、これらのバラ硬貨処理装置10、包装硬貨処理装置20、バラ紙幣処理装置30および帯封紙幣処理装置40に加えて、例えば小切手や商品券等の現金以外の有価媒体の処理を行う有価媒体処理装置が並設されていてもよい。具体的には、このような有価媒体処理装置が例えば包装硬貨処理装置20とバラ紙幣処理装置30との間に設けられていてもよい。
【0026】
また、図1に示すように、バラ硬貨処理装置10の上面には例えばタッチパネル等からなる操作表示部50が設けられている。このような操作表示部50には、貨幣処理機1における貨幣の処理状況や、各処理装置10、20、30、40の収納部に収納されている貨幣の在高等に関する情報が表示されるようになっている。また、操作者は操作表示部50により貨幣処理機1に対して様々な指令を与えることができるようになっている。
【0027】
次に、バラ紙幣処理装置30の構成の詳細について図2乃至図9を用いて説明する。
【0028】
図2に示すように、バラ紙幣処理装置30は略直方体形状の筐体102を有しており、このバラ紙幣処理装置30には、バラ紙幣入金口32に投入されたバラ紙幣を筐体102内に繰り出すための紙幣投入部110および筐体102内からバラ紙幣出金口34を介して外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣投出部152がそれぞれ設けられている。より詳細には、バラ紙幣入金口32およびバラ紙幣出金口34にはそれぞれ紙幣投入部110やバラ紙幣投出部152の開閉を行うシャッタ32a、34aが設けられており、これらのシャッタ32a、34aが開かれたときに操作者はバラ紙幣入金口32を介して紙幣投入部110に紙幣をセットしたりバラ紙幣投出部152に載置された紙幣をバラ紙幣出金口34を介して外部に取り出したりすることができるようになっている。なお、バラ紙幣入金口32に設けられた紙幣投入部110の開閉を行うシャッタ32aはなくてもよい。また、紙幣投入部110には紙幣繰出部112が設けられており、外部から紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出部112には入金搬送部114が接続されており、紙幣繰出部112により筐体102内に繰り出された紙幣は入金搬送部114により1枚ずつ搬送されるようになっている。
【0029】
紙幣投入部110の構成の詳細を図5に示す。図5に示すように、紙幣投入部110には、バラ紙幣入金口32を介して外部から投入された紙幣(図5において参照符号Pで表示)が積層状態で集積されるようになっている。また、紙幣投入部110に集積されている紙幣を1枚ずつ繰り出す紙幣繰出部112は、紙幣の繰り出しを行うためのフィードローラ112aと、フィードローラ112aに対向して設けられ、当該フィードローラ112aとの間にゲート部を形成するゲートローラ112bと、紙幣投入部110に積層状態で集積されている複数の紙幣のうち最下層にある紙幣をフィードローラ112a側に蹴り出すための2つのキッカローラ112c、112dと、フィードローラ112aに対向して設けられ、当該フィードローラ112aにより繰り出される紙幣を案内する案内ローラ112eとを有しており、フィードローラ112aとゲートローラ112bとの間のゲート部に送られた紙幣は当該ゲート部により1枚ずつに分離されるようになっている。そして、フィードローラ112aにより繰り出された紙幣は入金搬送部114に送られ、この入金搬送部114により搬送されるようになる。
【0030】
また、図5に示すように、紙幣投入部110には、この紙幣投入部110に積層状態で集積されている複数の紙幣を紙幣繰出部112側に向かって押さえる押さえ部材111が設けられている。より詳細には、押さえ部材111は紙幣投入部110に集積されている紙幣を上方から押さえるようになっている。また、押さえ部材111は紙幣繰出部112に向かう方向および紙幣繰出部112から退避する方向(図5における矢印方向)に移動自在となっている。より詳細には、図5に示すように押さえ部材111の駆動を行う押さえ部材駆動部113が設けられており、この押さえ部材駆動部113により押さえ部材111は紙幣繰出部112に向かう方向および紙幣繰出部112から退避する方向に移動するようになっている。押さえ部材駆動部113は後述するバラ紙幣処理装置30の制御部200により制御されるようになっている。
【0031】
図2に示すように、入金搬送部114には入金識別部116が設けられており、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、入金搬送部114による紙幣の搬送方向における入金識別部116の下流側には表裏反転部118が設けられており、入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられるようになっている。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金搬送部114には入金リジェクト部120が接続されており、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣が入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られるようになっている。入金リジェクト部120はバラ紙幣処理装置30の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
【0032】
また、図2に示すように、入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数(例えば4つ)の金種別一時保留部132とがそれぞれ接続されている。ここで、1つの一括一時保留部130および複数の金種別一時保留部132は並列に並ぶよう配設されている。入金搬送部114から一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送された紙幣は、これらの一括一時保留部130や各金種別一時保留部132において積層状態で集積されることにより一時的に保留されるようになっている。なお、一括一時保留部130には複数の金種の紙幣が混合状態で一時的に保留されるようになっており、また、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留されるようになっている。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられているとともに、各金種別一時保留部132に対応して複数の金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には、一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。また、各金種別紙幣収納庫142には、対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には複数の金種の紙幣が混合状態で収納されるようになっており、また、各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ特定の金種の紙幣が収納されるようになっている。また、一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、これらの一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により繰り出されるようになっている。また、各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、各紙幣繰出部144により一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣は下部搬送部146により1枚ずつ搬送されるようになっている。
【0033】
一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の構成の詳細を図4に示す。図4に示すように、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142には、一括一時保留部130や金種別一時保留部132から下方に落下した紙幣(図4において参照符号Pで表示)が積層状態で収納されるようになっている。より詳細には、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の上部には一対の受け部材141が設けられており、一括一時保留部130や金種別一時保留部132から下方に落下した紙幣はまずこれらの受け部材141により受けられるようになっている。各受け部材141はその基端部に設けられた軸141aを中心として図4における矢印方向に回転するようになっているとともに各受け部材141は鉛直方向に移動自在となっている。そして、一括一時保留部130や金種別一時保留部132から下方に落下した紙幣が各受け部材141により受けられた後、各受け部材141が軸141aを中心として図4における矢印方向に回転することにより、各受け部材141から紙幣が落下して一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納される。
【0034】
図4に示すように、一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142に収納された紙幣を1枚ずつ繰り出す紙幣繰出部144は、紙幣の繰り出しを行うためのフィードローラ144aと、フィードローラ144aに対向して設けられ、当該フィードローラ144aとの間にゲート部を形成するゲートローラ144bと、一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142に積層状態で収納されている複数の紙幣のうち最下層にある紙幣をフィードローラ144a側に蹴り出すための2つのキッカローラ144c、144dと、フィードローラ144aに対向して設けられ、当該フィードローラ144aにより繰り出される紙幣を案内する案内ローラ144eとを有しており、フィードローラ144aとゲートローラ144bとの間のゲート部に送られた紙幣は当該ゲート部により1枚ずつに分離されるようになっている。そして、フィードローラ144aにより繰り出された紙幣は下部搬送部146に送られ、この下部搬送部146により搬送されるようになる。
【0035】
また、図4に示すように、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142には、これらの一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に積層状態で収納されている複数の紙幣を紙幣繰出部144側に向かって押さえる押さえ部材143が設けられている。より詳細には、押さえ部材143は一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣を上方から押さえるようになっている。このような押さえ部材143により一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142内で紙幣を上方から押さえることによって紙幣繰出部144による紙幣の繰り出しをスムーズに行うことができるようにしている。
【0036】
また、押さえ部材143はその基端部に設けられた軸143aを中心として図4における矢印方向に回転するようになっているとともに鉛直方向に移動自在となっている。より詳細には、図4に示すように押さえ部材143の駆動を行う押さえ部材駆動部145が設けられており、この押さえ部材駆動部145によって押さえ部材143は軸143aを中心として図4における矢印方向に回転したり鉛直方向に移動したりするようになっている。このように、押さえ部材143は、軸143aを中心として回転することにより、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142における紙幣の収納領域内に進出する進出位置と、この収納領域から退避する退避位置との間で移動するとともに、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142における紙幣の積み重ね方向(図4における上下方向)に沿って移動するようになる。なお、押さえ部材駆動部145は後述するバラ紙幣処理装置30の制御部200により制御されるようになっている。
【0037】
また、図2に示すように、下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。なお、出金識別部148は、紙幣の真偽、正損の識別は行わなくてもよい。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されており、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送されるようになっている。
【0038】
図2に示すように、出金搬送部150にはバラ紙幣投出部152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出されるべき紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られてこのバラ紙幣投出部152に集積されるようになっている。バラ紙幣投出部152はバラ紙幣処理装置30の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はバラ紙幣出金口34を介してバラ紙幣投出部152に集積されたバラ紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られるようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、バラ紙幣処理装置30に併設された帯封紙幣処理装置40により帯封されるべき紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積されるようになっている。そして、各整理一時保留部160に集積された紙幣の束は、アーム部190によってこれらの整理一時保留部160から取り出され、当該アーム部190により帯封紙幣処理装置40の帯封部(図示せず)に搬送されるようになる。また、図2に示すように、出金識別部148により識別された紙幣を出金搬送部150により表裏反転部118に送ることができるようになっており、出金搬送部150により表裏反転部118に送られた紙幣は入金搬送部114により一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送されるようになっている。
【0039】
また、図2に示すように、入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所には分岐部材170がそれぞれ設けられており、これらの分岐部材170により分岐箇所における紙幣の搬送先が決められるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣の検出を行う紙幣検出センサ180が複数設けられている。また、本実施の形態では、出金搬送部150における、出金識別部148と各整理一時保留部160との間には、紙幣厚さ検知センサ182および半券検知センサ184がそれぞれ設けられている。また、半券検知センサ184は、バラ紙幣投出部152への入口部分である出金搬送部150にも設けられている。
【0040】
また、図2に示すように、本実施の形態のバラ紙幣処理装置30では、一括紙幣収納庫140、各金種別紙幣収納庫142、下部搬送部146、出金識別部148等により下部ユニット300が構成されているとともに、一括一時保留部130および4つの金種別一時保留部132により中間ユニット320が構成されており、これらの下部ユニット300および中間ユニット320は一体的にバラ紙幣処理装置30の筐体102から図2における左方向(筐体102の前方)に引き出し可能となっている。なお、中間ユニット320は単独でも筐体102から引き出すことができるようになっている。ここで、下部ユニット300および中間ユニット320は筐体102から完全に取り外すことはできず、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142等が外部に露出すると下部ユニット300や中間ユニット320を筐体102からこれ以上引き出すことができないようになっている。
【0041】
また、下部ユニット300や中間ユニット320の上方には、紙幣投入部110、入金搬送部114、入金識別部116、表裏反転部118、入金リジェクト部120、バラ紙幣投出部152、整理一時保留部160等から構成される上部ユニット340が設けられており、この上部ユニット340もバラ紙幣処理装置30の筐体102から図2における左方向(筐体102の前方)に引き出し可能となっている。なお、上部ユニット340も筐体102から完全に取り外すことはできず、入金搬送部114等が外部に露出すると上部ユニット340を筐体102からこれ以上引き出すことができないようになっている。
【0042】
また、本実施の形態のバラ紙幣処理装置30には、当該バラ紙幣処理装置30の各構成要素の制御を行う制御部200(図2では図示せず)が設けられている。このような制御部200の構成について図3を用いて説明する。図3に示すように、制御部200には紙幣繰出部112、入金搬送部114、入金識別部116、表裏反転部118、一括一時保留部130、金種別一時保留部132、紙幣繰出部144、押さえ部材駆動部145、押さえ部材駆動部113、下部搬送部146、出金識別部148、出金搬送部150、分岐部材170、紙幣検出センサ180、紙幣厚さ検知センサ182、半券検知センサ184、アーム部190等がそれぞれ接続されている。そして、入金識別部116や出金識別部148による紙幣の識別結果に係る信号や、紙幣検出センサ180、紙幣厚さ検知センサ182、半券検知センサ184による紙幣の検知結果に係る信号等が制御部200に送られるようになっている。また、制御部200は、紙幣繰出部112、入金搬送部114、表裏反転部118、一括一時保留部130、金種別一時保留部132、紙幣繰出部144、押さえ部材駆動部145、押さえ部材駆動部113、下部搬送部146、出金搬送部150、分岐部材170、アーム部190等の各構成要素に指令信号を送ることによりこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
【0043】
また、図3に示すように、制御部200には表示部202、操作部204、異常状態検出手段206、記憶部208がそれぞれ接続されている。表示部202は例えばバラ紙幣処理装置30の筐体102の前面や上面に設けられたモニタ等からなり、バラ紙幣処理装置30における紙幣の処理状況や、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣の在高等に関する情報等が表示部202に表示されるようになっている。また、操作部204は例えばキーボードや操作キー等からなり、操作者はこの操作部204により制御部200に対して様々な指令を与えることができるようになっている。なお、表示部202および操作部204がそれぞれ設けられる代わりに、表示部202および操作部204の機能が一体化されたタッチパネル等の操作表示部がバラ紙幣処理装置30の筐体102の前面や上面に設けられていてもよい。
【0044】
また、異常状態検出手段206は、紙幣繰出部144に紙幣のジャム(詰まり)による繰り出し不良等の異常が発生したときに当該紙幣繰出部144の異常状態を検出するようになっている。また、記憶部208には、バラ紙幣処理装置30における紙幣の処理状況や、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣の在高等に関する情報等が記憶されるようになっている。
【0045】
次に、このような構成からなるバラ紙幣処理装置30の動作について説明する。なお、以下に示すようなバラ紙幣処理装置30の動作は、制御部200が当該バラ紙幣処理装置30の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
【0046】
まず、バラ紙幣処理装置30において入金処理を行う際の動作について説明する。バラ紙幣処理装置30が待機状態となっているときに、操作者がバラ紙幣入金口32を介して紙幣投入部110にバラ紙幣を投入するとともに、入金処理開始の指令を操作部204により制御部200に入力すると、紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出され、入金搬送部114により搬送されるようになる。そして、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別される。入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられる。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られる。入金リジェクト部120はバラ紙幣処理装置30の筐体102の外部からアクセス可能となっており、紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出されると、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出し、紙幣投入部110に再投入等するようになる。
【0047】
一方、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、入金搬送部114により一括一時保留部130または各金種別一時保留部132に送られ、これらの一時保留部で一時的に保留されるようになる。具体的には、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、対応する金種の金種別一時保留部132に送られるが、この対応する金種の金種別一時保留部132が満杯状態である場合には、当該紙幣は一括一時保留部130に送られるようになる。そして、紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出され、入金リジェクト部120、一括一時保留部130または各金種別一時保留部132に送られると、表示部202には操作者に対して入金確定の指令を促すメッセージが表示される。このときに、操作者が操作部204により入金確定の指令を入力すると、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に一時的に保留されている紙幣が、対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に送られ、これらの紙幣収納庫に収納されるようになる。このようにして、バラ紙幣処理装置30における入金処理に係る一連の動作が完了する。
【0048】
次に、バラ紙幣処理装置30により出金処理を行う際の動作について説明する。バラ紙幣処理装置30が待機状態となっているときに、出金すべき紙幣の金種毎の枚数や合計金額等に係る情報を含む出金処理開始の指令を操作者が操作部204により制御部200に入力すると、出金すべき金種の紙幣が各金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られ、このバラ紙幣投出部152に集積される。バラ紙幣投出部152はバラ紙幣出金口34を介してバラ紙幣処理装置30の筐体102の外部からアクセス可能となっており、バラ紙幣処理装置30において出金処理が完了すると、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積された紙幣を手動で取り出すようになる。このようにして、バラ紙幣処理装置30における出金処理に係る一連の動作が完了する。
【0049】
本実施の形態によるバラ紙幣処理装置30では、上述したバラ紙幣処理装置30の出金処理等において、紙幣繰出部144においてジャム等のトラブルが発生して一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から紙幣を繰り出すことができなくなった場合には、図6に示すように下部ユニット300および中間ユニット320をバラ紙幣処理装置30の筐体102から手前側に引き出して、問題のある紙幣繰出部144に対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から紙幣を取り出すことによりこのような異常状態を解消している。具体的には、下部ユニット300および中間ユニット320をバラ紙幣処理装置30の筐体102から手前側に引き出した後、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の扉302(後述)を開くことにより一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣を取り出すことができるようになる。
【0050】
より詳細に説明すると、紙幣繰出部144においてジャム等のトラブルが発生して一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から紙幣を繰り出すことができなくなった場合には、操作表示部50やバラ紙幣処理装置30の表示部202には一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣を取り出す方法を示すガイダンス画面が表示されるようになり、操作者はこのガイダンス画面に従って一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣を取り出すようになる。ここで、下部ユニット300および中間ユニット320がバラ紙幣処理装置30の筐体102から手前側に引き出されると、操作表示部50やバラ紙幣処理装置30の表示部202には図7に示すようなガイダンス画面が表示される。なお、図7に示すように、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の各々には扉302がそれぞれ設けられており、この扉302が開かれた状態のときに一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に対する紙幣の出し入れを行うことができるようになっている。また、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に設けられた扉302は、図6に示すように下部ユニット300や中間ユニット320を筐体102から引き出したときに開くことができるようになっている。また、扉302には、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の外部から内部を見るための窓部303が設けられている。本実施の形態によるバラ紙幣処理装置30では、下部ユニット300および中間ユニット320がバラ紙幣処理装置30の筐体102から手前側に引き出されると、操作表示部50やバラ紙幣処理装置30の表示部202に表示される図7に示すようなガイダンス画面において、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の扉302を開くことが操作者に要求されるようになる。ここで、図7のガイダンス画面では、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142のうちトラブルが発生した収納庫140、142の扉302を指して開けるように要求している。
【0051】
操作者が一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の扉302を開くと、操作表示部50やバラ紙幣処理装置30の表示部202には図8に示すようなガイダンス画面が表示され、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣を取り除くことが操作者に要求されるようになる。また、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の各々において扉302の下方には紙幣強制取り出し用つまみ304が設けられており、この紙幣強制取り出し用つまみ304を操作者が回転させることにより、紙幣繰出部144から一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に紙幣が戻されるようになっている。このように、紙幣繰出部144で紙幣が詰まっている場合でも、操作者がこの紙幣強制取り出し用つまみ304を回転させることにより紙幣繰出部144で詰まっている紙幣を一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に強制的に戻すことで外部に取り出すことができるようになる。
【0052】
ここで、本実施の形態では、制御部200は、異常状態検出手段206により紙幣繰出部144の異常状態が検出されたときに、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣から押さえ部材143を離間させるよう押さえ部材駆動部145の制御を行うようになっている。より詳細には、制御部200は、異常状態検出手段206により複数の紙幣繰出部144のうちある紙幣繰出部144の異常状態が検出されたときに、当該紙幣繰出部144に対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142についてのみ押さえ部材143を図4における上方に移動させるよう押さえ部材駆動部145の制御を行う。ここで、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の扉302には、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の外部から内部を見るための窓部303が設けられているため、図6に示すように下部ユニット300や中間ユニット320を筐体102から引き出した後、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣を押さえ部材143が押さえているか否かを一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の外部から窓部303を介して視認することができるようになる。
【0053】
このように、異常状態検出手段206により複数の紙幣繰出部144のうちある紙幣繰出部144の異常状態が検出されたときに、当該紙幣繰出部144に対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142における押さえ部材143が紙幣から離間するよう図4における上方に移動するため、操作者は一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の扉302を一方の片手で開いた状態に保持するとともに、もう一方の片手で一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から紙幣を取り出すことができるようになり、この操作者は押さえ部材143を手動で移動させる必要がなくなるため、作業性を向上させることができる。
【0054】
なお、異常状態となっている紙幣繰出部144に対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142における押さえ部材143が紙幣から離間するよう上方に移動するタイミングは、異常状態検出手段206により紙幣繰出部144の異常状態が検出されたときであってもよく、あるいは、異常状態検出手段206により紙幣繰出部144の異常状態が検出された後、筐体102から下部ユニット300や中間ユニット320が引き出されたときであってもよい。
【0055】
また、他の態様では、制御部200は、異常状態検出手段206により複数の紙幣繰出部144のうちある紙幣繰出部144の異常状態が検出されたときに、当該紙幣繰出部144に対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142における押さえ部材143を図4における上方に移動させたあと、軸143aを中心としてこの押さえ部材143を回転させることにより当該押さえ部材143を紙幣の収納領域内から退避する退避位置に移動させるよう押さえ部材駆動部145の制御を行うようになっていてもよい。また、更に他の態様では、制御部200は、異常状態検出手段206により複数の紙幣繰出部144のうちある紙幣繰出部144の異常状態が検出されたときに、当該紙幣繰出部144に対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142における押さえ部材143を図4における上方に移動させながら軸143aを中心としてこの押さえ部材143を紙幣の上面をなぞらえるようにして図4における反時計回りの方向に回転させることにより当該押さえ部材143を紙幣の収納領域内から退避する退避位置に移動させるよう押さえ部材駆動部145の制御を行うようになっていてもよい。
【0056】
また、本実施の形態によるバラ紙幣処理装置30では、紙幣繰出部112や入金搬送部114においてジャム等のトラブルが発生して紙幣投入部110から紙幣を入金搬送部114に繰り出すことができなくなったり入金搬送部114により紙幣を搬送することができなくなったりした場合には、上部ユニット340をバラ紙幣処理装置30の筐体102から手前側に引き出して、紙幣繰出部112や入金搬送部114において詰まった紙幣を取り出すことによりこのような異常状態を解消している。ここで、紙幣繰出部112や入金搬送部114の異常状態が検出されると、制御部200は紙幣投入部110に集積されている紙幣を押さえ部材111により上方から押さえるよう押さえ部材駆動部113の制御を行う。このことにより、上部ユニット340がバラ紙幣処理装置30の筐体102から手前側に引き出される際に、紙幣投入部110に集積されている紙幣を押さえ部材111により上方から押さえられるようになるため、紙幣投入部110に集積されている紙幣がこの紙幣投入部110から落下してしまうことを防止することができるようになる。なお、通常の入金処理時には、操作者が紙幣投入部110に紙幣を載置する動作の邪魔とならないよう、押さえ部材111は図5における上方に退避するようになっている。
【0057】
また、本実施の形態によるバラ紙幣処理装置30では、制御部200は、リトライ動作が発生したときにこのリトライ動作のログを記憶部208に記憶させるとともに、記憶部208に記憶された様々なバラ紙幣処理装置30の動作のログからリトライ動作のログのみを抽出することができるようになっている。ここで、リトライ動作とは、バラ紙幣処理装置30の様々な構成部材において異常状態が検出されたときに、バラ紙幣処理装置30をエラーダウンさせることなく、代わりに異常状態を解消する動作を当該構成部材で繰り返し行うことをいう。具体的には、例えば紙幣繰出部112や紙幣繰出部144において異常状態が検出されたときに、紙幣繰出部112や紙幣繰出部144の各ローラを逆転させることによりこれらの紙幣繰出部112や紙幣繰出部144から紙幣を紙幣投入部110、一括紙幣収納庫140、各金種別紙幣収納庫142等に戻し、その後、再び紙幣繰出部112や紙幣繰出部144により紙幣の繰り出しを行うような動作をリトライ動作という。
【0058】
従来技術のバラ紙幣処理装置では、リトライ動作が発生したときにこのリトライ動作のログを記憶部に記憶させていたが、記憶部に記憶された様々なバラ紙幣処理装置の動作のログからリトライ動作のログのみを抽出することはできなかった。このため、操作者は記憶部に記憶された数万件単位の大量のログを解析し、その中からリトライ動作に関するログを探し出す必要があるため、リトライ動作に関するログを解析することは困難であった。これに対し、本実施の形態では、制御部200は、リトライ動作が発生したときにこのリトライ動作のログを記憶部208に記憶させるとともに、記憶部208に記憶された様々なバラ紙幣処理装置30の動作のログからリトライ動作のログのみを抽出することができるようになっているため、リトライ動作に関するログを容易に解析することができるようになる。
【0059】
より詳細には、本実施の形態では、制御部200は、記憶部208に記憶された様々なバラ紙幣処理装置30のログから、最新の50回分のリトライ動作のログを抽出し、この抽出した情報を操作表示部50やバラ紙幣処理装置30の表示部202に時系列的に表示するようになっている。ここで、操作表示部50やバラ紙幣処理装置30の表示部202における、最新の50回分のリトライ動作のログの表示内容を図9に示す。図9に示すように、最新の50回分のリトライ動作の発生箇所が操作表示部50やバラ紙幣処理装置30の表示部202に表示されるようになるため、操作者は、頻繁にリトライ動作が発生している構成部材に基づいて当該構成部材の故障を予知することができるようになり、メンテナンス作業時にこの構成部材の交換や補修等を早めに行うことができるようになる。
【0060】
なお、操作表示部50やバラ紙幣処理装置30の表示部202において、図9に示すような最新の50回分のリトライ動作のログが時系列的に表示される代わりに、構成部品毎のリトライ動作の発生回数が表示されるようになっていてもよい。また、リトライ動作の発生回数が予め設定された所定回数に達したときに、操作表示部50やバラ紙幣処理装置30の表示部202に警告表示がなされるようになっていてもよい。これらの場合でも、操作者は、頻繁にリトライ動作が発生している構成部材に基づいて当該構成部材の故障を予知することができるようになり、メンテナンス作業時にこの構成部材の交換や補修等を早めに行うことができるようになる。
【0061】
以上のような構成からなる本実施の形態のバラ紙幣処理装置30によれば、異常状態検出手段206により紙幣繰出部144の異常状態が検出されたときに、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣から押さえ部材143を離間させるよう押さえ部材駆動部145が制御部200により制御されるようになっているため、操作者が一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から紙幣を取り出す際に、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の扉302を一方の片手で開いた状態に保持するとともに、もう一方の片手で一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から紙幣を取り出すことができるようになり、この操作者は押さえ部材143を手動で移動させる必要がなくなるため、作業性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施の形態のバラ紙幣処理装置30においては、上述したように、制御部200は、異常状態検出手段206により紙幣繰出部144の異常状態が検出された後、バラ紙幣処理装置30の筐体102から下部ユニット300や中間ユニット320(すなわち、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142)が引き出されたときに、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣から押さえ部材143を離間させるよう押さえ部材駆動部145の制御を行うようになっていてもよい。この場合でも、操作者が一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から紙幣を取り出す際における作業性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施の形態のバラ紙幣処理装置30においては、上述したように、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142には複数の紙幣が積層状態で収納されるようになっており、押さえ部材143は、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣を上方から押さえるようになっている。また、押さえ部材駆動部145は一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142における紙幣の積み重ね方向に沿って押さえ部材143を移動させるようになっており、制御部200は、異常状態検出手段206により紙幣繰出部144の異常状態が検出されたときに、押さえ部材143を上方に移動させるよう押さえ部材駆動部145の制御を行うようになっている。
【0064】
なお、上述したように、制御部200は、異常状態検出手段206により紙幣繰出部144の異常状態が検出されたときに、軸143aを中心として押さえ部材143を回転させることにより当該押さえ部材143を紙幣の収納領域内から退避する退避位置に移動させるよう押さえ部材駆動部145の制御を行うようになっていてもよい。
【0065】
また、本実施の形態のバラ紙幣処理装置30においては、上述したように、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142には扉302が設けられており、扉302が開かれた状態のときに一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に対する紙幣の出し入れを行うことができるようになっている。また、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142は筐体102から引き出し可能となっており、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142を筐体102から引き出した状態のときに扉302を開くことができるようになっている。また、扉302には一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の外部から内部を見るための窓部303が設けられており、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣を押さえ部材143が押さえているか否かを一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142の外部から窓部303を介して視認することができるようになっている。この場合には、紙幣繰出部144に異常が発生したときに、押さえ部材143が紙幣から離間している一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142のみについて操作者は紙幣の取り出しを行えばよくなるため、全ての一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142の扉302を開ける必要がなくなり操作者の負担を軽減することができる。
【0066】
また、本実施の形態のバラ紙幣処理装置30においては、上述したように、制御部200は、異常状態検出手段206により複数の紙幣繰出部144のうちある紙幣繰出部144の異常状態が検出されたときに、当該紙幣繰出部144に対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142についてのみ一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣から押さえ部材143を離間させるよう押さえ部材駆動部145の制御を行うようになっている。この場合には、必要最小限の押さえ部材143のみを移動させるようになるため、ある紙幣繰出部144で異常状態が検出されたときに全ての一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142に設けられた押さえ部材143を移動させる場合と比較してシンプルな動作とすることができる。また、図7のガイダンス画面では、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142のうち異常状態が発生した一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142を指示して扉302を開けるように案内しているが、このような案内がなくても、操作者は紙幣から離間した押さえ部材143を窓部303を介して確認することによりどの紙幣繰出部144で異常が発生したかを一目で判断することができるようになる。また窓部303がなくても扉302を開ければ直ちに異常が発生したか否かを判断することができる。
【0067】
なお、本実施の形態によるバラ紙幣処理装置は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0068】
例えば、バラ紙幣処理装置は、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に紙幣が積層状態で収納されるとともに押さえ部材143が一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納された紙幣を上方から押さえる態様のものに限定されることはない。変形例に係るバラ紙幣処理装置の構成について図10および図11を用いて説明する。
【0069】
図10に示すバラ紙幣処理装置では、一括紙幣収納庫や各金種別紙幣収納庫として用いられる紙幣収納庫440に複数の紙幣が立位状態で水平方向に並ぶよう載置板442上に載置されるようになっており、載置板442上に載置される複数の紙幣のうち最も右側に位置する紙幣が紙幣繰出部444により紙幣搬送部446に繰り出されるようになっている。ここで、紙幣繰出部444は、紙幣の繰り出しを行うためのフィードローラ444aと、フィードローラ444aに対向して設けられ、当該フィードローラ444aとの間にゲート部を形成するゲートローラ444bと、載置板442上に載置される複数の紙幣のうち最も右側に位置する紙幣をフィードローラ444a側(すなわち、図10における上方向)に蹴り出すためのキッカローラ444cとを有しており、フィードローラ444aとゲートローラ444bとの間のゲート部に送られた紙幣は当該ゲート部により1枚ずつに分離されるようになっている。また、このような紙幣収納庫440において、載置板442上に載置される複数の紙幣を紙幣繰出部444側に押圧する押さえ部材443が配設されている。この押さえ部材443は図10における左右方向に移動自在となっている。より詳細には、図10に示すように押さえ部材443の駆動を行う押さえ部材駆動部445が設けられており、この押さえ部材駆動部445により押さえ部材443は紙幣繰出部444に向かう方向および紙幣繰出部444から退避する方向に移動するようになっている。押さえ部材駆動部445はバラ紙幣処理装置の制御部により制御されるようになっている。
【0070】
図10に示すバラ紙幣処理装置において、異常状態検出手段により紙幣繰出部444の異常状態が検出されたときに、紙幣収納庫440に収納されている紙幣から押さえ部材443を離間させるよう押さえ部材駆動部445がバラ紙幣処理装置の制御部により制御されるようになっている。具体的には、異常状態検出手段により紙幣繰出部444の異常状態が検出されると、押さえ部材443が図10における左方向に移動するよう押さえ部材駆動部445の制御が行われる。このことにより、操作者が紙幣収納庫440から紙幣を取り出す際に、当該紙幣収納庫440の扉(図示せず)を一方の片手で開いた状態に保持するとともに、もう一方の片手で紙幣収納庫440から紙幣を取り出すことができるようになり、この操作者は押さえ部材443を手動で移動させる必要がなくなるため、作業性を向上させることができる。
【0071】
図11は、更なる変形例に係るバラ紙幣処理装置の構成が示されている。図11に示すバラ紙幣処理装置では、一括紙幣収納庫や各金種別紙幣収納庫として用いられる紙幣収納庫540に複数の紙幣が積層状態で収納されるようになっているが、当該紙幣収納庫540から紙幣を繰り出すための紙幣繰出部544はこの紙幣収納庫540の上部に配設されている。ここで、紙幣繰出部544は、紙幣の繰り出しを行うためのフィードローラ544aと、フィードローラ544aに対向して設けられ、当該フィードローラ544aとの間にゲート部を形成するゲートローラ544bと、後述する載置板543上に載置される複数の紙幣のうち最上層に位置する紙幣をフィードローラ544a側に蹴り出すためのキッカローラ544cとを有しており、フィードローラ544aとゲートローラ544bとの間のゲート部に送られた紙幣は当該ゲート部により1枚ずつに分離されるようになっている。また、紙幣収納庫540には、紙幣が積層状態で載置される載置板543が設けられており、この載置板543は上下方向に移動自在となっている。より詳細には、紙幣搬送部546から紙幣収納庫540に紙幣が送られて載置板543上に紙幣が載置される度に、載置板543は徐々に下降するようになっている。この際は、フィードローラ544aおよびゲートローラ544bは図11の矢印とは反対方向に回転し、キッカローラ544cは紙幣の上面から離れている。一方、載置板543上に載置された紙幣を紙幣収納庫540から繰り出す際には、載置板543を上昇させることにより、当該載置板543に載置される紙幣を紙幣繰出部544側に押圧し、この紙幣繰出部544による紙幣の繰り出しがスムーズに行われるようにする。
【0072】
また、図11に示す紙幣収納庫540において、載置板543の駆動を行う載置板駆動部545が設けられており、この載置板駆動部545により載置板543は紙幣繰出部544に向かう方向および紙幣繰出部544から退避する方向(すなわち、図11における上下方向)に移動するようになっている。また、載置板駆動部545はバラ紙幣処理装置の制御部により制御されるようになっている。図11に示すバラ紙幣処理装置では、載置板543は、紙幣収納庫540に収納されている紙幣を紙幣繰出部544側に向かって押さえる押さえ部材として機能するようになっている。
【0073】
図11に示すバラ紙幣処理装置において、異常状態検出手段により紙幣繰出部544の異常状態が検出されたときに、紙幣収納庫540に収納されている紙幣から載置板543を離間させるよう載置板駆動部545が制御部により制御されるようになっている。具体的には、異常状態検出手段により紙幣繰出部544の異常状態が検出されると、載置板543が図11における下方向に移動するよう制御部は載置板駆動部545の制御を行う。このことにより、操作者が紙幣収納庫540から紙幣を取り出す際に、当該紙幣収納庫540の扉(図示せず)を一方の片手で開いた状態に保持するとともに、もう一方の片手で紙幣収納庫540から紙幣を取り出すことができるようになり、この操作者は載置板543を手動で移動させる必要がなくなるため、作業性を向上させることができる。
【0074】
また、本発明に係る紙葉類処理装置および紙葉類処理方法は、バラ紙幣の処理を行うバラ紙幣処理装置および当該バラ紙幣処理装置による紙幣処理方法に限定されることはない。本発明に係る紙葉類処理装置および紙葉類処理方法として、帯封紙幣の処理を行う帯封紙幣処理装置40に用いられてもよい。この場合には、帯封紙幣処理装置40において、帯封紙幣の収納を行う帯封紙幣収納部には、当該帯封紙幣収納部に収納されている帯封紙幣を帯封紙幣収納部から1束ずつ繰り出すための繰出機構および繰出機構側に向かって帯封紙幣を押さえる押さえ部材がそれぞれ設けられるようになり、帯封紙幣処理装置40の制御部は、異常状態検出手段により繰出機構の異常状態が検出されたときに、帯封紙幣収納部に収納されている帯封紙幣から押さえ部材を離間させるよう押さえ部材の駆動部の制御を行うようになる。このような帯封紙幣処理装置40でも、帯封紙幣収納部に収納されている帯封紙幣を当該帯封紙幣収納部から繰り出す繰出機構の異常状態が検出された場合において操作者がこの帯封紙幣収納部から帯封紙幣を取り出す際に、当該帯封紙幣収納部の扉(図示せず)を一方の片手で開いた状態に保持するとともに、もう一方の片手で帯封紙幣収納部から帯封紙幣を取り出すことができるようになり、この操作者は押さえ部材を手動で移動させる必要がなくなるため、作業性を向上させることができる。
【0075】
また、本発明に係る紙葉類処理装置および紙葉類処理方法は、紙幣以外の紙葉類(具体的には、例えば小切手や商品券等)の処理を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 貨幣処理機
10 バラ硬貨処理装置
12 バラ硬貨入金口
14 バラ硬貨出金口
20 包装硬貨処理装置
22 包装硬貨出金口
30 バラ紙幣処理装置
32 バラ紙幣入金口
32a シャッタ
34 バラ紙幣出金口
34a シャッタ
40 帯封紙幣処理装置
42 帯封紙幣出金口
50 操作表示部
102 筐体
110 紙幣投入部
111 押さえ部材
112 紙幣繰出部
112a フィードローラ
112b ゲートローラ
112c キッカローラ
112d キッカローラ
112e 案内ローラ
113 押さえ部材駆動部
114 入金搬送部
116 入金識別部
118 表裏反転部
120 入金リジェクト部
130 一括一時保留部
132 金種別一時保留部
140 一括紙幣収納庫
141 受け部材
141a 軸
142 金種別紙幣収納庫
143 押さえ部材
143a 軸
144 紙幣繰出部
144a フィードローラ
144b ゲートローラ
144c キッカローラ
144d キッカローラ
144e 案内ローラ
145 押さえ部材駆動部
146 下部搬送部
148 出金識別部
150 出金搬送部
152 バラ紙幣投出部
154 出金リジェクト部
160 整理一時保留部
170 分岐部材
180 紙幣検出センサ
182 紙幣厚さ検知センサ
184 半券検知センサ
190 アーム部
200 制御部
202 表示部
204 操作部
206 異常状態検出手段
208 記憶部
300 下部ユニット
302 扉
303 窓部
320 中間ユニット
340 上部ユニット
440 紙幣収納庫
442 載置板
443 押さえ部材
444 紙幣繰出部
444a フィードローラ
444b ゲートローラ
444c キッカローラ
445 押さえ部材駆動部
446 紙幣搬送部
540 紙幣収納庫
543 載置板
544 紙幣繰出部
544a フィードローラ
544b ゲートローラ
544c キッカローラ
545 載置板駆動部
546 紙幣搬送部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11