特許第6263188号(P6263188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6263188調節可能ポンプ機構および/またはロータを通る戻し孔を備える粘性クラッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6263188
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】調節可能ポンプ機構および/またはロータを通る戻し孔を備える粘性クラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 35/02 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   F16D35/02 J
【請求項の数】30
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-533216(P2015-533216)
(86)(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公表番号】特表2015-529317(P2015-529317A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】US2013060889
(87)【国際公開番号】WO2014047430
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年9月1日
(31)【優先権主張番号】61/704,457
(32)【優先日】2012年9月22日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506038235
【氏名又は名称】ホートン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブランド, バスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, スコット
【審査官】 佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−096035(JP,U)
【文献】 特開平04−194423(JP,A)
【文献】 特開2009−228884(JP,A)
【文献】 特開2010−031968(JP,A)
【文献】 特開2004−286048(JP,A)
【文献】 特開2006−275110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/00 − 39/00
F16D 11/00 − 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体アセンブリと、
円板を含むロータアセンブリと、
せん断流体の蓄えを保持する貯留部と、
前記筺体アセンブリと前記ロータアセンブリとの間に配置された作動室であって、前記作動室への前記せん断流体の導入に応じて前記筺体アセンブリと前記ロータアセンブリとの間でトルク伝達をなす作動室と、
前記作動室から前記貯留部に延びる流体戻し路であって、該流体戻し路の少なくとも一部としての流体戻し孔を含み、該流体戻し孔が前記円板の少なくとも一部に形成され且つ前記円板の径方向に延びている、流体戻し路と、
前記流体戻し孔内に少なくとも部分的に配置されたポンプ孔挿入部材であって、前記流体戻し路に流体連通する孔を備えたポンプ孔挿入部材と、
前記貯留部から前記作動室に延びる流体送路と、
前記体アセンブリに担持され、前記貯留部から前記流体送路を経て前記作動室に導入される前記せん断流体の流れを制御する弁アセンブリであって、前記流体送路を開閉する弁要素を含む弁アセンブリと
を備える粘性クラッチ。
【請求項2】
前記ポンプ孔挿入部材は、前記ロータアセンブリと取り外し可能に係合される、請求項1に記載の粘性クラッチ。
【請求項3】
前記ポンプ孔挿入部材が、螺刻された軸部と、前記軸部に隣接する頭部と、前記軸部および前記頭部のうちの少なくとも一方にまたはその一方に沿って配置された係合構造とを備え、前記孔は前記軸部および前記頭部を通って延びる、請求項1に記載の粘性クラッチ。
【請求項4】
前記ポンプ孔挿入部材に隣接する前記ロータアセンブリの外周部において係合されており、前記ロータアセンブリの周面から前記径方向でみて外側に延びるワイパをさらに備える、請求項1に記載の粘性クラッチ。
【請求項5】
前記ワイパは、略矩形の外形をなし、湾曲している、請求項4に記載の粘性クラッチ。
【請求項6】
前記貯留部の境界の一部を定める貯留部カバーと、
前記ロータアセンブリの前記流体戻し孔から前記貯留部へと前記流体戻し路に沿って前記せん断流体を送るために、前記貯留部カバーを横断する流れ案内部と
をさらに備える、請求項1に記載の粘性クラッチ。
【請求項7】
前記弁アセンブリは電磁的に作動される電磁弁アセンブリであって、該電磁弁アセンブリは前記貯留部から前記作動室への前記せん断流体の流れを制御する第1の弁サブアセンブリを制御可能に移動させるように構成されている、請求項1に記載の粘性クラッチ。
【請求項8】
前記貯留部から前記作動室への前記せん断流体の流れをさらに制御するために、前記第1の弁サブアセンブリと同時に作動されるように構成された第2の弁サブアセンブリをさらに備える、請求項7に記載の粘性クラッチ。
【請求項9】
前記筺体アセンブリに隣接して配置される電磁コイルアセンブリであって、別々の端子を有した第1の巻線および第2の巻線を備える電磁コイルアセンブリをさらに含む、請求項1に記載の粘性クラッチ。
【請求項10】
前記ロータアセンブリは、前記円板と共に回転するよう前記円板に接続された軸受ハブであって、出力部材のための搭載位置を提供するために前記筺体アセンブリを越えて延びる軸受ハブをさらに備える、請求項1に記載の粘性クラッチ。
【請求項11】
前記筺体アセンブリと共に回転するよう前記筺体アセンブリに接続されたプーリをさらに備える、請求項1に記載の粘性クラッチ。
【請求項12】
回転に関して固定され、シャフト部を有したジャーナルブラケットと、
前記筺体アセンブリを前記ジャーナルブラケットの前記シャフト部に回転可能に支持するための第1の円錐ころ軸受セットと、
前記ロータアセンブリを前記ジャーナルブラケットの前記シャフト部に回転可能に支持するための第2の円錐ころ軸受セットと
をさらに備える、請求項1に記載の粘性クラッチ。
【請求項13】
前記体アセンブリは、前記ポンプ孔挿入部材へのアクセスを許容するように構成されたアクセス開口をさらに備える、請求項1に記載の粘性クラッチ。
【請求項14】
前記筺体アセンブリが、
軸受に支持された基部と、
前記基部に取り付けられたカバーと
を備え、
前記アクセス開口が前記基部の一部を通って延びている、請求項13に記載の粘性クラッチ。
【請求項15】
前記ポンプ孔挿入部材は、前記カバーが前記基部に取り付けられる一方で、前記アクセス開口を通じて取り外し可能である、請求項14に記載の粘性クラッチ。
【請求項16】
前記アクセス開口と取り外し可能に係合される栓をさらに備える、請求項13に記載の粘性クラッチ。

【請求項17】
請求項1に記載の粘性クラッチと共に使用するためのキットであって、異なる構成の交換用ポンプ孔挿入部材を備えるキット。
【請求項18】
請求項1の粘性クラッチを使用するための方法であって、前記ポンプ孔挿入部材が第1のポンプ孔挿入部材である方法は、
前記粘性クラッチの前記作動室に沿って前記流体戻し孔に前記第1のポンプ孔挿入部材を係合するステップと、
前記第1のポンプ孔挿入部材を異なる構成の第2のポンプ孔挿入部材と交換するステップと
を含み、
前記第1および第2のポンプ孔挿入部材各々前記流体戻り路に沿い前記流体戻し孔の前記径方向に延びる部分に少なくとも部分的に配置される、方法。
【請求項19】
前記粘性クラッチの前記筺体アセンブリ内に前記体アセンブリのアクセス開口を通じて工具を挿入するステップと、
前記工具を前記第1のポンプ孔挿入部材と係合するステップと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のポンプ孔挿入部材を前記粘性クラッチから取り外すステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のポンプ孔挿入部材は、前記粘性クラッチに対し、前記取り外された第1のポンプ孔挿入部材と異なるポンプ特性を提供する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記作動室内に前記径方向に突出しかつ取り外し可能なワイパを、前記ポンプ孔挿入部材に隣接して位置決めするステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
請求項1の粘性クラッチと共に使用するための方法であって、前記ポンプ孔挿入部材が第1のポンプ孔挿入部材である、方法は、
前記粘性クラッチの前記作動室に沿って前記流体戻し孔内に前記第1のポンプ孔挿入部材を少なくとも部分的に配置するステップと、
前記第1のポンプ孔挿入部材を前記粘性クラッチから取り外すステップと、
前記第1のポンプ孔挿入部材に代わって、前記粘性クラッチの前記作動室に沿って前記流体戻し孔内に第2のポンプ孔挿入部材を少なくとも部分的に配置するステップと
を含む方法。
【請求項24】
前記作動室内に突出しかつ取り外し可能なワイパを、前記第1のポンプ孔挿入部材に隣接して配置するステップと、
前記取り外し可能なワイパを前記粘性クラッチから取り外すステップと
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2のポンプ孔挿入部材が前記第1のポンプ孔挿入部材の孔と異なる大きさの孔を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
せん断流体の流れを前記第1のポンプ孔挿入部材または前記第2のポンプ孔挿入部材で調量するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
請求項1の粘性クラッチのための方法であって、
前記ポンプ孔挿入部材の孔が第1の直径を有し、前記孔を通じてせん断流体を吐出するステップと、
前記ポンプ挿入部材を第2のポンプ孔挿入部材に置換するステップであって、該第2のポンプ孔挿入部材が前記第1の直径と異なる第2の直径の孔を有する、ステップと
を含む粘性クラッチのための方法。
【請求項28】
前記第1のポンプ孔挿入部材に代えて、前記粘性クラッチの前記作動室に沿い前記流体戻し内に第2のポンプ孔挿入部材を少なくとも部分的に配置するステップは、前記径方向に延びる前記流体戻し孔の部分への前記第2のポンプ孔挿入部材のねじ込みを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
粘性クラッチ内での前記作動室から前記貯留部に延びる前記流体戻り路を確立するステップを更に含み、前記流体戻り路が前記第1のポンプ挿入部材の孔を経て延びている、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記作動室に沿い前記第2のポンプ孔挿入部材を配置した後、前記流体戻り路が前記第2のポンプ孔挿入部材の孔を経て延びている、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチに関し、より詳細には、粘性クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
粘性クラッチは、ファンやポンプなどを駆動するためなどの様々な自動車用途において、および、他の状況において使用される。これらのクラッチは、典型的には、2つの回転可能部品の間でトルクを選択的に伝達するために、比較的粘度の高いシリコンオイル(せん断流体または粘性流体と概して称される)を用いている。入力部材と出力部材との間に配置されたクラッチの作動領域へのオイルの出入を選択的に許容することで、クラッチを係合または係合解除することが可能である。典型的な粘性クラッチでは、回転入力は、ドライブシャフトまたはプーリに接続された回転板であり、回転出力は、ファン、ポンプ、シャフト、または他の出力要素に接続され得る筺体またはカバーである。また、弁が入力部と出力部との間の作動領域を通るオイルの流れを制御するために使用される。そして、クラッチが電気的に制御されるのは一般的になっている。これは、クラッチの制御性を高めるために行われており、また、冷却剤温度、吸気温度、空気条件圧力、および/またはオイル温度に対応するためになど、車両における複数の冷却要求にクラッチを対応させ得るためにも行われている。
【0003】
粘性クラッチは、エンジン前部にある回転するプーリに設けられた別体の装置として以前は使われていた。クラッチへの回転入力は、従来、エンジンクランクシャフトおよびウォーターポンプであった。過去10年間で、冷却要求は、より一層の厳しいエンジン排気削減の要求の結果として、増加してきている。この間に、ベルト式プーリの使用が、ファンクラッチへの入力について、より一般的な方法となった。ベルト式プーリ(シーブとも呼ばれる)は、ファン速度を増加させ、それにより、車両の熱交換器のためにより多くの冷却空気の流れを得ることができる。ベルト式駆動は、所望の回転速度を得る上でのその簡潔性、低コスト性、および容易性のため望ましい。ファンクラッチへの回転入力はウォーターポンプまたはクランクシャフトから分離されているため、冷却システムの技術者は、所与の用途に対して必要な望ましい冷却を提供するのに必要とされる正確なファン速度を選択することが可能となっている。
【0004】
粘性クラッチの例には、同一出願人による特許文献1およびPCT出願において公開された特許文献2および特許文献3がある。粘性クラッチのさらなる例には、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および、特許文献8に開示されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,938,240号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/062856号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2012/024497号パンフレット
【特許文献4】米国特許第4,046,239号明細書
【特許文献5】米国特許第6,419,064号明細書
【特許文献6】米国特許第7,828,529号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2012/0164002号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第2487380号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、数ある特徴および便益の中で、比較的高い入力速度およびトルク負荷での使用に適しており、比較的小さい質量であり、比較的優れた放熱をもたらす新たなクラッチ設計を提供することが望まれている。その上またはその代わりに、数ある特徴および便益の中で、広範囲のカスタマイズおよびクラッチ全体の再設計を必要としない、様々な用途に適用可能な新たなクラッチ設計を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、粘性クラッチは、筺体アセンブリと、円板を含むロータアセンブリと、せん断流体の蓄えを保持する貯留部と、筺体アセンブリとロータアセンブリとの間に配置された作動室であって、該作動室へのせん断流体の導入に応じて体アセンブリとロータアセンブリとの間でトルクの伝達をなす作動室と、作動室から貯留室に延びる流体戻し路であって、該流体戻し路の少なくとも一部としての流体戻し孔を含み、該流体戻し孔が前記円板の少なくとも一部に形成され且つ前記円板の径方向に延びている,流体戻し路とを備える。
【0008】
本発明の粘性クラッチは更に、流体戻し孔内に少なくとも部分的に配置されたポンプ孔挿入部材であって、流体戻し路に流体連通する孔を備えたポンプ孔挿入部材と、貯留部から作動室に延びる流体送路と、体アセンブリに担持され、貯留部から流体送路を経て作動室に導入されるせん断流体の流れを制御する弁アセンブリであって、流体送路を開閉する弁要素を含む弁アセンブリとを備える。
【0009】
通常の当業者であれば、本発明の他の態様および実施形態が可能であることは認識するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明によるクラッチの実施形態の部分断面図である。
図2図1のクラッチの部分拡大断面図である。
図3図1のクラッチと共に使用するのに適したポンプ孔挿入部材の断面図である。
図4図1の線4−4に従って切り取られた、クラッチの別の部分の断面図である。
図5図1のクラッチと共に使用するのに適したワイパの実施形態の斜視図である。
図6図1のクラッチと共に使用するのに適した弁アセンブリの実施形態の断面図である。
図7図1のクラッチと共に使用するのに適した弁アセンブリの別の実施形態の概略ブロック図である。
図8図1のクラッチと共に使用するのに適した電磁コイルアセンブリの実施形態の概略ブロック図である。
図9】本発明によるクラッチの組み立て及び使用方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述した図面が本発明の1つまたは複数の実施形態を示す一方で、他の実施形態も検討される。すべての場合において、本開示は、代表例によって本発明を提示しており、限定を提示してはいない。数多くの他の変更および実施形態が当業者によって考案され、それらが本発明の原理の範囲および思想内にあることは、理解され得る。図は一定の縮尺で描かれていない場合もあり、本発明の用途および実施形態は、図面に具体的に示されていない特徴および構成部品を備えてもよい。
【0012】
本出願は、参照することによりその全体において本明細書に援用されている、2012年9月22日に出願された米国特許仮出願第61/704,457号の優先権を主張するものである。
【0013】
概して、本発明は、提供されるトルク入力から所望のトルク出力を選択的に伝達できる粘性クラッチに関する。本クラッチは、入力部材(例えば、プーリまたはシーブ)がロータではなく装置の筺体アセンブリに取り付けられている点において、大部分の他の粘性クラッチと比較して、「逆転」している。つまり、ロータは、ファンなどの出力部材に取り付け可能であり、それによってクラッチの出力を提供できる。さらに、入力部材に接続された筺体アセンブリは、一体的に回転入力をクラッチに提供することが可能である。この手法の利点には、選択的に出力が駆動されるときだけでなく、回転入力が与えられるときはいつでも、フィン付き部品(例えば、筺体アセンブリまたは他の入力部材)を比較的高い入力速度で回転させることができることがある。この方法により、クラッチの冷却フィンは、より速い速度で回転可能であり、外気との相互作用がより大きくなるため、より効率よく放熱することができる。また、クラッチの貯留部を筺体アセンブリに配置でき、これは、クラッチの外部および冷却フィンに隣接することから、運転流体またはせん断流体(例えば、シリコンオイル)のさらなる冷却を可能にする。加えて、入力部材(例えば、プーリまたはシーブ)を筺体に取り付けることは、入力部材の中心領域の少なくとも一部を排除でき、かなりの重量(質量)を削減できる。重量(質量)の削減にも拘わらず、入力部材は、プーリまたはシーブとして構成されるとき、特定の用途に対して望ましい場合、比較的大きな外径を提供できる。
【0014】
また、追加的または代替的には、本発明のクラッチは、クラッチのポンプ流量の調節を支援するために、大きさを容易に変更できる取り外し可能/交換可能なワイパを備えることができる。さらに、異なる孔通路の大きさを提供するために交換可能であるポンプ孔挿入部材が使用でき、これも、クラッチのポンプ流量の調節を支援できる。調節可能および交換可能なワイパおよびポンプ孔挿入部の特徴は、クラッチ全体の全体的な再設計を必要とすることなくクラッチを様々な出力部材(例えば、ファン)と共に運転するために、クラッチの調整を支援することができる。また、クラッチを、工場または研究所ではなく、現場で容易に調整することができる。
【0015】
本発明の追加の特徴および便益は、添付の図を含む本開示の全体を考慮して、当業者によって認められるものである。
【0016】
図1は、クラッチ20の実施形態の部分断面図であり、図2は、クラッチ20の部分拡大断面図である。簡略化のために、クラッチ20の回転軸線Aの上方の一部のみが図1に示されている。通常の当業者であれば、図1で省略されたクラッチ20の回転軸線Aの下方の部分が、軸線Aの上方で描かれた部分と概して同様の構成を有し得ることは理解されるものであり、クラッチの実施形態が、回転軸線Aの周りで完全には対称ではない従来からの特徴をいくらか有していることも理解され得る。図示した実施形態では、クラッチ20は、ジャーナルブラケット(または取付シャフト)22と、プーリ(またはシーブ)24と、ロータアセンブリ26と、筺体アセンブリ28と、弁アセンブリ30と、電磁コイルアセンブリ32と、第1の軸受セット34と、第2の軸受セット36と、貯留部38と、作動室40と、シール軸受42と、センサアセンブリ44とを備えている。クラッチ20は、回転軸線Aを規定する。
【0017】
ジャーナルブラケット(または取付シャフト)22は、車両のエンジンルームにおけるエンジンブロックなど、所望の搭載位置に固定された静止(つまり、非回転)部品であり得る。「静止」であるとして説明する一方で、ジャーナルブラケット22は、移動する車両内に設置でき、用語「静止」は本明細書では搭載位置に対して用いられていることは、理解され得る。図示した実施形態では、ジャーナルブラケット22は、軸線方向に延びるシャフト部22−1と、略径方向に延びるフランジ部22−2とを備えている。導通部22−3は、ジャーナルブラケット22を貫くよう任意に定められてもよく、シャフト部22−1の略軸線方向の全長に亘って延在してもよい。図示するように、導通部22−3は、軸線Aと同軸上に配置されている。電線や他の物品は、具体的な用途に応じて導通部22−3を通すことが可能である。ジャーナルブラケット22を製造するのに適した方法には、鉄または鋼などの金属材料から鋳造する方法がある。好ましい実施形態では、ジャーナルブラケット22は、可鍜鋳鉄から鋳造されてから機械加工される。
【0018】
図示した実施形態の筺体アセンブリ28は、基部28−1とカバー28−2とを備えている。基部28−1とカバー28−2とは、留め具、溶接などを用いるなど、任意の適切な手段で一体的に固定され得る。冷却フィン28−3は、クラッチ20によって発生した熱を外気へ放熱するのを支援するために、筺体アセンブリ28の外部に設けられ得る。図1の実施形態に示すように、複数の略径方向に延び角度的に間隔を置いた冷却フィン28−3が、カバー28−2の前面に配置されている。さらに略径方向に延びて周方向に間隔を置いた冷却フィン28−4が、筺体アセンブリ28の基部28−1の外面にも配置されている。冷却フィン28−3および/または28−4の具体的な数、配置、および構成は、具体的な用途に応じて変更できることは理解され得る。例えば、追加の冷却フィンが、さらなる実施形態において、基部28−1、カバー28−2、および/またはクラッチ20の他の構成部品に配置されてもよい。冷却フィン28−3および/または28−4を筺体アセンブリ28に設けることは、クラッチ20についての回転入力として構成されるとき、クラッチ20に回転入力があるときはいつでも冷却フィン28−3および/または28−4を回転させることができ、それによって放熱を容易にしている。図示した実施形態では、筺体アセンブリ28は、第1の軸受セット34によってジャーナルブラケット22のシャフト部22−1に回転可能に支持されており、筺体アセンブリ28はシャフト部22−1をほぼ取り囲んでいる。具体的には、第1の軸受セット34は、プーリ24と同軸上に配置され、貯留部38から径方向内側の位置において基部28−1を支持しており、さらなる実施形態においては他の構成も可能である。第1の軸受セット34は、比較的高い負荷容量を提供できる円錐ころ軸受、または、要求に応じて他の種類の軸受を備えることができる。筺体アセンブリ28のカバー28−2は、シール軸受42によってロータアセンブリ26にさらに回転可能に支持され得る。シール軸受42は、ジャーナル軸受の形態のように、流体を封止する機能と構造的に回転可能に支持する機能との両方を提供できる。図1に示すように、第1の軸受セット34とシール軸受42とは、作動室40を挟んで軸線方向両側に配置されている。筺体アセンブリ28の基部28−1およびカバー28−2の各々は、ダイカストのアルミニウムなど、金属材料から鋳造されてから、機械加工され得る。詳しくは、筺体アセンブリ28は、後でさらに説明するように、クラッチ20の入力部またはトルク受け部の一部を形成できる。
【0019】
図示した実施形態では、筺体アセンブリ28は貯留部38を有しており、貯留部38は筺体アセンブリ28と共に回転する。貯留部38は、クラッチ20が係合解除されるとき、せん断流体の大部分を貯留部38内に貯留して、クラッチ20に使用するためのせん断流体(例えば、シリコンオイル)の供給を保持することができる。筺体アセンブリ28は入力部アセンブリの一部であり、当該筺体アセンブリ28は、筺体アセンブリ28に回転入力があるときは常に回転する。筺体アセンブリ28の回転は、さらに、せん断流体を加圧状態に保ち、貯留部38では、クラッチ20の素早い係合を容易にするのを支援するために、せん断流体を比較的高い度合いの運動エネルギーに維持することができる。一実施形態としては、貯留部38は、筺体アセンブリ28の基部28−1における略環状の空間として設けられ得る。貯留部カバー46は、貯留部38の境界の一部を定めるために設けられ得る。図示した実施形態では、貯留部カバー46は、圧入、かしめ、留め具の使用などによって基部28−1に取り付けられた略環状の板として構成されている。1つまたは複数の出口孔(貯留部孔ともいう)46−1は、せん断流体を貯留部38から流出するのを許容する一方で、弁アセンブリ30により制御可能なよう、貯留部カバー46に(または、貯留部38の別の境界部に)設けられてもよい。筺体アセンブリ28における貯留部38の配置は、放熱を容易にするために、冷却フィン28−3および/または28−4と外気との比較的近くにせん断流体を留め得る位置が好ましい。
【0020】
プーリ(またはシーブ)24は、基部28−1など、筺体アセンブリ28に直接的または間接的に固定でき、ベルト(図示せず)からの回転入力を受け入れるように構成されている。筺体アセンブリ28はプーリ24と共に回転可能である。図示した実施形態では、プーリ24は、ジャーナルブラケット22のフランジ部22−2より軸線方向前方に配置されている。さらに、図示した実施形態では、プーリ24は、適切な留め具を用いて、筺体アセンブリ28に取り付けられた別体の要素として構成されている。しかしながら、さらなる実施形態として、プーリ24は、筺体アセンブリ28の一部に統合的および一体的に組み込まれることもあり得る。プーリ24のベルト係合部の大きさ(つまり、直径)は、通常の当業者によって理解されるように、所望の回転入力速度をクラッチ20にもたらすのを支援するために選択できる。図示した実施形態では、プーリ24は、ベルト係合直径が大きいほど、高い入力速度を可能にし、それがさらに、クラッチ20が係合されるときに比較的高い出力速度を可能とする。プーリ24を筺体アセンブリ28に取り付けることは、プーリ24が筺体アセンブリ28の略径方向外側部分から内側へと越えて延びる必要がないため、プーリ24の中央部を「中空」にでき、それによりクラッチ20の全体質量の低減に寄与している。一実施形態では、プーリ24は、鉄または鋼などの金属材料から鋳造されてから、機械加工され得る。代替の実施形態では、プーリ24は、スピン成形され、鋳物から作られた別体のハブ部分(図示せず)に取り付けられてもよい。さらに別の代替の実施形態では、米国特許第4,080,704号明細書に記載されているような溶接またはろう付けと組み合わされたロール成形または円成形の工程が用いられてもよい。任意の適切なさらなる1つまたは複数の製造工程が、プーリ24を製作するために用いられてもよい。
【0021】
図示した実施形態のロータアセンブリ26は、円板26−1と、軸受ハブ26−2と、流れ案内部26−3とを備えている。ロータアセンブリ26の円板26−1および軸受ハブ26−2は、圧入、ローレット、捩じ込み、スプライン、または他の接続など、任意の適切な接続によって、一体的に回転する(つまり、共に回転する)ように一体的に固定された別々の部品として構成できる。代替の実施形態では、円板26−1と軸受ハブ26−2とは、統合的および一体的に一緒に形成されてもよい。ロータアセンブリ26は、第2の軸受セット36によって、ジャーナルブラケット22のシャフト部22−1に回転可能に支持され得る。第2の軸受セット36は、比較的高い負荷容量を提供できる円錐ころ軸受、または、要求に応じて他の種類の軸受を備えることができる。図1に示すように、ロータアセンブリ26は、ジャーナルブラケット22のシャフト部22−1をほぼ取り囲むように配置される。ロータアセンブリ26の構成部品の各々は鋳造によって各々形成でき、リブや開口などは機械加工によって形成できる。
【0022】
ロータアセンブリ26の円板26−1は、従来の構成では、外周近傍の前側および後側の両方において、複数の同心の環状リブを備え得る。それらの環状リブは、体アセンブリ28にて作動室40に沿った同様のリブと補完することできる。図示した実施形態では、円板26−1は筺体アセンブリ28によって取り囲まれている。従来の方式の外周部分のように、作動室40内にてせん断流体が円板26−1の前側と後側との間で通過できるように、1つまたは複数の流体開口(図示せず)が、円板26−1を略軸線方向に貫いて形成され得る。第1の戻し孔部26−1Bと第2の戻し孔部26−1B’とを含む戻し孔は、円板26−1を貫通して設けられ得る。図1および図2に示す実施形態では、第1の戻し孔部26−1Bは、円板26−1全体を略径方向に貫いて(円板26−1の外周部を貫くことも含む)延びており、第2の戻し孔部26−1B’は、円板26−1の後面から第1の戻し孔部26−1Bへと略軸線方向に延びている。流れ案内部26−3は、円板26−1または他の適切な搭載位置に取り付けられた鞘状部材であり得る。図示した実施形態では、流れ案内部26−3は、円板26−1に取り付けられており、第2の戻し孔部26−1B’と共に貯留部38と流体連通して接続された内部通路を形成している。流れ案内部26−3は、貯留部カバー46の中心開口46−2を貫通して、貯留部カバー46を横断できる。
【0023】
図示した実施形態におけるロータアセンブリ26では、軸受ハブ(ファンハブともいう)26−2は、略軸線方向に延びる鞘部26−2Aと、略径方向に延びるフランジ部26−2Bと、パイロット部26−2Cとを備えている。鞘部26−2Aは、略円筒形をなすことができ、円板26−1および第2の軸受セット36とともに略軸線方向に並べられ得る。シール軸受42は、軸受ハブ26−2(および、具体的には鞘部26−2A)と筺体アセンブリ28のカバー28−2との間で係合され得る。シール軸受42は、円板26−1とも隣接し、軸線方向において第2の軸受セット36に合わせて、または、近接して位置決めされ得る。フランジ部26−2Bは、鞘部26−2Aの前端に、または、その前端近くに位置し、パイロット部26−2Cは、フランジ部26−2Bの中央の前面部に位置することができる。フランジ部26−2Bおよびパイロット部26−2Cの各々は、フランジ部26−2B、パイロット部26−2C、および/または、ロータアセンブリ26の軸受ハブ26−2の他の部分が、クラッチ20の前部において、または、その前部の近くで、出力部材(例えば、ファン、ポンプ、シャフトなど)に対して取付面を提供するように、筺体アセンブリ28(または、筺体アセンブリ28の外側)を越えて少なくとも一部が延びている。しかしながら、代替の実施形態では、出力部材は他の場所に取り付け得ることは留意すべきである。この方法では、ロータアセンブリ26は、後でさらに説明するように、クラッチ20の選択的に制御可能な出力部またはトルク送り部の一部を形成できる。軸受ハブ26−2の使用により、出力部材(例えば、ファンなど)の取り付け形状を、クラッチ20の他の構成部品を再設計する必要なく比較的容易に調節可能とさせることができる。例えば、全体の基本的なクラッチ設計を共通としつつ、異なる用途に適合するように、様々な異なる軸受ハブ26−2の構成を備えることもあり得る。
【0024】
作動室40(作動領域ともいう)は、ロータアセンブリ26と筺体アセンブリ28との間に定められている。図示した実施形態では、作動室40は、円板26−1の対向する前側および後側に沿って延びているが、さらなる実施形態としては、作動室40は、円板26−1の主に一方の側に限定されることもあり得る。作動室40におけるせん断流体の存在は、ロータアセンブリ26と筺体アセンブリ28との間の流体摩擦継合を生じることで、クラッチ20の係合による入力部品と出力部品との間のトルク伝達を行う。瞬間的なトルク伝達割合は、作動室40のせん断流体の量の関数として変化する。概して、せん断流体は、流体送路48に沿って貯留部38から作動室40へと送られ、戻し路50を通って作動室40から貯留部38へと戻される。流体送路48および戻し路50の各々は、図1および図2において矢印によって概略的に表されている。図1および図2に示すように、流体送路48は、貯留部38から貯留部カバー46の出口孔46−1を通って作動室40へと延びている。図示した実施形態では、戻し路50は、ロータアセンブリ26の円板26−1の径方向外側にある作動室40の一部から、円板26−1の第1の戻し孔部26−1Bを通って実質的に径方向に延び、それから曲がって、貯留部38へと戻される前に、第2の戻し孔部26−1B’と流れ案内部26−3とを通過している。このような方法により、せん断流体は、作動室40から流体戻し路50に沿って、第1の戻し孔部26−1Bを通って径方向内向きに直に流れることができる(または、汲み上げられ得る)。通常の当業者は、流体送路48および戻し路50の正確な位置および形の各々は、具体的な用途に対して要求に応じて変形できることは理解し得るものである。せん断流体を作動室40から戻し路50を通して動的に吐出するために、1つまたは複数の適切なポンプ構造が、作動室40において、または、作動室40に沿って、備えられてもよい。ポンプ構造についての一実施形態の詳しい説明は、図3の説明に関連して後で提供される。
【0025】
弁アセンブリ30は、筺体アセンブリ28に取り付け可能であり、筺体アセンブリ28によって支持可能である。概して、弁アセンブリ30は、貯留部38から開口出口孔46−1を選択的に閉塞および閉塞解除するために使用される。出口孔46−1が閉塞解除されるとき(つまり、開けられるとき)、せん断流体は、貯留部38から作動室40へと流体送路48に沿って流れることが許容される。弁アセンブリ30は、例えばバネ付勢力を用いて、デフォルトでは開位置へと付勢させることができる。後でさらに説明するように、電磁コイルアセンブリ32に電力供給することで、出口孔46−1を少なくとも一部閉塞するよう弁アセンブリ30を作動できる。弁アセンブリ30の適切な構成のさらなる説明は、図4の説明に関連して後に述べる。
【0026】
電磁コイルアセンブリ32は、図1に示すように、弁アセンブリ30の作動のために磁束を方向付けるために使用されるカップ(例えば、鋼カップ)に配置された高温断熱銅線の1つまたは複数の巻きコイルを備え得る。一実施形態では、図6に関連して後でさらに詳述するように、電磁コイルアセンブリ32は複数の巻線を備えることができる。コイルアセンブリ32は、ジャーナルブラケット22に対して回転可能に固定でき、筺体アセンブリ28および弁アセンブリ30に隣接して位置決めできる。図示した実施形態では、コイル22は、ジャーナルブラケット22のシャフト部22−1を取り囲み、そのシャフト部22−1によって支持されている。図示した実施形態では、コイルアセンブリ32は、筺体アセンブリ28およびプーリ24の略後側に位置決めされているが、電磁コイルアセンブリ32は、代替の実施形態では、他の位置に配置されてもよい。
【0027】
様々な代替の制御方式がクラッチ20を操作するために可能である。一実施形態では、電磁コイルアセンブリ32は、コイルアセンブリ32が選択的に電力供給されることで弁アセンブリ30が完全な開位置(デフォルト位置)または完全な閉位置のいずれかに留まろうとするように、大まかなオン/オフ方式で付勢可能である。他の実施形態では、コイルアセンブリ32は、電子エンジン制御装置(図示せず)からのパルス幅変調(PWM)信号を用いて電力供給可能である。PWM信号は、貯留部38から流れ出るせん断流体の平均量を動的に可変可能である。PWM信号のパルス幅(つまり、期間)と周波数とに応じて、弁アセンブリ30は、時間と共に貯留部38から出口孔46−1を通って作動室40へと通るよう許容されるせん断流体の量を可変に調節できる。つまり、PWM信号は、コイルアセンブリ32に弁アセンブリ30を開閉させ、弁アセンブリ30が開いている(つまり、出口孔46−1を閉塞解除している)時間の平均長さが、貯留部38から流れ出るせん断流体の平均量を決定する。PWM信号のパルス幅および/または周波数を大きくするほど、平均して、弁アセンブリ30を閉じる傾向にあり、減少させたせん断流体の平均量で作動室40への流出を許容する。このPWM制御方式は、ロータアセンブリ26が、単純で大まかな二元的オン/オフ方式ではなく、筺体アセンブリ28およびプーリ24の回転速度を0%から約100%まで回転させ、クラッチ20を異なる速度で選択的に運転させることができる。
【0028】
速度センサアセンブリ44は、ジャーナルブラケット22によって担持されたホール効果センサと近接して配置されたロータアセンブリ26の軸受ハブ26−2に担持されて軸受ハブ26−2と共に回転するターゲットホイールを含み得る。ホール効果センサは、弁アセンブリ30の制御を調節するために、および/または、他の目的のために用いられ得るクラッチ20の出力速度を測定するために、ターゲットホイールの回転を検出可能である。図示した実施形態では、センサアセンブリ44は、軸線方向において、ロータアセンブリ26の軸受ハブ26−2のパイロット部26−2C内に配置できる。さらなる実施形態では、他の種類のセンサが使用されてもよいこと、または、センサアセンブリが全体で省略されてもよいことは、留意されるべきである。
【0029】
図3は、クラッチ20と共に使用するのに適した交換可能なポンプ孔挿入部材60の断面図である。ポンプ孔挿入部材60は、作動室40から貯留部38へと流体戻し路50に沿ってせん断流体を吐出するのを容易にするために、ポンプアセンブリの一部として機能できる。図示した実施形態では、ポンプ孔挿入部材60は、軸部60−1と、頭部60−2と、係合構造60−3と、孔60−4とを備えている。軸部60−1は、螺刻され、軸部60−1が第1の戻し孔部26−1Bへと少なくとも一部が延びるように、第1の戻し孔部26−1Bの径方向外端の螺刻領域と螺合可能である。頭部60−2は軸部60−1と隣接し、係合構造60−3は、頭部60−2によって形成され、様々な実施形態において、頭部60−2内に、または、頭部60−2に沿って配置できる。係合構造60−3は、頭部60−2の略外面中央部分に配置され、例えば、平頭ネジ、もしくは、プラスの頭のネジ回しのための係合部、または、Allen式、Reynolds式、Torx(登録商標)式、もしくは他の工具ビットのための係合部であり得る。代替の実施形態では、係合構造60−3は、頭部60−2の外側面おいて平坦部を備えてもよい。さらなる実施形態では、係合構造60−3は、軸部60−1の内に、軸部60−1の表面に、または、軸部60−1に沿って配置できる。孔60−4は、軸部60−1および頭部60−2の両方を貫くなど、ポンプ孔挿入部材60の両端の間で延び得る。孔60−4は、略円筒形の通路、または、内部を通る流体の流れを許容する他の適切な構成を有し得る。孔60−4は、第1の戻し孔部26−1Bの第1部分と流体戻し路50とを流体連通していてもよい。この方法で、せん断流体は、作動室40から孔60−4と第1の戻し孔部26−1Bとを通って、流体戻し路50に沿って、径方向内向きに直に流れることができる(または、吐出され得る)。
【0030】
ポンプ孔挿入部材60は、孔60−4を含むように形成されたボルト等に構成され得る。実際、適切な構成の従来のボルトに孔60−4をあけるよう機械加工(例えば、穿孔)することによって、ポンプ孔挿入部材60を製作することが可能である。代替の実施形態では、ポンプ孔挿入部材60は異なる構成を有してもよい。例えば、頭部60−2は、軸部60−1に取り付けられる、類似したシール片、ブロックなどといった、別体の要素であってもよい。図3に示すように、ポンプ孔挿入部材60は寸法(例えば、直径)D1を有しており、孔60−4は寸法(例えば、直径)D2を有している。
【0031】
ポンプ孔挿入部材60は、直近の周辺構造62に対して配置できる。一実施形態では、ポンプ孔挿入部材60は、周辺構造62が円板26−1の外周面であり、円板26−1の外周部において係合されている(図2参照)。皿頭部62−1は、作動室40に対してポンプ孔挿入部材60の孔を埋めるために、周辺構造62中に、または、周辺構造62に沿って設けてもよく、これは、必要に応じて、ポンプ孔挿入部材60が作動室40へと突出することの防止を支援できる。
【0032】
図1および図2で明示するように、アクセス開口64が、基部28−1など、筺体アセンブリ28に設けることができ、これは、カバー28−2が設置されている一方で、交換可能なポンプ孔挿入部材60へのアクセスを可能にしている。アクセス開口64は、適切な工具が筺体アセンブリ28を通り、要求に応じて交換可能なポンプ孔挿入部材60を係合、取り外し、および交換するだけの十分な空間を確保するのを支援するために、交換可能なポンプ孔挿入部60−2の寸法D1より大きい寸法D3を有し得る。ネジ付きボルトまたは他の適切な要素などの栓66が、筺体アセンブリ28を閉じて封止し、せん断流体の漏れを防止するのを支援するために、アクセス開口64に取り外し可能に係合され得る。
【0033】
孔60−4の寸法D2は、具体的な用途に応じて選択できる。D2をより大きい寸法とすれば、より大きいポンプ流量を許容でき、D2をより小さい寸法とすれば、より小さいポンプ流量を許容できる。このように、孔60−4はポンプ調量機能を提供する。孔60−4の寸法D2は、交換可能なポンプ孔挿入部材60を、異なる構成を有する異なる挿入部材60と交換することで、大きさの変更が可能である。
【0034】
通常の当業者は、交換可能なポンプ孔挿入部材60がポンプ孔60−4の寸法D2を容易に変更することができることを認めるものである。寸法D2などのパラメータを調節することで、クラッチ20の運転特性(例えば、流体戻し路50への吐出のためのせん断流体加圧)への変更は、クラッチ20全体の大幅な再設計または分解を必要とすることなく、様々な出力装置(例えば、ファン)に応じて運転するために調整できる。クラッチ20を調節する方法のさらなる説明は後述する。交換可能なポンプ孔挿入部材60が、クラッチ20と異なるように構成されたものを含め、ほとんどいずれの種類の粘性クラッチでも利用できることも、理解し得る。例えば、交換可能なポンプ孔挿入部材60は、クラッチ20におけるようなロータアセンブリを通るのではなく、筺体アセンブリを通る流体戻し路を提供するクラッチでも利用できる。図1図3に示した構成は、単に例として提供されており、限定されるものではない。
【0035】
図4は、図1の線4−4に沿って切り取られた、クラッチ20の別の部分の断面図であり、図5は、クラッチ20に関するワイパ63の実施形態の斜視図である。ワイパ63は、クラッチ20の作動室40内に、作動室40上に、または、その作動室40に沿って配置でき、作動室40から流体戻し路50を通じて作動流体を吐出するのを支援するための堰として作用可能である。ワイパ63は、作動室40に沿ってワイパ63の径方向または軸線方向において反対に位置決めされた1つまたは複数の追加のポンプ、堰、またはバッフル要素などの他のポンプ構造(図示せず)とを組み合わせて使用できる。図示した実施形態では、ワイパ63は、適切な留め具を用いるなどして、ロータアセンブリ26の円板26−1に取り付けられている。さらに、図4に示すように、ワイパ63は、ロータアセンブリ26の円板26−1の外周において、ポンプ孔挿入部材60と第1の戻し孔部26−1Bとに隣接して、周辺構造62に取り付けられている。代替の実施形態では、ワイパ63は、筺体アセンブリ28の内径部に取り付けられることもあり得る。ワイパ63は、直近の周辺構造62に対して作動室40へと突出でき、これが、流体戻し路50に沿ってせん断流体を吐出するために、作動流体の加圧を容易にする。ワイパ60の作動室40への突出する量は、流体戻し路50を通るせん断流体の吐出度合いに影響を与えることができ、長さLを長くすれば、ポンプ流量を増加するための大きなポンプ圧力をもたらし、また、クラッチ20の解除速度にも影響を与える。
【0036】
図5に明示するように、ワイパ63は、略矩形の外形を有してもよく、搭載位置(例えば、円板26−1の周辺構造62)に対応するように湾曲されてもよい。ワイパ63は、中心角度(軸線Aから測定される)に対して規定され得る円弧長さLを定めることができる。一実施形態では、円弧長さLは、おおよそ15°の中心角度によって定められ得る。ワイパの厚さは、作動室40への所望の突出量を提供するように選択できる。ワイパ63の円弧長さLおよび/または厚さは、ワイパ63の適切な構成を選択することによって、大きくまたは小さくできる。ワイパ63は別体の要素であり得るため、ワイパ63は、円板26−1のための新たな鋳造など、クラッチ20の主要な再設計を必要とすることなく、容易な変更として適用できる。ワイパ63が、クラッチ20と異なる構成なものを含め、ほとんどいずれの種類の粘性クラッチにも利用できることも、理解されるべきである。例えば、ワイパ63は、クラッチ20におけるようなロータアセンブリを通るものではなく、筺体アセンブリを通る流体戻し路を有するクラッチでも利用できる。図4および図5に示した構成は、単に例として提供されており、限定されるものではない。
【0037】
図6は、クラッチ20と共に使用するのに適した弁アセンブリの実施形態の断面図である。図示した実施形態の弁アセンブリ30は、移動接極子70(translating armature)と、領域接極子(field armature)(領域ロータとも呼ばれる)72と、付勢バネ74と、隔膜76と、ロッド78と、制御部材80と、蛇腹82と、弁要素84とを備えている。弁アセンブリ30の断面図は、図1および図2の断面と異なる角度切り取られた断面であることは留意されるべきであり、これは、構造体のすべての構造または部分が各々の図で視認可能であるとは限らないことを意味している。
【0038】
一実施形態では、領域接極子72は、電磁コイルアセンブリ32の近くの場所に固定でき(つまり、移動しない)、移動接極子70は、領域接極子72の内部に、少なくとも一部が配置され得る。付勢バネ74は、移動接極子70を、領域接極子72に抗して後方など、領域接極子72に対してデフォルト位置へと付勢できる。ロッド78は、移動接極子70と係合可能であるか、または、移動接極子70に固定可能であり、また、隔膜76が開口28−1Bにおいて流体を封止しつつ、ロッド78は筺体アセンブリ28の基部28−1の開口28−1Bを貫通可能である。制御部材80は、ボルトとして構成されてもよく、また、移動接極子70の略反対側でロッド78に係合され得る。制御部材80は、貯留部カバー46の開口46−3を通ることができ、蛇腹82は、開口46−3において流体を封止することができる。弁要素84は、ロッド78の略反対において制御部材80に取り付けでき、選択的に出口孔46−1(図1および図2を参照)を覆うための座面(図4で見ることはできない)を提供できる。
【0039】
コイルアセンブリ32に電力供給することで磁束が生成され、当該磁束は領域接極子72を通過して、移動接極子70を移動させることで、ロッド78、制御部材80、および弁要素84を移動させることができる。つまり、コイル32に電力供給することで、概して付勢バネ74のバネ力に抗して作用する磁力を作り出す。したがって、コイルアセンブリ32への選択的な電力供給により、多くの粘性クラッチの弁などの角度方向における揺動/旋回ではなく、移動接極子70を、弁要素84などに接続された構造体と共に、軸線方向における直線的な方式で前後に移動させることができる。直線的に移動する動作は、クラッチ20に2つ以上の弁アセンブリ(図4では1つだけが視認可能である)を同時に開閉させることできる。
【0040】
代替の実施形態では、弁アセンブリ30は、「流体摩擦連結器(Fluid Friction Coupling)」という名称の米国特許第6,419,064号明細書に記載されたものと同様な構成とすることも可能である。ほとんどあらゆる公知の種類の電磁弁アセンブリが代替の実施形態で利用できることは理解されるべきである。
【0041】
図7は、移動接極子70と、領域接極子72と、付勢バネ74と、複数の弁サブアセンブリ30−1から30−nとを備える弁アセンブリ30の実施形態の概略的なブロック図である。移動接極子70、領域接極子72、および付勢バネ74は、図6に関連して先に説明した方式など、任意の所望の方式で構成できる。一実施形態では、弁サブアセンブリ30−1から30−nの各々は、ロッド78と、制御ボルト80と、弁要素84(例えば、図4に関連して先に説明したようなもの)とを備えることができ、弁サブアセンブリ30−1から30−nの各々は、共通(例えば、協働)の作動のために、(例えば、回転軸線Aの周りの異なる角度位置において)移動接極子70と係合可能か、または、移動接極子70に取り付けできる。比較的大きいクラッチ(例えば、おおよそ2000Nm以上のトルクを提供する)については、オイルの流れが、典型的な単一の弁の許容量を超えて必要とされるため、本発明者らは、2つ以上の弁サブアセンブリ30−1から30−nの使用がオイルの流れの問題を解決することになることを見出した。移動接極子70によって移動される各々の弁要素84は、異なる出口孔46−1を開閉可能である。
【0042】
図8は、クラッチ20および弁アセンブリ30と共に使用するのに適した電磁コイルアセンブリ32の実施形態の概略ブロック図である。図示した実施形態では、電磁コイルアセンブリ32は、各々が端子32−3を備える2つの巻線32−1、32−2を備えている。複数の巻線32−1、32−2は、各巻線32−1、32−2に対応する端子32−3が接続される運転電源(図示せず)に応じて、クラッチ20を異なる電圧レベル(例えば、12Vまたは24V)で使用することを可能とする。例えば、各巻線32−1、32−2は、24Vで使用する場合は直列で、または、12Vの用途で使用する場合は並列で配線することができる。通常の当業者は、さらなる実施形態として任意で所望の数の巻線を設けてもよく、1つだけの巻線または2つ以上の巻線がさらなる実施形態で設けられてもよいことを認めるものである。
【0043】
図9は、クラッチ20の組み立て及び使用方法の一実施形態を示すフローチャートである。当該方法は、まずクラッチを製作して組み立てることから始まり得る(ステップ100)。クラッチ20の最初の操作は、ポンプアセンブリ用の交換可能なポンプ孔挿入部材60の初期構成を設定することを含み得る。初期構成は、孔60−4の寸法D2および/またはワイパ63の長さLおよび/または他の構成パラメータのための第1の設定を含み得る。完全に組み立てられたクラッチ20は、次に、任意に作動され得る。つまり、クラッチ20は、入力から出力へとトルクを選択的に伝達するために使用され得る(ステップ102)。クラッチをステップ102で作動することと併せて、せん断流体は、ロータアセンブリ26の円板26−1を径方向に貫いて通る流体戻し路50に沿って吐出可能である(ステップ104)。交換可能なポンプ孔挿入部材60は、作動室40から貯留部38へと流体戻し路50に沿ってせん断流体を吐出するのを支援するために使用できる。第1の設定は、ステップ104において、せん断流体を作動室40から第1の流量で吐出することができる。次に、クラッチ20の構成は調節可能である(ステップ106)。当該調節は、孔60−4の寸法D2および/またはワイパ63の長さLおよび/または他の構成パラメータについての第2の設定を行うようになど、交換可能なポンプ孔挿入部材60の交換を含み得る。所望の調節または構成部品の交換を達成するために、例えば交換可能なポンプ孔挿入部材60の係合構造60−3と係合するように、筺体アセンブリ28のアクセス開口64を通じて工具を挿入できる。当該調節および/または交換は、定期的な保守の一部として、再製造作業として、異なる用途のための(例えば、クラッチ20を異なる出力ファンに使用するため、クラッチ20を異なる車両で使用するためなど)再適用の一部として、または、任意の他の所望の理由のため、提供され得る。クラッチ20は、続いて作動され得る。つまり、クラッチ20は、入力から出力へとトルクを選択的に伝達するために再び使用され得る(ステップ108)。クラッチをステップ108で作動することと併せて、せん断流体は、ロータアセンブリ26の円板26−1を径方向に貫いて通る流体戻し路50に沿って再び吐出可能である(ステップ110)。第2の設定は、ステップ110において、せん断流体を作動室40から第2の流量で吐出することができ、第2の流量は第1の流量と異なってもよい。これは、例えば、貯留部38へと戻されるせん断流体の量も異なることとなるため、孔60−4の直径を変更させることも可能である。
【0044】
通常の当業者は、図に関して説明した様々なステップが代替の実施形態において省略されてもよいこと、および、具体的に言及されていない様々な追加のステップが列挙されたステップと併せて実施されてもよいことは、理解するものである。例えば、図に示す方法は、クラッチが調節の前に作動されることを示しているが、最初の製造工程の完了の前に優れた品質管理を提供するために、工場においてまたは試験研究所において調節を行うことなどにより、現場で実際に使用されることなくクラッチを調節することは可能である。
【0045】
可能実施形態の詳述
以下は、本発明の可能実施形態の非排他的な説明である。
【0046】
粘性クラッチは、筺体アセンブリと、ロータアセンブリと、せん断流体の供給を保持する貯留部と、筺体アセンブリとロータアセンブリとの間で動作可能に配置された作動室であって、作動室へのせん断流体の選択的な導入が筺体アセンブリとロータアセンブリとの間の選択的なトルク伝達を促す作動室と、ロータアセンブリの少なくとも外周部分を通り作動室へと径方向に延びる流体戻し孔であって、作動室から貯留部への流体戻し路の少なくとも一部を形成する流体戻し孔とを備え得る。
【0047】
前の段落の粘性クラッチは、追加および/または代替で、以下の特徴、構成、および/または追加部品のうちのいずれか1つまたは複数を任意で含み得る。
【0048】
前記貯留部と前記作動室との間で前記せん断流体の流れを制御する第1の弁要素を制御可能に移動させるように構成された電磁弁アセンブリ、
前記貯留部と前記作動室との間で前記せん断流体の流れをさらに制御するために、前記第1の弁要素と同時に作動されるように構成された第2の弁要素、
前記筺体アセンブリに隣接して配置される電磁コイルアセンブリであって、異なる電圧での操作を行うべく直列または並列で電気接続可能な端子を各々備える第1の巻線および第2の巻線を備える電磁コイルアセンブリ、
前記ロータアセンブリは、前記流体戻し孔が少なくとも内部の一部を通って径方向に延びる円板と、前記円板と共に回転するよう前記円板に接続された軸受ハブであって、出力部材のための搭載位置を提供するために前記筺体アセンブリを越えて延びる軸受ハブを備え得ること、
筺体アセンブリと共に回転するよう前記筺体アセンブリに接続されたプーリ、
シャフト部を有する回転可能に設けられたジャーナルブラケット、前記筺体アセンブリを前記ジャーナルブラケットの前記シャフト部において回転可能に支持するための第1の円錐ころ軸受セット、および、前記ロータアセンブリを前記ジャーナルブラケットの前記シャフト部において回転可能に支持するための第2の円錐ころ軸受セット、
前記筺体アセンブリは複数の冷却フィンを備えてもよく、前記冷却フィンは、前記粘性クラッチへの回転入力があるときに常に回転するように構成されてもよいこと、
前記流体戻し孔内の少なくとも一部に配置される交換可能なポンプ孔挿入部材であって、前記流体戻し孔と流体連通している孔を備える交換可能なポンプ孔挿入部材、
前記筺体アセンブリにある、前記交換可能なポンプ孔挿入部へのアクセスを許容するように構成されたアクセス開口、
交換可能なポンプ孔挿入部材は、ロータアセンブリの外周部において係合され得ること、
前記ロータアセンブリの外周部にある、前記作動室へ少なくとも部分的に突出するワイパ、
ワイパは、前記ロータアセンブリの円板に取り外し可能に取り付けられ得ること、および/または、
前記貯留部の境界の一部を定める貯留部カバー、および、前記ロータアセンブリの流体戻し孔から前記貯留部へと前記流体戻し路に沿って前記せん断流体を送るために、前記貯留部カバーを横断する流れ案内部。
【0049】
選択的なトルク伝達のための方法は、回転入力を筺体アセンブリへと送るステップと、せん断流体を作動室へと選択的に送るステップと、作動室に選択的に送られる前記せん断流体の量に相関するトルクをロータアセンブリへと伝達するステップと、作動室から貯留部へと、前記ロータアセンブリの円板を通る実質的に径方向の孔に沿って、前記せん断流体を戻すステップとを含み得る。
【0050】
前の段落の方法は、追加および/または代替で、以下のステップ、特徴、および/または構成のうちのいずれか1つまたは複数を任意で含み得る。
【0051】
前記せん断流体を前記作動室から前記貯留部へと戻すとき、第1の流量での吐出を行うために、第1の交換可能なポンプ孔挿入部材を提供するステップ、
第1の大きさの孔を備える前記第1の交換可能なポンプ孔挿入部材を、前記第1の大きさと異なる第2の大きさの孔を備える第2の交換可能なポンプ孔挿入部材に置き換えるステップ、および/または、
ワイパが前記作動室へと突出するように、実質的に径方向の前記孔に隣接する前記円板の外周部に前記ワイパを固定するステップ。
【0052】
粘性クラッチは、筺体アセンブリと、ロータアセンブリと、せん断流体の供給を保持する貯留部と、筺体アセンブリとロータアセンブリとの間で動作可能に配置される作動室であって、作動室へのせん断流体の選択的な導入が筺体アセンブリとロータアセンブリとの間の選択的なトルク伝達を促す作動室と、作動室から貯留部へと延びる流体戻し路と流体連通している孔を備えるポンプ孔挿入部材とを備え得る。
【0053】
前の段落の粘性クラッチは、追加および/または代替で、以下の特徴、構成、および/または追加部品のうちのいずれか1つまたは複数を任意で含み得る。
【0054】
ポンプ孔挿入部は、前記ロータアセンブリと取り外し可能に係合され得ること、
前記ポンプ孔挿入部材が、螺刻された軸部と、前記軸部に隣接する頭部と、前記軸部および前記頭部のうちの少なくとも一方においてまたはその一方に沿って配置された係合構造とを備えてもよく、前記孔は前記軸部および前記頭部を通って延び得ること、
前記ポンプ孔挿入部材に隣接する前記ロータアセンブリの外周部において係合されており、前記ロータアセンブリの周面から径方向外側に延びるワイパ、
ワイパは、略矩形の外形をなしてもよく、湾曲され得ること、
前記ロータアセンブリの少なくとも一部を通って前記作動室へと径方向に延びる流体戻し孔であって、前記作動室から前記貯留部への前記流体戻し路の少なくとも一部を形成する流体戻し孔、
前記貯留部の境界の一部を定める貯留部カバー、および、前記ロータアセンブリの流体戻し孔から前記貯留部へと前記流体戻し路に沿って前記せん断流体を送るために、前記貯留部カバーを横断する流れ案内部、
前記貯留部と前記作動室との間で前記せん断流体の流れを制御する第1の弁サブアセンブリを制御可能に移動させるように構成された電磁弁アセンブリ、
前記貯留部と前記作動室との間で前記せん断流体の流れをさらに制御するために、前記第1の弁サブアセンブリと同時に作動されるように構成された第2の弁サブアセンブリ、
前記筺体アセンブリに隣接して配置される電磁コイルアセンブリであって、別々の端子を備える第1の巻線および第2の巻線を備える電磁コイルアセンブリ、
前記ロータアセンブリは円板を備えてもよく、前記流体戻し孔は前記円板の少なくとも一部を通って径方向に延び、前記ポンプ孔挿入部材は前記流体戻し孔内にて少なくとも一部が配置されること、
前記ロータアセンブリは、前記円板と共に回転するよう前記円板に接続された軸受ハブであって、出力部材のための搭載位置を提供するために前記筺体アセンブリを越えて延びる軸受ハブを備え得ること、
筺体アセンブリと共に回転するよう前記筺体アセンブリに接続されたプーリ、
シャフト部を有する回転可能に設けられたジャーナルブラケット、前記筺体アセンブリを前記ジャーナルブラケットの前記シャフト部において回転可能に支持するための第1の円錐ころ軸受セット、および、前記ロータアセンブリを前記ジャーナルブラケットの前記シャフト部において回転可能に支持するための第2の円錐ころ軸受セット、
前記筺体アセンブリにある、ポンプ孔挿入部材へのアクセスを許容するように構成されたアクセス開口、
筺体アセンブリは、軸受に支持された基部と、基部に取り付けられたカバーとを備えてもよく、アクセス開口が基部の一部を貫いて延びること、
ポンプ孔挿入部材は、前記カバーが前記基部に取り付けられる一方で、前記アクセス開口を通じて取り外し可能であり得ること、および/または、
アクセス開口と取り外し可能に係合される栓を含み得る。
【0055】
さらに、前述の粘性クラッチと共に使用するためのキットは、異なる大きさの孔を備えるなど、異なる構成の交換用ポンプ孔挿入部材を備え得る。
【0056】
粘性クラッチを使用するための方法は、前記粘性クラッチの作動室に沿って、流体戻し孔にて、第1のポンプ孔挿入部材を係合するステップと、前記第1のポンプ孔挿入部材を異なる構成の第2のポンプ孔挿入部と交換するステップとを含み得る。
【0057】
前の段落の方法は、追加および/または代替で、以下のステップ、特徴、および/または構成のうちのいずれか1つまたは複数を任意で含み得る。
【0058】
前記第1のポンプ孔挿入部材および前記第2のポンプ孔挿入部材の各々は、それぞれ、流体戻し路に沿う流体戻し孔の径方向に延び少なくとも一部に設けられていること、
粘性クラッチの筺体アセンブリのアクセス開口を通じて工具を挿入するステップ、および、前記工具を前記第1のポンプ孔挿入部材と係合するステップ、
前記第1のポンプ孔挿入部材を前記粘性クラッチから取り外すステップと、
前記第2のポンプ孔挿入部材の交換は、前記粘性クラッチに対し、前記取り外された第1のポンプ孔挿入部材と異なるポンプ特性を提供し得ること、および/または、
前記作動室へと径方向に突出するように取り外し可能なワイパを、前記ポンプ孔挿入部材に隣接して位置決めするステップ。
【0059】
粘性クラッチと共に使用するための方法は、粘性クラッチの作動室に沿って、少なくとも一部を流体戻し孔内において、第1のポンプ孔挿入部材を配置するステップと、第1のポンプ孔挿入部材を粘性クラッチから取り外すステップと、第1のポンプ孔挿入部材に代わって、粘性クラッチの作動室に沿って、少なくとも一部を流体戻し孔内において、第2のポンプ孔挿入部材を配置するステップとを含み得る。
【0060】
前の段落の方法は、追加および/または代替で、以下のステップ、特徴、および/または構成のうちのいずれか1つまたは複数を任意で含み得る。
【0061】
前記作動室へと突出するように取り外し可能なワイパを、前記ポンプ孔挿入部材に隣接して配置するステップ、および、前記取り外し可能なワイパを前記粘性クラッチから取り外すステップ、
前記第2のポンプ孔挿入部材が前記第1のポンプ孔挿入部材と異なる大きさの孔を備え得ること、および/または、
せん断流体の流れを前記第1のポンプ孔挿入部または前記第2のポンプ孔挿入部で調量するステップ。
【0062】
粘性クラッチのための方法は、第1の直径を有する孔を通じてせん断流体を汲み上げるステップと、第1の直径と異なる第2の直径を有するように孔を再構成するステップとを含み得る。
【0063】
総論
「実質的に」、「本質的に」、「概して(略)」など、本明細書で用いられるいずれの相対的または度合いを表す用語は、本明細書で明確に述べられている任意の適用可能な定義または限度に従うと共に支配されて解釈されるべきであり、すべての例において、用いられる任意の相対的な用語または度合いの用語は、通常の製造許容誤差のばらつき、偶発的な配置の変化、運転条件によって引き起こされる一時的な配置または形の変化などを包含するなど、本開示の全体を考慮して通常の当業者によって理解されるような範囲または変形などと共に、いずれの関連する開示された実施形態も幅広く包含するように解釈されるべきである。
【0064】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、変化が本発明の思想および範囲から逸脱することなく形の上で詳細に行われ得ることを認めるものである。例えば、先に開示された交換可能なポンプ孔挿入部60およびワイパ63の各々は、ほとんどいずれの種類の粘性クラッチで使用することができる。さらに、先に開示された流体路48、50は、任意の種類の所望のポンプアセンブリを備えるクラッチで利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9