特許第6263163号(P6263163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263163シーケンス発生装置、それを用いた誤り率測定装置、及びシーケンス発生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263163
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】シーケンス発生装置、それを用いた誤り率測定装置、及びシーケンス発生方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/14 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   H04L13/00 315A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-248757(P2015-248757)
(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2017-118188(P2017-118188A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2016年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】大日向 哲郎
【審査官】 森谷 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/102485(WO,A1)
【文献】 特開2005−164338(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01898555(EP,A1)
【文献】 特開2006−211638(JP,A)
【文献】 野崎 原生,USB3.0設計のすべて 初版,CQ出版株式会社,2011年10月20日,第1版,pp.309-312
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステート、及び、前記複数のステートに関連付けられた複数のサブステート間の状態遷移を制御するトレーニングシーケンスを発生して、当該トレーニングシーケンスを誤り率測定を行うために被試験対象(100)に送信するシーケンス発生装置(1)であって、
操作入力を行うための操作部(12)と、
各前記ステートのステート名を前記操作部により選択可能に表示するステート表示領域(11a)と、各前記ステートに関連付けられた複数の前記サブステートに関する設定項目を前記操作部により設定可能に表示するサブステート表示領域(11b)とを表示部(13)に表示させる制御を行う表示制御部(11)と、
前記操作部により設定された前記設定項目のパラメータに応じた前記トレーニングシーケンスを前記状態遷移に応じて発生するシーケンス発生部(16)と、を備え、
前記表示制御部は、前記複数のサブステートのうち、前記操作部により選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを前記サブステート表示領域に表示し、
さらに、前記表示制御部は、前記複数のステートに属する前記複数のサブステートの設定項目を前記表示部の所定領域に全て表示するための表示切替ボタン(11h)を前記サブステート表示領域に表示することを特徴とするシーケンス発生装置。
【請求項2】
複数のステート、及び、前記複数のステートに関連付けられた複数のサブステート間の状態遷移を制御するトレーニングシーケンスを発生して、当該トレーニングシーケンスを誤り率測定を行うために被試験対象(100)に送信するシーケンス発生装置(1)であって、
操作入力を行うための操作部(12)と、
各前記ステートのステート名を前記操作部により選択可能に表示するステート表示領域(11a)と、各前記ステートに関連付けられた複数の前記サブステートに関する設定項目を前記操作部により設定可能に表示するサブステート表示領域(11b)とを表示部(13)に表示させる制御を行う表示制御部(11)と、
前記操作部により設定された前記設定項目のパラメータに応じた前記トレーニングシーケンスを前記状態遷移に応じて発生するシーケンス発生部(16)と、を備え、
前記表示制御部は、前記複数のサブステートのうち、前記操作部により選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを前記サブステート表示領域に表示し、
前記設定項目のパラメータは、次のステート又はサブステートに遷移するまでの待機時間、前記トレーニングシーケンスの種別、前記トレーニングシーケンスの送受信回数を含むことを特徴とするシーケンス発生装置。
【請求項3】
複数のステート、及び、前記複数のステートに関連付けられた複数のサブステート間の状態遷移を制御するトレーニングシーケンスを発生して、当該トレーニングシーケンスを誤り率測定を行うために被試験対象(100)に送信するシーケンス発生装置(1)であって、
操作入力を行うための操作部(12)と、
各前記ステートのステート名を前記操作部により選択可能に表示するステート表示領域(11a)と、各前記ステートに関連付けられた複数の前記サブステートに関する設定項目を前記操作部により設定可能に表示するサブステート表示領域(11b)とを表示部(13)に表示させる制御を行う表示制御部(11)と、
前記操作部により設定された前記設定項目のパラメータに応じた前記トレーニングシーケンスを前記状態遷移に応じて発生するシーケンス発生部(16)と、を備え、
前記表示制御部は、前記複数のサブステートのうち、前記操作部により選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを前記サブステート表示領域に表示し、
前記設定項目のパラメータの推奨値は、前記操作部により前記設定項目のパラメータが設定又は変更されるまで、初期値として前記サブステート表示領域に表示されることを特徴とするシーケンス発生装置。
【請求項4】
複数のステート、及び、前記複数のステートに関連付けられた複数のサブステート間の状態遷移を制御するトレーニングシーケンスを発生して、当該トレーニングシーケンスを誤り率測定を行うために被試験対象(100)に送信するシーケンス発生装置(1)であって、
操作入力を行うための操作部(12)と、
各前記ステートのステート名を前記操作部により選択可能に表示するステート表示領域(11a)と、各前記ステートに関連付けられた複数の前記サブステートに関する設定項目を前記操作部により設定可能に表示するサブステート表示領域(11b)とを表示部(13)に表示させる制御を行う表示制御部(11)と、
前記操作部により設定された前記設定項目のパラメータに応じた前記トレーニングシーケンスを前記状態遷移に応じて発生するシーケンス発生部(16)と、を備え、
前記表示制御部は、前記複数のサブステートのうち、前記操作部により選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを前記サブステート表示領域に表示し、
さらに、前記表示制御部は、前記複数のステートに属する前記複数のサブステートの設定項目を前記表示部の所定領域に全て表示するための表示切替ボタン(11h)を前記サブステート表示領域に表示し、
前記設定項目のパラメータは、次のステート又はサブステートに遷移するまでの待機時間、前記トレーニングシーケンスの種別、前記トレーニングシーケンスの送受信回数を含み、
前記設定項目のパラメータの推奨値は、前記操作部により前記設定項目のパラメータが設定又は変更されるまで、初期値として前記サブステート表示領域に表示されることを特徴とするシーケンス発生装置。
【請求項5】
前記複数のステートは、前記被試験対象に対してループバックテストを実行するためのループバックステートを含んでおり、
前記シーケンス発生部は、前記ステートをループバックステートに遷移させる前記トレーニングシーケンスを前記被試験対象に送信した後に、前記被試験対象に誤り率測定のためのパルスパターンを送信することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシーケンス発生装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシーケンス発生装置と、被試験対象(100)に対して誤り率測定を行う誤り率測定部(21)とを備える誤り率測定装置(2)であって、
前記シーケンス発生部は、前記ステートをループバックステートに遷移させる前記トレーニングシーケンスを前記被試験対象に送信した後に、前記被試験対象に誤り率測定のためのパルスパターンを送信し、
前記誤り率測定部は、前記パルスパターンの受信に伴う前記被試験対象からの被測定信号と前記パルスパターンとを比較して、前記被測定信号の誤り率を測定することを特徴とする誤り率測定装置。
【請求項7】
複数のステート、及び、前記複数のステートに関連付けられた複数のサブステート間の状態遷移を制御するトレーニングシーケンスを発生して、当該トレーニングシーケンスを誤り率測定を行うために被試験対象(100)に送信するシーケンス発生方法であって、
表示制御部(11)により、前記複数のステートのステート名を操作部(12)により選択可能にステート表示領域(11a)に表示する第1の表示ステップ(S1)と、
前記第1の表示ステップで表示された前記複数のステートの中から1つのステートを前記操作部により選択する選択ステップ(S2)と、
前記表示制御部により、前記複数のサブステートのうち、前記選択ステップで選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを前記操作部により設定可能にサブステート表示領域(11b)に表示する第2の表示ステップ(S3)と、
前記第2の表示ステップで表示された前記設定項目を前記操作部により設定する設定ステップ(S4)と、
前記設定ステップで設定された前記設定項目のパラメータに応じたトレーニングシーケンスを前記状態遷移に応じて発生するシーケンス発生ステップ(S5)と、を含み、
さらに、前記表示制御部は、前記複数のステートに属する前記複数のサブステートの設定項目を前記表示部の所定領域に全て表示するための表示切替ボタン(11h)を前記サブステート表示領域に表示することを特徴とするシーケンス発生方法
【請求項8】
複数のステート、及び、前記複数のステートに関連付けられた複数のサブステート間の状態遷移を制御するトレーニングシーケンスを発生して、当該トレーニングシーケンスを誤り率測定を行うために被試験対象(100)に送信するシーケンス発生方法であって、
表示制御部(11)により、前記複数のステートのステート名を操作部(12)により選択可能にステート表示領域(11a)に表示する第1の表示ステップ(S1)と、
前記第1の表示ステップで表示された前記複数のステートの中から1つのステートを前記操作部により選択する選択ステップ(S2)と、
前記表示制御部により、前記複数のサブステートのうち、前記選択ステップで選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを前記操作部により設定可能にサブステート表示領域(11b)に表示する第2の表示ステップ(S3)と、
前記第2の表示ステップで表示された前記設定項目を前記操作部により設定する設定ステップ(S4)と、
前記設定ステップで設定された前記設定項目のパラメータに応じたトレーニングシーケンスを前記状態遷移に応じて発生するシーケンス発生ステップ(S5)と、を含み、
前記設定項目のパラメータは、次のステート又はサブステートに遷移するまでの待機時間、前記トレーニングシーケンスの種別、前記トレーニングシーケンスの送受信回数を含むことを特徴とするシーケンス発生方法。
【請求項9】
複数のステート、及び、前記複数のステートに関連付けられた複数のサブステート間の状態遷移を制御するトレーニングシーケンスを発生して、当該トレーニングシーケンスを誤り率測定を行うために被試験対象(100)に送信するシーケンス発生方法であって、
表示制御部(11)により、前記複数のステートのステート名を操作部(12)により選択可能にステート表示領域(11a)に表示する第1の表示ステップ(S1)と、
前記第1の表示ステップで表示された前記複数のステートの中から1つのステートを前記操作部により選択する選択ステップ(S2)と、
前記表示制御部により、前記複数のサブステートのうち、前記選択ステップで選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを前記操作部により設定可能にサブステート表示領域(11b)に表示する第2の表示ステップ(S3)と、
前記第2の表示ステップで表示された前記設定項目を前記操作部により設定する設定ステップ(S4)と、
前記設定ステップで設定された前記設定項目のパラメータに応じたトレーニングシーケンスを前記状態遷移に応じて発生するシーケンス発生ステップ(S5)と、を含み、
前記設定項目のパラメータの推奨値は、前記操作部により前記設定項目のパラメータが設定又は変更されるまで、初期値として前記サブステート表示領域に表示されることを特徴とするシーケンス発生方法。
【請求項10】
複数のステート、及び、前記複数のステートに関連付けられた複数のサブステート間の状態遷移を制御するトレーニングシーケンスを発生して、当該トレーニングシーケンスを誤り率測定を行うために被試験対象(100)に送信するシーケンス発生方法であって、
表示制御部(11)により、前記複数のステートのステート名を操作部(12)により選択可能にステート表示領域(11a)に表示する第1の表示ステップ(S1)と、
前記第1の表示ステップで表示された前記複数のステートの中から1つのステートを前記操作部により選択する選択ステップ(S2)と、
前記表示制御部により、前記複数のサブステートのうち、前記選択ステップで選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを前記操作部により設定可能にサブステート表示領域(11b)に表示する第2の表示ステップ(S3)と、
前記第2の表示ステップで表示された前記設定項目を前記操作部により設定する設定ステップ(S4)と、
前記設定ステップで設定された前記設定項目のパラメータに応じたトレーニングシーケンスを前記状態遷移に応じて発生するシーケンス発生ステップ(S5)と、を含み、
さらに、前記表示制御部は、前記複数のステートに属する前記複数のサブステートの設定項目を前記表示部の所定領域に全て表示するための表示切替ボタン(11h)を前記サブステート表示領域に表示し、
前記設定項目のパラメータは、次のステート又はサブステートに遷移するまでの待機時間、前記トレーニングシーケンスの種別、前記トレーニングシーケンスの送受信回数を含み、
前記設定項目のパラメータの推奨値は、前記操作部により前記設定項目のパラメータが設定又は変更されるまで、初期値として前記サブステート表示領域に表示されることを特徴とするシーケンス発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーケンス発生装置、それを用いた誤り率測定装置、及びシーケンス発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリアル通信規格であるPCIe(登録商標)(Peripheral Component Interconnect Express)やUSB(登録商標)(Universal Serial Bus)のデータ転送速度が向上している。これらの規格においては、LTSSM(Link Training and Status State Machine)と呼ばれるステートマシンで物理層での通信状態が制御される。
【0003】
例えば、PCIe(登録商標)では、LTSSMの状態遷移図は図9に示すようなものであり、遷移状態(ステート)として、L0、L0s、L1、L2、Detect、Polling、Configuration、Disabled、Hot Reset、Loopback(ループバックステート)、Recoveryが定義されている。
【0004】
ここで、Detectは通信対象のレシーバの検出を、PollingはTS(Training Sequence)を送受信することによりシンボル同期の確立やレーン極性の検出を、ConfigurationはTSを送受信することによりリンクのレーン構成の確立を、Recoveryはリンクの再トレーニングを、L0は通常動作を、Loopbackはテストや不具合切り分けのための動作のように、それぞれのステートはデバイスの通信状態を管理する役割を持つ。
【0005】
さらに、LTSSMの上記の各ステートにはサブステートがあり、各サブステートではOrdered Set(OS)と呼ばれる物理層で使用されるパケットの一種を送受信する。このOSは、トレーニングシーケンスTS1又はTS2などが定義されており、これらをデバイス間で送受信し合うことにより、デバイス間で互いのステートの状態遷移を制御する。
【0006】
ところで、近年、PCIe(登録商標)やUSB(登録商標)の規格に適合していることを確認する測定が求められており、その測定の実施にはデバイスをループバックステートに遷移させる必要があるため、LTSSMに対応したステートマシンを利用してシリアル通信を行う誤り率測定装置が求められている。
【0007】
誤り率測定装置は、パルスパターンを通信機器などの被試験対象(Device Under Test:DUT)に送信し、送信したパルスパターンとDUTから返送されたパルスパターンとを比較してビットの誤りを検出する装置である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−274474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、PCIe(登録商標)やUSB(登録商標)などのシリアル通信規格については、規格のバージョンが進むほど、所望のステートに到達するまで経由するサブステートの数が増加し、遷移手順が複雑化してきている。
【0010】
例えばPCIe(登録商標)では、DUTをループバックステートに設定する場合、Gen1では数個のサブステートを経由することでループバックステートに到達できたが、Gen4では数十個のサブステートを経由しなければ、ループバックステートに到達できない。
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来の誤り率測定装置の設定画面では、それぞれのサブステートと送信すべきトレーニングシーケンス(TS)の回数や待機時間との対応が不明確で分かりにくいという問題があった。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、状態遷移に関する設定項目を設定する際の操作性を向上させ、ユーザによる誤操作を防止して所望のトレーニングシーケンスを発生させることができるシーケンス発生装置、それを用いた誤り率測定装置、及びシーケンス発生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係るシーケンス発生装置は、複数のステート、及び、前記複数のステートに関連付けられた複数のサブステート間の状態遷移を制御するトレーニングシーケンスを発生して、当該トレーニングシーケンスを被試験対象に送信するシーケンス発生装置であって、操作入力を行うための操作部と、各前記ステートのステート名を前記操作部により選択可能に表示するステート表示領域と、各前記ステートに関連付けられた複数の前記サブステートに関する設定項目を前記操作部により設定可能に表示するサブステート表示領域とを表示部に表示させる制御を行う表示制御部と、前記操作部により設定された前記設定項目のパラメータに応じた前記トレーニングシーケンスを前記状態遷移に応じて発生するシーケンス発生部と、を備え、前記表示制御部は、前記複数のサブステートのうち、前記操作部により選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを前記サブステート表示領域に表示するように構成されている。
【0014】
この構成により、状態遷移を制御するためのサブステートごとの設定項目が明確になることで、これらの設定項目を設定する際の操作性が向上する。これにより、ユーザによる誤操作を防止して所望のトレーニングシーケンスを発生させることができる。
【0015】
また、本発明に係るシーケンス発生装置においては、前記複数のステートは、前記被試験対象に対してループバックテストを実行するためのループバックステートを含んでおり、前記シーケンス発生部は、前記ステートをループバックステートに遷移させる前記トレーニングシーケンスを前記被試験対象に送信した後に、前記被試験対象に誤り率測定のためのパルスパターンを送信するように構成されている。
【0016】
この構成により、ステートマシンで状態遷移が管理される被試験対象とのシリアル通信を行う誤り率測定装置に適用できるシーケンス発生装置を実現することができる。
【0017】
また、本発明に係る誤り率測定装置は、上記のシーケンス発生装置と、被試験対象に対して誤り率測定を行う誤り率測定部とを備える誤り率測定装置であって、前記シーケンス発生部は、前記ステートをループバックステートに遷移させる前記トレーニングシーケンスを前記被試験対象に送信した後に、前記被試験対象に誤り率測定のためのパルスパターンを送信し、前記誤り率測定部は、前記パルスパターンの受信に伴う前記被試験対象からの被測定信号と前記パルスパターンとを比較して、前記被測定信号の誤り率を測定するように構成されている。
【0018】
この構成により、ステートマシンで状態遷移が管理される被試験対象とのシリアル通信を行う誤り率測定装置において、状態遷移に関する設定項目を設定する際の操作性を向上させ、ユーザによる誤操作を防止して所望のトレーニングシーケンスを発生させることができる。
【0019】
また、本発明に係る上記のシーケンス発生装置を用いるシーケンス発生方法であって、前記ステート表示領域に、前記複数のステートのステート名を前記操作部により選択可能に表示する第1の表示ステップと、前記第1の表示ステップで表示された前記複数のステートの中から1つのステートを前記操作部により選択する選択ステップと、前記サブステート表示領域に、前記複数のサブステートのうち、前記選択ステップで選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを前記操作部により設定可能に表示する第2の表示ステップと、前記第2の表示ステップで表示された前記設定項目を前記操作部により設定する設定ステップと、前記設定ステップで設定された前記設定項目のパラメータに応じたトレーニングシーケンスを前記状態遷移に応じて発生するシーケンス発生ステップと、を含む構成である。
【0020】
この構成により、状態遷移を制御するためのサブステートごとの設定項目が明確になることで、これらの設定項目を設定する際の操作性が向上する。これにより、ユーザによる誤操作を防止して所望のトレーニングシーケンスを発生させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、状態遷移に関する設定項目を設定する際の操作性を向上させ、ユーザによる誤操作を防止して所望のトレーニングシーケンスを発生させることができるシーケンス発生装置、それを用いた誤り率測定装置、及びシーケンス発生方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態に係るシーケンス発生装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係るシーケンス発生装置における表示部の表示例である(その1)。
図3】第1の実施形態に係るシーケンス発生装置における表示部の表示例である(その2)。
図4】第1の実施形態に係るシーケンス発生装置における表示部の表示例である(その3)。
図5】第1の実施形態に係るシーケンス発生装置における表示部の表示例である(その4)。
図6】第1の実施形態に係るシーケンス発生装置における表示部の表示例である(その5)。
図7】第1の実施形態に係るシーケンス発生装置によるシーケンス発生方法の処理を示すフローチャートである。
図8】第2の実施形態に係る誤り率測定装置の構成を示すブロック図である。
図9】LTSSMの状態遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るシーケンス発生装置、それを用いた誤り率測定装置、及びシーケンス発生方法の実施形態について図面を用いて説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るシーケンス発生装置は、複数のステート、及び、複数のステートに関連付けられた複数のサブステート間の状態遷移を制御するトレーニングシーケンス(TS)を発生して、当該TSをDUTに送信する装置である。
【0025】
本実施形態において、LTSSMに対応したDUTのシリアル通信規格の例としては、PCIe(登録商標)、USB(登録商標)などが挙げられる。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るシーケンス発生装置1は、表示制御部11と、操作部12と、表示部13と、パラメータ設定部14と、記憶部15と、シーケンス発生部16と、制御部17と、を備える。
【0027】
図2等に示すように、表示制御部11は、各ステートのステート名を操作部12により選択可能に表示するステート表示領域11aと、各ステートに関連付けられた複数のサブステートに関する設定項目を操作部12により設定可能に表示するサブステート表示領域11bと、を表示部13に表示させる制御を行うように構成されている。
【0028】
例えば、表示制御部11は、DUT100の規格がPCIe(登録商標)である場合にはステート表示領域11aにおいて、Detectステートを選択するためのDetectボタン11c、Pollingステートを選択するためのPollingボタン11d、Configurationステートを選択するためのConfigurationボタン11e、Recoveryステートを選択するためのRecoveryボタン11f、Loopbackステート(ループバックステート)を選択するためのLoopbackボタン11gを表示させる。上記の複数のステートのうち、ループバックステートは、DUT100に対してループバックテストを実行するためのステートである。
【0029】
また、表示制御部11は、複数のサブステートのうち、操作部12により選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみをサブステート表示領域11bに表示させるようになっている。
【0030】
また、表示制御部11は、複数のステートに属する各サブステートの設定項目を表示部13の所定領域に全て表示するための表示切替ボタン11hをサブステート表示領域11bに表示させてもよい。
【0031】
表示部13は、例えばLCDやCRTなどの表示機器で構成され、表示制御部11からの制御信号に応じて各種表示内容を表示するようになっている。さらに、表示部13は、設定項目のパラメータなどを設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象を表示するものであってもよい。
【0032】
操作部12は、ユーザによる操作入力を行うためのものであり、キーボード、タッチパネル、又はマウスのような入力デバイスを含んで構成される。あるいは前述のように、操作部12は、ボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象が表示部13に表示される構成であってもよい。
【0033】
パラメータ設定部14は、操作部12により設定された設定項目のパラメータをシーケンス発生部16に設定するようになっている。ここで、設定項目のパラメータとしては、次のステート又はサブステートに遷移するまでの待機時間、TSの種別、TSの送受信回数などが設定可能になっている。
【0034】
記憶部15は、表示制御部11が表示部13に対して表示制御を行うための情報、設定項目のパラメータの推奨値、操作部12により設定された設定項目のパラメータなどを記憶するようになっている。ここで、設定項目のパラメータの推奨値は、操作部12により設定項目のパラメータが設定・変更されるまで、初期値としてサブステート表示領域11bに表示されていることが望ましい。
【0035】
シーケンス発生部16は、操作部12により設定された設定項目のパラメータに応じたTSを現在の状態遷移に応じて発生するようになっている。PCIe(登録商標)の場合、例えばシーケンス発生部16は、Detect→Polling→Configuration→Loopback、あるいは、Detect→Polling→Configuration→Recovery→Loopbackの順にステートを遷移させて、ループバックステートに到達する。
【0036】
また、シーケンス発生部16は、ステートをループバックステートに遷移させるTSをDUT100に送信した後に、DUT100に誤り率測定のためのパルスパターンを送信する。シーケンス発生部16が送信するパルスパターンは、例えば2−1のビット周期を有する擬似ランダムビット系列や、規格で定義されるCompliance Pattern(CP)、Modified Compliance Pattern(MCP)である。
【0037】
制御部17は、例えばCPUや、記憶部15を構成するROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータで構成され、シーケンス発生装置1を構成する上記各部の動作を制御する。
【0038】
図2図6は、DUT100の規格がPCIe(登録商標)である場合の、表示部13の表示内容の一例を示す図である。ここでは、ステート表示領域11aにおいて、PCIe(登録商標)のステートの一部が示されている。
【0039】
図2は、ステート表示領域11aにおいて操作部12によりDetectボタン11c又はPollingボタン11dが押下されてDetectステート又はPollingステートが選択された場合に、サブステート表示領域11bに表示されるサブステートとその設定項目を示している。ここでは、サブステート表示領域11bにおいて、Detect.Quietでの待機時間が100μs、Detect.Activeでの待機時間が1000μs、Polling.ActiveでのTSの送信回数が1024、Polling.ConfigurationでのTSの送信回数が20に設定されている例を示している。
【0040】
図3は、ステート表示領域11aにおいて操作部12によりConfigurationボタン11eが押下されてConfigurationステートが選択された場合に、サブステート表示領域11bに表示されるサブステートとその設定項目を示している。ここでは、サブステート表示領域11bにおいて、Configuration.Linkwidth.Start、Configuration.Linkwidth.Accept、Configuration.Lanenum.Wait、Configuration.Lanenum.Accept、Configuration.CompleteでのTSの送信回数と、Configuration.Idleでの待機時間が設定されるようになっている。
【0041】
図4は、ステート表示領域11aにおいて操作部12によりRecoveryボタン11fが押下されてRecoveryステートが選択された場合に、サブステート表示領域11bに表示されるサブステートとその設定項目を示している。ここでは、サブステート表示領域11bにおいて、Recovery.Rcvr.Lock、Recovery.Rcvr.Cfg、Recovery.Equalization、Recovery.IdleでのTSの送信回数と、Recovery.Speedでの所要時間が設定されるようになっている。
【0042】
図5は、ステート表示領域11aにおいて操作部12によりLoopbackボタン11gが押下されてLoopbackステートが選択された場合に、サブステート表示領域11bに表示されるサブステートとその設定項目を示している。ここでは、サブステート表示領域11bにおいて、Loopback.EntryでのTSの送信回数が設定されるようになっている。
【0043】
図6は、サブステート表示領域11bにおいて操作部12により表示切替ボタン11hが押下された場合に、複数のステート(Detect、Polling、Configuration、Recovery、Loopback)に属する各サブステートの設定項目が表示部13の所定領域に全て表示される様子を示している。
【0044】
以下、本実施形態のシーケンス発生装置1を用いるシーケンス発生方法について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
まず、表示制御部11は、表示部13のステート表示領域11aに、複数のステートのステート名を操作部12により選択可能に表示する(第1の表示ステップS1)。
【0046】
次に、ユーザによる操作部12の操作により、第1の表示ステップS1でステート表示領域11aに表示された複数のステートの中から1つのステートが選択される(選択ステップS2)。
【0047】
次に、表示制御部11は、サブステート表示領域11bに、複数のサブステートのうち、選択ステップS2で選択されたステートに関連付けられたサブステートの設定項目のみを操作部12により設定可能に表示する(第2の表示ステップS3)。
【0048】
次に、ユーザによる操作部12の操作により、第2の表示ステップS3でサブステート表示領域11bに表示された設定項目のパラメータが設定される(設定ステップS4)。
【0049】
次に、シーケンス発生部16は、設定ステップS4で設定された設定項目のパラメータに応じたTSを現在の状態遷移に応じて発生する(シーケンス発生ステップS5)。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るシーケンス発生装置1は、状態遷移を制御するための設定項目をサブステートごとに明確に表示することで、これらの設定項目を設定する際の操作性が向上する。これにより、ユーザによる誤操作を防止して所望のTSを発生させることができる。また、本実施形態に係るシーケンス発生装置1は、ステートマシンで状態遷移が管理されるDUT100とのシリアル通信を行う誤り率測定装置に適用することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
図8は、第1の実施形態に係るシーケンス発生装置を備えた第2の実施形態に係る誤り率測定装置を示している。以下では、第1の実施形態に係るシーケンス発生装置の構成及び動作についての説明は省略する場合がある。
【0052】
図8に示すように、本実施形態に係る誤り率測定装置2は、シーケンス発生装置1と、DUT100に対して誤り率測定を行う誤り率測定部21と、表示部22と、操作部23と、制御部24と、を備える。
【0053】
シーケンス発生装置1のシーケンス発生部16は、ステートをループバックステートに遷移させるTSをDUT100に送信した後に、DUT100に誤り率測定のためのパルスパターンを送信する。
【0054】
誤り率測定部21は、シーケンス発生装置1から送信されたパルスパターンの受信に伴うDUT100からの被測定信号とパルスパターンとを比較して、被測定信号のビット誤り率を測定するようになっている。
【0055】
表示部22は、例えばLCDやCRTなどの表示機器で構成され、制御部24からの制御信号に応じて各種表示内容を表示するようになっている。この表示内容には、被測定信号のビット誤り率の測定結果などが含まれる。さらに、表示部22は、測定条件などを設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象を表示するものであってもよい。なお、表示部22はシーケンス発生装置1の表示部13で代用してもよい。
【0056】
操作部23は、キーボード、タッチパネル、又はマウスのような入力デバイスを含んで構成される。あるいは前述のように、操作部23は、ボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象が表示部22に表示される構成であってもよい。なお、操作部23はシーケンス発生装置1の操作部12で代用してもよい。
【0057】
制御部24は、例えばCPU、ROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータで構成され、誤り率測定装置2を構成する上記各部の動作を制御するようになっている。
【0058】
以上、説明したように、本実施形態に係る誤り率測定装置2は、ステートマシンで状態遷移が管理されるDUT100とのシリアル通信を行う誤り率測定装置において、状態遷移に関する設定項目を設定する際の操作性を向上させ、ユーザによる誤操作を防止して所望のTSを発生させることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 シーケンス発生装置
2 誤り率測定装置
11 表示制御部
11a ステート表示領域
11b サブステート表示領域
12 操作部
13 表示部
14 パラメータ設定部
15 記憶部
16 シーケンス発生部
17 制御部
21 誤り率測定部
22 表示部
23 操作部
24 制御部
100 DUT(被試験対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9