(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方が開放したテンショナボディのボディ円筒状穴内に挿入されるスリーブと、前記スリーブの軸線方向に沿って前進および後退可能に前記スリーブ内に挿入されるプランジャと、前記プランジャを前方側に向けて付勢する付勢手段とを備えたテンショナであって、
前記スリーブのスリーブ本体の前端には、外周側に膨出するフランジ部が形成され、
前記ボディ円筒状穴は、前記スリーブ本体を配置させる小径部と、前記小径部の前方側に形成され、前記フランジ部を配置させる大径部とを有し、
前記ボディ円筒状穴の内周壁は、前記小径部の内周壁および前記大径部の内周壁の間に形成された段差壁面を有し、
前記軸線方向において対向する前記フランジ部と前記段差壁面との間には、間隙が形成されていることを特徴とするテンショナ。
前記フランジ部は、その外周部の一部を突出させた圧入用凸部を有し、前記ボディ円筒状穴の内周壁に圧入嵌合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のテンショナ。
【背景技術】
【0002】
従来、チェーン等の張力を適正に保持するためにテンショナを用いることが慣用されており、例えば、エンジンルーム内のクランク軸とカム軸の夫々に設けたスプロケット間に無端懸回したローラチェーン等の伝動チェーンをテンショナレバーによって摺動案内を行うチェーンガイド機構において、チェーン等の張力を適正に保持するために、テンショナによってテンショナレバーを付勢するものが公知である。
【0003】
このようなチェーンガイド機構に用いられる公知のテンショナ510は、例えば
図10に模式的に示すように、一方が開放したボディ円筒状穴521を有するテンショナボディ520と、ボディ円筒状穴521に摺動自在に挿入されるプランジャ540と、プランジャ540を前方側に向けて付勢する付勢手段560を備えている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
このテンショナ510では、テンショナボディ520に設けられたオイル供給孔523からオイルが供給されることで、ボディ円筒状穴521とプランジャ540との間に形成された圧油室511がオイルで満たされ、オイルによりプランジャ540を前方側に向けて付勢するとともに、チェックバルブ550(模式的にチェックボールのみを図示。)でオイル供給孔523からのオイルの流出が阻止されている。このことで、プランジャ540の往復動に伴ってプランジャ540とボディ円筒状穴521の間の僅かな隙間をオイルが流れ、その流路抵抗によってプランジャ540の往復動を減衰させるダンピング効果を得ている。
【0005】
上述したようなテンショナ510では、テンショナボディ520が鋳鉄あるいはアルミニウム合金のダイカスト製品であるため、プランジャ540の摩耗、焼き付き発生の防止を目的として、プランジャ540が摺動するボディ円筒状穴521の表面精度や耐久性を得るために、コーティングによる膜形成、平滑処理、あるいは機械加工等を必要とするという問題点がある。
【0006】
そこで、ボディ円筒状穴521の表面精度、耐久性が劣る場合、
図11に示すような別部品の金属製のスリーブ530を、ボディ円筒状穴521の内周面とプランジャ540の外周面との間に介在させることで、テンショナボディ520の素材の選択や、ボディ円筒状穴521の内周面処理に係る設計自由度を確保することが提案されている(例えば特許文献2を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、このようなテンショナ510では、プランジャ540の後退を規制することを目的として、特許文献2に記載されるような、テンショナボディ520に揺動可能に取り付けられプランジャ540の外周面に係合するラチェット爪や、特許文献3に記載されるような、プランジャ540の外周面に係合する環状弾性部を有した弾性リングを用いることがある。
【0009】
このように、テンショナ510にラチェット爪や弾性リングを設置する場合には、
図11に示すように、スリーブ530に、その前端の周方向の一部分を後方側に向けて切り欠いた切り欠き溝534を形成する必要があるが、この切り欠き溝534を形成するとスリーブ530の前端側において歪みが生じ易く、スリーブ530に歪みが生じた場合、スリーブ530内におけるプランジャ540の摺動性が悪化したり、スリーブ530とプランジャ540との間における油圧保持力が低下する恐れがある。
【0010】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、プランジャの摺動性や油圧保持力を良好に維持することが可能なテンショナを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一方が開放したテンショナボディのボディ円筒状穴内に挿入されるスリーブと、前記スリーブの軸線方向に沿って前進および後退可能に前記スリーブ内に挿入されるプランジャと、前記プランジャを前方側に向けて付勢する付勢手段とを備えたテンショナであって、前記スリーブのスリーブ本体の前端には、外周側に膨出するフランジ部が形成され
、前記ボディ円筒状穴は、前記スリーブ本体を配置させる小径部と、前記小径部の前方側に形成され、前記フランジ部を配置させる大径部とを有し、前記ボディ円筒状穴の内周壁は、前記小径部の内周壁および前記大径部の内周壁の間に形成された段差壁面を有し、前記軸線方向において対向する前記フランジ部と前記段差壁面との間には、間隙が形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0012】
本請求項1に係る発明によれば、ボディ円筒状穴の内周壁およびプランジャの外周面の間に介在するスリーブのスリーブ本体の前端に、外周側に膨出するフランジ部を形成することにより、スリーブの前端側の強度を向上して、スリーブの前端側において歪みが生じることを抑制することが可能であるため、スリーブ内におけるプランジャの摺動性、および、スリーブとプランジャとの間における油圧保持力を良好に維持することができる。
また、フランジ部の形成によってスリーブの前端側の強度を確保することが可能であるため、スリーブの板厚を薄く抑えることもできる。
【0013】
本請求項2に係る発明によれば、スリーブに、その前端の周方向の一部分を後方側に向けて切り欠いた切り欠き溝が形成されている。これにより、プランジャの後退を規制する弾性リングやラチェット爪等を設置するための切り欠き溝をスリーブに形成した場合であっても、スリーブ本体の前端に外周側にフランジ部を形成することで、スリーブの前端側において歪みが生じることを抑制できる。
本請求項3に係る発明によれば、フランジ部が、その外周部の一部に回り止め部を有し、スリーブが、ボディ円筒状穴の内周壁に対して回り止め部を周方向に係合させることで、テンショナボディに対して回り止めされていることにより、強度に優れたフランジ部を利用して、テンショナボディに対してスリーブを回り止めすることが可能であるため、スリーブの歪みを抑制しつつ、テンショナボディに対してスリーブを回り止めすることができ、また、フランジ部はスリーブ本体の外周側に膨出しているため、回り止め部の成形が容易である。
本請求項4に係る発明によれば、フランジ部が、その外周部の一部を突出させた圧入用凸部を有し、ボディ円筒状穴の内周壁に圧入嵌合されていることにより、強度に優れたフランジ部を利用して、テンショナボディに対してスリーブを容易に圧入嵌合することが可能であるため、スリーブの歪みを抑制しつつ、テンショナボディに対してスリーブを圧入嵌合することができ、また、また、フランジ部はスリーブ本体の外周側に膨出しているため、圧入用凸部の成形が容易である。
本請求項
1に係る発明によれば、ボディ円筒状穴が、スリーブ本体を配置させる小径部と、小径部の前方側に形成されフランジ部を配置させる大径部とを有していることにより、ボディ円筒状穴の内周壁とスリーブ本体の外周面との間の隙間を軸線方向に亘って小さく維持することができ、また、ボディ円筒状穴の内周壁が、小径部の内周壁および大径部の内周壁の間に形成された段差壁面を有し、軸線方向において対向するフランジ部と段差壁面との間には間隙が形成されていることにより、ボディ円筒状穴の大径部の内周壁に対するフランジ部の圧入時に発生しがちな切粉を、フランジ部と段差壁面との間の間隙に収容することが可能であるため、前記切粉が、ボディ円筒状穴の小径部の内周壁とスリーブ本体の外周面との間に侵入することを抑制でき、ボディ円筒状穴に対するスリーブの挿入を円滑かつ正確に行うことができる。
本請求項
5に係る発明によれば、フランジ部と段差壁面との間の間隙の容量が、フランジ部の外周部と大径部の内周壁との設計上の重複体積よりも大きく設計されていることにより、ボディ円筒状穴の大径部の内周壁に対するフランジ部の圧入時に発生した切粉を、フランジ部と段差壁面との間の間隙に充分に収容することが可能であり、ボディ円筒状穴の小径部の内周壁とスリーブ本体の外周面との間に切粉が侵入することを確実に抑制できる。
本請求項
6に係る発明によれば、ボディ円筒状穴の内周面およびスリーブ本体の外周面の間に、環状の弾性圧入部材が配置され、スリーブが、弾性圧入部材を変形させることで、テンショナボディに対して固定されることにより、スリーブに歪みを生じさせることなく、テンショナボディに対してスリーブを確実に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の第1実施形態に係るテンショナ10について、図面に基づいて説明する。
【0016】
まず、本実施形態のテンショナ10は、自動車エンジンのタイミングシステム等に用いられるチェーン伝動装置に組み込まれるものであり、
図1に示すように、エンジンブロック(図示しない)に取り付けられ、複数のスプロケットS1〜S3に掛け回された伝動チェーンCHの弛み側にテンショナレバーGを介して適正な張力を付与し、走行時に生じる振動を抑止するものである。
【0017】
テンショナ10は、
図2〜
図7に示すように、ボディ円筒状穴21を有するテンショナボディ20と、ボディ円筒状穴21内に挿入されるスリーブ30と、スリーブ30の軸線方向に沿って前進および後退可能にスリーブ30内に挿入されるプランジャ40と、プランジャ40内に配置されるチェックバルブ50と、スリーブ30の底部32とプランジャ40の後端側との間に形成された圧油室11に伸縮自在に収納されてプランジャ40を前方側(突出側)に向けて付勢するコイルばね60と、プランジャ40の後退を規制する弾性リング70と、プランジャ40の前進を一時的に制止するストッパピン80とを備えている。
【0018】
以下に、テンショナ10の各構成要素について、図面に基づいて説明する。
【0019】
テンショナボディ20は、アルミニウム合金や合成樹脂等から形成され、
図3や
図7に示すように、一方側(前方側)が開放したボディ円筒状穴21と、テンショナボディ20の前端の周方向の一部分を後方側に向けて切り欠いた切り欠き溝22と、テンショナボディ20の外壁からボディ円筒状穴21まで貫通するオイル供給孔23と、テンショナボディ20をエンジンブロックに固定するためのボルト等が挿通される取付孔を有した取付部24とを有している。切り欠き溝22は、ボディ円筒状穴21に連続している。
【0020】
ボディ円筒状穴21は、
図7に示すように、スリーブ本体31を配置させる小径部21aと、小径部21aの前方側に形成されフランジ部33を配置させる大径部21bとを有している。小径部21aおよび大径部21bは、同心状に形成されている。
ボディ円筒状穴21の内周壁は、小径部21aの内周壁および大径部21bの内周壁の間に形成された段差壁面21cを有している。
【0021】
スリーブ30は、鉄等の金属から形成され、
図4や
図7に示すように、円筒状のスリーブ本体31と、スリーブ本体31の後端に形成された底部32と、スリーブ本体31の前端に形成され外周側に膨出するフランジ部33とを一体に有している。
【0022】
スリーブ本体31の内周壁には、
図4や
図7に示すように、弾性リング70を収容するリング収容部31aが形成されており、このリング収容部31aは、後述する弾性リング70の一対の腕部72を操作した際に、弾性リング70の環状弾性部71を拡径させることが可能な大きさで形成されている。
なお、本実施形態では、リング収容部31aが、スリーブ本体31の内周壁を凹設した環状溝状に形成されているが、リング収容部31aの具体的態様は、環状弾性部71を収容するとともに環状弾性部71を拡径させることが可能な大きさを有していればよく、例えば、スリーブ本体31の前端側の内周壁の径を大きく設計し、この大径部をリング収容部31aとして利用してもよい。
また、スリーブ本体31には、内周側から外周側に貫通するオイル供給孔31bが形成されている。
【0023】
スリーブ30には、
図4に示すように、スリーブ本体31およびフランジ部33の前端の周方向の一部分を後方側に向けて切り欠いた切り欠き溝34が形成されている。
また、フランジ部33の外周部には、
図4や
図6に示すように、その一部を切り欠いた回り止め部33aが形成されている。また、ボディ円筒状穴21の大径部21bの内周壁は、回り止め部33aが形成されたフランジ部33の外周部の形状に対応した形状を有している。そして、ボディ円筒状穴21の内周壁に対して回り止め部33aを周方向に係合させることで、スリーブ30がテンショナボディ20に対して回り止めされる。スリーブ30がテンショナボディ20に対して回り止めされた状態では、テンショナボディ20の切り欠き溝22とスリーブ30の切り欠き溝34との間の周方向の位相、および、テンショナボディ20のオイル供給孔23とスリーブ30のオイル供給孔31bとの間の周方向の位相が合うように構成されている。
なお、回り止め部33aは、フランジ部33の一部を削ることで形成してもよく、また、フランジ部33にプレス加工を施すことで形成してもよい。また、本実施形態では、フランジ部33の外周部の一部を切り欠くことで回り止め部33aを形成したが、回り止め部33aの具体的態様についてはこれに限定されず、例えば、フランジ部33の外周部に凸部を形成し、当該凸部を回り止め部33aとして利用してもよい。
【0024】
プランジャ40は、鉄等の金属から形成され、プランジャ40の内部には、
図7に示すように、チェックバルブ50が配置され、その前方側に貯留油室41が形成されている。
また、プランジャ40には、
図7に示すように、プランジャ40の外周面から内周面の貯留油室41に貫通するオイル供給孔42が形成されている。また、プランジャ40の外周面には、
図7に示すように、スリーブ本体31の内周面およびプランジャ40の外周面の間にオイル通路を形成するための連通調整溝44が設けられている。
【0025】
コイルばね60は、
図7に示すように、その後端がスリーブ30の底部32に着座し、その前端がチェックバルブ50のリテーナの外周に着座するように配置され、プランジャ40を前方側に向けて付勢するように構成されている。
【0026】
弾性リング70は、
図6に示すように、環状弾性部71と、環状弾性部71の両端から延出する一対の腕部72とを有している。環状弾性部71は、スリーブ本体31のリング収容部31aとプランジャ40の外周面との間に配置され、プランジャ40の外周面に鋸歯状に形成された複数の環状溝43に係合することで、プランジャ40の後退を規制する。
一対の腕部72は、
図6に示すように、テンショナボディ20およびスリーブ30に形成された切り欠き溝22、34を通して、その一部がテンショナボディ20の外部に配置される。
【0027】
チェックバルブ50は、
図7に示すように、貯留油室41から圧油室11へのオイルの流入を許容するとともに、圧油室11から貯留油室41へのオイルの流入を阻止するものであり、ボールシートと、ボールシートのオイル流路に密着可能なチェックボールと、チェックボールをガイドするリテーナとを備えている。
【0028】
ストッパピン80は、
図2や
図6に示すように、テンショナボディ20およびプランジャ40に形成された孔に挿入され、プランジャ40の前進を一時的に制止するものである。
【0029】
上述したように構成されたテンショナ10では、
図7に示すように、オイル供給孔23とオイル供給孔31bと連通調整溝44とオイル供給孔42と貯留油室41とを通して外部からオイルが供給されることで、圧油室11がオイルで満たされ、オイルによりプランジャ40を前方側に付勢するとともに、チェックバルブ50によってオイル供給孔23からのオイルの流出が阻止されている。このことで、プランジャ40の往復動に伴ってプランジャ40とスリーブ30との間の僅かな隙間をオイルが流れ、その流路抵抗によってプランジャ40の往復動を減衰させるダンピング効果を得ている。
【0030】
また、プランジャ40の内部に貯留油室41を設けることにより、貯留油室41から圧油室11にオイルを供給する構造とし、貯留油室41内に一定量のオイルを漏出することなく残留させ、長時間停止後の起動直後であっても貯留油室41内に残留したオイルが圧油室11に供給され、プランジャ40のオイルによるダンピング力を維持しチェーンの振動を抑制し損傷を防止するように構成されている。
【0031】
次に、本発明の第2実施形態に係るテンショナ10について、
図8に基づいて説明する。ここで、第2実施形態では、一部構成については、前述した第1実施形態と全く同じである。そのため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0032】
第2実施形態のテンショナ10では、
図8に示すように、ボディ円筒状穴21の内周面およびスリーブ本体31の外周面の間には、トレランスリング等の弾性圧入部材90が配置されている。この弾性圧入部材90は、周方向の一部が破断した環状に形成され、弾性圧入部材90の外周面には、外周側に膨出する膨出部91が周方向に複数形成されている。また、スリーブ本体31には、その外周面を凹ませた環状溝31cが形成されており、この環状溝31cに弾性圧入部材90が配置される。そして、ボディ円筒状穴21内にスリーブ30を挿入する際に、弾性圧入部材90を変形させることで、スリーブ30は、テンショナボディ20に対して固定される。
【0033】
なお、上述したように弾性圧入部材90を利用して、テンショナボディ20に対してスリーブ30を固定する場合、フランジ部33に回り止め部33aを形成しなくてもよい。
【0034】
次に、本発明の第3実施形態に係るテンショナ10について、
図9に基づいて説明する。ここで、第3実施形態では、一部構成については、前述した第1実施形態と全く同じである。そのため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0035】
第3実施形態のテンショナ10では、
図9に示すように、スリーブ30のフランジ部33に、その外周部の一部を突出させた圧入用凸部33bが周方向に複数形成されており、圧入用凸部33bが形成されたフランジ部33が、ボディ円筒状穴21の大径部21bの内周壁に対して圧入嵌合される。圧入用凸部33bは、フランジ部33にプレス加工を施すことで容易に形成することができる。
なお、圧入用凸部33bを形成することなく、フランジ部33を、ボディ円筒状穴21の大径部21bの内周壁に対して圧入嵌合してもよい。
【0036】
また、ボディ円筒状穴21内にスリーブ30を配置した状態で、軸線方向において対向するフランジ部33と段差壁面21cとの間には、
図7に示すように、間隙Sが形成されている。この間隙Sの容量は、フランジ部33の外周部と大径部21bの内周壁との設計上の重複体積よりも大きく設計されている。
【0037】
なお、テンショナボディ20に対してフランジ部33を圧入する場合、フランジ部33に回り止め部33aを形成しなくてもよい。
【0038】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0039】
例えば、上述した実施形態では、テンショナが自動車エンジン用のタイミングシステムに組み込まれるものとして説明したが、テンショナの具体的用途はこれに限定されない。
また、上述した実施形態では、テンショナがテンショナレバーを介して伝動チェーンに張力を付与するものとして説明したが、プランジャの先端で直接的に伝動チェーンの摺動案内を行い、伝動チェーンに張力を付与するようにしてもよい。
さらに、伝動チェーンによる伝動機構に限らず、ベルト、ロープ等の類似の伝動機構に適用されてもよく、長尺物に張力を付与することが求められる用途であれば、種々の産業分野において利用可能である。
また、上述した複数の実施形態の各構成を、任意に組み合わせてテンショナを構成しても何ら構わない。
また、上述した実施形態では、テンショナボディ、スリーブ本体、および、プランジャの側面に、テンショナ外部からオイルを供給するオイル供給孔が形成されているものとして説明したが、オイル供給孔の具体的な形成位置はこれに限定されず、例えば、
図10に示す例のように、テンショナボディおよびスリーブの底部にオイル供給孔を形成し、プランジャ内にオイルを供給するように構成してもよい。
また、上述した実施形態では、スリーブの前端を後方側に向けて切り欠いた切り欠き溝を、プランジャの後退を規制する弾性リングの腕部を設置するための溝として利用しているが、上記の切り欠き溝の用途はこれに限定されず、例えば、テンショナボディに揺動可能な状態で取り付けられプランジャの後退を規制するラチェット爪を設置するために利用してもよい。
上述した実施形態では、テンショナボディが、エンジンブロックとは別体に形成され、エンジンブロックに取り付けられるものとして説明したが、エンジンブロックの一部をテンショナボディとして利用してもよい。