特許第6263094号(P6263094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263094連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージ及び芯出し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263094
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージ及び芯出し方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/12 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   B22D11/12 D
   B22D11/12 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-134456(P2014-134456)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-10814(P2016-10814A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】田窪 将也
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−081252(JP,A)
【文献】 実開昭56−060569(JP,U)
【文献】 特開昭52−128172(JP,A)
【文献】 特開2000−329501(JP,A)
【文献】 特開平11−170019(JP,A)
【文献】 特開平07−241656(JP,A)
【文献】 特開2012−218062(JP,A)
【文献】 特開2007−160341(JP,A)
【文献】 実開昭57−141856(JP,U)
【文献】 特開平09−225608(JP,A)
【文献】 実開昭48−036140(JP,U)
【文献】 特開2014−036975(JP,A)
【文献】 特開平07−225101(JP,A)
【文献】 特開平06−246413(JP,A)
【文献】 特開昭52−088539(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0192790(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造設備における連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージであって、
該芯出し用ゲージは硬質材料製の細長い平板よりなり、
記平板の長手方向下縁の長さは前記連続鋳片加熱装置の下方にある2つのロールの中心間隔より長く、
前記下縁の形状は円弧状であり、
前記平板の一方の端部の下縁部側には、下方に延びる延出部が設けられており、
前記延出部を前記2つのロールのうちの一方のロールに引っ掛けて前記平板を前記2つのロールの上に渡した時、前記下縁の円弧の中心と前記連続鋳片加熱装置の下方における鋳片下面の円弧の中心が一致するようになっているとともに、
前記下縁の円弧の半径と前記鋳片下面の円弧の半径が同じ長さである
ことを特徴とする連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージ。
【請求項2】
前記平板には、複数の四角い穴が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージ。
【請求項3】
前記平板には、幅方向に延びる金属板が取り付けてある
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージ。
【請求項4】
硬質材料製の細長い平板よりなり、
前記平板の長手方向下縁の長さは連続鋳片加熱装置の下方にある2つのロールの中心間隔より長く、
前記下縁の形状は円弧状であり、
前記平板を前記2つのロールの上に渡した時、前記下縁の円弧の中心と前記連続鋳片加熱装置の下方における鋳片下面の円弧の中心が一致するようになっているとともに、
前記下縁の円弧の半径と前記鋳片下面の円弧の半径が同じ長さである芯出し用ゲージを使用する連続鋳片加熱装置の芯出し方法であって、
前記平板を前記2つのロールの上に渡し、
前記下縁の複数箇所において各箇所と前記連続鋳片加熱装置との距離を計測し、
計測された複数の距離に基づいて前記連続鋳片加熱装置の位置を調整する
ことを特徴とする連続鋳片加熱装置の芯出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージ及び芯出し方法に関するものであり、特に、実際のオンライン上で鋳片コーナー部が通る位置を正確に再現し、それに基づいて連続鋳片加熱装置の位置を調整するためのゲージ及びそのゲージを用いて連続鋳片加熱装置の位置を調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1(特開2012−218062号公報)に記載されているように、連続鋳造設備の矯正帯において、鋳片コーナー部の割れを防止するため、矯正帯の上流側で鋳片コーナー部を加熱する連続鋳片加熱装置が提案されている。この装置は誘導加熱コイルをライン上の鋳片上方に設置して、鋳片コーナー部を曲げ矯正帯の手前で加熱することにより、コーナー割れを低減させるものである。
【0003】
誘導加熱コイルを用いた連続鋳片加熱装置は、鋳片と連続鋳片加熱装置の相対的な距離によって加熱量が決まる。よって、連続鋳片加熱装置を正しい位置に据え付けないと加熱不足や過剰加熱となるため、連続鋳片加熱装置の位置決めは非常に重要であり、高品質な鋳片を安定して鋳造するためには、連続鋳片加熱装置を鋳片の厚さ方向に対して例えば±数mm以内の精度で据え付ける必要がある。
従来、連続鋳片加熱装置の位置決めは、オフラインで図面寸法に合わせた芯出しを行い、高さと鋳造方向の位置合わせをしてから据え付けるという方法をとっていた。
しかし、この方法では、ロールの摩耗による鋳片の位置の変化や連続鋳片加熱装置の据え付け精度による誤差を、芯出し後に調整することが困難であるため、必要な精度で連続鋳片加熱装置を位置決めすることが難しいという問題がある。
【0004】
そして、従来から知られている連続鋳造設備のロール芯出しを行うためのR芯出し測定治具(以下「治具」という。)を使って連続鋳片加熱装置の位置決めをしようとすると、治具のサイズが長さ約5m、高さ約25cm、重さ約200kgと大きいため、連続鋳片加熱装置1の周囲にある支持フレーム2と干渉し、治具を連続鋳片加熱装置1とロール3、4の間に直接セットすることが難しい。
また、ロール3、4の下方からの治具取り込みも、ロール3、4の近くにダミーバーガイドレール5が設置されているため困難である。
したがって、治具を連続鋳片加熱装置1とロール3、4の間にセットするには、上流側のモールド位置(図1における左側)で治具を挿入し、下流側に移動させるという大掛かりな作業が必要となる。
【0005】
このように、連続鋳片加熱装置の位置決め精度を高くすることは難しく、高い精度を出そうとすると、芯出し作業に多くの時間や人手がかかるという問題があった。
また、このような芯出し作業は連続鋳片加熱装置を交換する度(3〜4回/年)に毎回又は摩耗したロールに連続鋳片加熱装置の据付位置を追随させるために定期的(1〜2回/年)に必要であり、作業性の改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−218062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は上記の問題点を解決し、連続鋳造設備における連続鋳片加熱装置の位置決め精度を高くするとともに、作業性を改善するための装置を提供すること及びその装置を用いて連続鋳片加熱装置の位置を調整する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージは、硬質材料製の細長い平板よりなり、前記平板の長手方向下縁の長さは前記連続鋳片加熱装置の下方にある2つのロールの中心間隔より長く、前記下縁の形状は円弧状であり、前記平板の一方の端部の下縁部側には、下方に延びる延出部が設けられており、前記延出部を前記2つのロールのうちの一方のロールに引っ掛けて前記平板を前記2つのロールの上に渡した時、前記下縁の円弧の中心と前記連続鋳片加熱装置の下方における鋳片下面の円弧の中心が一致するようになっているとともに、前記下縁の円弧の半径と前記鋳片下面の円弧の半径が同じ長さであることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明の連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージは、請求項1に記載の連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージにおいて、前記平板には、複数の四角い穴が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明の連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージは、請求項1又は2に記載の連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージにおいて、前記平板には、幅方向に延びる金属板が取り付けてあることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、硬質材料製の細長い平板よりなり、前記平板の長手方向下縁の長さは連続鋳片加熱装置の下方にある2つのロールの中心間隔より長く、前記下縁の形状は円弧状であり、前記平板を前記2つのロールの上に渡した時、前記下縁の円弧の中心と前記連続鋳片加熱装置の下方における鋳片下面の円弧の中心が一致するようになっているとともに、前記下縁の円弧の半径と前記鋳片下面の円弧の半径が同じ長さである芯出し用ゲージを使用する連続鋳片加熱装置の芯出し方法であって、前記平板を前記2つのロールの上に渡し、前記下縁の複数箇所において各箇所と前記連続鋳片加熱装置との距離を計測し、計測された複数の距離に基づいて前記連続鋳片加熱装置の位置を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージによれば、連続鋳片加熱装置1の下方にある2つのロール3、4の上に渡し、延出部17をロール3に引っ掛けるだけで、芯出し用ゲージの下縁の円弧と連続鋳片加熱装置1の下方を通過する時における鋳片下面の円弧がほぼ一致する状態となるので、下縁の複数箇所において各箇所と連続鋳片加熱装置1との距離を計測し、計測された複数の距離に基づいて連続鋳片加熱装置1の位置を正確に調整することができる。
また、芯出し用ゲージの長さが比較的短く、重量もそれほど重くないため、手軽にオンラインで連続鋳片加熱装置1の芯出しを行うことができるので、ロール3、4の摩耗による鋳片の位置の変化にも追随でき、連続鋳片加熱装置の位置決めを随時高い精度で行うことができる。
そのため、高品質な鋳片を安定して鋳造することができる。
【0013】
請求項2に係る発明の連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージによれば、請求項1に係る発明による効果に加えて、平板7には、複数の四角い穴10が設けられているので、全体の重量が軽くなるとともに、四角い穴10が手がかりとなって作業性を良くすることができる。
【0014】
請求項3に係る発明の連続鋳片加熱装置の芯出し用ゲージによれば、請求項1又は2に係る発明による効果に加えて、平板7には、幅方向に延びる金属板11が取り付けてあるので、芯出し用ゲージ6の下縁9と連続鋳片加熱装置1の距離を計測する時に計測位置の目安となる
【0015】
請求項4に係る発明の連続鋳片加熱装置の芯出し用方法によれば、硬質材料製の細長い平板7よりなり、平板7の長手方向下縁の長さは連続鋳片加熱装置1の下方にある2つのロール3、4の中心間隔より長く、下縁の形状は円弧状であり、平板7を2つのロールの上に渡した時、下縁の円弧の中心と連続鋳片加熱装置1の下方における鋳片下面の円弧の中心が一致するようになっているとともに、下縁の円弧の半径と鋳片下面の円弧の半径が同じ長さである芯出し用ゲージを使用することによって、連続鋳片加熱装置1を精度良く位置決めすることができるので、鋳片を適正に加熱することができ、鋳片コーナー部の割れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】連続鋳造設備における連続鋳片加熱装置1が設けてある付近の側面図。
図2】連続鋳造設備における連続鋳片加熱装置1が設けてある付近の正面断面図。
図3】実施例1の芯出し用ゲージの平面図。
図4】実施例1の芯出し用ゲージのA−A線断面図。
図5】実施例1の芯出し用ゲージをロール3、4の上に渡した状態を示す図。
図6】実施例2の芯出し用ゲージの概略を示す平面図。
図7】実施例3の芯出し用ゲージを短く重ね合わせた状態の概略を示す斜視図。
図8】実施例3の芯出し用ゲージを長手方向に摺動させる状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0018】
実施例1の芯出し用ゲージ6は、図3の平面図に示すように、その本体部は長さ約2.4m、幅約20cm、厚さ約3mmの金属製の細長い平板7である。
細長い平板7の下縁9は、連続鋳片加熱装置1の下方を鋳片が通過する時における鋳片下面の曲面の曲率半径と同じ半径10数mの円弧状となっており、細長い平板7の上縁8は、その半径が下縁9の半径から細長い平板7の幅を引いた長さの円弧状となっている。
また、図3の平面図及び図4のA−A線断面図に示すように、細長い平板7の4箇所には、長さ約30cm、幅約10cmの四角い穴10が開けてあるとともに、各穴10の両側に細長い平板7の幅方向に延びる長さ約16cm、幅約3cm、厚さ約3mmの金属板11が取り付けてある。
なお、4つの四角い穴10は、全体の重量を軽くするとともに(約10kg)、手がかりとなって作業性を良くするために設けられており、金属板11は、芯出し用ゲージ6の下縁9と連続鋳片加熱装置1の距離を計測する時に計測位置の目安となるように設けられている。
【0019】
実施例1の芯出し用ゲージ6を使用する連続鋳片加熱装置1の位置決めは、以下の手順により行う。
(1)図5に示すように、芯出し用ゲージ6を連続鋳片加熱装置1と2つのロール3、4の間に挿入する。
(2)芯出し用ゲージ6を2つのロール3、4の上に渡して、芯出し用ゲージ6の所定位置(左端、右端、四角い穴10の左側か右側及び金属板11のいずれかの位置)を、連続鋳片加熱装置1の所定位置(左端、右端、中央等適宜の位置)に合わせる。
(3)連続鋳片加熱装置1の下面と芯出し用ゲージ6の下縁9との距離を複数箇所、例えば、左端、右端及び中央で計測する。
なお、連続鋳片加熱装置1は、80cm程度の幅を有しているので、少なくとも図2における右寄りの位置及び左寄りの位置において計測する。
(4)複数箇所における距離の計測結果に基づいて、連続鋳片加熱装置1を位置決めする。
【実施例2】
【0020】
実施例2の芯出し用ゲージ12は、図6の平面図に示すように、その本体部は長さ約1.3m、幅約20cm、厚さ約3mmの金属製の2枚の平板13、14からなり、平板13の右端部には4つの穴15、平板14の左端部には4つの穴16が設けられ、それらを重ね合わせた上で、4組のボルト及びナットを用いて固定できるようになっている。
そして、平板13、14の上縁及び下縁は、それらを4組のボルト及びナットで固定した状態において、実施例1の細長い平板7の上縁8及び下縁9と同様の円弧状となる。
また、平板13の左端部には、下縁部側に長さ10cm、幅5cm程度の延出部17が設けられており、平板13を連続鋳片加熱装置1とロール3の間に挿入した後、その延出部17をロール3に引っ掛けて右側に移動しないようにすることができる。
なお、2枚の平板13、14には、図示してはいないが実施例1の芯出し用ゲージ6と同様に、適宜の位置に四角い穴10が開けてあるとともに、各穴10の両側に平板13、14の幅方向に延びる金属板11が取り付けてある。
【0021】
実施例2の芯出し用ゲージ12を使用する連続鋳片加熱装置1の位置決めは、以下(1)〜(4)の手順により行う。
(1)平板13を連続鋳片加熱装置1とロール3の間に挿入し、平板14を連続鋳片加熱装置1とロール4の間に挿入する。
(2)平板13の延出部17をロール3に引っ掛けるとともに平板14をロール4の上に載せ、平板13の4つの穴15と平板14の4つの穴を重ね合わせて4組のボルト及びナットを用いて固定する。
なお、平板13、14を固定することで、芯出し用ゲージ12と連続鋳片加熱装置1との左右方向は位置決めされる。
(3)連続鋳片加熱装置1の下面と芯出し用ゲージ12の下縁との距離を、実施例1と同様に複数箇所において計測する。
(4)複数箇所における距離の計測結果に基づいて、連続鋳片加熱装置1を位置決めする。
【実施例3】
【0022】
実施例3の芯出し用ゲージ18は、図7及び図8の斜視図に示すように、その本体部は長さ約80cm、幅約20cm、厚さ約3mmの金属製の3枚の摺動板19、20、21からなっている。
また、摺動板19、20の一方の面には、それぞれ上縁及び下縁の近傍に左端部から右端部近傍にかけて連続する断面が台形状の2本の真っ直ぐなアリ溝22、23が設けられ、摺動板20、21の他方の面の左端部近傍には、図示してはいないが、それぞれアリ溝22、23の左端部から挿入でき、挿入後はアリ溝22、23から直接はずれることのない形状の2つの突起が設けられている。
したがって、摺動板20、21の突起をアリ溝22、23の左端部から挿入すれば、図7のように3枚の摺動板19、20、21が重なった状態となり、その後図8のように摺動板20、21を、それぞれ摺動板19、20に対して右側に摺動させることで、長さ約2.4mに伸ばすことができる。
そして、摺動板19、20の右端部にはアリ溝22、23を設けていないため、摺動板20、21を右側に摺動させていくと、アリ溝22、23の右端まできたところで突起が突き当たり、それ以上摺動することはない。
さらに、3枚の摺動板19、20、21の上縁及び下縁は、それらをいっぱいに伸ばした状態において、実施例1の細長い平板7の上縁8及び下縁9と同様の円弧状となる。
なお、3枚の摺動板19、20、21には、図示してはいないが実施例1の芯出し用ゲージ6と同様に、適宜の位置に四角い穴10が開けてある。ただし、四角い穴10の両側に金属板11は取り付けていない。
【0023】
実施例3の芯出し用ゲージ18を使用する連続鋳片加熱装置1の位置決めは、以下(1)〜(5)の手順により行う。
(1)図7のように、3枚の摺動板19、20、21が重なった状態で、連続鋳片加熱装置1とロール3、4の間に挿入する。
(2)図8のように、摺動板20、21をそれぞれ摺動板19、20に対して右側に摺動させ、芯出し用ゲージ18を2つのロール3、4の上に渡す。
(3)実施例1と同様に、芯出し用ゲージ18の所定位置を、連続鋳片加熱装置1の所定位置に合わせる。
(4)連続鋳片加熱装置1の下面と芯出し用ゲージ18の下縁との距離を、実施例1と同様に複数箇所において計測する。
(5)複数箇所における距離の計測結果に基づいて、連続鋳片加熱装置1を位置決めする。
【0024】
実施例1〜3の変形例を列記する。
(1)実施例1〜3においては、芯出し用ゲージの上縁及び下縁ともに円弧状となっているが、上縁は円弧状でなくても良く、直線状や波線状であっても良い。
(2)実施例1〜3の芯出し用ゲージは金属製であったが、硬質の材料であれば樹脂製やセラミック製等どのようなものであっても良い。
また、金属製であればアルミニウム、チタン、軽合金、樹脂製であればFRP等の軽くて強度のある材料の方が作業性の面でより良い。
(3)実施例1〜3の説明に芯出し用ゲージ6、12及び18のおおよその寸法を記載してあるが、芯出しゲージ6、12及び18の寸法は、2つのロールの中心間隔や連続鋳造設備全体の大きさ等に応じて適宜決定される。
(4)実施例1及び3の芯出し用ゲージには、実施例2の芯出し用ゲージに設けてある上流側のロール3に引っ掛かる延出部17のようなものを設けていないが、同様の延出部を設けても良い。
(5)実施例2では2枚の平板13、14を用い、実施例3では3枚の摺動板19、20、21を用いたが、枚数は2枚や3枚に限らず、それぞれの実施例で複数枚の平板や摺動板を用いることが可能である。
(6)実施例2の平板13、14には、それぞれ4つの穴15、16が開けてあるが、2つ又は3つの穴としても良い。
また、いずれか一方の平板の穴をねじ穴とし、ねじを締め付けることによって2枚の平板13、14を固定するようにしても良い。
また、ボルト及びナット又はねじで固定するのに代えて、端部同士をヒンジや柔軟性のあるテープによって折り畳み可能に接続するようにしても良い。
そうした場合、2枚の平板13、14を折り畳んだ状態で、連続鋳片加熱装置1とロール3、4の間に挿入し、その後2枚の平板13、14をまっすぐに伸ばした状態として、2つのロール3、4の上に渡すこととなる。
(7)実施例3においては、3枚の摺動板19、20、21を、2本の真っ直ぐなアリ溝22、23と2つの突起を用いて、相互に摺動できるようにしたが、1本のアリ溝と1つの突起を用いて摺動させることも可能である。
さらに、摺動機構としてはアリ溝と突起に限らずどのような機構を用いても良い。
例えば、コの字状の板を摺動可能に入れ子状に組み合わせる機構や板の下縁を保持するレールを平行に設け各レール上で板が摺動する機構等が挙げられる。
【符号の説明】
【0025】
1 連続鋳片加熱装置 2 支持フレーム
3、4 ロール 5 ダミーバーガイドレール
6 実施例1の芯出し用ゲージ 7 細長い平板
8 上縁 9 下縁 10 四角い穴 11 金属板
12 実施例2の芯出し用ゲージ 13、14 平板
15、16 穴 17 延出部
18 実施例3の芯出し用ゲージ 19、20、21 摺動板
22、23 アリ溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8