【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1または請求項3の構成要件を有する試料採取装置によって解決される。
【0012】
本発明によると、試料採取装置の第1の態様は、長手方向で見て近位の区域と遠位のスリーブとに下位区分される長尺状の保持装置を有している。近位の区域は、その遠位端から近位の方向へ延びる内側の切欠きを有しているか、ないしは、連続するスリーブとして構成されているのも好ましい。
【0013】
遠位のスリーブは、この切欠きと一直線上に並ぶようにアライメントされている。近位の区域とスリーブとは、内側の切欠きとスリーブとの両方へわずかなクリアランスをもって挿入可能なピンを介して相互に結合されている。ピンの寸法、ならびに内側の切欠きとスリーブとの寸法は、装置が正常に使用されるときに、両方の区域の確実な結合が保証されるように相互に調整されている。その一方で、試料採取動作のときに通常ではない定義された高い力が印加されるときは、ピンにより結合されている前述の各部分の中へのピンのスライドが可能でなければならない。
【0014】
試料収集領域そのものは、長尺状のアタッチメントの一方の端部に配置されていて、該アタッチメントの他方の端部はスリーブの遠位端に挿入されている。
【0015】
それにより、本発明の試料採取装置は2つに分かれた保持装置を有していて、その両方の区域がピンを介して相互に結合されている。試料収集領域はスリーブの遠位端で、そこでスリーブに挿入されるアタッチメントを介して、保持装置に取り付けられている。
【0016】
内側の切欠き、スリーブ、ピン、ならびに試料収集領域を保持するアタッチメントのそれぞれの寸法は、1つの実施形態では、試料採取装置が正常に作動しているときに、たとえば全部の部品または少なくともいくつかの部品が互いにプレス嵌めで固定されるように相互に調整されている。さらに別の実施形態は、嵌合式係合による固定を対象としている。この実施形態では、ピンおよび/またはアタッチメントが、スリーブおよび/または内側の切欠きの中でたとえば係止結合によって固定されることが意図される。ピンおよび/またはアタッチメントはそのために外方を向く係止ラグを有していて、該係止ラグは、たとえばばね力のもとで内側の切欠きに係合し、ないしはスリーブないし内側の切欠きにある破断部に係合する。係止ラグは、アタッチメントが近位へスライドしたときに係止係合が外れて、アタッチメントとピンのさらなる近位へのスライドが可能になるように構成されている。
【0017】
当然のことながら、1つの試料採取装置で、プレス固定と嵌合式固定を組み合わせることも考えられる。
【0018】
本発明の要部をなすのは、たとえば遠位端が固定されたときに長手方向で下方に向かって試料採取装置の近位端に作用する、定義された値を超過する力が印加されたときに、前述した各コンポーネントのスライドが可能になることである。そのようなケースのとき、近位の区域はこれに接する遠位のスリーブとともに、アタッチメントおよびピンに対して相対的にスライドする。このときピンはアタッチメントから近位の方向へ、近位の区域の切欠きの中へと押し込まれ、この切欠きへ完全に押し込まれたときに、近位の区域とスリーブとの間の結合を解消させる。すると試料収集領域がスリーブとともに、試料採取装置の近位の区域から分断される。
【0019】
当然ながら、上側の区域の内側の切欠きは、ピンの全面的な押し込みが可能である程度の長さに構成されなくてはならない。
【0020】
本発明の装置により、試料収集ゾーンの特別に簡単な自動式の分断が可能である。装置を近位端のところで固定し、試料収集領域を形成する遠位端とともに、これが容器の底面に当接するまで容器へ挿入するだけで足りる。そして近位端をさらに容器の底面に向かう方向へ動かすと、保持装置の周囲の部分に対するアタッチメントとピンの上に説明した相対変位が生じ、その帰結として、試料収集ゾーンが保持装置の上側の区域から分断される。
【0021】
当然ながら、各区域の寸法設定は任意に選択することができる。ただし、希望される実質的に試料収集領域のみの分断という観点から、大半の用途では、近位の区域のほうがこれに後続する遠位のスリーブよりも明らかに長く構成される。
【0022】
たとえば強すぎる押圧力によって、試料採取のときの試料収集領域の意図しない分断を防ぐために、好ましい実施形態では、上側の区域に挿入可能な、内側の切欠きをロックする仕切りを設けることができる。この仕切りは研究室で取り外すことができ、その後に、上に説明した試料収集ゾーンの分断を行うことができる。
【0023】
上側の区域も連続するスリーブとして構成されている保持装置が使用される場合には、両方の区域を結合するために設けられるピンを、近位の区域の近位端にまで達する程度の長さに構成し、そこに、たとえば近位の方向へのピンのスライドを妨げるキャップ等を設けることも考えられる。キャップを取り外した後で初めて、同じく上述した収集ゾーンの分断を行うことができる。
【0024】
本発明による試料採取装置のさらに別の態様では、保持装置が棒状の内側の装置を有していて、該装置の遠位端に試料収集領域が取外し可能に配置されていることが意図されていてよい。さらに保持装置は、棒状の内側の装置を少なくとも部分的に長手方向と円周方向とで取り囲む外側の装置を有している。内側および外側の装置は互いに相対的に位置調節可能であり、両方の装置の定義された相対運動によって試料収集領域が保持装置から分断されることが意図される。
【0025】
1つの実施形態では、内側の装置は、予定破断個所を介して相互に結合された2つの区域を備える小棒である。外側の装置は、この小棒を長手方向で部分的に取り囲む小管である。さらに、小棒と小管は予定破断個所に対して遠位に回り止めの係合をしていることが意図される。そして小管の近位端が回されると、小管と小棒との間の遠位での回り止めに基づき、予定破断個所が破断されて、その遠位に延びる、試料収集領域を担持している小棒の部分が外される。
【0026】
さらに別の実施形態では、やはり内側の小棒と小棒を部分的に取り囲む小管とが設けられている。小棒は2つの区域で構成されていて、すなわち、試料収集領域を担持する遠位の区域と、これに接するように配置された、上方に向かって突出する近位の区域とで構成されている。作動時には、小棒の遠位の区域と近位の区域との間の分離個所が外側の小管で取り囲まれる。遠位の区域が落下するのを防止するために、これと小管との間には嵌合式係合部を設けることができる。
【0027】
分離をするために、上方に向かって突出している小棒の近位の領域が、相対的に見て、これを取り囲む小管の中へ押し込まれる。小棒が動いて小管が固定されていることが考えられる。しかしながら、固定された小棒に対して小管を上方に向かってスライドさせることも同様に良好に可能である。いずれのケースでも、遠位の区域と近位の区域との間の分離個所が下方に向かって小管から外に押し出され、それにより、試料収集領域が小棒の遠位の領域とともに保持装置から分断される。
【0028】
当然ながら、小棒の遠位の領域とスリーブとの間の上に述べた嵌合は、小棒を押し入れるときの過度の力コストを要することなく解消できるように選択されていなければならない。
【0029】
この点で、小棒の遠位の区域がどのように小管に収容されるかについては、後掲の図面(4,5ab)で説明するさまざまな選択肢が考えられる。
【0030】
最後に、さらに別の態様は、保持装置がやはり特に内側の小棒を有していて、および、これと平行にアライメントされて小棒を少なくとも部分的に取り囲む外側の装置を有していることを意図している。外側の装置と小棒はそれぞれの遠位端で収容部にプレス嵌めで挿入されていて、該収容部は他方の端部に試料収集領域を担持している。そして、内側および外側の装置を相対運動させることで外側の装置がアタッチメントから引き出されると、やはり固定が解消されて、アタッチメントならびに試料採取領域が自動的に分断される。
【0031】
次に、複数の図面を参照しながら本発明について詳しく説明する。