特許第6263118号(P6263118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263118有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263118
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/40 20060101AFI20180104BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20180104BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20180104BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   H01L29/28 310J
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 250H
   H01L29/78 618B
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-521272(P2014-521272)
(86)(22)【出願日】2013年6月3日
(86)【国際出願番号】JP2013065356
(87)【国際公開番号】WO2013187275
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年3月10日
(31)【優先権主張番号】特願2012-132904(P2012-132904)
(32)【優先日】2012年6月12日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-230693(P2012-230693)
(32)【優先日】2012年10月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100101362
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 幸久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽二
(72)【発明者】
【氏名】横尾 健
(72)【発明者】
【氏名】赤井 泰之
【審査官】 川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−248948(JP,A)
【文献】 特開2005−216966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 27/28
H01L 29/786
H01L 51/00
H01L 51/05−51/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機半導体材料溶解用の溶剤又は溶剤組成物であって、下記式(A)
【化1】
(式中、R1〜R4は同一又は異なって、C1-2のアルキル基である。R1とR4は互いに結合して式中の−N(R2)−C(=O)−N(R3)−と共に環を形成していてもよい)
で表される溶剤Aを含み、前記有機半導体材料が、下記式(1)、下記式(2)、下記式(3)、及び下記式(4)
【化2】
(式(1)中、R11、R12は同一又は異なって、水素原子、又は置換基を有していてもよいシリルエチニル基を示す。式(2)中、R13、R14、R15、R16は置換基を有していてもよいフェニル基を示す、又はR13とR14、及び/又はR15とR16が互いに結合してジスルフィド結合、若しくはイミド結合を形成する。式(3)中、R17、R18は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいチオフェニル基を示す。式(4)中、R19、R20は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいチオフェニル基を示す)
で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物である有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物。
【請求項2】
溶剤Aが1,1,3,3−テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及び1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノンから選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物。
【請求項3】
有機半導体材料と、有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物とを含む有機トランジスタ製造用組成物であって、
前記有機半導体材料が、下記式(1)、下記式(2)、下記式(3)、及び下記式(4)
【化3】
(式(1)中、R11、R12は同一又は異なって、水素原子、又は置換基を有していてもよいシリルエチニル基を示す。式(2)中、R13、R14、R15、R16は置換基を有していてもよいフェニル基を示す、又はR13とR14、及び/又はR15とR16が互いに結合してジスルフィド結合、若しくはイミド結合を形成する。式(3)中、R17、R18は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいチオフェニル基を示す。式(4)中、R19、R20は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいチオフェニル基を示す)
で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物が、下記式(A)
【化4】
(式中、R1〜R4は同一又は異なって、C1-2のアルキル基である。R1とR4は互いに結合して式中の−N(R2)−C(=O)−N(R3)−と共に環を形成していてもよい)
で表される溶剤Aを含む有機トランジスタ製造用組成物。
【請求項4】
溶剤Aが1,1,3,3−テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及び1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノンから選択される少なくとも1種を含む請求項3に記載の有機トランジスタ製造用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体材料の溶解性に優れた有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物、及び該有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物と有機半導体材料を含む有機トランジスタ製造用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタはディスプレイやコンピュータ機器を構成する重要な半導体電子デバイスとして広く活用されており、現在、ポリシリコンやアモルファスシリコン等の無機物を半導体材料に用いて製造されている。このような無機物を用いた薄膜トランジスタの製造においては、真空プロセスや高温プロセスを必要とし、製造コストが嵩むことが問題であった。また、高温プロセスを含むため使用できる基板に制限があり、例えばガラス基板等が主に使用されてきた。しかし、ガラス基板は耐熱性は高いが衝撃に弱く軽量化が困難であり、柔軟性に乏しいためフレキシブルなトランジスタを形成することは困難であった。
【0003】
そこで、近年、有機半導体材料を利用した有機電子デバイスに関する研究開発が盛んに行われている。有機半導体材料は、印刷法、スピンコート法等のウェットプロセスによる簡便な方法で容易に薄膜形成が可能であり、従来の無機半導体材料を利用したトランジスタと比較し、製造プロセス温度を低温化できるという利点がある。これにより、一般に耐熱性の低いプラスチック基板上への形成が可能となり、ディスプレイ等のエレクトロニクスデバイスの軽量化や低コスト化が実現できるとともに、プラスチック基板のフレキシビリティーを活かした用途等、多様な展開が期待できる。
【0004】
有機半導体材料としては、例えばペンタセン等の低分子の半導体材料を使用することにより高い半導体デバイス性能を発現することが知られている。しかし、ペンタセンに代表される無置換のアセン系化合物の多くはπ共役系による強い分子間相互作用により溶剤への溶解性が乏しい。その為、濃度が高い有機トランジスタ製造用組成物を調整することができず、印刷法で形成された有機半導体は結晶グレインが小さくなり高い電圧をかけないと通電しない、さらには高い電圧をかけると絶縁膜が剥れる等の問題があった。
【0005】
上記問題を解決する方法として、非特許文献1では有機半導体材料としてアセン系化合物に溶解性付与のための置換基を付与した化合物を使用することが記載されている。しかし、前記置換基を有するアセン系化合物の多くは無置換のアセン系化合物に比べ、電荷移動度が低いことが問題であった。
【0006】
また、特許文献1、2では有機半導体材料の溶解性に優れた1,2,4−トリクロロベンゼンに代表されるハロゲン化アリールやテトラリン等の溶剤を使用して加熱溶解することが記載されている。しかし、難溶解性の有機半導体材料の溶解には高温での加熱溶解が必要であり、その後の塗布プロセスにおいて冷却により有機半導体材料が析出することが問題となった。さらに、ハロゲン化アリールは生態毒性の懸念があり、作業安全上の問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−294704号公報
【特許文献2】特開2010−093092号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 2005, 127 (14), pp 4986-4987
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、有機半導体材料の溶解性に優れ、結晶性が高い有機トランジスタを形成することができる有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物を含む有機トランジスタ製造用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の溶剤又は溶剤組成物を用いると、比較的低温でも高い有機半導体材料溶解性を実現でき、ガラス基板に比べて耐熱性の低いプラスチック基板上にも印刷法により有機トランジスタを形成することができることを見いだした。また、前記溶剤を含有する有機トランジスタ製造用組成物は、基板上に塗布されると有機半導体材料が自己組織化作用により結晶化することを見いだした。更に、必要に応じて、前記溶剤に一般的に電子材料用途に使用される溶剤を混合すると、塗布性、乾燥性をさらに向上し得ることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0011】
すなわち、本発明は有機半導体材料溶解用の溶剤又は溶剤組成物であって、下記式(A)で表される溶剤Aを含む有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物を提供する。
【0012】
【化1】
(式中、R1〜R4は同一又は異なって、C1-2のアルキル基である。R1とR4は互いに結合して式中の−N(R2)−C(=O)−N(R3)−と共に環を形成していてもよい)
【0013】
前記溶剤Aには、1,1,3,3−テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及び1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0014】
前記有機半導体材料としては、下記式(1)、下記式(2)、下記式(3)、及び下記式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。式(1)中、R11、R12は同一又は異なって、水素原子、又は置換基を有していてもよいシリルエチニル基を示す。式(2)中、R13、R14、R15、R16は置換基を有していてもよいフェニル基を示す、又はR13とR14、及び/又はR15とR16が互いに結合してジスルフィド結合、若しくはイミド結合を形成する。式(3)中、R17、R18は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいチオフェニル基を示す。式(4)中、R19、R20は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいチオフェニル基を示す。
【0015】
【化2】
【0016】
本発明は、また、有機半導体材料と、前記有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物とを含む有機トランジスタ製造用組成物を提供する。
【0017】
前記有機半導体材料としては、下記式(1)、下記式(2)、下記式(3)、及び下記式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。式(1)中、R11、R12は同一又は異なって、水素原子、又は置換基を有していてもよいシリルエチニル基を示す。式(2)中、R13、R14、R15、R16は置換基を有していてもよいフェニル基を示す、又はR13とR14、及び/又はR15とR16が互いに結合してジスルフィド結合、若しくはイミド結合を形成する。式(3)中、R17、R18は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいチオフェニル基を示す。式(4)中、R19、R20は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいチオフェニル基を示す。
【0018】
【化3】
【発明の効果】
【0019】
本発明の有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物は、比較的低温でも高い有機半導体材料溶解性を有する。そのため、耐熱性は高いが衝撃に弱く、軽量化が困難であり、柔軟性に乏しいガラス基板に比べ、耐熱性は低いが、衝撃に強く、軽量且つフレキシブルなプラスチック基板等にも有機トランジスタを直接形成することができ、衝撃に強く、軽量且つフレキシブルなディスプレイやコンピュータ機器を形成することができる。また、印刷法、スピンコート法等のウェットプロセスによる簡便な方法で容易に有機トランジスタの製造が可能であり、コストの大幅な削減が可能である。
そして、本発明の有機トランジスタ製造用組成物は基板上に塗布されると有機半導体材料が自己組織化作用により結晶化して、高い結晶性を有する有機トランジスタが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物]
本発明の有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物は、有機半導体材料溶解用の溶剤又は溶剤組成物であって、上記式(A)で表される溶剤Aを含むことを特徴とする。
【0021】
(溶剤A)
本発明の溶剤Aは、上記式(A)で表される。式(A)中、R1〜R4は同一又は異なって、C1-2のアルキル基である。R1とR4は互いに結合して式中の−N(R2)−C(=O)−N(R3)−と共に環を形成していてもよい。
【0022】
1〜R4におけるC1-2のアルキル基は、メチル基又はエチル基である。
【0023】
1とR4が互いに結合して式中の−N(R2)−C(=O)−N(R3)−と共に形成する環としては、例えば、2−イミダゾリジノン環、3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン環等を挙げることができる。
【0024】
本発明の溶剤Aとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチル尿素、1,1,3,3−テトラエチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン等を挙げることができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、なかでも、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,1,3,3−テトラメチル尿素、及び1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノンから選択される少なくとも1種の化合物が、有機半導体材料の溶解性に優れる点で好ましい。特に、有機半導体材料として上記式(2)で表される化合物(なかでも式(2-1)で表される化合物)を溶解する場合は、溶剤Aとして1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン又は1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノンを少なくとも含有することが好ましい。
【0025】
有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物中(100重量%)における溶剤Aの含有量(2種以上を組み合わせて含有する場合はその総量)は、50重量%以上(例えば50〜100重量%)が好ましく、70重量%以上(例えば70〜100重量%)が特に好ましい。溶剤Aの含有量が上記範囲を下回ると、有機半導体材料の溶解性が低下する傾向がある。
【0026】
(溶剤B)
本発明の有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物は、上記溶剤A以外にも、一般的に電子材料用途に使用される溶剤であって、上記溶剤Aと相溶する溶剤(=溶剤B)を併用してもよい。
【0027】
溶剤Bとしては、例えば、(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、(モノ、ジ)アルキレングリコールジアルキルエーテル、(モノ、ジ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート、(モノ、ジ)アルキレングリコールジアセテート、(シクロ)アルキルアセテート、C3-6アルコール、C3-6アルカンジオール、C3-6アルカンジオールモノアルキルエーテル、C3-6アルカンジオールアルキルエーテルアセテート、C3-6アルカンジオールジアセテート、グリセリントリアセテート、ヒドロキシカルボン酸エステル、ヒドロキシカルボン酸ジエステル、アルコキシカルボン酸エステル、環状ケトン、ラクトン、環状エーテル、アミド類、ピリジン類、芳香族アセテート、アミン類等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
前記(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等を挙げることができる。
【0029】
前記(モノ、ジ)アルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル等を挙げることができる。
【0030】
前記(モノ、ジ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
【0031】
前記(モノ、ジ)アルキレングリコールジアセテートとしては、例えば、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート等を挙げることができる。
【0032】
前記(シクロ)アルキルアセテート[=アルキルアセテート又はシクロアルキルアセテート]としては、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート等を挙げることができる。
【0033】
前記C3-6アルコールとしては、例えば、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、2−ヘキシルアルコール等を挙げることができる。
【0034】
前記C3-6アルカンジオールとしては、例えば、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を挙げることができる。
【0035】
前記C3-6アルカンジオールモノアルキルエーテルとしては、例えば、3−メトキシブタノール等を挙げることができる。
【0036】
前記C3-6アルカンジオールアルキルエーテルアセテートとしては、例えば、3−メトキシブタノールアセテート等を挙げることができる。
【0037】
前記C3-6アルカンジオールジアセテートとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等を挙げることができる。
【0038】
前記ヒドロキシカルボン酸エステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル等を挙げることができる。
【0039】
前記ヒドロキシカルボン酸ジエステルとしては、例えば、乳酸メチルアセテート、乳酸エチルアセテート等を挙げることができる。
【0040】
前記アルコキシカルボン酸エステルとしては、例えば、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等を挙げることができる。
【0041】
前記環状ケトンとしては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、4−ケトイソホロン等を挙げることができる。
【0042】
前記ラクトン類としては、例えば、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
【0043】
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアセテート等を挙げることができる。
【0044】
前記アミド類としては、例えば、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
【0045】
前記ピリジン類としては、例えば、ピリジン、メチルピリジン等を挙げることができる。
【0046】
前記芳香族アセテートとしては、例えば、酢酸フェニル等を挙げることができる。
【0047】
前記アミン類としては、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン等を挙げることができる。
【0048】
本発明では、上記溶剤Aと溶剤Bを併用することにより、有機半導体材料を高濃度に含有し、且つ、塗布性、乾燥性、安全性、分散性、溶解性等に優れる有機トランジスタ製造用組成物を形成することができる。
【0049】
塗布性をより向上するためには、前記(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、(モノ、ジ)アルキレングリコールジアルキルエーテル、(モノ、ジ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート、(モノ、ジ)アルキレングリコールジアセテート、及びアルコキシカルボン酸エステルから選択される溶剤を1種又は2種以上併用することが効果的である。
【0050】
顔料分散性をより向上するためには、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のモノC3-6アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート、及びC3-6アルカンジオールアルキルエーテルアセテートから選択される溶剤を1種又は2種以上併用することが効果的である。
【0051】
染料溶解性をより向上するためには、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のモノC3-6アルキレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のモノC3-6アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート、C3-6アルカンジオールモノアルキルエーテル、C3-6アルカンジオールアルキルエーテルアセテート、ヒドロキシカルボン酸エステル、ヒドロキシカルボン酸ジエステル、C3-6アルコール、及びC3-6アルカンジオールから選択される溶剤を1種又は2種以上併用することが効果的である。
【0052】
エポキシ樹脂やアクリル樹脂の溶解性をより向上するためには、(モノ、ジ、トリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、(モノ、ジ)アルキレングリコールジアルキルエーテル、(モノ、ジ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート、(モノ、ジ)アルキレングリコールジアセテート、環状ケトン、ラクトン類、環状エーテル、アミド類、ピリジン類、芳香族アセテート、及びアミン類から選択される溶剤を1種又は2種以上併用することが効果的である。
【0053】
乾燥性をより向上するためには、プロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルn−ブチルエーテル等の(モノ、ジ)C3-6アルキレングリコールC1-2アルキルC3-4アルキルエーテル、及び(シクロ)アルキルアセテートから選択される溶剤を1種又は2種以上併用することが効果的である。
【0054】
溶剤Aと溶剤Bとを併用する場合、その混合比(前者/後者(重量比))は、例えば95/5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30である。溶剤Aに比べ溶剤Bの割合が多くなると、有機半導体材料の溶解性が低下する傾向がある。尚、溶剤Aとして2種類以上の溶剤を組み合わせて使用する場合の溶剤Aの使用量はその合計量である。溶剤Bについても同様である。
【0055】
本発明の有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物は溶剤Aを含有するため、比較的低温でも高い有機半導体材料溶解性を有する。例えば、100℃における前記式(1)で表される化合物の溶解度は、有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物100重量部に対して、例えば0.02重量部以上、好ましくは0.03重量部以上、特に好ましくは0.04重量部以上である。溶解度の上限は例えば5重量部、好ましくは2重量部、特に好ましくは1重量部である。
【0056】
また、100℃における前記式(2)で表される化合物の溶解度は、有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物100重量部に対して、例えば4.0重量部以上、好ましくは4.25重量部以上、特に好ましくは4.5重量部以上である。溶解度の上限は例えば8重量部、好ましくは7重量部、特に好ましくは6重量部である。
【0057】
また、100℃における前記式(3)で表される化合物の溶解度は、有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物100重量部に対して、例えば0.05重量部以上、好ましくは0.06重量部以上、特に好ましくは0.07重量部以上である。溶解度の上限は例えば0.5重量部、好ましくは0.2重量部、特に好ましくは0.1重量部である。
【0058】
また、100℃における前記式(4)で表される化合物の溶解度は、有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物100重量部に対して、例えば0.08重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、特に好ましくは0.3重量部以上である。溶解度の上限は例えば3重量部、好ましくは2重量部、特に好ましくは1重量部である。
【0059】
(有機半導体材料)
本発明の有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物は、有機半導体材料溶解用の溶剤又は溶剤組成物である。前記有機半導体材料としては特に限定されないが、本発明においては、前記式(1)、式(2)、式(3)、及び式(4)及びで表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0060】
前記式(1)中、R11、R12は同一又は異なって、水素原子、又は置換基を有していてもよいシリルエチニル基を示す。前記式(2)中、R13、R14、R15、R16は置換基を有していてもよいフェニル基を示す、又はR13とR14、及び/又はR15とR16が互いに結合してジスルフィド結合、若しくはイミド結合を形成する。前記式(3)中、R17、R18は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいチオフェニル基を示す。式(4)中、R19、R20は同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-18アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよいチオフェニル基を示す。
【0061】
前記R11、R12におけるシリルエチニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル基等の炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。
【0062】
前記R13、R14、R15、R16におけるフェニル基が有していてもよい置換基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル基等の炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。
【0063】
前記R17、R18、R19、R20におけるC1-18アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ミリスチル、ヘキシルデシル、オクチルデシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。C1-18アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、フェニル、ナフチル基等のC6-10アリール基を挙げることができる。フェニル基、ナフチル基、チオフェニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル等の炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。
【0064】
本発明の有機半導体材料としては、なかでも、下記式(1-1)、(2-1)、(2-2)、(2-3)、(3-1)、及び(4-1)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を使用することが、結晶グレインが大きな有機トランジスタが得られる点で好ましい。
【0065】
【化4】
【0066】
[有機トランジスタ製造用組成物]
本発明の有機トランジスタ製造用組成物は、上記有機半導体材料と、上記有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物とを含むことを特徴とする。
【0067】
本発明の有機トランジスタ製造用組成物は、例えば、上記有機半導体材料と、上記有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物とを混合し、窒素雰囲気下、遮光条件下で、70〜150℃程度の温度で0.1〜10時間程度加熱することにより調製することができる。
【0068】
本発明の有機トランジスタ製造用組成物中の有機半導体材料の含有量は、例えば、有機半導体材料として前記式(1)で表される化合物を使用する場合は、有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物100重量部に対して、例えば0.02重量部以上、好ましくは0.03重量部以上、特に好ましくは0.04重量部以上である。上限は、例えば5重量部、好ましくは2重量部、特に好ましくは1重量部である。
【0069】
有機半導体材料として前記式(2)で表される化合物を使用する場合は、有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物100重量部に対して、例えば0.01重量部以上、好ましくは0.02重量部以上、更に好ましくは0.2重量部以上、特に好ましくは2重量部以上、最も好ましくは4.5重量部以上である。上限は、例えば8重量部、好ましくは7重量部、特に好ましくは6重量部である。
【0070】
有機半導体材料として前記式(3)で表される化合物を使用する場合は、有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物100重量部に対して、例えば0.01重量部以上、好ましくは0.05重量部以上、特に好ましくは0.07重量部以上である。上限は、例えば0.5重量部、好ましくは0.2重量部、特に好ましくは0.1重量部である。
【0071】
有機半導体材料として前記式(4)で表される化合物を使用する場合は、有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物100重量部に対して、例えば0.08重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、特に好ましくは0.3重量部以上である。上限は、例えば3重量部、好ましくは2重量部、特に好ましくは1重量部である。
【0072】
本発明の有機トランジスタ製造用組成物中の有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物の含有量は、例えば99.99重量%以下である。その下限は、例えば92.00重量%、好ましくは95.00重量%、特に好ましくは95.50重量%であり、上限は、好ましくは99.98重量%、特に好ましくは99.96重量%である。
【0073】
本発明の有機トランジスタ製造用組成物に含まれる有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物量は、有機半導体材料の自己組織化作用による結晶化を促進することができる点で、有機半導体材料としての前記式(1)で表される化合物に対し、例えば20倍(重量)以上が好ましく、更に好ましくは25倍(重量)以上、特に好ましくは50倍(重量)以上、最も好ましくは100倍(重量)以上である。上限は、例えば5000倍(重量)、好ましくは3333倍(重量)、特に好ましくは2500倍(重量)である。
【0074】
有機半導体材料としての前記式(2)で表される化合物に対し、例えば12.5倍(重量)以上が好ましく、更に好ましくは14.3倍(重量)以上、特に好ましくは16.7倍(重量)以上である。上限は、例えば28.6倍(重量)、好ましくは25倍(重量)、特に好ましくは22.2倍(重量)である。
【0075】
有機半導体材料としての前記式(3)で表される化合物に対し、例えば200倍(重量)以上が好ましく、更に好ましくは500倍(重量)以上、特に好ましくは1000倍(重量)以上である。上限は、例えば2000倍(重量)、好ましくは1667倍(重量)、特に好ましくは1429倍(重量)である。
【0076】
有機半導体材料としての前記式(4)で表される化合物に対し、例えば32倍(重量)以上が好ましく、更に好ましくは49倍(重量)以上、特に好ましくは99倍(重量)以上である。上限は、例えば1249倍(重量)、好ましくは999倍(重量)、特に好ましくは332倍(重量)である。
【0077】
本発明の有機トランジスタ製造用組成物には、上記有機半導体材料と上記有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物以外にも、一般的な有機トランジスタ製造用組成物に含まれる他の成分(例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ブチラール樹脂等)を必要に応じて適宜配合することができる。
【0078】
本発明の有機トランジスタ製造用組成物は、比較的低温でも有機半導体材料を高濃度に溶解することができる。そのため、ガラス基板に比べて耐熱性は低いが、衝撃に強く、軽量且つフレキシブルなプラスチック基板にも有機トランジスタを直接形成することができ、衝撃に強く、軽量且つフレキシブルなディスプレイやコンピュータ機器を形成することができる。また、本発明の有機トランジスタ製造用組成物は本発明の有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物を含むため、基板上に塗布されると有機半導体材料が自己組織化作用により結晶化し、高い結晶性を有する有機トランジスタが得られる。更に、印刷法、スピンコート法等のウェットプロセスによる簡便な方法で容易に有機トランジスタの形成が可能であり、コストの大幅な削減が可能である。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0080】
実施例1
有機半導体材料としてPentacene(式(1-1)で表される化合物)(東京化成工業(株)製)を使用し、20℃環境下、有機トランジスタ製造用溶剤として1,1,3,3−テトラメチル尿素を使用して、有機半導体材料濃度が0.02重量%〜0.05重量%の混合物を得、得られた混合物を窒素雰囲気、遮光条件下、100℃で6時間程度加熱して有機トランジスタ製造用組成物を調製した。得られた有機トランジスタ製造用組成物について、有機半導体材料の溶解性を確認した。尚、溶解性の評価は目視にて行い、不溶物が確認されなかった場合を「○:溶解」とし、不溶物が確認された場合を「×:不溶解」とした。以下も同様である。
【0081】
実施例2〜3、比較例1〜2
表1に示した有機トランジスタ製造用溶剤を使用した以外は実施例1と同様にして有機トランジスタ製造用組成物を調製し、有機半導体材料の溶解性を評価した。
【0082】
【表1】
TMU:1,1,3,3−テトラメチル尿素(和光純薬工業(株)製)
DMI:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(和光純薬工業(株)製)
DMTHP:1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン(和光純薬工業(株)製)
Tetrarin:テトラリン(和光純薬工業(株)製)
1,2,4−TCB:1,2,4−トリクロロベンゼン(東京化成工業(株)製)
【0083】
実施例4〜5、比較例3〜4
有機半導体材料としてRubrene(式(2-1)で表される化合物)(東京化成工業(株)製)を使用し、20℃環境下、表2に示した有機トランジスタ製造用溶剤を使用して、有機半導体材料濃度が4.00重量%〜5.00重量%の混合物を得、得られた混合物を窒素雰囲気、遮光条件下、100℃で2時間程度加熱して有機トランジスタ製造用組成物を調製した。得られた有機トランジスタ製造用組成物について、有機半導体材料の溶解性を確認した。
【0084】
【表2】
【0085】
実施例6〜8、比較例5〜6
有機半導体材料として2,7−ジフェニル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(DPh−BTBT:式(3-1)で表される化合物)(東京化成工業(株)製)を使用し、20℃環境下、表3に示した有機トランジスタ製造用溶剤を使用して、有機半導体材料濃度が0.05重量%〜0.10重量%の混合物を得、得られた混合物を窒素雰囲気、遮光条件下、100℃で2時間程度加熱して有機トランジスタ製造用組成物を調製した。得られた有機トランジスタ製造用組成物について、有機半導体材料の溶解性を確認した。
【0086】
【表3】
【0087】
実施例9〜11、比較例7〜8
有機半導体材料としてジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(DNTT:式(4-1)で表される化合物)(Luminescence Technology Corp.社製)を使用し、20℃環境下、表4に示した有機トランジスタ製造用溶剤を使用して、有機半導体材料濃度が0.07重量%〜0.30重量%の混合物を得、得られた混合物を窒素雰囲気、遮光条件下、100℃で2時間程度加熱して有機トランジスタ製造用組成物を調製した。得られた有機トランジスタ製造用組成物について、有機半導体材料の溶解性を確認した。
【0088】
【表4】
【0089】
実施例から明らかなように、1,1,3,3−テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及び1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノンはテトラリン、1,2,4−トリクロロベンゼンよりもPentacene(式(1-1)で表される化合物)、DPh−BTBT(式(3-1)で表される化合物)、DNTT(式(4-1)で表される化合物)の溶解性に優れている。
また、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノンはテトラリン、1,2,4−トリクロロベンゼンよりもRubrene(式(2-1)で表される化合物)の溶解性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の有機トランジスタ製造用溶剤又は溶剤組成物は、比較的低温でも高い有機半導体材料溶解性を有する。そのため、耐熱性は高いが衝撃に弱く、軽量化が困難であり、柔軟性に乏しいガラス基板に比べ、耐熱性は低いが、衝撃に強く、軽量且つフレキシブルなプラスチック基板等にも有機トランジスタを直接形成することができ、衝撃に強く、軽量且つフレキシブルなディスプレイやコンピュータ機器を形成することができる。また、印刷法、スピンコート法等のウェットプロセスによる簡便な方法で容易に有機トランジスタの製造が可能であり、コストの大幅な削減が可能である。