特許第6263122号(P6263122)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263122特に電子的装置のカプセル化のための接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263122
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】特に電子的装置のカプセル化のための接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/00 20060101AFI20180104BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180104BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20180104BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20180104BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   C09J153/00
   C09J11/06
   C09J163/00
   C09J7/02 Z
   C09K3/10 Z
【請求項の数】23
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2014-536260(P2014-536260)
(86)(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公表番号】特表2014-534309(P2014-534309A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】EP2012070779
(87)【国際公開番号】WO2013057265
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2015年9月30日
(31)【優先権主張番号】102011085030.9
(32)【優先日】2011年10月21日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012202377.1
(32)【優先日】2012年2月16日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ドラーゼ・ティーロ
(72)【発明者】
【氏名】クラーヴィンケル・トールステン
(72)【発明者】
【氏名】バイ・ミニョン
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−524705(JP,A)
【文献】 特表2005−533919(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0121356(US,A1)
【文献】 特開2010−144169(JP,A)
【文献】 特開2010−018797(JP,A)
【文献】 特開平10−077038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 1/00−43/00
C09K 3/10−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくともコモノマー種としてのイソブチレンと、仮想的ホモポリマーと見なして40℃超の軟化温度を有する少なくとも1つのコモノマー種とを含む少なくとも1種のコポリマー、
ここで、当該1種または複数のコポリマーが、軟化温度が−20℃未満の第1のポリマーブロック(「軟質ブロック」)の少なくとも1種と、軟化温度が+40℃超の第2のポリマーブロック(「硬質ブロック」)の少なくとも1種とを有するブロックコポリマー、星型コポリマー、および/またはグラフトコポリマーであり、
かつ、
軟質ブロックが非極性に形成されており、かつイソブチレンをホモポリマーブロックまたはコポリマーブロックとして含んでおり、
硬質ブロックが、スチレンおよび/またはスチレン誘導体から形成されており、
(b)少なくとも部分的に水素化された接着樹脂の少なくとも1種、
ここで、1種または複数の接着樹脂が、少なくとも70%の水素化度を有し、かつ、45〜71℃のDACP値および72〜82℃のMMAP値を有し、
(c)環状エーテルをベースとし、少なくとも1つのエポキシド基を担持し、軟化温度が40℃未満の反応性樹脂の少なくとも1種、
(d)カチオン硬化を開始するための光開始剤の少なくとも1種
を含む、浸透物に対する電子的装置のカプセル化のための接着剤。
【請求項2】
1種または複数のコポリマーが、モル質量Mが300,000g/mol以下の統計コポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、星型コポリマー、および/またはグラフトコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
1種または複数のコポリマーが、モル質量Mが200,000g/mol以下の統計コポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、星型コポリマー、および/またはグラフトコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
軟質ブロックが非極性に形成されており、かつイソブチレンをホモポリマーブロックまたはコポリマーブロックとして含んでおり、イソブチレンがそれ自体と、または、非極性コモノマーと共重合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項5】
前記反応性樹脂の軟化温度が20℃未満である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項6】
少なくとも1種のブロックコポリマーが、2つの末端にある硬質ブロックおよび1つの真ん中にある軟質ブロックから形成されるトリブロックコポリマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項7】
1種または複数の接着樹脂が、少なくとも95%の水素化度を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項8】
接着剤が、少なくとも1種の脂肪族または環状脂肪族の反応性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項9】
接着剤が、350nm未満でUV光を吸収してカチオン硬化を可能にし、スルホニウム、ヨードニウム、およびメタロセンをベースとする系である光開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項10】
接着剤が、250nm超〜350nm未満でUV光を吸収する光開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項11】
感圧接着剤が、可塑剤、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、プロセス安定化剤、光保護剤、加工助剤、末端ブロック強化樹脂、ポリマーから成る群から選択された1種または複数の添加剤を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項12】
感圧接着剤が、ナノスケールの充填剤、透明な充填剤、ならびに/またはゲッターおよび/もしくはスカベンジャー充填剤から選択される1種または複数の充填剤を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項13】
接着剤が、スペクトルの可視光(約400nm〜800nmの波長領域)内で透明であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項14】
接着剤のヘイズが、5.0%未満を示すことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項15】
接着剤のヘイズが、2.5%未満を示すことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一つに記載の接着剤の少なくとも1つの層および支持体を含む接着テープにおいて、
支持体が、WVTR<0.1g/(md)およびOTR<0.1cm/(md bar)の浸透バリアを有することを特徴とする接着テープ。
【請求項17】
支持体が、コーティングされたプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項16に記載の接着テープ。
【請求項18】
支持体が、最大1mmの層厚の柔軟な薄いガラスの層を有しており、前記支持体が、最大1mmの層厚の薄いガラスの層から成り、前記薄いガラスがホウケイ酸ガラスまたはアルカリを含有しないアルミノホウケイ酸ガラスであることを特徴とする請求項16に記載の接着テープ。
【請求項19】
薄いガラスが、テープ状の幾何形状で存在することを特徴とする請求項18に記載の接着テープ。
【請求項20】
(光)電子的装置のカプセル化のための請求項1〜19のいずれか一つに記載の接着剤または接着剤を用いて形成された片面または両面で接着性の接着テープの使用。
【請求項21】
感圧接着剤および/または電子的装置のカプセル化すべき領域が、感圧接着剤の適用の前、最中、および/または後に加熱されることを特徴とする請求項20に記載の使用。
【請求項22】
感圧接着剤が、電子的装置への適用後に、部分的または最終的に架橋されることを特徴とする請求項20または21に記載の使用。
【請求項23】
電子構造物と感圧接着剤とを備えており、
電子構造物が少なくとも部分的には感圧接着剤によりカプセル化されている電子的装置において、
感圧接着剤が請求項1〜22のいずれか一つに基づいて形成されていることを特徴とする電子的装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電子的装置のカプセル化のための接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(光)電子的装置は、市販製品においてますます頻繁に使用されており、または市場への導入間近にある。このような装置には、無機電子構造物または有機電子構造物、例えば有機半導体、有機金属半導体、またはポリマー半導体が含まれ、またはそれらの組合せも含まれる。これらの装置および製品は、所望の用途に応じて剛性にまたは柔軟に形成されるが、柔軟な装置に対する需要が次第に増している。このような装置の製造は、例えば凸版印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、平版印刷のような、または熱転写印刷、インクジェット印刷、もしくはデジタル印刷などのいわゆる「ノンインパクトプリンティング」のような印刷方法によっても行われる。しかし例えば化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、プラズマ促進化学もしくは物理気相成長法(PECVD)、スパッタリング、(プラズマ)エッチング、または蒸着のような真空方法もよく使用されており、その際、構造化は一般的にマスクによって行われる。
【0003】
既に市販されている、またはその市場可能性が注目されている(光)電子的用途に関する例としては、ここでは電気泳動もしくはエレクトロクロミックを用いた構成物もしくはディスプレイ、表示装置およびディスプレイ装置における有機発光ダイオードもしくはポリマー発光ダイオード(OLEDもしくはPLED)、または照明として挙げればエレクトロルミネセンスランプ、発光電気化学セル(LEEC)、有機太陽電池、好ましくは色素太陽電池もしくはポリマー太陽電池、無機太陽電池、好ましくは特にケイ素、ゲルマニウム、銅、インジウム、および/またはセレンをベースとする薄層太陽電池、有機電界効果トランジスタ、有機スイッチング素子、有機光増幅器、有機レーザダイオード、有機センサもしくは無機センサ、またはさらに有機もしくは無機ベースのRFIDトランスポンダを挙げることができる。
【0004】
無機および/または有機の(光)電子機器の分野、とりわけ有機(光)電子機器の分野における(光)電子的装置の十分な耐用期間および機能を実現するための技術的な課題は、その中に内包されたコンポーネントを浸透物から保護することである。この浸透物とは、多種の低分子有機化合物または低分子無機化合物、特に水蒸気および酸素であり得る。
【0005】
無機および/または有機の(光)電子機器の分野における、とりわけ有機原料を使用する場合の多くの(光)電子的装置は、水蒸気からも酸素からも影響を受けやすく、その際、多くの装置に関しては、水蒸気の侵入がより大きな問題としてランク付けされる。したがって電子的装置の耐用期間中はカプセル化による保護が不可欠であり、というのもそうしなければ、使用期間中に性能が低下していくからである。つまり、例えば構成要素の酸化により、例えばエレクトロルミネセンスランプ(ELランプ)もしくは有機発光ダイオード(OLED)のような発光装置の場合は光力が、電気泳動ディスプレイ(EPディスプレイ)の場合にはコントラストが、または太陽電池の場合には効率が、非常に短い期間内に著しく低下する可能性がある。
【0006】
無機および/または有機の(光)電子機器の場合、特に有機(光)電子機器では、酸素および/または水蒸気のような浸透物に対する浸透バリアとなる柔軟な接着溶液に対する特別な需要がある。それだけでなく、このような(光)電子的装置に対しては多くのさらなる要求がある。したがって柔軟な接着溶液は、2つの土台の間の優れた付着を達成するだけでなく、それに加えて高いせん断強度および剥離強度、化学耐性、耐老朽化性、高い透明性、簡単な加工性、ならびに高い柔軟性および曲げ性のような特性を満たさなければならない。
【0007】
それゆえ従来技術に基づいて一般的に行われている手法では、水蒸気および酸素を透過しない2つの土台の間に電子的装置を据える。その後、縁を封止する。柔軟でない構成物にはガラスまたは金属土台が用いられ、これらの土台は高い浸透バリアを提供するが、機械的負荷に対しては非常に脆弱である。さらにこれらの土台は装置全体の厚さを比較的大きくする。金属土台の場合はこれに加えて透明でない。これに対し柔軟な装置には、多層状に実施できる平面土台、例えば透明または不透明なフィルムが用いられる。これに関しては、様々なポリマーからの組合せも、無機層もしくは有機層も使用することができる。このような平面土台の使用は、柔軟で極めて薄い構成を可能にする。その際、多様な用途に対し、例えばフィルム、織布、不織布、および紙、またはそれらからの組合せのような非常に様々な土台が考えられる。
【0008】
できるだけ優れた封止を達成するためには、特殊なバリア接着剤が使用される。(光)電子部品を封止するための優れた接着剤は、酸素および特に水蒸気に対する低い浸透性を有しており、装置への十分な付着性を有しており、かつ装置の表面をうまく流れることができる。装置での表面流動性が低いと、装置表面の濡れが不完全なことにより、また細孔が残ってしまうことにより、接着剤の特性に関係なく酸素および水蒸気の横からの侵入が可能となるので、界面でのバリア作用が低下する可能性がある。接着剤と土台の間の接触が徹底されている場合にのみ、接着剤の特性が、接着剤のバリア作用に対する決定的な要因となる。
【0009】
バリア作用を特徴づけるには、一般的に酸素透過率OTR(Oxygen Transmission Rate)および水蒸気透過率WVTR(Water Vapor Transmission Rate)を提示する。それぞれの透過率は、特定の温度および分圧条件ならびに場合によっては相対湿度のようなさらなる測定条件の下で薄膜を通り抜ける酸素または水蒸気の面積当たりおよび時間当たりの流量を示す。これらの値が低ければ低いほど、それぞれの材料はカプセル化のためにより適している。浸透性の提示は、単にWVTRまたはOTRに関する値に基づくだけでなく、常に、例えば材料の厚さなどのような、浸透の平均経路長に関するデータまたはある特定の経路長に基づく規格化も含んでいる。
【0010】
浸透性Pは、気体および/または液体に対する物体の透過性に関する尺度である。低いP値は優れたバリア作用を示す。浸透性Pは、定常条件下での、特定の浸透経路長、分圧、および温度における、規定の材料および規定の浸透物に関する特異的な値である。浸透性Pは、拡散項Dおよび溶解度項Sの積で表される。すなわちP=D×S
【0011】
溶解度項Sは、ここでは浸透物に対するバリア接着剤の親和力を表している。水蒸気の場合は、例えば疎水性材料によって低いS値が達成される。拡散項Dは、バリア材料中での浸透物の可動性に関する尺度であり、分子の可動性または自由体積のような特性に直接的に左右される。強架橋された材料または高結晶質の材料ではしばしば比較的低いD値が達成される。しかしながら高結晶質の材料は一般的にあまり透明ではなく、比較的強い架橋は柔軟性を相対的に低くする。浸透性Pは、通常は分子の可動性が増すとともに上昇し、例えば温度が上昇する場合またはガラス転移点を超える場合にも上昇する。
【0012】
低い溶解度項Sは、優れたバリア特性を達成するためにはたいていの場合は不十分である。これに関する古典的な例は、特にシロキサンエラストマーである。この材料は極めて疎水性であるが(小さな溶解度項)、その自由に回転可能なSi−O結合(大きな拡散項)により、水蒸気および酸素に対するバリア作用は比較的低い。つまり優れたバリア作用のためには、溶解度項Sと拡散項Dの適切なバランスが必要である。
【0013】
接着剤のバリア作用を高めるための手法は、特に水蒸気および酸素の透過性への影響に関して、両方のパラメータDおよびSを考慮しなければならない。これらの化学的特性に加え、浸透性への物理的な影響の効果、特に平均浸透経路長および界面特性(接着剤の表面流動挙動、付着性)も考慮に入れなければならない。理想的なバリア接着剤は、土台に非常に良好に付着するとともに、D値もS値も低い。
【0014】
このために、これまではとりわけエポキシドをベースとした液体接着材料および付着剤が使用されてきた(WO98/21287A1(特許文献1)、US4,051,195A(特許文献2)、US4,552,604A(特許文献3))。これらは強架橋により低い拡散項Dを示す。その主な使用分野は、剛性の装置の縁を貼り付けることであるが、中程度に柔軟な装置にも使用される。硬化は熱または紫外線によって行われる。硬化により収縮が生じるため、硬化の際に接着剤と土台の間にテンションがかかり、さらにこのテンションが層間剥離を引き起こし得るので、面全体を貼り付けることはほとんど不可能である。
【0015】
この液体接着材料の使用は一連の欠点を伴う。低分子成分(VOC−揮発性有機化合物)は、装置のうちの影響を受けやすい電子構造物を損傷させる可能性があり、生産中の取扱いを困難にする可能性がある。この接着材料は、装置のそれぞれの個々の構成要素に手間をかけて施さなければならない。正確な位置決めを保証するためには、高価なディスペンサおよび固定機構を調達する必要がある。加えてこの種の塗布は、高速で連続的なプロセスの妨げとなり、その後で必要なラミネート加工ステップ中も、低い粘性ゆえ、狭い制限範囲内での規定の層厚および貼付幅の達成が困難となる可能性がある。
【0016】
さらに、このような強架橋される接着材料は、硬化後には僅かな柔軟性しか示さない。熱架橋系の使用は低い温度範囲では制限され、または2成分系の場合は可使時間、つまりゲル化が起こるまでの処理時間によって制限される。高い温度範囲内、および特に長い反応時間の場合もまた、影響を受けやすい(光)電子構造物が、この種の系の使用可能性を制限する。(光)電子構造物に対する最高使用可能温度は時には60℃でしかない。なぜならこの温度を超えると既に事前損傷が生じる可能性があるからである。特に、有機電子機器を内包しており、かつ透明なポリマーフィルムにより、またはポリマーフィルムおよび無機層から成る複合体によりカプセル化された柔軟な装置は、使用の可能性を狭く制限する。これは、大きな圧力でのラミネート加工ステップにも当てはまることである。より良い保持性を達成するためには、ここでは温度負荷が掛かるステップをなくすこと、および比較的低い圧力でラミネート加工することが好ましい。
【0017】
最近では、熱硬化可能な液体接着材料の代わりに、放射線硬化型接着材料も度々使用されるようになっている(US2004/0225025A1(特許文献4))。放射線硬化型接着材料を使用することで、電子的装置に長期間持続する熱負荷が掛かることは回避される。
【0018】
特に、(光)電子的装置が柔軟であるべき場合には、使用される接着剤が剛性でありすぎず、かつ脆性でありすぎないことが重要である。したがって、このような貼付には感圧接着剤および熱活性化接着性の接着フィルムが特に適している。下地の表面をよく流れ、しかし同時に高い貼付強度を達成するため、接着剤は、最初はできるだけ軟性であり、ただし後で架橋できることが望ましい。架橋メカニズムとしては、接着剤の化学的なベースに応じ、温度硬化および/または放射線硬化を実施することができる。温度硬化が適度にゆっくりである一方で、放射線硬化は数秒以内に開始させることができる。したがって放射線硬化、特にUV硬化は、特に連続的な製造方法の場合に好ましい。
【0019】
DE102008060113A1(特許文献5)は、ブチレンブロックコポリマー、特にイソブチレンブロックコポリマーをベースとする感圧接着剤を利用して、浸透物に対し電子的装置をカプセル化するための方法、およびカプセル化方法におけるそのような接着剤の使用を記載している。DACP値およびMMAP値により特徴づけられた特定の樹脂をエラストマーと組み合わせることが好ましい。接着剤はこれに加えて透明であることが好ましく、かつUVブロック特性を示すことができる。バリア特性として、接着剤は、WVTR<40g/m・dおよびOTR<5000g/m・d barを有することが好ましい。この方法では、感圧接着剤を適用の最中および/または後に加熱することができる。感圧接着剤を、例えば放射線化学的に架橋することができる。このような架橋を有利に実施し得る物質クラスが提案されている。しかしながら、透明性および柔軟性が高い場合に、特に低い体積浸透性および界面浸透性を生じさせる具体的な例は示されていない。
【0020】
EP1518912A1(特許文献6)は、光カチオン硬化可能な化合物と、光カチオン開始剤とを含む、エレクトロルミネセンス要素のカプセル化のための接着剤を教示している。硬化は、光刺激により暗反応として行われる。接着剤はエポキシベースであることが好ましい。脂肪族水酸化物およびポリエーテルを共架橋性成分として添加することができる。これに加え、付着性および凝集性を調整するために接着樹脂を含むことができる。これにはポリイソブチレンも属し得る。個々の成分の適合性に関して特別な提示はなされておらず、ポリマーのモル質量についても提示されていない。
【0021】
JP4,475,084B1(特許文献7)は、有機エレクトロルミネセンス要素のための透明な封着剤を教示しており、この封着剤はブロックコポリマーをベースとすることができる。例としてSISおよびSBSならびに水素化された形態が挙げられている。しかしながら適用後の架橋を可能にする成分は示されていない。封着剤のバリア特性についてもほとんど論じていない。この封着層は特別なバリアの役割を果たさないようである。
【0022】
US2006/100299A1(特許文献8)は、US2006/100299A1(特許文献8)の意味における軟化温度が+60℃超のポリマーと、US2006/100299A1(特許文献8)の意味における軟化温度が+30℃未満の重合可能な樹脂と、樹脂とポリマーの間の反応を引き起こし得る開始剤とを含む感圧接着剤を開示している。しかし反応性に形成されたポリマーは汎用的には使用できず、したがってこのポリマーベースを選択する場合、さらなる特性および費用に関して制限がある。これに加え、官能化(それにより反応性が提供される)のすべての種類が、基礎極性の上昇、したがって水蒸気浸透性の望ましくない上昇をもたらす。イソブチレンまたはブチレンをベースとするコポリマーは挙げられておらず、ポリマーのモル質量については提示されていない。
【0023】
US2009/026934A1(特許文献9)は、有機エレクトロルミネセンス要素のカプセル化のための接着剤層を記載している。この接着剤は、ポリイソブチレンおよび水素化された炭化水素樹脂を含んでいる。適用後の架橋のため、様々な反応性樹脂およびエポキシドも用いることができる。WVTR値は、例では概して5〜20g/m・dである。OTR値は提示されていない。ポリイソブチレンポリマーは、コポリマーとして利用することができ、別の軟性モノマーとの共重合によって生成される。ポリマーのモル質量は、一般的には>500,000g/molである。
【0024】
WO2008/144080A1(特許文献10)は、カプセル化された影響を受けやすい有機層を備えた構成物を教示している。カプセル化は、硬化されたエラストマー性のラミネート用接着剤によって行われる。接着剤として、反応性オリゴマーおよび/またはポリマーおよび反応性モノマーから成る混合物が使用される。硬化は、放射線または熱によって行うことができる。発明の説明によれば、反応性は(メタ)アクリレート基によってもたらされる。エポキシ樹脂のカチオン硬化は、明確には挙げられていない。エラストマーベースとしてのコポリマーは挙げられておらず、ポリマーのモル質量についても提示されていない。
【0025】
US2010/0137530A1(特許文献11)は、エポキシ樹脂混合物をベースとする硬化可能な接着層を開示している。エポキシ樹脂の1つの種は低いモル質量を有しており、もう1つの種は比較的高いモル質量を有している。カチオン硬化され、UVにより開始される。エラストマーベースは規定されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】WO98/21287A1
【特許文献2】US4,051,195A
【特許文献3】US4,552,604A
【特許文献4】US2004/0225025A1
【特許文献5】DE102008060113A1
【特許文献6】EP1518912A1
【特許文献7】JP4,475,084B1
【特許文献8】US2006/100299A1
【特許文献9】US2009/026934A1
【特許文献10】WO2008/144080A1
【特許文献11】US2010/0137530A1
【特許文献12】EP1743928A1
【特許文献13】US6,908,722B1
【特許文献14】US4,231,951A
【特許文献15】US4,256,828A
【特許文献16】US4,058,401A
【特許文献17】US4,138,255A
【特許文献18】US2010/063221A1
【特許文献19】US3,729,313A
【特許文献20】US3,741,769A
【特許文献21】US4,250,053A
【特許文献22】US4,394,403A
【特許文献23】EP542716B1
【特許文献24】US2007/0135552A1
【特許文献25】WO02/026908A1
【特許文献26】WO00/41978A1
【特許文献27】EP1832558A1
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】Bulut U.、Crivello J.V.、J.Polym.Sci.2005、43、3205〜3220頁
【非特許文献2】A.G.Erlatら、「47th Annual Technical Conference Proceedings−Society of Vacuum Coaters」、2004、654〜659頁
【非特許文献3】M.E.Grossら「46th Annual Technical Conference Proceedings−Society of Vacuum Coaters」、2003、89〜92頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の課題は、例えばソーラーモジュール用の有機光電池の分野または有機発光ダイオード(OLED)の分野での、影響を受けやすい機能層への酸素および水蒸気の有害な影響を、有害な物質に対する優れたバリア作用によって阻止することができ、機能要素の様々な部品を相互に結合することができ、貼付プロセスにおいて取り扱いやすく、柔軟かつきれいな加工を可能にし、それにもかかわらずメーカーで簡単に処理し得る接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この課題は、請求項1でさらに詳しく特徴づけられているような接着剤によって解決される。従属請求項では本発明の有利な実施形態が記載されている。さらに、本発明による接着剤の使用が含まれる。
【0030】
したがって本発明は、
(a)少なくともコモノマー種としてのイソブチレンまたはブチレンと、仮想的ホモポリマーと見なして40℃超の軟化温度(softening temperature)を有する少なくとも1つのコモノマー種とを含む少なくとも1種のコポリマー、
(b)少なくとも部分的に水素化された接着樹脂の少なくとも1種、
(c)環状エーテルをベースとし、軟化温度が40℃未満、好ましくは20℃未満の反応性樹脂の少なくとも1種、
(d)カチオン硬化を開始するための光開始剤の少なくとも1種
を含む接着剤、好ましくは感圧接着剤に関する。
【0031】
これに関し、非晶質の物質では軟化温度はガラス転移温度に相当し、(半)結晶性の物質では軟化温度は溶融温度に相当する。
【0032】
接着材料の分野において、感圧接着剤は特にその永久接着性および柔軟性を特色とする。永久感圧接着性を有する材料は、付着特性と凝集特性の適切な組合せをどの時点でも有していなければならない。優れた接着特性のためには、付着特性と凝集特性のバランスが最適になるように感圧接着剤を調整することが肝心である。
【0033】
接着剤は、感圧接着剤、つまり室温で乾燥状態において永久接着性および永久接着能力を維持している粘弾性の接着剤であることが好ましい。軽い押圧により、即座にほぼすべての土台に接着する。
【0034】
本発明の好ましい一実施形態によれば、1種または複数のコポリマーは、モル質量M(重量平均)が300,000g/mol以下、好ましくは200,000g/mol以下の統計コポリマー(ランダムコポリマー)、交互コポリマー、ブロックコポリマー、星型コポリマー、および/またはグラフトコポリマーである。これに関し、比較的低い分子量はその比較的優れた加工性の故に好ましい。
【0035】
コポリマーとしては、例えば、少なくとも2つの異なるモノマー種から成り、モノマー種の少なくとも1つがイソブチレンまたはブチレンであり、少なくとも1つのさらなるモノマー種が、仮想的ホモポリマーと見なして40℃超の軟化温度を有するコモノマーである統計コポリマーが使用される。この第2のコモノマー種の有利な例は、ビニル芳香族類(部分的または完全に水素化された形態も)、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、およびイソボルニルアクリレートである。
【0036】
特に好ましい例はスチレンおよびαメチルスチレンであり、この列挙はすべてを網羅しているわけではない。
【0037】
さらに好ましくは、1種または複数のコポリマーは、軟化温度が−20℃未満の第1のポリマーブロック(「軟質ブロック」)の少なくとも1種と、軟化温度が+40℃超の第2のポリマーブロック(「硬質ブロック」)の少なくとも1種とを有するブロックコポリマー、星型コポリマー、および/またはグラフトコポリマーである。
【0038】
これに関し、軟質ブロックは非極性に形成されることが好ましく、かつブチレンまたはイソブチレンをホモポリマーブロックまたはコポリマーブロックとして含むことが好ましく、ブチレンまたはイソブチレンは好ましくはそれ自体と、または相互に、またはさらなる特に好ましい非極性コモノマーと共重合される。非極性コモノマーとしては、例えば(部分的に)水素化されたポリブタジエン、(部分的に)水素化されたポリイソプレン、および/またはポリオレフィンが適している。
【0039】
硬質ブロックは、ビニル芳香族類(部分的または完全に水素化された形態も)、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、および/またはイソボルニルアクリレートから形成されることが好ましい。特に好ましい例はスチレンおよびαメチルスチレンであり、この列挙はすべてを網羅しているわけではない。つまり硬質ブロックは、仮想的ホモポリマーと見なして40℃超の軟化温度を有する少なくとも1つのコモノマー種を含んでいる。
【0040】
特に有利な一実施形態では、前述の好ましい軟質ブロックおよび硬質ブロックが、1種または複数のコポリマーにおいて同時に実現されている。
【0041】
少なくとも1種のブロックコポリマーが、2つの末端にある硬質ブロックおよび1つの真ん中にある軟質ブロックから形成されるトリブロックコポリマーである場合が有利である。ジブロックコポリマーも、トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーから成る混合物もよく適している。
【0042】
非常に好ましいのは、ポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロック・ポリスチレン型のトリブロックコポリマーが用いられることである。このような系は、カネカ社からSIBStarの名称で、またBASF社からOppanol IBSの名称で公表されている。有利に使用可能なさらなる系がEP1743928A1(特許文献12)に記載されている。
【0043】
コポリマーが、イソブチレンまたはブチレンの部分を少なくとも1つのコモノマー種として含むことにより、非極性の接着剤が結果として生じ、この接着剤は、特に水蒸気に対して低い体積バリア特性を提供することが有利である。
【0044】
従来技術とは違いコポリマーのモル質量が低いことは、特に調合プロセスおよびコーティングプロセスにおいて、メーカーでの優れた加工性を可能にする。溶剤ベースのプロセスが望ましい場合、低いモル質量は、改善されたより迅速な可溶性をもたらす(特にイソブチレンポリマーおよびブチレンポリマーの場合、適切な溶剤の選択肢が少ない)。これに加え、溶液中の比較的高いコポリマー濃度が可能である。溶剤なしのプロセスでも、本発明による低いモル質量は、モル質量がより高い比較系の場合より融体の粘性が低いので有利なことが明らかである。
【0045】
モル質量の低下だけで、もちろんより優れた可溶性ならびに溶液および融体のより低い粘性が確かに生じる。しかしながら比較的低いモル質量により、例えば接着剤の凝集性のような適用技術的に重要な他の特性が損なわれる。これに関しては本発明により、少なくとも仮想的ホモポリマーの固有の軟化温度が40℃超の第2のコモノマー種を使用することで、効果的に対処される。
【0046】
本発明による接着剤は、少なくとも部分的に水素化された接着樹脂の少なくとも1種を含んでおり、有利には、コポリマーと適合するか、または硬質ブロックと軟質ブロックから形成されたコポリマーが用いられる場合には主に軟質ブロックと適合する接着樹脂(軟質樹脂)を含んでいる。
【0047】
この接着樹脂が、25℃超の接着樹脂軟化温度を有する場合が有利である。それだけでなく、これに加えて20℃未満の接着樹脂軟化温度を有する少なくとも1種の接着樹脂が用いられる場合が有利である。これについては必要に応じ、一方で接着技術的な挙動を、しかしもう一方では貼付下地上での表面流動挙動も微調整することができる。
【0048】
感圧接着剤において、樹脂としては、例えば、ロジンおよびロジン誘導体をベースとする部分的もしくは完全に水素化された樹脂、ジシクロペンタジエンの水素化ポリマー、C、C/C、またはCモノマー流をベースとする部分的、選択的、もしくは完全に水素化された炭化水素樹脂、α−ピネンおよび/またはβ−ピネンおよび/またはδ−リモネンをベースとするポリテルペン樹脂、好ましくは純粋なCおよびC芳香族類の水素化ポリマーが可能である。前述の接着樹脂は、単独で使用することも、混合して使用することも可能である。
【0049】
その際、室温で固体の樹脂も液体の樹脂も使用することができる。高い耐老朽化性およびUV安定性を保証するためには、水素化度が少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の水素化樹脂が好ましい。
【0050】
さらに、30℃より高いDACP値(ジアセトンアルコール曇り点)および50℃より高いMMAP値(混合メチルシクロヘキサンアニリン点)、特に37℃より高いDACP値および60℃より高いMMAP値を有する非極性樹脂が好ましい。DACP値およびMMAP値は、それぞれ特定の溶剤中での溶解度を示す。この範囲を選択することにより、特に高い浸透バリアが、とりわけ水蒸気に対して達成される。
【0051】
本発明による接着剤は、軟化温度が40℃未満、好ましくは20℃未満の、放射線化学的な架橋および場合によっては熱による架橋のための、環状エーテルをベースとする反応性樹脂の少なくとも1種をさらに含んでいる。
【0052】
環状エーテルをベースとする反応性樹脂は、特に、エポキシド、つまり少なくとも1つのオキシラン基を担持する化合物、またはオキセタンである。これらは、芳香族またはとりわけ脂肪族または環状脂肪族の性質のエポキシドまたはオキセタンであることができる。
【0053】
使用可能な反応性樹脂は、一官能性、二官能性、三官能性、四官能性、またはより高い官能性から多官能性に形成することができ、この官能性は環状エーテル基に関する。
【0054】
例は、これに制限されないが、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(EEC)および誘導体、ジシクロペンタジエンジオキシドおよび誘導体、3−エチル−3−オキセタンメタノールおよび誘導体、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルおよび誘導体、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルおよび誘導体、1,2−エタンジグリシジルエーテルおよび誘導体、1,3−プロパンジグリシジルエーテルおよび誘導体、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルおよび誘導体、より高級な1,n−アルカンジグリシジルエーテルおよび誘導体、ビス[(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル]アジペートおよび誘導体、ビニルシクロヘキシルジオキシドおよび誘導体、1,4−シクロヘキサンジメタノール−ビス−(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)および誘導体、4,5−エポキシテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルおよび誘導体、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)メチル)エーテルおよび誘導体、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテルおよび誘導体、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル(DGEBA)、水素化されたビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、水素化されたビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、エポキシフェノールノボラック、水素化されたエポキシフェノールノボラック、エポキシクレゾールノボラック、水素化されたエポキシクレゾールノボラック、2−(7−オキサビシクロスピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−(7オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン))、1,4−ビス((2,3−エポキシプロポキシ)メチル)シクロヘキサンである。
【0055】
反応性樹脂は、そのモノマーの形態で、またはダイマーの形態、トリマーの形態などからそのオリゴマーの形態でも用いることができる。
【0056】
反応性樹脂同士の混合物が、しかし他の共反応性化合物、例えばアルコール(一官能性もしくは多官能性)またはビニルエーテル(一官能性もしくは多官能性)との混合物も、同様に可能である。
【0057】
接着剤調合物は、反応性樹脂のカチオン硬化のための光開始剤の少なくとも1種をさらに含んでいる。カチオンUV硬化のための開始剤のなかで特に、スルホニウム、ヨードニウム、およびメタロセンをベースとする系を使用することができる。
【0058】
スルホニウムをベースとするカチオンの例としては、US6,908,722B1(特許文献13)(特に第10欄〜第21欄)における実施形態を参照されたい。
【0059】
上述のカチオンのための対イオンとして使われるアニオンの例としては、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、ヘキサフルオロホスフェート、過塩素酸塩、テトラクロロフェレート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート、ヘキサクロロアンチモネート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、およびトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドを挙げておく。さらに、特にヨードニウムをベースとする開始剤にはアニオンとして塩化物、臭化物、またはヨウ化物も考えられるが、実質的に塩素および臭素を含まない開始剤が好ましい。
【0060】
より具体的には、使用可能な系に属するのは、
・ スルホニウム塩(例えばUS4,231,951A(特許文献14)、US4,256,828A(特許文献15)、US4,058,401A(特許文献16)、US4,138,255A(特許文献17)、およびUS2010/063221A1(特許文献18)を参照)、例えばトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレート、
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
メチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、
トリトリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
アニシルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、
4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラフルオロボレート、
ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
(4−オクチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、
トリス[4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリス(ドデシルフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、
4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、
トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
フェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
5−メチルチアントレニウムヘキサフルオロホスフェート、
10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラフルオロボレート、
10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、5−メチル−10−オキソチアントレニウムテトラフルオロボレート、
5−メチル−10−オキソチアントレニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、
および5−メチル−10,10−ジオキソチアントレニウムヘキサフルオロホスフェートであり、
・ ヨードニウム塩(例えばUS3,729,313A(特許文献19)、US3,741,769A(特許文献20)、US4,250,053A(特許文献21)、US4,394,403A(特許文献22)、およびUS2010/063221A1(特許文献18)を参照)、例えばジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
フェニル−4−メチルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ(4−クロルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジナフチルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、
ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
フェニル−2−チエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
2,2’−ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ(2,4−ジクロルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−ブロムフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジアリールヨードニウムトリストリフルオロメチルスルホニルメチド、例えばジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ジアリールヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、例えばジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
(4−n−シロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラシロキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラシロキシ)フェニル]フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラシロキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラシロキシ)フェニル]フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルホネート、
ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフレート、
ジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウムビスルフェート、
4,4’−ジブロモジフェニルヨードニウムビスルフェート、
3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウムビスルフェート、
4,4’−ビス−スクシンイミドジフェニルヨードニウムビスルフェート、3−ニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、
4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウムビスルフェート、
ビス−(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、
および(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであり、ならびに
・ フェロセニウム塩(例えばEP542716B1(特許文献23)を参照)、例えばη(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−[(1,2,3,4,5,6,9)−(1−メチルエチル)ベンゼン]鉄である。
【0061】
市販の光開始剤の例は、Union Carbide社のCyracure UVI−6990、Cyracure UVI−6992、Cyracure UVI−6974、およびCyracure UVI−6976、Adeka社のOptomer SP−55、Optomer SP−150、Optomer SP−151、Optomer SP−170、およびOptomer SP−172、三新化学工業のSan−Aid SI−45L、San−Aid SI−60L、San−Aid SI−80L、San−Aid SI−100L、San−Aid SI−110L、San−Aid SI−150L、およびSan−Aid SI−180L、Sartomer社のSarCat CD−1010、SarCat CD−1011、およびSarCat CD−1012、Degussa社のDegacure K185、Rhodia社のRhodorsil Photoinitiator2074、日本曹達のCI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064、CI−2734、CI−2855、CI−2823、およびCI−2758、IGM Resins社のOmnicat320、Omnicat430、Omnicat432、Omnicat440、Omnicat445、Omnicat550、Omnicat550BL、およびOmnicat650、Daicel社のDaicat II、Daicel−Cytec社のUVAC1591、3M社のFFC509、みどり化学のBBI−102、BBI−103、BBI−105、BBI−106、BBI−109、BBI−110、BBI−201、BBI,301、BI−105、DPI−105、DPI−106、DPI−109、DPI−201、DTS−102、DTS−103、DTS−105、NDS−103、NDS−105、NDS−155、NDS−159、NDS−165、TPS−102、TPS−103、TPS−105、TPS−106、TPS−109、TPS−1000、MDS−103、MDS−105、MDS−109、MDS−205、MPI−103、MPI−105、MPI−106、MPI−109、DS−100、DS−101、MBZ−101、MBZ−201、MBZ−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、NAI−109、NAI−1002、NAI−1003、NAI−1004、NB−101、NB−201、NDI−101、NDI−105、NDI−106、NDI−109、PAI−01、PAI−101、PAI−106、PAI−1001、PI−105、PI−106、PI−109、PYR−100、SI−101、SI−105、SI−106、およびSI−109、日本化薬のKayacure PCI−204、Kayacure PCI−205、Kayacure PCI−615、Kayacure PCI−625、Kayarad220、およびKayarad620、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T、三和ケミカルのTS−01およびTS−91、Deuteron社のDeuteron UV1240、Evonik社のTego Photocompound1465N、GE Bayer Silicones社のUV9380C−D1、Cytec社のFX512、Bluestar Silicones社のSilicolease UV Cata211、ならびにBASF社のIrgacure250、Irgacure261、Irgacure270、Irgacure PAG103、Irgacure PAG121、Irgacure PAG203、Irgacure PAG290、Irgacure CGI725、Irgacure CGI1380、Irgacure CGI1907、およびIrgacure GSID26−1である。
【0062】
当業者には、同様に本発明により使用可能なさらなる系が知られている。光開始剤は組み合わせずに用いられるか、または2種以上の光開始剤の組合せとして用いられる。
【0063】
350nm未満で有利には250nm超で吸収を示す光開始剤が有利である。350nm超、例えば紫色の光の領域内で吸収する開始剤も使用可能である。スルホニウムをベースとする光開始剤は、有利なUV吸収特性を有しているので特に好ましく用いられる。
【0064】
さらに、酸化還元プロセスにおいて光開始剤を還元する光増感剤を用いることができる。このプロセスにおいて本来の光開始剤は分解され、その際に反応性カチオンが形成され、この反応性カチオンがカチオン重合を開始させ得る。この種の反応操作は、比較的高波長でのカチオン重合の開始を可能にする。このような光増感剤の例は、ジフェノールメタノンおよび誘導体、例えばIrgacure651のようなアセトフェノン誘導体、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセンおよび9−ヒドロキシメチルアントラセンのようなアントラセン誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、および4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ケトンのようなフェニルケトン誘導体(Irgacure184、Darocur1173、Irgacure2959)、ならびに4−イソプロピル−9−チオキサンテノンまたは1−クロロ−4−プロポキシチオキサンテノンのようなチオキサンテノン誘導体である。
【0065】
光開始剤と増感剤の特に好ましい組合せは、ジアリールヨードニウムをベースとする光開始剤とアセトフェノン増感剤の組合せに関してそうであるように、またBulut U.、Crivello J.V.、J.Polym.Sci.2005、43、3205〜3220頁(非特許文献1)に記載されているように、中間生成物の異なる酸化還元電位および遅延ポテンシャルを考慮に入れる。
【0066】
感圧接着剤は、電子的装置への適用後に初めて部分的または最終的に架橋されるのが好ましい。
【0067】
接着剤には、老朽化防止剤(オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、光保護剤など)のような通常の混和剤を添加することができる。
【0068】
接着剤のための添加剤として利用できるのは、典型的には、
・可塑剤、例えば可塑化オイル、もしくは例えば低分子ポリブテンなどの低分子液体ポリマー
・一次酸化防止剤、例えば立体障害フェノール
・二次酸化防止剤、例えばホスファイトもしくはチオエーテル
・プロセス安定化剤、例えばC−ラジカルスカベンジャー
・光保護剤、例えばUV吸収剤もしくは立体障害アミン
・加工助剤
・湿潤添加剤
・付着促進剤
・末端ブロック強化樹脂、ならびに/または
・場合によっては、好ましくはエラストマー性質のさらなるポリマー;これに対応して利用可能なエラストマーに含まれるのは、なかでも純粋な炭化水素をベースとするエラストマー、例えば天然のもしくは合成されたポリイソプレンもしくはポリブタジエンのような不飽和ポリジエン、化学的に実質的に飽和状態のエラストマー、例えば飽和エチレンプロピレンコポリマー、α−オレフィンコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、および化学的に官能化された炭化水素、例えばハロゲン含有の、アクリレート含有の、アリル含有の、もしくはビニルエーテル含有のポリオレフィンである。
【0069】
混和剤または添加剤は必ず必要なわけではなく、接着剤は、混和剤または添加剤を単独でまたは任意に組み合わせて添加しなくても機能する。
【0070】
有利には、本発明による感圧接着剤において充填剤を用いることができる。好ましくは、接着剤の充填剤としてナノスケールのおよび/または透明な充填剤が使用される。ここでは、充填剤が少なくとも一つの次元で最大限の延びが約100nm、好ましくは約10nmである場合に、その充填剤をナノスケールと呼ぶ。特に好ましいのは、小板状の晶子構造および高いアスペクト比を有する塊状で透明な充填剤が、均質な分布で使用されることである。小板状の晶子構造および100を大きく超えるアスペクト比を有する充填剤は、一般的に数nmの厚さしか有さないが、晶子の長さもしくは幅は最大数μmであり得る。このような充填剤もナノ粒子と呼ぶ。加えて、充填剤の、寸法の小さな粒子状の形態は、感圧接着剤の透明な形態のために特に有利である。
【0071】
接着材料マトリクス中で、前述の充填剤によりラビリンス状の構造を構成することにより、例えば酸素および水蒸気の拡散経路は、酸素および水蒸気が接着材料層を通り抜けて浸透することを減少させるように延長される。結合剤マトリクス中でのこの充填剤の分散性が改善されるように、この充填剤の表面を有機化合物により変性することができる。このような充填剤の使用自体は、例えばUS2007/0135552A1(特許文献24)およびWO02/026908A1(特許文献25)から知られている。
【0072】
本発明のさらなる有利な一実施形態では、酸素および/または水蒸気と特別なやり方で相互作用し得る充填剤も使用される。この場合、(光)電子的装置内に侵入する酸素または水蒸気は、この充填剤と化学的または物理的に結合される。この充填剤は「ゲッター」、「スカベンジャー」、「乾燥剤」、または「吸収剤」とも呼ばれる。このような充填剤には、これに限定されないが例として挙げるとすれば、酸化性金属と、金属および遷移金属のハロゲン化物、塩、ケイ酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩と、過塩素酸塩と、活性炭およびその変種とが含まれる。例として、塩化コバルト、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカゲル)、酸化アルミニウム(活性アルミニウム)、硫酸カルシウム、硫酸銅、亜ジチオン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、ゼオライト、およびアルカリ(土類)金属の酸化物、例えば酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、および酸化マグネシウム、またはカーボンナノチューブも挙げられる。例えばポリオレフィンコポリマー、ポリアミドコポリマー、PETコポリエステルのような有機吸収剤、またはたいていは例えばコバルトのような触媒と組み合わせて使用されるハイブリッドポリマーをベースとしたさらなる吸収剤もさらに使用することができる。さらなる有機吸収剤は、例えば弱架橋されたポリアクリル酸、アスコルベート、グルコース、没食子酸、または不飽和油脂である。
【0073】
バリア作用に関する充填剤のできるだけ優れた有効性を達成するためには、充填剤の割合が少なくなり過ぎないようにするべきである。この割合は、好ましくは少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%、およびとりわけ好ましくは少なくとも15重量%である。典型的には、接着剤の接着力を著しく低下させ過ぎない、または他の特性を損なうことのない、できるだけ高い割合で充填剤を使用する。充填剤の割合は、充填剤のタイプに応じて40重量%超〜70重量%に達し得る。
【0074】
さらに、充填剤ができるだけ細かく分布し、かつ表面積ができるだけ大きいことが有利である。これは、より高い効率およびより高い積載能力を可能にし、特にナノスケールの充填剤によって達成される。
【0075】
充填剤は必ず必要なわけではなく、接着剤は、充填剤を単独でまたは任意に組み合わせて添加しなくても機能する。
【0076】
さらに好ましいのは、特定の実施形態ではスペクトルの可視光(約400nm〜800nmの波長領域)内で透明な接着剤を使用することである。所望の透明性は、特に無色の接着樹脂を使用することで、および(軟質ブロックを有するブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーのようなミクロ相分離した系における)コポリマーと接着樹脂の相溶性を、ただし反応性樹脂との相溶性も調整することで、達成することができる。このために反応性樹脂は、脂肪族および環状脂肪族の系から選択されるのが有利である。したがって、このような感圧接着剤は、(光)電子構造物を覆う面全体での使用にも適している。面全体を貼り付けることは、電子構造物がほぼ中心に配置される場合、縁封止に比べ、浸透物が構造物に達する前に浸透物が面全体にくまなく拡散しなければならないという利点を提供する。これにより浸透経路が明らかに延長される。浸透経路は透過性に反比例するので、この実施形態において、例えば液体接着材料による縁封止に比べて延長された浸透経路は、総合的なバリア性に良い影響を及ぼす。
【0077】
その際「透明性」とは、光の可視領域において、接着剤の平均透過率が少なくとも75%、好ましくは90%より高いことを意味し、この考察は未補整の、つまり界面反射損失を差し引いていない透過率に関している。
【0078】
接着剤のヘイズは、5.0%未満、好ましくは2.5%未満を示すのが好ましい。
【0079】
感圧接着剤の製造および処理は、溶液、分散液、および融体の状態で行うことができる。好ましくは溶液または融体の状態で製造および処理が行われる。特に好ましいのは溶液状態の接着剤を製造することである。その際、感圧接着剤の成分は、適切な溶剤、例えばトルエン中、またはベンジンおよびアセトンから成る混合物中に溶解されており、一般的に知られている方法により支持体上に施される。融体状態で処理する場合、これはノズルまたはカレンダ機を用いた塗布方法であり得る。溶液状態での方法に関しては、いくつかの方法だけを挙げるとすれば、ドクターブレード、ナイフ、ローラ、またはノズルによるコーティングが知られている。
【0080】
溶剤なしのプロセスでは、コーティング温度によりコーティング結果に影響を及ぼすことができる。透明な接着層を得るためのプロセスパラメータは当業者に公知である。溶剤コーティングプロセスでは、溶剤または溶剤混合物の選択によりコーティング結果に影響を及ぼすことができる。これに関しても、適切な溶剤の選択は当業者に公知である。100℃未満で沸騰する特に非極性の溶剤と、100℃超で沸騰する溶剤、特に芳香族の溶剤との組合せが非常によく適している。
【0081】
溶液または融体の状態でのコーティングが有利である。これに関しては、既に上で詳述したように、本発明による調合物が大きな利点を提供する。
【0082】
本発明による接着剤は、片面または両面で接着性の接着テープにおいて使用し得ることが特に有利である。この種の提供形態は、接着剤の特に簡単かつ均一な適用を可能にする。
【0083】
この場合、「接着テープ」という一般的な表現は、片面または両面に(感圧)接着剤が施された支持体材料を含んでいる。この支持体材料は、すべての平面的な形成物、例えば2次元に延びたフィルムまたはフィルム切片、延びた長さおよび限られた幅を有するテープ、テープ切片、ダイカット(例えば(光)電子的装置の縁取りまたは境界画定の形で)、多層構成物、およびその類似物を含む。その際、多様な用途のために、例えばフィルム、織布、不織布、および紙のような非常に様々な支持体を接着剤と組み合わせることができる。さらに「接着テープ」という表現には、いわゆる「転写式接着テープ」、つまり支持体のない接着テープも含まれる。転写式接着テープの場合、接着剤はむしろ適用前に、剥離層を備えかつ/または抗付着特性を有する柔軟なライナーの間に施されている。適用するためには、通常はまず1枚のライナーを取り除き、そして接着剤を適用し、その後、第2のライナーを取り除く。したがってこの接着剤は、(光)電子的装置内の2つの表面を結合するために直接的に使用することができる。
【0084】
ただし、2枚のライナーを用いてではなく、1枚だけの両面で剥離性に加工されたライナーを用いて作られる接着テープも可能である。この場合、接着テープシートはその上面が、両面で剥離性に加工されたライナーの片面で覆われており、接着テープシートの下面は、両面で剥離性に加工されたライナーの背面、特に巻物またはロールでの1つ隣りの巻きによって覆われている。
【0085】
接着テープの支持体材料として、ここではポリマーフィルム、複合フィルム、または有機層および/もしくは無機層を備えたフィルムもしくは複合フィルムを使用することが好ましい。このようなフィルム/複合フィルムは、フィルム製造に使用されるすべての一般的に流通しているプラスチックから成ることができ、これに限定されないが例として挙げるとすれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、特に1軸延伸もしくは2軸延伸により生成された配向ポリプロピレン(OPP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルスルホン(PES)、またはポリイミド(PI)である。
【0086】
加えて支持体は、有機または無機のコーティングまたは層と組み合わせることができる。これは例えば塗装、印刷、蒸着、スパッタリング、共押出し、またはラミネート加工のような通常の方法によって行うことができる。これに限定されないが例として挙げるとすれば、ここでは例えばケイ素およびアルミニウムの酸化物もしくは窒化物、酸化インジウムスズ(ITO)、またはゾルゲルコーティングである。
【0087】
薄いガラスから成る支持フィルムも、支持フィルムとして非常に優れている。この薄いガラスの層厚は、例えば1mm未満、それどころか30μmである。Schott社のD263TまたはCorning社のWillow Glassが入手可能である。薄いガラスフィルムは、所望であれば、転写式接着テープでプラスチックフィルム(例えばポリエステル)をラミネートすることによりさらに安定化させることができる。
【0088】
好ましくは、薄いガラスとして厚さが15〜200μm、好ましくは20〜100μm、さらに好ましくは25〜75μm、特に好ましくは30〜50μmの薄いガラスが用いられる。
【0089】
有利には、Schott社のD263T ecoのようなホウケイ酸ガラス、アルカリ・アルカリ土類シリカガラス、または同様にSchott社のAF32 ecoのようなアルミノホウケイ酸ガラスが用いられる。
【0090】
AF32 ecoのようなアルカリを含有しない薄いガラスは、UV透過率が比較的高いので有利である。したがってUV硬化型接着剤系に対し、吸収ピークがUV−C領域の開始剤をより良好に使用することができ、これは、未架橋接着剤の日光に対する安定性を上昇させる。
【0091】
D263T ecoのようなアルカリを含有する薄いガラスは、熱膨張係数が比較的高く、さらなるOLED構成物のポリマー成分とより良好に適合するので有利である。
【0092】
このようなガラスは、WO00/41978A1(特許文献26)で言及されているようなダウンドロープロセスにおいて、または例えばEP1832558A1(特許文献27)で開示されているような方法において製造することができる。WO00/41978A1(特許文献26)では、薄いガラスと、ポリマー層またはポリマーフィルムとから成る複合体を製造する方法がさらに開示されている。
【0093】
これらのフィルム/複合フィルム、特にポリマーフィルムは、酸素および水蒸気に対する浸透バリアを有することが特に好ましく、その際この浸透バリアは、包装分野に対する要求を上回る(WVTR<10−1g/(md)およびOTR<10−1cm/(md bar))。
【0094】
薄いガラスフィルムまたは薄いガラスフィルムの複合体の場合、ガラスの内在的に高いバリア特性により、対応するコーティングは必要ない。
【0095】
薄いガラスフィルムまたは薄いガラスフィルムの複合体は、ポリマーフィルムでも一般的であるように、ロールからのテープとして提供されるのが好ましい。これに対応するガラスは、既にCorning社からWillow Glassの名称で提供されている。この納入形態は、好ましくは同様にシート状で提供される接着剤と、とりわけうまくラミネートすることができる。
【0096】
さらにフィルム/複合フィルムは、好ましい形態では透明に形成することができ、したがってこのような接着用品の構成全体も透明に形成される。またここでは、「透明性」とは、光の可視領域での平均透過率が少なくとも75%、好ましくは90%より高いことを意味する。
【0097】
両面で(自己)接着性の接着テープの場合、上側および下側の層として、同じもしくは異なる種類および/または同じもしくは異なる層厚の本発明による接着剤を使用することができる。その際、支持体の片面または両面を、従来技術に対応して前処理することができ、これにより例えば接着剤の定着性が改善される。片面または両面に例えばバリア層として機能し得る機能層を備えることもできる。これらの感圧接着剤層を、任意選択で剥離紙または剥離フィルムで覆うことができる。その代わりに一方の接着剤層だけを、両面で剥離性のライナーで覆うこともできる。
【0098】
一変形形態では、両面で(自己)接着性の接着テープにおいて、本発明による接着剤と、任意のさらなる接着剤、例えばカバー土台に特に良好に付着するかまたは特に優れた再配置性を示す接着剤とが規定されている。
【0099】
接着剤および場合によってはそれを用いて形成された接着テープは、この接着剤または接着テープが電子的装置のカプセル化すべき領域の上および/または周囲に適用されることにより、浸透物に対する電子的装置のカプセル化にさらにとりわけ適している。
【0100】
ここでは、前述の感圧接着剤によって完全に取り囲むことだけをカプセル化と呼ぶのではなく、(光)電子的装置のカプセル化すべき領域上での感圧接着剤の部分的な適用、例えば電子構造物の片面を覆うこと、または縁取ることも既にカプセル化と言う。
【0101】
原理的には、接着テープを用いて2種類のカプセル化を実施することができる。接着テープを予め型抜きし、カプセル化すべき領域の周囲だけに貼り付けるか、または接着テープをカプセル化すべき領域の面全体に接着する。第2の変形形態の利点は、より簡単な取扱いおよびしばしばより良好な保護である。
【0102】
本発明はまず、前述の欠点にもかかわらず、感圧接着剤に関してこれまで述べた欠点が生じないか、または比較的軽度にしか生じない(感圧)接着剤を、電子的装置をカプセル化するために使用することができるという知見に基づいている。つまり、少なくともコモノマー種としてのイソブチレンまたはブチレンと、仮想的ホモポリマーと見なして40℃超の軟化温度を有する少なくとも1つのコモノマー種とを含むコポリマーをベースとする接着剤が、電子的装置のカプセル化に特に適していることが分かった。
【0103】
この接着剤は、好ましくは感圧接着剤なので、事前固化を行う必要がないため、適用が非常に簡単である。感圧接着剤は、柔軟なかつきれいな加工を可能にする。感圧接着テープとして提供することで、感圧接着剤の量を簡単に配量することもでき、かつ溶剤の排出もない。感圧接着剤は、1種または複数の目標土台上への適用の少なくとも後に、光開始剤の刺激により架橋される。
【0104】
つまり、他の感圧接着剤と比較した本発明の利点は、様々な土台への優れた界面付着性を同時に伴う、酸素およびとりわけ水蒸気に対する非常に優れたバリア特性と、良好な凝集特性と、液体接着材料に比べて非常に高い柔軟性と、(光)電子的装置内での、およびカプセル化の際の/カプセル化における簡単な適用とからの組合せである。さらに特定の実施形態では高透明性の接着剤もあり、この接着剤は、入射光または出射光の減少を非常に少なく保つので、特に(光)電子的装置内での用途に使用することができる。
【0105】
平面的なバリア材料(例えばガラス、特に薄いガラス、金属酸化物をコーティングしたフィルム、金属フィルム、多層の土台材料)で、(光)電子構成物の少なくとも一部をラミネート加工することによるカプセル化は、非常に優れたバリア作用を伴いつつ、簡単なロール・ツー・ロール・プロセスにおいて可能である。構成物全体の柔軟性は、感圧接着剤の柔軟性のほかに、(光)電子構成物もしくは平面的なバリア材料の幾何形状および厚さのようなさらなる要因に左右される。それでも感圧接着剤の高い柔軟性は、非常に薄く、曲げやすく、かつ柔軟な(光)電子構成物の実現を可能にする。
【0106】
(光)電子構成物のカプセル化に特に有利なのは、感圧接着剤の適用の前、最中、または後で(光)電子構成物が加熱される場合である。これにより感圧接着剤は、なおより表面を流れやすくなり、したがって(光)電子的装置と感圧接着剤との間の界面での浸透をさらに低減させることができる。その際の温度は、表面流動を相応に促進するためには、好ましくは30℃超、さらに好ましくは50℃超であることが望ましい。ただし、(光)電子的装置を損傷させないよう、高すぎる温度を選択しないことが望ましい。温度はできるだけ100℃未満にするべきである。最適な温度範囲は50℃〜70℃の間の温度であることが分かった。それに加えてまたはその代わりに、感圧接着剤が適用の前、最中、または後で加熱される場合も有利である。
【0107】
まとめると、本発明による接着剤は、(光)電子的装置のカプセル化に用いられる接着剤に課されるすべての要件を満たしている。すなわち、
・水蒸気および酸素の低い体積浸透性、これは、WVTRの値(Mocon)が10g/md未満で、OTRの値(Mocon)が1000cm/m・d・bar未満であることから明らかである。
・水蒸気および酸素の低い界面浸透性、これは、WVTRの値(Ca試験)が1g/md未満であることから明らかであり、目標土台上への接着剤の優れた表面流動をもたらす。
・任意選択であるが好ましくは、透過率が好ましくは90%超の高い透明性
・任意選択であるが好ましくは、5.0%未満、好ましくは2.5%未満のヘイズ
・例えばロール・ツー・ロール・プロセスにおける秀でたラミネート挙動、これは、ガラス上での未架橋の系の接着力が1.5N/cm超、好ましくは2.5N/cm超、およびガラス上での架橋された系の動的せん断強度が25N/cm超、好ましくは50N/cm超、非常に好ましくは100N/cm超であることから明らかである。
【0108】
以下に、本発明のさらなる詳細、目的、特徴、および利点を、好ましい例示的実施形態を示す複数の図に基づきさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】第1の(光)電子的装置の概略図である。
図2】第2の(光)電子的装置の概略図である。
図3】第3の(光)電子的装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0110】
図1は、(光)電子的装置1の第1の形態を示している。この装置1は土台2を有しており、この土台上に電子構造物3が配置されている。この土台2自体が浸透物に対するバリアとして形成されており、したがって電子構造物3のカプセルの一部を構成している。電子構造物3の上方には、しかもここでは電子構造物から空間的に間隔をあけて、バリアとして形成されたさらなるカバー4が配置されている。
【0111】
電子構造物3を側面の側でもカプセル化すると同時にカバー4を電子的装置1のその他の部分と結合させるために、感圧接着剤5が、電子構造物3の横で周囲を取り囲むように、土台2上に配置されている。他の実施形態では、カプセル化は、そのままの感圧接着剤5によってではなく、少なくとも1種の本発明による感圧接着剤を含む接着テープ5によって行われる。感圧接着剤5はカバー4を土台2と結合させる。これに加え感圧接着剤5は、相応に厚い形態により電子構造物3からカバー4を離隔することを可能にする。
【0112】
感圧接着剤5は、上で一般的な形で述べられ、かつ以下に例示的実施形態においてさらに詳しく説明するような、本発明による感圧接着剤をベースとする感圧接着剤である。感圧接着剤5は、ここでは土台2をカバー4と結合させる機能を担うだけでなく、加えて浸透物に対するバリア層も提供しており、こうして電子構造物3を、水蒸気および酸素のような浸透物に対して側面からもカプセル化している。
【0113】
加えてここでは、感圧接着剤5が両面接着テープから成るダイカットの形において提供されている。このようなダイカットは特に簡単な適用を可能にする。
【0114】
図2は、(光)電子的装置1の代替策としての形態を示している。ここでもまた、土台2上に配置されており、かつ土台2によって下からカプセル化されている電子構造物3が示されている。この場合は電子構造物の上および側面で、感圧接着剤5が面全体に配置されている。したがって、電子構造物3は、上から完全に、感圧接着剤5によってカプセル化される。その後、感圧接着剤5上にカバー4が施される。このカバー4は、前述の形態とは異なり、既に感圧接着剤によりバリアが提供されているので、必ずしも高いバリア要求を満たす必要はない。カバー4は、例えば単に機械的な保護機能を果たすだけでよく、ただしこのカバーをさらに浸透バリアとして設けてもよい。
【0115】
図3は、(光)電子的装置1のさらなる代替策としての形態を示している。これまでの形態とは異なり、この場合は2つの感圧接着剤5a、5bが設けられており、これらの感圧接着剤は、ここでは同一に形成されている。第1の感圧接着剤5aは、土台2上で面全体に配置されている。感圧接着剤5a上に電子構造物3が配置され、この電子構造物は感圧接着剤5aによって固定される。それから、感圧接着剤5aおよび電子構造物3から成るこの複合体は、さらなる感圧接着剤5bにより面全体を覆われ、したがって電子構造物3は感圧接着剤5a、5bによりすべての面においてカプセル化される。その後、ここでもまた感圧接着剤5b上にカバー4が設けられる。
【0116】
したがってこの形態では、土台2もカバー4も、必ずしもバリア特性を有する必要はない。しかしそれでもなお、電子構造物3への浸透物の浸透をさらに制限するためには、バリア特性を付与することができる。
【0117】
特に図2図3に関し、これが概略図であることを指摘しておく。これらの図からは、特に、感圧接着剤5がここでは、また好ましくは、それぞれ均質な層厚で塗布されていることが明白ではない。つまり電子構造物への移行部では、図でそう見えるような鋭いエッジが形成されるのではなく、移行部は境界がはっきりせず、そしてむしろ、気体で満たされたまたは満たされていない小さな領域が残り得る。しかしながら場合によっては、特に真空下または昇圧下で適用が実施される場合は、下地に適合させることもできる。さらに、感圧接着剤は局所的に異なる強さで圧迫されるため、流動プロセスによってエッジ構造部での高さの差をある程度ならすことができる。図示した寸法も原寸に比例しているわけではなく、むしろわかりやすい表現だけを目的としたものである。特に電子構造物自体は一般的に比較的平べったく形成されている(しばしば1μm厚未満)。
【0118】
図示したすべての例示的実施形態では、感圧接着剤5の適用が感圧接着テープの形で行われている。これは原則的には、支持体を備えた両面感圧接着テープ、または転写式接着テープであり得る。ここでは転写式接着テープとしての形態が選択されている。
【0119】
転写式接着テープとしての、または平面的な形成物上にコーティングされて存在する感圧接着剤の厚さは、好ましくは約1μm〜約150μmの間、さらに好ましくは約5μm〜約75μmの間、および特に好ましくは約12μm〜50μmの間である。50μm〜150μmの間の大きな層厚は、土台への付着性の改善および/または(光)電子構成物内での緩衝作用を達成すべき場合に用いられる。ただしこの場合は浸透断面積の増大という欠点がある。1μm〜12μmの間の小さな層厚は、浸透断面積、したがって横からの浸透、および(光)電子構成物の全体厚を減少させる。ただしこれは、土台への付着性を低下させる。厚さの特に好ましい範囲内では、接着剤の薄い厚さと、その結果としての、横からの浸透を減少させる小さな浸透断面積と、十分に付着する結合を生み出すための十分に厚い接着剤膜との間での優れた妥協が見られる。最適な厚さは、(光)電子構成物、最終用途、感圧接着剤の実施形態の種類、および場合によっては平面的な土台に応じて決まる。
【0120】
両面接着テープに関し、(複数の)バリア接着剤に対しても、個々の(複数の)感圧接着剤層の厚さが好ましくは約1μm〜約150μmの間、さらに好ましくは約5μm〜約75μmの間、特に好ましくは約12μm〜50μmの間であることが適用される。両面接着テープにおいて、一方の本発明によるバリア接着剤と共にさらなるバリア接着剤が使用される場合、さらなるバリア接着剤の厚さが150μm超である場合も有利であり得る。
【0121】
以下に、いくつかの例により本発明をさらに詳しく説明するが、それにより本発明を制限する意図はない。
【0122】
試験法
接着力
接着力の決定は以下のように実施した。すなわち、規定の被接着下地としてガラスプレート(フロートガラス)を用いた。貼付可能な平面要素には、比較的容易に剥離するライナーの側に、36μmのPETフィルムを貼り合わせた。試験すべき貼付可能な平面要素を幅20mmおよび長さ約25cmに裁断し、把持区間を設け、その直後に4kgのスチールローラを用いて10m/minの送りで、それぞれ選択された被接着下地に5回押しつけた。その後すぐ、このようにして貼り付けた平面要素を、引張試験機(Zwick社)を用いて180°の角度で、室温および300mm/minで被接着下地から剥ぎ取り、このために必要な力を測定した。測定値(単位はN/cm)は、3回の個別の測定からの平均値として示した。試験は、未架橋のサンプルで行われた。
【0123】
酸素(OTR)および水蒸気(WVTR)に関する浸透性
酸素(OTR)および水蒸気(WVTR)に関する浸透性の決定は、DIN53380の第3部またはASTM F−1249に基づいて行われる。このために感圧接着剤を50μmの層厚で、透過性の膜の上に置く。酸素透過性は23℃および相対湿度50%で、測定機Mocon OX−Tran2/21を用いて測定する。水蒸気透過性は37.5℃および相対湿度90%で決定する。
【0124】
耐用期間試験
電子構成物の耐用期間を決定するための尺度としてカルシウム試験を採用した。カルシウム試験を図4に示している。これについては真空中で、20×20mmの大きさの薄いカルシウム層23をガラスプレート21上に堆積させ、その後、窒素雰囲気下で貯蔵する。カルシウム層23の厚さは約100nmである。カルシウム層23をカプセル化するために、試験すべき接着剤22および支持体材料としての柔軟な薄いガラス板24(35μm、Schott社)を備えた接着テープ(26×26mm)を使用する。薄いガラス板は安定化のため、光学的に高透明性のアクリレート感圧接着剤の50μm厚の転写式接着テープ25により、100μm厚のPETフィルム26でラミネートしていた。接着剤22がすべての側ではみ出した3mmの縁(A−A)を設けてカルシウム面23を覆うように、接着剤22をガラスプレート21上に適用する。非透過性のガラス支持体24により、感圧接着剤を通るかまたは界面に沿った浸透だけが確定される。
【0125】
この試験は、例えばA.G.Erlatら、「47th Annual Technical Conference Proceedings−Society of Vacuum Coaters」、2004、654〜659頁(非特許文献2)、およびM.E.Grossら「46thAnnual Technical Conference Proceedings−Society of Vacuum Coaters」、2003、89〜92頁(非特許文献3)に記載されているような、カルシウムと水蒸気および酸素との反応に基づいている。この場合、水酸化カルシウムおよび酸化カルシウムへの変化によって増大するカルシウム層の光透過性が監視される。この変化は、上述の試験構成の場合は縁から起こり、したがってカルシウム面の可視面積が減少していく。カルシウム面の光吸収が半減するまでの時間を耐用期間と言う。この場合、この方法により、カルシウム面の面積の縁からの消失および面積内での点状の消失も、面全体の消失によるカルシウム面の層厚の均質な減少も捉えられる。
【0126】
測定条件として、60℃および相対湿度90%が選択される。サンプルは、感圧接着剤を25μmの層厚で面全体に気泡なく貼り付けられた。測定値(単位はh)は、3回の個別の測定からの平均値として示した。
【0127】
これに加え、カルシウム面の完全な消失までの時間から水蒸気浸透速度(Ca−WVTR)が算出される。これに関しては、浸透した水蒸気の質量を確定するため、蒸着させたカルシウムの質量に係数0.9を掛け合わせる(金属カルシウムから透明な水酸化カルシウムへの転化反応に関する質量比HO/Ca)。この質量は、浸透断面積(試験構成の周囲長×接着剤厚さ)およびカルシウム面の完全な消失までの時間に関している。算出された測定値をすべての側ではみ出した縁(単位はmm)の幅でさらに割り、これにより1mmの浸透距離で規格化される。Ca−WVTRの提示は、g/m・dで行われる。
【0128】
接着樹脂軟化温度
接着樹脂軟化温度は、環球法として知られておりASTM E28に基づいて標準化されている該当する方法論に基づいて実施される。
【0129】
樹脂の接着樹脂軟化温度の決定には、Herzog社の環球式自動装置HRB754を使用する。最初に樹脂サンプルを細かくすりつぶす。結果として生じた粉末を、底穴の開いた真鍮製シリンダ(シリンダの上部での内径20mm、シリンダの底穴の直径16mm、シリンダの高さ6mm)内に満たし、加熱台上で溶融させる。充填量は、樹脂が溶融後に、シリンダをはみ出ることなくいっぱいにするように選択する。
【0130】
結果として生じた試料体を、シリンダごとHRB754の試料保持具に装填する。接着樹脂軟化温度が50℃〜150℃の間であれば、温度調節槽を満たすのにはグリセリンを使用する。より低い接着樹脂軟化温度の場合は水浴でも機能し得る。試験球は直径が9.5mm、重さが3.5gである。HRB754の手順に対応して、温度調節槽内の試料体の上方に球を配置し、試料体上に置く。シリンダの底から25mm下に受け板があり、受け板の2mm上には光電子遮断柵がある。測定工程中は温度を5℃/minで上昇させる。接着樹脂軟化温度の温度範囲内では、球がシリンダの底穴を通って移動し始め、最終的には受け板上で停止する。この位置では球が光電子遮断柵によって検出され、この時点で温度調節槽の温度が記録される。2連で測定する。接着樹脂軟化温度は、両方の個別の測定からの平均値である。
【0131】
軟化温度
コポリマー、硬質ブロックおよび軟質ブロック、ならびに未硬化の反応性樹脂の軟化温度は、DIN53765:1994−03に基づき、示差走査熱量測定(DSC)による熱量測定によって決定する。加熱曲線は、加熱速度10K/minで延びている。サンプルは、穴の開いた蓋を備えたAl製るつぼ内で、窒素雰囲気中で測定する。第2の加熱曲線を評価する。非晶質の物質の場合はガラス転移温度が生じ、(半)結晶性の物質の場合は溶融温度が生じる。ガラス転移は、サーモグラムにおける段として認識可能である。ガラス転移温度はこの段の中心点として評価する。溶融温度は、サーモグラムにおけるピークとして認識可能である。実熱量が最大になる温度を溶融温度として記録する。
【0132】
透過性
接着剤の透過性をVISスペクトルにより決定した。VISスペクトルの撮影は、Kontron社のUVIKON923で実施した。測定されるスペクトルの波長領域は、1nmの解像度で、800nm〜400nmの間の全波長を含んでいる。参照としてエンプティチャネル測定(Leerkanalmessung)をこの波長領域全体にわたり実施した。結果を提示するために、上記領域内での透過性測定の平均値が求められた。界面反射損失の補整は行わない。
【0133】
ヘイズ測定
ヘイズ値は、透過される光のうち、光を通された試料により前方へ大きな角度で散乱される割合を表す。つまりヘイズ値は、クリアな見通しを妨害する表面または構造物内での材料欠陥を定量化する。
【0134】
ヘイズ値の測定方法は、規格ASTM D1003に記載されている。この規格は、4回の透過測定の測定を必要とする。それぞれの透過測定に対して光透過度を算出する。4つの透過度を、パーセントのヘイズ値へと計算処理する。ヘイズ値は、Byk−Gardner GmbHのHaze−gard Dualによって測定する。
【0135】
分子量
モル質量とも言う平均分子量M(重量平均)の決定は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって行う。溶離液として、トリフルオロ酢酸0.1体積%を含むTHFを用いる。測定は25℃で行う。プレカラムとして、PSS−SDV、5μm、10Å、ID8.0mm×50mmを使用する。分離にはカラムPSS−SDV、5μm、10Å、10Å、および10Åを、それぞれID8.0mm×300mmで用いる。試料濃度は4g/lであり、貫流量は1分当たり1.0mlである。PS標準に対して測定する。
【0136】
動的せん断試験
転写式接着テープを2枚のガラスプレート(フロートガラス)の間に貼り付け、UV光で硬化させる。24時間の貯蔵後、この複合体を、23℃および相対湿度50%で、両方のガラスプレートを180°の角度で互いから引き離すように、引張試験機において50mm/minで分離し、最大力をN/cmで確定する。これに関しては一辺の長さが25mmの正方形の試験サンプルを試験する。
【0137】
別の記載がない限り、以下の例における量の提示はすべて、組成全体に対する重量%または重量部である。
例1
【0138】
コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレンブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は20重量%である。Sibstar62M(300g)を使用した。モル質量は60,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃であった。接着樹脂として、Exxon社のEscorez5300(環球式軟化点105℃、DACP=71、MMAP=72)、完全に水素化された炭化水素樹脂(200g)を使用した。反応性樹脂として、Dow社のUvacure1500、環状脂肪族のジエポキシド(500g)を選択した。Uvacure1500のガラス転移温度は−53℃であった。これらの原料を、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および沸点範囲60/95のベンジン(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0139】
続いて溶液に光開始剤を添加した。このためにトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(Sigma Aldrich社から購入)を10g計量した。光開始剤は、プロピレンカーボネート中50重量%溶液として存在していた。この光開始剤は320nm〜360nmの領域内で吸収ピークを示す。
【0140】
ドクターブレード法により、調合物を溶液状態で、シリコーン被覆されたPETライナー上にコーティングし、120℃で15分間乾燥させた。接着剤塗布量は50g/mであった。シリコーン被覆された、ただしより容易に剥離するPETライナーのさらなる層でサンプルを覆った。
【0141】
これらのサンプルから、接着力測定のための試料体を作製した。ガラス(フロートガラス)上での接着力は4.2N/cmであった。加えて動的せん断試験のためのサンプルを作製した(硬化は、非ドープ水銀ランプにより、ドーズ量80mJ/cmで行った)。動的せん断強度についての試験は150N/cmを示した。
【0142】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部に耐用期間試験を施した。これに関してはカバーガラスを通してUV光により硬化した(ドーズ量:80mJ/cm、ランプタイプ:非ドープ水銀放射器)。このサンプルを耐用期間試験のために使用した。他のサンプルは事前のラミネート加工なしで、上で提示したのと同じ条件下でUVによりPETライナーを通して硬化させた。これらのサンプルは、WVTR測定およびOTR測定(Mocon)ならびに光学特性の試験に使用した。
【0143】
WVTR測定(Mocon)からは9g/m・d、OTR測定(Mocon)からは800cm/m・d・barの結果が示された。耐用期間試験は、Caドットの時間的な変化を介して決定され(Ca−WVTR)、0.8g/m・dであった。
【0144】
両方のPETライナーを取り外した後の硬化したサンプルの光学特性の試験は、透過率91%およびヘイズ1.5%を示した。
例2
【0145】
コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレンブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は30重量%である。Sibstar103T(300g)を使用した。モル質量は100,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃であった。接着樹脂として、Eastman社のRegalite R1100(環球式軟化点100℃、DACP=45、MMAP=82)、完全に水素化された炭化水素樹脂(200g)を使用した。反応性樹脂として、Momentive社のBakelite EPR166、ビスフェノールAジエポキシド(500g)を選択した。EPR166のガラス転移温度は−19℃であった。これらの原料を、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および沸点範囲60/95のベンジン(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0146】
続いて溶液に光開始剤を添加する。このためにトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(Sigma Aldrich社から購入)を10g計量した。光開始剤は、プロピレンカーボネート中50重量%溶液として存在していた。この光開始剤は320nm〜360nmの領域内で吸収ピークを示す。
【0147】
ドクターブレード法により、調合物を溶液状態で、シリコーン被覆されたPETライナー上にコーティングし、120℃で15分間乾燥させた。接着剤塗布量は50g/mであった。シリコーン被覆された、ただしより容易に剥離するPETライナーのさらなる層でサンプルを覆った。
【0148】
これらのサンプルから、接着力測定のための試料体を作製した。ガラス(フロートガラス)上での接着力は3.5N/cmであった。加えて動的せん断試験のためのサンプルを作製した。動的せん断強度についての試験は200N/cmを示した。
【0149】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部に耐用期間試験を施した。これに関してはカバーガラスを通してUV光により硬化した(ドーズ量:80mJ/cm、ランプタイプ:非ドープ水銀放射器)。このサンプルを耐用期間試験のために使用した。他のサンプルは事前のラミネート加工なしで、上で提示したのと同じ条件下でUVによりPETライナーを通して硬化させた。これらのサンプルは、WVTR測定およびOTR測定(Mocon)ならびに光学特性の試験に使用した。
【0150】
WVTR測定(Mocon)からは9g/m・d、OTR測定(Mocon)からは860cm/m・d・barの結果が示された。耐用期間試験は、Caドットの時間的な変化を介して決定され(Ca−WVTR)、0.9g/m・dであった。
【0151】
両方のPETライナーを取り外した後の硬化したサンプルの光学特性の試験は、透過率75%およびヘイズ5%を示した。
例3
【0152】
コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は30重量%である。Sibstar73Tを300gで使用した。モル質量は70,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃である。接着樹脂として、Eastman社のRegalite R1100(環球式軟化点100℃、DACP=45、MMAP=82)、完全に水素化された炭化水素樹脂を200g使用した。反応性樹脂として、Cytec社のUvacure1500を選択し、これは500gであった。Uvacure1500のガラス転移温度は−53℃である。これらの原料を、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および沸点範囲60/95のベンジン(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0153】
続いて溶液に光開始剤を添加した。このために[4−(1−メチルエチル)フェニル]−(4−メチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、Silicolease UV Cata211(Bluestar Silicones)を10g計量した。光開始剤は、イソプロパノール中20重量%溶液として存在していた。
【0154】
ドクターブレード法により、調合物を溶液状態で、シリコーン被覆されたPETライナー上にコーティングし、120℃で15分間乾燥させた。接着剤塗布量は50g/mであった。シリコーン被覆された、ただしより容易に剥離するPETライナーのさらなる層でサンプルを覆った。
【0155】
これらのサンプルから、接着力測定のための試料体を作製した。
【0156】
ガラス(フロートガラス)上での接着力は3.2N/cmであった。加えて動的せん断試験のためのサンプルを作製した。動的せん断強度についての試験は180N/cmを示した。
【0157】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部に耐用期間試験を施した。これに関してはカバーガラスを通してUV光により硬化した(ドーズ量:80mJ/cm、ランプタイプ:非ドープ水銀放射器)。このサンプルを耐用期間試験のために使用した。他のサンプルは事前のラミネート加工なしで、上で提示したのと同じ条件下でUVによりPETライナーを通して硬化させた。これらのサンプルは、WVTR測定およびOTR測定(Mocon)ならびに光学特性の試験に使用した。
【0158】
WVTR測定(Mocon)からは6g/m・d、OTR測定(Mocon)からは412cm/m・d・barの結果が示された。耐用期間試験は、Caドットの時間的な変化を介して決定され(Ca−WVTR)、0.3g/m・dであった。
【0159】
両方のPETライナーを取り外した後の硬化したサンプルの光学特性の試験は、透過率90%およびヘイズ1.9%を示した。
例4
【0160】
コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は20重量%である。Sibstar62Mを425gで使用した。モル質量は60,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃である。接着樹脂として、Exxon社のEscorez5300(環球式軟化点105℃、DACP=71、MMAP=72)、完全に水素化された炭化水素樹脂を425g使用した。反応性樹脂として、Dow社のUvacure1500、環状脂肪族のジエポキシドを選択し、これは150gであった。Uvacure1500のガラス転移温度は−53℃である。これらの原料を、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および沸点範囲60/95のベンジン(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0161】
続いて溶液に光開始剤を添加した。このためにトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(Sigma Aldrich社から購入)を3g計量した。光開始剤は、プロピレンカーボネート中50重量%溶液として存在していた。この光開始剤は320nm〜360nmの領域内で吸収ピークを示す。
【0162】
ドクターブレード法により、調合物を溶液状態で、シリコーン被覆されたPETライナー上にコーティングし、120℃で15分間乾燥させた。接着剤塗布量は50g/mであった。シリコーン被覆された、ただしより容易に剥離するPETライナーのさらなる層でサンプルを覆った。
【0163】
これらのサンプルから、接着力測定のための試料体を作製した。
【0164】
ガラス(フロートガラス)上での接着力は7.1N/cmであった。加えて動的せん断試験のためのサンプルを作製した(硬化は、非ドープ水銀ランプにより、ドーズ量80mJ/cmで行った)。動的せん断強度についての試験は100N/cmを示した。
【0165】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部に耐用期間試験を施した。これに関してはカバーガラスを通してUV光により硬化した(ドーズ量:80mJ/cm、ランプタイプ:非ドープ水銀放射器)。このサンプルを耐用期間試験のために使用した。他のサンプルは事前のラミネート加工なしで、上で提示したのと同じ条件下でUVによりPETライナーを通して硬化させた。これらのサンプルは、WVTR測定およびOTR測定(Mocon)ならびに光学特性の試験に使用した。
【0166】
WVTR測定(Mocon)からは9g/m・d、OTR測定(Mocon)からは900cm/m・d・barの結果が示された。耐用期間試験は、Caドットの時間的な変化を介して決定され(Ca−WVTR)、0.4g/m・dであった。
【0167】
両方のPETライナーを取り外した後の硬化したサンプルの光学特性の試験は、透過率93%およびヘイズ1.4%を示した。
例5
【0168】
コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は20重量%である。Sibstar62Mを400gで使用した。モル質量は60,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃である。接着樹脂として、Exxon社のEscorez5300(環球式軟化点105℃、DACP=71、MMAP=72)、完全に水素化された炭化水素樹脂を400g使用した。反応性樹脂として、Dow社のUvacure1500、環状脂肪族のジエポキシドを選択し、これは200gであった。Uvacure1500のガラス転移温度は−53℃である。これらの原料を、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および沸点範囲60/95のベンジン(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0169】
続いて溶液に光開始剤を添加した。このためにトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(Sigma Aldrich社から購入)を4g計量した。光開始剤は、プロピレンカーボネート中50重量%溶液として存在していた。この光開始剤は320nm〜360nmの領域内で吸収ピークを示す。
【0170】
ドクターブレード法により、調合物を溶液状態で、シリコーン被覆されたPETライナー上にコーティングし、120℃で15分間乾燥させた。接着剤塗布量は50g/mであった。シリコーン被覆された、ただしより容易に剥離するPETライナーのさらなる層でサンプルを覆った。
【0171】
これらのサンプルから、接着力測定のための試料体を作製した。
【0172】
ガラス(フロートガラス)上での接着力は6.2N/cmであった。加えて動的せん断試験のためのサンプルを作製した(硬化は、非ドープ水銀ランプにより、ドーズ量80mJ/cmで行った)。動的せん断強度についての試験は150N/cmを示した。
【0173】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部に耐用期間試験を施した。これに関してはカバーガラスを通してUV光により硬化した(ドーズ量:80mJ/cm、ランプタイプ:非ドープ水銀放射器)。このサンプルを耐用期間試験のために使用した。他のサンプルは事前のラミネート加工なしで、上で提示したのと同じ条件下でUVによりPETライナーを通して硬化させた。これらのサンプルは、WVTR測定およびOTR測定(Mocon)ならびに光学特性の試験に使用した。
【0174】
WVTR測定(Mocon)からは9g/m・d、OTR測定(Mocon)からは900cm/m・d・barの結果が示された。耐用期間試験は、Caドットの時間的な変化を介して決定され(Ca−WVTR)、0.3g/m・dであった。
【0175】
両方のPETライナーを取り外した後の硬化したサンプルの光学特性の試験は、透過率93%およびヘイズ1.4%を示した。
例6
【0176】
コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は20重量%である。Sibstar62Hを375gで使用した。モル質量は60,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃である。接着樹脂として、Exxon社のEscorez5300(環球式軟化点105℃、DACP=71、MMAP=72)、完全に水素化された炭化水素樹脂を375g使用した。反応性樹脂として、Dow社のUvacure1500、環状脂肪族のジエポキシドを選択し、これは250gであった。Uvacure1500のガラス転移温度は−53℃である。これらの原料を、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および沸点範囲60/95のベンジン(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0177】
続いて溶液に光開始剤を添加した。このためにトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(Sigma Aldrich社から購入)を5g計量した。光開始剤は、プロピレンカーボネート中50重量%溶液として存在していた。この光開始剤は320nm〜360nmの領域内で吸収ピークを示す。
【0178】
ドクターブレード法により、調合物を溶液状態で、シリコーン被覆されたPETライナー上にコーティングし、120℃で15分間乾燥させた。接着剤塗布量は50g/mであった。シリコーン被覆された、ただしより容易に剥離するPETライナーのさらなる層でサンプルを覆った。
【0179】
これらのサンプルから、接着力測定のための試料体を作製した。ガラス(フロートガラス)上での接着力は6N/cmであった。加えて動的せん断試験のためのサンプルを作製した(硬化は、非ドープ水銀ランプにより、ドーズ量80mJ/cmで行った)。動的せん断強度についての試験は140N/cmを示した。
【0180】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部に耐用期間試験を施した。これに関してはカバーガラスを通してUV光により硬化した(ドーズ量:80mJ/cm、ランプタイプ:非ドープ水銀放射器)。このサンプルを耐用期間試験のために使用した。他のサンプルは事前のラミネート加工なしで、上で提示したのと同じ条件下でUVによりPETライナーを通して硬化させた。これらのサンプルは、WVTR測定およびOTR測定(Mocon)ならびに光学特性の試験に使用した。
【0181】
WVTR測定(Mocon)からは9g/m・d、OTR測定(Mocon)からは798cm/m・d・barの結果が示された。耐用期間試験は、Caドットの時間的な変化を介して決定され(Ca−WVTR)、0.25g/m・dであった。
【0182】
両方のPETライナーを取り外した後の硬化したサンプルの光学特性の試験は、透過率93%およびヘイズ1.4%を示した。
例7
【0183】
コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は20重量%である。Sibstar62Mを333gで使用した。モル質量は60,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃である。接着樹脂として、Exxon社のEscorez5300(環球式軟化点105℃、DACP=71、MMAP=72)、完全に水素化された炭化水素樹脂を333g使用した。反応性樹脂として、Dow社のUvacure1500、環状脂肪族のジエポキシドを選択し、これは333gであった。Uvacure1500のガラス転移温度は−53℃である。これらの原料を、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および沸点範囲60/95のベンジン(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0184】
続いて溶液に光開始剤を添加した。このためにトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(Sigma Aldrich社から購入)を6.6g計量した。光開始剤は、プロピレンカーボネート中50重量%溶液として存在していた。この光開始剤は320nm〜360nmの領域内で吸収ピークを示す。
【0185】
ドクターブレード法により、調合物を溶液状態で、シリコーン被覆されたPETライナー上にコーティングし、120℃で15分間乾燥させた。接着剤塗布量は50g/mであった。シリコーン被覆された、ただしより容易に剥離するPETライナーのさらなる層でサンプルを覆った。
【0186】
これらのサンプルから、接着力測定のための試料体を作製した。
【0187】
ガラス(フロートガラス)上での接着力は5.1N/cmであった。加えて動的せん断試験のためのサンプルを作製した(硬化は、非ドープ水銀ランプにより、ドーズ量80mJ/cmで行った)。動的せん断強度についての試験は270N/cmを示した。
【0188】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部に耐用期間試験を施した。これに関してはカバーガラスを通してUV光により硬化した(ドーズ量:80mJ/cm、ランプタイプ:非ドープ水銀放射器)。このサンプルを耐用期間試験のために使用した。他のサンプルは事前のラミネート加工なしで、上で提示したのと同じ条件下でUVによりPETライナーを通して硬化させた。これらのサンプルは、WVTR測定およびOTR測定(Mocon)ならびに光学特性の試験に使用した。
【0189】
WVTR測定(Mocon)からは9g/m・d、OTR測定(Mocon)からは621cm/m・d・barの結果が示された。耐用期間試験は、Caドットの時間的な変化を介して決定され(Ca−WVTR)、0.2g/m・dであった。
【0190】
両方のPETライナーを取り外した後の硬化したサンプルの光学特性の試験は、透過率93%およびヘイズ1.4%を示した。
例8
【0191】
コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は20重量%である。Sibstar62Mを333gで使用した。モル質量は60,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃である。接着樹脂として、Exxon社のEscorez5300(環球式軟化点105℃、DACP=71、MMAP=72)、完全に水素化された炭化水素樹脂を333g使用した。反応性樹脂として、Dow社のUvacure1500、環状脂肪族のジエポキシドを選択し、これは333gであった。Uvacure1500のガラス転移温度は−53℃である。これらの原料を、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および沸点範囲60/95のベンジン(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0192】
続いて溶液に光開始剤を添加した。このためにジアリールヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(Bluestar Silicon社から購入)を16.65g計量した。光開始剤は、イソプロパノール中20重量%溶液として存在していた。この光開始剤は190nm〜230nmの領域内で吸収ピークを示し、増感剤、ベンゾフェノン(Sigma Aldrich社から購入)と組み合わせて使用した。これに関しては3.33gを量り入れた。
【0193】
ドクターブレード法により、調合物を溶液状態で、シリコーン被覆されたPETライナー上にコーティングし、120℃で15分間乾燥させた。接着剤塗布量は50g/mであった。シリコーン被覆された、ただしより容易に剥離するPETライナーのさらなる層でサンプルを覆った。
【0194】
これらのサンプルから、接着力測定のための試料体を作製した。ガラス(フロートガラス)上での接着力は5.2N/cmであった。
【0195】
加えて動的せん断試験のためのサンプルを作製した(硬化は、非ドープ水銀ランプにより、ドーズ量80mJ/cmで行った)。動的せん断強度についての試験は250N/cmを示した。
【0196】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部に耐用期間試験を施した。これに関してはカバーガラスを通してUV光により硬化した(ドーズ量:80mJ/cm、ランプタイプ:非ドープ水銀放射器)。このサンプルを耐用期間試験のために使用した。他のサンプルは事前のラミネート加工なしで、上で提示したのと同じ条件下でUVによりPETライナーを通して硬化させた。これらのサンプルは、WVTR測定およびOTR測定(Mocon)ならびに光学特性の試験に使用した。
【0197】
WVTR測定(Mocon)からは10g/m・d、OTR測定(Mocon)からは730cm/m・d・barの結果が示された。耐用期間試験は、Caドットの時間的な変化を介して決定され(Ca−WVTR)、0.22g/m・dであった。
【0198】
両方のPETライナーを取り外した後の硬化したサンプルの光学特性の試験は、透過率93%およびヘイズ1.6%を示した。
例9
【0199】
片面で接着性の接着フィルムを製造した。このために接着剤に関し、コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は20重量%である。Sibstar62Hを375gで使用した。モル質量は60,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃である。接着樹脂として、Exxon社のEscorez5300(環球式軟化点105℃、DACP=71、MMAP=72)、完全に水素化された炭化水素樹脂を375g使用した。反応性樹脂として、Dow社のUvacure1500、環状脂肪族のジエポキシドを選択し、これは250gであった。Uvacure1500のガラス転移温度は−53℃である。これらの原料を、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および沸点範囲60/95のベンジン(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0200】
続いて溶液に光開始剤を添加した。このためにトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(Sigma Aldrich社から購入)を5g計量した。光開始剤は、プロピレンカーボネート中50重量%溶液として存在していた。この光開始剤は320nm〜360nmの領域内で吸収ピークを示す。
【0201】
ドクターブレード法により、調合物を溶液状態で、シリコーン被覆されたPETライナー上にコーティングし、120℃で15分間乾燥させた。接着剤塗布量は50g/mであった。サンプルを柔軟な薄いガラス(30μm厚のSchott社のD263T)の層で覆った。
【0202】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部に耐用期間試験を施した。これに関しては薄いガラス支持体を通してUV光により硬化した(ドーズ量:80mJ/cm、ランプタイプ:非ドープ水銀放射器)。このサンプルを耐用期間試験(Ca試験)のために使用し、この試験は0.52g/m・dのCa−WVTRを示した。
例10
【0203】
片面で接着性の接着フィルムを製造した。このために接着剤に関し、コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は20重量%である。Sibstar62Hを375gで使用した。モル質量は60,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃である。接着樹脂として、Exxon社のEscorez5300(環球式軟化点105℃、DACP=71、MMAP=72)、完全に水素化された炭化水素樹脂を375g使用した。反応性樹脂として、Dow社のUvacure1500、環状脂肪族のジエポキシドを選択し、これは250gであった。Uvacure1500のガラス転移温度は−53℃である。これらの原料を、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および沸点範囲60/95のベンジン(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0204】
続いて溶液に光開始剤を添加した。このためにトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(Sigma Aldrich社から購入)を5g計量した。光開始剤は、プロピレンカーボネート中50重量%溶液として存在していた。この光開始剤は320nm〜360nmの領域内で吸収ピークを示す。
【0205】
ドクターブレード法により、調合物を溶液状態で、シリコーン被覆されたPETライナー上にコーティングし、120℃で15分間乾燥させた。接着剤塗布量は50g/mであった。シリコーン被覆された、ただしより容易に剥離するPETライナーのさらなる層でサンプルを覆った。
【0206】
これらのサンプルから、接着力測定のための試料体を作製した。ガラス(フロートガラス)上での接着力は6N/cmであった。加えて動的せん断試験のためのサンプルを作製した(硬化は、非ドープ水銀ランプにより、ドーズ量80mJ/cmで行った)。動的せん断強度についての試験は140N/cmを示した。
【0207】
50μm厚の光学的に透明なポリエステルフィルム(Melinex723)に、25μm厚の光学的に透明な転写式接着テープ(tesa69101)をラミネートした。転写式接着テープの第2のライナーを外し、柔軟な薄いガラス(30μm厚のSchott社のD263T)の層で覆った。この複合体に、詳しくは薄いガラスのむき出しの面に、50g/mのポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレン・ブロックコポリマーをベースとする接着剤層のむき出しの面をラミネートした。
【0208】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部に耐用期間試験を施した。これに関しては薄いガラスを含む複合支持体を通してUV光により硬化した(ドーズ量:80mJ/cm、ランプタイプ:非ドープ水銀放射器)。このサンプルを耐用期間試験(Ca試験)のために使用し、この試験は0.26g/mdのCa−WVTRを示した。
【0209】
これらの例は、浸透物に対するカプセル化のための、本発明による接着剤の特別な適正だけでなく、接着テープの支持体材料としての薄いガラスまたは薄いガラスラミネートを備えた接着テープの有益な使用も明白に示している。
図1
図2
図3
図4