特許第6263185号(P6263185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263185
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】多段循環流動層合成ガス冷却器
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/46 20060101AFI20180104BHJP
   C10J 3/54 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   C10J3/46 D
   C10J3/54 D
【請求項の数】24
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-529900(P2015-529900)
(86)(22)【出願日】2013年8月26日
(65)【公表番号】特表2015-526584(P2015-526584A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】US2013056631
(87)【国際公開番号】WO2014035887
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月18日
(31)【優先権主張番号】61/693,707
(32)【優先日】2012年8月27日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515007833
【氏名又は名称】サザン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リウ, グオハイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィマルチャンド, パンナラル
(72)【発明者】
【氏名】グアン, シャオフェン
(72)【発明者】
【氏名】ペン, ワンワン
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0100902(US,A1)
【文献】 特開昭57−179289(JP,A)
【文献】 特開昭51−127101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
F28D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭ガス化炉からの高温合成ガスを冷却するための多段合成ガス冷却器であって、前記冷却器は、
埋め込まれた冷却コイルを伴う高密度流動層であって、前記高密度流動層は、前記石炭ガス化炉からの高温合成ガス流を導入するための入口を有し、前記高密度流動層は、冷却された合成ガス流を流出させるための出口を有する、高密度流動層と、
直列に相互に連通する内部循環流動層冷却器の複数の段階と
を備え、
最初の段階の内部循環流動層冷却器の入口が、前記高密度流動層の前記出口と連通し、次の段階の内部循環流動層冷却器の入口が、前記最初の段階の内部循環流動層冷却器の出口と連通し、最後の段階の内部循環流動層冷却器の入口が最後から二番目の段階の内部循環流動層冷却器の出口と連通するまで続き、
前記内部循環流動層冷却器の複数の段階の各々は、
内部に埋め込まれた熱伝達表面と、
前記合成ガスが混合し、熱エネルギーを固体の循環層に伝達させる、ライザ区画と、
前記合成ガスを前記固体の循環層から遊離させる、遊離区画と、
前記埋め込まれた熱伝達表面を伝って流動し、熱を伝達するように、固体を循環させるための環状空間と、
前記ライザ区画内への循環固体の流動を制御するための曝気および密閉機構と、
内部固体循環を促進し、前記高密度流動層からまたは前の段階の内部循環流動層冷却器からの隔壁としての役割を果たす、円錐区画と
を備え、
前記石炭ガス化炉からの前記高温合成ガス流は、前記高密度流動層から前記最後の段階の内部循環流動層冷却器まで、前記高密度流動層の前記埋め込まれた冷却コイル、および前記内部循環流動層冷却器内に埋め込まれた前記熱伝達表面を用いて、所望の蒸気および高温ボイラ給水条件を発生させるために適切な温度まで、異なる段階において、連続的に冷却される、合成ガス冷却器。
【請求項2】
前記円錐区画は、穴と、開口部を有するコイルとを備え、
前記穴を通して、蒸気冷却合成ガスが流動し、
前記開口部を通して、前記蒸気冷却合成ガスの一部が、前記コイルから漏れ、前記環状空間の中の固体に曝気を提供することができる、請求項に記載の合成ガス冷却器。
【請求項3】
前記冷却器に流入する合成ガスは、予冷され、上流段階における汚染物質が処理され、前記上流段階および前記合成ガス冷却器の組み合わせが、固体粒子の外部および内部循環の両方を伴う、ハイブリッド冷却器システムを形成し、
前記上流段階は、
前記多段合成ガス冷却器の最後の段階からの比較的により冷たい固体を、高温合成ガス入口流が、最初に、注入された比較的により冷たい固体と混合する、下降流冷却器内に注入するための排出装置と、
排出装置輸送性流体としての高圧再循環合成ガス流と、
さらなる冷却のために、前記多段合成ガス冷却器に流入する、前記下降流冷却器からの比較的により冷たい合成ガスの出口流と
を備える、請求項1〜2のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項4】
前記冷却器に流入する合成ガスは、予冷され、上流段階における汚染物質が処理され、前記上流段階および前記合成ガス冷却器の組み合わせが、固体粒子の外部および内部循環の両方を伴う、ハイブリッド冷却器システムを形成し、
前記上流段階は、
前記高温入口合成ガスが、それを伝って流動するにつれて、異なる高度で注入されたより冷たい固体と混合する、下降流導管と、
合成ガスを塊状固体から遊離させるためのPresalterサイクロンと、
冷却器であって、前記冷却器は、1000μmのサイズを超える塊状固体が前記冷却器により撤去され、補充固体が前記合成ガス冷却器に戻されるように、前記Presalterサイクロンから受け取られた遊離された固体を冷却するために埋め込まれた熱伝達表面を伴う、冷却器と、
高圧再循環合成ガスを用いて、冷却された固体を前記冷却器から持ち上げ、異なる高度で前記下降流導管に注入するためのリフト導管と、
さらなる冷却のために、前記多段冷却器に流入する、前記サイクロンからの比較的により冷たい合成ガスの出口流と
を備える、下降流冷却器システムである、請求項1〜2のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項5】
前記循環する層は、循環熱伝達媒体を備え、
前記熱伝達表面は、熱除去機構を備え、
前記循環熱伝達媒体の少なくとも一部は、合成ガス流量率約90m/sで動作しているとき、前記最後の段階の内部循環流動層冷却器の出口における合成ガスの温度が、前記高密度流動層の前記入口における合成ガスの温度より少なくとも500℃冷たくなるように、最大1600℃である前記石炭ガス化炉からの前記高温合成ガス流からの熱の少なくとも一部を前記熱除去機構に伝達する、請求項1〜のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項6】
前記石炭ガス化炉からの前記高温合成ガス流と前記最後の段階の内部循環流動層冷却器の前記出口における前記合成ガスとの間の温度差は、最大1300℃である、請求項に記載の合成ガス冷却器。
【請求項7】
前記冷却器は、最大約1000psiで動作する、請求項1〜のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項8】
前記循環熱伝達媒体は、平均粒子サイズ約50〜1000μmを有する固体粒子を含む、請求項のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項9】
前記合成ガスの空塔速度は、最大約10m/sである、請求項1〜のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項10】
前記熱除去機構は、熱伝達管を備える、請求項およびのいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項11】
前記熱除去機構は、熱伝達コイルを備える、請求項およびのいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項12】
前記熱除去機構は、蒸気を発生させる、請求項および1011のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項13】
前記熱除去機構は、過熱蒸気を発生させる、請求項および1012のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項14】
流出平均粒子サイズ以上を含む循環熱伝達媒体は、前記冷却器から除去される、請求項および1013のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項15】
前記流出平均粒子サイズは、1000μmである、請求項14に記載の合成ガス冷却器。
【請求項16】
前記冷却器から除去される流出平均粒子サイズ以上を含む熱伝達媒体の少なくとも一部は、サイズが縮小され、前記サイズ縮小された熱伝達媒体の少なくとも一部は、前記冷却器に戻される、請求項14に記載の合成ガス冷却器。
【請求項17】
前記流出平均粒子サイズは、1000μmであり、
前記サイズ縮小された熱伝達媒体は、平均粒子サイズ約200〜400μmを有する、請求項16に記載の合成ガス冷却器。
【請求項18】
前記循環する層は、循環熱伝達媒体を備え、
前記熱伝達表面は、熱除去機構を備え、
前記循環熱伝達媒体の少なくとも一部は、前記最後の段階の内部循環流動層冷却器の出口における合成ガスの温度が、前記高密度流動層の前記入口における合成ガスの温度より少なくとも500℃かつ最大1300℃冷たくなるように、最大1600℃である前記石炭ガス化炉からの前記高温合成ガス流からの熱の少なくとも一部を前記熱除去機構に伝達し、
前記循環熱伝達媒体は、平均粒子サイズ約50〜1000μmを有する固体粒子を含み、
平均粒子サイズ1000μm以上を含む前記伝達媒体の少なくとも一部は、前記冷却器から除去され、
酸素、二酸化炭素、および蒸気を含む流れは、前記石炭ガス化炉からの前記高温合成ガス流に注入され、優先的かつ部分的に、前記合成ガス中のタール成分を酸化させる、請求項1〜のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項19】
石炭ガス化炉からの高温合成ガスを冷却するための多段合成ガス冷却器であって、前記冷却器は、
埋め込まれた冷却コイルを伴う高密度流動層であって、前記高密度流動層は、前記石炭ガス化炉からの高温合成ガス流を導入するための入口を有し、前記高密度流動層は、冷却された合成ガス流を流出させるための出口を有する、高密度流動層と、
直列に相互に連通する循環流動層冷却器の複数の段階と
を備え、
最初の段階の循環流動層冷却器の入口が、前記高密度流動層の前記出口と連通し、次の段階の循環流動層冷却器の入口が、前記最初の段階の循環流動層冷却器の出口と連通し、最後の段階の循環流動層冷却器の入口が最後から二番目の段階の循環流動層冷却器の出口と連通するまで続き、
前記循環流動層冷却器の複数の段階の各々は、内部に埋め込まれた熱伝達表面と、固体の循環層とを備え、
前記石炭ガス化炉からの前記高温合成ガス流は、前記高密度流動層から前記最後の段階の循環流動層冷却器まで、前記高密度流動層の前記埋め込まれた冷却コイル、および前記循環流動層冷却器内に埋め込まれた前記熱伝達表面を用いて、所望の蒸気および高温ボイラ給水条件を発生させるために適切な温度まで、異なる段階において、連続的に冷却される、合成ガス冷却器。
【請求項20】
ライザであって、前記固体の循環層の一部が、前記ライザから前記循環流動層冷却器に流入し、前記循環流動層冷却器の各々は、異なる高度にあり、冷却された固体が、より低い高度において、重力下、前記ライザに逆流し、前記冷却器からの通気ガスが、より高い高度において、前記ライザに流動する、ライザと、
前記合成ガス冷却器から流出するより冷たい合成ガスを用いて、合成ガスおよび固体を遊離させるためのサイクロンと、
より冷たい固体を前記サイクロンから前記ライザに戻すための下降管と、
固体を隔離し、塊状灰の除去を促進するための前記下降管および前記高密度流動層の下部への流動化ガスと
をさらに備える、請求項19に記載の合成ガス冷却器。
【請求項21】
前記冷却器に流入する高温合成ガスは、前記冷却器のライザ部分を通して流動するにつれて、連続ステップにおいて冷却される、請求項20に記載の合成ガス冷却器。
【請求項22】
前記合成ガスは、最初に、前記高密度流動層内の固体に接触することによって、冷却される、請求項2021のいずれかに記載の合成ガス冷却器。
【請求項23】
前記冷却された合成ガスは、前記ライザの底部における固体の循環層に接触することによって、さらに冷却される、請求項22に記載の合成ガス冷却器。
【請求項24】
前記冷却された合成ガスは、連続段階において、前記循環流動層冷却器から戻る前記ライザ内のより冷たい固体に接触することによって、さらに冷却される、請求項23に記載の合成ガス冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮出願第61/693,707号(2012年8月27日出願)の35 U.S.C. § 119(e)のもとでの利益を主張するものであり、該米国仮出願の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(政府支援の研究または開発に関するステートメント)
本発明は、米国エネルギー省によって与えられた合意/契約番号DE−NT0000749のもとでの政府支援でなされたものである。政府は、本発明における特定の権利を有する。
【0003】
本発明は、飽和蒸気および過熱蒸気の両方を発生しながら、反応器からの高温ガス流を冷却するための多段循環流動層(CFB)冷却器に関する。より具体的には、本発明は、石炭、バイオマス、または廃棄物等の炭素質物質を原料として取り扱うガス化炉からの高温合成ガスを冷却するための冷却器と関連付けられ、冷却器は、同時に、発電のために、高圧飽和および過熱蒸気を発生させる。冷却器は、典型的には、スラグ化式ガス化炉から発生される合成ガス中に存在する、溶融灰液滴を凝集させる。本多段CFB合成ガス冷却器はまた、熱伝達表面が、スラグ化式および他のタイプのガス化炉によって産生される合成ガス中の他の汚染、侵食、および腐食物質に接触しないように保護する。
【背景技術】
【0004】
合成ガス冷却の当業者にとって、直接、合成ガスと熱伝達表面が接触するときに、合成ガスを冷却する難点は、周知であって、合成ガス中に同伴された物質によるガス流路の塞栓、微細溶融灰液滴および合成ガス中のタール成分の堆積の両方による熱伝達表面の汚染、ガス化炉から同伴された微細灰および炭化物による侵食、ならびに硫化水素および塩化水素等の合成ガス中の成分による腐食が挙げられる。
【0005】
合成ガス冷却と関連付けられた別の難点は、高温に対応し、確実な動作のために、比較的に高価な熱伝達表面を保護する、熱伝達表面のための構造体の材料を識別し、取り扱うことである。
【0006】
現在、合成ガスを確実に冷却する多くの難点を克服しようとする選択肢は、プロセス効率を著しく犠牲にする。例えば、従来の対流合成ガス冷却器の構造体の材料の温度限界内に留めるために、ガス化炉出口流は、最初に、大量の比較的により冷たい再循環ガスと混合することによって、冷却されなければならない。既存の合成ガス冷却器に対応するために、犠牲にされるプロセス効率の他の実施例として、上流急冷、ガス化炉出口温度を低下させるためのガス化炉の上部における石炭の注入、より低い温度でのガス化炉の動作と、それに伴うより低い炭素変換率が挙げられる。
【0007】
米国特許第8,197,564号(特許文献1)は、噴流式ガス化炉および放射式合成ガス冷却器の下流で合成ガスを急冷し、通常、沈殿または水との直接接触を用いた表面冷却のいずれかによって、ガス流から分離される微細灰およびスラグと関連付けられる、下流塞栓および汚染問題を制限する実施例について開示している。そのような急冷システムは、高価な放射式合成ガス冷却器と、粒子を分離し、性質上、非常に腐食性かつ侵食性である、使用済み急冷水としての水を処理するための信頼性が低い水処理システムとを伴い、合成ガスを冷却するための全体的コストを増加させる。加えて、実践的経験によって、合成ガスの放射および急冷の組み合わせは、下流対流冷却器の塞栓問題を制限(回避)するのに完全に効果的ではないことが示されている。
【0008】
流動層式ガス化炉から発生される合成ガスは、噴流式ガス化炉と比較して、比較的により低い温度(約1000℃)でガス化炉から流出する。さらに、そのようなガス化炉から流出する合成ガスを冷却するための合成ガス冷却器は、冷却管のための新奇合金の使用のため、比較的に高価な機器部品である。高圧条件下で、ほぼ1000℃で合成ガスに接触する従来の対流冷却器では、そのような新奇かつ高価な合金が、使用されなければならない。流動層式ガス化炉からの合成ガスを冷却する際のさらなる難点は、冷却管表面を侵食する傾向にある、その中に同伴された微細灰および炭化物粒子である。堆積および汚染は、冷却効果を徐々に劣化させ、望ましくない過熱蒸気条件をもたらし、統合ガス化複合サイクル(IGCC)発電所における発電容量に影響を及ぼす。これらの難点および入口合成ガス冷却器条件に対処するために、新奇合金を含む厚壁設計が、構造体の熱伝達表面材料を冷却するために使用される必要がある。
【0009】
合成ガス冷却器は、内部流体力学、圧力降下、およびその物理的寸法を制限する、他のプロセス考慮点のため、制限された冷却容量を有する。公称300MWe容量のIGCCプロセス等におけるいくつかの用途では、単一ガス化炉からの合成ガスの冷却は、並列の複数の合成ガス冷却器を要求する。プロセスライン内の複数の並列合成ガス冷却器は、ほぼ1000℃の高圧合成ガスを取り扱う際、コストおよびレイアウト複雑性の両方を必然的に増加させる。
【0010】
いくつかの流動層式ガス化炉におけるバイオマスおよび瀝青炭の処理は、ガス化炉から流出するにつれて、合成ガスを同伴する、タール形成につながる。タール成分は、合成ガス冷却器熱伝達表面および下流機器上に堆積し、悪化する汚染条件は、最終的に、動作不能プロセスにつながる。類似難点は、石炭鉱物中により高い割合のアルカリ金属を含有する石炭を処理する間にも遭遇する。コスト増加および全体的プロセス効率の低下にもかかわらず、従来の合成ガス冷却器は、依然として、上流に公知の緩和手段を用いても、これらのプロセスのために確実に使用されることができない。
【0011】
米国特許第4,412,848号(特許文献2)は、2段階流動層冷却システムにおいて合成ガスを冷却するための方法について開示している。第1段階の流動層冷却器は、不活性層材料粒子の表面上のタール凝縮を最小限にする試みにおいて、温度範囲450〜500℃内で動作する。第2段階の冷却器は、液体凝縮を粒子表面上にもたらす試みとして、温度範囲250〜300℃内で動作する。粒子の表面上における固化凝縮物の蓄積を回避するために、酸素および蒸気が、第2段階の冷却器に注入され、粒子表面上の凝縮物または炭化物を発散させる。本2段階流動層冷却システムは、合成ガスが凝縮性液体または炭化物を含有するとき、類似用途のための多くの他のタイプの熱交換器と比較して、合成ガス冷却の技術を進歩させている。また、適温および高圧蒸気を発生させ、蒸気が発電のために使用される場合、全体的プロセス効率を改善することができる。しかし、第‘848号の2段階流動層冷却システムは、実践的難点に遭遇する。
【0012】
ある顕著な不利点は、冷却器から流出する合成ガス中に含有される実質的量の油状物に関するものであって、これは、下流の合成ガス洗浄から発生される酸性廃水の処理を困難かつ高価にする。別の深刻な問題は、安全性である。開示されるように、第2段階の冷却器の動作温度は、一酸化炭素(609℃)、水素(500℃)、およびメタン(580℃)等の合成ガスの主要成分の自然発火温度を実質的に下回る。第2段階の冷却器の燃焼域内の動作温度400〜500℃は、合成ガス成分の自然発火温度より低い。当業者は、その温度が自然発火温度を下回る合成ガス流中に酸素を注入するとき、危険である、または爆発の潜在性が増加することを完全に理解している。そのような安全懸念に加え、低温部分酸化方法は、燃焼域のために、冷却器にはるかに大きな空間を必要とし、COをはるかに上回るCOを発生させる。
【0013】
第‘848号冷却器の冷却容量もまた、不利である。流動層または噴流層冷却器では、ガス空塔速度は、概して、1メートル/秒(m/s)を下回る。その結果、典型的IGCC発電所からの大量の合成ガスが冷却される必要があるとき、並列の少なくとも2つの合成ガス冷却器が、冷却器直径が通常の輸送限界を超えないようにするために要求される。しかし、並列冷却器配列は、合成ガスが耐熱処理パイプによって冷却器に経由される必要があるため、高価である。
【0014】
米国特許第5,759,495号(特許文献3)は、循環流動層内で合成ガスを含む高温ガスを処理するための方法および装置について開示している。冷却表面に接触する前に、ガスが十分に冷却され、ライザ内の冷却表面の侵食が問題とならないようにすることを教示している。しかし、本教示は、複雑な問題を過度に簡略化している。ガス空塔速度が、典型的には、5m/sを上回る、ライザの直接流路内に冷却表面があるとき、冷却器冷却表面の侵食さえ、避けられない。したがって、冷却表面をライザの内側に設置することは、非実践的である。当然ながら、冷却器をそのような低温で動作させることは、発電所環境においてほとんど役に立たない低品位蒸気を発生させる。さらに、第‘495号特許は、冷却器および粒子表面上の固体および/または液体凝縮物蓄積の対処方法については述べていない。
【0015】
別の内部循環流動層合成ガス冷却器は、米国特許出願公報第2004/0100902号(特許文献4)に開示されている。有利には、開示される冷却器内のガス空塔速度は、1つの冷却器が、最大90実立方メートル/秒(m/s)の体積を取り扱うことができるように、5〜10m/sの範囲内で動作されることができ、これは、公知の市販のガス化炉より大きい容量に相当する。本公報における教示は、合成ガスを処理するための広範な用途を有することができるが、粒子表面上の汚染物質蓄積およびそのような汚染物質からの層物質の再建を回避する方法について開示していない。さらに、本公報は、発電のために必要な蒸気条件を解決しない、単段階冷却器について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第8,197,564号明細書
【特許文献2】米国特許第4,412,848号明細書
【特許文献3】米国特許第5,759,495号明細書
【特許文献4】米国特許出願公報第2004/0100902号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述の運用性、効率、およびコスト問題を克服するために、改良された合成ガス冷却器が、非常に望ましい。本発明の意図は、そのような産業上のニーズを提供することである。
【0018】
簡単に説明すると、好ましい形態では、本発明は、CFB合成ガス冷却器を備える。循環熱伝達媒体が、合成ガスから熱を抽出し、続いて、それを熱除去機構(熱伝達表面)に伝達し、より冷たい合成ガスをもたらす。好ましい実施形態では、熱伝達媒体は、循環固体を含むが、媒体の他の/付加的相も、使用されることができる。
【0019】
冷却シーケンスは、循環固体と高温合成ガスを接触させ、合成ガスおよび循環固体が遊離した後、次いで、循環固体が循環ループを移動するにつれて、高温循環固体が、熱を熱除去機構に伝達するステップを含む。熱除去機構は、熱伝達表面を有する、熱伝達管またはコイルを備えることができ、そこで、熱伝達表面と接触する循環固体が、熱伝達を介して冷却されるにつれて、蒸気が発生され得る、または飽和蒸気が過熱され得る。
【0020】
本発明の別の側面では、CFB合成ガス冷却器は、蒸気を異なる条件で上昇させるための合成ガス冷却の複数の段階を含む。合成ガスは、本CFB合成ガス冷却器のライザの底部に送給され、加熱された循環固体は、重力によって、ライザの異なる高度から撤去される。ある高度でライザから流出する加熱された循環固体は、固体冷却器内に流動し、そこで、設置された管束または熱伝達コイルが、熱伝達を介して、循環固体を所望の温度まで冷却する。ボイラ給水または飽和蒸気が、蒸気発生または過熱蒸気を発生させるために、熱伝達表面に送給される。
【0021】
本発明のさらに別の側面では、本CFB合成ガス冷却器は、高温合成ガスを所望の温度まで冷却し、微細溶融灰液滴および他の汚染物質をガス相中に凝集させるための下降流段階を含む。高温合成ガスは、合成ガスおよび循環するより冷たい固体の両方が、並行して、冷却器の下降流段階において、流動するにつれて、循環するより冷たい固体と熱を交換する。流動層冷却器に到達する合成ガスは、存在する場合でも、最小限の汚染物質を有し、したがって、堆積問題を排除する。
【0022】
本発明のさらに別の側面では、タールおよび他の軽質成分等の凝縮され得る有機化合物は、冷却器の入口における高温領域内で破壊される。冷却器の入口における温度は、合成ガス成分の自然発火温度よりはるかに高く、主要な爆発安全懸念を緩和する。また、そのような高温部分酸化は、有利には、合成ガス中のCO割合を増加させる。
【0023】
本発明のさらに別の側面では、CFB合成ガス冷却器は、複数の段階を有することができる。例えば、冷却器のある段階は、蒸気発生器として、別の段階は、蒸気過熱器および再熱器として、さらに別の段階は、節減装置として専用であることができる。合成ガスは、したがって、熱を各段階における固体の循環層に伝達することによって、徐々により低い温度に連続的に冷却される。
【0024】
本CFB合成ガス冷却器の別の側面では、温間合成ガス除染は、選択された吸着剤の動作温度範囲に応じて、冷却器の1つ以上の適切な段階に再生可能吸着剤を組み込むことによって、達成されることができる。温間合成ガス除染吸着剤は、脱硫ならびに水銀、ヒ素、カドミウム、および鉛等の微量成分を捕捉するために開発されている。吸着剤自体または吸着剤および不活性循環固体の混合物のいずれかが、合成ガス冷却および除染の両方を達成するために、循環熱伝達媒体として使用されることができる。
【0025】
流動層式ガス化炉からの合成ガスは、実質的炭化物粒子を含有し得る。炭化物粒子は、多孔性であって、密度がはるかに軽いため、本発明はさらに、合成ガス冷却器ガス固体遊離ユニットと、最小限の炭化物粒子がガス冷却器内に蓄積するか、または全く蓄積しないように最適化された粒子収集システムとを備えることができる。
【0026】
本発明の別の側面では、CFB合成ガス冷却器の入口に冷却コイルが埋め込まれた高密度流動層は、十分に低い合成ガス冷却器出口温度によって、動作上の故障の場合、必要時間周期の間、実質的固体が冷却器の他の下流段階に循環しないように防止することを確実にする。
【0027】
例示的実施形態では、本発明は、同伴された汚染、侵食性、腐食性、かつ凝縮性物質を含有する高温合成ガスを冷却するための多段循環流動層合成ガス冷却器を備える。入口合成ガス温度は、最大約1600℃であることができ、複数の段階における冷却後、出口合成ガス温度は、約300℃を下回ることができる。
【0028】
多段冷却は、50〜1000μmの範囲内の粒子を含有する固体の循環層を伴う、最大約1000psiで動作する冷却器を用いて達成されることができる。
【0029】
多段冷却は、合成ガス流量率最大90実立方メートル/秒を取り扱うことが可能な単一多段冷却器を用いて達成されることができる。
【0030】
多段冷却は、冷却器を通る合成ガス空塔速度最大10メートル/秒を用いて達成されることができる。
【0031】
多段冷却は、過熱蒸気を含む、異なる蒸気条件における蒸気発生につながることができる。1つ以上の段階はまた、節減装置として機能することができる。
【0032】
冷却器内の粒子は、凝集し、入口合成ガス流中の溶融灰液滴等の同伴された汚染物質を伴う、比較的により大きいサイズに成長し得、そのようなより大きい塊状粒子は、周期的に、冷却器から撤去され、200〜400μm平均サイズ範囲内の粉状塊状灰粒子の一部は、冷却器に戻され、備蓄を維持する。
【0033】
熱伝達表面は、冷却器内の固体粒子の循環層を用いて、熱エネルギーが抽出され、高温合成ガスから冷却表面に間接的に伝達されるにつれて、合成ガス中の汚染、侵食性、かつ腐食性物質から保護されることができる。
【0034】
酸素とともに、蒸気および二酸化炭素の50体積百分率流が、冷却器の入口における固体の流動層に注入され、優先的かつ部分的に、合成ガス中のタール成分を酸化させることができる。
【0035】
別の例示的実施形態では、多段合成ガス冷却器は、入口高温合成ガス流と流体接触する、埋め込まれた冷却コイルを伴う、高密度流動層と、固体の循環層の一部が、異なる高度で流動層冷却器に流入し、冷却された固体が、重力下、より低い高度において、ライザに逆流し、冷却器からの通気ガスが、より高い高度において、ライザに流動する、ライザと、合成ガス冷却器から流出するより冷たい合成ガスを用いて、合成ガスおよび固体を遊離させるためのサイクロンと、より冷たい固体をサイクロンからライザに戻すための下降管と、固体を隔離し、塊状灰の除去を促進するための下降管および高密度流動層の下部への流動化ガスとを備える、石炭ガス化炉からの高温合成ガスを冷却するための外部循環流動層多段冷却器である。
【0036】
冷却器に流入する高温合成ガスは、連続段階において、最初に、高密度流動層中の固体に接触させ、次いで、ライザの底部における固体の循環層に接触させ、最後に、流動層冷却器から戻るライザ内のより冷たい固体に接触することによって、冷却器のライザ部分を通して流動するにつれて、連続ステップにおいて冷却されることができる。
【0037】
別の例示的実施形態では、多段合成ガス冷却器は、入口高温合成ガス流と流体接触する、埋め込まれた冷却コイルを伴う、高密度流動層と、直列の内部循環流動層冷却器の複数の段階とを備える、石炭ガス化炉からの高温合成ガスを冷却するための内部循環流動層(ICFB)多段冷却器である。
【0038】
合成ガスは、流動化され、内部循環する層内に埋め込まれた熱伝達表面を用いて、所望の蒸気および高温ボイラ給水条件を発生させるために適切な温度まで、異なる段階において、連続的に冷却されることができる。
【0039】
ICFB冷却器は、合成ガスが混合し、熱エネルギーを固体の循環層に伝達させる、ライザと、合成ガスを固体の循環層から遊離させるための遊離区画と、埋め込まれた熱伝達表面を伝って流動し、熱を伝達するように、固体を循環させるための環状空間と、ライザ区画内への循環固体の流動を制御するための曝気および密閉機構と、内部固体循環を促進し、冷却器段階間の隔壁としての役割を果たす、円錐区画とを備えることができる。円錐区画はさらに、合成ガスのわずかな部分が、環状空間を通過し、その中の固体に曝気を提供するための小開口部を伴う、蒸気冷却コイルを備えることができる。
【0040】
冷却器に流入する合成ガスは、予冷され、上流段階における汚染物質が処理され、固体粒子の外部および内部循環の両方を伴う、ハイブリッド冷却器システムを形成することができる。
【0041】
上流段階は、多段ICFB合成ガス冷却器の最後の段階からの比較的により冷たい固体を、高温合成ガス入口流が、最初に、注入された比較的により冷たい固体と混合する、下降流冷却器に注入するための排出装置と、排出装置輸送性流体としての高圧再循環合成ガス流と、さらなる冷却のために、多段ICFB合成ガス冷却器に流入する、下降流冷却器からの比較的により冷たい合成ガス出口流とを備えることができる。
【0042】
上流段階は、高温入口合成ガスが、それを伝って流動するにつれて、比較的に異なる高度で注入されたより冷たい固体と混合する、下降流導管と、合成ガスを塊状固体から遊離させるためのPresalterサイクロンと、1000μmのサイズを超える塊状固体の撤去および補充固体の追加を条件として、サイクロンから遊離された固体を冷却するために埋め込まれた熱伝達表面を伴う、冷却器と、高圧再循環合成ガスを用いて、冷却された固体を冷却器から持ち上げ、下降流導管に異なる高度で注入するためのリフト導管と、さらなる冷却のために、多段ICFB合成ガス冷却器に流入する、サイクロンからの比較的により冷たい合成ガス出口流とを備える、下降流冷却器システムであることができる。
【0043】
別の例示的実施形態では、本発明は、合成ガス入口流と、循環熱伝達媒体と、熱除去機構と、合成ガス出口流とを備え、循環熱伝達媒体の少なくとも一部は、合成ガス流量率約90m/sで動作しているとき、合成ガス出口流の温度が、合成ガス入口流の温度より少なくとも500℃冷たくなるように、合成ガス入口流からの熱の少なくとも一部を熱除去機構に伝達する、循環流動層合成ガス冷却器システムである。
【0044】
高合成ガス入口温度で動作するとき、冷却容量の上限に達すると、合成ガス入口流と合成ガス出口流との間の温度差は、合成ガス流量率約90m/sにおいて、最大1300℃となり得る。システムは、最大約1000psiで動作することができる。循環熱伝達媒体は、平均粒子サイズ約50〜1000μmを有する固体を含むことができる。合成ガス空塔速度は、約10m/sであることができる。
【0045】
熱除去機構は、熱伝達管またはコイルを備えることができる。熱除去機構は、蒸気および/または過熱蒸気を発生させることができる。
【0046】
流出平均粒子サイズ以上を含む循環熱伝達媒体は、システムから除去されることができる。流出粒子は、少なくとも1000μmのサイズを備える。システムから除去され得る、流出平均粒子サイズ以上を含む伝達媒体の少なくとも一部は、サイズが縮小され、サイズ縮小された伝達媒体の少なくとも一部は、システムに戻される。
【0047】
本発明は、合成ガス入口流と、循環熱伝達媒体と、少なくとも2つの流動層冷却器と、熱除去機構と、合成ガス出口流とを備え、循環熱伝達媒体の少なくとも一部は、合成ガス出口流の温度が、合成ガス入口流の温度より少なくとも500℃および最大1300℃冷たくなるように、合成ガス入口流からの熱の少なくとも一部を熱除去機構に伝達し、循環熱伝達媒体は、平均粒子サイズ約50〜1000μmを有する固体を含み、平均粒子サイズ1000μm以上を含む伝達媒体の少なくとも一部は、システムから除去され、酸素、二酸化炭素、および蒸気を含む流れは、合成ガス入口流に注入され、優先的かつ部分的に、合成ガス中のタール成分を酸化させる、循環流動層合成ガス冷却器システムを備えることができる。
【0048】
本発明は、高温合成ガス入口流と連通する、埋め込まれた冷却コイルを伴う、高密度流動層と、固体の循環層の一部が、異なる高度で流動層冷却器に流入し、冷却された固体が、より低い高度において、重力下、ライザに逆流し、冷却器からの通気ガスが、より高い高度において、ライザに流動する、ライザと、合成ガス冷却器から流出するより冷たい合成ガスを用いて、合成ガスおよび固体を遊離させるためのサイクロンと、より冷たい固体をサイクロンからライザに戻すための下降管と、固体を分離し、塊状灰の除去を促進するための下降管および高密度流動層の下部への流動化ガスとを備える、石炭ガス化炉からの高温合成ガスを冷却するための多段合成ガス冷却器を備えることができる。
【0049】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、ならびに利点は、付随の図面図と併せて、以下の明細書の熟読に応じて、より明白となるであろう。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
循環流動層合成ガス冷却器システムであって、
合成ガス入口流と、
循環熱伝達媒体と、
熱除去機構と、
合成ガス出口流と、
を備え、前記循環熱伝達媒体の少なくとも一部は、合成ガス流量率約90m/sで動作しているとき、前記合成ガス出口流の温度が、前記合成ガス入口流の温度より少なくとも500℃冷たくなるように、最大1600℃の合成ガス入口流からの熱の少なくとも一部を前記熱除去機構に伝達する、合成ガス冷却器システム。
(項目2)
前記合成ガス入口流と前記合成ガス出口流との間の温度差は、最大1300℃である、項目1に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目3)
前記システムは、最大約1000psiで動作する、項目1に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目4)
前記循環熱伝達媒体は、平均粒子サイズ約50〜1000μmを有する固体粒子を含む、項目1に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目5)
合成ガス空塔速度は、最大約10m/sである、項目1に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目6)
前記熱除去機構は、熱伝達管を備える、項目1に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目7)
前記熱除去機構は、熱伝達コイルを備える、項目1に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目8)
前記熱除去機構は、蒸気を発生させる、項目1に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目9)
前記熱除去機構は、過熱蒸気を発生させる、項目1に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目10)
流出平均粒子サイズ以上を含む循環熱伝達媒体は、前記システムから除去される、項目1に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目11)
前記流出平均粒子サイズは、1000μmである、項目10に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目12)
前記システムから除去される流出平均粒子サイズ以上を含む熱伝達媒体の少なくとも一部は、サイズが縮小され、前記サイズ縮小された熱伝達媒体の少なくとも一部は、前記システムに戻される、項目10に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目13)
前記流出平均粒子サイズは、1000μmであり、
前記サイズ縮小された熱伝達媒体は、平均粒子サイズ約200〜400μmを有する、項目12に記載の合成ガス冷却器システム。
(項目14)
循環流動層合成ガス冷却器システムであって、
合成ガス入口流と、
循環熱伝達媒体と、
少なくとも2つの流動層冷却器と、
熱除去機構と、
合成ガス出口流と、
を備え、前記循環熱伝達媒体の少なくとも一部は、前記合成ガス出口流の温度が、前記合成ガス入口流の温度より少なくとも500℃および最大1300℃冷たくなるように、最大1600℃の合成ガス入口流からの熱の少なくとも一部を前記熱除去機構に伝達し、
前記循環熱伝達媒体は、平均粒子サイズ約50〜1000μmを有する固体を含み、
平均粒子サイズ1000μm以上を含む前記伝達媒体の少なくとも一部は、前記システムから除去され、
酸素、二酸化炭素、および蒸気を含む流れは、前記合成ガス入口流に注入され、優先的かつ部分的に、前記合成ガス中のタール成分を酸化させる、
システム。
(項目15)
石炭ガス化炉からの高温合成ガスを冷却するための多段合成ガス冷却器であって、
高温合成ガス入口流と連通する、埋め込まれた冷却コイルを伴う、高密度流動層と、
固体の循環層の一部が、異なる高度で流動層冷却器に流入し、冷却された固体が、より低い高度において、重力下、ライザに逆流し、前記冷却器からの通気ガスが、より高い高度において、前記ライザに流動する、ライザと、
前記合成ガス冷却器から流出するより冷たい合成ガスを用いて、合成ガスおよび固体を遊離させるためのサイクロンと、
より冷たい固体を前記サイクロンから前記ライザに戻すための下降管と、
固体を隔離し、塊状灰の除去を促進するための前記下降管および前記高密度流動層の下部への流動化ガスと、
を備える、合成ガス冷却器。
(項目16)
前記冷却器に流入する高温合成ガスは、前記冷却器のライザ部分を通して流動するにつれて、連続ステップにおいて冷却される、項目15に記載の合成ガス冷却器。
(項目17)
前記合成ガスは、最初に、前記高密度流動層内の固体に接触することによって、冷却される、項目16に記載の合成ガス冷却器。
(項目18)
前記冷却される合成ガスは、前記ライザの底部における固体の循環層に接触することによって、さらに冷却される、項目17に記載の合成ガス冷却器。
(項目19)
前記冷却される合成ガスは、連続段階において、流動層冷却器から戻る前記ライザ内のより冷たい固体に接触することによって、さらに冷却される、項目18に記載の合成ガス冷却器。
(項目20)
石炭ガス化炉からの高温合成ガスを冷却するための多段合成ガス冷却器であって、
入口高温合成ガス流と連通する、埋め込まれた冷却コイルを伴う、高密度流動層と、
直列の内部循環流動層冷却器の複数の段階と、
を備える、合成ガス冷却器。
(項目21)
前記合成ガスは、流動化され、内部循環する層内に埋め込まれた熱伝達表面を用いて、所望の蒸気および高温ボイラ給水条件を発生させるために適切な温度まで、異なる段階において、連続的に冷却される、項目20に記載の合成ガス冷却器。
(項目22)
前記合成ガスが混合し、熱エネルギーを固体の循環層に伝達させる、ライザと、
前記合成ガスを前記固体の循環層から遊離させる、遊離区画と、
埋め込まれた熱伝達表面を伝って流動し、熱を伝達するように、固体を循環させるための環状空間と、
前記ライザ区画内への循環固体の流動を制御するための曝気および密閉機構と、
内部固体循環を促進し、冷却器段階間の隔壁としての役割を果たす、円錐区画と、
をさらに備える、項目20に記載の合成ガス冷却器。
(項目23)
前記円錐区画は、合成ガスの一部が、前記環状空間を通過し、その中の固体に曝気を提供するための開口部を伴う、蒸気冷却コイルを備える、項目22に記載の合成ガス冷却器。
(項目24)
前記冷却器に流入する合成ガスは、予冷され、上流段階における汚染物質が処理され、固体粒子の外部および内部循環の両方を伴う、ハイブリッド冷却器システムを形成する、項目22に記載の合成ガス冷却器。
(項目25)
前記上流段階は、
前記多段合成ガス冷却器の最後の段階からの比較的により冷たい固体を、高温合成ガス入口流が、最初に、注入された比較的により冷たい固体と混合する、下降流冷却器内に注入するための排出装置と、
排出装置輸送性流体としての高圧再循環合成ガス流と、
さらなる冷却のために、前記多段合成ガス冷却器に流入する、前記下降流冷却器からの比較的により冷たい合成ガスの出口流と、
を備える、項目24に記載の合成ガス冷却器。
(項目26)
前記上流段階は、
前記高温入口合成ガスが、それを伝って流動するにつれて、異なる高度で注入されたより冷たい固体と混合する、下降流導管と、
合成ガスを塊状固体から遊離させるためのPresalterサイクロンと、
1000μmのサイズを超える塊状固体の撤去および補充固体の追加を条件として、前記サイクロンからの遊離された固体を冷却するために埋め込まれた熱伝達表面を伴う、冷却器と、
高圧再循環合成ガスを用いて、冷却された固体を前記冷却器から持ち上げ、異なる高度で前記下降流導管に注入するためのリフト導管と、
さらなる冷却のために、前記多段冷却器に流入する、前記サイクロンからの比較的により冷たい合成ガスの出口流と、
を備える、下降流冷却器システムである、項目24に記載の合成ガス冷却器。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、本発明による、ライザの底部に高密度層冷却器を伴う、外部循環多段合成ガス冷却器の好ましい実施形態を図示する。
図2図2は、本発明の好ましい実施形態による、入口区画に高密度層冷却器を伴う、多段内部循環流動層合成ガス冷却器を図示する。
図3図3は、本発明の好ましい実施形態による、下降流冷却器および多段内部循環流動層合成ガス冷却器を伴う、ハイブリッド冷却器を図示する。本冷却器実施形態では、下降流冷却器段階は、排出装置を通して、冷却器の最後の段階から冷却された固体を撤去し、より冷たい固体を下降流冷却器に注入する。
図4図4は、本発明の好ましい実施形態による、下降流冷却器および多段内部循環流動層冷却器として、独立外部固体循環ループを備える、ハイブリッド冷却器の別の実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の種々の実施形態の原理および特徴の理解を促進するために、種々の例証的実施形態が、以下に説明される。本発明の例示的実施形態が、詳細に説明されるが、他の実施形態も想定されることを理解されたい。故に、本発明は、以下の説明に記載される、または図面に図示される構成要素の構造体および配列の詳細にその範囲が限定されることを意図しない。本発明は、他の実施形態も可能であって、種々の方法で実践または実施可能である。また、例示的実施形態を説明する際、明確にするために、具体的専門用語を用いるであろう。
【0052】
また、明細書および添付の請求項において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明確に別様に示されない限り、複数参照も含むことに留意されたい。例えば、ある成分の言及は、複数の成分の組成物もまた含むことが意図される。「ある(a)」成分を含有する組成物の言及は、挙げられたものに加え、他の成分も含むことが意図される。
【0053】
また、例示的実施形態を説明する際、明確にするために、専門用語を用いるであろう。各用語は、当業者によって理解されるその最も広範な意味を想定し、類似目的を達成するために同様に動作する、あらゆる技術的均等物を含むことが意図される。
【0054】
範囲が、「約」または「およそ」または「実質的」ある特定の値から、および/または「約」または「およそ」または「実質的」別の特定の値までとして、本明細書で表され得る。そのような範囲が表されるとき、他の例示的実施形態は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。
【0055】
同様に、本明細書で使用されるように、あるものを「実質的に含まない」または「実質的に純粋である」および類似特徴は、あるものを「実質的に含まない」または「少なくとも実質的に純粋である」ということと、あるものを「完全に含まない」または「完全に純粋である」ということの両方を含むことができる。
【0056】
「備える(comprising)」または「含有する(containing)」または「含む(including)」とは、少なくとも挙げられた化合物、要素、粒子、または方法ステップが、組成物または物品または方法に存在するが、他のそのような化合物、物質、粒子、方法ステップが、挙げられたものと同一の機能を有する場合でも、他の化合物、物質、粒子、方法ステップの存在を除外するわけではないことを意味する。
【0057】
また、1つ以上の方法ステップの記載は、付加的方法ステップまたは明示的に識別されるそれらのステップ間の介在方法ステップの存在を除外するわけではないことを理解されたい。同様に、また、組成物中の1つ以上の成分の記載は、それらの明示的識別されたもの以外の付加的成分の存在を除外するわけではないことを理解されたい。
【0058】
本発明の種々の要素を構成するように説明される材料は、制限ではなく、例証であることが意図される。本明細書に説明される材料と同一または類似機能を行うであろう多くの好適な材料が、本発明の範囲内に包含されることが意図される。本明細書に説明されないそのような他の物質として、限定ではないが、例えば、本発明の開発後に開発された材料が挙げられ得る。
【0059】
ガス化炉のタイプおよび燃料特性に応じて、ガス化炉から発生された合成ガスは、概して、約800℃〜1600℃の広温度範囲を有する。高プロセス効率を維持するために、さらなる処理のために、同時に、合成ガスを冷却しながら、合成ガスから熱エネルギーを回収することが必要である。広出口温度範囲に加え、ガス化炉タイプは、ガス化炉の最上部または底部からの合成ガス流出を伴う、上昇流および下降流ガス化炉を備える。ガス化炉および合成ガス冷却器は両方とも、概して、高さのある容器であって、合成ガス冷却器は、ガス化炉と密接に統合される。ガス化炉のタイプならびにガス化炉から流出する合成ガスの場所および温度に応じて、多段合成ガス冷却器の構成要素は、適切な実施形態に配列され、構造高さを制限し、応力負荷を減少させ、かつより良好な統合を促進する。
【0060】
多段合成ガス冷却器システムの種々の実施形態が、図1−4に図示される。本合成ガス冷却器は、好ましくは、1つ以上の汚染、侵食性、かつ腐食性物質を含有する合成ガスを最大約1000psiで取り扱うことができる。好ましい合成ガス冷却器は、冷却する際、約少なくとも500℃および最大1300℃を提供し、より好ましくは、入口温度最大約1600℃で合成ガスを取り扱うことができ、合成ガスを約300℃を下回って冷却することが可能である。
【0061】
図1の多段合成ガス冷却器100の構成は、主に、下降流噴流式ガス化炉から発生される合成ガスに適用され、石炭灰の一部は、溶融灰液滴中に融解される。これらのタイプのガス化炉を用いた現在の実践では、発生された合成ガスおよび溶融灰液滴全体が、典型的には、水の貯留槽を通して流動し、スラグとして、溶融灰液滴の大部分を固化させる前に、放射式合成ガス冷却器を通して、下向きに並流する。好ましい合成ガス冷却器100では、同伴された溶融灰液滴とともに、ガス化炉から流出する合成ガス流110は、段階1高密度相流動層冷却器S1DBC、すなわち、蒸気を発生させながら、入口流110から熱を除去することによって、約800〜900℃の範囲内で動作する、高密度層内に流動する。高層温度および熱伝達表面の制限のため、蒸気は、典型的には、段階1冷却器内で発生される。
【0062】
流動層は、熱伝達媒体を含む。好ましい実施形態では、熱伝達媒体は、流動性粒子の形態における不活性固体を含むが、媒体の他の/付加的相も、使用されることができる。高密度相流動層S1DBCは、循環流動層と流体連通する。入口流110内の溶融灰液滴は、高密度相層および循環ループの熱伝達媒体上に凝縮および凝集する。
【0063】
例示的実施形態では、熱伝達媒体は、粒子を含み、初期粒子サイズは、約200〜400ミクロン(μm)の範囲内である。動作の間、層粒子サイズ分布は、循環層が、入口ガス流110からの微粒子の一部を同伴し、定常状態分布に達するにつれて、約50μm〜1000μmの範囲内であることができる。動作の継続に伴って、高密度層および循環ループ内の粒子の一部は、同伴された溶融灰液滴のコーティングのため、実質的に、1000μmより大きいサイズまで成長するであろう。これらのより大きい粒子は、流れ124を通した隔離を通して、選択的に、高密度層および循環ループの下部から除去されることができる。冷却器から撤去される粒子/固体の一部は、200〜400pmの範囲内の粒子サイズに粉状化され、入口合成ガス流110とともに、流れ125に沿って、冷却器内に戻されることができる。流れ125を介して冷却器に送給される粒子は、さらなる凝集のための物質として作用し、冷却器内の熱伝達媒体の備蓄を維持する。
【0064】
高密度相流動層SIDBCから同伴された合成ガスおよび固体粒子は、約800〜900℃の範囲内であって、下降管113および非機械的弁114を通して、ループの周囲を流動する、比較的により冷たい固体と、また、その非機械的弁115を通して、段階2冷却器S2CFBから流出する固体と混合する。混合流は、ライザ111を上昇し、ライザからの固体流の一部は、段階2冷却器S2CFBに流入する。固体は、冷却器を通して等級分けされ、固体レベル121が、段階2冷却器S2CFBの下部をライザ111に接続する、非機械的弁115への曝気を制御することによって、維持される。固体流は、典型的には、段階2冷却器S2CFBから過熱蒸気を発生させながら、冷却される。段階2冷却器S2CFBおよびループ内の他の冷却器は、導管116を通してライザ内に戻るように通気する流動化ガスを伴う、流動層冷却器を備える。
【0065】
冷却器の段階毎に通気口116が、ライザ111の異なる高度に逆流するように示されるが、実践的に、全通気口と最後の段階(段階4冷却器S4CFB)の通気口を結合し、循環ループ内の1つの場所に通気させることも実行可能である。さらに、上側段階からの固体はまた、下側段階に経由され、全冷却器内の熱伝達係数を改善するように、冷却器を通る固体流量率を増加させることができる。
【0066】
合成ガスおよび固体流は、ライザ111を上昇するにつれて、段階3冷却器S3CFBから流出する比較的により冷たい固体流とさらに混合する。再び、段階2冷却器S2CFB同様に、比較的に加熱された固体流の一部は、段階3冷却器S3CFBに流入する。
【0067】
循環ループ内のライザは、ライザ壁に沿った実質的固体還流を誘発し、冷却器内への高温固体の流動を助長する、ライザ速度(4〜10m/sの範囲内)で動作するように設計されることができる。ガス化炉容量およびプロセスニーズに応じて、段階3冷却器S3CFBは、過熱器または節減装置であることができる。段階3冷却器S3CFBの特徴および動作は、段階2冷却器S2CFBに類似し得る。プロセスは、典型的には、節減装置である、段階4冷却器S4CFBでも繰り返される。したがって、合成ガスは、熱が、固体の循環層粒子を伴う多段合成ガス冷却器の各段階に伝達されるため、高密度層を通して、ライザに沿って流動するにつれて、徐々に冷却される。
【0068】
ライザからの冷却された合成ガスおよび固体流は、交差路112を通して、サイクロン117に流動する。固体は、サイクロン内の合成ガス流から分離され、下降管113へと流動し、循環ループを完了する。より冷たい合成ガスは、流れ121を通して、循環ループから流出する。循環ループからのより大きい固体粒子は、流動化ガスを使用して、固体を隔離することによって、流れ124を通して、下降管の底部から撤去されることができる。下降管113内の固体レベル121は、補充固体流125および流れ124を通した固体撤去を用いて維持される。したがって、多段化を用いて、合成ガスは、同時に、種々の冷却器段階における異なる条件での蒸気ならびに最後の冷却器段階における高温ボイラ給水を発生させながら、下流のさらなる処理のために、入口温度最大1600℃〜300℃未満まで効果的に冷却されることができる。
【0069】
図1に図示される合成ガス冷却器はまた、実質的量のタールを含有する合成ガスを冷却するために使用されることができる。後の冷却器段階および下流機器において、粒子表面上でのタール凝縮を回避するために、搬送ガスが、合成ガス温度を増加させるために注入されることができる。例えば、酸素濃度最大50体積百分率を伴う酸素流119が、合成ガス冷却器の入口区画において、合成ガス温度を増加させ、タール成分を破壊するように、付加的搬送ガス(COおよび蒸気は、50体積百分率ガスのままであることが好ましい)として、流れ125に注入されることができる。そのように注入される酸素は、合成ガス中のタール成分の部分酸化を完了するための量に比例する。
【0070】
タールを構成する有機炭化水素のそのような部分酸化では、ガス温度の必要増加は、灰の溶解温度の限界ではなく、炭化水素破壊の要件に依存する。
【0071】
最大温度は、バイオマスまたは瀝青炭を流動層式ガス化炉内でガス化するとき、合成ガス中の全部ではないにしろ、大部分のタールを完全に破壊するために、約1150℃に達することができると考えられる。合成ガス温度を灰の溶解温度を上回って増加させる必要がある場合でも、同伴された小灰粒子は、流体である場合、冷却器内の不活性循環固体粒子表面をコーティングする可能性が高いであろう。そのような実施形態では、酸素流119に、蒸気およびCOおよび補充固体流125が注入されるため、酸素は、流入合成ガス流110とともに非常に分散され、高温点の潜在性を最小限にする。合成ガス中のタールおよびいくつかの炭化物粒子は、優先的かつ部分的に、比較的に高温で酸化されるため、主要部分酸化生成物は、COの代わりに、COとなる。高温合成ガスは、第1段階冷却器内で約800℃〜900℃の範囲内の温度まで直ぐに急冷されることができる。
【0072】
図2の合成ガス冷却器200は、高密度層冷却器および一連のICFB冷却器を備え、冷却合成ガスを最大約1600℃〜約300℃未満に冷却しながら、異なる条件で蒸気を発生させ、ボイラ給水を加熱する。ガス化炉から流出する合成ガス流210は、導管220を通して、約800〜900℃の範囲内で動作する、高密度相流動層冷却器S1DBC内に流動する。埋め込まれた冷却コイル222を伴う、段階1高密度層冷却器S1DBCは、典型的には、高層温度および熱伝達表面物質の温度限界のため、蒸気を発生させる。合成ガスが、タール成分を含有する場合、蒸気およびCOと混合された最大50体積百分率酸素を含有する酸素流219は、段階1高密度層冷却器S1DBCの入口に流入され、優先的かつ部分的に、合成ガス中のタールおよびいくつかの炭化物粒子を酸化させることができる。
【0073】
合成ガス冷却器200の全段階における粒子の初期サイズは、好ましくは、200〜400μmの範囲内である。動作の継続に伴って、高密度層内の粒子の一部は、合成ガス中の汚染物質との凝集のため、より大きいサイズに成長する。約1000μmより大きい粒子は、流れ224を通して撤去され、補充固体が、流れ225を通して、冷却器に追加されることができる。サイズ範囲200〜400μm内の補充不活性固体粒子は、好ましくは、流れ224を通して冷却器から撤去されるより大きいサイズの塊状粒子の一部を粒状化することから導出される。これらの大きいサイズの補充不活性固体粒子を用いて、段階2ICFB冷却器S2ICFB内の遊離区画238は、非常に効率的となり、事実上、全粒子をライザ236から捕捉し、粒子を冷却区画234に戻す。
【0074】
800〜900℃における合成ガスは、段階1高密度層冷却器S1DBCから流出し、内部循環流動層冷却器である、段階2ICFB冷却器S2ICFBに流動する。段階1高密度層冷却器S1DBCから流出する合成ガスは、段階2冷却器S2ICFB循環固体流227と混合する。合成ガスは、混合物がライザ236を上昇するにつれて、熱を固体流に伝達することによって、約650℃〜700℃まで冷却される。ガスおよび固体は、慣性遊離器238を用いて遊離される。ライザと容器のシェルとの間の環状空間を伝って流動する加熱された固体は、熱を段階2冷却器S2ICFBの環状空間内に埋め込まれた熱伝達表面234に伝達する。段階2冷却器S2ICFBは、典型的には、IGCCプロセスにおける過熱器である。固体循環流227率は、曝気ガス226および非機械的密閉機構230によって制御される。合成ガスは、ライザ領域232の下部内の比較的により冷たい固体と非常に急速に混合するにつれて、熱を伝達する。その結果、段階2冷却器S2ICFBの高さは、所望の条件で過熱蒸気を上昇させるために必要な熱伝達表面積に依存する。
【0075】
慣性遊離器238は、分離効率に影響を及ぼすために、異なる設計を有することができると考えられる。設計の1つは、単純ディスクバルブであって、これは、ガス−固体分離のために、衝突に応じて、流動方向を変更した後、固体の慣性に完全に依拠する。当業者は、最上部が密閉されたライザを有し、ガスおよび固体流が分離器の円筒形形状の周囲を接線方向に流動する等の効果的ガス−固体分離のための他の設計も想起し得る。分離器は、本質的に、サイクロンの形態であって、ガス−固体分離は、遠心力によってもたらされる。
【0076】
段階2冷却器S2ICFBおよびその動作は、同様に、段階2冷却器S2ICFB内の固体の内部循環を促進する、円錐形状分割器228を通して、高密度層段階1冷却器SIDBCから内部で分離される。分割器228はさらに、下方の段階からの少量の合成ガスが流動し(流れ226)、環状空間内の固体のための曝気としての役割を果たすための小開口部または隙間を伴う、蒸気コイルとともに構成される。段階1冷却器S1DBCは、遊離区画を含有しないため、固体備蓄は、段階2冷却器S2ICFB固体を導管229を通して輸送することによって維持される。冷却器段階1および2と冷却器段階3S3ICFBおよび4S4ICFB内の全体的固体備蓄ならびに各段階における固体レベル221は、必要に応じて、補充固体を流れ225を通して各段階に追加することによって維持される。
【0077】
段階2冷却器S2ICFBから遊離された合成ガスは、段階3冷却器S3ICFBおよび段階4冷却器S4ICFBに流動し、そこで、合成ガスは、出口流250を通して合成ガス冷却器から流出する前に、所望の温度にさらに冷却される。IGCCプロセスの容量に応じて、段階3冷却器S3ICFBは、過熱器または節減装置のいずれかであることができ、段階4冷却器S4ICFBは、節減装置であることができる。S3ICFBおよびS4ICFBは両方とも、ICFB冷却器であって、その特徴および機能および動作特性は、段階2冷却器S2ICFBに類似する。ICFB冷却器では、合成ガスは、ライザと容器シェルとの間の環状空間内に埋め込まれた熱伝達表面と直接接触しない。これは、合成ガス中に存在し得る物質による、熱伝達表面の侵食、腐食、および汚染を緩和する。循環固体流は、約1〜1.5m/sで環状空間を伝って流動し、そのような低速度では、熱伝達表面の侵食を生じさせない。
【0078】
図1および2のそれらのシステムの実施形態のハイブリッドであって、ガス化プロセスのガス化炉、一般的配列、およびレイアウトニーズとのより良好な統合のための具体的プロセスに役立つ、多段合成ガス冷却器の他の実施形態は、図3および4に開示される。これらのハイブリッド多段冷却器は、ガス化炉の最上部近傍に位置する合成ガス出口を有する、ガス化炉と、高濃度の汚染物質および1600℃に達する高温を有する、合成ガスとともに使用されることができる。
【0079】
図3および4に指定される最後の2桁の種々の参照番号は、図1および2における類似識別構成要素、流れ、または機能性のいずれかを有する。図3および4における実施形態を図1および2と区別する要因が、以下に説明される。
【0080】
図3に開示される実施形態300は、導管312を通る段階4ICFB冷却器S4ICFBからのより冷たい固体を使用して、最初に、高温合成ガス流310に接触させる。段階4ICFB冷却器S4ICFBからの固体は、入口合成ガス流と比較して、比較的により低い圧力にあるため、高圧再循環合成ガス330を伴う排出装置340は、圧力を押し上げ、固体注入を促進する。合成ガスが、例えば、流動層からのタールを含有する場合、高温合成ガスおよび固体流は、最初に、希釈酸素流319と接触され、優先的かつ部分的に、合成ガス中のタール成分を酸化させる。比較的により冷たい排出された固体は、高温合成ガスと混合し、導管320を通して、段階2高密度層冷却器S1DBCに流入する前に、両流れが、段階1下降流冷却器313を伝って流動するにつれて、固体は、熱を埋め込まれた熱伝達表面と交換し、蒸気を発生させる。段階2高密度層冷却器S1DBCおよび段階3および4ICFB冷却器の配列、機能、および動作は、図2に開示される実施形態200の対応する冷却器の説明に類似する。合成ガスは、流れ350を通して流出する前に、各段階において、連続的に冷却される。実施形態300の最後の3段階のそれぞれにおける固体レベル321は、段階2高密度層冷却器からの過剰サイズの塊状固体流324の撤去および流れ325を通した補充固体の追加によって維持される。サイズ範囲約200〜400μm内の補充固体は、塊状固体を粉状化することから導出される。
【0081】
図4に示される実施形態400は、独立段階1循環下降流冷却器を備えるため、合成ガスの冷却により柔軟性を提供する。汚染物質を伴う高温合成ガス入口流410は、種々の高度で注入されたより冷たい固体流415と混合し、両流れは、傾斜導管414を伝って流動し、それを通して、米国特許第7,771,585号に開示され、参照することによって全体として本明細書に組み込まれるようなPresalterサイクロン417に流入する。図1から3における実施形態のような希釈酸素流419が、導管413の上側高度において、流れ415とともに注入され、優先的かつ部分的に、合成ガス中に存在し得るタール成分を酸化させる。
【0082】
合成ガスおよび比較的により冷たい固体流が、混合し、導管413を伝って流動するにつれて、合成ガス中の溶融灰液滴は、注入されたより冷たい固体粒子と凝縮および凝集する。サイクロンからの固体流は、熱を熱伝達表面と交換し、蒸気を発生させることによって、段階1冷却器内で冷却される。流れ430を通して冷却器内に注入されたより高い圧力の再循環合成ガスは、再注入のために、冷却器から、導管411を通して、固体を持ち上げる。過剰サイズの塊状固体は、流れ424を通して、段階1冷却器から撤去され、塊状固体を粉状化することから導出される、約200〜400μmの粒子サイズ範囲内の補充固体が、流れ425を通して、冷却器に戻される。
【0083】
サイクロンから流出する合成ガス流420は、流れ450を通して、多段流動層冷却器実施形態400から流出する前に、さらなる冷却のために、段階2高密度層冷却器および段階3および4ICFB冷却器に流入する。段階2高密度層冷却器ならびに段階3および4ICFB冷却器の配列、機能、および動作は、図2に開示される実施形態200の対応する冷却器に類似する。実施形態400の段階I下降流冷却器および他の段階における固体レベル421は、必要に応じて、流れ425を用いた各段階への固体追加および流れ424を通した過剰サイズの固体撤去を通して、維持される。段階1下降流冷却器動作は、他の段階から独立するため、図4の実施形態は、動作および冷却容量により柔軟性を提供し、高入口温度最大約1600℃を伴う合成ガスを取り扱うことができる。
【0084】
他の実施形態同様に、合成ガスは、図3および4に開示される実施形態300および400を通して流動するにつれて、直接、熱伝達表面に接触せず、したがって、腐食、侵食、および汚染と関連付けられた難点を回避する。さらに、これらの実施形態における固体の循環層を伴う複数の冷却段階は、発電のためのIGCCプロセスに必要な過熱蒸気を含む、異なる条件での高温ボイラ給水および蒸気の発生を促進する。
【0085】
熱伝達表面は、高入口温度ならびに合成ガスの腐食性、侵食性、かつ汚染特性から保護されるため、本明細書に開示される多段合成ガス冷却器の種々の実施形態は、約4〜10m/sの範囲内の高空塔ガス速度で動作されることができ、合成ガス流量率最大90m/sを取り扱うための単一多段合成ガス冷却器を促進し、これは、任意の単一ガス化炉が送達することができるものを上回る。
【0086】
多数の特性および利点が、構造および機能の詳細とともに、前述の説明に記載された。本発明は、いくつかの形態で開示されたが、多くの修正、追加、および削除が、特に、部品の形状、サイズ、および配列に関して、以下の請求項に記載の本発明およびその均等物の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に行われ得ることは、当業者に明白となるであろう。したがって、本明細書の教示によって示唆され得る他の修正または実施形態は、特に、本明細書に添付の請求項の幅および範囲内にあると見なされる。
図1
図2
図3
図4