(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の導電性粒子は、上述したとおり、芯材粒子と、該芯材粒子の表面に接する下地皮膜及び該下地皮膜の表面に接する上層皮膜を有する導電性被膜とを備えている。上層皮膜は結晶構造を有し、ニッケル、リン及び1種類以上の金属M(ただしニッケルを除く。)を含有する。また上層皮膜は複数の突起部を有している。本発明においては、このような構成を有する上層皮膜と、ニッケル及びリンを含む下地皮膜とを組み合わせることによって、粒子の導電性、特に高温高湿という過酷な環境下での導電性を高めている。
【0012】
上述のとおり、下地皮膜にはリンが含まれている。下地皮膜におけるリンの含有量は、本発明の導電性粒子の具体的な用途に応じ適切に設定することができる。例えば下地皮膜のリン含有量を1質量%以上10質量%未満に設定することで、導電性粒子の導電性が大きく向上する。導電性をより一層向上させる観点から、下地皮膜のリン含有量は、8質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、とりわけ6質量%以下であることが好ましい。尤も、下地皮膜のリン含有量が5質量%以上と比較的高い場合であっても、上述した構成の上層皮膜が存在することによって、導電性を満足すべき程度に高く保つことができる。そして、上層皮膜の存在下においては、下地皮膜のリン含有量を10質量%未満と低くしても、磁性凝集を効果的に抑制することができ、導電性粒子の良好な分散性を維持することができる。このような分散性維持の効果が奏される理由は明らかではないが、1つの理由として上層皮膜中の金属Mが、ニッケルの磁性に起因する凝集を防止するのではないかと考えられる。
【0013】
下地皮膜におけるリンの含有量は10質量%以上に設定することもできる。例えば10〜18質量%とすることが好ましく、10〜15質量%とすることが更に好ましい。下地皮膜におけるリンの含有量を高めに設定することは、本発明の導電性粒子が磁気凝集を起こしづらくなる観点から有利である。その半面、下地皮膜におけるリンの含有量を高めに設定することは、下地皮膜の導電性の向上の点からはマイナスに作用することがある。しかし本発明においては、下地皮膜の表面に、上述した構造の上層皮膜を形成することで、導電性粒子全体としての導電性を確保している。
【0014】
リンの含有量が上述したいずれの範囲であっても、下地皮膜はニッケル−リン合金から構成されている。ニッケル−リン合金は、後述する導電性粒子の製造工程における下地皮膜の形成時に、ニッケルの還元剤として次亜リン酸又はその塩等のリン化合物を用いた場合に生じる合金である。下地皮膜はニッケル及びリンのみを含んでおり、その他の元素を実質的に含んでいないことが好ましい。その他の元素を実質的に含んでいないとは、下地皮膜を元素分析したとき、ニッケル及びリン以外の元素の割合が1質量%以下であることをいう。なお、下地皮膜におけるニッケルの含有量は、下地皮膜の全量から上述したリンの含有量を差し引いた残部である。
【0015】
下地皮膜におけるニッケル含有量及びリン含有量は、後述するとおり、下地皮膜までが形成された芯材粒子を酸に溶解し、得られた溶液中の下地皮膜成分についてICP又は化学分析をすることにより測定することができる。
【0016】
下地皮膜は結晶構造を有しているか又は非結晶構造を有している。ここでいう結晶構造とは、ニッケル−リン合金の結晶構造のことである。また、非結晶構造を有しているとは、下地皮膜が何らの結晶構造も有していないことを意味する。下地皮膜が結晶構造を有していると、導電性粒子の導電性が向上する。一方、下地皮膜が非結晶構造を有していると、導電性粒子の磁気凝集が抑制されて分散性が向上する。
【0017】
下地皮膜が結晶構造を有しているか、それとも非結晶構造を有しているかは、例えば下地皮膜までが形成された芯材粒子についてXRD測定を行うことで判断できる。下地皮膜を結晶構造とするか、それとも非結晶構造とするかは、例えば、後述する導電性粒子の製造方法において、下地皮膜を無電解めっきで形成するときのめっき浴の組成に依存する。具体的には、無電解めっき時に用いられる還元剤であるリン化合物のめっき浴中での濃度が低いほど結晶構造を有する下地皮膜が形成されやすい。逆に、めっき浴中でのリン化合物の濃度が高いほど非結晶構造を有する下地皮膜が形成されやすい。例えば、下地皮膜に含まれるリンの量が10質量%未満になるような濃度のリン化合物を含むめっき浴を用いると、結晶構造を有する下地皮膜が形成されやすい。逆に、下地皮膜に含まれるリンの量が10質量%以上になるような濃度のリン化合物を含むめっき浴を用いると、非結晶構造を有する下地皮膜が形成されやすい。
【0018】
下地皮膜は、芯材粒子の表面に略均一な厚みで形成することができる。これに代えて、複数の突起部を形成して下地皮膜を凹凸形状に形成することもできる。後者の場合、下地皮膜は、平坦部と、該平坦部から突出し、かつ該平坦部からの連続体になっている複数の突起部とを有し、該平坦部と該突起部とが同一の材料、すなわちニッケル−リン合金から構成されていることが好ましい。「連続体」とは、下地皮膜の突起部と平坦部とが単一の工程によって形成され、かつ下地皮膜の平坦部と突起部との間に、継ぎ目等の一体感を損なうような部位が存在しないことを意味する。下地皮膜を凹凸形状に形成されていると、その凹凸形状が導電性粒子の表面に反映される。したがって、本発明の導電性粒子を用いて電極の導通をとる場合、電極表面に形成されている酸化皮膜を突起部が突き破ることができ、接続抵抗の低減を図ることができる。しかも突起部が下地皮膜の平坦部と同一材料から構成されて下地皮膜の平坦部と連続体になっていることで、導電性粒子の突起の強度が確保されるので、導電性粒子に圧力が加わっても突起部が破損しづらい。
【0019】
導電性粒子において、下地皮膜が略均一な厚さを有すること、又は下地皮膜が平坦部及び突起部を有することは、導電性粒子の断面を顕微鏡観察することによって確認できる。
【0020】
下地皮膜の表面に直接接する上層皮膜は、先に述べたとおり、ニッケル、リン及び1種以上の金属M(ただしニッケルを除く。)を含有する。金属Mは遷移金属であること好ましく、ニッケルよりもモース硬度が高いものであることが更に好ましい。特にモース硬度が4以上の金属Mを用いると、導電性が一層高まるという有利な効果が奏されるので好ましい。この理由としては、上層皮膜が硬くなるので、導電性粒子を含む異方性導電フィルムを用いて電極間の電気的導通をとる場合に、導電性粒子と電極との界面に存在する樹脂を排除しやすくなること、及び導電性粒子が電極表面に存在する酸化膜を突き破りやすくなることが挙げられる。
【0021】
金属Mの好ましい例としては、周期表の第6族、第8族、第9族及び第10族の遷移金属元素が挙げられる。特に好ましくは、パラジウム、コバルト、ロジウム、鉄、白金、イリジウム、タングステン、モリブデン及びクロムなどが挙げられる。中でもモース硬度が4〜10である金属、例えばタングステン、モリブデン、パラジウム及び白金から選ばれる1種類以上を用いると、導電性をより一層高められるので好ましい。とりわけ、タングステン及びモリブデンから選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。また1種類だけではなく2種類以上を同時に用いる方が、導電性の面で一層好ましい。
【0022】
上層皮膜における金属Mの含有量は、導電性粒子の導電性を更に良好にする観点から、好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは2〜15質量%、一層好ましくは3〜13質量である。この含有量は、上層皮膜が金属Mを2種類以上含有する場合、2種類以上の金属Mの合計の含有量である。また、上層皮膜におけるリンの含有量は、導電性粒子の導電性を更に良好にする観点から、好ましくは1〜7質量%、更に好ましくは1〜5質量%、一層好ましくは1〜3質量%である。ニッケル含有量は、導電性粒子の導電性を更に向上させる観点から、75質量%以上、特に80質量%以上であることが好ましい。上層皮膜におけるリン含有量及び金属Mの含有量は、後述する方法で測定できる。上層皮膜におけるニッケル含有量も、リン含有量及び金属Mの含有量と同様の方法で測定できる。
【0023】
上層皮膜は結晶構造を有している。これによって、導電性粒子の導電性が向上する。特に上層皮膜が結晶構造を有していることに加えて、先に述べた下地皮膜も結晶構造を有していると、導電性粒子はその導電性が一層向上したものとなるので好ましい。上層皮膜の結晶構造は、金属ニッケル、ニッケル−リン合金又はニッケル−リン−金属M合金のどれかであり得る。上層皮膜が結晶構造を有しているか否かは、皮膜をFIB等で薄片化後、粒子表面から数nm程度の深さの皮膜をX線回折等で測定し、ニッケル等の回折ピークが観察されるか否かで判断される。更に、上層皮膜が金属Mを含有しているか否かは、導電性粒子を希硝酸などで溶解し、溶出液を経時的に複数採取して、各時点の溶出液に含まれる元素を分析することで確かめることができる。
【0024】
上層皮膜が結晶構造を有するためには、例えば、後述する導電性粒子の製造方法において、上層皮膜を無電解めっきで形成するときのめっき浴の組成を適切に調整すればよい。具体的には、無電解めっき時に用いられる還元剤としてリン化合物を用いる場合には、めっき浴中での該リン化合物の濃度が低いほど結晶構造を有する上層皮膜が形成されやすい。例えば、上層皮膜に含まれるリンの量が10質量%未満になるような濃度のリン化合物を含むめっき浴を用いると、結晶構造を有する上層皮膜が形成されやすい。
【0025】
上層皮膜はその表面が凹凸形状になっている。詳細には、上層皮膜は、平坦部と、該平坦部から突出し、かつ該平坦部からの連続体になっている複数の突起部とを有し、該平坦部と該突起部とが同一の材料から構成されていることが好ましい。各突起部は、上層皮膜を構成する材料からなる単一の連続体の形態をしていてもよく、あるいは上層皮膜を構成する材料からなる粒子が列状に複数個連結してなる粒子連結体から構成され、該粒子間に粒界が観察される形態であってもよい。上層皮膜の表面が凹凸形状になっていることで、その凹凸形状が導電性粒子の表面に反映される。したがって、本発明の導電性粒子を用いて電極の導通をとる場合、電極表面に形成されている酸化皮膜を突起部が突き破ることができ、接続抵抗の低減を図ることができる。しかも突起部が上層皮膜の平坦部と同一材料から構成されて上層皮膜の平坦部と連続体になっていることで、導電性粒子の突起の強度が確保されるので、導電性粒子に圧力が加わっても突起部が破損しづらい。特に、先に述べた下地皮膜の表面も凹凸形状を有していると、該凹凸形状と、上層皮膜の表面の凹形状とが重畳された凹凸形状が導電性粒子の表面に反映される。このことによって、酸化皮膜を一層容易に突き破ることができる。また、突起部の破損が一層起こりづらくなる。この場合、下地皮膜に形成されている突起部の位置と、上層皮膜に形成されている突起部の位置とは同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0026】
上層皮膜の突起部に関し、上述した「平坦部からの連続体になっている複数の突起部」における「連続体」の意味は、先に述べた下地皮膜に形成されている突起部の連続体と同義である。したがって、例えば下地皮膜の表面に平坦な上層皮膜を形成し、その上に突起形成用のコア粒子、例えば金属、金属酸化物、黒鉛等の非金属無機物、導電性ポリマー等を付着させ、該コア粒子を成長の起点として形成された突起部は、平坦部と突起部とが単一の工程によって形成されたものではないので、本発明にいう連続体に含まれない。尤も、かかるコア粒子を上層皮膜に付着させ、該コア粒子を成長の起点として形成された突起部を有する導電性粒子、つまり平坦部と突起部とが連続体になっていない導電性粒子も、本発明の範囲内であることに留意すべきである。
【0027】
導電性粒子において、上層皮膜が平坦部及び突起部を有することは、導電性粒子の断面を顕微鏡観察することによって確認できる。
【0028】
以上のとおり、本発明の導電性粒子においてはその表面に、少なくとも上層皮膜に形成された突起部の凹凸形状が反映された突起部が形成されている。この突起部は、その高さHが、平均して20nm以上、特に50nm以上であることが好ましい。突起の数は、導電性粒子の粒径にもよるが、1つの粒子当たり、1〜20000個、特に5〜5000個であることが、導電性粒子の導電性の一層の向上の点から好ましい。突起のアスペクト比は、好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上である。突起のアスペクト比が大きいと、上述した酸化皮膜を容易に突き破ることができるので有利である。また、導電性粒子を用いて異方性導電フィルムを形成した場合には、突起のアスペクト比が大きいと、樹脂排除性が高くなるので、導電性が高くなると考えられる。アスペクト比とは、突起の高さHと突起の基部の長さDとの比、すなわちH/Dで定義される値である。
【0029】
導電性粒子の表面に形成されている突起部のアスペクト比は上述のとおりであるところ、突起部の基部の長さD自体は5〜500nm、特に10〜400nmであることが好ましく、突起の高さHについては5〜500nm、特に10〜400nmであることが好ましい。
【0030】
上述のアスペクト比の測定方法は次のとおりである。電子顕微鏡によって導電性粒子を拡大観察する。1つの粒子について少なくとも1個の突起部について、その基部の長さD及び高さHを測定する。この場合、観察像において粒子の中央に存在する突起部よりも、むしろ粒子の周縁に存在する突起部を測定対象とすることが、寸法の正確な測定の点から重要である。このような測定を少なくとも20個の異なる粒子を対象として行う。このようにして得られた複数のアスペクト比のデータを算術平均し、その値をアスペクト比とする。なお、突起部の横断面は異方性が小さい形状(例えばほぼ円形)をしているので、粒子の観察角度によって突起の基部の長さDの値が変わってしまう懸念は小さい。
【0031】
導電性粒子の表面に形成されている突起部に関しては、高さHが50nm以上であるものが、1つの粒子当たり1〜10000個、特に2〜2000個、とりわけ2〜20個であることが、導電性粒子の導電性の更に一層の向上の点から好ましい。同様の観点から、高さHが50nm以上である突起のアスペクト比は0.3〜3.0特に0.5〜2.0、とりわけ0.5〜1.0であることが好ましい。
【0032】
導電性粒子は、更に、上層皮膜の表面に接する最外層皮膜を有していてもよい。この最外層皮膜は、貴金属からなることが好ましい。貴金属としては導電性の高い金属である金又はパラジウムを用いることが好ましく、とりわけ金を用いることが好ましい。この被覆によって、導電性粒子の導電性を一層高めることが可能になる。
【0033】
導電性皮膜が上述した構造を有する本発明の導電性粒子はその形状が球状であることが好ましい。ここでいう球状とは、前述した突起部を除いて粒子の外観を観察した場合に球状であることをいう。
【0034】
導電性粒子の大きさは、導電性材料の具体的な用途に応じて適切に設定することができる。具体的には、導電性粒子はその粒径が0.5〜1000μmであることが好ましく、更に好ましくは1〜500μmであり、一層好ましくは1〜100μmである。導電性粒子の粒径は、電子顕微鏡観察によって測定することができる。
【0035】
次に、本発明の導電性粒子の好適な製造方法を説明する。本製造方法は、(1)芯材粒子の表面に下地皮膜を形成する第1工程と、(2)第1工程で得られた粒子に、上層皮膜を形成する第2工程の2工程に大別される。
【0036】
第1工程においては、それに先立ち、芯材粒子の表面に貴金属を担持する前処理を行う。芯材粒子の種類に特に制限はなく、有機物及び無機物のいずれもが用いられる。下地皮膜を良好に形成するために、芯材粒子は水に分散可能なものであることが好ましい。したがって芯材粒子は、好ましくは水に実質的に不溶性のものであり、更に好ましくは酸やアルカリに対しても溶解又は変質しないものである。水に分散可能とは、攪拌等の通常の分散手段によって、下地皮膜が芯材粒子の表面に形成し得る程度に、水中に実質的に分散した懸濁体を形成し得ることをいう。
【0037】
芯材粒子の形状は目的とする導電性粒子の形状に大きく影響する。芯材粒子の表面を被覆する下地皮膜及び上層皮膜の厚さは薄いものなので、芯材粒子の形状がほとんどそのまま導電性粒子の形状に反映される。導電性粒子が球形であることが好ましいことは先に述べたとおりであるので、芯材粒子の形状も球形であることが好ましい。
【0038】
芯材粒子が球形である場合、芯材粒子の粒径は目的とする導電性粒子の粒径に大きく影響する。芯材粒子の表面を被覆する下地皮膜及び上層皮膜の厚さは薄いものなので、芯材粒子の粒径が導電性粒子の粒径にほぼ反映される。この観点から、芯材粒子の粒径は、目的とする導電性粒子の粒径と同程度とすることができる。具体的には0.5〜1000μm、特に1〜500μm、とりわけ1〜100μmであることが好ましい。芯材粒子の粒径は、導電性粒子の粒径と同様の方法で測定することができる。
【0039】
前述の方法によって測定された芯材粒子からなる粉体の粒度分布には幅がある。一般に、粉体の粒度分布の幅は、下記式(1)で示される変動係数により表される。
変動係数(%)=(標準偏差/平均粒径)×100 (1)
この変動係数が大きいことは分布に幅があることを示し、一方、変動係数が小さいことは粒度分布がシャープであることを示す。本発明では、芯材粒子として、この変動係数が30%以下、特に20%以下、とりわけ10%以下のものを使用することが好ましい。この理由は、本発明の導電性粒子を異方性導電フィルム中の導電粒子として用いた場合に、接続に有効な寄与割合が高くなるという利点があるからである。
【0040】
芯材粒子の具体例としては、無機物として、金属(合金も含む)、ガラス、セラミックス、シリカ、カーボン、金属又は非金属の酸化物(含水物も含む)、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素などが挙げられる。有機物としては、天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はジアリルフタレート樹脂などが挙げられる。これらは単独でも使用でき又は2種以上の混合物として使用してもよい。また、有機物と無機物との複合材料を用いることもできる。例としてはスチレンシリカ複合樹脂、アクリルシリカ複合樹脂などが挙げられる。
【0041】
また、芯材粒子のその他の物性は、特に制限されるものではないが、芯材粒子が樹脂粒子である場合は、下記の式(2)で定義されるKの値が、20℃において10kgf/mm
2〜10000kgf/mm
2の範囲であり、かつ10%圧縮変形後の回復率が20℃において1%〜100%の範囲であることが好ましい。これらの物性値を満足することで、電極どうしを圧着するときに電極を傷つけることなく、電極と十分に接触させることができるからである。
【0042】
K値(kgf/mm
2)=(3/√2)×F×S
−3/2×R
−1/2・・・(2)
式(2)で示されるF及びSは、微小圧縮試験機MCTM−500((株)島津製作所製)で測定したときの、それぞれ該微球体の10%圧縮変形における荷重値(kgf)及び圧縮変位(mm)であり、Rは該微球体の半径(mm)である。
【0043】
芯材粒子は、その表面が貴金属イオンの捕捉能を有するか、又は貴金属イオンの捕捉能を有するように表面改質されることが好ましい。貴金属イオンは、パラジウムや銀のイオンであることが好ましい。貴金属イオンの捕捉能を有するとは、貴金属イオンをキレート又は塩として捕捉し得ることをいう。例えば芯材粒子の表面に、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、水酸基、ニトリル基、カルボキシル基などが存在する場合には、該芯材粒子の表面は貴金属イオンの捕捉能を有する。貴金属イオンの捕捉能を有するように表面改質する場合には、例えば特開昭61−64882号公報記載の方法を用いることができる。
【0044】
このような芯材粒子を用い、その表面に貴金属を担持させる。具体的には、芯材粒子を塩化パラジウムや硝酸銀のような貴金属塩の希薄な酸性水溶液に分散させる。これによって貴金属イオンを粒子の表面に捕捉させる。貴金属塩の濃度は粒子の表面積1m
2当たり1×10
−7〜1×10
−2モルの範囲で十分である。貴金属イオンが捕捉された芯材粒子は系から分離され水洗される。引き続き、芯材粒子を水に懸濁させ、これに還元剤を加えて貴金属イオンの還元処理を行う。これによって芯材粒子の表面に貴金属を坦持させる。還元剤は、例えば次亜リン酸ナトリウム、水酸化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン等が用いられ、これらのうちから、目的とする下地皮膜の構成材料に基づいて選択されることが好ましい。
【0045】
貴金属イオンを芯材粒子の表面に捕捉させる前に、錫イオンを粒子の表面に吸着させる感受性化処理を施してもよい。錫イオンを粒子の表面に吸着させるには、例えば表面改質処理された芯材粒子を塩化第一錫の水溶液に投入し所定時間攪拌すればよい。
【0046】
このようにして前処理が施された芯材粒子について、第1工程の下地皮膜形成処理を行う。以下では、下地皮膜形成処理として、(a)突起部を有する下地皮膜を形成する処理(以下、a処理ともいう)、及び(b)表面が平滑な下地皮膜を形成する処理(以下、b処理ともいう)の2種類を説明する。
【0047】
a処理としては、以下のa1工程、及びa2工程を行う。
a1工程は、芯材粒子の水性スラリーと、分散剤、ニッケル塩、還元剤及び錯化剤などを含んだ無電解ニッケルめっき浴とを混合する無電解ニッケルめっき工程である。かかるa1工程では、芯材粒子上への下地皮膜の形成と同時にめっき浴の自己分解が起こる。この自己分解は、芯材粒子の近傍で生じるため、下地皮膜の形成時に自己分解物が芯材粒子表面上に捕捉されることによって、微小突起の核が生成し、それと同時に下地皮膜の形成がなされる。生成した微小突起の核を基点として、突起部が成長する。
【0048】
a1工程では、前述した芯材粒子を好ましくは1〜500g/L、更に好ましくは5〜300g/Lの範囲で水に十分に分散させ、水性スラリーを調製する。分散操作は、通常攪拌、高速攪拌又はコロイドミル若しくはホモジナイザーのような剪断分散装置を用いて行うことができる。また、分散操作に超音波を併用してもかまわない。必要に応じ、分散操作においては界面活性剤などの分散剤を添加する場合もある。次いで、ニッケル塩、還元剤、錯化剤及び各種添加剤などを含んだ無電解ニッケルめっき浴に、分散操作を行った芯材粒子の水性スラリーを添加し、無電解めっきa1工程を行う。
【0049】
前述した分散剤としては、例えば非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤及び/又は水溶性高分子が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンエーテル系の界面活性剤を用いることができる。両性イオン界面活性剤としては、アルキルジメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルカルボキシメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのベタイン系の界面活性剤を用いることができる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノン、ヒドロキシエチルセルロースなどを用いることができる。これらの分散剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤の使用量は、その種類にもよるが、一般に、液体(無電解ニッケルめっき浴)の体積に対して0.5〜30g/Lである。特に、分散剤の使用量が液体(無電解ニッケルめっき浴)の体積に対して1〜10g/Lの範囲であると、下地皮膜の密着性が一層向上する観点から好ましい。
【0050】
ニッケル塩としては、例えば塩化ニッケル、硫酸ニッケル又は酢酸ニッケルなどが用いられ、その濃度は0.1〜50g/Lの範囲とすることが好ましい。還元剤としては、例えば先に述べた貴金属イオンの還元に用いられているものと同様のものを用いることができ、目的とする下地皮膜の構成材料に基づいて選択される。還元剤としてリン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウムを用いる場合、その濃度は、0.1〜50g/Lの範囲であることが好ましい。
【0051】
錯化剤としては、例えばクエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸若しくはそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などのカルボン酸(塩)、グリシンなどのアミノ酸、エチレンジアミン、アルキルアミンなどのアミン酸、その他のアンモニウム、EDTA又はピロリン酸(塩)など、ニッケルイオンに対し錯化作用のある化合物が使用される。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その濃度は好ましくは1〜100g/L、更に好ましくは5〜50g/Lの範囲である。この段階での好ましい無電解ニッケルめっき浴のpHは、4〜14の範囲である。無電解ニッケルめっき反応は、芯材粒子の水性スラリーを添加すると速やかに始まり、水素ガスの発生を伴う。無電解めっきa1工程は、その水素ガスの発生が完全に認められなくなった時点をもって終了とする。
【0052】
次いでa2工程においては、前記のa1工程に続けて、(i)ニッケル塩、還元剤及びアルカリのうちの1種を含む第1の水溶液と、残りの2種を含む第2の水溶液を用いるか、又は(ii)ニッケル塩を含む第1の水溶液と、還元剤を含む第2の水溶液と、アルカリを含む第3の水溶液とを用い、これらの水溶液をそれぞれ同時にかつ経時的に、a1工程の液に添加して無電解ニッケルめっきを行う。これらの液を添加すると再びめっき反応が始まるが、その添加量を調整することによって、形成される下地皮膜を所望の膜厚に制御することができる。無電解ニッケルめっき液の添加終了後、水素ガスの発生が完全に認められなくなってから暫く液温を保持しながら攪拌を継続して反応を完結させる。
【0053】
前記の(i)の場合には、ニッケル塩を含む第1の水溶液と、還元剤及びアルカリを含む第2の水溶液とを用いることが好ましいが、この組み合わせに限られない。この場合には、第1の水溶液には還元剤及びアルカリは含まれず、第2の水溶液にはニッケル塩は含まれない。ニッケル塩及び還元剤としては、先に述べたものを用いることができる。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を用いることができる。前記の(ii)の場合についても同様である。
【0054】
前記の(ii)の場合には、第1〜第3の水溶液にニッケル塩、還元剤及びアルカリがそれぞれ含まれ、かつ各水溶液には当該成分以外の他の2成分は含まれない。
【0055】
(i)及び(ii)の場合のいずれであっても、水溶液中のニッケル塩の濃度は10〜1000g/L、特に50〜500g/Lであることが好ましい。還元剤の濃度は、還元剤としてリン化合物を用いる場合、100〜1000g/L、特に100〜800g/Lであることが好ましい。還元剤としてホウ素化合物を用いる場合、5〜200g/L、特に10〜100g/Lであることが好ましい。還元剤としてヒドラジン又はその誘導体を用いる場合、5〜200g/L、特に10〜100g/Lであることが好ましい。アルカリの濃度は5〜500g/L、特に10〜200g/Lであることが好ましい。
【0056】
a2工程は、a1工程の終了後に連続して行うが、これに代えて、a1工程とa2工程とを断続して行ってもよい。この場合には、a1工程の終了後、濾過などの方法によって芯材粒子とめっき液とを分別し、新たに芯材粒子を水に分散させて水性スラリーを調製し、そこに錯化剤を好ましくは1〜100g/L、更に好ましくは5〜50g/Lの濃度範囲で溶解した水溶液を添加し、分散剤を好ましくは0.5〜30g/L、更に好ましくは1〜10g/Lの範囲で溶解し水性スラリーを調製して、該水性スラリーに前記の各水溶液を添加するa2工程を行う方法でもよい。このようにして、目的とする突起部を有する下地皮膜が得られる。
【0057】
次に、a処理の代わりに、表面平滑な下地皮膜を形成する処理であるb処理を行う場合について説明する。b処理は、以下のようにして行うことができる。まず、前処理が施された芯材粒子、分散剤、錯化剤を含む水性スラリーを調製する。そして、a2工程で説明した(i)の第1の水溶液及び第2の水溶液を用いるか、又は(ii)の第1ないし第3の水溶液を用い、これらの水溶液を水性スラリーにそれぞれを同時にかつ経時的に添加して無電解ニッケルめっきを行う。水性スラリーに各水溶液を添加してなるめっき液のpHは、例えば3〜11の範囲に調整することが好ましい。分散剤及び錯化剤の種類及びそれらの濃度については、a1工程の説明において挙げたものを、a1工程において説明した濃度で用いることができる。
【0058】
前記の(i)の第1及び第2の水溶液並びに(ii)の第1ないし第3の水溶液に含まれるニッケル塩、還元剤及びアルカリは、a2工程でこれらの水溶液に用いたものと同様のものを用いることができる。水溶液中のニッケル塩の濃度は10〜1000g/L、特に50〜500g/Lであることが好ましい。還元剤の濃度は、還元剤としてリン化合物を用いる場合、100〜1000g/L、特に100〜800g/Lであることが好ましい。アルカリの濃度は5〜500g/L、特に10〜200g/Lであることが好ましい。このようにして、目的とする表面平滑な下地皮膜が得られる。
【0059】
以上のようにして下地皮膜が形成されたら、次に第2工程を行い、下地皮膜の表面に、突起部を有する上層皮膜を形成する。第2工程においては、第1工程で形成された下地皮膜被覆粒子と、ニッケル源、金属M源、還元剤及びヒドロキシ酸を含む無電解めっき浴とを混合する。上層皮膜に突起部を形成するために、無電解めっき浴中にヒドロキシ酸を配合する点に、第2工程の特徴の一つがある。
【0060】
第2工程で使用する還元剤は、次亜リン酸又はその塩等のリン化合物であることが好ましく、特に次亜リン酸ナトリウムであることが好ましい。無電解めっき浴中の還元剤の濃度は、0.1〜50g/Lであることが好ましく、更に好ましくは0.5〜20g/Lである。
【0061】
第2工程で用いられるニッケルイオンのニッケル源としては、第1工程で用いたニッケル源と同様のニッケル塩を用いることができる。無電解めっき浴中のニッケル塩の濃度は、0.1〜100g/Lであることが好ましく、更に好ましくは1〜50g/Lである。
【0062】
金属Mのイオンの金属源としては、例えば硫酸塩、硝酸塩、ナトリウム塩、塩化物、水酸化物等が用いられる。ナトリウム塩を用いる場合、その無電解めっき浴中での濃度は、0.01〜100g/Lであることが好ましく、更に好ましくは0.1〜50g/Lである。この濃度は、上層皮膜が金属Mを2種類以上含有する場合、2種類以上の金属Mの合計濃度である。
【0063】
第2工程で用いられる無電解めっき浴中に配合されるヒドロキシ酸は、上層皮膜に突起部形成する目的で用いられる。ヒドロキシ酸としては、例えばモノヒドロキシモノカルボン酸や、ジヒドロキシモノカルボン酸などを用いることができる。また、ヒドロキシ酸としては、例えばα−ヒドロキシ酸、βヒドロキシ酸、α,β−ヒドロキシ酸を用いることができる。特にヒドロキシ酸として、α−モノヒドロキシモノカルボン酸であるグリコール酸及び乳酸や、α,β−ジヒドロキシモノカルボン酸であるグリセリン酸を用いると、所望の形状を有する突起部を容易に形成し得るので好ましい。これらのヒドロキシ酸は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。無電解めっき浴中でのヒドロキシ酸の濃度は、0.5〜20g/Lであることが好ましく、更に好ましくは1〜15g/Lである。
【0064】
第2工程で用いられる無電解めっき浴には、更に錯化剤を含有させておいてもよい。錯化剤としては、a1工程の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。錯化剤の濃度もa1工程と同様とすることができる。
【0065】
第2工程で用いられる無電解めっき浴のpHは、3〜11に維持されることが好ましく、更に好ましくは4〜10である。
【0066】
下地皮膜被覆粒子と無電解めっき浴とを混合する方法に特に制限はない。例えば無電解めっき浴を、ニッケルイオンの還元が可能な温度に加熱しておき、その状態下に、下地皮膜被覆粒子を無電解めっき浴中に投入することができる。この操作によって、ニッケルイオンが還元し、還元によって生じたニッケルが、下地粒子の表面に突起部を有する上層皮膜を形成する。
【0067】
このようにして目的とする導電性粒子が得られる。この導電性粒子は、必要に応じ、更に最外層皮膜を形成するための後処理に付すことができる。後処理としては、例えば無電解金めっき工程あるいは無電解パラジウムめっき工程が挙げられる。この工程に付すことによって、導電性粒子の表面に最外層皮膜として、金めっき層あるいはパラジウムめっき層が形成される。金めっき層の形成は、従来公知の無電解めっき法に従い行うことができる。例えば、導電性粒子の水性懸濁体に、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、クエン酸二ナトリウム及びシアン化金カリウムを含み、水酸化ナトリウムでpHが調整された無電解めっき液を添加することで、金めっき層を形成することができる。
【0068】
パラジウムめっき層の形成も、従来公知の無電解めっき法に従い行うことができる。例えば、導電性粒子の水性懸濁液に、塩化パラジウム等の水溶性パラジウム化合物;次亜リン酸、亜リン酸、ギ酸、酢酸、ヒドラジン、水素化ホウ素、アミンボラン化合物、又はこれらの塩等の還元剤;及び錯化剤等を含有する常用の無電解パラジウムめっき液を加え、更に必要に応じて分散剤、安定剤、pH緩衝剤を加える。そして、塩酸や硫酸等の酸あるいは水酸化ナトリウム等の塩基でpHを調整しつつ、還元型無電解めっきを行い、パラジウムめっき層を形成することができる。別法として、導電性粒子の水性懸濁液に、テトラアンミンパラジウム塩等のパラジウムイオン源、錯化剤及び必要により分散剤を添加し、パラジウムイオンとニッケルイオンとの置換反応を利用して、置換型無電解めっきを行い、パラジウムめっき層を形成してもよい。
【0069】
還元型無電解めっき又は置換型無電解めっきで用いる分散剤としては、前述のa1工程で例示した分散剤と同様ものを用いることができる。また、常用の無電解パラジウムめっき液として、例えば、小島化学薬品株式会社、日本カニゼン株式会社、中央化学産業株式会社等から入手可能な市販品を使用してもよい。
【0070】
別の後処理として、導電性粒子をボールミル等のメディアミルを用いた粉砕工程に付すこともできる。この粉砕工程に付すことによって、導電性粒子からなる粉体の質量に対する一次粒子が占める質量を、容易に更に向上させることができる。
【0071】
本発明の導電性粒子は、後述するように導電性接着剤の導電性フィラーとして用いる場合に、導電性粒子間のショートの発生を防止するため、その表面を更に絶縁性樹脂で被覆することができる。絶縁性樹脂の被覆は、圧力等を加えない状態では導電性粒子の表面が極力露出しないように、かつ導電性接着剤を用いて2枚の電極を接着する際に加えられる熱及び圧力によって破壊され、導電性粒子の表面のうち少なくとも突起が露出するように形成される。絶縁樹脂の厚さは0.1〜0.5μm程度とすることができる。絶縁樹脂は導電性粒子の表面全体を覆っていてもよいし、導電性粒子の表面の一部を覆っているだけでもよい。
【0072】
絶縁樹脂としては、当該技術分野で公知のものを広く用いることができる。その一例を示せば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、フラン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン)、ポリアルキル(メタ)アクリレート樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニルオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチルセルロース及び酢酸セルロースを挙げることができる。
【0073】
導電性粒子の表面に絶縁被覆層を形成する方法としては、コアセルベーション法、界面重合法、in situ重合法及び液中硬化被覆法等の化学的方法、スプレードライング法、気中懸濁被覆法、真空蒸着被覆法、ドライブレンド法、ハイブリダイゼーション法、静電的合体法、融解分散冷却法及び無機質カプセル化法等の物理機械的方法、界面沈澱法等の物理化学的方法が挙げられる。
【0074】
このようにして得られた本発明の導電性粒子は、例えば異方性導電フィルム(ACF)やヒートシールコネクタ(HSC)、液晶ディスプレーパネルの電極を駆動用LSIチップの回路基板へ接続するための導電材料などとして好適に使用される。特に、本発明の導電性粒子は、導電性接着剤の導電性フィラーとして好適に用いられる。
【0075】
前記の導電性接着剤は、導電性基材が形成された2枚の基板間に配置され、加熱加圧によって前記導電性基材を接着して導通する異方導電性接着剤として好ましく用いられる。この異方導電性接着剤は、本発明の導電性粒子と接着剤樹脂とを含む。接着剤樹脂としては、絶縁性で、かつ接着剤樹脂として用いられているものであれば、特に制限なく使用できる。熱可塑性樹脂及び熱硬化性のいずれであってもよく、加熱によって接着性能が発現するものが好ましい。そのような接着剤樹脂には、例えば熱可塑性タイプ、熱硬化性タイプ、紫外線硬化タイプ等がある。また、熱可塑性タイプと熱硬化性タイプとの中間的な性質を示す、いわゆる半熱硬化性タイプ、熱硬化性タイプと紫外線硬化タイプとの複合タイプ等がある。これらの接着剤樹脂は被着対象である回路基板等の表面特性や使用形態に合わせて適宜選択できる。特に、熱硬化性樹脂を含んで構成される接着剤樹脂が、接着後の材料的強度に優れる点から好ましい。
【0076】
接着剤樹脂としては、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−イソブチルアクリレート共重合体、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、SBSブロック共重合体、カルボキシル変性SBS共重合体、SIS共重合体、SEBS共重合体、マレイン酸変性SEBS共重合体、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、カルボキシル変性クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(以下、NBRと表す。)、カルボキシル変性NBR、アミン変性NBR、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂又はシリコーン樹脂などから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせにより得られるものを主剤として調製されたものが挙げられる。これらのうち、熱可塑性樹脂としては、スチレン−ブタジエンゴムやSEBSなどがリワーク性に優れるので好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましい。これらのうち接着力が高く、耐熱性、電気絶縁性に優れ、しかも溶融粘度が低く、低圧力で接続が可能であるという利点から、エポキシ樹脂が最も好ましい。
【0077】
前記のエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する多価エポキシ樹脂であれば、一般に用いられているエポキシ樹脂が使用可能である。具体的なものとしては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、レゾルシン、ビスヒドロキシジフェニルエーテル等の多価フェノール類、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン等のポリアミノ化合物、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸等の多価カルボキシ化合物等とエピクロルヒドリン又は2−メチルエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジル型のエポキシ樹脂が例示される。
また、ジシクロペンタジエンエポキサイド、ブタジエンダイマージエポキサイド等の脂肪族及び脂環族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0078】
なお、上述した各種の接着樹脂としては、不純物イオン(NaやCl等)や加水分解性塩素などが低減された高純度品を用いることが、イオンマイグレーションの防止の観点から好ましい。
【0079】
異方導電性接着剤における本発明の導電性粒子の使用量は、接着剤樹脂成分100質量部に対し通常0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜25質量部、より好ましくは1〜20質量部である。導電性粒子の使用量がこの範囲内にあることにより、接続抵抗や溶融粘度が高くなることが抑制され、接続信頼性を向上させ、接続の異方性を十分に確保することができる。
【0080】
前記の異方導電性接着剤には、上述した導電性粒子及び接着剤樹脂の他に、当該技術分野において、公知の添加剤を配合することができる。その配合量も当該技術分野において公知の範囲内とすることができる。他の添加剤としては、例えば粘着付与剤、反応性助剤、エポキシ樹脂硬化剤、金属酸化物、光開始剤、増感剤、硬化剤、加硫剤、劣化防止剤、耐熱添加剤、熱伝導向上剤、軟化剤、着色剤、各種カップリング剤又は金属不活性剤などを例示することができる。
【0081】
粘着付与剤としては、例えばロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、イソプレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。反応性助剤すなわち架橋剤としては、例えばポリオール、イソシアネート類、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウトロピン類、アミン類、酸無水物、過酸化物などが挙げられる。エポキシ樹脂硬化剤としては、1分子中に2個以上の活性水素を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的なものとしては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタフェニレンジアミン、ジシアンジアミド、ポリアミドアミン等のポリアミノ化合物;無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の有機酸無水物;フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上混合して使用することができる。また、必要に応じて潜在性硬化剤を用いてもよい。使用できる潜在性硬化剤としては、例えば、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等及びこれらの変性物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上の混合体として使用できる。
【0082】
前記の異方導電性接着剤は、当該技術分野において通常使用されている製造装置を用い製造される。例えば、本発明の導電性粒子及び接着剤樹脂並びに必要に応じ硬化剤や各種添加剤を配合し、接着剤樹脂が熱硬化性樹脂の場合は有機溶媒中で混合することにより、熱可塑性樹脂の場合は接着剤樹脂の軟化点以上の温度で、具体的には好ましくは約50〜130℃程度、更に好ましくは約60〜110℃程度で溶融混練することにより製造される。このようにして得られた異方導電性接着剤は、塗布してもよいし、フィルム状にして適用してもよい。
【実施例】
【0083】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0084】
〔実施例1〕
(1)第1工程
(1−1)前処理
平均粒径3.0μmの球状スチレン系樹脂を芯材粒子として用いた。その9gを、400mLのコンディショナー水溶液(ローム・アンド・ハース電子材料製の「クリーナーコンディショナー231」)に攪拌しながら投入した。コンディショナー水溶液の濃度は40mL/Lであった。引き続き、液温60℃で超音波を与えながら30分間攪拌して芯材粒子の表面改質及び分散処理を行った。水溶液を濾過し、一回リパルプ水洗した芯材粒子を200mLのスラリーにした。このスラリーへ塩化第一錫水溶液200mLを投入した。この水溶液の濃度は5×10
−3mol/Lであった。常温で5分攪拌し、錫イオンを芯材粒子の表面に吸着させる感受性化処理を行った。引き続き水溶液を濾過し、1回リパルプ水洗した。次いで芯材粒子を400mLのスラリーにし、60℃に維持した。超音波を併用してスラリーを攪拌しながら、0.11mol/Lの塩化パラジウム水溶液2mLを添加した。そのままの攪拌状態を5分間維持させ、芯材粒子の表面にパラジウムイオンを捕捉させる活性化処理を行った。
【0085】
(1−2)突起部を有する下地皮膜形成処理
(1−2−1)a1工程
20g/Lの酒石酸ナトリウム、4.5g/Lの硫酸ニッケル六水和物、5.4g/Lの次亜リン酸ナトリウム、及び5g/Lのポリエチレングリコールを溶解した水溶液からなる無電解ニッケル−リンめっき浴3Lを70℃に昇温し、この無電解めっき浴に、パラジウムを担持した芯材粒子9gを投入し、a1工程を開始した。5分間攪拌し水素の発泡が停止するのを確認し、a1工程を完了させた。
【0086】
(1−2−2)a2工程
224g/Lの硫酸ニッケル水溶液(第1の水溶液)と、210g/Lの次亜リン酸ナトリウム及び80g/Lの水酸化ナトリウムを含む混合水溶液(第2の水溶液)とをそれぞれ300mL用い、これらをa1工程で得られた芯材粒子のスラリーに、定量ポンプによって連続的に分別添加し、無電解めっきa2工程を開始した。添加速度はいずれも2.5mL/分とした。液を全量添加した後、70℃の温度を保持しながら5分攪拌を継続した。次いで液を濾過し、濾過物を3回洗浄した後、100℃の真空乾燥機で乾燥して、ニッケル−リン合金からなる下地皮膜が形成された下地皮膜被覆粒子を得た。この下地被膜の膜厚を下記の方法で求めた結果、100nmであった。
【0087】
〔下地皮膜の厚さの測定方法〕
上層皮膜被覆前の下地皮膜被覆粒子を王水に浸漬して下地皮膜を溶解し、下地皮膜成分をICP又は化学分析し、以下の式(3)、(4)から下地皮膜の厚さ(μm)を算出した。この方法で得られた値は計算値であり、下地皮膜に突起部が形成されている場合には、仮想的に該突起部を平らにならした場合の厚みを意味する。
J=[(r+t)
3―r
3]d
1/r
3d
2 (3)
J=W/(100−W) (4)
式中、rは芯材粒子の半径(μm)、tは下地皮膜の厚さ(μm)、d
1は下地皮膜の密度(g/μm
3)、d
2は芯材粒子の密度(g/μm
3)、Wは下地被膜被覆粒子におけるニッケル及びリンの含有率の合計(質量%)、Jは芯材粒子に対する下地皮膜の質量比である。
【0088】
(2)第2工程(突起部を有する上層皮膜形成処理)
20g/Lのクエン酸ナトリウム、2.5g/Lの硫酸ニッケル、0.5g/Lのタングステン酸ナトリウム、5.0g/Lのグリコール酸、及び2.7g/Lの次亜リン酸ナトリウムからなる無電解ニッケル−タングステン−リンめっき浴を調製した。このめっき浴1Lを80℃に加熱した後pHを9に調整し、これを攪拌しながら第1工程で得られた下地皮膜被覆粒子を6g投入して無電解めっきを行った。めっき時間は30分とした。これによって下地皮膜の表面に無電解めっき処理を行った。処理完了後、液をろ別し、3回洗浄後、110℃で真空乾燥させ、ニッケル−リン合金皮膜からなる下地皮膜上にニッケル−タングステン−リン合金からなる上層皮膜を被覆した導電性粒子を得た。上層皮膜の膜厚を下記の方法で測定した結果、25nmであった。
【0089】
〔上層皮膜の厚さの測定方法〕
導電性粒子を王水に浸漬して全皮膜を溶解し、全皮膜成分をICP又は化学分析し、以下の式(5)、(6)から全皮膜の厚さ(μm)を算出した。
J’=[(r+t’)
3―r
3]d
1/r
3d
2 (5)
J’=W’/(100−W’) (6)
式中、rは芯材粒子の半径(μm)、t’は全皮膜の厚さ(μm)、d
1は全皮膜の密度(g/μm
3)、d
2は芯材粒子の密度(g/μm
3)、W’は導電性粒子におけるニッケル、タングステン、モリブデン及びリンの含有率の合計(質量%)、J’は芯材粒子に対する全皮膜の質量比である。
上層皮膜の厚さT(μm)は、全皮膜の厚さt’ (μm)と下地皮膜の厚さt(μm)とを用いて以下の式(7)により算出した。この方法で得られた値は計算値であり、上層被膜に突起が形成されている場合には、仮想的に該突起を平らにならした場合の厚みを意味する。
T=t’―t (7)
【0090】
〔実施例2ないし14〕
以下の表1に示す条件を採用する以外は実施例1と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子は、実施例1の導電性粒子と同様に、下地皮膜及び上層皮膜の双方に突起部を有するものであった。
【0091】
【表1】
【0092】
〔実施例15〕
(1)第1工程
(1−1)前処理
実施例1と同様に行った。
【0093】
(1−2)略均一な厚みを有する下地皮膜形成処理
224g/Lの硫酸ニッケル水溶液(第1の水溶液)と、210g/Lの次亜リン酸ナトリウム及び80g/Lの水酸化ナトリウムを含む混合水溶液(第2の水溶液)とをそれぞれ300mL用いた。これらを、前処理した芯材粒子のスラリーに、定量ポンプによって連続的に分別添加し、無電解めっき工程を開始した。添加速度はいずれも2.5mL/分とした。液を全量添加した後、70℃の温度を保持しながら5分攪拌を継続した。次いで液を濾過し、濾過物を3回洗浄した後、100℃の真空乾燥機で乾燥して、ニッケル−リン合金からなる下地皮膜が形成された下地皮膜被覆粒子を得た。この下地被膜の膜厚を上述の方法で求めた結果、100nmであった。
【0094】
(2)第2工程(突起部を有する上層皮膜形成処理)
実施例1と同様に行った。形成された上層皮膜の膜厚を上述の方法で測定した結果、25nmであった。
【0095】
〔実施例16ないし24〕
以下の表2に示す条件を採用する以外は実施例15と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子は、実施例15の導電性粒子と同様に、略均一な厚みを有する平坦な下地皮膜及び突起部を有する上層皮膜を具備するものであった。
【0096】
〔比較例1ないし6〕
以下の表2に示す条件を採用する以外は実施例15と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子は、略均一な厚みを有する平坦な下地皮膜及び略均一な厚みを有する平坦な上層皮膜を具備するものであった。
【0097】
【表2】
【0098】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた導電性粒子について、その下地皮膜のリン含有量、上層皮膜のリン含有量、上層皮膜のタングステン含有量、上層皮膜のモリブデン含有量、下地皮膜及び上層皮膜それぞれの結晶構造の有無、並びに室温下及び高温高湿下での導電性をそれぞれ測定・評価した。測定・評価は以下の方法によって行った。それらの結果を以下の表3に示す。
【0099】
〔下地皮膜のリン含有量〕
上層皮膜被覆前の下地皮膜被覆粒子を王水に浸漬して下地皮膜を溶解し、皮膜成分をICP又は化学分析し、リン含有量(%)を求めた。
【0100】
〔上層皮膜のリン含有量、タングステン含有量、モリブデン含有量〕
上層被覆処理を行った後に王水に浸して全皮膜を溶解し、全皮膜成分をICP又は化学分析し、ニッケル含有量A(%)、リン含有量B(%)、タングステン含有量C(%)及びモリブデン含有量D(%)を算出した。更に下地被覆処理を施したときのICP分析からニッケル含有量A’(%)及びリン含有量B’(%)を算出した。これらを用い、以下の式(8)により上層皮膜中のリン含有率E(%)を算出し、以下の式(9)によりタングステン含有率F(質量%)を算出し、以下の式(10)によりモリブデン含有率G(質量%)を算出した。
E=(B−B’)/(A−A’+B−B’+C+D)×100 (8)
F= C/( A−A’+B−B’+C +D)×100 (9)
G= D/( A−A’+B−B’+C +D)×100 (10)
【0101】
〔下地皮膜及び上層皮膜の結晶構造〕
下地被膜の結晶構造は、上層皮膜被覆前の下地皮膜被覆粒子についてX線回析測定を行って求めた。X線回析測定は、Rigaku社製「X−ray diffraction
UltimaIV」を用い、測定条件は、管電圧:40kV、管電流:40mA、X線:CuKα(波長λ=1.541Å)とした。X線回析測定によりニッケル−リン合金の回析ピークが確認されたとき、結晶構造ありと判断した。また、上層皮膜の結晶構造は、皮膜をFIB等で薄片化後、上層皮膜最表層から数nm程度の深さの皮膜を、下地被膜のX線回析測定と同様の測定機器及び測定条件を用いてX線回折測定し、ニッケルやニッケル合金の回折ピークが確認されたときに結晶構造ありと判断した。
【0102】
〔室温下及び高温高湿下での導電性の評価〕
エポキシ樹脂100部、硬化剤150部、トルエン70部を混合し、絶縁性接着剤を調製した。この絶縁性接着剤に導電性粒子15部を配合してペーストを得た。バーコーターを用い、このペーストをシリコーン処理ポリエステルフィルム上に塗布し乾燥させた。得られた塗工フィルムを用い、全面をアルミニウムで蒸着したガラスと、20μmピッチに銅パターンを形成したポリイミドフィルム基板との間の電気接続を行った。そして両者間の導通抵抗値を測定することで、導電性粒子の導電性を評価した。導通抵抗は室温下(25℃・50%RH)及び高温高湿下(85℃・85%RH、500時間保存後)で測定した。
【0103】
【表3】
【0104】
表3に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた導電性粒子(本発明品)は、比較例で得られた導電性粒子に比べて抵抗値が低く、導電性が高いことが判る。また、各実施例で得られた導電性粒子は、比較例で得られた導電性粒子に比べて、高温高湿下で保存後した後の抵抗値の上昇の程度が小さいことが判る。特に、実施例1ないし14と実施例15ないし24との対比から明らかなとおり、下地皮膜及び上層皮膜の双方に突起部が形成されている実施例1ないし14の導電性粒子は、上層皮膜にのみ突起部が形成されている実施例15ないし24の導電性粒子に比べて抵抗値が一層低く、導電性が一層高いことが判る。