特許第6263174号(P6263174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6263174-薬物送達デバイス用のストッパ配置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263174
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス用のストッパ配置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   A61M5/315 516
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-519048(P2015-519048)
(86)(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公表番号】特表2015-525581(P2015-525581A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】EP2013063235
(87)【国際公開番号】WO2014001308
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年6月14日
(31)【優先権主張番号】12173959.3
(32)【優先日】2012年6月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ナゲル
(72)【発明者】
【氏名】レーネ・リヒター
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ヴィット
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト・ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・グレーフェ
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/028498(WO,A1)
【文献】 特開2007−127086(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/113521(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0229310(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0016710(US,A1)
【文献】 特表2011−515176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストッパ(5)と、一端が該ストッパ(5)に連結され、他端が連結配置(8)に連結されたリニアアクタ(7)とを備える、薬物送達デバイス(1)用のストッパ配置であって、該ストッパ配置は、薬物送達デバイス(1)の容器(2)内に配設されるように構成され、ストッパ(5)および連結配置(8)の形状および/または材料は、リニアアクタ(7)が収縮しているときは連結配置(8)と容器(2)との間の第1の摩擦力がストッパ(5)と容器(2)との間の摩擦力よりも小さく、リニアアクタ(7)が拡張しているときは連結配置(8)と容器(2)との間の第2の摩擦力がストッパ(5)と容器(2)との間の摩擦力よりも大きいように構成されることを特徴とし、ここで、連結配置(8)は、遠位方向(D)に向かって先細になった少なくとも1つの楔状ブロック(8.1)と、近位方向(P)に向かって先細になった円錐状の内側リング(8.2)または円錐とを備え、楔状ブロック(8.1)は内側リング(8.2)または円錐と容器(2)との間に配置され、内側リング(8.2)または円錐は近位では近位プレート(8.3)に、遠位ではリニアアクタ(7)に取り付けられ、連結配置(8)は、リニアアクタ(7)の収縮時に内側リング(8.2)または円錐が少なくとも1つの楔状ブロック(8.1)に押し付けられていないとき、第1の摩擦力で容器(2)に係合するように構成され、内側リング(8.2)または円錐および楔状ブロック(8.1)は、リニアアクタ(7)が拡張しているとき、容器(2)に係合し、それによって摩擦量が第2の摩擦力まで増加する、前記ストッパ配置。
【請求項2】
楔状ブロック(8.1)は、圧縮ばねとして配置されるそれぞれのばね(8.4)によって、近位プレート(8.3)に対して遠位方向(D)で付勢されることを特徴とする、請求項に記載のストッパ配置。
【請求項3】
リニアアクタ(7)はソレノイドを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のストッパ配置。
【請求項4】
リニアアクタ(7)はスピンドルおよびナットを備えた電気モータを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のストッパ配置。
【請求項5】
ストッパプレート(6)はストッパ(5)に近位で取り付けられ、リニアアクタ(7)はストッパプレート(6)に取り付けられることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のストッパ配置。
【請求項6】
ストッパプレート(6)はストッパ(5)に解放可能に取り付けられることを特徴とする、請求項に記載のストッパ配置。
【請求項7】
リニアアクタ(7)を制御するためのエネルギー供給ケーブル(9)は、近位プレート(8.3)および内側リング(8.2)を通されることを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載のストッパ配置。
【請求項8】
少なくとも2つの楔状ブロック(8.1)が内側リング(8.2)の周りに同心で配置されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のストッパ配置。
【請求項9】
薬物を保持するためにキャビティ(3)を内部に画成する容器(2)と、該容器(2)の遠位端に配置されたノズル(4)とを備え、ここで、該ノズル(4)はキャビティ(3)と流体連通しており、請求項1〜のいずれか1項に記載のストッパ配置が容器(2)内に配設される、薬物送達デバイス(1)。
【請求項10】
楔状ブロック(8.1)は、圧縮ばねとして配置されるそれぞれのばね(8.4)によって、近位プレート(8.3)に対して遠位方向(D)で付勢され、そして楔状ブロック(8.1)を近位プレート(8.3)に向かって中立位置へと移動させるための移動補助具が配置されることを特徴とする、請求項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項11】
移動補助具は容器(2)の上に外部から配置可能なリング磁石を含むことを特徴とする、請求項10に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項12】
移動補助具は、内側リング(8.2)上または近位プレート(8.3)上に配置される少なくとも1つのソレノイドを含むことを特徴とする、請求項10に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項13】
移動補助具は、容器(2)の近位端を通して挿入可能な機械的または磁気的ツールを含むことを特徴とする、請求項10に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項14】
容器(2)およびストッパ(5)は円形断面を有することを特徴とする、請求項13のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達デバイス用のストッパ配置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の薬物送達デバイスは、薬物を保持するためにキャビティを内部に画成する容器と、キャビティと流体連通しているノズル、たとえば容器の遠位端に配置された注射針と、薬物を変位させるための容器内に配設されたプランジャを備えたストッパとを備える。
【0003】
特許文献1は、注射筒内で使用するためにプランジャロッドに取り付けるように適合されたストッパを開示している。ストッパは、開いた後端および閉じた前端を画成する本体を含む。開いた後端は、プランジャロッドの前端取付け部分を受け入れるように適合される。ストッパはまた、閉じた前端に隣接して前記本体と一体的に形成されたコア部材を含む。コア部材は、かかる注射筒の出口開口部と共に明確なシールを作成するように適合されたプロファイルを有するノーズ部分を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国出願公開US2008/0300550A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、改善されたストッパ配置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的は、請求項1に記載のストッパ配置によって達成される。
【0007】
本発明の好ましい実施形態は従属請求項で与えられる。
【0008】
本発明によれば、薬物送達デバイス用のストッパ配置は、ストッパと、一端がストッパに連結され、他端が連結配置に連結されたリニアアクタ(linear actor)とを備え、ストッパ配置は、薬物送達デバイスの容器内に配設されるように構成され、ストッパおよび連結配置の形状および/または材料は、リニアアクタが収縮しているときは連結配置と容器との間の第1の摩擦力がストッパと容器との間の摩擦力よりも小さく、リニアアクタが拡張しているときは連結配置と容器との間の第2の摩擦力がストッパと容器との間の摩擦力よりも大きいように構成される。
【0009】
本発明によるストッパ配置は自動推進式であり、したがってプランジャハンドルが不要なので、薬物送達デバイスの全長を大幅に低減することが可能である。
【0010】
ストッパの全調節範囲がリニアアクタおよび連結配置の上述の配置によって任意の数の小さい段階に分割されてもよいので、リニアアクタは調節範囲が小さい高精度のリニアアクタであってもよい。
【0011】
例示的な一実施形態では、連結配置は、遠位方向に向かって先細になった少なくとも1つの楔状ブロックと、近位方向に向かって先細になった円錐状の内側リングとを備えてもよく、楔状ブロックは内側リングと容器との間に配置され、内側リングは近位では近位プレートに、遠位ではリニアアクタに取り付けられ、連結配置は、内側リングが少なくとも1つの楔状ブロックに押し付けられていないとき、第1の摩擦力で容器に係合するように構成される。リニアアクタが拡張しているとき、内側リングは少なくとも1つの楔状ブロックに押し付けられて容器を係合し、それによって摩擦量が第2の摩擦力まで増加する。第1の摩擦力は、リニアアクタの収縮時に連結配置がストッパに向かって引っ張られているときの、楔状ブロックと内側の容器の壁との間の力を含む。第1の摩擦力はまた、容器と接触していてもよい近位プレートの摩擦成分を含んでもよい。これは、容器内における連結配置の移動中に少なくとも時々生じてもよい。
【0012】
容器内におけるストッパの摩擦力は、連結機構を解放するのに要する力、ならびに第1の摩擦力よりも大きいように構成される。しかし、容器内におけるストッパの摩擦力はまた、リニアアクタが拡張しているときの連結配置の第2の摩擦力よりも小さいように構成される。
【0013】
例示的な一実施形態では、内側リングは円錐と置き換えられてもよい。しかし、内側リングによって長さを減少させることができる。
【0014】
例示的な一実施形態では、楔状ブロックは、それぞれの付勢要素、たとえば圧縮ばねとして配置されるばねによって、近位プレートに対して遠位方向で付勢される。楔状ブロックは、同様に、ばねの代わりに切欠きまたはフックによって、近位プレートから離隔して保持されてもよい。代替実施形態では、内側リングの表面の切欠き、または内側リングの近位端から延在するフックが、楔状ブロックを保持するように構成されてもよい。したがって、近位プレートは不要である。
【0015】
例示的な一実施形態では、リニアアクタはソレノイドを含む。
【0016】
別の例示的な実施形態では、リニアアクタは、スピンドルおよびナットを備えた電気モータを備える。
【0017】
例示的な一実施形態では、ストッパプレートはストッパに近位で取り付けられ、リニアアクタはストッパプレートに取り付けられる。ストッパプレートは、ストッパ配置を容器から除去できるように、ストッパに解放可能に取り付けられてもよい。したがって、容器が廃棄される一方でストッパ配置は再使用することができるので、廃棄物の量および環境フットプリントが低減される。
【0018】
リニアアクタを制御するためのエネルギー供給ケーブルは、近位プレートおよび内側リングを通されてもよい。リニアアクタは、同様に、ストッパ配置内に配置された電池によって電力供給することができる。
【0019】
例示的な一実施形態では、少なくとも2つの楔状ブロックが内側リングの周りに同心で配置される。
【0020】
ストッパ配置は、薬物送達デバイスで用いられてもよく、薬物を保持するためにキャビティを内部に画成する容器と、容器の遠位端に配置されたノズルとを備え、ノズルはキャビティと流体連通しており、ストッパ配置は容器内に配設される。
【0021】
例示的な一実施形態では、1つまたはそれ以上の楔状ブロックを近位プレートに向かって中立位置へと移動させるための移動補助具(removal aid)が配置されてもよい。リニアアクタおよび連結配置を再使用するため、それらを容器の近位端から引き出さなければならない。この目的のため、楔状ブロックは、近位プレートおよび内側リングが近位方向で引っ張られたとき、容器の壁に割り込まないように、ばねの付勢に対抗して近位プレートに向かって中立位置へと移動させられる。
【0022】
例示的な一実施形態では、移動補助具は、容器の表面に外部から配置可能なリング磁石を含む。
【0023】
別の例示的な実施形態では、移動補助具は、内側リング上または近位プレート上に配置される少なくとも1つのソレノイドを含む。
【0024】
別の例示的な実施形態では、移動補助具は、容器の近位端を通して挿入可能な機械的または磁気的ツールを含む。
【0025】
一般的に、容器およびストッパは円筒状の断面を有する。しかし、角柱、長方形、正方形、または楕円形など、異なる断面が可能である。
【0026】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0027】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0028】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0029】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0030】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0031】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0032】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0033】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0034】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0035】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0036】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0037】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0038】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0039】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0040】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0041】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0042】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0043】
本発明の適用可能性のさらなる範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明白となるであろう。しかし、本発明の趣旨および範囲内にある様々な変更および修正が、この詳細な説明から当業者には明白となるため、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方、単なる例証として与えられることを理解されたい。
【0044】
本発明は、以下に与えられる詳細な説明および添付図面によって、より十分に理解されるであろう。図面は単なる例証として与えられ、したがって、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】薬物送達デバイスの概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は薬物送達デバイス1の概略縦断面図である。薬物送達デバイス1は、薬物を保持するためにキャビティ3を内部に画成する円筒状の容器2を備える。ノズル4は容器2の遠位端に配置され、ノズル4はキャビティ3と流体連通している。ノズル4は中空の注射針として配置されてもよい。キャビティ3は、ノズル4を通して薬物を変位させるために容器2内で軸線方向に移動させられてもよい、円筒状のストッパ5によって近位で境界を定められる。ストッパプレート6はストッパ5に近位で取り付けられる。リニアアクタ7は、ストッパプレート6と連結配置8との間で作用するように、ストッパプレート6から近位に配置される。連結配置8は容器2に動作可能に連結されるように配置される。連結配置8は、遠位方向Dに向かって先細になったいくつかの楔状ブロック8.1と、近位方向Pに向かって先細になった円錐状の内側リング8.2とを備え、楔状ブロック8.1は内側リング8.2の周りに同心で配置される。
【0047】
内側リング8.2は、たとえば、内側リング8.2から、および楔状ブロック8.1から近位に配置された円筒状の近位プレート8.3に取り付けられる。近位プレート8.3は容器2内に配設される。連結配置8は、第1の摩擦力で容器2の壁に摩擦係合される。連結配置8と容器2の壁との間の第1の摩擦力は、ストッパ5と容器2の壁との間の摩擦力よりも著しく低い。各楔状ブロック8.1は、比較的弱い圧縮ばねとして配置されるそれぞれのばね8.4によって、近位プレート8.3に対して遠位方向Dで付勢される。ばね8.4は、近位プレート8.3に取り付けられ、楔状ブロック8.1および内側リング8.2を縮小するように働いてもよい。
【0048】
リニアアクタ7に対するエネルギー供給ケーブル9は、容器2の近位端を通り、近位プレート8.3および内側リング8.2を通る。ケーブル9はまた、リニアアクタ7の移動を制御する役割を果たす。あるいは、リニアアクタ7に電力を供給するのに、電池が連結配置8内に供給される。この場合、ケーブル9は、リニアアクタ7に制御信号を供給するためにのみ使用される。別の例示的な実施形態では、制御信号はリニアアクタに無線で送られ、この場合、リニアアクタは無線送受信機を含む。したがって、ケーブルは不要である。
【0049】
たとえばリニアアクタ7を作動させることによって、内側リング8.2を楔状ブロック8.1に対して近位方向Pに移動させた場合、楔状ブロック8.1および内側リング8.2は容器2の壁に押し込まれ、それによって連結配置8が、容器2の壁に対してストッパ5と容器2の壁との間の摩擦力よりも著しく大きい第2の摩擦力を有するように切り換わる。その結果、リニアアクタ7の近位端は容器2内で接地されるので、アクタ7がさらに拡張することによってストッパ5が壊れて容器の壁が緩み、結果として、アクタ7の拡張量に応じて薬物がキャビティ3からノズル4を通して変位される。一実施形態では、遠位方向Dに向かって先細になった円錐形の内表面を有するリングが、楔状ブロック8.1の代わりに配置されてもよい。しかし、この場合、摩擦力の関係を提供できるように、リングの材料は弾性である必要がある。
【0050】
リニアアクタ7は、ソレノイド、またはスピンドルおよびナットを備えた電気モータを含んでもよい。
【0051】
リニアアクタ7は、それを作動させる手法に応じて拡張し収縮するように配置されてもよい。
【0052】
ストッパプレート6は、リニアアクタ7の収縮時に、リニアアクタ7の遠位端がストッパ5と容器2との間の摩擦を通して容器の壁内で接地されるとともに、リニアアクタ7の近位端が楔状ブロック8.1から離れる方向で内側リング8.2を引っ張り、それによって連結配置8を解放するように、ストッパ5に取り付けられる。容器2内のストッパ5の摩擦力は、連結機構8を解放するのに要する力、ならびにリニアアクタ7の収縮時にストッパ5に向かって引っ張られるときの容器2内の楔状ブロック8.1の摩擦力よりも著しく大きい。
【0053】
ストッパ5とストッパプレート6との間の接続は、リニアアクタ7および連結配置8を再使用可能にするように、たとえば、スナップ式の連結によって解放可能であってもよい。リニアアクタ7および連結配置8を再使用するためには、それらを容器2の近位端Pから引き出さなければならない。この目的のため、楔状ブロック8.1は、近位プレート8.3および内側リング8.2が近位方向Pで引っ張られたとき、容器2の壁に割り込まないように、ばね8.4の付勢に対抗して近位プレート8.3に向かって中立位置へと移動させられる。楔状ブロック8.1のこの位置付けは、容器2の表面に外部から配置される、もしくは配置可能なリング磁石(図示なし)によって、または内側リング8.2上もしくは近位プレート8.3上に配置されるソレノイド(図示なし)によって達成されてもよい。あるいは、楔状ブロック8.1は、容器2の近位端を通して挿入される機械的または磁気的手段によって、中立位置へと移動させられてもよい。
【0054】
例示的な一実施形態では、リニアアクタ7および連結配置8は再使用不可能または使い捨てである。この場合、リニアアクタ7をストッパ5に直接取り付けることができるので、ストッパプレート6を必要としない。
【0055】
薬物送達デバイス1は、タンパク質、ワクチン、複合糖質、または成長ホルモンなどの液体薬物を送達するために適用されてもよい。
【0056】
ストッパの全調節範囲がリニアアクタ7および連結配置8の上述の配置によって任意の数の小さい段階に分割されてもよいので、リニアアクタ7は調節範囲が小さい高精度のリニアアクタであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 薬物送達デバイス
2 容器
3 キャビティ
4 ノズル
5 ストッパ
6 ストッパプレート
7 リニアアクタ
8 連結配置
8.1 楔状ブロック
8.2 内側リング
8.3 近位プレート
8.4 ばね
9 エネルギー供給ケーブル
D 遠位方向
P 近位方向
図1