(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
体内から取り出された体液を体外で処理して体内に戻すために用いられる体外液体循環流路の一部を形成する樹脂製パネル回路であって、縁部に設けられ、外部流路に接続される流入開口または流出入開口から、縁部に設けられ、外部流路に接続される流出開口または流出入開口まで延びる、液体の内部流路を有する樹脂製パネル回路において、前記樹脂製パネル回路は、少なくとも2枚の樹脂製シートから構成され、前記樹脂製シートのうち少なくとも一つの内表面に凹状長溝が設けられ、他の前記樹脂製シートの内表面において面接合されることにより形成される内部流路を有し、該内部流路の流入開口あるいは流出開口または流出入開口には、内部流路と外部流路とを連通可能に接続する樹脂製インサートが設けられ、該樹脂製インサートは、一方の端面の開口部から他方の端面の開口部に向かって長手方向に延びる貫通路を内部に有し、該貫通路を介して内部流路と外部流路とを連通可能に接続し、前記樹脂製シートのうち前記流入開口あるいは流出開口または流出入開口に対応する位置には該樹脂製インサートの外形と相補形状を有し、かつ前記凹状長溝に連続して前記縁部寄りに樹脂製インサート用凹部が設けられ、前記樹脂製インサート用凹部の先端には、前記樹脂製インサートの前記一方の端面に密着する半割状環状肩部が設けられ、該半割状環状肩部の内周縁が、前記一方の端面の開口部の径に一致するように形成され、該半割状環状肩部から前記凹状長溝の延び方向に沿って、樹脂製シート環状厚肉部が設けられ、該樹脂製シート環状厚肉部は、その内周面が前記凹状長溝の一部を構成し、前記内部流路内の流体による内圧により変形しない程度の厚みを有する、ことを特徴とする樹脂製パネル回路。
該樹脂製インサートには、該樹脂製インサートの周側面から張り出す張出部が設けられ、前記樹脂製シートの少なくとも一つの内表面に、該張出部と相補形状の凹部が設けられ、該張出部が該張出部と相補形状の凹部に嵌ることにより、前記樹脂製インサートの引き抜き防止手段が形成される、請求項1または請求項2に記載の樹脂製パネル回路。
前記貫通路は、前記内部流路側に設けた縮径部と、前記外部流路側に拡径部とを有し、該縮径部と該拡径部との間には、肩部が形成され、前記縮径部の径は、前記内部流路の径と同じに設定され、前記拡径部には、前記外部流路がその開口端面が前記肩部に当接するまで内嵌し、前記拡径部の径は、前記外部流路の外径と同じに設定される、請求項1に記載の樹脂製パネル回路。
前記内部流路は、複数設けられ、それに応じて、複数の円柱部を有する前記樹脂製インサートが縁部において整列して配置され、隣接する前記樹脂製インサートの円柱部同士を互いに連結するように張出部を構成する、請求項3に記載の樹脂製パネル回路。
前記立壁は、前記樹脂製インサートの長手方向に間隔を隔てて、2つ設けられ、一方の前記縁部に向く前面は、前記円柱部の中心線に向かって下方に傾斜する傾斜面を構成し、他方の前記内部流路に向く前面は、前記円柱部の中心線に向かって下方に傾斜する傾斜面を構成する、請求項7に記載の樹脂製パネル回路。
前記樹脂製パネル回路は、平板状に形成され、前記内部流路は、蛇行状に形成されるとともに、前記樹脂製シートの一方は、平板状に形成され、その外表面が伝熱面を形成する、請求項1に記載の樹脂製パネル回路。
体内から取り出された体液を体外で処理して体内に戻すために用いられる体外液体循環流路の一部を形成する樹脂製パネル回路であって、一方の端面の開口部から他方の端面の開口部に向かって長手方向に延びる内部に設けた貫通路を介して外部流路と樹脂製パネル回路の内部流路とを連通可能に接続する樹脂製インサートが縁部に設けられ、外部流路に接続される流入開口または流出入開口から流出開口または流出入開口まで延びる、内部流路を有する樹脂製パネル回路の製造方法であって、型締め位置と開放位置との間で相対移動可能な一対の分割金型であって、少なくとも一方の金型の表面には、内部流路と相補形状の内部流路用凹状長溝と、該表面と所定間隔を隔て該表面に沿ってピンチオフ部に向かって延びるように該表面に対して位置決めしたピンが設けられるとともに、一方および他方の金型の表面には、ピンチオフ部に向かって延びる、前記樹脂製インサートと相補形状の樹脂製インサート用第1凹部および樹脂製インサート用第2凹部とが設けられる一対の分割金型を準備する段階と、溶融状態の一方および他方からなる一対の熱可塑性樹脂製シートを互いに間隔を隔てて、開放位置の一対の分割金型の間に配置する段階と、前記ピンを前記樹脂製インサートの一方の端面の開口部から一部突出するように前記貫通路に通すことにより、ピンチオフ部から内方に突出する形態で、前記樹脂製インサート用第1凹部および前記樹脂製インサート用第2凹部それぞれに対応する位置に位置決めされた前記樹脂製インサートを2枚の熱可塑性樹脂製シートの間に配置する段階と、一方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、対応するキャビティに沿って賦形して、該キャビティに向かって突出する樹脂製インサート用第1凹溝を形成するとともに、他方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、対応するキャビティに沿って賦形して、該キャビティに向かって突出する樹脂製インサート用第2凹溝を形成する段階と、前記一対の分割金型を型締め位置まで移動させることにより、一方の熱可塑性樹脂製シートの他方の熱可塑性樹脂製シートに対向する表面のうち、内部流路用凹状長溝の外周縁において、一方および他方の熱可塑性樹脂製シートを溶着させて、該内部流路用凹状長溝を閉鎖することにより内部流路を形成するとともに、縁部に形成される流入開口および流出開口または流出入開口それぞれにおいて、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンまわりに、前記樹脂製インサートの外表面に対して押圧される溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの溜まり部を形成しつつ、一方および他方の熱可塑性樹脂製シートそれぞれに賦形された前記樹脂製インサート用第1凹溝および前記樹脂製インサート用第2凹溝それぞれの内面に、前記樹脂製インサートを密着させる段階とを有する、ことを特徴とする樹脂製パネル回路の製造方法。
体内から取り出された血液を体外で処理して体内に戻すために用いられる体外液体循環流路の一部を形成する樹脂製パネル回路であって、一方の端面の開口部から他方の端面の開口部に向かって長手方向に延びる内部に設けた貫通路を介して外部流路と樹脂製パネル回路の内部流路とを連通可能に接続する樹脂製インサートが縁部に設けられ、外部流路に接続される流入開口または流出入開口から流出開口または流出入開口まで延びる、内部流路を有する樹脂製パネル回路の製造方法であって、型締め位置と開放位置との間で相対移動可能な一対の分割金型であって、少なくとも一方の金型の表面には、内部流路と相補形状の内部流路用凹状長溝と、該表面と所定間隔を隔て該表面に沿ってピンチオフ部に向かって延びるように該表面に対して位置決めしたピンが設けられるとともに、一方および他方の金型の表面には、各々がピンチオフ部に向かって延び前記樹脂製インサートと相補形状である、樹脂製インサート用第1凹部および樹脂製インサート用第2凹部それぞれが設けられる一対の分割金型を準備する段階と、溶融状態の一方および他方からなる一対の熱可塑性樹脂製シートを互いに間隔を隔てて、開放位置の一対の分割金型の間に配置する段階と、一方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する一方の金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、対応するキャビティに沿って賦形して、該キャビティに向かって突出する樹脂製インサート用第1凹溝および内部流路用凹状長溝を形成するとともに、他方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、対応するキャビティに沿って賦形して、該キャビティに向かって突出する樹脂製インサート用第2凹溝を形成する段階と、前記ピンを前記樹脂製インサートの一方の端面の開口部から一部突出するように前記貫通路に通すことにより、ピンチオフ部から内方に突出する形態で、前記樹脂製インサート用第1凹部および前記樹脂製インサート用第2凹部それぞれに対応する位置に位置決めされた前記樹脂製インサートを2枚の熱可塑性樹脂製シートの間に配置する段階と、前記一対の分割金型を型締め位置まで移動させることにより、一方の熱可塑性樹脂製シートの他方の熱可塑性樹脂製シートに対向する表面のうち、少なくとも内部流路用凹状長溝の外周縁で一方および他方の熱可塑性樹脂製シートを溶着させて、該内部流路用凹状長溝を閉鎖することにより内部流路を形成するとともに、縁部に形成される流入開口および流出開口または流出入開口それぞれにおいて、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンまわりに、前記樹脂製インサートの外表面に対して押圧される溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの溜まり部を形成しつつ、前記樹脂製インサートを一方および他方の熱可塑性樹脂製シートそれぞれに賦形された前記樹脂製インサート用第1凹溝および前記樹脂製インサート用第2凹溝の内面に密着させる段階とを有する、ことを特徴とする樹脂製パネル回路の製造方法。
体内から取り出された血液を体外で処理して体内に戻すために用いられる体外液体循環流路の一部を形成する樹脂製パネル回路であって、一方の端面の開口部から他方の端面の開口部に向かって長手方向に延びる内部に設けた貫通路を介して外部流路と樹脂製パネル回路の内部流路とを連通可能に接続する樹脂製インサートが縁部に設けられ、外部流路に接続される流入開口または流出入開口から流出開口または流出入開口まで延びる、内部流路を有する樹脂製パネル回路の製造方法であって、型締め位置と開放位置との間で相対移動可能な一対の分割金型であって、少なくとも一方の金型の表面には、内部流路と相補形状の内部流路用凹状長溝と、該表面と所定間隔を隔て該表面に沿ってピンチオフ部に向かって延びるように該表面に対して位置決めしたピンが設けられるとともに、少なくとも一方の金型の表面には、ピンチオフ部に向かって延び前記樹脂製インサートと相補形状である、樹脂製インサート用第1凹部が設けられる一対の分割金型を準備する段階と、溶融状態の一方および他方からなる一対の熱可塑性樹脂製シートを互いに間隔を隔てて、開放位置の一対の分割金型の間に配置する段階と、一方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する一方の金型との間から空気を減圧することにより、対応するキャビティに沿って賦形して、該キャビティに向かって突出する樹脂製インサート用第1凹溝および内部流路用凹状長溝を形成する段階と、前記一対の分割金型を型締め位置まで移動させることにより、一方の熱可塑性樹脂製シートの他方の熱可塑性樹脂製シートに対向する表面のうち、少なくとも内部流路用凹状長溝の外周縁で一方および他方の熱可塑性樹脂製シートを溶着させて、該内部流路用凹状長溝を閉鎖することにより内部流路を形成するとともに、縁部に形成される流入開口および流出開口または流出入開口それぞれにおいて、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンまわりに、前記樹脂製インサートの外表面に対して押圧される溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの溜まり部を形成しつつ、前記ピンを前記樹脂製インサートの一方の端面の開口部から一部突出するように前記貫通路に通すことにより、ピンチオフ部から内方に突出する形態で、前記樹脂製インサート用第1凹部に対応する位置に位置決めされた前記樹脂製インサートを一方の熱可塑性樹脂製シートに賦形された前記樹脂製インサート用第1凹溝の内面に密着させる段階とを有する、ことを特徴とする樹脂製パネル回路の製造方法。
前記溜まり部は、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートが前記樹脂製インサートの外表面に対して押圧されることにより、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンまわりに向かって肉逃がしされる熱可塑性樹脂を溜めるのに十分な所定容積を有する、請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の樹脂製パネル回路の製造方法。
前記一対の分割金型の型締め時、前記樹脂製インサートの外表面と、該外表面に対応する前記金型の表面との間隔が賦形前の熱可塑性樹脂製シートの厚みより狭い一方、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンの外表面と、該外表面に対応する前記金型の表面との間隔が賦形前の熱可塑性樹脂製シートの厚みより広くなるように、金型キャビティの表面性状、または前記樹脂製インサートの外形を設定する、請求項15または請求項16に記載の樹脂製パネル回路の製造方法。
前記溜まり部は、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンの外表面から外方への突出部により形成される、請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の樹脂製パネル回路の製造方法。
前記樹脂製インサート用第1凹溝は、前記内部流路用凹状長溝の端部から連続してピンチオフ部に向かって延び、他方の金型のキャビティの表面には、前記内部流路用凹状長溝と対応する位置に、内部流路と相補形状の内部流路用凹状長溝が設けられ、前記樹脂製インサート用第2凹溝は、前記一対の分割金型を型締した状態で、該内部流路用凹状長溝の端部から連続してピンチオフ部に向かって延び、 前記一対の分割金型を型締め段階において、前記内部流路用凹状長溝により賦形された一方の熱可塑性樹脂製シートの第1凹溝と、前記内部流路用凹状長溝により賦形された他方の熱可塑性樹脂製シートの第2凹溝とにより、内部流路が形成される、請求項12または請求項13のいずれか1項に記載の樹脂製パネル回路の製造方法。
一方および/または他方の熱可塑性樹脂製シートは、予め予備成形され、再加熱して溶融状態とされる、請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の樹脂製パネル回路の製造方法。
一方および他方の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを下方に垂下する形態で、前記一対の分割金型の間に向かって押し出す段階を有する、請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の樹脂製パネル回路の製造方法。
押し出される熱可塑性樹脂製シートは、溶融状態の筒状パリソンを横方向に押し出して熱可塑性樹脂製シート状に形成される、請求項24に記載の樹脂製パネル回路の製造方法。
押し出される熱可塑性樹脂製シートは、溶融状態の筒状パリソンを押し出して、2枚の熱可塑性樹脂製シート状に形成される、請求項24に記載の樹脂製パネル回路の製造方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、体外液体循環流路についての不具合を未然に防止することにより、適正かつ円滑な体液の体外処理が可能な樹脂製パネル回路を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、体外液体循環流路の閉塞を防止しつつ、体外液体循環流路内の流体の漏れを確実に抑制するとともに、効率的な成形が可能である樹脂製パネル回路の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明の樹脂製パネル回路は、
体内から取り出された体液を体外で処理して体内に戻すために用いられる体外液体循環流路の一部を形成する樹脂製パネル回路であって、縁部に設けられ、外部流路に接続される流入開口または流出入開口から、縁部に設けられ、外部流路に接続される流出開口または流出入開口まで延びる、液体の内部流路を有する樹脂製パネル回路において、
2枚の樹脂製シートのうち少なくとも一方の内表面に凹状長溝が設けられ、互いの内表面において面接合されることにより形成される内部流路を有し、
該内部流路の流入開口あるいは流出開口または流出入開口には、内部流路と外部流路とを連通可能に接続する樹脂製インサートが設けられ、
該樹脂製インサートは、一方の端面の開口部から他方の端面の開口部に向かって長手方向に延びる貫通路を内部に有し、該貫通路を介して内部流路と外部流路とを連通可能に接続し、
2枚の樹脂製シートのうち前記流入開口あるいは流出開口または流出入開口に対応する位置には該樹脂製インサートの外形と相補形状を有し、かつ前記凹状長溝に連続して前記縁部寄りにインサート用凹部が設けられ、
前記インサート用凹部の先端には、前記樹脂製インサートの前記一方の端面に密着する半割状環状肩部が設けられ、該半割状環状肩部の内周縁が、前記一方の端面の開口部の径に一致するように形成され、
該半割状環状肩部から前記凹状長溝の延び方向に沿って、樹脂製シート環状厚肉部が設けられ、
該樹脂製シート環状厚肉部は、その内周面が前記凹状長溝の一部を構成し、前記内部流路内の流体による内圧により変形しない程度の厚みを有する、構成としている。
【0012】
以上の樹脂製パネル回路によれば、樹脂製パネル回路が体外液体循環流路の一部を形成することにより、体内から取り出された体液は、流入開口または流出入開口において、外部流路から樹脂製インサートの貫通路を介して内部流路内を流れ、体外で処理され、処理された体液は、流出開口または流出入開口において、内部流路から樹脂製インサートの貫通路を介して外部流路内を流れ、体内に戻される。
この場合、樹脂製インサートを利用して内部流路と外部流路とを連通可能に接続するのに、樹脂製インサートにおいて、一方の端面の開口部から他方の端面の開口部に向かって長手方向に延びる貫通路を内部に設け、樹脂製シートに設けたインサート用凹部に対して樹脂製インサートを密着させ、樹脂製シートには、インサート用凹部に連続する凹状長溝とインサート用凹部との境界部には、樹脂製インサートの一方の端面に密着する半割状環状肩部が設けられ、半割状環状肩部の内周縁が、一方の端面の開口部の径に一致するように形成され、半割状環状肩部から凹状長溝の延び方向に沿って、樹脂製シート環状厚肉部が設けられ、樹脂製シート環状厚肉部は、その内周面が前記凹状長溝の一部を構成し、内部流路内の流体による内圧により変形しない程度の厚みを有することから、使用の際、樹脂製インサートの周辺である樹脂製シートの半割状環状肩部が内部流路内の流体による内圧により変形し、それに起因して、特に樹脂製インサートの一方の端面と樹脂製シートの半割状環状肩部との間からの流体の漏洩を確実に防止することが可能であり、体外液体循環流路についての不具合を未然に防止することにより、適正かつ円滑な体液の体外処理が可能である。
【0013】
また、前記樹脂製シート環状厚肉部の厚みは、前記内部流路の径に応じて設定され、前記インサート用凹部を構成する前記樹脂製シートの厚みより少なくとも大きいのがよい。
さらに、該樹脂製インサートには、該樹脂製インサートの周側面から張り出す張出部が設けられ、
2枚の樹脂製シートそれぞれ、あるいは一方の内表面には、該張出部と相補形状の凹部が設けられ、
該張出部が該凹部に嵌ることにより、前記樹脂製インサートの引き抜き防止手段が形成されるのがよい。
さらにまた、前記貫通路は、前記内部流路側に設けた縮径部と、前記外部流路側に拡径部とを有し、該縮径部と該拡径部との間には、肩部が形成され、前記縮径部の径は、前記内部流路の径と同じに設定され、前記拡径部には、前記外部流路がその開口端面が前記肩部に当接するまで内嵌し、前記拡径部の径は、前記外部流路の外径とほぼ同じに設定されるのがよい。
【0014】
加えて、前記内部流路は、複数設けられ、それに応じて、複数の円柱部を有する前記樹脂製インサートが縁部において整列して配置され、隣接する前記樹脂製インサートの円柱部同士を互いに連結するように前記張出部を構成するのでもよい。
さらに、前記樹脂製インサートは、一体成形品であり、前記拡径部に対応する部分は円柱状に形成され、前記縮径部に対応する部分は、前記内部流路に向かって先細の截頭円錐状に形成され、該円柱部と該截頭円錐部とは同心状であり、前記張出部は、前記円柱部に対して直交して、前記円柱部の円形断面の下端から上端まで及ぶ立壁を構成するのがよい。
さらにまた、前記立壁は、前記縁部に向く前面が、前記円柱部の中心線に向かって下方に傾斜する傾斜面を構成するのがよい。
加えて、前記立壁は、前記樹脂製インサートの長手方向に間隔を隔てて、2つ設けられ、一方の前記縁部に向く前面は、前記円柱部の中心線に向かって下方に傾斜する傾斜面を構成し、他方の前記内部流路に向く前面は、前記円柱部の中心線に向かって下方に傾斜する傾斜面を構成するのがよい。
【0015】
さらに、前記樹脂製パネル回路は、平板状に形成され、前記内部流路は、蛇行状に形成されるとともに、前記熱可塑性樹脂製シートの一方は、平板状に形成され、その外表面が伝熱面を形成するのでもよい。
さらにまた、前記凹状長溝、前記凹部および前記インサート用凹部はそれぞれ、対応する前記熱可塑性樹脂製シートの外表面側に突出するように形成されるのがよい。
加えて、前記内部流路には、前記内部流路に連通する、液体を貯留するための貯留部が形成されるのでもよい。
【0016】
上記課題を達成するために、本発明の樹脂製パネル回路の製造方法は、
体内から取り出された体液を体外で処理して体内に戻すために用いられる体外液体循環流路の一部を形成する樹脂製パネル回路であって、一方の端面の開口部から他方の端面の開口部に向かって長手方向に延びる内部に設けた貫通路を介して外部流路と樹脂製パネル回路の内部流路とを連通可能に接続する樹脂製インサートが縁部に設けられ、外部流路に接続される流入開口または流出入開口から流出開口または流出入開口まで延びる、内部流路を有する樹脂製パネル回路の製造方法であって、
型締め位置と開放位置との間で相対移動可能な一対の分割金型であって、少なくとも一方の金型の表面には、内部流路と相補形状の内部流路用凹状長溝と、該表面と所定間隔を隔て該表面に沿ってピンチオフ部に向かって延びるように該表面に対して位置決めしたピンが設けられるとともに、一方および他方の金型の表面には、ピンチオフ部に向かって延びる、前記インサートと相補形状のインサート用第1凹部およびインサート用第2凹部とが設けられる一対の分割金型を準備する段階と、
溶融状態の一方および他方からなる一対の熱可塑性樹脂製シートを互いに間隔を隔てて、開放位置の一対の分割金型の間に配置する段階と、
前記ピンを前記インサートの一方の端面の開口部から一部突出するように前記貫通穴に通すことにより、ピンチオフ部から内方に突出する形態で、前記インサート用第1凹部および前記インサート用第2凹部それぞれに対応する位置に位置決めされた前記樹脂製インサートを2枚の熱可塑性樹脂製シートの間に配置する段階と、
一方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、対応するキャビティに沿って賦形して、該キャビティに向かって突出するインサート用第1凹溝を形成するとともに、他方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、対応するキャビティに沿って賦形して、該キャビティに向かって突出するインサート用第2凹溝を形成する段階と、
前記一対の分割金型を型締め位置まで移動させることにより、一方の熱可塑性樹脂製シートの他方のシートに対向する表面のうち、内部流路用凹状長溝の外周縁において、一方および他方の熱可塑性樹脂製シートを溶着させて、該内部流路用凹状長溝を閉鎖することにより内部流路を形成するとともに、縁部に形成される流入開口および流出開口または流出入開口それぞれにおいて、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンまわりに、前記樹脂製インサートの外表面に対して押圧される溶融状態の熱可塑性樹脂シートの溜まり部を形成しつつ、前記一方および前記他方の熱可塑性樹脂製シートそれぞれに賦形されたインサート用第1凹溝およびインサート用第2凹溝それぞれの内面に、前記樹脂製インサートを密着させる段階とを有する、構成としている。
【0017】
本発明の樹脂製パネル回路の製造方法は、成形の際、樹脂製インサートを金型に対して位置決めするのに用いるピン、特にインサートの先端からのピンの突出部まわりを利用して、内部流路の内径規制を行うとともに、成形の際に内部流路の閉塞を生じないようにしつつ、使用の際の内部流路からの流体の漏れを防止するものである。
より具体的には、従来のような内部流路の形成工程と、内部流路と外部流路とを接続する接続流路と内部流路との接続工程とにおける高周波溶着方法を用いずに、分割金型の型締を利用して、溶融状態の熱可塑性樹脂製シート同士を溶着することにより、樹脂の染み出し等の不都合を未然に防止しつつ、外部流路との接続部である樹脂製インサートを縁部に固着した状態で一度に成形することが可能であり、内部流路形状を精度よく効率的に成形可能である。
特に、金型の型締めの際、溶融状態の熱可塑性樹脂シートが樹脂製インサートの外表面に対して押圧されることにより、熱可塑性樹脂シートと樹脂製インサートの外表面との密着性が確保されるところ、その分、余分な熱可塑性樹脂が樹脂製インサートの一方の端面の開口部から突出するピンまわりに肉逃げするが、このようなピンまわりに余分な熱可塑性樹脂の溜まり部を形成しているので、余分な熱可塑性樹脂がピンまわりから溢れ出て、内部流路内に及び、内部流路を閉塞するのを防止する一方、特に樹脂製シートと樹脂製インサートの一方の端面との間の密着性を確保することが可能であり、総じて、体外液体循環流路の閉塞を防止しつつ、体外液体循環流路内の流体の漏れを確実に抑制するとともに、効率的な成形が可能である。
【0018】
上記課題を達成するために、本発明の樹脂製パネル回路の製造方法は、
体内から取り出された血液を体外で処理して体内に戻すために用いられる体外液体循環流路の一部を形成する樹脂製パネル回路であって、一方の端面の開口部から他方の端面の開口部に向かって長手方向に延びる内部に設けた貫通路を介して外部流路と樹脂製パネル回路の内部流路とを連通可能に接続する樹脂製インサートが縁部に設けられ、外部流路に接続される流入開口または流出入開口から流出開口または流出入開口まで延びる、内部流路を有する樹脂製パネル回路の製造方法であって、
型締め位置と開放位置との間で相対移動可能な一対の分割金型であって、少なくとも一方の金型の表面には、内部流路と相補形状の内部流路用凹状長溝と、該表面と所定間隔を隔て該表面に沿ってピンチオフ部に向かって延びるように該表面に対して位置決めしたピンが設けられるとともに、一方および他方の金型の表面には、各々がピンチオフ部に向かって延び前記樹脂製インサートと相補形状である、樹脂製インサート用第1凹部および樹脂製インサート用第2凹部それぞれが設けられる一対の分割金型を準備する段階と、
溶融状態の一方および他方からなる一対の熱可塑性樹脂製シートを互いに間隔を隔てて、開放位置の一対の分割金型の間に配置する段階と、
一方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する一方の金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、対応するキャビティに沿って賦形して、該キャビティに向かって突出する樹脂製インサート用第1凹溝および内部流路用凹状長溝を形成するとともに、他方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、対応するキャビティに沿って賦形して、該キャビティに向かって突出する樹脂製インサート用第2凹溝を形成する段階と、
前記ピンを前記インサートの一方の端面の開口部から一部突出するように前記貫通穴に通すことにより、ピンチオフ部から内方に突出する形態で、前記インサート用第1凹部および前記インサート用第2凹部それぞれに対応する位置に位置決めされた前記樹脂製インサートを2枚の熱可塑性樹脂製シートの間に配置する段階と、
前記一対の分割金型を型締め位置まで移動させることにより、一方の熱可塑性樹脂製シートの他方のシートに対向する表面のうち、少なくとも内部流路用凹状長溝の外周縁で一方および他方のシートを溶着させて、該内部流路用凹状長溝を閉鎖することにより内部流路を形成するとともに、縁部に形成される流入開口および流出開口または流出入開口それぞれにおいて、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンまわりに、前記樹脂製インサートの外表面に対して押圧される溶融状態の熱可塑性樹脂シートの溜まり部を形成しつつ、前記樹脂製インサートを前記一方および前記他方の熱可塑性樹脂製シートそれぞれに賦形された樹脂製インサート用第1凹溝および樹脂製インサート用第2凹溝の内面に密着させる段階とを有する、構成としている。
【0019】
上記課題を達成するために、本発明の樹脂製パネル回路の製造方法は、
体内から取り出された血液を体外で処理して体内に戻すために用いられる体外液体循環流路の一部を形成する樹脂製パネル回路であって、一方の端面の開口部から他方の端面の開口部に向かって長手方向に延びる内部に設けた貫通路を介して外部流路と樹脂製パネル回路の内部流路とを連通可能に接続する樹脂製インサートが縁部に設けられ、外部流路に接続される流入開口または流出入開口から流出開口または流出入開口まで延びる、内部流路を有する樹脂製パネル回路の製造方法であって、
型締め位置と開放位置との間で相対移動可能な一対の分割金型であって、少なくとも一方の金型の表面には、内部流路と相補形状の内部流路用凹状長溝と、該表面と所定間隔を隔て該表面に沿ってピンチオフ部に向かって延びるように該表面に対して位置決めしたピンが設けられるとともに、少なくとも一方の金型の表面には、ピンチオフ部に向かって延び前記樹脂製インサートと相補形状である、樹脂製インサート用第1凹部が設けられる一対の分割金型を準備する段階と、
溶融状態の一方および他方からなる一対の熱可塑性樹脂製シートを互いに間隔を隔てて、開放位置の一対の分割金型の間に配置する段階と、
一方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する一方の金型との間から空気を減圧することにより、対応するキャビティに沿って賦形して、該キャビティに向かって突出する樹脂製インサート用第1凹溝および内部流路用凹状長溝を形成する段階と、
前記一対の分割金型を型締め位置まで移動させることにより、一方の熱可塑性樹脂製シートの他方のシートに対向する表面のうち、少なくとも内部流路用凹状長溝の外周縁で一方および他方のシートを溶着させて、該内部流路用凹状長溝を閉鎖することにより内部流路を形成するとともに、縁部に形成される流入開口および流出開口または流出入開口それぞれにおいて、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンまわりに、前記樹脂製インサートの外表面に対して押圧される溶融状態の熱可塑性樹脂シートの溜まり部を形成しつつ、前記ピンを前記インサートの一方の端面の開口部から一部突出するように前記貫通穴に通すことにより、ピンチオフ部から内方に突出する形態で、前記インサート用第1凹部および前記インサート用第2凹部それぞれに対応する位置に位置決めされた前記樹脂製インサートを前記一方の熱可塑性樹脂製シートに賦形された樹脂製インサート用第1凹溝の内面に密着させる段階とを有する、構成としている。
【0020】
さらに、前記溜まり部は、溶融状態の熱可塑性樹脂シートが前記樹脂製インサートの外表面に対して押圧されることにより、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンまわりに向かって肉逃がしされる熱可塑性樹脂を溜めるのに十分な所定容積を有するのがよい。
さらにまた、前記ピンは、前記樹脂製インサートの貫通穴の内径と同じ外径を備え、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンの突出長さを調整することにより、前記所定容積を調整する段階を有するのがよい。
【0021】
加えて、前記一対の分割金型の型締め時、前記樹脂製インサートの外表面と、該外表面に対応する前記金型の表面との間隔が賦形前の熱可塑性樹脂製シートの厚みより狭い一方、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンの外表面と、該外表面に対応する前記金型の表面との間隔が賦形前の熱可塑性樹脂製シートの厚みより広くなるように、前記金型キャビティの表面性状、または前記樹脂製インサートの外形を設定するのがよい。
さらに、前記溜まり部は、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンの外表面から外方への突出部により形成されるのがよい。
【0022】
さらにまた、前記溜まり部は、前記樹脂製インサートの前記一方の端面の開口部から突出する前記ピンまわりにリング状に形成されるのでもよい。
加えて、前記溜まり部は、前記所定容積を確保するように、前記インサートの前記一方の端面の開口部から突出するピンの突出長さに応じて、前記内部流路内の流体による内圧により変形しない程度の厚みを有するように形成されるのでもよい。
さらに、前記所定容積は、前記肉逃がしにより、前記インサートの端面の前記ピンまわりの環状面に対する熱可塑性樹脂シートの密着性が確保可能なように設定されるのがよい。
【0023】
さらにまた、前記樹脂製インサート用第1凹溝は、前記内部流路用凹状長溝の端部から連続してピンチオフ部に向かって延び、
他方の金型のキャビティの表面には、前記内部流路用凹状長溝と対応する位置に、内部流路と相補形状の内部流路用凹状長溝が設けられ、前記樹脂製インサート用第2凹溝は、前記一対の分割金型を型締した状態で、該内部流路用凹状長溝の端部から連続してピンチオフ部に向かって延び、
前記一対の分割金型を型締め段階において、前記内部流路用凹状長溝により賦形された一方の熱可塑性樹脂製シートの第1凹溝と、前記内部流路用凹状長溝により賦形された他方の熱可塑性樹脂製シートの第2凹溝とにより、内部流路が形成されるのがよい。
【0024】
さらに、前記一方および/または前記他方の熱可塑性樹脂製シートは、予め予備成形され、再加熱して溶融状態とされるのがよい。
さらにまた、前記一方および前記他方の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを下方に垂下する形態で、前記一対の分割金型の間に向かって押し出す段階を有するのでもよい。
加えて、前記押し出される熱可塑性樹脂製シートは、溶融状態の筒状パリソンを横方向に押し出してシート状に形成されるのでもよい。
さらに、前記押し出される熱可塑性樹脂製シートは、溶融状態の筒状パリソンを押し出して、2枚のシート状に形成されるのでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る樹脂製パネル回路の第1実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
本実施形態における樹脂製パネル回路200は、体内から取り出された血液を体外で処理して体内に戻すために用いられる体外液体循環流路の一部を形成し、体外液体循環流路内の液体を貯留して、計量するものであり、たとえば体内から取り出された血液を血液浄化器により処理して体内に戻すために用いられる血液浄化流路の一部を形成し、血液浄化器に供給される透析液および/または補液を処理管理するのに利用される。
【0026】
図1ないし
図3に示すように、樹脂製パネル回路200は、2枚の樹脂製シート216,218を貼り合わせたパネル状の2層構造をなし、第1樹脂製シート216の内表面224と第2樹脂製シート218の内表面226とを面溶着することにより、内部に内部流路202が形成され、内部流路202は、縁部208に設けられ外部管路Pに接続される流出入開口210から、縁部208に設けられ外部管路Pに接続される流出入開口212まで延び、樹脂製パネル回路は、2枚の樹脂製シートP1、P2同士の接合面に関して、面対称に構成される。
ここに面溶着とは、第1樹脂製シート216の内表面224と第2樹脂製シート218の内表面226とが、それぞれ内部流路202を構成する凹溝(後に説明)以外の部分において、密着形態で溶着する意味ではなく、それぞれの凹溝を構成する縁部同士が密着することにより、内部流路202が形成される意味であり、縁部以外の部分同士が隙間なく密着することは必ずしも必要でない。
【0027】
樹脂製パネル回路200の材質について、液体の流量の増減を生じないようにし、以て内部流路202内を流れる液体圧力の減圧にかかわらず内部流路202の形状の変形を引き起こさない必要があり、この点で、樹脂製シート216,218は、特に硬質プラスチックが好ましく、成形の際のコストあるいは加工性の観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコン系樹脂等、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアセタール等があり、折れ曲がりや割れ等に強く、組み立て性の観点からは、軟質塩化ビニルあるいは熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
【0028】
図3に示すように、樹脂製パネル回路200において、第1樹脂製シート216および第2樹脂製シート218それぞれには、内部流路202の一部を形成する凹状長溝205が形成され、両シートを貼り合せることにより、内部流路202を構成するようにしている。より具体的には、それぞれの凹状長溝205の断面形状は、半円であり、それにより内部流路202は円形断面となるようにしている。内部流路202の流路断面、特に内径、および内部流路202の全長、湾曲部の径等は、内部流路202内を流す透析液および/または補液を有効に管理処理する観点から定めればよい。
図1に示すように、樹脂製パネル回路200における内部流路202の端部は、樹脂製パネル回路200の外縁208まで延び、内部流路202と外部管路Pとは、樹脂製パネル回路200の外縁部208において接続されている。
図4に示すように、内部流路202の端部は、拡径の円形断面状に形成され、樹脂製パネル回路200の外縁部208で開口している。この内部流路202の各端部、すなわち流出入開口210、212には、
図1に示すように、後に説明する樹脂製インサート50が配置される。
【0029】
より具体的には、
図1に示すように、樹脂製パネル回路200には、透析液および/または補液を計量貯留する系統が3系統形成され、各系統は、外部管路Pとの接続部を構成する気体の流出入開口210と、計量貯留部213と、外部管路Pとの接続部を構成する液体および気体の流出入開口212とを有し、流出入開口210と計量貯留部213および計量貯留部213と流出入開口212とがそれぞれ、内部流路202により流通可能に接続され、回路の上部に、流出入開口212と流出入開口210とが設けられ、回路の下部に各系統の計量貯留部213が設けられている。
【0030】
図1において、左側に位置する第1計量貯留部213Aについて、左上側の流出入開口210Aと第1計量貯留部213Aの上部とが内部流路202Aを介して接続され、第1計量貯留部213Aの下部と左上側の流出入開口212Aとが内部流路202Aを介して接続され、真ん中に位置する第2計量貯留部213Bについて、左上側の流出入開口210Bと第2計量貯留部213Bの上部とが内部流路202Bを介して接続され、第2計量貯留部213Bの下部と左上側および右上側それぞれの流出入開口212Bとが内部流路202Bを介して接続され、右側に位置する第3計量貯留部213Cについて、右上側の流出入開口210Cと第3計量貯留部213Cの上部とが内部流路202Cを介して接続され、第3計量貯留部213Cの下部と右上側の流出入開口212Cとが内部流路202Cを介して接続されている。なお、計量貯留部213は、内部流路202と同様に、第1樹脂製シート216および第2樹脂製シート218それぞれに凹部を設け、両シートを貼り合せることにより、計量貯留部213を形成するようにしている。
【0031】
このような構成により、各系統において、外部管路Pより流出入開口212を介してパネル回路内に流入した透析液および/または補液は、内部流路202を経て対応する計量貯留部213に送られ、一方計量貯留部213から内部流路202を経て、流出入開口212を介して外部管路Pに送られるようにしている。
この場合、外部管路Pと内部流路202との接続部を構成する流出入開口210、212において流体漏れを生じることなしに、流出入開口それぞれにおける析出物の発生を防ぐために、流出入開口の内径を段差なく連通する必要があり、この観点から、内部流路202の流出入開口210および流出入開口212それぞれには、内部に設けた貫通路51を介して内部流路202と外部管路Pとを連通可能に接続する樹脂製インサート50が設けられる。
【0032】
図4ないし
図7に示すように、左上側の外部管路Pとの接続部は、第2計量貯留部213Bの流出入開口212B、第1計量貯留部213Aの流出入開口212Aおよび第1計量貯留部213Aの流出入開口210Aが、この順に所定間隔を隔てて上から下に整列して配置されている。
以下に、樹脂製インサート50単体の構成は、各流出入開口210、212においてほぼ同様であるので、この整列した流出入開口に設置される樹脂製インサート50について、説明する。
【0033】
図8ないし
図11に示すように、樹脂製インサート50は、熱可塑性樹脂製シートP1、P2と互いに溶着が困難な異なる種類の樹脂で、貫通路51は、一方の開口端75から他方の開口端77まで延び、内部流路202側に設けた縮径部58と、外部管路P側に拡径部57とを有し、縮径部58と拡径部57との間には、肩部59が形成され、縮径部58の径D1は、内部流路202の径と同じに設定され、拡径部57には、外部管路Pがその開口端面が肩部59に当接するまで内嵌し、拡径部57の径D2は、外部管路Pの外径とほぼ同じに設定される。樹脂製インサート50の縁部寄りの開口端は、縁部208に対してほぼ面一に設置される。これにより、流体が外部管路Pから内部流路202へ流出入する際、流路の内径が一定に規定されていることから、長時間の治療において析出物の発生を防ぐことができる。なお、樹脂製インサート50が熱可塑性樹脂製シートP1、P2と同じ種類の樹脂であれば、後に説明する成形の際、樹脂製インサート50を熱可塑性樹脂製シートP1、P2に溶着させることができるため、密着するのに有利であるが、必ずしもそれに限定されるものではない。
【0034】
樹脂製インサート50には、樹脂製インサート50の周側面52から張り出す張出部54が設けられ、以下に詳細に説明するように、張出部54が後に説明する凹部55に嵌ることにより、樹脂製インサート50の引き抜き防止手段が形成される。
図8に示すように、樹脂製インサート50は、一体成形品であり、拡径部57に対応する部分は円柱状に形成され、縮径部58に対応する部分は、内部流路202に向かって先細の截頭円錐状に形成され、円柱部70と截頭円錐部72とは同心状であり、張出部54は、円柱部70に対して直交して、円柱部70の円形断面の下端60から上端62まで及ぶ。
【0035】
立壁64は、縁部208に向く前面66が、円柱部70の中心線に向かって下方に傾斜する傾斜面68を構成する。
図8に示すように、立壁64は、樹脂製インサート50の長手方向に間隔を隔てて、2つ設けられ、一方の縁部208に向く前面66は、円柱部70の中心線に向かって下方に傾斜する傾斜面68を構成し、他方の内部流路202に向く前面66は、円柱部70の中心線に向かって下方に傾斜する傾斜面68を構成する。傾斜面68の傾斜角度αは、樹脂製インサート50の引き抜きを有効に防止可能な観点から定めればよく、たとえば90°ないし15°である。90°以上であると、成形時に離型しにくくなる点で不利であり、一方15°以下であると、引き抜き防止手段を高く形成することができず引き抜き強度が不十分となる点で不利である。
内部流路202は、上述のように、複数設けられ、それに応じて、複数の樹脂製インサート50が縁部208において整列して配置され、張出部54が隣接する樹脂製インサート50同士を互いに連結する機能を果たす。
【0036】
図6および
図7に示すように、両樹脂製シート216,218の内表面に、樹脂製インサート50の外形と相補形状を有し、かつ凹状長溝205に連続して縁部208寄りに樹脂製インサート用凹部74が設けられるとともに、2枚の樹脂製シートP1、P2それぞれの内表面には、張出部54と相補形状の凹部55が設けられ、凹状長溝205、凹部55および樹脂製インサート用凹部74はそれぞれ、対応する樹脂製シートP1、P2の外表面側に突出するように形成され、両樹脂製シート216,218が貼り合わされることにより、両樹脂製インサート用凹部74により樹脂製インサート用の内部スペースが形成されるとともに、この横方向に、両凹部55により張出部54の内部スペースが形成されるようにしてある。
【0037】
このような構成により、張出部54が凹部55に嵌ることにより、樹脂製インサート50の引き抜き防止手段が形成される。すなわち、樹脂製インサート50をその延び方向に沿って樹脂製パネル回路200の縁部から引き抜くような力が作用するとしても、張出部54が凹部55に当っていることにより、引き抜きが防止される。また、このような張出部54を樹脂製インサート50ごとに個別に設けるのでなく、隣接する樹脂製インサート50の並列に配置される円柱部70同士を連結する部分の形状を張出部54として利用することにより、複数の樹脂製インサート50がばらばらでは、管理上あるいは樹脂シートに設置する際不便である点を解消するとともに、別途引き抜き防止策を講じることなく、樹脂製インサート50の引き抜きをも防止することが可能となる。さらに、樹脂製パネル回路200の縁部208において、並列に配置される円柱部70が連結した状態で樹脂製インサート50は樹脂製シートP1、P2と密着される。このため外力が加わった場合であっても、樹脂製パネル回路200の縁部208が撓み変形を生じることがなく、密着状態の樹脂製インサート50と樹脂製シートP1、P2との境界で剥離が生じることを好適に防止することができる。
図23に示すように、樹脂製インサート用凹部74と凹状長溝205との境界部には、樹脂製インサート50の一方の端面310Aに密着する半割状環状肩部300が設けられ、半割状環状肩部300の内周縁が、一方の端面310Aの開口部312Aの径に一致するように形成され、半割状環状肩部300から凹状長溝205の延び方向に沿って、樹脂製シート環状厚肉部302が設けられ、樹脂製シート環状厚肉部302は、その内周面が凹状長溝205の一部を構成し、内部流路202内の流体による内圧により変形しない程度の厚みを有する。樹脂製シート環状厚肉部302の厚みT2は、内部流路202の径に応じて設定され、樹脂製インサート用凹部74を構成する樹脂製シートP1、P2の厚みT3より少なくとも大きく、内部流路202まわりの樹脂製シートP1、P2の厚みT1より大きい。これにより、パネル回路200の使用の際、樹脂製インサート50の周辺である樹脂製シートP1、P2の半割状環状肩部300が内部流路202内の流体による内圧により変形し、それに起因して、特に樹脂製インサート50の一方の端面310Aと樹脂製シートP1、P2の半割状環状肩部300との間からの流体の漏洩を確実に防止することが可能であり、体外液体循環流路についての不具合を未然に防止することにより、適正かつ円滑な体液の体外処理が可能である。
【0038】
樹脂製パネル回路200は、第1樹脂製シート216の材料とする熱可塑性樹脂製シートP1と、第2樹脂製シート218の材料とする熱可塑性樹脂製シートP2とを用いて、それぞれ成形して、樹脂製インサート50を両シートにより挟み込む形態で密着することにより製造するのでよいが、押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを利用して、樹脂製パネル回路200としてダイレクトに賦形・成形するだけでなく、賦形・成形するのに必要な溶融状態を実現する限り、いったん押出成形し、冷却した熱可塑性樹脂製シートPを再度加熱して溶融状態とした材料を利用して賦形・成形を行ってもよい。
【0039】
以上の樹脂製パネル回路200によれば、樹脂製パネル回路200が体外液体循環流路の一部を形成する。
この場合、樹脂製インサート50には、その周側面52から張り出す張出部54が設けられ、一方、少なくとも一方の内表面に、凹状長溝205と、樹脂製インサート50の外形と相補形状を有し、凹状長溝205に連続して縁部208寄りに樹脂製インサート用凹部74とが設けられる2枚の樹脂製シートP1、P2にあって、内表面同士が面接合されることにより内部流路202を形成する2枚の樹脂製シートP1、P2それぞれ、あるいは一方の内表面には、張出部54と相補形状の凹部55が設けられ、張出部54が凹部55に嵌ることにより、樹脂製インサート50をその延び方向に沿って樹脂製パネル回路200の縁部から引き抜くような力が作用するとしても、張出部54が凹部55に当っていることにより、引き抜きが防止されることから、樹脂製インサート50の不意の引き抜きによる液漏れ、あるいはそれに伴う円滑な血液の体外処理が損なわれるような事態を未然に防止することが可能である。
さらに、樹脂製インサート50を利用して内部流路202と外部管路Pとを連通可能に接続するのに、樹脂製インサート50において、一方の端面310Aの開口部312Aから他方の端面310Bの開口部312Bに向かって長手方向に延びる貫通路51を内部に設け、樹脂製シートP1、P2に設けた樹脂製インサート用凹部74に対して樹脂製インサート50を密着させ、樹脂製シートP1、P2には、樹脂製インサート用凹部74に連続する凹状長溝205と樹脂製インサート用凹部74との境界部には、樹脂製インサート50の一方の端面310Aに密着する半割状環状肩部300が設けられ、半割状環状肩部300の内周縁が、一方の端面310Aの開口部312Aの径に一致するように形成され、半割状環状肩部300から凹状長溝205の延び方向に沿って、樹脂製シートP1、P2環状厚肉部302が設けられ、樹脂製シートP1、P2環状厚肉部302は、その内周面が前記凹状長溝205の一部を構成し、内部流路202内の流体による内圧により変形しない程度の厚みを有することから、使用の際、樹脂製インサート50の周辺である樹脂製シートP1、P2の半割状環状肩部300が内部流路202内の流体による内圧により変形し、それに起因して、特に樹脂製インサート50の一方の端面310Aと樹脂製シートP1、P2の半割状環状肩部300との間からの流体の漏洩を確実に防止することが可能であり、体外液体循環流路についての不具合を未然に防止することにより、適正かつ円滑な体液の体外処理が可能である。
【0040】
以下に、本発明の第2実施形態について、
図12ないし
図22を参照しながら説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、パネル回路のタイプが第1実施形態と異なり、平板状である点にある。
より詳細には、樹脂製パネル回路200は、
図12に示すように、透析液あるいは補液用の温度調節系統が2系統設けられ、各系統において、樹脂製パネル回路200の内部流路202は、流出開口410から流入開口412まで蛇行状に形成されるとともに、熱可塑性樹脂製シートP1、P2の一方(第2樹脂製シート218)は、平板状に形成され、その外表面が伝熱面を形成し、樹脂製パネル回路200内を流れる液体の温度を調節する温度調節板(図示せず)が設けられ、温度調節板に対して、第2樹脂製シート218の外表面222が面接触するようにしている。
【0041】
この点、第1実施形態と異なり、第1樹脂製シート216は、樹脂製パネル回路200としての強度を確保する観点から、少なくとも第2樹脂製シート218より厚肉とするのが好ましい。第1実施形態と同様に、樹脂製パネル回路200は、第1樹脂製シート216の材料とする熱可塑性樹脂製シートP1と、第2樹脂製シート218の材料とする熱可塑性樹脂製シートP2とを用いて、それぞれ成形して、面溶着することにより製造するのが好ましいが、熱可塑性樹脂製シートP1は、凹状長溝205を賦形することから成形の際のブロー比が高く、それに対して、熱可塑性樹脂製シートP2は、平坦であることから相対的にブロー比が低い点を考慮して、熱可塑性樹脂製シートP1については、賦形後の最小肉厚部が所定肉厚以上となるように厚みを決定し、一方熱可塑性樹脂製シートP2については、賦形後の最大肉厚部が所定肉厚以下となるように厚みを決定するのがよい。
【0042】
第1樹脂製シート216の内表面224には、半円状断面の蛇行凹状長溝205が成形され、第2樹脂製シート218は、平坦に成形されており、それらを貼り合わせて、蛇行凹状長溝205を閉鎖することにより内部流路202が形成されている。
内部流路202は、
図12および
図15に示すように、蛇行状で、流出開口410から流入開口412に向かって、曲管部204と直管部206とが交互に連なる構成であり、直管部206は、水平に配置されている。内部流路202の断面は、第1樹脂製シート216の外表面220側に突出する半円状に形成されている。内部流路202の流路断面、特に内径、および蛇行流路の全長、湾曲部の径等は、内部流路202内を流す透析液および/または補液の温度を有効に調節する観点から定めればよい。
第1樹脂製シート216の蛇行凹状長溝205の内部流路202の端部に相当する位置に、第2樹脂製シート218の凹溝(図示せず)が部分的に形成され、それにより、第2樹脂製シート218の伝熱機能を損なうことなく、円形断面の流出開口410および流入開口412が形成されている。
【0043】
樹脂製インサート50の構造は、第1実施形態と同様であり、環状厚み部302の形成についても、第1実施形態と同様である。
【0044】
図12および
図15に示すように、樹脂製パネル回路200における内部流路202の端部は、樹脂製パネル回路200の外縁208に形成され、内部流路202と外部管路Pとは、樹脂製パネル回路200の外縁208において接続され、流出開口410および流入開口412は、上下方向に所定間隔を隔てて、整列して配置されている。この内部流路202の各端部には、内部に設けた貫通路51を介して内部流路202と外部管路Pとを連通可能に接続する樹脂製インサート50が、第1樹脂製シート216および第2樹脂製シート218それぞれの内表面に挟まれる態様で配置される。
【0045】
図14に示すように、血液浄化装置には、樹脂製パネル回路200内を流れる液体の温度を調節する温度調節板228が設けられ、温度調節板228は、垂直に立設されており、上下部には、樹脂製パネル回路200を支持する支持部材230が設けられ、支持部材230を通じて、基部232に固定された温度調節板228に対して、第1樹脂製シート218の外表面222が面接触するようにしている。
変形例として、樹脂製インサート50は、第1実施例と異なり、
図13に示すように、流出開口410、流入開口412ごとに、互いに連結せずに個別に配置されてもよく、この場合、樹脂製インサート50の周側面52から張り出す張出部54が設けられ、2枚の樹脂製シートP1、P2それぞれの内表面には、張出部54と相補形状の凹部が設けられ、張出部54が凹部に嵌ることにより、樹脂製インサート50の引き抜き防止手段が形成されるようにするのがよい。
【0046】
このような構成の樹脂製パネル回路200によれば、樹脂製パネル回路200の第2樹脂製シート218が平坦に形成され、内部流路202の内部流路202の断面が樹脂製パネル回路200の第1樹脂製シート216側に突出する半円状に形成されているので、樹脂製パネル回路200の第2樹脂製シート218を温度調節板228に面接触させるとともに、蛇行凹状長溝205の開口が第2樹脂製シート218の内表面226に臨むことから、温度調節板228からの熱を薄肉の第2樹脂製シート218を通じて、樹脂製パネル回路200を通る液体に効率的に伝熱可能であり、これにより液体の温度調節が効率的に行われる。
なお、種々の外部配管を支持する支持部を樹脂製シートP1、P2に設け、それを樹脂製パネル回路200と一体に成形してもよい。
【0047】
次に、このような樹脂製パネル回路200の成形装置について、以下に説明する。
図16に示すように、樹脂製パネル回路200の成形装置10は、押出装置12と、押出装置12の下方に配置された型締装置14とを有し、押出装置12から押出された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを型締装置14に送り、型締装置14により溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを成形するようにしている。ここに、2枚の熱可塑性樹脂それぞれを押し出して、型締装置14まで送るまでの装置は、同様であるので、一方のみ説明し、他方については同様な参照番号を付することによりその説明は省略する。
熱可塑性樹脂製シートP1は、内部流路202に相当する蛇行凹状長溝205を成形するのに用いられ、一方熱可塑性樹脂製シートP2は、蛇行凹状長溝205を閉鎖するのに用いられ、熱可塑性樹脂製シートP2の外表面が、温度調節板228に面接触する。
【0048】
押出装置12は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、ホッパー16が付設されたシリンダー18と、シリンダー18内に設けられたスクリュー(図示せず)と、スクリューに連結された油圧モーター20と、シリンダー18と内部が連通したアキュムレータ22と、アキュムレータ22内に設けられたプランジャー24とを有し、ホッパー16から投入された樹脂ペレットが、シリンダー18内で油圧モーター20によるスクリューの回転により溶融、混練され、溶融状態の樹脂がアキュムレータ室22に移送されて一定量貯留され、プランジャー24の駆動によりTダイ28に向けて溶融樹脂を送り、押出スリット34を通じて所定の長さの連続的な熱可塑性樹脂製シートPが押し出され、間隔を隔てて配置された一対のローラー30によって挟圧されながら下方へ向かって送り出されて分割金型32の間に垂下される。これにより、後に詳細に説明するように、熱可塑性樹脂製シートPが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型32の間に配置される。
【0049】
押出装置12の押出の能力は、成形する樹脂成形品の大きさ、熱可塑性樹脂製シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から適宜選択する。より具体的には、実用的な観点から、間欠押出における1ショットの押出量は好ましくは1〜10kgであり、押出スリット34からの樹脂の押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは700kg/時以上である。また、熱可塑性樹脂製シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から、熱可塑性樹脂製シートPの押出工程はなるべく短いのが好ましく、樹脂の種類、MFR値、メルトテンション値に依存するが、一般的に、押出工程は40秒以内、より好ましくは10〜20秒以内に完了するのがよい。このため、熱可塑性樹脂の押出スリット34からの単位面積、単位時間当たりの押出量は、50kg/時cm
2以上、より好ましくは150kg/時cm
2以上である。
【0050】
一対のローラー30の回転により一対のローラー30間に挟み込まれた熱可塑性樹脂製シートPを下方に送り出すことで、熱可塑性樹脂製シートPを延伸薄肉化することが可能であり、押し出される熱可塑性樹脂製シートPの押出速度と一対のローラー30による熱可塑性樹脂製シートPの送り出し速度との関係を調整することにより、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止することが可能であるから、樹脂の種類、特にMFR値およびメルトテンション値、あるいは単位時間当たりの押出量に対する制約を小さくすることが可能である。
なお、一対のローラー30の代替として、熱可塑性樹脂製シートPを一対の分割金型3223の間に配置する前に、たとえば、既知のクランパにより、熱可塑性樹脂製シートPの下部を挟持して下方にけん引することにより、熱可塑性樹脂製シートPの肉厚を調整してもよい。
【0051】
図16を参照して、一対のローラー30について説明すれば、一対のローラー30は、押出スリット34の下方において、各々の回転軸が互いに平行にほぼ水平に配置され、一方が回転駆動ローラー30Aであり、他方が被回転駆動ローラー30Bである。より詳細には、
図16に示すように、一対のローラー30は、押出スリット34から下方に垂下する形態で押し出される熱可塑性樹脂製シートPに関して、線対称となるように配置される。
それぞれのローラーの直径およびローラーの軸方向長さは、成形すべき熱可塑性樹脂製シートPの押出速度、シートの押出方向長さおよび幅、ならびに樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよいが、後に説明するように、一対のローラー30間に熱可塑性樹脂製シートPを挟み込んだ状態で、ローラーの回転により熱可塑性樹脂製シートPを円滑に下方に送り出す観点から、回転駆動ローラー30Aの径は、被回転駆動ローラー30Bの径より若干大きいのが好ましい。ローラーの径は50〜300ミリの範囲であることが好ましく、熱可塑性樹脂製シートPとの接触においてローラーの曲率が大きすぎてもまた、小さすぎても熱可塑性樹脂製シートPがローラーへ巻き付く不具合の原因となる。
【0052】
図17および
図18に示すように、回転駆動ローラー30Aには、ローラー回転駆動手段94およびローラー移動手段96が付設され、ローラー回転駆動手段94により、回転駆動ローラー30Aは、その軸線方向を中心に回転可能とされ、一方ローラー移動手段96により、回転駆動ローラー30Aは、一対のローラー30を包含する平面内で被回転駆動ローラー30Bとの平行な位置関係を保持しつつ、被回転駆動ローラー30Bに向かって近づき、あるいは被回転駆動ローラー30Bから離れるように移動されるようにしている。
【0053】
より詳細には、ローラー回転駆動手段94は、回転駆動ローラー30Aに連結した回転駆動モータ98であり、回転駆動モータ98の回転トルクをたとえば歯車減速機構(図示せず)を介して回転駆動ローラー30Aに伝達するようにしている。回転駆動モータ98は、従来既知のものであり、その回転数を調整可能なように回転数調整装置111が付設されている。この回転数調整装置111は、たとえば電動モーターに対する電流値を調整するものでよく、後に説明するように、熱可塑性樹脂製シートPが押出スリット34から押し出される押出速度と、一対のローラー30の回転により熱可塑性樹脂製シートPが下方に送り出される送り出し速度との相対速度差を、熱可塑性樹脂製シートPの押出速度に応じて、調整するようにしている。熱可塑性樹脂製シートPのローラーによる送り出し速度は、例えば直径100ミリの一対のローラーを用いて、送り出し方向に長さ2000ミリの熱可塑性樹脂製シートPを15秒間で送り出す場合、1ショット15秒間で約6.4回転することとなり、ローラーの回転速度は約25.5rpmと算出することができる。ローラーの回転速度を上げ下げすることで熱可塑性樹脂製シートPであるパリソンPの送り出し速度を容易に調整することができる。
【0054】
図18に示すように、被回転駆動ローラー30Bが回転駆動ローラー30Aと同調して回転駆動するように、被回転駆動ローラー30Bは、その端周面102に亘ってローラーの回転軸を中心に回転可能な第1歯車104を有し、一方回転駆動ローラー30Aは、その端周面106に亘ってローラーの回転軸を中心に回転可能な、第1歯車104と噛み合う第2歯車108を有する。
【0055】
図17に示すように、ローラー移動手段96は、ピストンーシリンダ機構からなり、ピストンロッド109の先端が、回転駆動ローラー30Aをその軸線方向に回転可能に支持するカバー121に連結され、たとえば空気圧を調整することにより、ピストン113をシリンダー115に対して摺動させ、それにより回転駆動ローラー30Aを水平方向に移動するようにし、以て一対のローラー30同士の間隔を調整可能としている。この場合、後に説明するように、熱可塑性樹脂製シートPの最下部が一対のローラー30の間に供給される前に、一対のローラー30同士の間隔を供給される熱可塑性樹脂製シートPの厚みより広げて(
図17(A)の間隔D1を構成する開位置)、熱可塑性樹脂製シートPが円滑に一対のローラー30の間に供給されるようにし、その後に一対のローラー30同士の間隔を狭めて、一対のローラー30により熱可塑性樹脂製シートPを挟み込み(
図17(A)の間隔D2を構成する閉位置)、ローラーの回転により熱可塑性樹脂製シートPを下方に送り出すようにしている。ピストン113のストロークは、開位置と閉位置との距離となるように設定すればよい。また、空気圧を調整することにより、熱可塑性樹脂製シートPが一対のローラー30の間を通過する際、ローラーから熱可塑性樹脂製シートPに作用する押圧力を調整することも可能である。押圧力の範囲は、一対のローラー30が回転することにより、一対のローラー30の表面と熱可塑性樹脂製シートPの表面との間に滑りが生じない一方で、一対のローラー30により熱可塑性樹脂製シートPが引きちぎられることのないようにして熱可塑性樹脂製シートPが確実に下方に送り出されるように定められ、樹脂の種類に依存するが、たとえば0.05MPAないし6MPAである。
【0056】
図16に示すように、Tダイ28に設けられる押出スリット34は、鉛直下向きに配置され、押出スリット34から押し出された熱可塑性樹脂製シートPは、そのまま押出スリット34から垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。押出スリット34は、その間隔を可変とすることにより、熱可塑性樹脂製シートPの厚みを変更することが可能である。
一方、型締装置14も、押出装置12と同様に、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、2つの分割形式の金型32A,Bと、金型32A,Bを溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPの供給方向に対して略直交する方向に、開位置と閉位置との間で移動させる金型駆動装置とを有する。
【0057】
図16に示すように、2つの分割形式の金型32A,Bは、キャビティ116を対向させた状態で配置され、それぞれキャビティ116が略鉛直方向に沿うように配置される。それぞれのキャビティ116の表面には、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPに基づいて成形される成形品の外形、および表面形状に応じて凹凸部が設けられる。
より詳細には、熱可塑性樹脂製シートP1を成形する一方の金型32Aのキャビティ116Aの表面には、熱可塑性樹脂製シートP1の外表面121に内部流路202の一部を構成する蛇行凹状長溝205を形成するように、蛇行凹状長溝205と相補形状の凹溝119が設けられるとともに、樹脂製インサート用凹溝74および張出部用の凹部55それぞれと相補形状の凹溝が設けられる。
一方、熱可塑性樹脂製シートP2を成形する一方の金型32Bのキャビティ116Bの表面には、樹脂製インサート用凹溝74と張出部用の凹部55それぞれと相補形状の凹溝が形成される。
この場合、キャビティ116Aおよびキャビティ116Bそれぞれにおいて、樹脂製インサート用凹溝74に対する凹溝は、蛇行凹状長溝205に対する凹溝119のピンチオフ側の端部から連続してピンチオフ部に向かって延びるように形成され、張出部用の凹部55に対する凹溝は、樹脂製インサート用凹溝74に対する凹溝の側部から連続して横に延びるように形成される。
また、一対の分割金型32の型締め時、樹脂製インサート50の外表面314と、外表面314に対応する金型32のキャビティ表面との間隔が賦形前の熱可塑性樹脂製シートP1、P2の厚みより狭い一方、樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304の外表面316と、外表面316に対応する金型32のキャビティ表面との間隔が賦形前の熱可塑性樹脂製シートP1、P2の厚みより広くなるように、金型キャビティの表面性状、または樹脂製インサート50の外形を設定する。これにより、後に説明するように、分割金型32の型締めの際、金型32Aのピンチオフ部118Aと、金型32Bのピンチオフ部118Bとが当たったときに、樹脂製インサート50まわりの熱可塑性樹脂製シートP1、P2がコンプレッションされるとともに、ピン304まわりの熱可塑性樹脂製シートP1、P2が少なくともコンプレッションされない状態を確保するようにしており、その結果、後に説明するように、樹脂製インサート50まわりの熱可塑性樹脂製シートP1、P2がコンプレッションされ、樹脂製インサート50の先端から突出するピン304まわりに肉逃げしようとする際、ピン304まわりに溜まり部308を形成し、肉逃げが内部流路202の内部まで及び、流路を閉塞するような事態を未然に防止することを可能としている。
反面、樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304の外表面316と、外表面316に対応する金型32のキャビティ表面との間隔が賦形前の熱可塑性樹脂製シートP1、P2の厚みより広過ぎると、ピン304の外表面316まわりの溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP1、P2と樹脂製インサート50の外表面314との密着不良が発生し、場合により、内部流路202内の流体の漏れを生じる可能性を高める。特に、樹脂製インサート50の端面310は、たとえば、樹脂製インサート50の外表面314に比べて、樹脂製シートとの密着がしにくい部位であり、このような事態が発生しやすい。
以上より、樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304の外表面316と、外表面316に対応する金型32のキャビティ表面との間隔、換言すれば、溜まり部308の容積は、内部流路202の閉塞を防止し、かつ、熱可塑性樹脂製シートと樹脂製インサート50との密着性確保が可能なように設定する必要がある。
さらに、金型32のキャビティ表面と所定間隔を隔て、キャビティ表面に沿ってピンチオフ部118に向かって延びるように、キャビティ表面に対して位置決めしたピン304が、樹脂製インサート50の数分設けられる。
ピン304はいずれも、中実円柱状であり、樹脂製インサート50の
貫通路51の内径と同じ外径を備え、樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304の突出長さを調整可能とし、それにより、金型32の型締めにより、熱可塑性樹脂製シートP1、P2それぞれが、キャビティ116A、Bとピン304の外表面316との間で挟圧されるようにしている。
【0058】
より詳細には、ピン304は、一対の分割金型32A,Bの移動方向と直交する向きに延びるように、たとえば、台座(図示せず)を介してタイバー(図示せず)に取り付けられている。
ピン304は、一対の分割金型32A,Bの相対移動方向と直交する向きに、たとえば既知のピストンーシリンダ機構(図示せず)により、ピンチオフ部118から外方に引っ込んだ控え位置と、ピンチオフ部118から内方に突出する突出位置との間で移動可能なようにしている。ピン304の突出位置は、樹脂製インサート50の設置位置に応じて、定められ、特に後に説明するように、成形の際、ピン304のまわりに溶融状態の樹脂製シートの溜まり部を形成するために、ピン304の樹脂製インサート50の先端からの突出量を決定する。
より詳細には、ピンチオフ部118から内方に突出する突出量は、一対の分割金型32A,Bを型締めする際、熱可塑性樹脂製シートPが金型32のキャビティ表面とピン304の外表面との間で挟圧されるように設定される。
一方、ピン304の控え位置は、一対の分割金型32A,Bを型開きする際、少なくとも金型に衝突しない位置である。
【0059】
2つの分割形式の金型32A,Bそれぞれにおいて、キャビティ116のまわりには、ピンチオフ部118が形成され、このピンチオフ部118は、キャビティ116のまわりに環状に形成され、対向する金型32A,Bに向かって突出する。これにより、2つの分割形式の金型32A,Bを型締する際、それぞれのピンチオフ部118の先端部が当接し、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP1、P2は、その周縁にパーティングラインPLが形成されるように溶着される。
ピンチオフ部118の先端部同士が当接した際の対向するキャビティ116A,Bの表面同士の間隔は、熱可塑性樹脂製シートP1の厚みおよび熱可塑性樹脂製シートP2の厚みの合計より少なくとも小さくなるように設定され、それにより、分割形式の金型32A,Bを型締する際、熱可塑性樹脂製シートP1と熱可塑性樹脂製シートP2とが面溶着可能なようにしている。なお、ピンチオフ部118は、いずれか一方の金型32A,Bに設けてもよい。
【0060】
金型32Aの外周部には、型枠33Aが密封状態で摺動可能に外嵌し、図示しない型枠移動装置により、型枠33Aが、金型32Aに対して相対的に移動可能としている。より詳細には、型枠33Aは、金型32Aに対して金型32Bに向かって突出することにより、金型32A,B間に配置された熱可塑性樹脂製シートP1の側面に当接可能である。なお、図面上は省略しているが、同様に、金型32Bの外周部にも、型枠33Bを設け、型枠33Bが、金型32Bに対して金型32Aに向かって突出することにより、金型32A,B間に配置された熱可塑性樹脂製シートP2の側面に当接可能としている。
【0061】
金型駆動装置については、従来と同様のものであり、その説明は省略するが、2つの分割形式の金型32A,Bはそれぞれ、金型駆動装置により駆動され、開位置において、2つの分割金型32A,Bの間に、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPが配置可能なようにされ、一方閉位置において、2つの分割金型32A,Bのピンチオフ部118が当接し、環状のピンチオフ部118が互いに当接する。開位置から閉位置への各金型32A,Bの移動について、閉位置、すなわち、ピンチオフ部118同士が互いに当接する位置は、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP1、P2間で、両熱可塑性樹脂製シートP1、P2から等距離の位置とし、各金型32A,Bが金型駆動装置により駆動されてその位置に向かって移動するようにしている。
なお、熱可塑性樹脂製シートP1用の押出装置および一対のローラーと、熱可塑性樹脂製シートP2用の押出装置および一対のローラーとは、この閉位置に関して対称に配置されている。
【0062】
図20に示すように、分割金型32Aの内部には、真空吸引室80が設けられ、真空吸引室80は吸引穴82を介してキャビティ116Aに連通し、真空吸引室80から吸引穴82を介して吸引することにより、キャビティ116Aに向かって熱可塑性樹脂製シートP1を吸着させて、キャビティ116Aの外表面に沿った形状に賦形するようにしている。より詳細には、キャビティ116Aの外表面に設けた凹部119により、熱可塑性樹脂製シートP1の外表面121に蛇行凹状長溝205を形成するようにしている。図示は省略しているが、分割金型32Bについても同様に、キャビティ116Bに吸引穴を介して連通する真空吸引室が設けられている。
一方、分割金型32Bには、金型32A、Bを型締したときに両金型により形成される密閉空間内から吹き込み圧をかけることが可能なように、従来既知のブローピン304(図示せず)が設置されている。
以上の構成を有する樹脂製パネル回路200の成形装置10を利用した樹脂製パネル回路200の製造方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0063】
まず、ピン304を控え位置から突出位置まで移動させる。その際、溜まり部308に必要な容積の観点から、樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304の突出長さを調整する。
次いで、
図16において、溶融混練した熱可塑性樹脂をアキュムレータ22内に所定量貯留し、Tダイ28に設けられた所定間隔の押出スリット34から、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出すことにより、熱可塑性樹脂はスウェルし、溶融状態のシート状に下方に垂下するように所定の厚みにて所定押出速度で押し出される。
【0064】
次いで、一対のローラー30を開位置に移動し、押出スリット34の下方に配置された一対のローラー30同士の間隔を熱可塑性樹脂製シートPの厚みより広げることにより、下方に押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPの最下部が一対のローラー30間に円滑に供給されるようにする。なお、ローラー30同士の間隔を熱可塑性樹脂製シートPの厚みより広げるタイミングは、押し出し開始後でなく、ワンショットごとに二次成形が終了時点で行ってもよい。
次いで、一対のローラー30同士を互いに近接させて閉位置に移動し、一対のローラー30同士の間隔を狭めて熱可塑性樹脂製シートPを挟み込み、ローラーの回転により熱可塑性樹脂製シートPを下方に送り出す。
すなわち、ピストンーシリンダー機構96を駆動することにより、
図18(B)に示すように、一対のローラー30同士を互いに近接させて閉位置に移動し、一対のローラー30同士の間隔を狭めて熱可塑性樹脂製シートPを挟み込み、ローラーの回転により熱可塑性樹脂製シートPを下方に送り出す。その際、ローラー30の回転によりスウェルした状態の熱可塑性樹脂製シートPが一対のローラー30に送られている間、一対のローラー30による熱可塑性樹脂製シートPの下方への送り出し速度が、熱可塑性樹脂製シートPの押出速度以上となるようにローラーの回転速度を調整する。
【0065】
より詳細には、スウェルした状態の熱可塑性樹脂製シートPが一対のローラー30に下方に送り出されるにつれて、鉛直方向に垂下する熱可塑性樹脂製シートPの長さが長くなり、それに起因して垂下する熱可塑性樹脂製シートPの上部ほど熱可塑性樹脂製シートPの自重により薄肉化されるところ(ドローダウンあるいはネックイン)、その一方で一対のローラー30による送り出し速度を押出速度以上となるようにローラーの回転速度を調整することにより、熱可塑性樹脂製シートPは一対のローラー30により下方に引っ張られ、熱可塑性樹脂製シートPは延伸薄肉化される。
このとき、時間経過とともにローラーの回転速度を低下させて、送り出し速度を熱可塑性樹脂製シートPの押出速度に近づけるように調整する。
【0066】
たとえば、熱可塑性樹脂製シートPの押出速度を一定にする一方、ローラーの回転速度を時間経過とともに段階的に減少させてもよいし、ローラーの回転速度を一定にする一方、熱可塑性樹脂製シートPの押出速度を時間経過とともに段階的に減少させてもよいし、ローラーの回転速度の方が大きい範囲内でローラーの回転速度および熱可塑性樹脂製シートPの押出速度ともに時間経過とともに段階的に変動させてもよい。
いずれの場合であっても、時間経過とともに、一対のローラー30の回転による熱可塑性樹脂製シートPの下方への送り出し速度と、熱可塑性樹脂製シートPの押出速度との相対速度差が縮まることから、熱可塑性樹脂製シートPの上部ほど一対のローラー30による下方への引っ張り力が低下し、相対的にこのような引っ張り力に伴う延伸薄肉化が低減され、ドローダウンあるいはネックインに伴う薄肉化を相殺し、ドローダウンあるいはネックインを有効に防止し、以て押出方向に一様な厚みを形成することが可能である。
このように一対のローラー30を用いて、熱可塑性樹脂製シートPの厚みを調整する際、熱可塑性樹脂製シートP1は、内部流路202の一部を構成する凹溝を成形することに起因してブロー比が高いことから、賦形後の最小肉厚部が所定肉厚以上となるように厚みを決定し、一方、熱可塑性樹脂製シートP2は、温度調節板との面接触を確保するために、円形断面の流入開口412あるいは流出開口410を成形するための凹部が形成される以外は平面状であり、熱可塑性樹脂製シートP1と比較して、ブロー比が低いことから、賦形後の最大肉厚部が所定肉厚以下となるように厚みを決定するのがよい。特に、熱可塑性樹脂製シートP1の厚みは、熱可塑性樹脂製シートP2の厚みより厚く設定するのがよい。このようなそれぞれの熱可塑性樹脂製シートP1およびP2の厚みに応じて、対向する一対のローラーを用いて厚みを調整すればよい。
【0067】
次いで、
図16に示すように、押出方向に一様な厚みを形成した熱可塑性樹脂製シートPを一対のローラー30の下方に配置された分割金型32A,B間に配置する。これにより、熱可塑性樹脂製シートPは、ピンチオフ部118のまわりにはみ出す形態で位置決めされる。
以上の工程を、2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2それぞれについて行い、熱可塑性樹脂製シートP2と熱可塑性樹脂製シートP1とを互いに間隔を隔てた状態で、分割金型32A,B間に配置する。
この場合、上述のように、2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2はそれぞれ、互いに独立に、押し出しスリット34の間隔、あるいは一対のローラ30の回転速度を調整することにより、分割金型32A,B間に配置される際の厚みを調整可能である。
次いで、
図19に示すように、型枠33Aを金型32Aに対して、熱可塑性樹脂製シートP1に向かって、金型32Aに対向する熱可塑性樹脂製シートP1の外表面117に当たるまで移動させる。
【0068】
次いで、
図19および
図20に示すように、金型32Aのキャビティ116A、型枠33Aの内周面102、および金型32Aに対向する熱可塑性樹脂製シートP1の外表面117により構成された第1密閉空間84を通じて、真空吸引室80から吸引穴82を介して吸引することにより、熱可塑性樹脂製シートP1をキャビティ116Aに対して押し付けて、キャビティ116Aの凹凸表面に沿った形状に熱可塑性樹脂製シートP1を賦形する。これにより、熱可塑性樹脂製シートP1には、蛇行凹状長溝205が外表面117側に突出するように賦形され、内部流路202の一部が形成されるとともに、熱可塑性樹脂製シートP1のピンチオフ部近傍には、樹脂製インサート用凹部74および張出部用の凹部55が外表面117側に突出するように賦形され、蛇行凹状長溝205の形成段階と併行して、同様に、熱可塑性樹脂製シートP2と一対の金型32の対応する金型32Bとの間に密閉空間を形成して、密閉空間から空気を減圧することにより、熱可塑性樹脂製シートP2を吸引して、熱可塑性樹脂製シートP2のピンチオフ部118近傍には、樹脂製インサート用凹部74および張出部用の凹部が外表面117側に突出するように賦形される。
この場合、熱可塑性樹脂製シートP1およびP2それぞれにおいて、樹脂製インサート用凹部74は、蛇行凹状長溝205のピンチオフ側の端部から連続してピンチオフ部118に向かって延びるように形成され、張出部用の凹部55は、樹脂製インサート用凹部74の側部から連続して横に延びるように形成される。
なお、熱可塑性樹脂製シートP1およびP2の広さに比べて、成形されるべき蛇行凹状長溝205、樹脂製インサート用凹部74および張出部用の凹部55の大きさが小さい場合には、このような型枠33A、Bにより密閉空間を形成する必要はなく、熱可塑性樹脂製シートP1およびP2それぞれの表面に対応する分割金型32のピンチオフ部118を直接当てることにより密閉空間を形成して、吸引成形してもよい。
【0069】
次いで、分割金型32A,B間に配置された2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2の間に、樹脂製インサート50を配置する。具体的には、樹脂製インサート50の貫通路51を突出位置に位置決めしたピン304に対して嵌めて、位置決めする。
このとき、2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2の互いに対向する内表面には、位置決めの目印として、樹脂製インサート用凹部74および張出部用の凹部55が形成されているとともに、各樹脂製シートP1、P2は溶融状態であることから、樹脂製インサート50を樹脂製シートP1、P2の所定位置に対して容易に位置決めすることが可能であり、これにより、ピン304の樹脂製インサート50の先端からの所定突出量が確保される。
また、樹脂製インサート50は、外部流路と接続する複数の円柱部70が一体に配列された状態で形成されていることから、樹脂製インサート50の位置決めの際、個別に位置決めするのに比べて、効率的に行うことが可能である。
【0070】
次いで、
図21に示すように、熱可塑性樹脂製シートP1の外表面117に当接する型枠33Aをそのままの位置に保持した状態で熱可塑性樹脂製シートP1を吸引保持するとともに、可塑性樹脂製シートP2の外表面117に当接する型枠33Bをそのままの位置に保持した状態で熱可塑性樹脂製シートP2を同様に吸引保持しつつ、それぞれの環状のピンチオフ部118A,B同士が当接するまで両金型32A,Bを互いに近づく向きに移動させ、型締する。
これにより、樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304まわりに、樹脂製インサート50の外表面314に対して押圧される溶融状態の熱可塑性樹脂シートの溜まり部308を形成する。
金型32の型締めの際、溶融状態の熱可塑性樹脂シートが樹脂製インサート50の外表面314に対して押圧されることにより、熱可塑性樹脂シートと樹脂製インサート50の外表面314との密着性が確保されるところ、その分、余分な熱可塑性樹脂が樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304まわりに肉逃げするが、このようなピン304まわりに余分な熱可塑性樹脂の溜まり部308を形成しているので、余分な熱可塑性樹脂がピン304まわりから溢れ出て、内部流路202内に及び、内部流路202を閉塞するのを防止することが可能となる。
溜まり部308は、樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304の外表面316から外方への突出部により形成され、樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304まわりにリング状に形成される。
溜まり部308は、溶融状態の熱可塑性樹脂シートが樹脂製インサート50の外表面314に対して押圧されることにより、樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304まわりに向かって肉逃がしされる熱可塑性樹脂を溜めるのに十分な所定容積を有する。
溜まり部308は、所定容積を確保するように、樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304の突出長さに応じて、内部流路202内の流体による内圧により変形しない程度の厚みを有するように形成される。所定容積は、肉逃がしにより、樹脂製インサート50の端面のピン304まわりの環状面に対する熱可塑性樹脂シートの密着性が確保可能なように設定される。
一方、ピン304を樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから一部突出するように貫通路51に通すことにより、ピンチオフ部118から内方に突出する形態で、樹脂製インサート用第1凹部および樹脂製インサート用第2凹部それぞれに対応する位置に位置決めされた樹脂製インサート50を一方の熱可塑性樹脂製シートP1、P2に賦形された樹脂製インサート用第1凹溝の内面に密着させる。
これにより、樹脂製シートP1、P2と樹脂製インサート50の一方の端面310Aとの間の密着性を確保することが可能であり、総じて、体外液体循環流路の閉塞を防止しつつ、体外液体循環流路内の流体の漏れを確実に抑制するとともに、効率的な成形が可能である。
なお、ピンチオフ部118A,B同士の型締方向の当接位置は、互いに離間する2枚の熱可塑性樹脂製シートP1,P2の間となるところ、
図22に示すように、ピンチオフ部118A,B同士が当接することにより、熱可塑性樹脂製シートP1の外表面121のうち、蛇行凹状長溝205以外の平面部と、熱可塑性樹脂製シートP2の外表面とを面溶着させて、蛇行凹状長溝205を閉鎖することにより内部流路202が形成されるとともに、樹脂製インサート50の複数の円柱部70およびこれらを連結する張出部54がそれぞれ、内部流路202の各流出入開口において、熱可塑性樹脂製シートP1および P2の対向する樹脂製インサート用凹部74および張出部用の凹部55に挟み込まれる形態で、樹脂製シートP1、P2に対して密着固定され、内部流路202と連通する貫通路51が樹脂製シートP1、P2の縁部208まで延びるように形成される。
【0071】
次いで、
図22に示すように、分割金型32A,Bを型開きして、成形された樹脂製パネル回路200を取り出し、ピンチオフ部118A,Bの外側のバリ部分Bを切断し、ピン304を控え位置まで引っ込める。これで成形が完了する。
次いで、流出開口410および流入開口412それぞれに対して、樹脂製インサート50を介して外部管路を接続する。これで、樹脂製パネル回路200が完成する。
これにより、たとえば不意に外部管路に引き抜き力が作用した場合に、樹脂製インサート50の張出部54により引き抜きが有効に防止され、外部管路との接続部からの液漏れを防止することが可能である。
【0072】
以上のように、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを間欠的に押し出すたびに、以上のような工程を繰り返すことにより、パネル状の樹脂製パネル回路200を次々に成形することが可能であり、押出成形により熱可塑性樹脂を間欠的に溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP1、P2として押し出し、真空成形または圧空成形により押し出された熱可塑性樹脂製シートP1、P2を金型を用いて所定の形状に賦形することが可能である。
【0073】
成形手順として、上述のように、分割金型32を型締する前にキャビティ116と樹脂材料との間に密閉空間を形成し、キャビティ116側から樹脂材料を吸引することにより、樹脂材料を賦形するだけでなく、さらに、分割金型32を型締することにより、分割金型32内に密閉空間を形成し、この密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を賦形してもよい。この方法によれば、吸引による賦形と、ブロー圧による賦形とを行うことにより、たとえば内部流路202の湾曲がきつい等複雑な形状の成形であっても良好な成形性を確保することができる。さらに、分割金型32を型締する際、キャビティ116側から樹脂材料を吸引しつつ密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を賦形するのでもよい。この方法によれば、吸引によりキャビティ116の凹部に溜まった空気を除去しつつブロー圧をかけることにより、同様に良好な成形性を確保することが可能である。
さらに、樹脂製インサート50の樹脂製シートP1、P2に対する位置決めは、熱可塑性樹脂製シートP1、P2それぞれの真空引きによる賦形工程後に行うだけでなく、たとえば、樹脂製インサート50を熱可塑性樹脂製シートP1に対して位置決めするのであれば、熱可塑性樹脂製シートP1の真空引きによる賦形工程後、熱可塑性樹脂製シートP2の真空引きによる賦形工程前に行ってもよい。
あるいは場合により、熱可塑性樹脂製シートP1、P2それぞれを分割金型32A,B間に配置した後、熱可塑性樹脂製シートP1、P2それぞれの真空引きによる賦形工程前に、樹脂製インサート50の樹脂製シートP1、P2に対する位置決めを行ってもよい。この場合、上述のように、樹脂製インサート50を樹脂製シートP1、P2により保持するのとは異なり、たとえば、分割金型32A,Bの型締め工程まで、たとえば、マニピュレータを用いて樹脂製インサート50を保持しておいてもよい。
【0074】
以上の樹脂製パネル回路200の製造方法によれば、分割金型32の型締を利用して、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP1、P22同士を溶着することにより、樹脂の染み出し等の不都合を未然に防止しつつ、外部管路Pとの接続部である樹脂製インサート50を縁部208に固着した状態で一度に成形することが可能であり、内部流路202の形状を精度よく効率的に成形可能であり、本方法により製造された樹脂製パネル回路は、血液との温度バランスを図るべき、内部流路202内を流れる液体の温度調整実現することが可能である。
熱可塑性樹脂製シートP1、P2の一次成形の変形例としては、溶融状態の円筒状パリソンを利用して、押し出しの際、円筒状パリソンの直径方向に対向する部分それぞれを押し出し方向に沿って切れ込みを入れることにより、2枚のシート状に切断したうえで、あるいは円筒状パリソンを押し潰してシート状に形成したうえで、分割金型32の間に配置して、二次成形してもよいし、あるいはプレス成形したシート状樹脂を再加熱したうえで、水平向きに配置された分割金型32の間に配置して、二次成形してもよい。
また、本実施形態の樹脂製パネル回路の製造方法は、成形の際、樹脂製インサート50を金型に対して位置決めするのに用いるピン304、特に樹脂製インサート50の先端からのピン304の突出部まわりを利用して、内部流路202の内径規制を行うとともに、成形の際に内部流路202の閉塞を生じないようにしつつ、使用の際の内部流路202からの流体の漏れを防止するものである。
より具体的には、金型の型締めの際、溶融状態の熱可塑性樹脂シートが樹脂製インサート50の外表面314に対して押圧されることにより、熱可塑性樹脂シートと樹脂製インサート50の外表面314との密着性が確保されるところ、その分、余分な熱可塑性樹脂が樹脂製インサート50の一方の端面310Aの開口部312Aから突出するピン304まわりに肉逃げするが、このようなピン304まわりに余分な熱可塑性樹脂の溜まり部308を形成しているので、余分な熱可塑性樹脂がピン304まわりから溢れ出て、内部流路202内に及び、内部流路202を閉塞するのを防止するとともに、溜まり部308によって、流体の内圧に起因する、樹脂製インサート50の周囲の内部流路202の変形を防止するように高剛性化する一方、特に樹脂製シートP1、P2と樹脂製インサート50の一方の端面310Aとの間の密着性を確保することが可能であり、総じて、体外液体循環流路の閉塞を防止しつつ、体外液体循環流路内の流体の漏れを確実に抑制するとともに、効率的な成形が可能である。
【0075】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば種々の修正あるいは変更が可能である。たとえば、本実施形態においては、パネル回路に設ける内部流路202を透析液あるいは補液用内部流路202として説明したが、それに限定されることなく、透析液内部流路202および補液用内部流路202がそれぞれ互いに独立に、上部から下部に亘り蛇行状に並列状に形成されていてもよい。
【0076】
また、本実施形態においては、パネル回路のタイプとして、第1実施形態においては、貯留計量タイプにあって、縁部に互いに連結された複数の樹脂製インサート50を配置し、一方、第2実施形態においては、温度調整を行う平板タイプにあって、縁部に複数の樹脂製インサート50を互いに独立に配置するものとして説明したが、それに限定されることなく、パネル回路として、温度調整を行う平板タイプと貯留計量タイプとのハイブリッドタイプにあって、縁部における複数の内部流路202の配置形態に応じて、ある縁部においては、第2実施形態のように、複数の樹脂製インサート50を互いに独立に配置し、別の縁部においては、第1実施形態のように、複数の樹脂製インサート50を互いに連結して配置してもよい。
さらにまた、本実施形態においては、分割金型32の間に配置された2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2の間に樹脂製インサート50を配置するタイミングについて、2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2を分割金型32の間に配置して、2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2それぞれを真空吸引成形した後のものとして説明したが、それに限定されることなく、分割金型32を型締するまでであれば、いつでもよく、場合により、熱可塑性樹脂製シートP1、P2の分割金型32の間への配置、あるいは熱可塑性樹脂製シートP1、P2の真空吸引成形と併行して行ってもよい。
さらにまた、本実施形態においては、熱可塑性樹脂製シートP1、P2と、樹脂製インサート50とが異なる種類の樹脂であるとして説明したが、これに限定されることなく、熱可塑性樹脂製シートの圧着による樹脂のはみ出しまたは漏れの問題が生じる可能性がある限り、熱可塑性樹脂製シートP1、P2と樹脂製インサート50とが同じ種類の樹脂でもよい。