(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
陥凹部として形成されている少なくとも1つのエコー源性形体部を有する装置表面であって、前記形体部は3つの形体面を有し、各形体面は他の形体面に交わり、各形体面は前記形体部の中心に向かって凹んでいる、装置表面、を備えている医療装置。
前記装置表面は更に複数の前記形体部を備えており、前記形体部の少なくとも1つは隣接する形体部の主要寸法とは異なる主要寸法を有している、請求項1に記載の装置。
前記少なくとも1つの形体部は3つの形体面を有し、各形体面は他の形体面に交わり、少なくとも1つの形体面は、前記装置表面とつながっている部分の寸法が別の形体面の当該装置表面とつながっている部分の寸法とは異なっている、請求項5に記載の装置。
【背景技術】
【0003】
医療分野では皮下使用のための医療装置が知られている。例えば、侵襲性手術を回避しながら内部組織を捕捉して取り出すために生検針が使用されている。医療処置を遂行する場合、標的である身体区域が血管又は内部器官に取り囲まれていることが往々にしてあり、それが医療装置の正確な経皮的位置決めを困難にすることもある。画像化方法は、内部器官と医療装置の同時画像化を提供することによってこれらの困難の幾つかを軽減することができる。超音波画像化は、X線及びMRIの様な他の画像化様式に比べて運転費用が少なく可搬性が高いためとりわけ好都合である。超音波画像化処置時には振動子が超音波を発する。超音波の一部が身体内部の器官、組織、及び他のものに当たって反射し、そうして振動子へ戻る。戻ってきた音波を使用して内腔の視覚的表現を現出させる。これは医師が医療装置を所望の身体区域へ案内するのに使用することのできる内部器官及び医療装置のリアルタイム動画を提供する。
【0004】
医療装置を皮下式に設置するための現在の超音波画像化の使用には問題が存在しており、というのも超音波を通して得られる画像は常に鮮明であるとは限らないからである。医療装置の超音波視感度に影響を及ぼし得る要因は幾つかある。例えば、装置を構築している材料の密度、装置の表面構造、及び振動子に対しての装置の角度は、それぞれが装置の超音波視感度に影響を及ぼす。画像の鮮明度が損なわれると、医療装置の観察及び位置決めは更に精度不良を来たすかもしれない。これは生検の事例では周囲組織への不慮の損傷又は間違った組織切除の危険性を高めることになりかねない。
【0005】
画像の鮮明度を上げるためには、改変又は改良された超音波反射応答を生じさせるエコー源性増強部を医療装置に適用し、より鮮明度の高い装置の超音波画像を生じさせるようにすればよい。これによりひいては医療装置位置決め時の確度が上がる。例えば、針の先端付近にエコー源性増強部を適用して先端場所がより高い確度で見分けられるようにすることが知られている。しかしながら針の角度が振動子の角度に対して変化すると、反射して振動子へ戻る信号の品質が劣化する。加えて、超音波技術が進化してより広い範囲の超音波周波数の使用が可能になった一方、標準的なエコー源性増強部は限られた範囲の振動子周波数下に装置を鮮明に映せるようにするものである。而して、挿入角度及び周波数の或る範囲に亘ってより一貫性のあるより優良な品質を有する超音波画像を提供することのできるエコー源性増強型の医療装置が必要とされている。その様なエコー源性増強型医療装置は、医療装置を設置する際の医師の確信を改善することができる。
【0006】
医療装置が増強されたエコー輝度を提供する形体部を含むことはできても、複数の装置の間でエコー源性応答を比較するためのエコー輝度の定量化に関わる問題が存在する。現在のエコー輝度試験は典型的に主観的であり、比較試験には不正確である。現在のエコー源性装置の臨床試験の方法は、多くの場合、エコー源性装置の反射品質を定量化することができない。これは、様々な角度配列及び様々な周波数で試験しようとした場合など、複数の変数が追加される場合にとりわけ厄介である。一部の方法は、例えば試験対象のエコー源性針を超音波機械上で針を視認しながら動物の組織の中へ挿入することによる動物研究を含んでいる。この方法は、試験手順のばらつきのせいで、異なる医療装置の間で有用且つ正確なデータを得ることに関わる多くの困難をもたらす。他の提唱されている方法は、顕微鏡を用いて光学的にエコー源性装置を検査することを含んでいる。しかしながら、この方法は、超音波画像上で装置がどの様に映し出されるかという真の表現を手に入れることができない。而して、異なる医療装置のエコー輝度を客観的且つ正確に比較する費用効果の高い方途を提供する装置が必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の原理の理解を促すために、図面に描かれている実施形態を参照してゆくが、特定の用語遣いを用いて説明してゆくことにする。だからといって、それにより特許請求の範囲を限定しようとするものではないことを理解しておきたい。説明されている実施形態の何らかの改変及び更なる修正並びにここに説明されている本開示の原理の何らかの更なる適用が、本開示が関係する技術分野の当業者には普通に想起されるものと考える。実施形態は詳細に示されているとはいえ、明解さを期し、本開示に関連しない一部の特徴は示されていない場合もあることは関連技術分野の当業者には自明であろう。
【0017】
ここには管腔内医療処置に適した医療装置20の実施形態が開示されている。装置20は、装置20を特に超音波システムと共に使用するのに適するようにするエコー源性増強部を有している。エコー源性増強部は、超音波信号を増強、散乱、方向換えさせる表面形体部を含んでいる。幾つかの実施形態では、この形体部のサイズは、様々な超音波周波数での増強された信号を提供するように変更されている。この形体部は、装置20と超音波振動子との間の様々な空間構成(即ち角度)において増強された信号を提供するように形成および配列されている。場合によっては、装置20は、装置20の皮下画像化を提供するように超音波コンソール(図示せず)を含んでいるシステムと共に使用されている。コンソール部分は、互換性のあるピン配列を有する商業的に入手可能な超音波プローブ、又は超音波画像化のために構成されている他の医療装置へ接続することができる。コンソールは、超音波振動子から得られたデータを処理するように構成されており、場合によってはディスプレイ又は他のデータ出力部上で視認できる(単数又は複数の)画像を作成する。
【0018】
ここでの使用に際し「エコー源性(echogenic)」という用語は、低エコー源性、非エコー源性、又はエコー透過性である面又は装置(又はその一部分)に比べて、画像化の目的にとって相対的に好ましい質又は量の超音波信号を振動子へ戻すように向ける表面又は装置の特性的能力を意味する。言い換えると、高いエコー輝度(又はより大きなエコー源性応答)を有する装置又は面は、低エコー源性又は高エコー透過性である装置又は面に比較して増強された超音波画像化性能を提供する。ここでの使用に際し「エコー源性(echogenic)」及び「エコー輝度(echogenicity)」とは、典型的に、装置20が身体導管内に又は流体及び/又は身体組織が装置20を取り囲んでいる他のその様な環境内に位置決めされたときの当該装置20の特性を指す。
【0019】
図1及び
図2を全体的に参照すると、医療装置20の実施形態が描かれている。
図1は、針の形態をしている装置20の例示としての実施形態を示している。装置20は、経皮的適用、皮下的適用、又は超音波画像化及び療法的技法が関与する他の内的適用のために使用される様々な型式の医療装置(例えば、生検針、血管内装置、腹腔鏡用具、など)の何れとすることもでき得るものと理解されたい。この実施形態の装置20は、本体21、先端26、及びハンドル23を含んでいる。装置20の具体的な実施形態は、円筒形であり、血管の様な既存の身体導管の必要性無しに身体の中へ刺入するのに適したサイズである。
【0020】
描かれている実施形態の本体21は、外面24(即ち装置表面)及びルーメン25(
図2)を画定している内面22を有する細長部材、例えば管又はカニューレである。本体21は先端26で終端している。本体21は、生体適合性やその他ここに説明されているような使用において構造的に適切な如何なる適当な金属又はポリマーで構築することができる。
【0021】
装置20は、使用時に最も使用者に近い制御端、及び使用時に最も使用者の関心点に近い適用端を含んでいる。「制御」及び「適用」という用語はこの説明全体を通してこれらの位置の方向を示すのに使用されている。装置20の制御端は使用時に患者の外を延びていよう。代わりに、制御端は患者の外を延びている別の部片に取り付けられていてもよい。制御端は概してハンドル23又は装置20を操作するための他の操作部分で終端している。ハンドル23は経皮的適用で用いられる針又は医療装置と関連して使用するのに適した様々な形態又は構造の何れであってもよい。ハンドル23は概して幾つかの実施形態では手で操作されるように構築されていて、スタイレット又は他の円筒形物体を受け入れることのできるルーメン25と連通する中空軸を有している。
【0022】
本体21の適用端は幾つかの実施形態では斜角先端26として形成されている。斜角は概してカニューレをルーメン軸に斜めの平面即ちルーメン軸に非平行である法線を有する平面に沿って切ることによって構築される。本体21の他の実施形態は、代わりの構成を有していてもよい。先端26は切削エッジを有しており、斜角面と外面の間の角度は鋭角である。典型的にその様な斜角は組織を穿刺又は薄切りすることができる。ここに説明されている先端26の実施形態は概して平面状に切断された構成であるが、異なる切削エッジを有する他の針先端の構成を使用することもできる。
【0023】
装置20は、装置20のエコー輝度を増強する形体部30の行列(又は集群)を密集させた1つ又はそれ以上のエコー源性領域(例えばエコー源性領域29)を有している。エコー源性領域は、装置20の少なくとも一部分であり、具体的な実施形態では面24の少なくとも一部分である。
【0024】
幾つかの実施形態の形体部30は概して面24の中の一連なりの陥凹部であって幾通りかの実施可能な幾何学構成の何れかを有するものであってよい。
図3及び
図4に示されている実施形態では、形体部30は3つの曲面(即ち形体面)を有しており、各面は他の2面に交わっている。面は頂点34と周縁32の間を延びている。周縁32は概して形体部30の面の、面24との交わりを表している。3面の全てが頂点34で交わる、すなわち収束している。このようにして、各形体部30は、曲面と、頂点34を通って延びる中心軸とを有する、どちらかというと逆ピラミッド形状に構築されている。各形体部30は、その周縁32の外形がルーローの三角形の形状をしている(
図3参照)。周縁32は、互いに等距離にある3つの点35と、3つの点の間を延びる3つの弧36を有している。3つの弧36は円弧であり、それぞれは任意の2点35の間の距離に等しい半径を有している。ルーロー三角形の外形は形体部30全体を通して維持されているので、周縁32と頂点34の間の任意の場所で周縁32に略平行(又は中心軸に垂直)な断面において同様のルーロー三角形の外形を有している。このようにして、形体部30の3つの面は内方に曲がっており、即ち中心軸に対して凹曲している。言い換えると、この実施形態では、形体部30は錐面が3つ結集した形状を採っており、各錐面は、点35の1つに交わり且つ他の2つの錐面の両方の軸にも交わる軸を有している。
【0025】
他の実施形態では、形体部30は他の形状に形成することもできる。別の実施例(
図5−
図7に示す)として、形体部30は三角形状の周縁42と頂点44を有する3面型ピラミッドの形状に形成することもできる。描かれている実施形態では、周縁42は、二等辺三角形の形状である。また一方、等辺、不等辺、鋭角、直角、及び鈍角の様な他の形状も適している。描かれている実施形態では、形体部30は複数の面角度を有している。面46の面24に対しての角度に比べ面45は相対的に面24に対して直角に近い角度を有している。描かれている実施形態では、面45は面46に対比して装置20の適用側に配置されている。
【0026】
形体部30の他の実施形態は、断面で見たときに平底又は丸底を成している面(図示せず)を有する切頭半球に似ている半球形状を含んでいてもよい。形体部30は、例えば、面24へ機械加工されている小空洞、凹み、ディボット、溝、線、又はリッジの様な、様々な幾何学構成の何れかとすることができる。形体部30は、それらが互いに連通せず又はそれらが互いに触れ合わず単に一連なりの個別の幾何学構成となるような具合に、カニューレ壁に個別に配置させることができる。代わりに、形体部30は連続した肌理として外面24に配置されていてエコー源性領域が実質的に形体部30によって占められている、というのであってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、形体部30は、様々な構成に編成されて配置されている。(単数又は複数の)エコー源性領域は、装置20の適用側の端と装置20の制御側の端の間の何れかの点に配置させることができる。エコー源性領域は、先端26の一部分又は全部、先端26に隣接する領域、又は装置20の他の部分、を占めていてもよい。
図1及び
図2の実施形態では、エコー源性領域は先端26付近に配置されていて、超音波処置時に装置20の位置を突き止められるだけでなく更に先端26も超音波処理時により正確に位置決めできるようにしている。幾つかの実施形態では、更に、1つ又はそれ以上のエコー源性領域が、先端26からより遠くに配置されていて、超音波処置時に針の挿入距離や特定の身体組織へ先端が近づいていることなどの情報を使用者へ提供するべく既知の距離だけ離間されていてもよい(
図1)。
【0028】
図1及び
図2の実施形態は、面24を廻る螺旋状の帯を表す線に沿って各形体部30を配した螺旋状の取合せとしてエコー源性領域内に配列されている形体部30を示している。他の実施形態では、形体部30は面24を廻る円周方向又は長手方向の取合せに配列されていてもよい。形体部30は面24に亘って密度が変更された集群に配列されていてもよい。場合によっては、例えばより詰まった巻きを有する螺旋構成の様なより大きい密度はより強いエコー源性応答を提供する。場合によっては、より緩い巻きを有する螺旋構成の様なより小さい密度はより弱いエコー源性応答を提供する。概して、形体部30の配列の密度は特定のエコー源性応答を提供するように選定される。幾つかの実施形態では、形体部30はランダムパターンに配列されている。
【0029】
幾つかの実施形態では形体部30の特性が変えられている。変形例には集群内の他の形体部30に対比した形体部30の特性間の違いが含まれる。ここに説明されている変形例は、超音波周波数の或る範囲に亘っての増強されたエコー源性応答を提供すると共に、振動子と装置20の間の相対的な角度方向の或る範囲に亘って一貫性のあるエコー源性応答も提供する。変形例には、中でもとりわけ、寸法及び形状の差並びに個々の形体部30の軸周りの角度方向が含まれる。実施例が
図8及び
図9に示されており、以下に更に詳細に論じられている。
【0030】
形体部30の幾つかの寸法、例えば周縁のサイズ、陥凹部の深さ(即ち頂点34と面24の間の半径方向距離)、及び壁(即ち形体部30の面)の互いに対しての角度(
図4、
図6、及び
図7のθ参照)など、が変更されてもよい。各形体部30は、概してそれぞれの形体部30の周縁又は頂点によって占められる円状領域の直径とされる主要寸法を有している。描かれている実施形態(
図8)では、形体部30は、それぞれが異なる主要寸法を有する3通りの異なる周縁サイズをもつように形成されている。幾つかの実施形態では、形体部30は3通りの異なる周縁サイズで形成されており、各周縁サイズは異なる主要寸法(例えば、約0.03mmの半径、0.05mmの半径、及び0.08mmの半径)を有している。周縁サイズは螺旋状帯内で順に交互になっており、最大サイズのものが小サイズのものと中サイズのものとの間に配置され、中サイズのものが大サイズのものと小サイズのものとの間に配置されるという具合である。他の実施形態では、より多くの又はより少ない周縁サイズのものが使用されてもよいし、変更されたサイズのものが他の順序で又はランダムに配列されていてもよい。
【0031】
他の実施形態では、形体部30の深さが設定された範囲に亘って変化している。この差異は同じ周縁サイズを有する形体部30にさえ及び得る。同様に、形体部30の壁(又は面)間の相対角度も変えることができる。ルーロー三角形の形状である形体部30を有する実施形態では、3つの寸法(周縁サイズ、深さ、及び角度θ)のうちの2つが変えられてもよく、3つ目の変数は他の2つの変数によって規定されることになる。周縁が三角形の形状である形体部30を有する実施形態では、周縁サイズ、深さ、両角度θ、周縁三角形の形状、三角形の周縁に対しての頂点44の場所の様な、寸法の多くが変えられてもよい。半球形状の形体部30を有する実施形態では、周縁の深さ及び直径の両方が変えられてもよい。個々の実施形態は寸法設定の異なる任意数のエコー源性形体部30を含んでいる。例えば、装置20が固有に寸法設定されている10個、20個、又は50個もの数の形体部30を含んでいるということもあり得る。
【0032】
具体的な実施形態では、形体部30は
図9の実施形態に示されている様に互いに対して異なる角度方向で配列されている。言い換えれば、形体部30は、順次角度を回転させて配列させることができる。例えば、
図9の実施形態では、形体部30は螺旋状帯に沿って互い違いに180°回転されている。他の実施形態では、順次角度回転は異なる値(例えば30°)を有していることもある。幾つかの実施形態では、順次角度回転値はランダムに選定されていることもあれば、形体部30の集群全体にあまねく分散されていることもある。幾つかの実施形態では、形体部30は寸法と角度方向の両方の変更の組合せで以て構成されて配列されている。
【0033】
一部の特定の実施形態では、形状を異ならせた形体部30を組み合わせて装置20及び/又はエコー源性領域に共に密集させている。実施例として、ルーロー三角形の外形を有する形体部30に半球形状を有する形体部30を点在させることもできるし、三角形の外形を有する形体部30にルーロー三角形の外形を有する形体部30を点在させることもできる。他の実施形態では、それぞれが互いに対比して異なる寸法及び/又は異なる角度方向を有している異なる外形の形体部30同士が特定の形体部30集群内に置かれている。
【0034】
形体部30は、陥凹部の一部分の上方を延びているローブ52を含むことによって更に変えられてもよい(
図10−
図13参照)。ローブ52は、概して、既に説明されているエコー源性形体部30と連結されている形体部である。ローブ52はこの実施形態では装置20の材料から(又は装置20へ付着されている同じ材料から)形成されていて、概して周縁の1つ又はそれ以上の稜線から又は稜線の間で陥凹部の一部分を覆って延びている。ローブ52は概して陥凹部の半分未満を覆って延びているが、幾つかの実施形態ではローブ52は陥凹部の半分より多くを覆って延びている。言い換えれば、ローブ52は延びている量が概して周縁の長さの約半分未満からである。ローブ52は、ローブと陥凹部の底面の間にポケットを画定している。陥凹部の底面は概して頂点を取り囲む形体部30の面の一部分である。底面は、周縁によって画定されている区域又はローブが無ければ周縁によって画定されているはずの区域を通じて陥凹部の外方に面している。
【0035】
ローブ52によって形成されているポケットは、空気、CO2、造影剤、体液、又は他の材料を閉じ込めるのに使用することができる。装置20が挿入されると、ポケット内に発生した泡は超音波信号の散乱を生じさせ、その結果、超音波信号の少なくとも一部は振動子に向かって方向付けられ戻ってくる。これは表面の形体部30の反射能力と連携して機能し、装置20のエコー輝度を大きく改善する。
【0036】
ローブ52は特定の製造プロセスを通じて形成することができる。例えば、幾つかの事例では、形体部30は、パンチ又はローラーを使用して面24を叩く又は面24に衝突させて陥凹部を生じさせることによって形成されている。その様な事例では、衝突力は周縁の周りにリッジを作り出すように特注仕様化されてもよい。リッジは周縁の盛り上がった部分であって面24の半径方向の最も外側の限界より半径方向に更に遠く延びている。次いで装置20をローラー又は滑らかで硬い表面を有する他の工具の表面で圧延すればよい。装置20は、リッジの一部分を陥凹部の中へ押し出しそれによりローブ52を作り出させるのに十分な力でローラー面に圧延される。リッジの残部は面24の中へ押し入れられ、面24の半径方向の最も外側の限界より半径方向に更に遠く張り出す材料が残らないようにする。
【0037】
その様な製造方法は、少なくとも2つの目的を果たす。第1に、それは以下に解説されている様にエコー輝度の増加をもたらす。第2に、それは形体部30を有する面24が形体部30を何も有していない面の平滑度と同じ又はそれに近い平滑度を持てるようにする。言い換えると、面24の(身体適用の観点からの)静止摩擦係数及び運動摩擦係数の値は製造プロセス中に相対的に変化無し若しくは変化しても最小限に留まる。その様な製造技法は2013年3月14日に「プレス加工凹み形成を有するエコー源性面」という名称で出願されている米国仮特許出願第61/783,043号に記載されており、同仮特許出願を参考文献としてここに援用する。
【0038】
使用時、装置20は穿刺によるか又は既存の身体導管を通してのどちらかで身体導管の中へ挿入される。挿入中及び装置20を体内所望場所へ操作している間の装置20を画像化するためにコンソールを含む超音波画像化システムが使用される。超音波画像化システムは、身体の外部面にあてがわれる振動子を含んでいる。振動子は超音波信号を概して装置20に向かって送信する。装置20は或る特定量の超音波信号を散乱及び/又は反射させて振動子へ戻す。振動子は戻された超音波信号を受信し、適切な情報をコンソールへ送信する。コンソールは、身体組織及び流体に取り囲まれている装置20を示す画像を表示する。装置20が周囲の身体組織及び流体よりも高い鮮明度及び明度で映し出されることが望ましい。これは、装置20に増強されたエコー源性特質を提供することによって実現される。形体部30は装置20に増強されたエコー源性特質を提供する。その様なエコー源性形体部の使用は、同様の物体における滑らかな表面に比較してエコー輝度を増強する。異なる寸法及び角度方向を有する形体部30を有する装置20は、超音波周波数の広い範囲及び装置20と振動子の間の相対角度の広い範囲の全体を通して増強された超音波視覚化を提供できる。
【0039】
装置20の代わりの実施形態が
図14及び
図15に示されている。当該実施形態では、装置20は概して先に説明されているカニューレとして形成されているカテーテル又は他の細長い医療装置である。装置20は、本体部分62と、先端60である部分を有している。先端60は、本体部分62から先端60の最も遠い適用側の端に向かって先細になっている。言い換えると、先端60は本体部分62と先端60の最も遠い適用側の端の間で漸減してゆく外径を有している。
【0040】
装置20は、先端60の表面に配置されている少なくとも1つ又は一連なりの形体部30を含んでいる。形体部30は、面24に形成されている陥凹部である。形体部30は、鋭端66と鈍端68を有する概して涙滴状の形状をしている周縁64を面24に有している。鋭端66は周縁64の適用側の端に位置し、丸みの付けられた端68は周縁64の制御側の端に位置している。形体部30は面69(即ち陥凹面)を有しており、面69は全側面を周縁64によって境界付けられている。言い換えると、周縁64は面69と面24とが交わる部分によって画定されている。陥凹部は、陥凹部を通って対称に延びている軸であって装置20の中心軸を通って延びる平面内の経路をなぞっている軸を有している。形体部30は、面69に沿う全ての点における面法線が装置20の中心軸に直角な方向及び/又は先端60の適用側の最遠限界の方を指しているベクトル成分を有するように構築されている。言い換えると、表面69に沿ったどの点における面法線も、装置20の制御端の方を指しているベクトル成分を有していない。
【0041】
図14及び
図15の実施形態の装置20は、射出成形によって構築することができる。成形型は形体部30を含むことができる。周縁64の涙滴形状及び先端60の先細形状は、装置20及び各形体部30を成形型から装置20の制御側へ向かって、形体部30を損なうことなく又は形体部30の形状に変化を来たすことなく、引き出すことを可能とする。この独自の形状及び製造方法は、効率的且つ高速に形体部30を医療装置へ製造する手段を提供する。
【0042】
本開示の更なる概念は、
図16に示されているエコー輝度試験設備70を含んでいる。試験設備70は、流体収容部71、スピンドル72及び73、クランププレート74、ヨーク75、装置取付台76、振動子77、及び支持体78、79を含んでいる。流体収容部71は、基底と複数の壁を有する収容器であり、流体を保持することができる。スピンドル72は回転可能に水平に支持体78へ取り付けられている。スピンドル72はハンドル及びロックシステムを有しており、ロックシステムはスピンドル72を振動子軸T周りの特定の角度位置に固定できるようにしている。同様に、スピンドル73は回転可能に水平に支持体79へ取り付けられている。スピンドル73は、ハンドル及びロックシステムを有しており、ロックシステムはスピンドル73を装置軸D周りの特定の角度位置に固定できるようにしている。ロックシステムは、スピンドル72、73を精度よく再現可能な様々な角度位置に位置決めでき尚且つ角度位置の視覚的表示を提供できる手段を提供している。幾つかの実施形態では、スピンドル73は、スピンドル72に対して直角に取り付けられている。同様に、振動子軸Tは幾つかの実施形態では装置軸Dに直角である。その様な事例では流体収容部71は振動子軸Tと装置軸Dの交点に配置されており、幾つかの実施形態では流体収容部71は支持体の上へ設置されている。
【0043】
振動子77は、様々な既知の適した取付方法の何れかによってクランププレート74(即ち支持体)へ固定式に取り付けられている。クランププレート74は、スピンドル72の回転に応じて振動子軸T周りに回転するようにスピンドル72へ固定されている。同様に、振動子77はスピンドル72の回転に応じて振動子軸T周りに回転する。ヨーク75(即ち支持体)は、スピンドル73の回転に応じて装置軸D周りに回転するようにスピンドル73へ固定されている。同様に、装置取付台76はスピンドル73の回転に応じて装置軸D周りに回転する。ヨーク75は、流体収容部71の壁を跨ぐ分岐を有し、一方の分岐80は流体収容部71の外に配置され、他方の分岐81は部分的に流体収容部71内に配置されている。
【0044】
装置取付台76は、様々な既知の適した取付方法の何れかによって分岐81へ固定されている。装置取付台76は、装置20又は各種細長医療装置の何れかを保持する構造である。装置取付台76内に配置されたとき装置20の少なくとも一部分(通常は適用端)は流体収容部71の周縁より下(即ち流体収容部71内)に位置付けられる。流体収容部71に流体が入っていれば装置20の一部は流体内に沈む。装置取付台76は、試験手順の間、装置20がヨーク75に対して動かないように装置20の位置を固定するロック機構を有している。
【0045】
試験設備70は、医療装置を超音波振動子のビューイングウインドー内の位置に保持し尚且つ医療装置及び振動子を或る位置範囲を通して動かせられるようにする手段を提供している。
【0046】
ここに説明されている装置20の一部の特定の実施形態を試験設備70を用いて試験した。典型的な試験手順を説明してゆく。試験に先立ち、身体環境を模して流体収容部71を部分的に油又は体液や組織の音響インピーダンスに似た音響インピーダンスを有する他の物質の様な流体で満たす。装置20を装置取付台76へ装置20の適用端(エコー源性形体部30を含む)が流体内に沈むようにして取り付ける。振動子77を起動させて超音波画像を現出させる。超音波画像は、デジタル式にキャプチャーされて、保存され、将来的な使用での参照に備えて保持される。試験中、装置20及び振動子77は、順に或る位置範囲を通して動かしてゆく。例えば、装置20を水平軸に対して30°、35°、40°、及び45°の角度に位置決めし、その間、振動子77をビューイングウインドーが装置20に対して−15°、0°(装置20に直角)、及び15°の角度に整列するような具合に位置決めする。これらの角度を累積的に組み合わせると12通りの位置ができる。12通りの位置をそれぞれ複数回、振動子77に5MHz、7.5MHz、及び10MHzの周波数の超音波信号を発するようにさせて、36通りの構成の組合せについて試験する。
【0047】
装置20の様々な実施形態並びに医療用の既存の針の幾つかの実施形態について、36通りの構成のそれぞれの画像をキャプチャーする。各画像のクロップ領域をキャプチャーする。クロップ領域は全ての画像について一定であり同一である。次いで画像をグレースケールへ変換すると各ピクセルは1から256の間の明度値を有する。1から256の間の或る特定の値を視感度閾値として選定する。各画像について、視感度閾値より大きいピクセルの数の総和を取る。総和値は各構成の明度評定を確立する。次いでデータを記憶及び解析するが、場合によっては平均明度評定を標準偏差と共に計算することによって解析する。
【0048】
試験設備70は、針及び振動子を既知の再現可能な角度に保持してエコー輝度測定のための画像データを収集することによって、医療装置についての定量可能なエコー輝度データを提供する。試験設備70の使用は、試験過程での如何なる主観性も排除し、再現性のある計量及び定量化可能なデータを提供する。従って、試験設備70は、エコー源性形体部の最も有利な配列及び構成を能動的に識別するのに使用できる有益なデータを提供する。
【0049】
試験設備70を使用して得られた試験データは、ここに説明されている装置20の実施形態の有利性を明らかにしており、特に装置20と現在使用されている医療用の針との間でデータを比較した場合に明らかである。例えば、角度方向を様々に異ならせて配列されているルーロー三角形の形態をしたエコー源性形体部30を有する装置20を試験し、パンチ方法で形成された半球状凹みを有する既存針と比較した。当該実施形態は、平均明度評定72502、標準偏差34176を現出させており、それは平均明度評定33925、標準偏差23465を持つ既存針に比べとりわけ優良な結果である。圧延方法により製造されているローブ52を有する装置20の実施形態ではなおいっそう優良な結果が実現された。装置20の当該実施形態は、ルーロー三角形の形態をしている形体部30をローブ52付きで角度方向を様々に異ならせた配列で有している。当該実施形態は、平均明度評定87440、標準偏差48648を現出させており、既存針に比べ有意に改善されている。
【0050】
概して、超音波信号は、流体と装置20の表面の様な異なった音響インピーダンスを有する2つの媒体の界面で部分的に反射される。反射される超音波信号は、装置20に、その特定の周波数の超音波信号を反射するのに効果的な形体部30を提供することによって増強される。試験結果は、その様なエコー源性形体部の反射性能が形体部の寸法並びに超音波信号の波長に依存することを示している。例えば形体部30の主要寸法が信号の波長に比べて小さい場合、超音波信号は形体部30と相互作用して拡散してしまい、信号のごく一部しか反射して振動子へ戻ってこない。これは流体の波が、波長に比べて小さい壁又は形体部に当たった場合と同様である。その様な状況では、概して波は互いにぶつかり合い対立し、結果として波が全体として減衰してゆくことになる。
【0051】
寸法が変更された形体部30を組み入れることによって、装置20は、様々な超音波周波数が使用されても、また多周波数超音波振動子によっても、より有効に画像化できるようになる。例えば、異なる寸法及び/又は特性を備えた形体部30を有する装置20は、1−20MHzの範囲内の周波数を有する超音波信号を(画像化を目的に)より有効に反射することができる。より高い周波数の超音波信号はより小さい寸法に対応し、より低い周波数の超音波信号はより大きい寸法と対応する。一例として、約0.08mmの主要寸法を有する形体部30は5MHzの周波数を有する超音波信号に対応して、当該超音波信号を最も有効に反射する。特定の超音波周波数は特定の寸法の形体部30から最適に反射するので、多様なサイズの形体部30は装置20を様々な周波数でも等しく良好に画像化できるようにする。このようにして、単一の装置20が、或る範囲の超音波周波数向けの超音波振動子及び超音波画像化機器と関連して、増強された超音波信号を現出させることができる。
【0052】
針の体内刺入によって生じる不快の程度について、各種エコー源性増強部の影響を判定するために追加の試験を行った。試験は、装置20の一部の特定の実施形態の刺入力を測定し、様々な既存針の測定値に比較することによって行なった。刺入力は概して不快の程度と相関する。刺入力は刺入距離に従って変わるものではあるが、比較は試験対象の医療装置全ての間で標準化された深さの刺入力の間でなされた。米国仮特許出願第61/783,043号に説明されている圧延方法を用いて製造されていてローブ52を含んでいるルーロー三角形の形状の形体部30を有する装置20の実施形態は、他の型式のエコー源性増強針に比べ要する刺入力が優位に小さいと判定された。例えば、その様な装置20はローブ52を含んでいない同様の装置20が0.906Nを要するのに比べ0.270Nの荷重値を有している。先に述べられている様に、ローブ52有りリッジ無しの装置20の面24は、リッジ有りローブ52無しの装置20に比べ低い静的摩擦係数及び低い運動摩擦係数を呈する。
【0053】
実用上は、製造の実情に因り、形体部30の実際の形状はここに説明されている理論上の形状とは若干変わる。場合によっては、陥凹部を形成するのに使用されている道具がそれらの耐用年数の始めと終わりで形状をわずかに変化させ、陥凹部の実際の形状に或る程度の差異を生じさせてしまうことがある。また他にも、装置20の材料が粒状であるという特色を有している又は形体部30の幾つかに理論上の完全な形状とは僅かに異なる形状を持たせてしまう他の特性を有しているという場合もある。例えば、先に説明されているルーロー三角形の構成に形成されている形体部30はどれもが頂点34を表す単一のはっきりと区別できる点を有しているとは限らない。とはいえ、形体部30は製造時に僅かな差異を有しているとしてもここに説明されている通りに機能するものと理解されたい。
【0054】
上記記載の一部は超音波システム用途に関連した特定の使用に関するものであるが、装置20の実施形態は更に様々な他の医療処置のために及び様々な他の医療装置と共に使用され得るものと理解しておきたい。
【0055】
ここに装置20の幾つかの構成要素について具体的な材料が特記されていたとしても、それらの材料は装置20で使用するのに適した材料の種類を限定しようとするものではない。加えて、材料が特記されていない場合、各種材料が使用され得るわけであり、例えば一部の特定の種類の金属、ポリマー、セラミックス、又は小さい体腔に適用するための装置で使用するのに適した他の種類の材料などを使用することができる。
【0056】
本開示を図面及び以上の記述中に詳細に示し説明してきたが、それらは性質上説明が目的であり限定を課すものではなく、付随の特許請求の範囲によって定義されている本発明の精神の内に入るあらゆる変更、等価物、及び修正は保護されることが望まれるものと理解している。本明細書に引用されている全ての出版物、特許、及び特許出願は、各個別の出版物、特許、又は特許出願が特定的に且つ個別に参考文献として援用される旨を指示されその全体がここに記載されているかのごとく、ここに参考文献として援用される。