【課題を解決するための手段】
【0029】
この課題は、請求項1でさらに詳しく特徴づけられているような接着剤によって解決される。従属請求項では本発明の有利な実施形態が記載されている。さらに、本発明による接着剤の使用が含まれる。
【0030】
したがって本発明は、
(a)少なくともコモノマー種としてのイソブチレンまたはブチレンと、仮想的ホモポリマーと見なして40℃超の軟化温度(softening temperature)を有する少なくとも1つのコモノマー種とを含む少なくとも1種のコポリマー、
(b)少なくとも部分的に水素化された接着樹脂の少なくとも1種、
(c)環状エーテルをベースとし、軟化温度が40℃未満、好ましくは20℃未満の反応性樹脂の少なくとも1種、
(d)カチオン硬化を開始するための光開始剤の少なくとも1種
を含む接着剤、好ましくは感圧接着剤に関する。
【0031】
これに関し、非晶質の物質では軟化温度はガラス転移温度に相当し、(半)結晶性の物質では軟化温度は溶融温度に相当する。
【0032】
接着材料の分野において、感圧接着剤は特にその永久接着性および柔軟性を特色とする。永久感圧接着性を有する材料は、付着特性と凝集特性の適切な組合せをどの時点でも有していなければならない。優れた接着特性のためには、付着特性と凝集特性のバランスが最適になるように感圧接着剤を調整することが肝心である。
【0033】
接着剤は、感圧接着剤、つまり室温で乾燥状態において永久接着性および永久接着能力を維持している粘弾性の接着剤であることが好ましい。軽い押圧により、即座にほぼすべての土台に接着する。
【0034】
本発明の好ましい一実施形態によれば、1種または複数のコポリマーは、モル質量M
W(重量平均)が300,000g/mol以下、好ましくは200,000g/mol以下の統計コポリマー(ランダムコポリマー)、交互コポリマー、ブロックコポリマー、星型コポリマー、および/またはグラフトコポリマーである。これに関し、比較的低い分子量はその比較的優れた加工性の故に好ましい。
【0035】
コポリマーとしては、例えば、少なくとも2つの異なるモノマー種から成り、モノマー種の少なくとも1つがイソブチレンまたはブチレンであり、少なくとも1つのさらなるモノマー種が、仮想的ホモポリマーと見なして40℃超の軟化温度を有するコモノマーである統計コポリマーが使用される。この第2のコモノマー種の有利な例は、ビニル芳香族類(部分的または完全に水素化された形態も)、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、およびイソボルニルアクリレートである。
【0036】
特に好ましい例はスチレンおよびαメチルスチレンであり、この列挙はすべてを網羅しているわけではない。
【0037】
さらに好ましくは、1種または複数のコポリマーは、軟化温度が−20℃未満の第1のポリマーブロック(「軟質ブロック」)の少なくとも1種と、軟化温度が+40℃超の第2のポリマーブロック(「硬質ブロック」)の少なくとも1種とを有するブロックコポリマー、星型コポリマー、および/またはグラフトコポリマーである。
【0038】
これに関し、軟質ブロックは非極性に形成されることが好ましく、かつブチレンまたはイソブチレンをホモポリマーブロックまたはコポリマーブロックとして含むことが好ましく、ブチレンまたはイソブチレンは好ましくはそれ自体と、または相互に、またはさらなる特に好ましい非極性コモノマーと共重合される。非極性コモノマーとしては、例えば(部分的に)水素化されたポリブタジエン、(部分的に)水素化されたポリイソプレン、および/またはポリオレフィンが適している。
【0039】
硬質ブロックは、ビニル芳香族類(部分的または完全に水素化された形態も)、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、および/またはイソボルニルアクリレートから形成されることが好ましい。特に好ましい例はスチレンおよびαメチルスチレンであり、この列挙はすべてを網羅しているわけではない。つまり硬質ブロックは、仮想的ホモポリマーと見なして40℃超の軟化温度を有する少なくとも1つのコモノマー種を含んでいる。
【0040】
特に有利な一実施形態では、前述の好ましい軟質ブロックおよび硬質ブロックが、1種または複数のコポリマーにおいて同時に実現されている。
【0041】
少なくとも1種のブロックコポリマーが、2つの末端にある硬質ブロックおよび1つの真ん中にある軟質ブロックから形成されるトリブロックコポリマーである場合が有利である。ジブロックコポリマーも、トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーから成る混合物もよく適している。
【0042】
非常に好ましいのは、ポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロック・ポリスチレン型のトリブロックコポリマーが用いられることである。このような系は、カネカ社からSIBStarの名称で、またBASF社からOppanol IBSの名称で公表されている。有利に使用可能なさらなる系がEP1743928A1(特許文献12)に記載されている。
【0043】
コポリマーが、イソブチレンまたはブチレンの部分を少なくとも1つのコモノマー種として含むことにより、非極性の接着剤が結果として生じ、この接着剤は、特に水蒸気に対して低い体積バリア特性を提供することが有利である。
【0044】
従来技術とは違いコポリマーのモル質量が低いことは、特に調合プロセスおよびコーティングプロセスにおいて、メーカーでの優れた加工性を可能にする。溶剤ベースのプロセスが望ましい場合、低いモル質量は、改善されたより迅速な可溶性をもたらす(特にイソブチレンポリマーおよびブチレンポリマーの場合、適切な溶剤の選択肢が少ない)。これに加え、溶液中の比較的高いコポリマー濃度が可能である。溶剤なしのプロセスでも、本発明による低いモル質量は、モル質量がより高い比較系の場合より融体の粘性が低いので有利なことが明らかである。
【0045】
モル質量の低下だけで、もちろんより優れた可溶性ならびに溶液および融体のより低い粘性が確かに生じる。しかしながら比較的低いモル質量により、例えば接着剤の凝集性のような適用技術的に重要な他の特性が損なわれる。これに関しては本発明により、少なくとも仮想的ホモポリマーの固有の軟化温度が40℃超の第2のコモノマー種を使用することで、効果的に対処される。
【0046】
本発明による接着剤は、少なくとも部分的に水素化された接着樹脂の少なくとも1種を含んでおり、有利には、コポリマーと適合するか、または硬質ブロックと軟質ブロックから形成されたコポリマーが用いられる場合には主に軟質ブロックと適合する接着樹脂(軟質樹脂)を含んでいる。
【0047】
この接着樹脂が、25℃超の接着樹脂軟化温度を有する場合が有利である。それだけでなく、これに加えて20℃未満の接着樹脂軟化温度を有する少なくとも1種の接着樹脂が用いられる場合が有利である。これについては必要に応じ、一方で接着技術的な挙動を、しかしもう一方では貼付下地上での表面流動挙動も微調整することができる。
【0048】
感圧接着剤において、樹脂としては、例えば、ロジンおよびロジン誘導体をベースとする部分的もしくは完全に水素化された樹脂、ジシクロペンタジエンの水素化ポリマー、C
5、C
5/C
9、またはC
9モノマー流をベースとする部分的、選択的、もしくは完全に水素化された炭化水素樹脂、α−ピネンおよび/またはβ−ピネンおよび/またはδ−リモネンをベースとするポリテルペン樹脂、好ましくは純粋なC
8およびC
9芳香族類の水素化ポリマーが可能である。前述の接着樹脂は、単独で使用することも、混合して使用することも可能である。
【0049】
その際、室温で固体の樹脂も液体の樹脂も使用することができる。高い耐老朽化性およびUV安定性を保証するためには、水素化度が少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の水素化樹脂が好ましい。
【0050】
さらに、30℃より高いDACP値(ジアセトンアルコール曇り点)および50℃より高いMMAP値(混合メチルシクロヘキサンアニリン点)、特に37℃より高いDACP値および60℃より高いMMAP値を有する非極性樹脂が好ましい。DACP値およびMMAP値は、それぞれ特定の溶剤中での溶解度を示す。この範囲を選択することにより、特に高い浸透バリアが、とりわけ水蒸気に対して達成される。
【0051】
本発明による接着剤は、軟化温度が40℃未満、好ましくは20℃未満の、放射線化学的な架橋および場合によっては熱による架橋のための、環状エーテルをベースとする反応性樹脂の少なくとも1種をさらに含んでいる。
【0052】
環状エーテルをベースとする反応性樹脂は、特に、エポキシド、つまり少なくとも1つのオキシラン基を担持する化合物、またはオキセタンである。これらは、芳香族またはとりわけ脂肪族または環状脂肪族の性質のエポキシドまたはオキセタンであることができる。
【0053】
使用可能な反応性樹脂は、一官能性、二官能性、三官能性、四官能性、またはより高い官能性から多官能性に形成することができ、この官能性は環状エーテル基に関する。
【0054】
例は、これに制限されないが、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(EEC)および誘導体、ジシクロペンタジエンジオキシドおよび誘導体、3−エチル−3−オキセタンメタノールおよび誘導体、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルおよび誘導体、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルおよび誘導体、1,2−エタンジグリシジルエーテルおよび誘導体、1,3−プロパンジグリシジルエーテルおよび誘導体、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルおよび誘導体、より高級な1,n−アルカンジグリシジルエーテルおよび誘導体、ビス[(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル]アジペートおよび誘導体、ビニルシクロヘキシルジオキシドおよび誘導体、1,4−シクロヘキサンジメタノール−ビス−(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)および誘導体、4,5−エポキシテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルおよび誘導体、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)メチル)エーテルおよび誘導体、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテルおよび誘導体、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル(DGEBA)、水素化されたビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、水素化されたビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、エポキシフェノールノボラック、水素化されたエポキシフェノールノボラック、エポキシクレゾールノボラック、水素化されたエポキシクレゾールノボラック、2−(7−オキサビシクロスピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−(7オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン))、1,4−ビス((2,3−エポキシプロポキシ)メチル)シクロヘキサンである。
【0055】
反応性樹脂は、そのモノマーの形態で、またはダイマーの形態、トリマーの形態などからそのオリゴマーの形態でも用いることができる。
【0056】
反応性樹脂同士の混合物が、しかし他の共反応性化合物、例えばアルコール(一官能性もしくは多官能性)またはビニルエーテル(一官能性もしくは多官能性)との混合物も、同様に可能である。
【0057】
接着剤調合物は、反応性樹脂のカチオン硬化のための光開始剤の少なくとも1種をさらに含んでいる。カチオンUV硬化のための開始剤のなかで特に、スルホニウム、ヨードニウム、およびメタロセンをベースとする系を使用することができる。
【0058】
スルホニウムをベースとするカチオンの例としては、US6,908,722B1(特許文献13)(特に第10欄〜第21欄)における実施形態を参照されたい。
【0059】
上述のカチオンのための対イオンとして使われるアニオンの例としては、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、ヘキサフルオロホスフェート、過塩素酸塩、テトラクロロフェレート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート、ヘキサクロロアンチモネート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、およびトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドを挙げておく。さらに、特にヨードニウムをベースとする開始剤にはアニオンとして塩化物、臭化物、またはヨウ化物も考えられるが、実質的に塩素および臭素を含まない開始剤が好ましい。
【0060】
より具体的には、使用可能な系に属するのは、
・ スルホニウム塩(例えばUS4,231,951A(特許文献14)、US4,256,828A(特許文献15)、US4,058,401A(特許文献16)、US4,138,255A(特許文献17)、およびUS2010/063221A1(特許文献18)を参照)、例えばトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレート、
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
メチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、
トリトリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
アニシルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、
4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラフルオロボレート、
ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
(4−オクチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、
トリス[4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリス(ドデシルフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、
4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
フェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
5−メチルチアントレニウムヘキサフルオロホスフェート、
10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラフルオロボレート、
10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、5−メチル−10−オキソチアントレニウムテトラフルオロボレート、
5−メチル−10−オキソチアントレニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
および5−メチル−10,10−ジオキソチアントレニウムヘキサフルオロホスフェートであり、
・ ヨードニウム塩(例えばUS3,729,313A(特許文献19)、US3,741,769A(特許文献20)、US4,250,053A(特許文献21)、US4,394,403A(特許文献22)、およびUS2010/063221A1(特許文献18)を参照)、例えばジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
フェニル−4−メチルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ(4−クロルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジナフチルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、
ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
フェニル−2−チエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
2,2’−ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ(2,4−ジクロルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−ブロムフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジアリールヨードニウムトリストリフルオロメチルスルホニルメチド、例えばジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ジアリールヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、例えばジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
(4−n−シロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラシロキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラシロキシ)フェニル]フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラシロキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラシロキシ)フェニル]フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルホネート、
ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフレート、
ジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウムビスルフェート、
4,4’−ジブロモジフェニルヨードニウムビスルフェート、
3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウムビスルフェート、
4,4’−ビス−スクシンイミドジフェニルヨードニウムビスルフェート、3−ニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、
4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウムビスルフェート、
ビス−(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、
および(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであり、ならびに
・ フェロセニウム塩(例えばEP542716B1(特許文献23)を参照)、例えばη
5(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−[(1,2,3,4,5,6,9)−(1−メチルエチル)ベンゼン]鉄である。
【0061】
市販の光開始剤の例は、Union Carbide社のCyracure UVI−6990、Cyracure UVI−6992、Cyracure UVI−6974、およびCyracure UVI−6976、Adeka社のOptomer SP−55、Optomer SP−150、Optomer SP−151、Optomer SP−170、およびOptomer SP−172、三新化学工業のSan−Aid SI−45L、San−Aid SI−60L、San−Aid SI−80L、San−Aid SI−100L、San−Aid SI−110L、San−Aid SI−150L、およびSan−Aid SI−180L、Sartomer社のSarCat CD−1010、SarCat CD−1011、およびSarCat CD−1012、Degussa社のDegacure K185、Rhodia社のRhodorsil Photoinitiator2074、日本曹達のCI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064、CI−2734、CI−2855、CI−2823、およびCI−2758、IGM Resins社のOmnicat320、Omnicat430、Omnicat432、Omnicat440、Omnicat445、Omnicat550、Omnicat550BL、およびOmnicat650、Daicel社のDaicat II、Daicel−Cytec社のUVAC1591、3M社のFFC509、みどり化学のBBI−102、BBI−103、BBI−105、BBI−106、BBI−109、BBI−110、BBI−201、BBI,301、BI−105、DPI−105、DPI−106、DPI−109、DPI−201、DTS−102、DTS−103、DTS−105、NDS−103、NDS−105、NDS−155、NDS−159、NDS−165、TPS−102、TPS−103、TPS−105、TPS−106、TPS−109、TPS−1000、MDS−103、MDS−105、MDS−109、MDS−205、MPI−103、MPI−105、MPI−106、MPI−109、DS−100、DS−101、MBZ−101、MBZ−201、MBZ−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、NAI−109、NAI−1002、NAI−1003、NAI−1004、NB−101、NB−201、NDI−101、NDI−105、NDI−106、NDI−109、PAI−01、PAI−101、PAI−106、PAI−1001、PI−105、PI−106、PI−109、PYR−100、SI−101、SI−105、SI−106、およびSI−109、日本化薬のKayacure PCI−204、Kayacure PCI−205、Kayacure PCI−615、Kayacure PCI−625、Kayarad220、およびKayarad620、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T、三和ケミカルのTS−01およびTS−91、Deuteron社のDeuteron UV1240、Evonik社のTego Photocompound1465N、GE Bayer Silicones社のUV9380C−D1、Cytec社のFX512、Bluestar Silicones社のSilicolease UV Cata211、ならびにBASF社のIrgacure250、Irgacure261、Irgacure270、Irgacure PAG103、Irgacure PAG121、Irgacure PAG203、Irgacure PAG290、Irgacure CGI725、Irgacure CGI1380、Irgacure CGI1907、およびIrgacure GSID26−1である。
【0062】
当業者には、同様に本発明により使用可能なさらなる系が知られている。光開始剤は組み合わせずに用いられるか、または2種以上の光開始剤の組合せとして用いられる。
【0063】
350nm未満で有利には250nm超で吸収を示す光開始剤が有利である。350nm超、例えば紫色の光の領域内で吸収する開始剤も使用可能である。スルホニウムをベースとする光開始剤は、有利なUV吸収特性を有しているので特に好ましく用いられる。
【0064】
さらに、酸化還元プロセスにおいて光開始剤を還元する光増感剤を用いることができる。このプロセスにおいて本来の光開始剤は分解され、その際に反応性カチオンが形成され、この反応性カチオンがカチオン重合を開始させ得る。この種の反応操作は、比較的高波長でのカチオン重合の開始を可能にする。このような光増感剤の例は、ジフェノールメタノンおよび誘導体、例えばIrgacure651のようなアセトフェノン誘導体、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセンおよび9−ヒドロキシメチルアントラセンのようなアントラセン誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、および4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ケトンのようなフェニルケトン誘導体(Irgacure184、Darocur1173、Irgacure2959)、ならびに4−イソプロピル−9−チオキサンテノンまたは1−クロロ−4−プロポキシチオキサンテノンのようなチオキサンテノン誘導体である。
【0065】
光開始剤と増感剤の特に好ましい組合せは、ジアリールヨードニウムをベースとする光開始剤とアセトフェノン増感剤の組合せに関してそうであるように、またBulut U.、Crivello J.V.、J.Polym.Sci.2005、43、3205〜3220頁(非特許文献1)に記載されているように、中間生成物の異なる酸化還元電位および遅延ポテンシャルを考慮に入れる。
【0066】
感圧接着剤は、電子的装置への適用後に初めて部分的または最終的に架橋されるのが好ましい。
【0067】
接着剤には、老朽化防止剤(オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、光保護剤など)のような通常の混和剤を添加することができる。
【0068】
接着剤のための添加剤として利用できるのは、典型的には、
・可塑剤、例えば可塑化オイル、もしくは例えば低分子ポリブテンなどの低分子液体ポリマー
・一次酸化防止剤、例えば立体障害フェノール
・二次酸化防止剤、例えばホスファイトもしくはチオエーテル
・プロセス安定化剤、例えばC−ラジカルスカベンジャー
・光保護剤、例えばUV吸収剤もしくは立体障害アミン
・加工助剤
・湿潤添加剤
・付着促進剤
・末端ブロック強化樹脂、ならびに/または
・場合によっては、好ましくはエラストマー性質のさらなるポリマー;これに対応して利用可能なエラストマーに含まれるのは、なかでも純粋な炭化水素をベースとするエラストマー、例えば天然のもしくは合成されたポリイソプレンもしくはポリブタジエンのような不飽和ポリジエン、化学的に実質的に飽和状態のエラストマー、例えば飽和エチレンプロピレンコポリマー、α−オレフィンコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、および化学的に官能化された炭化水素、例えばハロゲン含有の、アクリレート含有の、アリル含有の、もしくはビニルエーテル含有のポリオレフィンである。
【0069】
混和剤または添加剤は必ず必要なわけではなく、接着剤は、混和剤または添加剤を単独でまたは任意に組み合わせて添加しなくても機能する。
【0070】
有利には、本発明による感圧接着剤において充填剤を用いることができる。好ましくは、接着剤の充填剤としてナノスケールのおよび/または透明な充填剤が使用される。ここでは、充填剤が少なくとも一つの次元で最大限の延びが約100nm、好ましくは約10nmである場合に、その充填剤をナノスケールと呼ぶ。特に好ましいのは、小板状の晶子構造および高いアスペクト比を有する塊状で透明な充填剤が、均質な分布で使用されることである。小板状の晶子構造および100を大きく超えるアスペクト比を有する充填剤は、一般的に数nmの厚さしか有さないが、晶子の長さもしくは幅は最大数μmであり得る。このような充填剤もナノ粒子と呼ぶ。加えて、充填剤の、寸法の小さな粒子状の形態は、感圧接着剤の透明な形態のために特に有利である。
【0071】
接着材料マトリクス中で、前述の充填剤によりラビリンス状の構造を構成することにより、例えば酸素および水蒸気の拡散経路は、酸素および水蒸気が接着材料層を通り抜けて浸透することを減少させるように延長される。結合剤マトリクス中でのこの充填剤の分散性が改善されるように、この充填剤の表面を有機化合物により変性することができる。このような充填剤の使用自体は、例えばUS2007/0135552A1(特許文献24)およびWO02/026908A1(特許文献25)から知られている。
【0072】
本発明のさらなる有利な一実施形態では、酸素および/または水蒸気と特別なやり方で相互作用し得る充填剤も使用される。この場合、(光)電子的装置内に侵入する酸素または水蒸気は、この充填剤と化学的または物理的に結合される。この充填剤は「ゲッター」、「スカベンジャー」、「乾燥剤」、または「吸収剤」とも呼ばれる。このような充填剤には、これに限定されないが例として挙げるとすれば、酸化性金属と、金属および遷移金属のハロゲン化物、塩、ケイ酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩と、過塩素酸塩と、活性炭およびその変種とが含まれる。例として、塩化コバルト、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカゲル)、酸化アルミニウム(活性アルミニウム)、硫酸カルシウム、硫酸銅、亜ジチオン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、ゼオライト、およびアルカリ(土類)金属の酸化物、例えば酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、および酸化マグネシウム、またはカーボンナノチューブも挙げられる。例えばポリオレフィンコポリマー、ポリアミドコポリマー、PETコポリエステルのような有機吸収剤、またはたいていは例えばコバルトのような触媒と組み合わせて使用されるハイブリッドポリマーをベースとしたさらなる吸収剤もさらに使用することができる。さらなる有機吸収剤は、例えば弱架橋されたポリアクリル酸、アスコルベート、グルコース、没食子酸、または不飽和油脂である。
【0073】
バリア作用に関する充填剤のできるだけ優れた有効性を達成するためには、充填剤の割合が少なくなり過ぎないようにするべきである。この割合は、好ましくは少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%、およびとりわけ好ましくは少なくとも15重量%である。典型的には、接着剤の接着力を著しく低下させ過ぎない、または他の特性を損なうことのない、できるだけ高い割合で充填剤を使用する。充填剤の割合は、充填剤のタイプに応じて40重量%超〜70重量%に達し得る。
【0074】
さらに、充填剤ができるだけ細かく分布し、かつ表面積ができるだけ大きいことが有利である。これは、より高い効率およびより高い積載能力を可能にし、特にナノスケールの充填剤によって達成される。
【0075】
充填剤は必ず必要なわけではなく、接着剤は、充填剤を単独でまたは任意に組み合わせて添加しなくても機能する。
【0076】
さらに好ましいのは、特定の実施形態ではスペクトルの可視光(約400nm〜800nmの波長領域)内で透明な接着剤を使用することである。所望の透明性は、特に無色の接着樹脂を使用することで、および(軟質ブロックを有するブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーのようなミクロ相分離した系における)コポリマーと接着樹脂の相溶性を、ただし反応性樹脂との相溶性も調整することで、達成することができる。このために反応性樹脂は、脂肪族および環状脂肪族の系から選択されるのが有利である。したがって、このような感圧接着剤は、(光)電子構造物を覆う面全体での使用にも適している。面全体を貼り付けることは、電子構造物がほぼ中心に配置される場合、縁封止に比べ、浸透物が構造物に達する前に浸透物が面全体にくまなく拡散しなければならないという利点を提供する。これにより浸透経路が明らかに延長される。浸透経路は透過性に反比例するので、この実施形態において、例えば液体接着材料による縁封止に比べて延長された浸透経路は、総合的なバリア性に良い影響を及ぼす。
【0077】
その際「透明性」とは、光の可視領域において、接着剤の平均透過率が少なくとも75%、好ましくは90%より高いことを意味し、この考察は未補整の、つまり界面反射損失を差し引いていない透過率に関している。
【0078】
接着剤のヘイズは、5.0%未満、好ましくは2.5%未満を示すのが好ましい。
【0079】
感圧接着剤の製造および処理は、溶液、分散液、および融体の状態で行うことができる。好ましくは溶液または融体の状態で製造および処理が行われる。特に好ましいのは溶液状態の接着剤を製造することである。その際、感圧接着剤の成分は、適切な溶剤、例えばトルエン中、またはベンジンおよびアセトンから成る混合物中に溶解されており、一般的に知られている方法により支持体上に施される。融体状態で処理する場合、これはノズルまたはカレンダ機を用いた塗布方法であり得る。溶液状態での方法に関しては、いくつかの方法だけを挙げるとすれば、ドクターブレード、ナイフ、ローラ、またはノズルによるコーティングが知られている。
【0080】
溶剤なしのプロセスでは、コーティング温度によりコーティング結果に影響を及ぼすことができる。透明な接着層を得るためのプロセスパラメータは当業者に公知である。溶剤コーティングプロセスでは、溶剤または溶剤混合物の選択によりコーティング結果に影響を及ぼすことができる。これに関しても、適切な溶剤の選択は当業者に公知である。100℃未満で沸騰する特に非極性の溶剤と、100℃超で沸騰する溶剤、特に芳香族の溶剤との組合せが非常によく適している。
【0081】
溶液または融体の状態でのコーティングが有利である。これに関しては、既に上で詳述したように、本発明による調合物が大きな利点を提供する。
【0082】
本発明による接着剤は、片面または両面で接着性の接着テープにおいて使用し得ることが特に有利である。この種の提供形態は、接着剤の特に簡単かつ均一な適用を可能にする。
【0083】
この場合、「接着テープ」という一般的な表現は、片面または両面に(感圧)接着剤が施された支持体材料を含んでいる。この支持体材料は、すべての平面的な形成物、例えば2次元に延びたフィルムまたはフィルム切片、延びた長さおよび限られた幅を有するテープ、テープ切片、ダイカット(例えば(光)電子的装置の縁取りまたは境界画定の形で)、多層構成物、およびその類似物を含む。その際、多様な用途のために、例えばフィルム、織布、不織布、および紙のような非常に様々な支持体を接着剤と組み合わせることができる。さらに「接着テープ」という表現には、いわゆる「転写式接着テープ」、つまり支持体のない接着テープも含まれる。転写式接着テープの場合、接着剤はむしろ適用前に、剥離層を備えかつ/または抗付着特性を有する柔軟なライナーの間に施されている。適用するためには、通常はまず1枚のライナーを取り除き、そして接着剤を適用し、その後、第2のライナーを取り除く。したがってこの接着剤は、(光)電子的装置内の2つの表面を結合するために直接的に使用することができる。
【0084】
ただし、2枚のライナーを用いてではなく、1枚だけの両面で剥離性に加工されたライナーを用いて作られる接着テープも可能である。この場合、接着テープシートはその上面が、両面で剥離性に加工されたライナーの片面で覆われており、接着テープシートの下面は、両面で剥離性に加工されたライナーの背面、特に巻物またはロールでの1つ隣りの巻きによって覆われている。
【0085】
接着テープの支持体材料として、ここではポリマーフィルム、複合フィルム、または有機層および/もしくは無機層を備えたフィルムもしくは複合フィルムを使用することが好ましい。このようなフィルム/複合フィルムは、フィルム製造に使用されるすべての一般的に流通しているプラスチックから成ることができ、これに限定されないが例として挙げるとすれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、特に1軸延伸もしくは2軸延伸により生成された配向ポリプロピレン(OPP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルスルホン(PES)、またはポリイミド(PI)である。
【0086】
加えて支持体は、有機または無機のコーティングまたは層と組み合わせることができる。これは例えば塗装、印刷、蒸着、スパッタリング、共押出し、またはラミネート加工のような通常の方法によって行うことができる。これに限定されないが例として挙げるとすれば、ここでは例えばケイ素およびアルミニウムの酸化物もしくは窒化物、酸化インジウムスズ(ITO)、またはゾルゲルコーティングである。
【0087】
薄いガラスから成る支持フィルムも、支持フィルムとして非常に優れている。この薄いガラスの層厚は、例えば1mm未満、それどころか30μmである。Schott社のD263TまたはCorning社のWillow Glassが入手可能である。薄いガラスフィルムは、所望であれば、転写式接着テープでプラスチックフィルム(例えばポリエステル)をラミネートすることによりさらに安定化させることができる。
【0088】
好ましくは、薄いガラスとして厚さが15〜200μm、好ましくは20〜100μm、さらに好ましくは25〜75μm、特に好ましくは30〜50μmの薄いガラスが用いられる。
【0089】
有利には、Schott社のD263T ecoのようなホウケイ酸ガラス、アルカリ・アルカリ土類シリカガラス、または同様にSchott社のAF32 ecoのようなアルミノホウケイ酸ガラスが用いられる。
【0090】
AF32 ecoのようなアルカリを含有しない薄いガラスは、UV透過率が比較的高いので有利である。したがってUV硬化型接着剤系に対し、吸収ピークがUV−C領域の開始剤をより良好に使用することができ、これは、未架橋接着剤の日光に対する安定性を上昇させる。
【0091】
D263T ecoのようなアルカリを含有する薄いガラスは、熱膨張係数が比較的高く、さらなるOLED構成物のポリマー成分とより良好に適合するので有利である。
【0092】
このようなガラスは、WO00/41978A1(特許文献26)で言及されているようなダウンドロープロセスにおいて、または例えばEP1832558A1(特許文献27)で開示されているような方法において製造することができる。WO00/41978A1(特許文献26)では、薄いガラスと、ポリマー層またはポリマーフィルムとから成る複合体を製造する方法がさらに開示されている。
【0093】
これらのフィルム/複合フィルム、特にポリマーフィルムは、酸素および水蒸気に対する浸透バリアを有することが特に好ましく、その際この浸透バリアは、包装分野に対する要求を上回る(WVTR<10
−1g/(m
2d)およびOTR<10
−1cm
3/(m
2d bar))。
【0094】
薄いガラスフィルムまたは薄いガラスフィルムの複合体の場合、ガラスの内在的に高いバリア特性により、対応するコーティングは必要ない。
【0095】
薄いガラスフィルムまたは薄いガラスフィルムの複合体は、ポリマーフィルムでも一般的であるように、ロールからのテープとして提供されるのが好ましい。これに対応するガラスは、既にCorning社からWillow Glassの名称で提供されている。この納入形態は、好ましくは同様にシート状で提供される接着剤と、とりわけうまくラミネートすることができる。
【0096】
さらにフィルム/複合フィルムは、好ましい形態では透明に形成することができ、したがってこのような接着用品の構成全体も透明に形成される。またここでは、「透明性」とは、光の可視領域での平均透過率が少なくとも75%、好ましくは90%より高いことを意味する。
【0097】
両面で(自己)接着性の接着テープの場合、上側および下側の層として、同じもしくは異なる種類および/または同じもしくは異なる層厚の本発明による接着剤を使用することができる。その際、支持体の片面または両面を、従来技術に対応して前処理することができ、これにより例えば接着剤の定着性が改善される。片面または両面に例えばバリア層として機能し得る機能層を備えることもできる。これらの感圧接着剤層を、任意選択で剥離紙または剥離フィルムで覆うことができる。その代わりに一方の接着剤層だけを、両面で剥離性のライナーで覆うこともできる。
【0098】
一変形形態では、両面で(自己)接着性の接着テープにおいて、本発明による接着剤と、任意のさらなる接着剤、例えばカバー土台に特に良好に付着するかまたは特に優れた再配置性を示す接着剤とが規定されている。
【0099】
接着剤および場合によってはそれを用いて形成された接着テープは、この接着剤または接着テープが電子的装置のカプセル化すべき領域の上および/または周囲に適用されることにより、浸透物に対する電子的装置のカプセル化にさらにとりわけ適している。
【0100】
ここでは、前述の感圧接着剤によって完全に取り囲むことだけをカプセル化と呼ぶのではなく、(光)電子的装置のカプセル化すべき領域上での感圧接着剤の部分的な適用、例えば電子構造物の片面を覆うこと、または縁取ることも既にカプセル化と言う。
【0101】
原理的には、接着テープを用いて2種類のカプセル化を実施することができる。接着テープを予め型抜きし、カプセル化すべき領域の周囲だけに貼り付けるか、または接着テープをカプセル化すべき領域の面全体に接着する。第2の変形形態の利点は、より簡単な取扱いおよびしばしばより良好な保護である。
【0102】
本発明はまず、前述の欠点にもかかわらず、感圧接着剤に関してこれまで述べた欠点が生じないか、または比較的軽度にしか生じない(感圧)接着剤を、電子的装置をカプセル化するために使用することができるという知見に基づいている。つまり、少なくともコモノマー種としてのイソブチレンまたはブチレンと、仮想的ホモポリマーと見なして40℃超の軟化温度を有する少なくとも1つのコモノマー種とを含むコポリマーをベースとする接着剤が、電子的装置のカプセル化に特に適していることが分かった。
【0103】
この接着剤は、好ましくは感圧接着剤なので、事前固化を行う必要がないため、適用が非常に簡単である。感圧接着剤は、柔軟なかつきれいな加工を可能にする。感圧接着テープとして提供することで、感圧接着剤の量を簡単に配量することもでき、かつ溶剤の排出もない。感圧接着剤は、1種または複数の目標土台上への適用の少なくとも後に、光開始剤の刺激により架橋される。
【0104】
つまり、他の感圧接着剤と比較した本発明の利点は、様々な土台への優れた界面付着性を同時に伴う、酸素およびとりわけ水蒸気に対する非常に優れたバリア特性と、良好な凝集特性と、液体接着材料に比べて非常に高い柔軟性と、(光)電子的装置内での、およびカプセル化の際の/カプセル化における簡単な適用とからの組合せである。さらに特定の実施形態では高透明性の接着剤もあり、この接着剤は、入射光または出射光の減少を非常に少なく保つので、特に(光)電子的装置内での用途に使用することができる。
【0105】
平面的なバリア材料(例えばガラス、特に薄いガラス、金属酸化物をコーティングしたフィルム、金属フィルム、多層の土台材料)で、(光)電子構成物の少なくとも一部をラミネート加工することによるカプセル化は、非常に優れたバリア作用を伴いつつ、簡単なロール・ツー・ロール・プロセスにおいて可能である。構成物全体の柔軟性は、感圧接着剤の柔軟性のほかに、(光)電子構成物もしくは平面的なバリア材料の幾何形状および厚さのようなさらなる要因に左右される。それでも感圧接着剤の高い柔軟性は、非常に薄く、曲げやすく、かつ柔軟な(光)電子構成物の実現を可能にする。
【0106】
(光)電子構成物のカプセル化に特に有利なのは、感圧接着剤の適用の前、最中、または後で(光)電子構成物が加熱される場合である。これにより感圧接着剤は、なおより表面を流れやすくなり、したがって(光)電子的装置と感圧接着剤との間の界面での浸透をさらに低減させることができる。その際の温度は、表面流動を相応に促進するためには、好ましくは30℃超、さらに好ましくは50℃超であることが望ましい。ただし、(光)電子的装置を損傷させないよう、高すぎる温度を選択しないことが望ましい。温度はできるだけ100℃未満にするべきである。最適な温度範囲は50℃〜70℃の間の温度であることが分かった。それに加えてまたはその代わりに、感圧接着剤が適用の前、最中、または後で加熱される場合も有利である。
【0107】
まとめると、本発明による接着剤は、(光)電子的装置のカプセル化に用いられる接着剤に課されるすべての要件を満たしている。すなわち、
・水蒸気および酸素の低い体積浸透性、これは、WVTRの値(Mocon)が10g/m
2d未満で、OTRの値(Mocon)が1000cm
3/m
2・d・bar未満であることから明らかである。
・水蒸気および酸素の低い界面浸透性、これは、WVTRの値(Ca試験)が1g/m
2d未満であることから明らかであり、目標土台上への接着剤の優れた表面流動をもたらす。
・任意選択であるが好ましくは、透過率が好ましくは90%超の高い透明性
・任意選択であるが好ましくは、5.0%未満、好ましくは2.5%未満のヘイズ
・例えばロール・ツー・ロール・プロセスにおける秀でたラミネート挙動、これは、ガラス上での未架橋の系の接着力が1.5N/cm超、好ましくは2.5N/cm超、およびガラス上での架橋された系の動的せん断強度が25N/cm
2超、好ましくは50N/cm
2超、非常に好ましくは100N/cm
2超であることから明らかである。
【0108】
以下に、本発明のさらなる詳細、目的、特徴、および利点を、好ましい例示的実施形態を示す複数の図に基づきさらに詳しく説明する。