特許第6263170号(P6263170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263170負荷を駆動するための2つのガスタービンの組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263170
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】負荷を駆動するための2つのガスタービンの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   F02C 6/02 20060101AFI20180104BHJP
   F02C 7/36 20060101ALI20180104BHJP
   F02C 3/073 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   F02C6/02
   F02C7/36
   F02C3/073
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-515529(P2015-515529)
(86)(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公表番号】特表2015-518942(P2015-518942A)
(43)【公表日】2015年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2013061743
(87)【国際公開番号】WO2013182655
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】FI2012A000112
(32)【優先日】2012年6月8日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513243790
【氏名又は名称】ヌオーヴォ ピニォーネ ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】NUOVO PIGNONE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】アックイスティ,ジャンニ
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−043630(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第01413743(FR,A1)
【文献】 特開2004−060478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 6/02
F02C 3/073
F02C 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変負荷(21、120)を駆動するためのシステムであって、
冷端(23C、123C)および熱端(23H、123H)を有する第1ガスタービン(23、123)と、
冷端(25C、125C)および熱端(25H、125H)を有する第2ガスタービン(25、125)と、
複数のクラッチ継手であって、前記複数のクラッチ継手の少なくとも1つのクラッチ継手(21A、21B)は、前記第1ガスタービン(23、123)の前記熱端(23H、123H)で、前記可変負荷(21、120)を機械的に接続しており、前記複数のクラッチ継手の少なくとも1つのさらなるクラッチ継手(21A、21B)は、前記第2ガスタービン(25、125)の前記冷端(25C、125C)で、前記可変負荷(21、120)を機械的に接続している、複数のクラッチ継手と、
前記第1ガスタービン(23、123)および/または前記第2ガスタービン(25、125)および前記可変負荷(21、120)からの機械的動力伝達を調整するために、前記複数のクラッチ継手を制御するように配置されている制御システムと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記第1ガスタービン(23、123)および前記第2ガスタービン(25、125)は、実質的に互いに等しい、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1ガスタービン(23、123)は、前記冷端(23C、123C)からその前記熱端(23H、123H)まで延びる第1動力シャフト(65、131)を備え、前記第2ガスタービン(25、125)は、前記冷端(25C、125C)からその前記熱端(25H、125H)まで延びる第2動力シャフト(65、131)を備え、前記第1動力シャフト(65、131)および前記第2動力シャフト(65、131)は、前記複数のクラッチ継手を介して前記可変負荷(21、120)に機械的に接続されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1動力シャフト(65、131)および前記第2動力シャフト(65、131)は、第1回転速度で回転し、前記可変負荷(21、120)は、第2回転速度で回転し、前記第1回転速度は、前記第2回転速度に実質的に等しい、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1動力シャフト(65、131)および前記第2動力シャフト(65、131)は、前記複数のクラッチ継手を介して可変負荷シャフト(22)の両端(22A、22B)に接続されている、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1ガスタービン(23)および前記第2ガスタービン(25)は、航空転用ガスタービンである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1ガスタービン(23)および前記第2ガスタービン(25)は、ガス発生器シャフト(55)および動力シャフト(65)を備えるそれぞれのガスタービンを備え、前記動力シャフト(65)は、前記ガス発生器シャフト(55)と同軸に延びている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1ガスタービン(23)は、低圧圧縮機(31)、高圧圧縮機(39)、燃焼器(47)、高圧タービン(49)、および低圧タービン(29)を備え、前記低圧圧縮機(31)および前記低圧タービン(29)は、前記第1動力シャフト(65)によって支持されかつ前記第1動力シャフト(65)にねじり接続されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1動力シャフト(65)は、前記第1ガスタービン(23)の第1高圧圧縮機ロータ(45)を介して同軸に延びている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2ガスタービン(25)は、低圧圧縮機(31)、高圧圧縮機(39)、燃焼器(47)、高圧タービン(49)、および低圧タービン(29)を備え、前記低圧圧縮機(31)および前記低圧タービン(29)は、前記第2動力シャフト(65)によって支持されかつ前記第2動力シャフト(65)にねじり接続されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2動力シャフト(65)は、前記第2ガスタービン(25)の第2高圧圧縮機ロータ(45)を介して同軸に延びている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1ガスタービン(23、123)、前記第2ガスタービン(25、125)、および前記可変負荷(21、120)は、互いに実質的に同軸にある、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
ガスタービンにより、可変負荷(21、120)を駆動するための方法であって、
熱端(23H、123H)および冷端(23C、123C)を有する第1ガスタービン(23、123)を提供する工程と、
熱端(25H、125H)および冷端(25C、125C)を有する第2ガスタービン(25、125)を提供する工程と、
前記第1ガスタービン(23、123)および/または前記第2ガスタービン(25、125)を前記可変負荷(21、120)に接続または分離するように配置されている複数のクラッチ継手を提供する工程と、
前記第1ガスタービン(23、123)、前記第2ガスタービン(25、125)および前記可変負荷(21、120)を、同一回転方向で回転させる工程と、
前記第1ガスタービン(23、123)および前記第2ガスタービン(25、125)の1つと一緒に、または前記第1ガスタービン(23、123)および前記第2ガスタービン(25、125)の両方と一緒に、前記可変負荷(21、120)を選択的に駆動し、前記複数のクラッチ継手を制御する工程と、
を含む方法。
【請求項14】
前記可変負荷(21、120)、第1ガスタービン(23、123)および前記第2ガスタービン(25、125)は、実質的に同一回転速度で回転する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示されている実施形態は、概して、陸上ガスタービンに関する。より具体的には、実施形態は、発電機または圧縮機のような回転機械を駆動するための複合ガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、陸上用途において、例えば、多種多様の作業機械を駆動するための機械的発電機として、一般的に使用されている。広義の用語「陸上」を用いて、航空用途以外のすべての適用が示されている。具体的には、ガスタービンは、発電所で発電機を回転させるために使用されている。ガスタービンは、軸流圧縮機または遠心圧縮機のような大型の回転機械を駆動するためにも、一般的に使用される。典型的には、ガスタービンは、天然ガス液化(LNG)、CO2回収およびガス産業の他の部門の分野に、適用されている。
【0003】
いくつかの既知の実施形態では、高負荷ガスタービンが使用されている。これらの機械は、高動力出力を提供するが、特に、重くかつ扱いにくい。
【0004】
航空転用ガスタービンの陸上用途は、LNGおよび発電を含むいくつかの分野で、ますます人気になってきている。航空転用ガスタービンは、コンパクトな寸法を特徴としており、したがって、沖合用途において特に有用である。しかし、航空転用ガスタービンの動力出力は、高負荷ガスタービンの出力比と比べると、限定されている。航空転用ガスタービン用の典型的な出力範囲は、60MWまであるのに対して、高負荷ガスタービンは、100MWを超えて生み出す。
【0005】
負荷を駆動するのに十分な動力を供給するために、1つの被駆動の装置または負荷に動力を供給するための2つのガスタービンを結合することが、標準的な慣行となっている。
【0006】
図1は、例えば、いわゆるターボ圧縮機のような単一の被駆動装置を駆動するための双子配置のガスタービンの最先端の用途を示している。このような構成によれば、ガス発生器2および低圧タービン3を備える第1ガスタービン1が、提供される。出力シャフト4は、一般的な被駆動装置5に接続されている。被駆動装置5は、遠心圧縮機または軸流圧縮機のようなターボ機械、または発電機などを備えることができる。同様に、ガス発生器2は、軸流圧縮機2Aおよび高圧タービン2Bを備える。高圧タービン2Bで生成される動力は、圧縮機2Aを駆動する。高圧タービン2Bを出るガス発生器によって生成されるガスは、低圧タービン3を回転駆動させ、低圧タービン3により生成される機械的動力は、被駆動装置5を駆動するために使用される。図1の配置は、さらに、第2ガスタービン6を備える。第2ガスタービン6は、第1ガスタービン1と実質的に対称に配置されており、第2ガス発生器7および第2低圧タービン8を備える。同様に、ガス発生器7は、圧縮機7Aおよび高圧タービン7Bを備える。低圧タービン8によって生成される電力は、シャフト9およびギアボックス10を介して、被駆動装置5を駆動するために使用される。ギアボックス10の介在は、ギアボックス10の出力シャフト9Aが、第1ガスタービン1のシャフト4と同一方向で回転するように、シャフト9の回転の方向を反転させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2,412,951号明細書
【発明の概要】
【0008】
この配置は、単一のガスタービンによって供給される動力の倍の動力を必要とする装置5を駆動することを可能にする。この既知の装置は、いくつかの欠点を有する。ギアボックス10は、典型的には1−3%の範囲で、入力動力の割合を消費し、したがって、設備の全体的な効率を低下させる。さらに、設備の設置面積は、ギアボックス10によって大きくされている。ギアボックスの使用は、可能性のあるギアボックスの故障により、潤滑油の消費量を増大させ、かつ設備全体の可用性を低下させる。ギアボックスは、さらに、重要なシステムのロトダイナミックな(rotodynamic)振る舞いを与えるシャフト振動を導入する。
【0009】
一方のガスタービンの冷端が他方のガスタービンの熱端と対向するように第1ガスタービンおよび第2ガスタービンが配置され、かつ、その間に負荷を配置しているシステムを提供することによって、ガスタービンの一方と負荷との間に配置されるギアボックスを必要とすることなく、両方のガスタービンの回転方向が負荷の回転方向と一致するように、負荷は、2つのガスタービンに接続されることができる。
【0010】
いくつかの例示的な実施形態において、第1ガスタービンは、ガスタービンの長さにわたって、冷端から熱端まで延びる第1軸シャフトを有している。同様に、第2ガスタービンは、第2ガスタービンの長さにわたって、冷端から熱端まで延びる第2軸シャフトを有している。第1軸シャフトおよび第2軸シャフトは、それぞれ、第1ガスタービンおよび第2ガスタービンの第1低圧タービンおよび第2低圧タービンによって回転駆動される動力シャフトであり、ガスタービンによって生成されかつ動力シャフト上で利用可能な動力を、負荷に伝達することができる。その後、負荷は、複数のクラッチ継手を介して、第1シャフトの一端および第2シャフトの反対端に接続されており、第1ガスタービンのそれぞれの冷端および第2ガスタービンの熱端、またはその逆からアクセス可能である。
【0011】
特に、負荷は、好ましくは、吸収される動力の可変な範囲を有する負荷である可変負荷、すなわち圧縮機であり、この理由のために、用語「負荷」および「可変負荷」は、明細書中では同義語として考えられている。負荷は、ガスタービンと同一速度で回転する場合、ギアボックスは、負荷と2つのガスタービンのいずれか一方との間に必要とされない。したがって、ギアボックスは、完全に不要とされており、ギアボックスを利用して接続されている上述の欠点を除去している。「1」とは異なる回転速度比が、ガスタービンと負荷との間に必要とされる場合、ギアボックスは、各ガスタービンと負荷との間に配置されている。しかし、ガスタービンの出力シャフトの回転方向の反転は、必要とされない。
【0012】
上記の考え方に基づいて、例示的な実施形態によれば、負荷を駆動するためのシステムが提供されており、このシステムは、冷端および熱端を有する第1ガスタービンと、冷端および熱端を有する第2ガスタービンと、複数のクラッチ継手であって、前記複数のクラッチ継手の少なくとも1つのクラッチ継手は、前記第1ガスタービンの前記熱端で前記可変負荷を機械的に接続しており、前記複数のクラッチ継手の少なくともさらなるクラッチ継手は、前記第2ガスタービンの前記冷端で前記可変負荷を機械的に接続している、複数のクラッチ継手と、前記第1ガスタービンおよび/または前記第2ガスタービンおよび前記可変負荷からの機械的動力伝達を調整するために、前記複数のクラッチ継手を制御するように配置されている制御システムと、を備える。ガスタービンの熱端は、低圧タービンおよび排気ガス排出プレナムが配置されている端として、理解されている。ガスタービンの冷端は、熱端と反対の端、すなわち第1空気圧縮機およびガス発生器の吸気プレナムが配置されているガスタービン端として、理解されている。
【0013】
好ましくは、第1ガスタービンおよび第2ガスタービンは、実質的に互いに等しい。特に有利な実施形態では、ガスタービンは、航空転用ガスタービンである。軽量化および航空転用ガスタービンの寸法および一方のガスタービンの熱端と他方のガスタービンの冷端との間に位置する負荷を有する特別な配置は、コンパクトな配置をもたらし、特に、例えば沖合用途に適している。
【0014】
いくつかの例示的な実施形態によれば、第1ガスタービンは、前記第1ガスタービンの前記冷端から前記熱端まで延びる第1シャフトを備え、前記第2ガスタービンは、前記第2ガスタービンの前記冷端から前記熱端まで延びる第2シャフトを備える。第1シャフトおよび第2シャフトは、前記複数のクラッチ継手を介して負荷に機械的に接続されている。クラッチ継手がガスタービンシャフトに前記負荷を接続する本発明の場合では、負荷シャフトおよび前記ガスタービンシャフトは、好ましくは、同一回転速度で回転する。さらなる態様によれば、本明細書で開示されている主題は、ガスタービンを用いて負荷を駆動するための方法に関しており、
熱端および冷端を有する第1ガスタービンを配置する工程と、
熱端および冷端を有する第2ガスタービンを配置する工程と、
前記第1ガスタービンおよび/または前記第2ガスタービンを前記可変負荷に接続または分離するように配置されている複数のクラッチ継手を提供する工程と、
前記第1ガスタービン、前記第2ガスタービンおよび前記可変負荷を、同一回転方向に回転させる工程と、
前記第1ガスタービンおよび前記第2ガスタービンの一方と一緒に、または前記第1ガスタービンおよび前記第2ガスタービンの両方と一緒に、前記可変負荷を選択的に駆動し、かつ前記複数のクラッチ継手を制御する工程と、を含む。
【0015】
上述の簡単な説明は、続く詳細な説明がより良く理解されることができ、かつ技術に対する本貢献がより良く表れることができるようにするため、本発明の様々な実施形態の特徴を規定している。以下で説明され、かつ添付の特許請求の範囲で規定されるであろう本発明の他の特徴は、もちろん、存在している。この点で、詳細に本発明のいくつかの実施の形態を説明する前に、本発明の様々な実施形態は、それらの用途において、説明の詳細に、および、以下の説明で規定されるかまたは図面に示される構成要素の配置に限定されないことが、理解される。本発明は、他の実施形態で、および種々の方法で、実施されることが可能である。また、本明細書で用いられる句学問および用語法は、記述のためであり、限定とみなされるべきではないことを理解されたい。
【0016】
このように、当業者は、本開示が基づいている概念が、本発明のいくつかの目的を実施するための他の構造、方法、および/またはシステムを設計するための基礎として容易に利用されうることを理解するであろう。特許請求の範囲は、本発明の範囲から逸脱しないような等価な構成を含むものとみなされることが、重要である。
【0017】
本発明のより完全な理解およびそれに付随する多くの利点は、添付図面に関連して考慮されるとき、以下の詳細な説明を参照することにより、より理解されるようになるのと同じように、容易に得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】最新鋭の技術に係る、共通の負荷を駆動するための2つのガスタービンの構成を概略的に示す図である。
図2】本明細書に開示される主題の一実施形態に係る、共通の負荷を駆動するための2つのガスタービンの構成を概略的に示す図である。
図3図2に係る装置での使用に適している航空転用ガスタービンの縦断面を示す図である。
図4】共通の負荷を駆動するための2つのガスタービンのさらなる構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同一または類似の要素を特定する。さらに、図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、以下の詳細な説明は、発明を限定するものではない。代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0020】
「一実施形態」または「実施形態」または「いくつかの実施形態」に対する明細書全体での参照は、実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造または特性が、開示されている主題の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを、意味する。したがって、明細書全体の様々な場所における句「一実施形態では」または「実施形態では」または「いくつかの実施形態では」の出現は、必ずしも、同一の実施形態(複数可)を参照していない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせられてもよい。
【0021】
図2は、本明細書に開示されている主題に係る配置を示している。本実施形態によれば、負荷シャフト22を備える負荷21は、双子配置の2つのガスタービン23および25によって回転駆動される。いくつかの実施形態によれば、2つのガスタービン23および25は、互いに同一である。いくつかの実施形態では、ガスタービン23および25は、航空転用ガスタービンである。例示的な実施形態では、ガスタービン23および25は、アメリカ合衆国コネチカット州フェアフィールドのジェネラルエレクトリック社の子会社である、アメリカ合衆国オハイオ州イブンデールのGEアビエーションから入手可能なLM6000航空転用ガスタービンである。
【0022】
いくつかの実施形態では、各ガスタービン23および25は、ガス発生セクション27および低圧出力タービン29を備える。図3は、より詳細に、ガスタービン23、25の縦断面を示している。ガス発生セクション27は、吸引側での一組の固定入口ブレード33を有する低圧軸流圧縮機31を備える。複数の低圧圧縮ステージ35は、固定入口ブレード33の下流側に配置されている。各低圧圧縮ステージ35は、一組の回転ブレードおよび一組の固定ブレードを備える。回転ブレードは、低圧圧縮機ロータ37によって支持されており、固定ブレードは、外側ケーシングによって支持されている。
【0023】
低圧軸流圧縮機31は、低圧軸流圧縮機31の下流に配置されている高圧軸流圧縮機39と流体連通している。高圧軸流圧縮機39は、複数の高圧圧縮ステージ43を備える。各高圧圧縮ステージ43は、一組の回転ブレードおよび一組の固定ブレードを備える。回転ブレードは、高圧圧縮機ロータ45によって支持されている。固定ブレードは、ケーシングによって支持されている。
【0024】
高圧軸流圧縮機39の出口は、燃焼器47と流体連通している。高圧軸流圧縮機39からの圧縮空気は、前記燃焼器47に流入し、それと共にガスまたは液体燃料が混合し、空気/燃料混合物が、圧縮された高温燃焼ガスを生成するように点火される。
【0025】
燃焼器47の下流に、第1高圧タービン49が、燃焼器47と流体連通して、配置されている。高圧タービン49は、一組の固定入口ブレード50、続いて1以上の膨張ステージ51を備え、それぞれは、一組の固定ブレードおよび一組の回転ブレードを備える。回転ブレードは、高圧タービンロータ53によって支持されている。高圧タービンロータ53および高圧圧縮機ロータ45は、ガス発生器シャフト55によって支持され、かつガス発生器シャフトにねじり拘束されている。
【0026】
高圧タービン49を介して燃焼器47から流れる燃焼ガスの膨張は、ガス発生器シャフト55を駆動しかつ高圧軸流圧縮機39に動力を供給するために使用される機械的動力を発生させる。
【0027】
高圧タービン49の出口は、低圧タービン29の入口と流体連通している。高圧タービン49を通って流れる燃焼ガスは、部分的にのみ膨張され、それらの膨張は、低圧タービン29において継続する。低圧タービン29の入口は、機械のケーシングによって支持されている一組の固定ブレード59、続いて複数の低圧膨張ステージ61を備える。各低圧膨張ステージ61は、一組の回転ブレードおよび一組の固定ブレードを備える。回転ブレードは、低圧タービンロータ63によって支持されており、固定ブレードは、ガスタービン23、25のケーシングによって支持されている。低圧タービンロータ63は、動力シャフト65に回転可能に拘束され、かつ動力シャフト65によって支持されている。動力シャフト65は、ガスタービンを通って、同軸に、ガス発生器シャフト55まで延びている。低圧圧縮機ロータ37は、同一の動力シャフト65によって支持され、かつ拘束されている。
【0028】
低圧タービン29内で膨張する燃焼ガスは、動力シャフト65に機械的動力を発生させ、機械的動力は、部分的に低圧軸流圧縮機31を駆動するために使用され、かつ部分的に負荷21を駆動するために使用される。
【0029】
図3から理解されうるように、動力シャフト65は、第1端65Cから反対の第2端65Hまで延びている。動力シャフト65の第1端65Cは、ガスタービン23、25のいわゆる冷端23C、25Cに、すなわち、その冷気入口側に、配置されている。第2端65Hは、ガスタービン23、25のいわゆる熱端23H、25Hに、すなわち、排気される高温燃焼ガスが、膨張されて高圧タービン49および低圧タービン29において部分的に冷却された後に、67で排出される側に、配置されている。
【0030】
したがって、動力シャフト65は、ガスタービン23、25の冷側における第1端65Cまたはガスタービン23、25の熱側における第2端65Hのいずれかで、負荷21に接続されることができる。熱端65Hおよび冷端65Cは、この目的のために、負荷連結と組み合わられうる。
【0031】
図2を再び参照すると、この例示的な実施形態では、ガスタービン23は、それぞれの動力シャフト65の第2端65Hを介して負荷21に、すなわちガスタービン23の熱端で、接続されている。逆に、ガスタービン25は、それぞれの動力シャフト65の第1端65Cを介して負荷21に、すなわちガスタービン23の冷端で、接続されている。
【0032】
2つのガスタービン23、25は、同一方向を向いており、負荷21に対して反対側で接続されているので、したがって、2つのガスタービン23、25は、回転運動の方向を反転させるギアボックスを必要とせずに、同一の負荷21に接続されている。
【0033】
上述したように、負荷21は、軸流圧縮機または遠心圧縮機のようなターボ機械、例えば、LNG設備用の冷媒圧縮機、またはCO2回収および液化用の圧縮機、または回転ポンプなどとすることができる。他の実施形態では、負荷21は、電気エネルギーの生成のための、または共通の負荷のための一組の双子の伝達機構として作用する2つのガスタービン23、25によって回転駆動される回転シャフトを有する任意の他の負荷のための、発電機とすることができる。本明細書で使用される用語の負荷は、おそらく複数の回転機械を備えるものとして理解されるべきである。例えば、負荷は、圧縮機の列、すなわち、2以上の同軸に配置されている圧縮機、および/または2以上の電気機械を備えることができる。いくつかの実施形態では、負荷は、また、2以上の、異なる性質の回転機械、例えば、ターボ機械および電気機械を備えることができる。
【0034】
好ましい実施形態では、図2に模式的に示されるように、負荷21は、両端22A、22Bを有する貫通シャフトを備えることができる。両端22A、22Bは、それぞれ21Aおよび21Bが付されているそれぞれのクラッチ継手を挟んで、第1ガスタービン23および第2ガスタービン25のシャフト65の2つの両端65Hおよび65Cに、それぞれ接続されている。クラッチ継手21A、21Bは、概して平行かつ同軸である両シャフト65の可能性のある不均衡を補うことができる。一方または両方のクラッチ継手21A、21Bは、選択的に、一方または両方のタービンシャフト65を、負荷21に接続、または負荷21から分離する。
【0035】
好ましい実施形態において、制御システムは、前記複数のクラッチ継手を制御するために設けられている。前記クラッチ継手21A、21Bは、ガスタービンシャフト(複数可)を負荷に接続/分離するように、動作できる。
【0036】
制御システムは、前記第1ガスタービン(23、123)および/または前記第2ガスタービン(25、125)および前記可変負荷(21、120)からの機械的動力伝達を調整するために、前記第1ガスタービン(23、123)、前記第2ガスタービン(25、125)および前記可変負荷(21、120)の少なくとも1つの回転速度の機能において、前記複数のクラッチ継手を選択的に動作させるように配置されている。
【0037】
タービンから負荷(21、120)への機械的動力伝達の調節は、全体の消費量を最適化することを可能にする。
【0038】
特に、制御システムは、負荷21と第1ガスタービン23および第2ガスタービン25によって構成される列の開始位相を管理する。
【0039】
最初に、負荷21は、第1ガスタービン23にのみ接続されることができ、第1ガスタービン23は、負荷21を駆動回転させることを開始できる。一方、第2ガスタービン25は、第1ガスタービン23および負荷21の同一の回転速度に到達するように、回転することを開始できる。
【0040】
一旦、速度が実質的に等しくなると、第2ガスタービン25は、負荷21に接続されることができる。
【0041】
第2ガスタービン25および負荷21を起動する同一の結果が達成されることができ、その後、回転する第1ガスタービン23を接続する。図面に示されている例示的な実施形態では、タービンシャフト65と負荷21との間の接続は、直接接続であり、すなわち、負荷シャフト22および2つのタービンシャフト65は、実質的に同一速度で回転する。他の実施形態では、示されていないが、それぞれのギアボックスは、各動力シャフト65と負荷シャフト22の対応する端との間に、配置されることができる。この修正された構成は、タービン23、25の回転速度が負荷21の回転速度と異なる場合に、使用することができる。しかし、2つのタービンシャフト65の一方の回転方向を反転させるギアボックスは、必要とされない。
【0042】
図1および図2を比較することによって理解されうるように、図2における配置の全体寸法は、図1のそれよりも小さい。具体的には、図2における装置の設置面積は、ギアボックスの欠如に起因して、より小さい。ギアボックス内の機械的損失が除去されるので、ギアボックスの欠如は、また、設備の全体効率を増大させる。潤滑油消費量が、低減され、ギアボックスによって引き起こされるロトダイナミックな臨界も同様に除去される。設備全体の信頼性は、故障しがちな構成要素の除去により、強化されている。
【0043】
負荷を駆動するための1つのみのタービンを使用する、高負荷タービン装置に関しては、本明細書中に開示されるような直列配置における、2つのより小さなガスタービンの、特に2つの航空転用ガスタービンの組み合わせは、追加的な利点が達成されることを可能にする。高負荷ガスタービンおよび負荷の配置の全体の寸法および設置面積は、本明細書に開示されているもののような二重のガスタービン配置よりも通常大きくなる。出力動力は同一である。より小さな航空転用ガスタービンの保守は、大きな高負荷タービンの保守よりも、より容易かつより安価である。また、2つの別個のガスタービンを使用することは、動作におけるより高い柔軟性を可能にし、例えば、50MWの負荷ステップを可能にする。単一のより大きなガスタービンが使用されている場合、100MWの負荷ステップのみが可能である。さらに、2つのタービンの各々の動力出力は、必要に応じて調節されることができ、ガスタービンの効率を最適化するように制御されることができる。低減された動力が必要な場合には、負荷と少なくとも1つのおよび好ましくは両方のガスタービンとの間のクラッチ継手を使用することは、少なくとも1つのおよび好ましくは両方のガスタービンが、負荷から分離され、かつ選択的にオフにされることを可能にする。設備のより高い信頼性も得られる。負荷が駆動されることができるので、1つのガスタービンの故障は、低減された動力でありながら、動作しているままのガスタービンによって、設備の全体の停止を引き起こすことはないだろう。
【0044】
図4は、本明細書に開示される主題のさらなる実施形態を示している。この実施形態では、負荷120は、2つのメインフレームのガスタービン123および125によって、駆動される。各メインフレームのガスタービン123、125は、圧縮機127および動力タービン129を備える。圧縮機127によって圧縮される空気は、燃焼器128に流れる。燃焼器128で発生した燃焼ガスは、動力タービン129で膨張される。圧縮機127および動力タービン129は、共通シャフト131によって支持され、かつ共通シャフト131にねじり拘束されている。各シャフト131は、それぞれのガスタービン123、125の冷側123C、125Cでの第1端131C、およびそれぞれのガスタービン123、125の熱側123H、125Hでの第2端131Hを有している。第1ガスタービン123のシャフト131の第2端131Hおよび第2ガスタービン125の冷側の第1端131Cは、両方とも、共通の負荷120に接続されている。2つのガスタービン123および125からの動力は、共通の負荷120を駆動するために組み合わせて使用される。
【0045】
本明細書中に記載されている主題を有する開示されている実施形態は、図面に示されており、いくつかの例示的な実施形態に関連して、特殊性および詳細を用いて、完全に上述されている。多くの修正、変更、および省略が、新規な教示、本明細書に説明されている原理および概念、および添付の特許請求の範囲に列挙されている主題の利点から実質的に逸脱することなく可能であることが、当業者にとって、明らかであろう。したがって、開示されているイノベーションの適切な範囲は、すべてのそのような修正、変更、および省略を包含するように、特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ決定されるべきである。加えて、任意のプロセスまたは方法ステップの順番または順序は、代替的な実施形態にしたがって、変えられ、または再配列されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 第1ガスタービン
2 ガス発生器
2A 軸流圧縮機
2B 高圧タービン
3 低圧タービン
4 出力シャフト
5 被駆動装置
6 第2ガスタービン
7 第2ガス発生器
7A 圧縮機
7B 高圧タービン
8 第2低圧タービン
9 シャフト
9A 出力シャフト
10 ギアボックス
21 負荷
21A クラッチ継手
21B クラッチ継手
22 負荷シャフト
22A 端
22B 端
23 第1ガスタービン
23C 冷端
23H 熱端
25 第2ガスタービン
25C 冷端
25H 熱端
27 ガス発生セクション
29 低圧タービン
31 低圧軸流圧縮機
33 固定入口ブレード
35 低圧圧縮ステージ
37 低圧圧縮機ロータ
39 高圧軸流圧縮機
43 高圧圧縮ステージ
45 高圧圧縮機ロータ
47 燃焼器
49 第1高圧タービン
50 固定入口ブレード
51 膨張ステージ
53 高圧タービンロータ
55 ガス発生器シャフト
59 固定ブレード
61 低圧膨張ステージ
63 低圧タービンロータ
65 動力シャフト、タービンシャフト
65C 第1端、冷端
65H 第2端、熱端
120 負荷
123 第1ガスタービン
123C 冷側
123H 熱側
125 第2ガスタービン
125C 冷側
125H 熱側
127 圧縮機
128 燃焼器
129 動力タービン
131 共通シャフト
131C 第1端
131H 第2端
図1
図2
図3
図4