(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263070
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】排水溝ユニットの接続構造
(51)【国際特許分類】
E01C 11/22 20060101AFI20180104BHJP
E03F 5/046 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
E01C11/22 A
E01C11/22 B
E03F5/046
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-82654(P2014-82654)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2015-203219(P2015-203219A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133294
【氏名又は名称】株式会社ダイクレ
(74)【代理人】
【識別番号】100079636
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 佳尚
(72)【発明者】
【氏名】曽根 幸治
(72)【発明者】
【氏名】家久 侑大
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一志
【審査官】
西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3361506(JP,B2)
【文献】
特開平03−244702(JP,A)
【文献】
実開昭61−071680(JP,U)
【文献】
特開平10−252265(JP,A)
【文献】
実開昭56−176332(JP,U)
【文献】
実開昭51−013119(JP,U)
【文献】
実開昭62−044988(JP,U)
【文献】
実開昭54−077428(JP,U)
【文献】
国際公開第2012/146271(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 11/22
E01F 15/00
E03F 5/046
E03F 5/04
E03F 5/06
E04G 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁部と、後壁部と、これら前後の壁部を連結する底壁より構成される水路部と、該水路部に被さる蓋部よりなる鋼製の排水溝ユニットを接続するための接続構造であって、隣り合う排水溝ユニットの水路部には、側縁の複数か所にそれぞれL形をなして前記水路部側縁と一定の隙間を存し、かつ該隙間の開口が水路部端側を向くようにした鉤部が突設され、水路部接続時には互いに向き合う鉤部の隙間に楔が両側の鉤部の隙間に跨がるようにして通され、上方より打ち込んで固定されることを特徴とする排水溝ユニットの接続構造。
【請求項2】
前記水路部の継ぎ目には該継ぎ目を覆う細幅の継ぎプレートが当てがわれ、該継ぎプレートが前記鉤部の隙間に通されたのち、前記楔が継ぎプレートに重ねて打ち込まれることを特徴とする請求項1記載の排水溝ユニットの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路、とくに橋梁の地覆や中央分離帯等に設置される鋼製の排水溝ユニットの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、橋梁の地覆に設置される排水溝ユニットの従来例を示すもので、該排水溝ユニット1は前壁部2と、後壁部3と、これら前後の壁部2、3を連結する底壁4より構成されて断面略J形をなす水路部5と、該水路部5に被さる蓋部6とよりなり、水路部5の後壁部3より突設されるアンカー7がコンクリート製の縁石8に埋設されることにより固定され、図において、縁石8の右側が歩道、排水溝ユニット1の左側が車道となっている。
【0003】
排水溝ユニットの施工時に排水溝ユニットを接続する際には、水漏れを生ずることがないように水路部を接続する必要があり、その方法としては、水路部の接続部分にゴム製の継手部材を両側の水路部に跨るようにして当てがいボルトにて固着し(特許文献1)、ついでシーリングのために水路部の接続部分に内側からシーリング材を装填する方法、止水パッキンを水路部で挟み込み、両側の水路部側縁に固着される締付板を締付金具で連結して止水パッキンを締着する方法(特許文献2)などが知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭57−43924号
【特許文献2】特許第3361506号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排水溝ユニットの水路部自体が捩れていたり、水路部の前壁部や後壁部が内向き或いは外向きに倒れていると、隣接する水路部がずれて前述するような継手部材や止水パッキンを取付けることができないし、締付金具による締着もできず、また接続部分でのずれは水漏れのみならず、外観を損なうことともなる。
【0006】
水路部の例えば前壁部や後壁部が内外に倒れている場合、従来はジャッキ等を用いて前壁部や後壁部を内外から押込み、倒れを矯正していたが、こうした矯正を施工現場にて行うのは容易でないうえ、矯正しても矯正後復元し、倒れを完全に解消することは困難であった。
【0007】
本発明は、排水溝ユニットの水路部が捩れていたり、前壁部や後壁部が内外に倒れていても施工現場で容易に矯正し、矯正した状態を維持して水路部同士がずれることなく接続された止水構造にすることができるようにした排水溝ユニットの接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、前壁部と、後壁部と、これら前後の壁部を連結する底壁より構成される水路部と、該水路部に被さる蓋部よりなる鋼製の排水溝ユニットを接続するための接続構造であって、隣り合う排水溝ユニットの水路部には、側縁の複数か所にそれぞれL形をなして前記水路部側縁と一定の隙間を存し、かつ該隙間の開口が水路部端側を向くようにした鉤部が突設され、水路部接続時には互いに向き合う鉤部の隙間に楔が両側の鉤部の隙間に跨がるようにして通され、上方より打ち込んで固定されることを特徴とし、
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、水路部の継ぎ目には該継ぎ目を覆う細幅の継ぎプレートが当てがわれ、該継ぎプレートが前記鉤部の隙間に通されたのち、前記楔が継ぎプレートに重ねて打ち込まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によると、排水溝ユニットの水路部に捩れがあったり、水路部の一部に内向き又は外向きの倒れがあって、水路部を接続したとき、継ぎ目にずれがあると、水路部側の複数か所に突設される鉤部のうち、一箇所の鉤部に楔を打ち込んで該箇所における水路部を固定し、ついでずれがある箇所、或いはその付近の鉤部に楔を同様にして打ち込む。これにより該箇所での倒れや捩れが矯正されてずれが解消され、以後矯正状態が維持される。鉤部は多くの場合、二箇所に設けられるが、三箇所以上設けられ、楔が打ち込まれた箇所以外、例えばずれが底壁にもある場合、該底壁の鉤部にも楔が打ち込まれ、底壁でのずれが解消される。以上のようにして継ぎ目でのずれが解消されることにより、継ぎ目へのシーリング材の充填によるシーリングが容易かつ確実に行われ、ずれによる外観不良を防ぐこともできる。
【0010】
請求項2に係る発明によると、水路部の継ぎ目には継ぎプレートが当てがわれるが、楔が継ぎプレートに重ねて打ち込まれることにより継ぎプレートが固定され、水路部より離脱したり、剥離するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】橋梁の地覆に設置される排水溝ユニットの従来例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の排水溝ユニットの接続構造について図面により説明する。
図2は、本実施形態の排水溝ユニット11の斜視図、
図3は同側面図、
図4は排水溝ユニット11を構成する水路部12の要部を示すもので、水路部12は、背丈の低い前壁部13と、背丈の高い後壁部14と、これら前後の壁部13及び14を連結する底壁15より構成されて断面略J形をなし、前記水路部12と共に排水溝ユニット11を構成する蓋部17は、図示しない水を通す多数の透孔を備えた水平部18と、斜め上向きに傾斜する傾斜部19と、水平部18下に下向きに固着される脚部20よりなり、蓋部17は、該脚部20を水路部12の底壁15に着床させ、かつ傾斜部上端を後壁部14に寄り掛からせて水路部上に被せられるようになっている。水路部12にはまた、後壁部14後面(
図2及び
図3の右側面)の多数の箇所に突片21が突設され、各突片21にはL形のアンカー22が差込んで取り付けられている。これら各アンカー22は水路部12を固定するためのもので、前記後壁部14より突出し、
図1に示すコンクリート製の縁石8に埋設されるようになっている。
【0013】
水路部12を構成する後壁部14より突設される突片21のうち、左右両側縁の上側に位置する突片は上面視で左右が逆向きのL形をなして後壁部側縁との間に一定の隙間23を存し、該隙間23は開口が水路部端側を向くようにして形成された鉤部24となっている(
図5)。この鉤部24は
図3に示すように、前壁部13前面の左右両側縁にも設けられている。これ以外に底壁15の底面の左右両側縁に設けてもよい。
【0014】
水路部12にはまた、左右の両側縁のうちの一方の側縁(
図2においては左側の側縁)に該側縁と同形の略J形をなす鋼製の継ぎプレート26の一側縁が溶接にて取付けられ、鉤部24の隙間23に通されている。
【0015】
排水溝ユニット11の水路部12を例えば橋梁の地覆に沿って並べ、隣接する水路部12を接続するときには、水路部12の一側縁を水路部端が突き合うようにして継ぎプレート26に嵌着する。
図6は、継ぎプレート26への嵌着により水路部12が接続された状態を示す。
【0016】
水路部12を継ぎプレート26に嵌着した状態において、例えば
図5に示すように後壁部の継ぎ目に段差によるずれを生ずるときには、
図3に示す前壁部13の鉤部間の隙間23に楔27を継ぎプレート26に重ねて差込み、上方より図示しない金具を当て、金槌等の工具を用いて打ち込み、水路部12の前壁部13を固定する。次に後壁部14の鉤部間の隙間23に楔27を継ぎプレート25に重ねて同様に
図7の矢印方向に打ち込む。すると、後壁部14の倒れが矯正され、段差によるずれが解消される。
図8はずれが解消された状態を示し、このずれは楔27を抜かない限り、復元されることはない。
【0017】
地覆に沿って並べた水路部12を前述するようにして接続した後、
図1に示す縁石8がコンクリート打ちにより形成され、アンカー22により水路部12の固定が行われる。そして縁石8の形成に前後して蓋部17が被せられる。
【0018】
前記実施形態では、継ぎプレート26が鋼製で、その一側縁が水路部12の側縁に溶接にて固着されているが、別の実施形態では継ぎプレート26が樹脂又はゴム製で、水路部側縁と同形の略J形に成形されるか、或いはテープ状をなし、水路部側縁に沿わせて取付ける。いずれの場合でも継ぎプレート26は水路部側縁に固定されていないため、一部又は全体が水路部側縁より離脱したり、剥離するおそれがあるが、楔27を継ぎプレート26に重ねて打ち込むことに固定され、前述する離脱や剥離を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0019】
11・・排水溝ユニット
12・・水路部
13・・前壁部
14・・後壁部
15・・底部
17・・蓋部
18・・水平部
19・・傾斜部
20・・脚部
21・・突片
22・・アンカー
23・・隙間
24・・鉤部
26・・継ぎプレート
27・・楔