特許第6263067号(P6263067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263067
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】多孔質チタネートイオン交換体
(51)【国際特許分類】
   B01J 39/10 20060101AFI20180104BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20180104BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20180104BHJP
   C04B 35/46 20060101ALI20180104BHJP
   C01G 23/00 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B01J39/10
   C02F1/42 A
   C04B38/00 303Z
   C04B35/46
   C01G23/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-66713(P2014-66713)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-188798(P2015-188798A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
(74)【代理人】
【識別番号】100124132
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 和俊
(72)【発明者】
【氏名】東 健司
(72)【発明者】
【氏名】廣野 良幸
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−167007(JP,A)
【文献】 特開2013−246144(JP,A)
【文献】 特開2013−241312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00−34、39/00−49/02
C02F 1/42
G01G 1/00−23/08
C04B 35/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物と、少なくとも1種のTiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物からなり、
前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の二次粒子、凝集体、又は造粒体の表面の少なくとも一部が前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物により覆われていることを特徴とする多孔質チタネートイオン交換体。
【請求項2】
前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物に対する前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の重量比が、0.2〜2.0であることを特徴とする請求項2に記載の多孔質チタネートイオン交換体。
【請求項3】
前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物が(K1-x)Ti・mHO [0≦x<1,m≧0] で表されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多孔質チタネートイオン交換体。
【請求項4】
前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物が、(M1-x)Ti2n+1・mHO [0≦x<1,m≧0,2.5≦n≦4,MはK,Naのいずれか] もしくは、(K1−x)Ti2-z・mHO[0≦x<1,0.5≦y<1,m≧0,RはLi,Mg,Zn,Ni,Co,Cu,Mn,Al,Fe,Cr,Gaのいずれか,zはRが1価のときz=y/3、2価のときz=y/2、3価のときz=y]で表されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の多孔質チタネートイオン交換体。
【請求項5】
空隙率が30〜65%であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の多孔質チタネートイオン交換体。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の多孔質チタネートイオン交換体を充填したことを特徴とする吸着容器。
【請求項7】
請求項6に記載の吸着容器を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項8】
少なくとも1種のTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物と、少なくとも1種のTiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物からなり、
前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物に対する前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の重量比が0.2〜3.2であり、
前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の二次粒子、凝集体、又は造粒体の表面の少なくとも一部が前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物により覆われている多孔質チタネートイオン交換体の製造方法であって、
前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物と、二次粒子の平均径が前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の二次粒子の平均径の2倍以上である前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物とを撹拌する工程を有する、多孔質チタネートイオン交換体の製造方法。
【請求項9】
少なくとも1種のTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物と、少なくとも1種のTiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物からなり、
前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物に対する前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の重量比が0.09〜0.21であり、
前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の二次粒子、凝集体、又は造粒体の表面の少なくとも一部が前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物により覆われている多孔質チタネートイオン交換体の製造方法であって、
前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物と、二次粒子の平均径が前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の二次粒子の平均径と略同一である前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物とを撹拌する工程を有する、多孔質チタネートイオン交換体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンを交換する多孔質イオン交換体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特定のイオンを除去もしくは取り込むために、チタン酸アルカリ金属化合物をイオン交換体として使用することが提案されている(例えば非特許文献1参照)。しかしながら、チタン酸アルカリ金属化合物を水中に投入すると粒子が容易に崩壊し微粒子化してしまい、吸着性能の低下に加え、吸着した特定のイオンとともに外部に流出してしまう問題があった。この問題は、チタン酸アルカリ金属化合物の吸湿性が高いため、水中に投入すると凝集体が膨潤し、粒子が崩壊することによって生じると推測される。すなわち、従来用いられていたチタン酸アルカリ金属化合物は耐久性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−76628公報
【特許文献2】特開2013−246145公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】久保田益充、外5名、「群分離法の開発:無機イオン交換体カラム法による90Sr及び137Csを含む廃液の処理法の開発」、JAERI−Mレポート、日本原子力研究所、1982年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、チタン酸アルカリ金属化合物の強度を向上させる方法として、チタン酸アルカリ金属化合物表面に高分子材料を被覆する方法(例えば特許文献1参照)やチタン酸アルカリ金属化合物表面に無機材料を被覆する方法(例えば特許文献2参照)が提案されている。
【0006】
ところが、上記方法によってチタン酸アルカリ金属化合物の強度向上を図ると、高分子材料または無機材料を含むバインダーが比較的多量に必要となり、単位重量当たりのチタン酸アルカリ金属化合物含有率の低下、空隙率の低下等が生じ、チタン酸アルカリ金属化合物のイオン交換性能が著しく低下してしまう。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、強度、イオン交換性能ともに優れた多孔質チタネートイオン交換体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明に係る多孔質チタネートイオン交換体は、少なくとも1種のTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物と、少なくとも1種のTiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物からなる構成(第1の構成)とされている。
【0009】
また、上記第1の構成から成る多孔質チタネートイオン交換体は、前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物に対する前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の重量比が、0.2〜2.0である構成(第2の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第1または第2の構成から成る多孔質チタネートイオン交換体は、前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の二次粒子、凝集体、又は造粒体の表面の少なくとも一部が前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物により覆われている構成(第3の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る多孔質チタネートイオン交換体は、前記TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物が(K1-x)Ti・mHO [0≦x<1,m≧0] で表される構成(第4の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第1〜第4いずれかの構成から成る多孔質チタネートイオン交換体は、前記TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物が、(M1-x)Ti2n+1・mHO [0≦x<1,m≧0,2.5≦n≦4,MはK,Naのいずれか] もしくは、(K1−x)Ti2-z・mHO[0≦x<1,0.5≦y<1,m≧0,RはLi,Mg,Zn,Ni,Co,Cu,Mn,Al,Fe,Cr,Gaのいずれか,zはRが1価のときz=y/3、2価のときz=y/2、3価のときz=y]で表される構成(第5の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1〜第5いずれかの構成から成る多孔質チタネートイオン交換体は、空隙率が30〜65%である構成(第6の構成)にするとよい。
【0014】
また、本発明に係る吸着容器は、上記第1〜第6いずれかの構成からなる多孔質チタネートイオン交換体を充填した構成(第7の構成)とされている。
【0015】
また、本発明に係る水処理装置は、上記第7の構成からなる吸着容器を備える構成(第8の構成)とされている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、強度、イオン交換性能ともに優れた多孔質チタネートイオン交換体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】チタン酸カリウムの結晶構造の例を示すテーブル
図2】各実施例及び比較例の評価結果を示すテーブル
図3】廃液処理装置の一構成例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明に係る多孔質チタネートイオン交換体の実施の形態について説明する。
【0019】
本発明のイオン交換体は、少なくとも1種のTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物と、少なくとも1種のTiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物からなることを特徴とする
【0020】
TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物は、層表面の負電荷と層間の陽イオンとの結合力が弱いため、層間の膨潤反応が大きくイオン交換容量が大きいが、非常に不安定であり容易に層間剥離し、崩壊してしまう。
【0021】
一方、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物は、層表面の負電荷と層間の陽イオンとの結合力が強く、層間剥離しにくい反面、イオン交換容量がやや低い。
【0022】
本発明の実施形態では、TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の二次粒子、凝集体、又は造粒体の少なくとも一部を、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物によって覆うことで、優れたイオン交換性能を損なわず、水中でのイオン交換体として十分な強度を有することができる。
【0023】
本発明の多孔質チタネートイオン交換体は、例えば、多孔質チタネートイオン交換体中のTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の重量BとTiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の重量Bの重量比B/Bが0.2から2.0であることが好ましい。B/Bが2.0を超えると粒子強度が下がり過ぎる虞があり、B/Bが0.2を下回るとイオン交換性能が下がり過ぎる虞がある。より好ましいB/Bは、0.4から1.2である。
【0024】
TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物としては、(K1-x)Ti・mHO [0≦x<1,m≧0] (式1)で表される二チタン酸カリウム及び/又は水和二チタン酸カリウムが好ましい。ここで図1には、x=0及びm=0の場合のTiO三角両錘体の連鎖が積層した層状構造を有する二チタン酸カリウムの例を示している。その層間部分にカリウムイオンを担持する空間が形成されているため、陽イオン交換性に優れている。また、x≠0やm≠0の場合の水和二チタン酸カリウムも類似の構造を有しており同様の効果を得ることができる。
【0025】
TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物としては、(M1-x)Ti2n+1・mHO [0≦x<1,m≧0,2.5≦n≦4,MはK,Naのいずれか] (式2)もしくは、(K1−x)Ti2-z・mHO[0≦x<1,0.5≦y<1,m≧0,RはLi,Mg,Zn,Ni,Co,Cu,Mn,Al,Fe,Cr,Gaのいずれか,zはRが1価のときz=y/3、2価のときz=y/2、3価のときz=y](式3)で表されるチタン酸アルカリ金属化合物が好ましい。ここで図1には、式2において、x=0、m=0、n=4、およびMがKの場合のTiO八面体の連鎖が積層した層状構造を有する四チタン酸カリウムの例を示している。その層間部分にカリウムイオンを担持する空間が形成されている。また、x≠0やm≠0の場合の水和四チタン酸カリウム、式2のMがNaの場合のチタン酸ナトリウムやそれらの水和物、及び式3のレピドクロサイト型チタン酸金属化合物やそれらの水和物においても類似の層状構造を有しており、四チタン酸カリウムと同様の効果を得ることができる。
【0026】
なお、式1、式2、及び式3におけるx≠0の化合物は、それぞれx=0の化合物から、アルカリ金属の一部をプロトン(H)及び/もしくはヒドロニウムイオン(H)に置換することで得ることができる。
【0027】
以下では、本発明の実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。すなわち、下記で説明する各種の処理方法や粉砕方法など、公知の一般的な技術を適用することが可能な部分については、下記の実施例に何ら限定されることなく、その内容を適宜変更することが可能であることは言うまでもない。
【実施例】
【0028】
(化合物1の合成)
水100重量部に対して酸化チタンを26.2重量部混合・攪拌した。その後、23.8重量部の炭酸カリウムを加えてさらに攪拌した。混合した溶液を200℃で噴霧乾燥(スプレードライ)し、800℃で3時間焼成し、TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造二チタン酸カリウム(KTi)を得た。
【0029】
(化合物2の合成)
酸化チタン16.4重量部と炭酸セシウム33.6重量部をラボミキサーで混合後、ボールミルで粉砕し、850℃で2時間焼成し、TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造二チタン酸セシウム(CsTi)を得た。
【0030】
(化合物3の合成)
化合物2を脱水濾過器に投入し、化合物2の重量に対して3倍量の水をシャワーリングしながら濾過し、その後120℃で1時間乾燥処理を施すことにより、TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造を維持した水和二チタン酸セシウム(Cs0.90.1)Ti・0.1HOを得た。組成式は、蛍光X線による組成分析の結果より算定した。
【0031】
(化合物4の合成)
化合物1を化合物1の重量に対し27倍量の水で1時間水洗することにより、脱カリウム処理を行い、脱水・乾燥後、850℃で2時間焼成することにより、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造四チタン酸カリウム(KTi)を得た。
【0032】
(化合物5の合成)
水100重量部に対して酸化チタンを34.3重量部混合・攪拌した。その後、15.7重量部の炭酸ナトリウムを加えてさらに攪拌した。混合した溶液を200℃で噴霧乾燥(スプレードライ)し、800℃で10時間焼成し、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造三チタン酸ナトリウム(NaTi)を得た。
【0033】
(化合物6の合成)
化合物5を化合物5の重量に対し7倍量の水で1時間水洗することにより脱ナトリウム処理を行い、脱水し、その後200℃で1時間乾燥することにより、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造を維持した水和三チタン酸ナトリウム(Na0.70.3)Ti・0.1HOを得た。組成式は、蛍光X線による組成分析の結果より算定した。
【0034】
(化合物7の合成)
水100重量部に対して酸化チタンを33.9重量部混合・攪拌した。その後、16.1重量部の炭酸ナトリウムを加えてさらに攪拌した。混合した溶液を200℃で噴霧乾燥(スプレードライ)し、800℃で10時間焼成し、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造三チタン酸ナトリウム(NaTi)と五チタン酸ナトリウム(NaTi12)の複合物を得た。
【0035】
(化合物8の合成)
水100重量部に対して酸化チタンを33.1重量部混合・攪拌した。その後、15.2重量部の炭酸カリウムと1.8重量部の水酸化リチウムを加えてさらに攪拌した。混合した溶液を200℃で噴霧乾燥(スプレードライ)し、1000℃で3時間焼成し、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸リチウムカリウム(K0.9Li0.3Ti1.7)を得た。
【0036】
(化合物9の合成)
水100重量部に対して酸化チタンを31.0重量部混合・攪拌した。その後、13.4重量部の炭酸カリウムと5.7重量部の水酸化マグネシウムを加えてさらに攪拌した。混合した溶液を200℃で噴霧乾燥(スプレードライ)し、1100℃で2時間焼成し、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸マグネシウムカリウム(K0.8Mg0.4Ti1.6)を得た。
【0037】
(化合物10の合成)
化合物9を化合物9の重量に対し5倍量の水で1時間水洗することにより脱カリウム処理を行い、脱水し、その後200℃で1時間乾燥することにより、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造を維持した水和チタン酸マグネシウムカリウム(K0.70.1Mg0.4Ti1.6・0.1mHO)を得た。組成式は、蛍光X線による組成分析の結果より算定した。
【0038】
<実施例1>
(1−1)粒度調整
化合物1と化合物4を準備し、それぞれ粉砕もしくは解砕等により化合物1の二次粒子平均径が化合物4の二次粒子平均径の1/2以下になるように調整した。調整後の化合物4の二次粒子平均径は、例えば20〜30μm程度である。
【0039】
(1−2)造粒
粒度調整された化合物1:460gと粒度調整された化合物4:540gを高速混合造粒機(ダルトン株式会社、RMO−4H)により、高速撹拌させた。その後、5重量%のポリビニルアルコール溶液370gをスプレーしながら撹拌することにより造粒させた。得られた造粒体を電気マッフル炉にて大気雰囲気下、850℃で2時間焼成して造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。造粒品の粒径は例えば300〜600μm程度である。なお、後述する実施例2〜15及び比較例1〜3においても、造粒品の粒径は例えば300〜600μm程度である。
【0040】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が0.85であり、比較的粒度の大きい化合物4の間隙に、比較的粒度の小さい化合物1の大半が凝集体として存在し、化合物4により化合物1の一部が覆われた形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により43%であった。
【0041】
<実施例2>
(2−1)粒度調整
(1−1)と同様に化合物1と化合物4の粒度調整を行った。
【0042】
(2−2)造粒
粒度調整された化合物1:760gと粒度調整された化合物4:240gを(1−2)と同じ工程で処理し、造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0043】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が3.16であり、(1−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により46%であった。
【0044】
<実施例3>
(3−1)粒度調整
(1−1)と同様に化合物1と化合物4の粒度調整を行った。
【0045】
(3−2)造粒
粒度調整された化合物1:661gと粒度調整された化合物4:339gを(1−2)と同じ工程で処理し、造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0046】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が1.95であり、(1−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により45%であった。
【0047】
<実施例4>
(4−1)粒度調整
(1−1)と同様に化合物1と化合物4の粒度調整を行った。
【0048】
(4−2)造粒
粒度調整された化合物1:544gと粒度調整された化合物4:456gを(1−2)と同じ工程で処理し、造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0049】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が1.19であり、(1−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により44%であった。
【0050】
<実施例5>
(5−1)粒度調整
(1−1)と同様に化合物1と化合物4の粒度調整を行った。
【0051】
(5−2)造粒
粒度調整された化合物1:304gと粒度調整された化合物4:696gを(1−2)と同じ工程で処理し、造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0052】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が0.44であり、(1−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により42%であった。
【0053】
<実施例6>
(6−1)粒度調整
化合物1と化合物4を準備し、それぞれ粉砕もしくは解砕等により二次粒子平均径がともに、例えば20〜30μm程度になるように調整した。
【0054】
(6−2)造粒
粒度調整された化合物1:177gと粒度調整された化合物4:823gを(1−2)と同じ工程で処理し、造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0055】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が0.21であり、比較的重量の多い化合物4により比較的重量の少ない化合物1の一部が覆われた形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により43%であった。
【0056】
<実施例7>
(7−1)粒度調整
(6−1)と同様に化合物1と化合物4の粒度調整を行った。
【0057】
(7−2)造粒
粒度調整された化合物1:84gと粒度調整された化合物4:916gを(1−2)と同じ工程で処理し、造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0058】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が0.09であり、(6−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により44%であった。
【0059】
<実施例8>
(8−1)粒度調整
化合物1と化合物6を準備し、それぞれ粉砕もしくは解砕等により二次粒子平均径がともに、例えば20〜30μm程度になるように調整した。
【0060】
(8−2)一次造粒
粒度調整された化合物1:544gを高速混合造粒機(ダルトン株式会社、RMO−4H)により、高速撹拌させた。その後、5重量%のポリビニルアルコール溶液200gをスプレーしながら撹拌することにより造粒させた。
【0061】
(8−3)二次造粒
(8−2)の一次造粒体全量に粒度調整された化合物6:456gを加え、ヘンシェルミキサーで混合した。その後、エポキシ樹脂120gを滴下しながら撹拌することにより化合物1の一次造粒体を化合物6で被覆しながら更に造粒させた。得られた二次造粒体を電気マッフル炉にて大気雰囲気下、200℃で1時間焼成して造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0062】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物6に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が1.19であり、化合物4により化合物1の一次造粒体のほぼ全面が覆われた形態であった。得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により45%であった。
【0063】
<実施例9>
(9−1)粒度調整
化合物1と化合物8を準備し、それぞれ粉砕もしくは解砕等により二次粒子平均径がともに、例えば20〜30μm程度になるように調整した。
【0064】
(9−2)一次造粒
粒度調整された化合物1:544gを(8−2)と同じ工程で処理し、一次造粒体を得た。
【0065】
(9−3)二次造粒
(9−2)の一次造粒体全量に粒度調整された化合物8:456gを加え、ヘンシェルミキサーで混合した。その後、5重量%のポリビニルアルコール溶液170gを滴下しながら撹拌することにより化合物1の一次造粒体を化合物8で被覆しながら更に造粒させた。得られた二次造粒体を電気マッフル炉にて大気雰囲気下、850℃で2時間焼成して造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0066】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物8に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が1.19であり、(8−3)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により46%であった。
【0067】
<実施例10>
(10−1)粒度調整
化合物1と化合物10を準備し、それぞれ粉砕もしくは解砕等により化合物1の二次粒子平均径が化合物10の二次粒子平均径の1/2以下になるように調整した。調整後の化合物10の二次粒子平均径は、例えば20〜30μm程度である。
【0068】
(10−2)造粒
粒度調整された化合物1:544gと粒度調整された化合物10:456gを高速混合造粒機(ダルトン株式会社、RMO−4H)により、高速撹拌させた。その後、エポキシ樹脂300gをスプレーしながら撹拌することにより造粒させた。得られた造粒体を電気マッフル炉にて大気雰囲気下、200℃で1時間焼成して造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0069】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物10に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が1.19であり、(1−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により44%であった。
【0070】
<実施例11>
(11−1)粒度調整
化合物3と化合物7を準備し、それぞれ粉砕もしくは解砕等により二次粒子平均径がともに、例えば20〜30μm程度になるように調整した。
【0071】
(11−2)造粒
粒度調整された化合物3:177gと粒度調整された化合物7:823gを、焼成条件を200℃で1時間に変化させた以外(10−2)と同じ工程で処理し、造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0072】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物7に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物3の重量比が0.21であり、(6−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により42%であった。
【0073】
<実施例12>
(12−1)粒度調整
(1−1)と同様に化合物1と化合物4の粒度調整を行った。
【0074】
(12−2)造粒
粒度調整された化合物1:460gと粒度調整された化合物4:540gを用いて、バインダーを使用せず、水560gをスプレーした以外(1−2)と同じ工程で処理し、造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0075】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が0.85であり、(1−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により70%であった。
【0076】
<実施例13>
(13−1)粒度調整
(1−1)と同様に化合物1と化合物4の粒度調整を行った。
【0077】
(13−2)造粒
粒度調整された化合物1:460gと粒度調整された化合物4:540gを用いて、ポリビニルアルコール溶液の濃度を3重量%に変えたこと以外(1−2)と同じ工程で処理し、造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0078】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が0.85であり、(1−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により61%であった。
【0079】
<実施例14>
(14−1)粒度調整
(1−1)と同様に化合物1と化合物4の粒度調整を行った。
【0080】
(14−2)造粒
粒度調整された化合物1:460gと粒度調整された化合物4:540gを用いて、5重量%のポリビニルアルコール溶液320gにアルミナゾル50gを加えたこと以外(1−2)と同じ工程で造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0081】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が0.85であり、(1−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により32%であった。
【0082】
<実施例15>
(15−1)粒度調整
(1−1)と同様に化合物1と化合物4の粒度調整を行った。
【0083】
(15−2)造粒
粒度調整された化合物1:460gと粒度調整された化合物4:540gを用いて、ポリビニルアルコール溶液の濃度を7重量%に変えたこと以外(1−2)と同じ工程で造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0084】
得られた多孔質チタネートイオン交換体は、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物4に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物1の重量比が0.85であり、(1−2)の工程で処理されたものと同様の形態であった。また、得られた多孔質チタネートイオン交換体の空隙率は水銀圧入法により24%であった。
【0085】
<比較例1>
(16−1)粒度調整
化合物1を、粉砕もしくは解砕等により二次粒子平均径が、例えば20〜30μm程度になるように調整した。
【0086】
(16−2)造粒
粒度調整された化合物1:1.0kgを高速混合造粒機(ダルトン株式会社、RMO−4H)により、高速撹拌させた。その後、5重量%のポリビニルアルコール溶液370gをスプレーしながら撹拌することにより造粒させた。得られた造粒体を電気マッフル炉にて大気雰囲気下、850℃で2時間焼成して造粒品(多孔質イオン交換体)を得た。
【0087】
得られた多孔質イオン交換体の空隙率は水銀圧入法により45%であった。
【0088】
<比較例2>
(17−1)粒度調整
化合物4を、粉砕もしくは解砕等により二次粒子平均径が、例えば20〜30μm程度になるように調整した。
【0089】
(17−2)造粒
(16−1)で得られた粒度調整された化合物1:1.0kgを(17−1)で得られた粒度調整された化合物4に変えたこと以外(16−2)と同じ工程で造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0090】
得られた多孔質イオン交換体の空隙率は水銀圧入法により43%であった。
【0091】
<比較例3>
(18−1)粒度調整
化合物6を、粉砕もしくは解砕等により二次粒子平均径が、例えば20〜30μm程度になるように調整した。
【0092】
(18−2)造粒
(18−1)で得られた粒度調整された化合物6:1.0kgを(10−2)と同じ工程で造粒品(多孔質チタネートイオン交換体)を得た。
【0093】
得られた多孔質イオン交換体の空隙率は水銀圧入法により46%であった。
【0094】
<分析装置>
上記の実施例および比較例で使用した分析装置は、下記の通りである。
蛍光X線分析装置:株式会社リガク、RIX1000
レーザ回折折式粒度分布測定装置:株式会社島津製作所、SALD−2100
空隙率測定装置:カンタクロームインスツルメンツ、POREMASTER60
【0095】
<イオン交換性能の評価>
実施例1〜15及び比較例1〜3で得られた各多孔質イオン交換体を0.03g計量し、各ポリ容器(50mL遠沈管)に投入した。そして、安定同位体の塩化ストロンチウムをストロンチウム濃度が10mg/L、安定同位体の塩化セシウムをセシウム濃度が1mg/L、塩化ナトリウムを濃度が0.3質量%となるようにイオン交換水に溶解させた水溶液を用意し、当該水溶液を各々のポリ容器に30mL加えた。24時間振盪させた後、遠心分離機で固液分離し、上澄液をICP(株式会社島津製作所、ICPE−9000)に導入してイオン交換後のストロンチウム濃度を定量した。イオン交換前(ポリ容器投入前)のストロンチウム濃度に対するイオン交換後(24時間振盪後)のストロンチウム濃度の割合をイオン交換率とした。
【0096】
<強度の評価>
実施例1〜15及び比較例1〜3で得られた各多孔質イオン交換体を0.3g計量し、各ポリ容器(50mL遠沈管)に投入した。そして、前記イオン交換性能の評価に用いたものと同じ水溶液30mLを各々のポリ容器に加え軽く振り混ぜた後、上澄液の濁度をJIS K0101(工業用水試験方法)に従い分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ、U−2800)を用いて計測した。多孔質チタネートイオン交換体の強度が低いほど、多孔質チタネートイオン交換体が崩壊して微粒子化して濁度が高くなる。すなわち、多孔質チタネートイオン交換体の強度と濁度との間には負の相関がある。
【0097】
<評価結果>
図2は実施例1〜15及び比較例1〜3の評価結果を示すテーブルである。実施例1〜15と比較例1〜3を比較すれば明らかなように、異なる層状構造を有する複数のチタン酸アルカリ金属化合物からなる多孔質チタネートイオン交換体(実施例1〜15)は、TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物単体からなる多孔質イオン交換体(比較例1)に比べて強度が高く、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物単体からなる多孔質イオン交換体(比較例2〜3)に比べてイオン交換率が高い。すなわち、本発明の多孔質チタネートイオン交換体は強度、イオン交換性能ともに優れている。この理由としては、イオン交換性能の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物と強度の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物を混在させることで、イオン交換性能が著しく低下することなく粒子の崩壊を抑制する構造が形成されているからであると考えられる。
【0098】
この混在の手法には種々の手法が考えられるが、最も簡単な手法は、イオン交換性能の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物と強度の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物を予め均一に混合し、その後一般的な方法により造粒する手法である。この最も簡単な手法でも強度、イオン交換性能ともに優れているという効果が得られる。
【0099】
しかしながら、イオン交換性能の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物の表面をより多く覆う構造であればあるほど、高いイオン交換性能を維持しつつ、より強度の高いイオン交換体が得られる。その方法としては、イオン交換性能の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物の粒度を強度の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物の粒度よりも細かく調整し予め均一に混合し、造粒する方法、イオン交換性能の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物のみを予め造粒し、その表面を被覆する形で強度の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物を結着させる方法、2層押出し製法によりイオン交換性能の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物を内層とし強度の高い層状構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物を外層とした円柱状造粒体を得る方法などが挙げられる。
【0100】
混在の手法として何れの手法を採用するかは、要求性能と加工コストを考慮して決定すればよい。
【0101】
実施例1〜7の評価結果を考慮すれば、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の重量比が高いほど、Srイオン交換率が高い傾向であることが分かる。併せて、濁度の評価結果を考慮すれば、TiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物に対するTiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物の重量比を0.2以上2.0以下にすることが望ましく、0.4以上1.2以下にすることがより望ましい。二チタン酸カリウムに対する四チタン酸カリウムの重量比が低過ぎると強度が落ち、二チタン酸カリウムに対する四チタン酸カリウムの重量比が高過ぎるとイオン交換性能が落ちるからである。
【0102】
実施例1、12〜15の評価結果を考慮すれば、多孔質イオン交換体の空隙率が30%以上65%以下であることが望ましい。空隙率が大き過ぎると強度が落ち、空隙率が小さ過ぎるとイオン交換性能が落ちるからである。
【0103】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって示されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0104】
例えば、イオン交換性能や強度が著しく低下しない限り、本発明に係る多孔質チタネートイオン交換体は、TiO三角両錐体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物及びTiO八面体の連鎖構造を有する層状構造チタン酸アルカリ金属化合物以外の物質が含まれていても構わない。
【0105】
また、本発明に係る多孔質チタネートイオン交換体が交換するイオンは特に限定されないが、上記した実施例におけるイオン交換性能評価を考慮すると、例えばストロンチウムイオンの交換材として好適に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係る多孔質チタネートイオン交換体は、例えば廃液処理装置に利用することが可能である。ここで、廃液処理装置の一構成例について図3を参照して説明する。図3に示す廃液処理装置は、複数のカラム1が配管2によって直列に接続されている構成である。各カラム1の内部には、本発明に係るイオン交換体3が充填されている。各カラム1には流入口1Aと流出口1Bが設けられている。そして、本発明に係るイオン交換体3がカラム1の外部に漏れだすことを防止するために、流入口1A及び流出口1Bにはメッシュ4が設置されている。廃液の流れは例えば配管2上にポンプを設け、当該ポンプを動作させることによって生じさせることができる。
【符号の説明】
【0107】
1 カラム
1A 流入口
1B 流出口
2 配管
3 本発明に係るイオン交換体
4 メッシュ
図1
図2
図3